JP5075433B2 - 不具合情報集約システムおよび車両 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に不具合が発生したときのデータを容易に集約することのできる技術に関する。
車両に故障が発生した場合や異音や異臭などの異状が発生した場合などには車両を整備工場に持ち込み検査を受けることになるが、これらの症状は一時的なもので整備員による検査の際には異状が見あたらないということもありうる。このような場合は、整備員はどのような症状が起きたのかを把握できないため、修理などを含めてどのような対処を取ればいいのかが判断できない。そこで発生した不具合の内容を的確に把握できるように、車両に異状が発生した場合に、異状発生時の車両に係る状態を記録する種々の技術が提案されている。
特許文献1には、走行状況を各種のセンサで監視し、異常な揺れなどあらかじめ設定された通常値からずれた値をセンサが取得した場合に、走行状況に係るデータを記憶手段に蓄積または整備工場に送信する技術が開示されている。整備員は、車両内の記憶手段に蓄積されたデータもしくは送信されたデータを参照することで、車両に異状が発生したときの状況を把握することができ、どのような整備を行えばよいかを判断することが可能となる。
特許文献2には、車両に関するデータを取得し、ユーザの望むタイミングでリアルタイムに管理センタに送信する技術が開示されている。管理センタでは、車両から送られてきたデータを診断して診断結果を車両に通知することで、ユーザはいつでも自車に不具合があるか否かを知ることができる。
特許文献3には、車両に関するデータを取得し、このデータに統計処理を施し管理センタに送信することで、車両の使用方法(近距離走行が主であるなど)を管理センタ側で把握できる技術が開示されている。車両側で不具合が発生したことを検知した場合は、データを送信する際にその旨を通知することで、管理センタは不具合と使用状況との関連を蓄積することができる。
特開平10−24784号公報 特開2002−168734号公報 特開2002−323409号公報
しかしながら、上記従来技術には以下のような問題点がある。
特許文献1に記載の方法では、不具合の発生を判定するのは車載装置であり、あらかじめ定められたアルゴリズムに基づいて不具合の発生を判定している。このようなアルゴリズムは、設計時にあらかじめ設定される必要がある。したがって、設計時に想定していなかった不具合や、想定していない使用条件で車両が使用された場合には、不具合の発生を適切に検出できないことがあり得る。
特許文献2に記載の方法では、管理センタにデータを送信するタイミングはユーザが決定することができるが、管理センタ側では送られてきたデータを基にあらかじめ定められたアルゴリズムによって車両状態を診断するため、この方法でも想定外の不具合には対応
できないという問題がある。すなわち、ユーザが異状を感じ管理センタにデータを送信しても、診断結果としては異状なしという結果が返ってくることになる。
特許文献3に記載の方法では、車両の使用方法を管理センタ側に蓄積でき、車両側で不具合の発生を検知した場合は、管理センタにデータを送信する際に不具合が発生したことを通知することで、使用条件と不具合との関連を蓄積することができる。しかしながら、不具合発生の判断は、他の従来技術と同様にあらかじめ設定されたアルゴリズムによって判断されている。
すなわち、上記従来技術はいずれもあらかじめ設定されたアルゴリズムによって不具合の発生を判断しているため、設計時に想定していない故障原因や使用条件において発生する不具合が発生した際に車両に係るデータを適切に収集できないという問題がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、再現性の乏しい不具合情報を適切に収集できる技術を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明では、以下の手段または処理によって不具合情報の収集を行う。
本発明は、車両の不具合情報をセンターに集約する不具合情報集約システムであって、前記車両は、車両の走行状況に係るデータである車両走行情報を取得する車両走行情報取得手段と、前記車両走行情報を前記センターに送信する車両走行情報送信手段と、前記車両の運転者と前記センターのオペレータを通話可能とする音声通話手段と、運転者からの指示に基づいて、前記車両走行情報送信手段による前記車両走行情報の前記センターへの送信と前記音声通話手段による前記オペレータとの音声通話とを開始する制御手段と、を有し、前記センターは、前記車両から送信される前記車両走行情報を受信する車両走行情報受信手段と、前記車両の運転者と前記センターのオペレータとを通話可能とする音声通話手段と、受信した前記車両走行情報を、前記音声通話手段によって前記車両の運転者から通知された不具合の内容と関連付けて記憶する不具合情報記憶手段と、を有するセンターと、を有することを特徴とする。
また、前記車両走行情報には、日時、車載装置に係る情報、車両の位置、走行中の道路に係る情報、積載物の積載量のうち少なくとも1つが含まれることが好ましい。
このような構成によれば、車載の装置が検出できないものの、運転者が異状を感じたときの車両走行情報をセンターに集約することが可能となる。そして、その際に、車両走行情報を送信するだけでなく、音声通話によって運転者が異状の内容を伝えることで、センター側では不具合の内容と車両走行情報とを関連付けて蓄積することができる。なお、センター側ですでに不具合の内容および対処方法を把握している場合には、音声通話によって運転者に対処方法を通知することもできる。
また、車両は、運転者からの指示を入力する入力部を有し、前記入力部への1つの指示に基づいて、前記制御手段が、前記車両走行情報の前記センターへの送信と、前記オペレータとの前記音声通話を開始することが好ましい。
また、前記の入力部はボタンであり、前記ボタンが押されると、前記制御手段が、前記車両走行情報の前記センターへの送信と、前記オペレータとの前記音声通話を開始することが好ましい。
このような構成によれば、車両の運転者による1回のみの操作で、車両走行情報の送信と音声通話の確立が行われるため、運転者に負担を掛けることなく走行情報の送信と、音声通話の確立とを行うことが可能となる。
また、前記センターは、不具合情報記憶手段に記憶された車両走行情報と不具合の内容を解析して不具合の原因を解析する解析手段をさらに有することが好ましい。
この構成によれば、蓄積された不具合情報から不具合の原因を解析し、製品の改良に資することができる。
また、前記車両は、前記センターに送信した車両走行情報の前記不具合情報記憶手段への登録を取り消す要求を前記センターに送信する取消要求送信手段を有しても良い。
また、前記車両は、前記センターに送信した車両走行情報の前記不具合情報記憶手段への登録を確定する要求を前記センターに送信する確定要求送信手段を有し、前記不具合情報記憶手段は、前記車両走行情報受信手段によって受信された車両走行情報を仮登録とし、前記確定要求送信手段による登録を確定する要求を受信した場合に、登録を確定させても良い。
運転者が異状を感じた場合であっても、後から車両に異状が発生していなかったと判明する場合がある。そのような場合に対応するために、センターに登録したデータを取消可能にしたり、最初は仮登録としておき後から確定したりすることによって、センターに集約されるデータの精度を向上させることが可能となる。
なお、本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する不具合情報収集システムまたは車両として捉えることができる。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む不具合情報収集方法、または、かかる方法を実現するためのプログラムとして捉えることもできる。上記手段及び処理の各々は可能な限り組み合わせて本発明を構成することができる。
例えば、本発明の一態様としての車両は、車両の走行状況に係るデータである車両走行情報を取得する車両走行情報取得手段と、前記車両走行情報を送信する車両走行情報送信手段と、音声通話を可能とする音声通話手段と、運転者からの指示に基づいて、前記車両走行情報送信手段による前記車両走行情報の不具合情報を集約するセンターへの送信と、前記音声通話手段による前記センターのオペレータとの音声通話とを開始する制御手段と、を有する。
また、運転者からの指示を入力する入力部を有し、前記入力部への1つの指示に基づいて、前記制御手段は、前記車両走行情報の送信と前記音声通話を開始することが好ましい。
また、前記入力部はボタンであり、前記ボタンが押されると、前記制御手段は、前記車両走行情報の送信と前記音声通話を開始することが好ましい。
ここで、前記車両走行情報には、日時、車載装置に係る情報、車両の位置、走行中の道路に係る情報、積載物の積載量のうち少なくとも1つが含まれることが好ましい。
また、前記車両走行情報送信手段によって送信した車両走行情報が無効なものであることを通知する取消要求手段をさらに有してもよい。
また、前記車両走行情報送信手段によって送信した車両走行情報が有効なものであるこ
とを通知する確定要求手段をさらに有してもよい。
本発明によれば、再現性の乏しい不具合情報を適切に収集することが可能となる。
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
(第1の実施形態)
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る不具合情報集約システムのシステム構成の概略を示す図である。図1に示すように、車両1と不具合情報管理センタ(以下、管理センタという)5とは、インターネット9を介して行うデータ通信と、電話網10を介して行う音声通信とによって接続されている。
車両1は、車両内に搭載された各種センサ4から車両の走行状況に係るデータである車両走行情報を取得している。車両1のドライバが車両に異状を感じたときに不具合通知処理を実行すると、データ通信装置3からインターネット9を介して管理センタ5のサーバ6に各種センサ4から取得された車両走行情報が送信される。サーバ6は、受信した車両走行情報を記憶手段に記憶する。不具合通知処理を開始すると、データ通信装置3は、上記のように車両走行情報を送信するとともに、携帯電話2を発呼して管理センタ5の電話機7との間で音声通話を確立する。車両1のドライバは、管理センタ5のオペレータに車両1の異状の内容を音声通話によって伝える。異状の内容を聞いた管理センタ5のオペレータはオペレータ端末8を用いて、サーバ6に格納されている車両走行情報に、異状の内容を関連付けて記憶させる。
図2は、車両1に配置された装置の外観を示す図である。図2には、データ通信装置3のユーザインタフェース部分が示されている。データ通信装置3は、ディスプレイ31とボタン等の入力部32を備える。そして、データ通信装置3は、入力部32の一部として、車両に異常が発生したときに管理センタ5への車両走行情報の送信処理を開始するトリガとなる送信ボタン32aを備える。
携帯電話2は、データ通信装置3と近距離無線通信によって接続されており、データ通信装置3からの指示に基づいて発呼処理等を行える。このような近距離無線通信としては、例えば、Bluetooth(登録商標)を挙げることができる。ただし、携帯電話2とデータ通信装置3との接続方法はこれに限られるものではなく、他の規格による無線通信であっても良く、コネクタとケーブルとによって接続されても構わない。
また、ドライバが運転中に携帯電話2を手で持って通話するのは危険なので、携帯電話2にスピーカとマイクからなるハンズフリー装置(不図示)を装着して、ドライバが携帯電話2を保持することなく通話できるようにすることが好ましい。
次に、本実施形態に係る不具合情報集約システムの詳細について説明する。図3は、本不具合情報集約システムの機能ブロックを示す図である。
まず、車両1について説明する。車両1は、車両走行情報取得部104が各種センサから走行状況に係るデータを取得する。例えば、車両走行情報取得部104は、車速センサ104aから車速を、アクセル開度センサ104bからアクセルの開度を、GSP104cから車両1の位置情報を取得する。なお、ここで示したセンサは一例であって、その他にも、エンジンの状態に関するデータを取得するセンサや、ブレーキに係るセンサや、加
速度センサ、横滑りセンサ(ヨーセンサ)などから走行状況に係るデータを取得しても良い。また、積載している荷物の積載量を取得しても良い。また、道路に係る情報(例えば、道路の勾配や曲率半径など)を地図データとして格納しておき、GPS104cから取得される位置情報とこの地図データとに基づいて、車両1が走行中の道路に係る情報を走行状況に係るデータとして取得しても良い。その他、車両走行情報取得部104が取得するデータは、車両1の走行に関する情報であればどのようなものであっても構わない。
車両走行情報取得部104は、各種センサから常時車両走行情報を取得し蓄積しており、常に最新の30分間のデータを記憶できる構成としている。これは、例えば、複数の記憶手段を用い、これら複数の記憶手段を順番に使用していくことで、古いデータが上書きされていく方式を採用することで実現できる。
制御部105は、車両1のドライバがデータ通信装置3の送信ボタン32aを押すと、車両1と管理センタ5の間で音声通話とデータ通信とを開始する。具体的には、送信ボタン32aが押下されると、まず、車両走行情報送信部102が、車両走行情報取得部104によって取得された車両走行情報を管理センタ5へインターネット9を介して送信する。この際、管理センタ5へ送信されるデータは、車両走行情報の他に、送信日時、車種、車両IDなどが含まれ、さらに携帯電話2の電話番号が含まれる。車両走行情報送信部102によって車両走行情報が送信されると、制御部105は、音声通話部101としての携帯電話2に管理センタ5への発信を指示する。このように、送信ボタン32aが押されると、制御部105は、データ通信装置3によるデータ通信と、携帯電話2による音声通話との2つの形式の通信を開始させる。なお、データ通信と音声通話の開始は、送信ボタン32aを押すだけで実行が開始される態様の他にも、データ通信装置3のディスプレイ31上に表示されるメニュー画面において入力部32を用いて送信処理開始の実行コマンドを選択する態様であっても構わない。また、データ通信装置3に音声認識部を設け、ドライバが所定の言葉を発することで送信処理が開始される態様であっても構わない。
次に、管理センタ5について説明する。車両走行情報受信部202は、車両1の車両走行情報送信部102から送信される車両走行情報を受信し、不具合情報データベース204に格納する。そして、車両1から管理センタ5の音声通話部(電話機)201へ発信される通話に、管理センタ5のオペレータが応答する。この際、電話網と管理センタ5のコンピュータはCTI(Computer Telephony Integration)連携されており、オペレータ端末8にはこの通話に関する情報が表示される。すなわち、オペレータ端末8は、CTI連携によって車両1の携帯電話2の発信者番号を取得し、この発信者番号をキーとして不具合情報データベース204に格納された情報を取得し、その一部をオペレータ端末8上に表示する。この表示の一例を図4に示す。図4では、オペレータ端末8には、不具合情報データベース204から取得された車種41、日時42に関する情報が表示されている。さらに、このダイアログ表示は、不具合の症状43と異状箇所44をオペレータに入力させる入力部203を兼ねている。オペレータは車両1のドライバと電話で会話し、異状の症状と異状箇所とを尋ねる。図4においては、症状43として「異音」が選択され、異状箇所44として「前方」「左側」が入力されている。なお、不具合内容の具体的な入力項目や入力の方法については図4以外のどのような方法であっても構わない。このように入力部203によって、車両1から受信した車両走行情報に、ドライバ1から聞いた症状および異状箇所を関連付けて、不具合情報データベース204に格納することが可能となる。この際、CTI連携によって電話通話に対応する車両走行情報が自動的に抽出されるため、オペレータが不具合の内容を車両走行情報に関連付けて記憶させる処理が効率化される。
このように、車両1のドライバが車両に異状が発生したと感じたときに、即座に走行状況に係るデータとその症状とを管理センタ5に蓄積することができる。このように、送信
のタイミングをドライバの主観判断としているため、あらかじめ機器に設定しておいた異状判断では検知することのできない不具合を容易に管理センタ5に集約することが可能となる。
解析部205は、不具合情報データベース204に蓄積されたデータから、異状の内容、異状の発生条件、車種などと各データ波形の類似性から分類し、似た内容の不具合の条件を集約することで、不具合発生の条件を検出できたり、不具合発生の条件の仮説を構築することが容易になる。車両製造メーカは、この不具合発生条件に基づいて設計の変更を行ったり、不具合発生の仮説に基づいてさらに実験等を行って仮説の検証を行うことができる。
なお、管理センタ5の態様として、サーバ6とオペレータ端末8とは物理的に離れた位置に存在していても構わない。すなわち、サーバ6とオペレータ端末8とはネットワークを介して接続されていれば物理的な設置位置は問わない。例えば、1つの建物の中にサーバ6とオペレータ端末8が設置されていても良く、サーバ6はデータセンターに置かれ、オペレータ端末8は他の場所に置かれていても構わない。
<処理フロー>
次に、本実施形態に係る不具合情報集約システムにおいて、車両1から管理センタ5へ不具合情報を送信する際の処理の流れについて図を参照して説明する。図5は、車両1から管理センタ5へ不具合情報を送信する際の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、車両1のドライバが、データ通信装置3の送信ボタン32aを押す(S01)と、各種のセンサから車両走行情報取得部104が取得した走行状況に係るデータを車両走行情報送信部102が、管理センタ5へ送信する(S02)。車両1が送信する車両走行情報は、送信ボタン32aが押されるまでの所定の時間(例えば30分間)のデータとする。車両1から送信された車両走行情報は、管理センタ5の車両走行情報受信部202によって受信され、不具合情報データベース204に格納される(S03)。次に、車両1の制御部105からの指示によって、携帯電話2を用いて車両1から管理センタ5へ音声通話の発信を行う(S04)。管理センタ5のオペレータが音声通話に応答する(S05)と、車両1のドライバは管理センタ5のオペレータに異状の内容や異状箇所等について説明し、オペレータはドライバから聞いた情報(ヒアリング情報)を入力部203を用いて、車両走行情報受信部202が受信したデータに関連付けて不具合情報データベース204に入力する(S06)。
<実施形態の効果>
本実施形態では、ドライバが異状を感じたときに送信ボタン32aを押すことで、車両の走行に係るデータを管理センタ5に送信している。つまり、ドライバの主観的判断をトリガとして管理センタ5にデータが集約されるので、設計時に想定されなかった故障や、想定されなかった使用条件による故障など、車載装置にあらかじめ格納されたアルゴリズムでは検知できない不具合が発生したときの車両データを管理センタに集約することができる。このように車載装置が検知できない不具合を送信する場合、車載装置はどのような内容の不具合が発生したか判断できないので、本実施形態に係る車両は、ドライバが管理センタのオペレータと通話して不具合の内容などを通知できるように、携帯電話による音声通話を管理センタとの間で確立する。管理センタのオペレータは、ドライバから聞いた不具合の内容を送信された車両走行情報と関連付けてデータベースに格納することで、管理センタに、車両に車載装置が検知できない不具合が発生した場合でもその時の車両走行情報が集約されることになる。
そして、このように不具合情報を集約することによって、個々の車両では稀な頻度や特
殊な条件でしか発生しない不具合や、設計時に想定されなかった故障原因や使用条件に起因する不具合に関する情報が、同じ設計の他の車種・機器と合わせて集約されることにより、不具合の傾向を把握することができる。さらには、不具合の発生条件を究明することも可能となり、製品の設計変更等に役立たせることができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ドライバの主観判断をトリガとして走行状況に係るデータを管理センタに送信していた。したがって、ドライバが車両に異状が発生したと感じた場合であっても、実は異状が発生していなかったということも考えられる。例えば、車両から異音が聞こえるとドライバが判断して車両走行情報を管理センタに送信したが、実は車両の外部で騒音が発生していただけであったと気付くことがあり得る。また、例えば、ドライバが車両に異常な揺れを感じ車両走行情報を管理センタに送信したが、後席の子供やペットがシートを揺すっていただけであったと気付くことがあり得る。このような場合、送信した車両走行情報を管理センタの不具合情報データベース204から削除できる仕組みがあれば、管理センタに集約された不具合情報の精度が高くなる。
本実施形態では、以下の構成を追加することで、誤って管理センタ5に送信した車両走行情報を取り消すことを可能とする。図6は、本実施形態に係る不具合情報集約システムに係る車両1と管理センタ5の機能構成を示す図である。第1の実施形態との違いは、車両1に取消要求送信部106が設けられ、管理センタ5に取消要求受信部206が設けられている点である。
取消要求送信部106は、ユーザがデータ通信装置3の入力部32を操作して取消要求の送信を指示したときに、前回送信した車両走行情報の取消要求を管理センタ5へインターネット9を介して送信する。ユーザによる取消要求送信の指示は、入力部32のいずれかのボタンを押しただけで送信するようにしても良いし、ディスプレイ31に表示されるメニュー画面で入力部32を介して該当するメニューを選択するようにしても良い。取消要求送信部106は、送信する要求が取消要求であることを示すメッセージIDと、自車を特定する車両IDなどを一緒に送信することで、管理センタ5は送信された取消要求から、どの車両走行情報を不具合情報データベース204から削除すればよいかが分かる。
管理センタ5の取消要求受信部206は、受信した取消要求に含まれる車両IDなどを基に、不具合情報データベース204に格納されている車両走行情報を削除する。なお、車両走行情報の削除とは、実際に不具合情報データベース204から削除してしまっても良く、削除フラグを立てるなどして論理的に削除する構成を採用しても構わない。
図7は、管理センタ5へ送信した車両走行情報を取り消す場合の処理の流れを示すフローチャートである。まず、ドライバがデータ通信装置3の入力部32を操作して、取消要求の送信を選択する(S11)と、取消要求送信部106が自車の車両IDを含む取消要求を管理センタ5へ送信する(S12)。管理センタ5の取消要求受信部206が取消要求を受信する(S13)と、取消要求に含まれる車両IDの車両走行情報のうち直近に送信された不具合情報を不具合情報データベース204から削除する(S14)。
このように構成によれば、ドライバが車両に不具合が発生したと間違えて判断した場合であっても、送信した車両走行情報を管理センタから削除することができるので、集約した不具合情報の精度を上げることができる。
なお、本実施形態は、取消要求を送信することで不具合情報データベース204から取り消すことによって、集約される不具合情報の精度を向上させているが、次のような方法を採用しても良い。すなわち、車両1が管理センタ5へ車両走行情報を送信した場合は、
管理センタ5側ではこの情報を一旦仮登録データとして保持する。そして、車両1から管理センタ5へ、確定要求を送信する機構を設け、一定期間内に確定要求が送信されれば不具合情報データベース204に登録し、一定期間内に確定要求が送信されなければ仮登録したデータを破棄する。このような仕組みによっても、集約される不具合情報の精度を向上させることが可能となる。
(第3の実施形態)
上記の実施形態においては、車両から不具合発生時の車両走行情報を管理センタに集約するだけであったが、不具合情報が集約されると送信された車両走行情報と不具合内容との関連づけを求めることができるようになる。したがって、車両から車両走行情報が送信されたときにその車両走行情報を解析することで、どのような不具合が発生しているかを把握することが可能となる。そして、その不具合内容に応じた対処方法をドライバに通知することも可能となる。したがって、このように、不具合の内容を推測して、その内容と対処方法を通知可能とすることも好ましい。
上記の処理を実現するために、本実施形態では、解析部205による解析結果を不具合情報データベース204に格納しておき、車両走行情報と不具合内容の関連付けておくとともに、受信した車両走行情報に基づいて不具合の内容を検索する検索手段を有することが好ましい。図8は、本実施形態に係る不具合情報集約システムの、車両1および管理センタ5の機能構成を示す図である。本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、管理センタ5に検索部207が設けられた点である。検索部207は、車両1から送信され車両走行情報受信部202によって受信された車両走行情報をもとに、対応する不具合内容を検索する。そして、受信した車両走行情報に対応する不具合の内容と、その対処方法とをディスプレイ等に表示して、オペレータがドライバに音声通話でその内容と対処方法とを伝えることを可能とする。
この際の処理の流れを図9のフローチャートに基づいて説明する。まず、車両1のドライバが送信ボタン32aを押す(S21)と、各種センサから車両走行情報取得部104が取得した走行状況に係るデータを車両走行情報送信部102が、管理センタ5へ送信する(S22)とともに、車両1と管理センタ5との間で音声通話を確立する(不図示)。管理センタ5の車両走行情報受信部202が車両1からの車両走行情報を受信する(S23)と、検索部207が不具合情報データベース204を検索して、受信した車両走行情報に対応する不具合の内容とその対処方法とを検索し取得する(S24)。そして、取得した不具合の内容と対処方法とをディスプレイ上で表示する(S25)。オペレータは表示された不具合の内容と対処方法を、車両1のドライバに通知する(S26)で、ドライバは車両の不具合に対応することが可能となる。
(変形例)
上記の実施形態では、いずれも、音声通話の手段として携帯電話を利用していた。しかしながら、車両1のドライバと管理センタ5のオペレータとの間の音声通話は、携帯電話に限られるものではない。例えば、携帯電話以外の他の無線通話技術を用いても構わない。また、VoIP(Voice Over Internet Protocol)技術のように音声をデジタルデータ化してインターネットなどのデータ回線上で通信することで音声通話を実現しても構わない。
また、車両1と管理センタ5との間のデータ通信回線としてインターネット9を用いているが、インターネットではなく専用のネットワークを用いても構わない。例えば、車両は路側に設けられた路側機とDSRC(Dedicated Short Range Communication)によっ
て通信し、路側機と管理センタとの間を有線の専用線で通信するような形態を採用することも可能である。すなわち、車両1と管理センタ5との間のデータ通信は既存のどのよう
な技術によって実現されても構わない。
第1の実施形態に係る不具合情報集約システムのシステム概要を示す図である。 第1の実施形態に係る車載装置の外観を示す図である。 第1の実施形態に係る不具合情報集約システムの機能ブロックを示す図である。 第1の実施形態におけるオペレータ端末での入力画面の例を示す図である。 第1の実施形態における車両から管理センタへ不具合情報を送信する際の処理の流れを示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る不具合情報集約システムの機能ブロックを示す図である。 第2の実施形態における車両から管理センタへ不具合情報の取消要求を送信する際の処理の流れを示すフローチャートである。 第3の実施形態に係る不具合情報集約システムの機能ブロックを示す図である。 第3の実施形態における車両の不具合の内容を管理センタから車両に通知する処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1 車両
2 携帯電話
3 データ通信装置
4 各種センサ
5 管理センタ
6 サーバ
7 電話機
8 オペレータ端末
9 インターネット
10 電話網
101 音声通話部
102 車両走行情報送信部
104 車両走行情報取得部
105 制御部
106 取消要求送信部
201 音声通話部
202 車両走行情報受信部
203 入力部
204 不具合情報データベース
205 解析部
206 取消要求受信部
207 検索部

Claims (11)

  1. 車両の不具合情報をセンターに集約する不具合情報集約システムであって、
    前記車両は、
    車両の走行状況に係るデータである車両走行情報を取得する車両走行情報取得手段と、
    前記車両走行情報を前記センターに送信する車両走行情報送信手段と、
    前記車両の運転者と前記センターのオペレータを通話可能とする音声通話手段と、
    運転者からの指示を入力する入力部と、
    前記入力部へ入力された運転者からの1つの指示に基づいて、前記車両走行情報送信手段による前記車両走行情報の前記センターへの送信と前記音声通話手段による前記オペレータとの音声通話の双方を開始する制御手段と、
    を有し、
    前記センターは、
    前記車両から送信される前記車両走行情報を受信する車両走行情報受信手段と、
    前記車両の運転者と前記センターのオペレータとを通話可能とする音声通話手段と、
    受信した前記車両走行情報を、前記音声通話手段によって前記車両の運転者から通知された不具合の内容と関連付けて記憶する不具合情報記憶手段と、
    を有する
    ことを特徴とする不具合情報集約システム。
  2. 前記入力部はボタンであり、前記ボタンが押されると、前記制御手段が、前記車両走行情報の前記センターへの送信と前記オペレータとの前記音声通話の双方を開始する
    ことを特徴とする請求項1に記載の不具合情報集約システム。
  3. 前記車両走行情報には、日時、車載装置に係る情報、車両の位置、走行中の道路に係る情報、積載物の積載量のうち少なくとも1つが含まれる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の不具合情報集約システム。
  4. 前記センターは、不具合情報記憶手段に記憶された車両走行情報と不具合の内容を解析して不具合の原因を解析する解析手段をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の不具合情報集約システム。
  5. 前記車両は、前記センターに送信した車両走行情報の前記不具合情報記憶手段への登録を取り消す要求を前記センターに送信する取消要求送信手段を有する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の不具合情報集約システム。
  6. 前記車両は、前記センターに送信した車両走行情報の前記不具合情報記憶手段への登録を確定する要求を前記センターに送信する確定要求送信手段を有し、
    前記不具合情報記憶手段は、前記車両走行情報受信手段によって受信された車両走行情報を仮登録とし、前記確定要求送信手段による登録を確定する要求を受信した場合に、登録を確定させる
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の不具合情報集約システム。
  7. 車両の走行状況に係るデータである車両走行情報を取得する車両走行情報取得手段と、
    前記車両走行情報を送信する車両走行情報送信手段と、
    音声通話を可能とする音声通話手段と、
    運転者からの指示を入力する入力部と、
    前記入力部へ入力された運転者からの1つの指示に基づいて、前記車両走行情報送信手段による前記車両走行情報の不具合情報を集約するセンターへの送信と前記音声通話手段による前記センターのオペレータとの音声通話の双方を開始する制御手段と、
    を有する車両。
  8. 前記入力部はボタンであり、
    前記ボタンが押されると、前記制御手段は、前記車両走行情報の送信と前記音声通話の双方を開始する
    ことを特徴とする請求項7に記載の車両。
  9. 前記車両走行情報には、日時、車載装置に係る情報、車両の位置、走行中の道路に係る情報、積載物の積載量のうち少なくとも1つが含まれる
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の車両。
  10. 前記車両走行情報送信手段によって送信した車両走行情報が無効なものであることを前記センターに通知する取消要求送信手段をさらに有する
    ことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の車両。
  11. 前記車両走行情報送信手段によって送信した車両走行情報が有効なものであることを前記センターに通知する確定要求送信手段をさらに有する
    ことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の車両。
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