JP5072305B2 - 耐熱性合金部材及び燃料電池用集電部材並びに燃料電池セルスタック、燃料電池 - Google Patents

耐熱性合金部材及び燃料電池用集電部材並びに燃料電池セルスタック、燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、Crを含有する合金の表面をCr拡散防止層により被覆してなる耐熱性合金部材及び燃料電池用集電部材並びに燃料電池セルスタック、燃料電池に関する。
次世代エネルギーとして、近年、例えば、燃料電池セルのスタックを収納容器に収容した燃料電池が種々提案されている。固体電解質形燃料電池は、複数の燃料電池セルを電気的に接続した燃料電池セルスタックを収納容器に収容して構成され、燃料電池セルの燃料極側に燃料ガス(水素)を流し、空気極(酸素極ともいう)側に空気(酸素)を流して600〜900℃の高温で発電する。燃料電池セル間を電気的に接続するためには、従来からフェルト状や板状の燃料電池用集電部材(以下、特に断らない限り集電部材ともいう)が用いられている。
このような集電部材としては導電率の高い合金が採用され、さらに高温下で使用されることから、耐熱性合金が望ましく採用され、このような導電率の高い耐熱性合金として、Crを10〜30質量%含有する合金が一般的に用いられる。しかしながら、Crを含有する合金からなる集電部材を燃料電池セル間に介装し、複数の燃料電池セルを電気的に接続した場合、燃料電池を長期間発電させると、集電部材中のCrが集電部材の外部に拡散してしまい、拡散したCrは空気極と固体電解質との界面に達し、活性を劣化させてしまう。この現象は、いわゆるCr被毒といわれ、燃料電池セルの発電能力の低下をまねくこととなる。
このようなCr被毒を防止するため、従来、Crを含有する合金の表面をMn、Fe、Co、Niで被覆することが行われている(特許文献1参照)。
特表平11−501764号公報
しかしながら、Crの拡散を防止するため、上記特許文献1に記載されているようにCr含有合金の表面をMn、Fe、Co、Niで被覆して集電部材を構成した場合、Cr含有合金中のCrが外部に拡散することをある程度抑制することができるものの、これらの被覆層はCrの外部への拡散を防止すべく、緻密層として形成される。
従って、このような集電部材を燃料電池セル間に配置し、集電部材と燃料電池セルとを導電性接着材により接合した場合、Crを拡散するための緻密な被覆層と導電性接着材との熱膨張差が大きい場合、この熱膨張差によって生じる応力により、集電部材と燃料電池セルとが剥離し、燃料電池セル間の電気的接続ができなくなるおそれがあった。
それゆえ、本発明は、Cr拡散防止効果を有し、かつCr拡散防止層と熱膨張率が大きく異なる部材を耐熱性合金部材に接合する場合でも、剥離を有効に防止することができる耐熱性合金部材及び燃料電池用集電部材並びに燃料電池セルスタック、燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の耐熱性合金部材は、Crを含有する合金の表面をZn系スピネルからなる緻密なCr拡散防止層で被覆し、該Cr拡散防止層の表面に、前記Cr拡散防止層よりも多孔質でZnを含有する酸化物からなる多孔質層を設けてなることを特徴とする。
本発明の耐熱性合金部材では、Crを含有する合金の表面を、酸化物からなる緻密なCr拡散防止層により覆うことで、Crの拡散を防止することができるとともに、Cr拡散防止層の表面には、酸化物からなる多孔質層が形成されているため、多孔質層に熱膨張率が大きく異なる導電性セラミック等の導電性接着材などを接合しても、多孔質層で熱膨張差によって生じる応力を緩和できる。
即ち、Cr拡散防止層と熱膨張率が大きく異なる部材を、耐熱性合金部材のCr拡散防止層表面に直接接合する場合には、昇降温等の温度履歴により熱膨張率差に基づく剥離が生じる場合がある。本発明においては、酸化物からなる緻密なCr拡散防止層の表面に、酸化物からなる多孔質層を形成することで、その上に熱膨張率が大きく異なる導電性セラミック等の導電性接着材などを接合しても、多孔質層で熱膨張差によって生じる応力を緩和でき、Cr拡散防止層と熱膨張率が大きく異なる部材を耐熱性合金部材の表面に接合する場合でも、剥離を有効に防止することができる。
さらに、耐熱性合金部材の表面には多孔質層が形成されているため、例えば導電性セラミック等の導電性接着材との接触面積が増加し、多孔質層と導電性セラミック等の導電性接着材の接合強度を向上できる。
また、本発明の耐熱性合金部材は、前記Cr拡散防止層はZn系スピネルからなるため、合金からのCrの拡散が抑制され、いわゆるCr被毒を抑制できる。その理由は明確ではないが、熱力学的な安定性により合金の表面層にCrが固溶しにくいためと考えられる。
さらに、本発明の耐熱性合金部材は、前記多孔質層はZnを含有する酸化物からなるため、Znを含有するCr拡散防止層と多孔質層とが化学的に結合し、接合がより強固となる。
本発明の燃料電池用集電部材は上記耐熱性合金部材が燃料電池の集電部材として用いられることを特徴とする。
本発明の燃料電池セルスタックは、複数の燃料電池セルの間に、上記燃料電池用集電部材をそれぞれ介装し、前記複数の燃料電池セルを電気的に接続してなることを特徴とする。このような燃料電池セルスタックでは、導電性を有する燃料電池用集電部材により、複数の燃料電池セルを電気的に接続することができる。
燃料電池用集電部材と燃料電池セルは、例えば後述のように導電性セラミック等の導電性接着材を介して接合される。しかしながら、酸化物からなる緻密なCr拡散防止層は燃料電池セルに用いられるLa、Fe、Mn等を含む複合ペロブスカイト構造からなる空気極材料や導電性接着材と比較して原子間結合力が大きく、熱膨張率が小さいものが多いため、燃料電池用集電部材を構成する合金の表面を被覆した緻密なCr拡散防止層と、導電性セラミック等の導電性接着材との熱膨張差が大きく、昇降温等の温度履歴により燃料電池用集電部材と燃料電池セルとの間で剥離が生じる場合があるが、本発明においては、酸化物からなる緻密なCr拡散防止層の表面に、酸化物からなる多孔質層を形成することで、その上に熱膨張の大きな導電性セラミック等の導電性接着材などを接合しても多孔質層で熱膨張差によって生じる応力を緩和でき、燃料電池用集電部材と燃料電池セルとの剥離をより有効に防止することができる。
また、本発明の燃料電池セルスタックは、前記燃料電池セルと前記燃料電池用集電部材とが導電性接着材により接合されていることを特徴とする。このような燃料電池セルスタックでは、燃料電池セルと燃料電池用集電部材との電気的導通をさらに向上することができる。
また、本発明の燃料電池セルスタックは、前記燃料電池用集電部材の前記多孔質層は、前記燃料電池セルと接合される部分の前記Cr拡散防止層の表面にのみ設けられていることを特徴とする。このような燃料電池セルスタックでは、燃料電池セルと接合されるCr拡散防止層の表面にのみ多孔質層を設け、燃料電池セルと接合されない領域はCr拡散防止層の表面に多孔質層を形成しないため、例えば、板状の燃料電池用集電部材の片側面だけに多孔質層を形成すればよいこととなる。それゆえ、燃料電池用集電部材の製造工程を一部省略でき、本発明の燃料電池集電部材の製造が容易となるとともに、接着材料を低減できることから、製造にかかるコストを低減することができる。多孔質層を形成しないCr拡散防止層の表面には、他の層、例えば、Cr拡散防止機能を有する絶縁材料層を形成することができる。
さらに、本発明の燃料電池セルスタックは、前記多孔質層と前記導電性接着材との間に、前記多孔質層を構成する成分と前記導電性接着材を構成する成分とが混合された中間層が設けられていることを特徴とする。前記中間層は、Znを含有する酸化物と、La及びFe、又はLa及びMnを含有するペロブスカイト型複合酸化物とを含有することを特徴とする。このような燃料電池セルスタックは、例えば、多孔質層の表面に、多孔質層を構成する成分と導電性接着材を構成する成分とを含有するスラリーを塗布し、熱処理することにより、中間層が形成される。中間層は多孔質層を構成する成分と導電性接着材を構成する成分を含有するので、熱膨張率が多孔質層と導電性接着材との間の値となり、多孔質層と導電性接着材との熱膨張差が低減され、これにより、多孔質層と導電性接着材との接続信頼性を向上できる。なお、多孔質層と導電性接着材とを直接接合しても、十分に接続信頼性が確保される場合は、中間層の形成は省略してもかまわない。
本発明の燃料電池は、上記燃料電池セルスタックを収納容器に収納してなることを特徴とする。このような燃料電池では、燃料電池用集電部材と燃料電池セルとを強固に接続でき、これらの間の電気的接続信頼性を向上でき、電圧低下を低減し、長期信頼性を向上できる。
本発明の耐熱性合金部材は、Crを含有する合金の表面を酸化物からなる緻密なCr拡散防止層で被覆し、該Cr拡散防止層の表面に、酸化物からなる多孔質層を設けていることから、Crの拡散を防止できるとともに、熱膨張率が大きく異なる導電性セラミック等の導電性接着材などを耐熱性合金部材に接合しても、多孔質層で熱膨張差によって生じる応力を緩和でき、Cr拡散防止層と熱膨張率が大きく異なる部材を耐熱性合金部材の表面に接合する場合でも、剥離を有効に防止することができる。
図1は本発明の燃料電池用集電部材の一形態を示す斜視図であり、図2及び図3は図1に示す燃料電池用集電部材20のCr拡散防止層202a、多孔質層202bおよび中間層202cの被覆状態を示す断面図である。図2は図1に示すA−A線断面図であり、図3は図1に示すB−B線断面図である。燃料電池用集電部材20は、図1に示すように、例えば板状の耐熱性合金を櫛刃状に加工し、隣り合う刃を交互に反対側に折り曲げて構成される。
この集電部材20は、Crを含有する耐熱性合金(以下、集電基材という。)201の表面に、酸化物(例えばセラミックス等、以下同じ)からなる緻密なCr拡散防止層202aが被覆されており、さらにその表面に、例えば、導電性を有するセラミックス等からなる導電性の多孔質層202bが形成されている。ここで、本発明においては、Cr拡散防止層202aは、集電基材201の全周面を隙間なく被覆している。なお、本発明の燃料電池用集電部材20は、図1に示すような形状のものに限定されるものではなく、例えば、円筒状、メッシュ状のものであってもよい。
ここで集電基材201の材料としては、導電性および耐熱性の高いCrを10〜30質量%含有する合金、例えばFe−Cr系合金、Ni−Cr系合金等を用いることができる。
そして、この集電基材201の表面に、酸化物からなる緻密なCr拡散防止層202aを被覆し、さらにCr拡散防止層202aの表面に多孔質層202b、更に中間層202cを形成して、本発明の燃料電池用集電部材20が構成されている。多孔質層202bはCr拡散防止層202aの全周面に形成され、多孔質層202bの全周面に中間層202が形成されている。
Cr拡散防止層202aはZn系スピネルとされている。ここで、緻密なCr拡散防止層202aは、Crの拡散を防止する点から、その緻密度が、相対密度が93%以上、特には95%以上であるのが好ましい。
また、多孔質層202bは、Cr拡散防止層202aよりも多孔質であれば良いが、特には、断面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を画像解析して得られる気孔率が5〜60%となるよう設定するのが好ましく、さらには10〜40%とするのが好ましい。なお、画像解析には、Scion Image Corporation 製のScion Image for Windows(Windowsは登録商標)等の画像解析ソフトを用いる。尚、集電部材20の導電性を高めるためには、多孔質層202bは気孔率が小さい方が望ましい。
中間層202cは、多孔質層202bと導電性接着材25との間に形成されるように、多孔質層202bの表面に、多孔質層202bを構成する成分と導電性接着材25を構成する成分とを混合して形成されている。このような中間層202cは、多孔質層202bの表面に、多孔質層202bを構成する成分と導電性接着材25を構成する成分を含有するスラリーを塗布し、熱処理することにより、中間層202cが形成される。中間層202cは多孔質層202bを構成する成分と導電性接着材25を構成する成分を含有するので、熱膨張率が多孔質層202bと導電性接着材25との間の値となり、多孔質層202bと導電性接着材25との熱膨張差が低減され、これにより、多孔質層202bと導電性接着材25との接続信頼性を向上できる。特には、中間層202cは、Znを含有する酸化物と、La及びFe、又はLa及びMnを含有するペロブスカイト型複合酸化物とを含有して構成されている。このような中間層202cは、例えばZnを含有する酸化物と、Laと、Fe又はMnを含有するペロブスカイト型複合酸化物とを含有するスラリーを、多孔質層202bの表面に塗布し、熱処理をすることにより形成することができ、このような中間層202cにより、多孔質層202bと導電性接着材25との熱膨張差をさらに低減でき、導電性を向上できる。
なお、多孔質層202bと導電性接着材25とを直接接合しても、十分に接続信頼性が確保される場合は、中間層202cの形成は省略してもかまわない。
Cr拡散防止層202aは、集電基材201に含有されるCrが拡散することを有効に防止するため、集電基材201の全周面を覆うように緻密な層として形成される。ここで、Cr拡散防止層202aとしては、例えば、スピネル構造、コランダム構造、ウルツ鉱構造および岩塩構造のうち少なくとも1種、またはこれらと類似の構造を持つZnを含有する金属酸化物を用いることにより、緻密なCr拡散防止層202aを形成することができる。さらに、Cr拡散防止層202aは、緻密な層として形成されるため、集電基材201からのCr拡散を有効に防止でき、燃料電池セルの発電能力の低下を有効に防止することができる。
ここで、集電部材20は、後述する図7に示すように、導電性セラミック等の導電性接着材25を介して燃料電池セル1と接合される。しかしながら、上述したように集電基材201の表面には、緻密な酸化物からなるCr拡散防止層202aが形成されている。緻密な酸化物からなるCr拡散防止層202aに導電性セラミック等の導電性接着材25を接合した場合は、Cr拡散防止層202aと導電性セラミック等の導電性接着材25との熱膨張率差が大きく、昇降温などの温度履歴等により熱膨張率差に起因する応力が発生し、集電部材20と燃料電池セル1とが剥離する場合があった。
本発明においては、酸化物からなるCr拡散防止層202aの表面に、導電性の多孔質層202bを形成したことから、Cr拡散防止層202aと燃料電池セルとの接合に用いる多孔質の導電性セラミック等の導電性接着材25との熱膨張差に起因する応力を緩和することができ、多孔質層202bと導電性セラミック等の導電性接着材25とが強固に接合される。
したがって、本発明の集電部材20によれば、集電部材20と燃料電池セル1とを強固に接合でき、集電部材20と燃料電池セルとの剥離をより有効に防止することができる。
また多孔質層202bの表面に多孔質層202bと導電性接着材25の成分からなる中間層202cを設けることにより、多孔質層202bと導電性セラミック等の導電性接着材25の導電性が高くなり、燃料電池セルと集電部材20との導電性を高めることができると考えられる。
図4および図5は、本発明の燃料電池用集電部材20の他の実施形態を示すもので、図4および図5においては、燃料電池セルと接合されるCr拡散防止層202aの表面にのみ多孔質層202b、中間層202cが設けられている。
燃料電池用集電部材20に含有されるCrの拡散は確実に防止する必要があるため、Cr拡散防止層202aは、集電基材201の全面を覆うように形成する必要がある。しかしながら、多孔質層202b、中間層202cは、燃料電池セルとの接合を強固にするものであるため、燃料電池セルと接合されるCr拡散防止層202aの表面に設けられていればよく、その場合にあっては、本発明の燃料電池用集電部材20の製造工程の一部を省略することができるとともに、燃料電池セルと接合されない面には、多孔質層202bを形成しなくてよいことから、コスト低減にもつながる。
なお、本実施形態においては、燃料電池セルと接合されるCr拡散防止層202aの表面にのみ多孔質層202bを設けることとしたが、例えば、集電部材20が図1に示すような櫛刃状である場合に、燃料電池セルに接合される集電部材20の片側面(接合面)にのみ多孔質層202b、中間層202cを形成してもよい。この場合には、燃料電池セルと一部接合されない部分にも多孔質層202b、中間層202cが形成されていることになる。これにより、集電部材20の片側面が多孔質層202b、中間層202cを有することから、複雑なマスキング工程をすることなく、多孔質層202b、中間層202cの製造ができるため、多孔質層202b並びに中間層202cの製造工程を簡易化することができる。さらには、燃料電池セルに接合される集電部材20の片側面全体に多孔質層202b、中間層202cが形成されていることから、燃料電池セルとの接合時に、位置ずれ等を生じても、燃料電池セルと集電部材20とを強固に接合できる。
したがって、集電部材20と燃料電池セルとを強固に接合できることから、集電部材20と燃料電池セルとの剥離をより有効に防止することができる。
また、Cr拡散防止層202aは、Zn系スピネルからなる。
上述したように、Cr拡散防止層202aは、集電基材201に含有されるCrが拡散することを有効に防止するため、Zn系スピネルからなるもので、例えばZn−Mn系スピネルからなるのがより好ましい。Zn−Mn系スピネルにおいては、Fe、Cr等の元素を含有してもよい。具体的には、Zn−Mn系スピネル、例えば、(Zn,Fe)Mn2O4からなる、ZnとMnを含む金属酸化物は、Crを固溶しにくいために、Crの拡散を抑制する効果を有している。
なお、本発明においては、例えば集電基材201にMnが含有されている場合には、酸化物からなるCr拡散防止層202aを設ける際、Cr拡散防止層202a、多孔質層202bとして、例えばZnを含有するがMnを含有しない酸化物も用いることができる。この場合において、多孔質層はZnOを含有するものであり、純粋なZnOは絶縁体であるが、Zn1+δOは陽イオン過剰型のn型半導体となり、価数の高い不純物元素を添加することによっても、n型の不純物半導体となる。ここで、ZnO中のZnは、+2価のイオンとなっているため、+3価以上のイオンとなる金属元素を固溶させることによって導電性が付与される。+3価以上のイオンとなる金属元素としては、特にAl、Feが望ましい。Al、Feを固溶させた酸化亜鉛からなる導電層は、大気中、発電温度近傍550℃〜900℃で、1S・cm−1以上の導電率を有することが好ましい。
Cr拡散防止層202aは5μm以下、特には2μm以下であれば、ある程度絶縁性であっても集電部材20としての導電性に影響を与えることがない。また、多孔質層202bは、集電基材201の耐用時間にもよるが、Cr拡散防止層202aとあわせて、10〜100μmが好ましく、10〜50μmとなるように形成するのが好ましい。厚さを10μm以上とすることにより、エアーの巻き込みなどによる空隙発生を防止できる。また、厚さを50μm以下とすることにより、集電基材201との熱膨張差による内部応力を最小限に抑制できると共に、導電性の低下を抑制し、形成を容易にすることができる。
本発明のCr拡散防止層202aは、例えば、スプレーにて形成する場合は、ZnまたはZnOを含有するスラリーを、Mnを含有する集電基材201にスプレーし、熱処理することにより形成することができる。また、浸漬塗布法(ディッピング)による場合は、ZnまたはZnOを含有するペースト中にMnを含有する集電基材201を浸漬し、熱処理により、或いは発電時の加熱により形成することができる。
ここで、本発明のCr拡散防止層202aを、スプレーにて作製する場合は、以下のようにして作製することができる。
即ち、例えば、ZnまたはZnOと、FeまたはAlと、溶剤、結合バインダー、分散剤等を所定の割合で混合し、スラリーを作製する。この際、溶剤は、例えばトルエン等の即乾性の有機溶剤を用いるのが好ましく、結合バインダーは、500℃以下の熱処理温度で、熱分解する必要があることから、例えば、アクリル系樹脂を用いるのが好ましい。
続いて、作製したスラリーをスプレーにより、Mn、Crを含有する集電基材の表面に噴霧する。ここで用いるスプレーノズルとしては、集電基材201の表面に微細な液滴が形成できるものであれば特に限定はないが、例えば、圧縮空気と混合して噴霧する2流体式のノズルや、2MPa以上の高圧を利用した1流体式のノズルが好ましい。
そして、集電基材201の表面に均一に塗膜を形成するため、集電基材201およびノズルを適度に搖動させ、所定の時間スプレーすることにより、スラリーの塗布を完了する。この際、スプレーに充填されたスラリーを集電基材201に噴霧するが、集電基材201の表面にムラ無く均一な塗布膜を形成するため、出来るだけ、スプレーより噴霧される液滴が、微細な液滴となるよう、スプレー圧力を高圧として噴霧することが好ましい。この方法により、Cr拡散防止層202aとなる層が形成される。
このようにして形成されるCr拡散防止層202aは、集電基材201中に含有されるMnと、Cr拡散防止層202aを作製するためのスラリー中に含まれるZnとが反応して、Zn−Mn系スピネルとして形成されるため、集電基材201に含有されるCrの拡散を有効に防止することができる。
また、あわせて、Cr拡散防止層202aの表面にZnを含有する多孔質層202bを設けることができる。
多孔質層202bを設けるにあたっては、集電基材201に塗布するZnの量を、集電基材201に含有されるMnの量よりも多くなるように調整して、集電基材201に塗布することにより、Zn−Mn系スピネルからなるCr拡散防止層202aの表面に、Znを含有する多孔質層202bを設けることができる。
したがって、例えば、Cr拡散防止層202aをスプレー法にて作製する場合は、そのスプレー量を増加する、またはスラリーに含有するZnの量を増加することにより、Cr拡散防止層202aを作製すると同時に多孔質層202bを形成することができる。
なお、多孔質層202bの導電性をより高めるために、Cr拡散防止層202aを作製するためのスラリー中にFeやAlといった導電性を有する成分を含有させることもでき、多くの場合その方がより好ましい。
多孔質層202bの気孔率の調整は、スプレーより噴霧される液滴の大きさにより行う。すなわち、液滴が比較的大きくなるようスプレー圧力を調節して噴霧することが好ましい。この方法により、多孔質層202bの気孔率が調整される。
なお、図4および図5に示したように、多孔質層202bを燃料電池セル1と接合されるCr拡散防止層の表面に設ける場合にあっては、例えば、Cr拡散防止層202aの燃料電池セル1と接合する部分以外に、板状の部材等を用いてマスキングする。その後、所定の時間スプレーにて噴霧することにより、燃料電池セル1と接合されるCr拡散防止層の表面にのみ、多孔質層202bを形成することができる。なお、この場合、マスキングに用いた板状の部材等に付着したスラリーを回収して、再使用することができる。この場合においては、スラリーの使用量を減量することができ、コスト低減を図ることができる。
そして、上記のように塗布した後、例えば、温度100℃で1時間溶剤を乾燥し、温度800℃〜1100℃の温度で2時間、炉内で熱処理を行うことで、集電基材201の表面に、Zn−Mn系スピネルからなるCr拡散防止層202aを形成し、その表面に多孔質層202bが形成される。
一方、Cr拡散防止層202aを、浸漬塗布法(ディッピング)にて作製する場合には、以下の方法により作製することができる。
上記したCr拡散防止層202aをスプレー法にて作製した場合と同様の成分を含むスラリー中に集電基材201を浸漬し、それを引き上げた後、乾燥固化させ、集電基材表面にCr拡散防止層202aとなる塗膜を形成する。
この場合において、多孔質層202bを形成するにあたっては、前記スラリーに、例えば球状のアクリル樹脂等の造孔剤を添加し、混合したスラリー中に、Cr、Mnを含有する集電基材201を浸漬し、それを引き上げた後、乾燥固化させる。
この後、例えば、温度800℃〜1100℃の温度で2時間、炉内で熱処理を行うことで、集電基材201の表面に、Zn−Mn系スピネルからなるCr拡散防止層202aおよびその表面に多孔質層202bが形成される。
これらの作製方法によれば、Crを含有する合金の表面に酸化物からなる緻密なCr拡散防止層202aが被覆され、Cr拡散防止層202aの表面に多孔質層202bが形成された燃料電池用集電部材20を作製することができる。
Mnを含有しない集電基材201を用いる場合は、Cr拡散防止層202aのスラリーとして、上述したスラリーにMnを含有するものを用いればよい。なお、その際、Zn−Mn系スピネルを効率よく作製するために、ZnとMnの量が同じモル数となるようにスラリーを作製することが好ましい。
この場合において、ZnとMnの量を同じモル数となるようにしてスラリーを作製していることから、多孔質層202bが形成されないこととなる。
したがって、この場合において多孔質層202bを設けるには、例えば、集電基材201の表面にCr拡散防止層202aを形成し、そのCr拡散防止層202aの表面上に、Znを含むスラリーをスプレー法や浸漬塗布法により塗布し、熱処理することで、多孔質層202bを形成する。
図6は燃料電池セルの斜視図であり、図7は燃料電池セルを集電部材により電気的に接続してなるセルスタックを示す断面図である。本発明によるセルスタックは、図7に示すように、燃料電池用集電部材20が、図6に示す中空平板形の燃料電池セル1間に配置されて複数の燃料電池セル1を電気的に接続する構成を有する。
燃料電池セル1は、図6に示すように、平板状の支持基板10と、平板状の支持基板10の周囲に設けられた多孔質の燃料極層2、緻密な固体電解質層3、多孔質の酸素極層4、緻密なインターコネクタ5、及び酸素極材料層14とを備え、支持基板10は、さらに内部に、燃料電池セル1の積層方向に交わる方向(セル長さ方向)に伸びた複数の燃料ガス通路16を有するように構成される。
支持基板10は、例えば、多孔質かつ導電性の材料からなり、図6に示すように横断面が平坦部と平坦部の両端の弧状部とからなっている。平坦部の対向する面の一方とその両端の弧状部を覆うように多孔質の燃料極層2が設けられており、この燃料極層2を覆うように、緻密質な固体電解質層3が積層されており、さらに、この固体電解質層3の上には、燃料極層2に対向するように、多孔質の導電性セラミックからなる酸素極層4が積層されている。また、支持基板10の電極層2、4が設けられた面に対向する面には、緻密なインターコネクタ5が形成されている。このインターコネクタ5の表面には、酸素極材料からなる酸素極材料層14が形成されている。ここで、酸素極材料は、例えばペロブスカイト構造のLaFeO系やLaMnO系等(例えば、La(Fe,Mn)O、(La,Sr)(Co,Fe)O等)の酸化物(導電性セラミックス)からなる。ただし、酸素極材料層14については、必ずしも形成する必要はない。図6に示すように、燃料極層2及び固体電解質層3は、インターコネクタ5の両サイドまで延び、支持基板10の表面が外部に露出しないように構成されている。
このような構造の燃料電池セル1は、燃料極層2の酸素極層4と対面している部分が燃料極として作動して発電する。即ち、酸素極層4の外側に空気等の酸素含有ガスを流し、且つ支持基板10内のガス通路16に燃料ガス(水素)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより、酸素極層4で下記の式(1)の電極反応が生じ、また燃料極層2の燃料極となる部分では例えば下記の式(2)の電極反応が生じることによって発電する。
酸素極: 1/2O+2e → O (固体電解質) (1)
燃料極: O (固体電解質)+ H → HO+2e (2)
かかる電極反応によって発生した電流は、支持基板10に取り付けられているインターコネクタ5を介して集電される。
このような複数の燃料電池セルの間には、図7に示すように、集電部材20が介装されて電気的に接続され、これによりセルスタックが構成されている。即ち、集電部材20が、一方の燃料電池セル1の酸素極層4に多孔質の導電性セラミック等の導電性接着材25により接合されると共に、隣設する他方の燃料電池セル1の酸素極材料層14に導電性接着材25により接合され、これにより、複数の燃料電池セル1が電気的に直列に接続され、セルスタックが構成されている。
セルスタックの製造は、燃料電池セル1と集電部材20を交互に積層することによって行われる。
初めに、導電性接着材25をスクリーン印刷法により燃料電池セル1の電極部(酸素極層4、酸素極材料層14)に塗布する。次に燃料電池セル1の電極部に燃料電池用集電部材20を載置し、さらにその上に次の燃料電池セル1を載置する。これを必要数繰り返して、燃料電池セル1と燃料電池用集電部材20の積層体を作製する。
次に、該積層体を900℃〜1100℃の温度に加熱して、導電性接着材25を燃料電池セル1の電極部と集電部材20に焼き付け、セルスタックを作製する。
なお、導電性接着材25としては、通常、酸素極材料、又は酸素極材料とCr拡散防止層202aの材料を含有する材料が用いられる。尚、酸素極材料層14を形成しない場合にはインターコネクタに接合される。
燃料電池用集電部材20表面のCr拡散防止層202cの表面には、多孔質層202bが形成されていることから、酸素極材料を含有する導電性接着材25が多孔質層202bの表面に接合され、また酸素極層4の凹凸に入り込んで接合される。したがって、導電性接着材25と多孔質層202b、酸素極層4が、アンカー効果により強固に接合されるため、集電部材20と燃料電池セル1とを強固に接合でき、集電部材20と燃料電池セル1との剥離をより有効に防止することができる。
ここで図6において、燃料電池セル1は中空平板型の燃料電池セル1を示したが、例えば円筒形等の燃料電池セルを用いることもできる。ただし、本発明においては、燃料電池セル1と燃料電池用集電部材20との剥離を防止するため、両者を面と面とで接合することが好ましい。なお、面と面とで接合するとは、燃料電池セル1と燃料電池用集電部材20との対向する面同士が、導電性接着材等により接合される状態を意味する。これにより、燃料電池セル1と燃料電池用集電部材20とが、十分な接合面積にて接合されることとなる。
したがって、燃料電池セル1としては、中空平板型の燃料電池セルを用いることが好ましい。これにより、燃料電池セル1と板状の燃料電池用集電部材20とを強固に接合することができ、これら両者の剥離を有効に防止することができる。
ここで、各部材の熱膨張率について説明すると、750℃において、燃料電池セルの酸素極材料として一般に用いられるLaFeO系の熱膨張率は15〜17×10−6/℃、LaMnO系は10〜11×10−6/℃であり、インターコネクタとして用いられるLaCrO系は14×10−6/℃程度であり、集電部材20については、集電基材201は11×10−6/℃程度、Zn−Mn系スピネルからなるCr拡散防止層202a、Cr拡散防止層202aの表層に形成されるZnO中にFe又はAlを含有する多孔質層202bは6〜8×10−6/℃である。
従って、燃料電池セル1と集電部材20を接合した場合には、その界面に熱膨張差に基づき多少の応力が発生するが、多孔質層202bが、応力を緩和することから、集電部材20と燃料電池セルの接合を強固にすることができ、これらの剥離を防止することができる。
また、燃料電池セルが集電部材20を介して接合されてなるセルスタックは、図示しないが燃料ガスが供給されるマニホールドに立設され、マニホールド内に供給された燃料ガスが燃料電池セル1のガス通路16内を通過していくことになる。
燃料電池は、上記のセルスタックを収納容器に収容し、この収納容器に、都市ガス等の燃料ガスを供給する燃料ガス導入管及び空気を供給するための空気導入管を配設することにより構成される。
初めに、平均粒径1.0μmのZnO粉末に平均粒径1.5μmのFe粉末をFe換算で2mol%、溶剤、結合バインダー、及び分散剤を、ボールミルで約24時間混練して、スラリーを作製した。
このようにして作製したスラリーを、スプレーノズルに供給し、ZnO等の粉末が凝集した5〜50μm程度の微細な液滴となるようスプレー圧力を調整し、Mnを含有する集電基材の表面に噴霧した。この際、Cr拡散防止層を形成すべく0.5MPaの圧力でスプレーした後、多孔質層を形成すべく0.1MPaの圧力でスプレーした。また、集電基材およびノズルを適度に搖動させ、所定の時間スプレーし、集電基材の表面に均一に塗膜を形成した。
スラリーを塗布した後、100℃で1時間乾燥し、続いて温度1000℃で2時間、炉内で焼付を行い、Cr拡散防止層202aおよび多孔質層202bを形成した。集電部材の断面SEM(走査型電子顕微鏡)写真を図8に示す。なお、右下に示すバーは10μmを示しており、該写真は(a)、(b)ともに倍率を1000倍として撮影したものである。
(a)は、上記方法にて作製した集電部材の断面写真であり、集電基材201の表面に、酸化物からなる緻密なCr拡散防止層202aが被覆されており、その表面に多孔質層202bが形成されている。多孔質層202bの気孔率を、図9に示すように、断面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を画像解析して算出したところ5%であった。
図8(b)は、上記方法にて作製した集電部材の表面に、(La,Sr)(Co,Fe)Oからなる導電性接着材25を印刷し、温度1000℃で2時間、炉内で焼付を行った断面写真である。この断面写真より、導電性接着材25と多孔質層202bが、アンカー効果により強固に接合できることが明らかである。
多孔質層202bはポーラスとなっていることから、集電部材25と導電性セラミックからなる導電性接着材((La,Sr)(Co,Fe)O)との熱膨張差に起因する応力を緩和でき、集電部材と燃料電池セルとの接合信頼性を向上できることが明らかである。
また、断面を切り出し導電性接着材のEPMAによる半定量分析を行った。EPMA分析には、日本電子製のJXA−8100を用いた。測定条件として、加速電圧15kV、プローブ電流2.0×10−7A、分析エリア50μm×50μm、分光結晶にLIFを用いた。その結果、Cr拡散防止層の外側の導電性接着材ではCrの拡散量が検出限界の0.5質量%以下であった。従って、Cr拡散防止層202aが、集電基材201を被覆しており、Cr拡散を有効に防止していることが明らかとなった。
初めに、平均粒径1.0μmのZnO粉末に平均粒径1.5μmのFe粉末をFe換算で2mol%、溶剤、結合バインダー、及び分散剤、並びに原料粉末100質量部に対して10質量部のアクリル樹脂からなる球状の造孔材を添加し、これを、ボールミルで約24時間混練して、浸漬(ディップ)用のスラリーを作製した。
このようにして作製した浸漬用のスラリー中に、Mnを含有する集電基材を浸漬し、乾燥させ、続いて温度1000℃で2時間、炉内で焼付を行い、Cr拡散防止層202aおよび多孔質層202bを形成した。この後、(La,Sr)(Co,Fe)Oからなる導電性接着材25を印刷し、温度1000℃で2時間、炉内で焼付を行った。その断面写真及び画像解析したものを図10に示す。尚、(a)は集電基材をスラリー中へ乾燥を挟んで2回浸漬し、多孔質層の焼付後の厚みを約20μmとしたもので、(b)は集電基材をスラリー中へ1回浸漬し、多孔質層の焼付後の厚みを約15μmとしたものである。これらの多孔質層の気孔率を上記と同様に算出したところ、(a)が34%、(b)が31%であった。
また、比較例として、Cr拡散防止層202aに多孔質層を形成せず、直接、導電性接着材を形成して作製したところ、導電性接着材と中間層との間に一部剥離が生じていた。その断面のSEM写真を図11に示す。この比較例の集電部材を用いて燃料電池セルに導電性接着材で接合し、750℃で燃料電池セルの発電試験を行ったところ、上記実施例1、2のように多孔質層を有する集電部材を用いて導電性接着材で燃料電池セルに接合した場合と比較して、出力電圧が約10%低いものであった。
本発明の燃料電池用集電部材の一例を示す斜視図である。 図1に示すA−A線に沿った燃料電池用集電部材の断面図である。 図1に示すB−B線に沿った燃料電池用集電部材の断面図である。 本発明の燃料電池用集電部材の他の形態を示すものであり、図1に示すA−A線に沿った断面図である。 図4の断面図である。 燃料電池セルの断面斜視図である。 本発明の燃料電池セルスタックの縦断面図である。 (a)は、集電基材の表面にCr拡散防止層および多孔質層を設けた燃料電池用集電部材の断面SEM写真であり、(b)は(a)の多孔質層の上面に導電性接着材を接着した断面SEM写真である。 スプレー法によりCr拡散防止層および多孔質層を形成し、多孔質層の上面に導電性接着材を形成した断面のSEM写真、及び画像解析した状態を示す図である。 ディップ法によりCr拡散防止層および多孔質層を形成し、多孔質層の上面に導電性接着材を形成した断面のSEM写真、及び画像解析した状態を示す図である。 Cr拡散防止層の上に直接導電性接着材を形成した断面SEM写真である。
符号の説明
1 燃料電池セル
20 集電部材
25 導電性接着材
201 集電基材
202a Cr拡散防止層
202b 多孔質層
202c 中間層

Claims (8)

  1. Crを含有する合金の表面をZn系スピネルからなる緻密なCr拡散防止層で被覆し、該Cr拡散防止層の表面に、前記Cr拡散防止層よりも多孔質でZnを含有する酸化物からなる多孔質層を設けてなることを特徴とする耐熱性合金部材。
  2. 請求項記載の耐熱性合金部材が燃料電池の集電部材として用いられることを特徴とする燃料電池用集電部材。
  3. 複数の燃料電池セルの間に請求項記載の燃料電池用集電部材をそれぞれ介装して、前記複数の燃料電池セルを電気的に接続してなることを特徴とする燃料電池セルスタック。
  4. 前記燃料電池セルと前記燃料電池用集電部材とが導電性接着材により接合されていることを特徴とする請求項記載の燃料電池セルスタック。
  5. 前記燃料電池用集電部材の前記多孔質層は、前記燃料電池セルと接合される部分の前記Cr拡散防止層の表面にのみ設けられていることを特徴とする請求項に記載の燃料電池セルスタック。
  6. 前記多孔質層と前記導電性接着材との間に、前記多孔質層を構成する成分と前記導電性接着材を構成する成分とが混合された中間層が設けられていることを特徴とする請求項又は記載の燃料電池セルスタック。
  7. 前記中間層は、Znを含有する酸化物と、La及びFe、又はLa及びMnを含有するペロブスカイト型複合酸化物とを含有することを特徴とする請求項記載の燃料電池セルスタック。
  8. 請求項乃至のうちいずれかに記載の燃料電池セルスタックを収納容器に収納してなることを特徴とする燃料電池。
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