JP5072475B2 - ケーブル結束テープ、ケーブルアセンブリおよびケーブルの結束方法 - Google Patents

ケーブル結束テープ、ケーブルアセンブリおよびケーブルの結束方法 Download PDF

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本発明は、ケーブル(特に極細または超極細同軸ケーブル)の結束に使用される、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜を用いたテープに関し、特に、自己癒着性のケーブル結束用テープに関する。また、本発明は、ケーブルの結束方法に関する。さらに本発明は、ケーブルアセンブリに関する。
現在、携帯電話は、液晶画面等を備える表示部とボタン等を備える操作部が、ヒンジ部によって接続された折り畳み式構造のものが主流である。また、携帯電話は、カメラを備えたものが主流であり、近年、カメラ操作の便宜のために、ヒンジ部が横回転して表示部の角度を調整できるものも増えている。この横回転可能なヒンジ部には、配線材にフレキシブル回路基板が使用できないため、数本の極細同軸ケーブルを結束して、その両端をコネクタに接続したケーブルアセンブリが使用されている。最近では、携帯電話だけでなく、ノート型パソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、その他医療用器具などにおいてもヒンジ部が横回転するものが出てきており、これらにも、同様のケーブルアセンブリが用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。
このケーブルの結束には、結束テープが用いられている。この結束テープとしては、例えば特許文献4に記載の、ポリエチレン樹脂、PET樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂製のテープ基材と、ゴム系粘着剤等の粘着剤とを有する結束テープが挙げられる。しかし、これらの種類の熱可塑性樹脂を基材としたテープは、表面保護性および結束性は良好であるが、柔軟性が乏しく、ケーブル全体を結束テープで被覆する場合には、細かい作業に支障をきたす場合があった。
一方、PTFEは、耐熱性、低摩擦性および絶縁性に優れる材料であり、柔軟性も有しており、テープ基材として好適であると考えられる。しかし、PTFE粘着テープに関しては、PTFE基材の非粘着性が高く、使用できる粘着剤の種類が限られている。そのため、一般的に、PTFE粘着テープは、粘着力は高いが剥離性に乏しいものとなっており、結束テープ用途に用いた場合には、ケーブルの仮止め目的での使用やテープの巻き直し作業が困難であるという欠点があった。また、焼成PTFE多孔質膜によるテープ(粘着剤層なし)については、ケーブルに巻きつけたテープが解けてしまいやすいため、電線の導体の被覆用途には用いられるが、ケーブルの結束用途には用いられていない。
特開2005−322462号公報 特開2007−26957号公報 特開2007−28859号公報 特開2002−245861号公報
本発明の目的は、ケーブル結束用途に用いた場合に、柔軟性に優れ、巻き直し作業が容易で仮止め目的にも使用可能なPTFE製のテープを提供することにある。本発明の別の目的は、結束ケーブルの結束作業を容易にする方法を提供することにある。本発明のさらに別の目的は、上記のPTFE製のテープを用いたケーブルアセンブリを提供することにある。
上記目的を達成した本発明は、未焼成のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を用いた結束テープであって、
前記多孔質膜の気孔率が、60%以上80%以下であり、
前記結束テープの長手方向の伸びが200%以下、かつ長手方向の強度が20N/mm2以上50N/mm2以下であり、
前記結束テープの幅方向の伸びが1000%以上、かつ幅方向の強度が1N/mm2以下である結束テープである。
別の側面では、本発明は、前記結束テープを用いて、複数のケーブルを結束することを特徴とするケーブルの結束方法である。
また別の側面では、本発明は、複数のケーブルが前記結束テープにより結束され、当該ケーブルの端部にコネクタを有するケーブルアセンブリである。
本発明の結束テープは、柔軟性に優れることから、作業性に優れる。また、本発明の結束テープは、自己癒着性を有する。従って、本発明の結束テープをケーブルの結束に使用すると、テープの巻き直し作業が容易になる。また、本発明の結束テープは仮止め目的にも使用できる。本発明の結束テープで結束したケーブルは、端部にコネクタを設けてケーブルアセンブリとし、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、その他医療用器具等の配線材に用いることができる。
本発明は、未焼成のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を用いた結束テープであって、前記多孔質膜の気孔率が、60%以上80%以下であり、前記結束テープの長手方向の伸びが200%以下、かつ長手方向の強度が20N/mm2以上50N/mm2以下であり、前記結束テープの幅方向の伸びが1000%以上、かつ幅方向の強度が1N/mm2以下である結束テープである。
本発明者等の詳細な検討により、PTFEの成形体を融点以下の温度で一軸方向に延伸して作製したPTFE多孔質膜シートより得たテープが、柔軟性に優れ、かつ自己癒着性を有し、その結果、ケーブル結束用途に用いた場合に、巻き直し作業が容易で仮止め目的にも使用できることを見出した。そして、当該PTFE多孔質膜を用いた自己癒着性を有するテープが、PTFE多孔質膜の気孔率、テープの長手方向および幅方向の伸びおよび強度によって規定できることを見出した。
本発明の結束テープは、未焼成のPTFE多孔質膜を基材とする。焼成したPTFE多孔質膜を基材とすると、十分な自己癒着性が得られない。
PTFE多孔質膜の気孔率は、60%以上80%以下である。気孔率が低すぎると、未焼成のPTFE多孔質膜であっても、十分な自己癒着性が得られず、柔軟性も低下する。気孔率が高すぎると、テープの強度が低下し、圧力による厚さ変化も大きくなる。気孔率は、好ましくは、65%以上75%以下である。なお、気孔率は、例えば、PTFE多孔質膜のかさ密度と真密度を用いて、式:{1−(かさ密度/真密度)}×100(%)から求めることができる。
本発明の結束テープは、長手方向の伸びが200%以下、かつ長手方向の強度が20N/mm2以上50N/mm2以下であり、(長手方向に直交する)幅方向の伸びが1000%以上、かつ幅方向の強度が1N/mm2以下である。これらの特性は、例えば後述のPTFEファインパウダーの成形体の一軸延伸によって得られるPTFE多孔質膜を用いた結束テープに特徴的なものである。伸びおよび強度がこれらの範囲を外れると、十分な自己癒着性を得ることができなくなる。長手方向の伸びとして好ましくは、50%以上150%以下であり、長手方向の強度として好ましくは、30N/mm2以上40N/mm2以下である。幅方向の伸びとして好ましくは、2000%以上であり、幅方向の強度として好ましくは、0.5N/mm2以上1N/mm2以下である。なお、強度および伸びは、引張り試験により求められるものである。
PTFE多孔質膜の厚さとしては、40μm以上80μm以下が好ましく、50μm以上70μm以下がより好ましい。厚さが小さすぎると、結束テープとしての強度が不十分となるおそれがあり、厚さが大きすぎると、ケーブルを含めた巻き径が大きくなり、使用時にヒンジ部において摩耗するおそれがある。
本発明の結束テープは、自己癒着性を有するため、粘着剤層を必要としない。従って、本発明の結束テープは、粘着剤層を有さず、PTFE多孔質膜の単層で結束テープとして使用することができる。
次に、本発明の結束テープの製造方法について説明する。
まず、PTFEファインパウダーに液状潤滑剤を加えたペースト状の混和物を予備成形する。PTFEファンパウダーは、ペースト押出しの容易さから、PTFE原料として好適である。液状潤滑剤は、PTFEファインパウダーの表面を濡らすことができ、抽出や加熱により除去できるものであれば特に制限されず、例えば、流動パラフィン、ナフサ、ホワイトオイルなどの炭化水素を使用することができる。液状潤滑剤の添加量は、PTFEファインパウダー100重量部に対して5〜50重量部程度が適当である。上記予備成形は、液状潤滑剤が絞り出されない程度の圧力で行う。
次に、この予備成形体を、好ましくはペースト押出しして、成形体とする。成形体の形状は、延伸できる形状であれば特に制限されず、例えば、テープ、シート、チューブなどであってよい。成形体の寸法は、後述の延伸によって、PTFE多孔質膜が上記の厚みとなるような寸法とするのがよい。また、成形体とした段階で、常法により適宜液状潤滑剤を除去するとよい。
次に、この成形体を一軸延伸する。この延伸はPTFEの融点以下の温度で行うが、延伸温度は、通常、240〜300℃、好ましくは270〜290℃の範囲である。この温度範囲未満の温度で延伸を行うと、高倍率に延伸することが困難となり、破断が起こったり、幅方向や長手方向に延伸ムラが発生し、均一に延伸を行えなくなるおそれがある。一方、この温度範囲を超える温度で延伸を行うと、融点に近くなることでPTFE膜の構造が変化し、自己癒着性が低下するおそれがある。延伸倍率としては、通常5〜10倍であり、好ましくは6〜8倍である。このような高倍率で延伸することにより、長手方向の強度および気孔率を、本発明が規定するレベルにまで高めることができる。一軸延伸は、縦延伸で行うのが容易でよい。
上記延伸によって、PTFE多孔質膜のシートが得られ、このシートを、延伸方向が長手方向になるように所望の幅に裁断することによって、本発明の結束テープを得ることができる。
続いて、本発明の結束テープの使用方法(本発明の結束方法)について説明する。本発明の結束テープは、複数のケーブルの結束に最適である。本発明の結束テープは、柔軟性に優れ、自己癒着性を有するため、本発明の結束テープを用いて、複数のケーブルを結束する際には、テープを容易に剥離させることができるので、巻き直しが容易であり、仮止めテープとして使用することもできる。また、本発明の結束テープを用いれば、テープの結束作業時のみならず、結束したテープを用いた作業に関しても作業性が良好である。
本発明の結束テープの使用に好適なケーブルは、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、その他医療用器具に用いられているケーブルであり、特に、極細または超極細同軸ケーブルである。
具体的な結束の方法としては、公知方法に従えばよい。複数のケーブルからなるケーブルの束に、本発明の結束テープを、当該テープの一部が重なり合うようにしながららせん状に巻きつけて結束し、ケーブル表面の保護にもなるような結束形態にしてもよい。また、ケーブルの束の両端部にのみ本発明の結束テープを、一周を超えて巻きつけて結束してもよい。さらに、本発明の結束テープで、ケーブルの両端部を空けてケーブルの束を一時的に結束し(仮止め目的)、当該両端部に粘着テープを巻きつけて結束してもよい。
また、複数のケーブル(特に、極細または超極細同軸ケーブル)を本発明の結束テープで結束し、当該ケーブルの端部(特に、両端部)にコネクタを取り付けて、ケーブルアセンブリ(本発明のケーブルアセンブリ)とすることもできる。当該ケーブルアセンブリは、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、その他医療用器具等の配線材(特にヒンジ部の配線材)として使用可能なものであり、これらの用途で公知のケーブルアセンブリにおいて(例えば、特許文献1〜3参照)、結束テープを本発明の結束テープに置き換えて構成すればよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。
まず、結束テープの特性評価方法について説明する。
(気孔率)
PTFE多孔質膜の気孔率は、PTFE多孔質膜の体積および重量からかさ密度を求め、PTFE樹脂の真密度を2.2g/cm3として、{1−(かさ密度/真密度)}×100(%)の式から求めた。
(伸びおよび強度)
テープ幅に裁断する前のシートについて、幅20mm×長さ100mmの試験片を作製した。このとき、試験片は、シートの幅方向(テープの幅方向となる)が長さ100mmとなるもの、およびシートの長手方向(テープの長さ方向となる)が長さ100mmとなるものの2種作製した。サンプルに間隔が10mmの標線を引いた。チャック間距離を20mmとし、試験速度200mm/分で試験片が破断するまで引張り試験機にて引張り荷重をかけた。伸び(L)および強度(T)は次式から算出した。
伸びL(%):L=(L2−L1)/L1×100
L1:試験片の試験前における標線間隔(mm)
L2:試験片の破断時における標線間隔(mm)
強度T(N/mm2):T=P/A
P:試験片の破断時の荷重(N)
T:試験片の試験前における断面積(mm2
(自己癒着力)
幅25mm×長さ100mmの短冊状に切断したPTFE多孔質膜の2枚の試料を、幅25mm×長さ25mmだけ重ね合わせ、2kgのロールを用いて圧着した。一方の端部を固定し、もう一方の端部に重りを吊るし、プッシュ・プルゲージを介して引張り保持力を測定した。
[実施例1]
PTFEファインパウダーを用い、ペースト押出しにより厚さ0.15mmのシートを作製した。このシートを、280℃で6倍に縦延伸してPTFE多孔質膜のシートを得た。このシートを幅25mmに裁断して、結束テープを得た。
[比較例1]
延伸温度を360℃に設定した以外は実施例1と同じ方法で、結束テープを得た。
[比較例2]
延伸倍率を3倍に設定した以外は実施例1と同じ方法で、結束テープを得た。
実施例1および比較例1〜2の結束テープについて、上述の方法で特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005072475
表1より、延伸温度をPTFEの融点以上にした比較例1では、幅方向の最大強度が本発明の範囲を外れており、自己癒着力が弱くなっている。また、延伸倍率の小さい比較例2では、長手方向の伸びが本発明の範囲を外れており、自己癒着力が弱くなっている。それに対し、本発明の範囲に入る実施例1は、自己癒着力の値が、比較例よりも高くなっていることがわかる。この値は、結束テープとして、十分に実用的な値である。
本発明の結束テープは、ケーブル(特に、極細または超極細同軸ケーブル)の結束または仮固定に用いることができる。本発明の結束テープで結束したケーブルは、端部にコネクタを設けてケーブルアセンブリとし、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、その他医療用器具等の配線(特にヒンジ部の配線)に用いることができる。

Claims (5)

  1. 未焼成のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を用いた結束テープであって、
    前記多孔質膜の気孔率が、60%以上80%以下であり、
    前記結束テープの長手方向の伸びが200%以下、かつ長手方向の強度が20N/mm2以上50N/mm2以下であり、
    前記結束テープの幅方向の伸びが1000%以上、かつ幅方向の強度が1N/mm2以下であり、
    粘着剤層を有しない結束テープ。
  2. 未焼成のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を用いた結束テープであって、
    前記多孔質膜の気孔率が、60%以上80%以下であり、
    前記結束テープの長手方向の伸びが200%以下、かつ長手方向の強度が20N/mm 2 以上50N/mm 2 以下であり、
    前記結束テープの幅方向の伸びが1000%以上、かつ幅方向の強度が1N/mm 2 以下であり、
    前記多孔質膜の単層からなる結束テープ
  3. 前記多孔質膜の厚さが40μm以上80μm以下である請求項1または2に記載の結束テープ。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の結束テープを用いて、複数のケーブルを結束することを特徴とするケーブルの結束方法。
  5. 複数のケーブルが請求項1〜のいずれか1項に記載の結束テープにより結束され、当該ケーブルの端部にコネクタを有するケーブルアセンブリ。
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