以下に添付図面を参照して、本発明に係るフォークリフトの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、産業車両管理システムの概略構成を表すブロック図である。図1に示す産業車両管理システム100は、フォークリフトの運転データとサービスデータ(保守データ)とを蓄積し、蓄積したデータを解析することで、産業車両を管理するシステムである。産業車両管理システム100は、システムを構成する各部が利用者施設110a、110b、110cと、管理者施設112と、サービス施設(保守施設)114とにそれぞれ配置されている。利用者施設110a、110b、110cと、管理者施設112と、サービス施設114とは、通信回線116でデータの送受信が可能である。通信回線116は、無線及び有線の少なくとも一方で通信を行う回線網である。通信回線116としては、公衆回線を利用した公衆ネットワーク、通信事業者のコアネットワーク、及び種々のローカルネットワークを用いることができる。
また、産業車両管理システム100は、フォークリフト10a〜10fと、中継装置118a、118b、118cと、利用者端末120a、120b、120cと、サーバ(産業車両管理装置)130と、管理者端末132と、サービス者端末140と、を有する。
以下、産業車両管理システム100を構成する各部と、利用者施設110a、100b、100cと、管理者施設112と、サービス施設(保守施設)114とについて説明する。
利用者施設110a、110b、110cは、フォークリフト10a〜10fを使用し各種作業を実行する施設である。利用者施設110a、110b、110cは、例えば工場や倉庫、ホームセンター等の倉庫型小売店、貨物駅、港湾等の作業現場等である。利用者施設110aは、フォークリフト10a、10b、10cと、中継装置118aと、利用者端末120aと、を有する。利用者施設110bは、フォークリフト10d、10eと、中継装置118bと、利用者端末120bと、を有する。利用者施設110cは、フォークリフト10fと、中継装置118cと、利用者端末120cと、を有する。利用者施設110a、110b、110cは、フォークリフトの数が異なるのみで基本的には、同様の構成である。フォークリフト10a〜10fは、大きさや構成部品等の差異はあるが、基本的にいずれも同じ構成要素である。以下の説明では、フォークリフト10a〜10fを特に区別する必要がない場合、単にフォークリフト10と言う。
図2は、フォークリフトの概略構成を表す模式図である。以下、図2を用いて、フォークリフトの概略構成を説明する。図2に示すように、フォークリフト10は、2つの前輪12と、2つの後輪13と、マスト14と、フォーク15と、チルトシリンダ16と、リフトシリンダ17と、駆動源21と、ポンプ22と、タンク23と、コントロールバルブ24と、操作装置25と、通信部28と、検出部29と、アンテナ30と、制御装置35と、を有する。
フォークリフト本体11は、フォークリフト10の各部が装着される基礎となる部分であり、操縦席や操作ハンドルが設けられている。フォークリフト本体11は、2つの前輪12及び2つの後輪13が装着されており、2つの前輪12及び2つの後輪13が回転することにより走行可能とする。前輪12及び後輪13は、駆動源21により駆動され、回転される。フォークリフト本体11は、駆動源21で前輪12または後輪13を駆動することで、前進及び後退可能となっている。また、フォークリフト10は、操作ハンドルにより後輪13を操舵することで、所望方向に走行可能となっている。
フォークリフト本体11は、前部にマスト14が下部を支点として傾斜(チルト)自在に支持されており、このマスト14にフォーク15が昇降(リフト)自在に支持されている。チルトシリンダ16は、油圧の給排によりロッド16aを移動可能であり、このロッド16aの先端部がマスト14に連結されている。リフトシリンダ(第1流体圧シリンダ)17は、油圧の給排によりロッド17aを移動可能であり、このロッド17aの先端部にガイドローラ18が装着されており、ワイヤ19は一端部がフォーク15の上端部に連結され、中間部がガイドローラ18にガイドされ、他端部がマスト14の上端部に連結されている。
従って、フォークリフト10は、チルトシリンダ16に油圧を給排すると、ロッド16aを前後移動し、マスト14の下部を支点として傾斜させることで、フォーク15をチルトさせることができる。また、リフトシリンダ17に油圧を給排すると、ロッド17aが上下移動し、ガイドローラ18を介してワイヤ19が移動することで、フォーク15が牽引され、このフォーク15をリフトさせることができる。
駆動源21は、例えば、エンジン(または、電気モータ)であり、上述したように前輪12及び後輪13を駆動する。なお、駆動源21は、フロントアスクルを介して前輪12に連結され、フロントアスクルにより前輪12に駆動力を伝達する。駆動源21は、リアアスクルを介して後輪13に連結され、リアアスクルにより後輪13に駆動力を伝達する。駆動源21は、さらにポンプ22を駆動してタンク23に貯留されている作動油を加圧することができる。コントロールバルブ24は、ポンプ22で加圧された作動油をチルトシリンダ16やリフトシリンダ17に供給することで、このチルトシリンダ16やリフトシリンダ17を作動することができる。操作装置25は、作業者が操作可能であり、フォーク15のチルトやリフトの操作信号を出力することができる。
通信部28は、アンテナ30及び通信回線116を介して、通信回線116で接続されている機器と信号を送受信することで、無線通信を行う機器である。通信部28は、制御装置35の制御に基づいて各種データの送受信を行う。アンテナ30は、フォークリフト本体11に設置されている。
検出部29は、フォークリフト10の運転データとなる各種情報を取得する検出部であり、フォークリフト10の稼働時間を計測する稼働時間計測部、フォークリフトが作業を行っていた作業時間を計測する作業時間計測部、フォークリフト10が荷役を積載して動作した積載時間を計測する積載時間計測部、フォークリフト10の走行距離を計測する走行距離計測部等を備えている。
タッチパネル32は、フォークリフト本体11の操縦席の近傍に配置されている。タッチパネル32は、表示部(ディスプレイ)と入力部(タッチセンサ)とが積層された装置であり、表示部に画像(例えばボタン)を表示した状態で入力部が当該画像への操作を検出すると、当該画像に対応付けられた操作が入力されたと判定する。
なお、フォークリフト10は、タッチパネル32に加え、オペレータによって入力可能な入力部を備えていてもよい。ここで、入力部は、例えばキーボードやマウスなどの各種入力用デバイスである。
制御装置35は、フォークリフト10に搭載されており、車載コンピュータであり、フォークリフト10の各部の動作を制御する。制御装置35は、操作装置25からの操作信号に基づいて駆動源21、ポンプ22、コントロールバルブ24の駆動を制御する。
制御装置35は、フォークリフト10の各種情報を検出部29から取得し、取得した情報を通信部28から中継装置118a、118b、118cに送信する。具体的には、制御装置35は、車両内に設けられた稼働時間計測部、作業時間計測部、積載時間計測部及び走行距離計測部とそれぞれデータケーブルを介して電気的に接続されており、通信部28と通信ケーブルを介して電気的に接続されている。制御装置35は、検出部29で検出された運転データを取得すると、それらの運転データを通信部28から中継装置118a、118b、118cに送信する。
制御装置35は、オペレータによりタッチパネル32(または入力部)に入力された操作に基づいて、各種制御を実行する。また、制御装置35は、オペレータによりタッチパネル32(または入力部)に入力された情報(故障情報、運転の各種条件の情報)等を運転データとして取得し、検出部29で検出した運転データとともに通信部28から中継装置118a、118b、118cに送信する。
図1に戻り、産業車両管理システム100の説明を続ける。中継装置118a、118b、118cは、利用者施設110a、110b、110c毎に配置されている。中継装置118a、118b、118cは、対応する利用者施設110a、110b、110cに含まれるフォークリフト10の制御装置35から送信されたデータを管理者施設112のサーバ130に転送する。つまり、中継装置118a、118b、118cは、各フォークリフト10が利用されている利用者施設110a、110b、110cにそれぞれ設けられており、利用者施設110a、110b、110cで利用されている各制御装置35から送信されたデータを受信すると、通信回線116を介してそのデータをサーバ130に送信する。中継装置118a、118b、118cは、制御装置35から送信されたデータを一時的に記憶し、記憶したデータを所定時間間隔でサーバ130に送信してもよい。また、中継装置118a、118b、118cは、制御装置35のデータを利用者端末120a、120b、120cに並行して送信するようにしてもよい。
利用者端末120a、120b、120cは、利用者施設110a、110b、110c毎に配置されている。利用者端末120a、120b、120cは、いわゆるパーソナルコンピュータ等の情報端末であり、画像を表示する表示部と利用者が操作を入力する入力部、各種演算処理を行う制御部等を備える。利用者端末120a、120b、120cは、通信回線116を介してサーバ130等の各端末と情報の送受信を行うことで、フォークリフト10を管理するための情報を取得する。また、利用者端末120a、120b、120cは、利用者により入力されたフォークリフト10の運転データをサーバ130に送信することもできる。ここで、利用者端末120a、120b、120cは、利用者端末120a、120cのように、通信回線116を介して、中継装置118a、118cと通信可能な構成としても、利用者端末120bのように、直接中継装置118bと通信可能な構成としてもよい。なお、中継装置118bと利用者端末120bとは、中継装置118bが取得したフォークリフト10d、10eの運転データが利用者端末120bを介して通信回線116に送信される。利用者施設110a、110b、110cは、以上のような構成である。
次に、管理者施設112は、フォークリフト10の利用者に産業車両管理システム100のサービスを提供するホストとなる施設である。管理者施設112は、サーバ130と、管理者端末132と、を有し、産業車両管理システム100を構成するフォークリフト10の情報を集約して管理する。ここで、図3は、サーバと管理者端末の概略構成を示すブロック図である。
サーバ(産業車両管理装置)130は、制御部160と、記憶部162と、通信部164と、を有する。制御部160は、CPU等で構成され、各種演算処理を実行する。記憶部162は、ROM、RAM等であり、サーバ130に供給される運転データ、サービスデータ、制御部160で算出した結果等を記憶する。通信部164は、通信回線116と接続されており、通信回線116を介して通信回線116で接続されている機器と信号を送受信することで、無線通信を行う機器である。通信部164は、制御部160の制御に基づいて各種データの送受信を行う。また、通信部164は、管理者端末132とも通信可能な状態で接続されている。
サーバ130は、以上のような構成であり、各フォークリフト10の管理を行う。具体的には、サーバ130は、通信部164、通信回線116を介した通信により、フォークリフト10の運転データを含む各種データを取得する。また、サーバ130は、保守費用を含むサービスデータをサービス者端末140から受信する。サーバ130は、取得したデータ及びサービスデータを解析することで、フォークリフト10の状態を検出し、検出結果に基づいてフォークリフト10を管理する。なお、サーバ130でフォークリフト10を管理する制御について後述する。
管理者端末132は、いわゆるパーソナルコンピュータ等の情報端末であり、制御部170と、記憶部172と、通信部174と、表示部176と、操作部178と、を有する。制御部170は、CPU等で構成され、各種演算処理を実行する。記憶部172は、ROM、RAM等であり、サーバ130から供給されるフォークリフト10の管理データや解析結果、制御部170で算出した結果等を記憶する。通信部174は、通信回線116と接続されており、通信回線116を介して通信回線116で接続されている機器と信号を送受信することで、無線通信を行う機器である。通信部174は、制御部170の制御に基づいて各種データの送受信を行う。また、通信部174は、サーバ130の通信部164とも通信可能な状態で接続されている。表示部176は、液晶表示装置等の画像を表示する装置である。表示部176は、制御部170の制御に基づいて、サーバ130を操作する操作画面や、サーバ130で算出された結果を示す画面(管理画面)等を表示させる。操作部178は、管理者が操作を入力する入力デバイスである。入力デバイスとしては、キーボード、マウス、タッチパッド等の種々の機構を用いることができる。
次に、サービス施設114は、フォークリフト10の保守、つまりメンテナンス、修理を行う施設である。サービス施設114は、サービス者がフォークリフト10の保守を行う際に、必要に応じて部品の交換を行う。サービス施設114は、サービス者端末140を備える。サービス者端末140は、管理者端末132と同様に、いわゆるパーソナルコンピュータ等の情報端末である。サービス者端末140は、サービス者によりフォークリフト10に対して実行したサービスの情報であるサービスデータが入力される。サービス者端末140は、通信回線116を介してサーバ130に接続されており、入力されたサービスデータをサーバ130に送信する。ここで、サービスデータは、フォークリフト10の保守、つまりメンテナンス、修理に関する種々の情報であり、例えば、メンテナンス、修理を実行した日時、メンテナンス、修理の費用等である。サービス者は、フォークリフト10の保守を実行する毎にサービスデータを入力し送信してもよいし、まとめてサービスデータを入力し送信してもよい。また、サービス者端末140は、サーバ130からフォークリフト10の管理結果の情報を受信することもできる。
次に図4から図9を用いて、産業車両管理システム100の動作を説明する。図4は、フォークリフトの処理動作の一例を示すフローチャートである。まず、図4を用いてフォークリフトの処理動作を説明する。また、図4に示す処理は、制御装置35で実行することができる。制御装置35は、駆動源21が始動されるとつまり起動されると、図4に示す処理を実行する。
制御装置35は、ステップS12として、運転データを取得する。つまり、制御装置35は、フォークリフト10に設けられた検出部29が検出した各種運転データを取得する。例えば、制御装置35は、検出部29の稼働時間計測部で計測したフォークリフト10の稼働時間、作業時間計測部で計測したフォークリフト10が作業を行っていた作業時間、積載時間計測部で計測したフォークリフト10が荷役を積載して動作した積載時間、走行距離計測部で計測したフォークリフト10の走行距離を運転データとして取得する。
制御装置35は、ステップS12で運転データを取得したら、ステップS14として、運転データを蓄積する。つまり、制御装置35は、ステップS12で取得した運転データを一旦蓄積する。制御装置35は、ステップS14で運転データを蓄積したら、ステップS16として運転データの送信指示があるかを判定する。なお、送信指示は、サーバ130から送信された指示でも、制御装置35が制御条件に基づいて算出した指示でも、利用者により利用者端末120a、120b、120cに入力され、制御装置35に送信された指示でもよい。
制御装置35は、ステップS16で送信指示あり(Yes)と判定した場合、ステップS18として、蓄積した運転データをサーバに出力する。つまり、制御装置35は、運転データを対応する中継装置118a、118b、118cに送信する。中継装置118a、118b、118cは、制御装置35からデータを受信すると、そのデータを記憶し、所定時間間隔でサーバ130に送信する。サーバ130は、出力された運転データを受信したら、記憶部162に記憶させる。
制御装置35は、ステップS18で運転データをサーバ130に出力したら、ステップS20に進む。制御装置35は、ステップS16で送信指示なし(No)と判定した場合、ステップS20に進む。制御装置35は、ステップS16でNoと判定された場合、またはステップS18の処理を実行した場合、ステップS20として、処理終了かを判定する。制御装置35は、ステップS20で処理終了ではない(No)と判定した場合、ステップS12に進み、ステップS12の処理を再び実行する。制御装置35は、ステップS20で処理終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
フォークリフト10は、以上のようにして、運転データを取得し、蓄積し、サーバ130に出力する。また、制御装置35は、処理終了と判定するまで、例えば、フォークリフト10が駆動されている間、つまり停止されるまで、ステップS12からステップS20の処理を繰り返す。
図5は、サービス者端末の処理動作の一例を示すフローチャートである。図5を用いて、サービス者端末140の処理動作について説明する。サービス者端末140は、ステップS30として、サービスデータの更新があるかを判定する。ここで、サービス者端末140は、サービス者により新たなサービスデータ、つまりフォークリフト10に対して実行した処理(点検、部品の交換)が入力され入力が確定した場合、例えばデータの保存処理が実行された場合、サービスデータが更新されたと判定する。サービス者端末140は、ステップS30でサービスデータの更新あり(Yes)と判定した場合、ステップS32として、更新されたサービスデータをサーバに出力する。つまり、サービス者端末140は、通信回線116を介して、サーバ130に更新されたサービスデータを送信する。サービス者端末140は、ステップS32の処理を行ったら、ステップS34に進む。
サービス者端末140は、ステップS30でNoと判定された場合、またはステップS32の処理を実行した場合、ステップS34として、処理終了かを判定する。サービス者端末140は、ステップS34で処理終了ではない(No)と判定した場合、ステップS30に進み、ステップS30の処理を再び実行する。サービス者端末140は、ステップS34で処理終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
サービス者端末140は、以上のようにして、サービスデータをサーバ130に出力する。また、サービス者端末140は、処理終了と判定するまで、ステップS30からステップS34の処理を繰り返す。
産業車両管理システム100は、上述したように、運転データとサービスデータをサーバ130に蓄積することで、フォークリフト10の情報をサーバ130に集約することができ、フォークリフト10を好適に管理することができる。
図6から図8を用いて、利用者がフォークリフト10で故障が発生したと判断し、故障が発生したことを管理者側に通知する場合に実行する制御について説明する。図6は、タッチパネルの画面の一例を示す説明図である。図7は、フォークリフトの処理動作の一例を示すフローチャートである。図8は、タッチパネルの画面の一例を示す説明図である。図7に示す処理は、フォークリフト10の制御装置35で実行される。
まず、制御装置35は、図6に示すように、タッチパネル32の画面50の一部に故障ボタン60を表示させる。本実施形態の制御装置35は、フォークリフト10が稼動している間、具体的には、タッチパネル32が画像を表示させている間、画面50の一部に故障ボタン60を表示させる状態を維持する。ここで、図6の画面50は、故障ボタン60以外の画像の表示を省略しているが、フォークリフト10の操作に必要な操作画面用の画像や、フォークリフト10の運転状態を把握するための情報が表示されていてもよい。
次に、図7を用いて制御装置35の制御について説明する。制御装置35は、ステップS40として故障ボタンへのタッチがあるかを判定する。つまり、制御装置35は、画面50に表示させた故障ボタン60への操作をタッチパネル32で検出したかを判定する。
制御装置35は、ステップS40で故障ボタンへのタッチがない(No)と判定した場合、ステップS40に進む。制御装置35は、故障ボタンへのタッチを検出するまで、ステップS40の処理を繰り返す。制御装置35は、ステップS40で故障ボタンへのタッチがある(Yes)と判定した場合、ステップS42として、故障項目選択画面を表示させる。制御装置35は、図8に示すようにタッチパネル32に故障項目選択画面52を表示させる。故障項目選択画面52は、6つの項目ボタン62a、62b、62c、62d、62e、62fと、送信ボタン64と、を有する。6つの項目ボタン62a、62b、62c、62d、62e、62fは、故障の項目を指定する際に操作するボタンであり、それぞれ異なる故障の項目が対応付けられている。項目ボタン62aは、エンジンが対応付けられている。項目ボタン62bは、マストが対応付けられている。項目ボタン62cは、フロントアスクルが対応付けられている。項目ボタン62dは、トランスミッションが対応付けられている。項目ボタン62eは、油圧が対応付けられている。項目ボタン62fは、リアアスクルが対応付けられている。6つの項目ボタン62a、62b、62c、62d、62e、62fは、対応する項目を示す単語が表示されている。また、本実施形態では、項目ボタン62eが選択された状態であるため、他の項目ボタン62a、62b、62c、62d、62fと異なる表示態様(色、形状の少なくとも一方が異なる態様)で表示されている。制御装置35は、項目が選択されているか否かで表示を変更することで、選択されている項目を視認しやすくしている。
制御装置35は、ステップS42で故障項目選択画面52を表示させたら、ステップS44として項目ボタンへのタッチがあるかを判定する。つまり、制御装置35は、画面50に表示させた6つの項目ボタン62a、62b、62c、62d、62e、62fのいずれかへの操作をタッチパネル32で検出したかを判定する。
制御装置35は、ステップS44で項目ボタンへのタッチがない(No)と判定した場合、ステップS48に進む。制御装置35は、ステップS44で項目ボタンへのタッチがある(Yes)と判定した場合、ステップS46として、タッチされた項目ボタンの選択状態を切り換える。例えば、図8の故障項目選択画面52の項目ボタン62aがタッチされた場合、項目ボタン62aを選択された状態に切り換え、項目ボタン62aの表示態様を項目ボタン62eと同じ表示態様とする。図8の故障項目選択画面52の項目ボタン62eがタッチされた場合、項目ボタン62eを選択されていない状態に切り換え、項目ボタン62eの表示態様を他の項目ボタン62a、62b、62c、62d、62fと同じ表示態様とする。制御装置35は、表示態様を切り換えたら、ステップS48に進む。
制御装置35は、ステップS44でNoと判定した場合、またはステップS46の処理を実行した場合、ステップS48として送信ボタンへのタッチがあるかを判定する。制御装置35は、ステップS48で送信ボタンへのタッチなし(No)と判定した場合、ステップS44に進み、ステップS44からステップS48の処理を再び実行する。
制御装置35は、ステップS48で送信ボタンへのタッチあり(Yes)と判定した場合、ステップS50として、故障情報をサーバに送信する。ここで、故障情報は、故障したことを示す情報と、故障項目選択画面52で選択された項目の情報を含む。また、制御装置35は、故障情報に故障が発生したフォークリフトのユーザ名、車両名、車種、納入年月日、稼働時間、走行距離、積載時間等の情報を含めることができる。また、制御装置35は、設定によって、故障情報に利用者の連絡先、担当者名等の情報を含めるようにしてもよい。また、制御装置35は、故障情報に識別情報を付して、一部の情報は、サーバ130側で、記憶部162に記憶されている情報を結合させるようにしてもよい。制御装置35は、ステップS50で故障情報をサーバに送信したら、本処理を終了する。
フォークリフト10は、以上のようにして、利用者のタッチパネルへの操作に基づいて、故障が発生したこと、さらには利用者が特定した故障位置の情報をサーバに送信することができる。
図9は、サーバの処理動作の一例を示すフローチャートである。次に、図9を用いて、サーバ130で実行される故障情報の受信処理について説明する。図9に示す処理は、サーバ130の制御部160で実行される。制御部160は、ステップS60として、故障情報を取得する。つまり、フォークリフト10からサーバ130に向けて出力される故障情報を取得する。制御部160は、ステップS60で故障情報を取得した場合、ステップS62として、対応する端末に故障情報を出力する。ここで、対応する端末とは、故障情報を出力したフォークリフト10の故障に対応する各端末である。本実施形態では、産業車両管理システム100を管理する管理者が使用する管理者端末132、フォークリフト10の故障に対応して保守を行うサービス者が使用するサービス者端末140、フォークリフト10が設置された利用者施設110a、110b、110cに対応する利用者端末120a、120b、120cのいずれかに出力する。制御部160は、ステップS62で対応する端末に故障情報を出力したら、ステップS64として故障情報を蓄積する。つまり、制御部160は、記憶部162に故障情報を記憶させ、本処理を終了させる。制御部160は、故障情報とフォークリフトを対応付けて記憶させる。その後、故障情報に対応するサービスデータ(補充、修理のデータ)を取得した場合、制御部160は、故障情報にさらに対応付けて記憶させる。
このように、産業車両管理システム100は、タッチパネル32を操作するのみで故障情報をサーバ130に出力することができる。さらに産業車両管理システム100は、故障情報をサーバ130から関係する各端末に送信する。これにより、利用者は、タッチパネル32を操作するのみで必要な故障情報をサーバ130に供給することができ、さらにサーバ130を介して各部に転送する。このため、利用者は、電話先を探したりせずに故障の発生を通知できるため、利用者への負担を低減することができる。また、産業車両管理システム100は、利用者の判断に基づいて故障を判断するため、フォークリフト10の故障を適切に発見することが可能となる。
また、産業車両管理システム100は、タッチパネル32への操作をトリガーとして故障情報をサーバ130に送ることで、管理者、サービス者が対応する故障情報が必要以上に送られることを抑制することができる。つまり、許容条件を超えた場合、自動的に故障条件として、サーバ130に故障情報を送ると、利用者が対応できる簡単な故障や実際には故障していない場合でも、管理者、サービス者が確認を行う必要が生じる。これに対して、産業車両管理システム100は、タッチパネル32への操作をトリガーすることで、故障情報を利用者が故障と認識し、かつ、利用者が解決できない情報とすることができる。これにより、管理者、サービス者は、対応する必要がある故障情報を効率よく取得することができ、効率よく保守を行うことができる。
産業車両管理システム100は、故障情報に利用者が特定した故障位置の情報(選択した項目ボタンの情報)を含めることで、管理者、サービス者は、特定された故障位置の情報を迅速に理解することができる。また、管理者、サービス者は、産業車両管理システム100を用いることで、故障部位を理解した状態で、利用者に連絡を取り情報を聞き出すことができる。これにより、フォークリフトの状態を把握してから保守を開始することができる。例えば、必要な道具と部品が先に把握できることで、一度フォークリフトの状態を把握してから保守計画を作成し実際の保守を行わなくても、故障情報に基づいて先に保守計画を作成してから、フォークリフトの状態を確認し、そのまま保守を実行することも可能となる。また、産業車両管理システム100は、サーバ130に故障データに加え、運転データ、サービスデータが蓄積され散る。これにより、管理者、サービス者は、サーバ130を介して供給される情報で、フォークリフトの状態をより高い精度で把握することができる。
ここで、産業車両管理システム100は、フォークリフト10に設けられたタッチパネル32を操作して故障情報を出力したが、これに限定されない。産業車両管理システム100は、故障情報を利用者端末120a、120b、120cからサーバ130に送るようにしてもよい。
図10及び図11は、利用者端末の画面の一例を示す説明図である。利用者端末120a、120b、120cは、図10に示すように画面70を表示させている。画面70は、対応する利用者施設110a、110b、110cに配置されるフォークリフト10の基礎データの表72を含む。また、画面70は、表72の各フォークリフト10に対応する位置にそれぞれ故障ボタン60が表示されている。1つの故障ボタン60は、1つのフォークリフト10に対応付けられている。
利用者端末120a、120b、120cは、利用者によって、故障ボタン60のいずれか押されるまたはクリックされると、故障ボタン60に対応付けられたフォークリフト10に対応する図11に示す故障項目選択画面76を表示させる。故障項目選択画面76は、表示位置が利用者端末120a、120b、120cであること以外は、基本的に図8に示す故障項目選択画面52と同様の構成である。故障項目選択画面76は、6つの項目ボタン62a、62b、62c、62d、62e、62fと、送信ボタン64と、を有する。6つの項目ボタン62a、62b、62c、62d、62e、62fは、故障の項目を指定する際に操作するボタンであり、それぞれ異なる故障の項目が対応付けられている。項目ボタン62aは、エンジンが対応付けられている。項目ボタン62bは、マストが対応付けられている。項目ボタン62cは、フロントアスクルが対応付けられている。項目ボタン62dは、トランスミッションが対応付けられている。項目ボタン62eは、油圧が対応付けられている。項目ボタン62fは、リアアスクルが対応付けられている。6つの項目ボタン62a、62b、62c、62d、62e、62fは、対応する項目を示す単語が表示されている。
利用者端末120a、120b、120cは、故障項目選択画面76の6つの項目ボタン62a、62b、62c、62d、62e、62fに対して操作が入力された場合、選択、非選択を切り換える。また、利用者端末120a、120b、120cは、送信ボタン64が操作されると、6つの項目ボタン62a、62b、62c、62d、62e、62fのうち、送信ボタン64の操作時に選択状態の項目を故障している部分である示す情報を含めて、故障情報としてサーバ130に出力する。
産業車両管理システム100は、利用者端末120a、120b、120cからも、故障情報を出力できることで、故障によりフォークリフト10のタッチパネル32が使用できない場合であってもサーバに故障情報を出力することができる。また、産業車両管理システム100は、利用者端末120a、120b、120cからも、故障情報を出力できることで、所有している複数のフォークリフト10の故障情報の管理を一括で行うことができる。
次に、故障情報を受信した管理者端末の制御について説明する。なお、本実施形態では、管理者端末132の制御として説明するが、他の端末でも同様の処理を実行できる。図12から図16は、それぞれ管理者端末の表示部に表示される画面の一例を示す説明図である。管理者端末132が、サーバ130から故障情報が送付された場合、顧客情報、発生情報(発生時間、発生部位)に加え、故障情報が対応付けられたフォークリフト10と利用者が同一、つまり同じ利用者施設に配置されているフォークリフト10の使用情報を表示するようにする。管理者端末132は、表示部176に図12に示す画面80を表示させる。画面80は、利用者が同一のフォークリフトの運転データ及び解析結果の表である。画面80には、車体番号、機種、運用形態、年間積算時間、年間走行距離、根間稼働率(年間稼働時間)が含まれる。ここで、本実施形態において運用形態は、4つに分類される。荷役が多い場合、「積載型」となり、走行距離が長い場合「走行型」となり、両方が多い場合「高稼働型」となり両方とも少ない場合「低稼動型」となる。管理者端末132は、画面80にフォークリフトの運用態様を表示させることで、故障箇所の推定を行い易くすることができる。
さらに、管理者端末132は、表示部176に図13に示す画面82を表示させる。画面82は、故障情報が送信されたフォークリフト10のこれまでのメンテナンス履歴(メンテナンス実施時期や内容)や、故障履歴(故障時期、故障箇所)、交換部品情報(交換部品や交換時期)等、つまり、フォークリフト10のメンテナンス履歴が含まれる表である。管理者端末132は、画面82を表示させることで、フォークリフト10のメンテナンスの履歴を把握することができ、長期間交換していない部品や故障が多い部品などから、故障箇所の推定をし易くすることができる。
管理者端末132は、故障情報とともに車両の運用形態やメンテナンス履歴(整備に関する履歴)を画面に表示させ、参照できるようにすることにより、故障原因の推定を行い易くし、迅速な対応ができるようにする。
次に、管理者端末132は、サーバ130から故障情報が送付されてきた場合、上述した各種画面に加え、図14に示すように、表示部176に画面84と画面86を表示させてもよい。画面84は、対象のフォークリフトの使用情報を示す表である。また、画面86は、エンジン(駆動源21)を構成する部品の一覧表である。画面86には、各部品の部品番号、部品名、価格、在庫、納期等が含まれる。
管理者端末132は、画面84で故障が発生した機種に使用されている装置(駆動源、トランスミッション、油圧系など)の装置番号を表示させることで、故障部位の保守の計画をたてやすくすることができる。さらに、管理者端末132は、画面86で装置に用いられている部品一覧と、各部品の在庫数や納期などを参照できるようにする。これにより、修理に必要な部品を早期に特定できる。また、必要な部品の在庫や納期を確認できるようにすることにより、迅速な修理対応が可能となる。
次に、管理者端末132は、サーバ130から故障情報が送付されてきた場合、図15のウインドウ88に示すように画面86の各部品に対応する位置に部品図ボタン89を設けてもよい。管理者端末132は、各部品の図面のデータを備えており、部品図ボタン89が操作された場合、図16に示すように、部品図ボタン89に対応する部品の図面90を表示させる。
このように、管理者端末132は、故障が発生した機種に使用されている装置(駆動源21、トランスミッション、油圧系など)の装置番号及びその装置に用いられている部品一覧が表示されているシステムに、部品図とのリンクをつけておき、部品の形状を確認できるようにすることが好ましい。なお、図15、図16では、部品図としたが、組み立てずの図面も同様にリンクを設け表示可能とすることができる。このように、部品の形状を確認できることで、故障に対して迅速に対応することができる。
ここで、フォークリフト10は、使用目的に応じて利用者の要望に応じて各種設計変更した状態で運用されていることが多い。このため、使用している機構や部品の構成が多岐にわたり、把握することが困難である。したがって、上述したように、対象のフォークリフト毎に、使用している駆動源、トランスミッション及び油圧系の型式、さらにこれらを構成する部品の形状、型式、値段等を表示させることで、型式を間違えて修理ができない事態が発生することを抑制することができる。
上記実施形態の産業車両管理システム100は、利用者から故障情報が出力された場合に実行する処理を説明したが故障情報の利用方法はこれに限定されない。産業車両管理システム100は、故障情報、運転データおよびサービスデータを用いて、異常情報の制御を行うことが好ましい。ここで、異常情報とは、フォークリフト10が許容値を超える運転条件で運転している状態(異常状態)を検知して出力される情報である。なお、異常情報は、故障が原因とって出力される場合もあるが、基本的には、動作可能ではあるが故障につながる恐れがあるため推奨されない運転条件で運転している場合に検知され出力される。
以下、図17から図19を用いて、各部の動作を説明する。図17は、フォークリフトの処理動作の一例を示すフローチャートである。フォークリフト10の制御装置35は、ステップS70として、運転データを取得し、ステップS72として取得した運転データを解析する。つまり、制御装置35は、取得した運転データを解析して、運転の状態を検出する。
制御装置35は、ステップS72で運転データを解析したら、ステップS74として異常ありかを判定する。つまり異常状態で運転しているか否かを判定する。制御装置35は、ステップS74で異常あり(Yes)と判定した場合、ステップS76として異常情報をタッチパネル及びサーバに出力する。これによりフォークリフト10を運転、操作している利用者に推奨されない状態で運転が行われていることを通知することができる。なお、異常情報の通知方法として、タッチパネル32への出力に限定されない。例えばブザーや音声メッセージで異常情報を出力してもよい。また、制御装置35は、異常状態を解消することができる運転、例えば減速、作業の一時停止等を通知してもよい。
制御装置35は、ステップS74で異常なし(No)と判定した場合、または、ステップS76の処理を行った場合、ステップS78として、処理終了かを判定する。制御装置35は、ステップS78で処理終了ではない(No)と判定した場合、ステップS70に進み、上記処理を再び実行する。制御装置35は、ステップS78で処理終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
このように、フォークリフト10は、異常状態を検出したら異常情報を出力することで、利用者に無理な条件での運転を控えることを要請することができる。また、異常状態を検出したことを示す異常情報をサーバ130にも送ることで、故障につながる恐れのある利用者の運転をより的確に把握することができる。
次に、図18は、サーバの処理動作の一例を示すフローチャートである。図18を用いて、異常情報を用いたサーバ130の処理動作を説明する。また、図18に示す処理は、サーバ130の制御部160で実行することができる。
制御部160は、ステップS80として、解析対象のフォークリフトを特定する。つまり、制御部160は、産業車両管理システム100に含まれるフォークリフトから解析する対象のフォークリフトを特定する。制御部160は、ステップS80でフォークリフトを特定したら、ステップS82として、記憶部162から運転データ、サービスデータ及び異常情報を抽出する。つまり、制御部160は、特定したフォークリフトの運転データ、サービスデータ及び異常情報を記憶部162から読み出す。
制御部160は、ステップS82でデータを読み出したら、ステップS84として、直近のデータの取得要であるか判定する。制御部160は、記憶部162に記憶されている情報や設定に基づいて、直近のデータの取得要であるかを判定する。制御部160は、ステップS84で直近のデータの取得要である(Yes)と判定した場合、ステップS86として、直近の運転データ、サービスデータ及び異常情報を取得する。なお、制御部160は、フォークリフト10と通信を行い直近の運転データ及び異常情報を取得し、サービス者端末140と通信を行い直近のサービスデータを取得する。
制御部160は、ステップS86で直近のデータを取得した場合、または、ステップS84で直近のデータの取得要ではない(No)と判定した場合、ステップS88として、フォークリフトの状態を解析し、ステップS90で故障発生確率がしきい値以上であるかを判定する。例えば、制御部160は、運転データ、サービスデータ及び異常情報の履歴に基づいて、異常状態での運転により上昇する故障発生確率を各部について算出し、故障発生確率がしきい値以上となる部分があるかを判定する。故障発生確率のしきい値については、後述する。
制御部160は、ステップS90で故障発生確率がしきい値以上である(Yes)と判定した場合、ステップS92として利用者端末及びタッチパネルに故障注意情報を出力する。ここで、故障注意情報とは、故障が発生する可能性が高くなっていることを告知する情報である。制御部160は、ステップS90で故障発生確率がしきい値未満である(No)と判定した場合、または、ステップS92の処理を行った場合、本処理を終了する。
産業車両管理システム100は、図18に示すように、サーバ100で故障発生確率を算出し、その算出結果にも基づいて利用者に注意喚起を行うことで、故障の発生を抑制することができる。
なお、制御部160は、故障注意情報を管理者端末132、サービス者端末140に出力してもよい。これにより、管理者、サービス者が、故障が発生する恐れあがるフォークリフト10また、故障が発生する可能性が高い機構、部品を予め把握することができる。これにより、保守を行うことなく故障が発生しても迅速に対応することができる。
制御部160は、解析対象のフォークリフト10を順次切り換え、図18の処理を繰り返し実行することで、産業車両管理システム100に含まれるフォークリフトをそれぞれ解析することができる。これにより、サーバ130及び産業車両管理システム100は、フォークリフト10の管理を好適に実行すること、また、好適に管理することができる解析結果を取得することができる。
図19は、サーバの処理動作の一例を示すフローチャートである。ここで、図19に示す処理は、故障発生確率の判定を行うしきい値の決定方法の一例である。制御部160は、ステップS100として、記憶部162から運転データ、故障情報、サービスデータ及び異常情報を抽出する。つまり、制御部160は、特定したフォークリフトの運転データ、故障情報、サービスデータ及び異常情報を記憶部162から読み出す。ここで、図19は、一台のフォークリフト10のデータだけでなく、複数台のフォークリフト10のデータを抽出することが好ましい。
制御部160は、ステップS100で情報を抽出したら、ステップS102として、異常情報の履歴と故障情報とメンテナンス履歴とを比較する。つまり制御部160は、故障情報から実際に故障が発生したタイミングを抽出し、サービスデータから各部のメンテナンス履歴を抽出し、異常情報の履歴とつき合わせることで、故障が発生する可能性が高くなる異常情報の条件を算出する。制御部160は、ステップS102で比較を行ったら、ステップS104で故障発生確率の判定のしきい値を決定し、本処理を終了する。
産業車両管理システム100は、このように故障情報を用いて、実際に故障が起こったタイミングを特定することにより、故障を未然に防ぐことができる故障発生確率の判定のしきい値を高い精度で補正することができる。これにより、故障が発生する確立を低減することができる。また、図19に示す処理を繰り返し、ステップS104のしきい値を高い精度にすることで、フォークリフト10の各部の部品を、故障の発生を抑制しつつ、より寿命に近い長さまで使うことが可能となる。これにより装置を長寿命化することができる。
産業車両管理システム100を構成する各部と、利用者施設110a、110b、110cと、管理者施設112と、サービス施設(保守施設)114との数は、特に限定されない。例えば、利用者施設110a、110b、110cは、1つ以上であればいくつでもよい。また、管理者施設112と、サービス施設(保守施設)114とを複数備えていてもよい。また、各利用者施設110a、110b、110cは、中継装置118a、118b、118cや、利用者端末120a、120b、120cを複数備えていてもよい。同様に、サーバ130、管理者端末132、サービス者端末140も複数備えていてもよい。
また、上記実施形態の産業車両管理システム100は、サービス施設114と管理者施設110とを別したが一体としてもよい。つまり、本システムの管理とフォークリフトの保守とを1つの施設で行ってもよい。この場合、管理者端末132とサービス者端末140と1つの端末としてもよい。また、管理者端末132とサービス者端末140とをサーバ130と一体としてもよい。この場合、サービスデータは通信部を介さずに取得することができる。また、サーバ130がサービスデータを取得する方法は、通信回線を介した通信に限定されない。サーバ130は、記憶媒体を介してサービスデータを取得してもよいし、サーバ130に設置された入力デバイスへの入力によりサービスデータを取得してもよい。
また、上記実施形態の産業車両管理システム100は、サーバ130が運転データを一旦記憶部162に記憶させたがこれに限定されない。サーバ130は、解析に用いる運転データを記憶部に記憶させず、解析に用いる全ての運転データをフォークリフトまたは利用者端末から取得してもよい。この場合は、上記処理の記憶部から運転データを読み出す処理に換えて、通信部を介して運転データを取得する処理となる。なお、産業車両管理システム100は、サーバの記憶部に記憶した運転データも通信部が通信で取得した運転データを一旦記憶部に記憶させているものであるので、いずれの場合もサーバは、通信部が取得した運転データとサービスデータとを比較することになる。
上記実施形態では、産業車両としてフォークリフトを用いた場合として説明したがこれに限定されない。産業車両としては、フォークリフト以外の、走行部と作業部とを備えている車両を用いることができる。産業車両としては、例えば、ショベルカー、ダンプカー、ブルドーザを用いることができる。なお、産業車両としてフォークリフト以外の車両を用いる場合、上記実施形態の荷役関連保守費用は、作業部に関連する保守費用とし、積載時間は、作業部が作業を実行していた作業時間とする。これにより、産業車両を好適に管理することができる。