JP5071959B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐薬品性、耐加水分解性、耐候性、柔軟性、密着性など物性バランスに優れた、コーティング材、接着剤、粘着剤などの用途に使用される、光硬化性組成物および熱硬化性組成物に関する。
従来、紫外線や電子線の照射によって硬化する光硬化性樹脂や熱により硬化する熱硬化性樹脂が多数開発され、コーティング材、接着剤、粘着剤などに広く利用されている。
このような樹脂組成物として、水酸基を有する(メタ)アクリレートと有機ポリイソシアネートとポリカーボネートジオールとの反応物である(メタ)アクロイルオキシ基を有するポリカーボネートジオール変性ウレタンプレポリマーと、水酸基を有する(メタ)アクリレートと有機イソシアネートとポリカーボネートジオールとポリオールとの反応物である(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリカーボネートジオール変性ウレタンポリマーと、(メタ)アクリル酸エステル酸エステル系化合物と、有機過酸化物と光重合開始剤からなる接着剤組成物が開示されている(特許文献1参照)。また、ポリカーボネートジオール化合物、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和化合物および1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物を付加反応させて得られる重合体と、1分子中にエチレン性不飽和二重結合を3個以上有するエチレン性不飽和化合物並びに光重合開始剤を含有してなる光硬化性樹脂組成物が開示されている(特許文献2参照)。また、特定のウレタンアクリレートオリゴマーと水酸基含有(メタ)アクリレートと活性水素基含有アルコキシシランと有機イソシアネートおよび反応性希釈剤からなるウレタンアクリレート接着剤が開示されている(特許文献3参照)。さらに、数平均分子量250〜850のポリカーボネートジオールとジイソシアネート化合物とヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートを含有する硬化性組成物が開示されている。(特許文献4参照)
しかしながら、上記に示す化合物は、耐油性、耐汗性、耐加水分解性、耐候性、柔軟性、密着性など物性バランスに優れた化合物とは言えなかった。
特公平6−13692号広報 特開平10−95822号公報 特開平6−145636号公報 特開2005−171154号公報
本発明は、耐油性、耐汗性、耐加水分解性、耐候性、柔軟性、密着性など物性バランスに優れた、コーティング材、接着剤、粘着剤などの用途に使用される光硬化性組成物および熱硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリカーボネートジオールを用いることにより上記の問題点を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、
(1)少なくとも(a)水酸基含有(メタ)アクリレート、(b)ポリカーボネートジオール、および(c)1分子中にイソシアネート基を2個以上含有する化合物との反応生成物から構成され、(b)のポリカーボネートジオールが、下記式(A)と下記式(B)の繰り返し単位を含み、末端基が水酸基であり、(A)と(B)の割合がモル比率で99:1〜1:99で、数平均分子量が300〜10000のポリカーボネートジオールであることを特徴とする硬化性組成物、

(式中、Rは、2−メチル−1,3プロパンジオールに由来するアルキレン基を除く、炭素数2〜20のアルキレン基を表す)
(2)上記式(B)中のR1が下記式(C)で表されることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物、
(CH (C)
(式中、nは、2〜10の整数を表す)
(3)上記式(B)中のRが下記式(D)で表されることを特徴とする上記(1)に記載の水性ポリウレタン組成物、
(CH (D)
(式中、mは4または6。)
に関するものである。
本発明は、耐油性、耐汗性、耐加水分解性、耐候性、柔軟性、密着性など物性バランスに優れたコーティング材、接着剤、粘着剤などの用途に使用される光硬化性組成物および熱硬化性組成物を提供することが出来る。
以下、本願発明について具体的に説明する。
本発明の硬化性組成物は、少なくとも(a)、(b)、及び(c)との反応生成物から構成される。
本発明に用いる水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、グリセリンモノアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、ポリカプロラクトングリコールモノアクリレート、並びにこれらのアクリレートに対するメタアクリレートが挙げられる。これらは、単独で用いることも出来るし、2種以上を併用することも出来る。
得られる樹脂組成物を低粘度とするためには、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、並びにこれらのアクリレートの対するメタアクリレートがより好ましい。
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、ジオールと炭酸エステルを原料に用い、エステル交換に付することで得ることができる。
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、下記式(E)と下記式(F)で表されるジオールを原料に用いる。

(式中、Rは、2−メチル−1,3プロパンジオールに由来するアルキレン基を除く、炭素数2〜20のアルキレン基を示す。)
上記式(F)で表されるジオールは、2−メチルー1,3−プロパンジオールを除くジオールであって、その例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−イソプロピル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパンなどを挙げることができる。上記式(F)で表されるジオールは、1種類のみを用いても2種以上を併用しても良い。なかでも、炭素数2〜10の直鎖アルキレンジオールを用いるのが好ましい。1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを用いるのがより好ましい。1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを用いるのが最も好ましい。
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、上記式(A)と上記式(B)との割合がモル比率で99:1〜1:99である。好ましくは、80:20〜20:80である。より好ましくは、70:30〜30:70である。
また、本発明で用いられるポリカーボネートジオールには、(E)と(F)の他に、1分子に3個以上のヒドロキシル基を持つ化合物、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを少量用いることにより、多官能化したポリカーボネートも含まれる。1分子中に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物を余り多く用いると、架橋してゲル化が起きてしまうので、ジオールの合計モル数に対して、5モル%以下にする。好ましくは、2モル%以下にする。
本発明で用いられるポリカーボネートジオールの平均分子量の範囲は、数平均分子量で300〜10000、好ましくは400〜5000である。しかし、用途によっては樹脂組成物の粘度を低く抑える事が要求される。その場合、ポリカーボネートジオールの平均分子量を400〜2500、更に好ましくは500〜900とすると、樹脂の設計が容易となる。
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、アルキレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネートなどの炭酸エステルを原料に用いる。アルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネートなどがある。また、ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネートなどが、ジアルキレンカーボネートとしては、ジフェニルカーボネートなどがある。そのなかでも、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネートを用いるのが好ましい。エチレンカーボネートを用いるのがより好ましい。
本発明では、エステル交換を行う際の反応温度は、120℃〜280℃である。好ましくは、140℃〜230℃である。
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、エステル交換反応の際、反応を速めたい場合に触媒を用いることが望ましい。触媒としては、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンなどのチタン化合物、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ−n−ブチルスズオキサイド、ジブチルスズジアセテートなどのスズ化合物、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛などの酢酸の金属塩などがある。なかでもチタン化合物を用いるのが好ましい。これらの触媒は、反応物に対し1〜300ppmとなるように用いるのが好ましい。30〜200ppmとなるように用いるのがより好ましい。
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、柔軟性を向上させる目的で、その分子内にエーテル結合を有しても良い。エーテル結合の含有量は、本発明の効果に影響しない範囲であれば特に限定はしないが、その量が増えると耐熱性や耐薬品性が低下する。よって、エーテル結合の含有量は、0.05〜5モル%であることが好ましく、0.05〜3モル%であることが更に好ましい。
また、本発明の硬化性組成物を構成する反応生成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールを併用することも出来る。
本発明において、ポリカーボネートジオールの配合は、水酸基含有(メタ)アクリレート100重量部に30〜2500重量部であり、好ましくは100〜1000重量部である。30重量部未満の場合、耐加水分解性や耐熱性が問題となる場合が多く、2500重量部を超える場合、流動性が問題となる場合があり好ましくない。
本発明で用いる1分子中にイソシアネート基を2個以上含有する化合物(以降、有機イソシアネートと称す。)は、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートおよびその混合物、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3´−ジメチル−4,4´ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、粗製TDI、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(PMDI)、粗製MDIなどの芳香族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、フェニレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート、4−4´−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート(水添MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(水添XDI)などの脂肪族ジイソシアネートを挙げることができる。通常は1種の有機イソシアネートを選択して用いるが、これらの有機イソシアネートから2種類以上を選択しそれらを混合して、または逐次追加して用いても構わない。
本発明において、有機イソシアネートの配合量は、ポリカーボネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの水酸基の合計に対して、70〜100%当量、好ましくは80〜98%当量である。有機イソシアネートの配合量が70%当量未満の場合、ウレタンアクリレートオリゴマーの分子量が小さく、硬化後の強度が不足する場合が多く、100%当量を超える場合、過剰のイソシアネート基が残存するため、貯蔵中にゲルを生成するなど貯蔵安定性などに問題が発生するので好ましくない。
本発明の硬化性組成物を製造する際には、前記の反応成分に加えて必要に応じて後述する反応性希釈剤を使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、公知の方法により得ることが出来る。例えば、ポリカーボネートジオールと有機イソシアネートを反応させて、末端がイソシアネート基となったプレポリマーを合成した後、これに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法、または、水酸基含有(メタ)アクリレートと有機イソシアネートを反応させた後、ポリカーボネートジオールを反応させる方法がある。反応温度は、120℃以下であることが好ましい。反応温度が高い場合、反応生成物が増粘したり、ゲル状物を生成する原因となるので好ましくない。通常40〜110℃、好ましくは40〜80℃で反応を行う。反応温度が低い場合、反応物の粘度が高くなり、分散・混合が不十分となり均一な生成物を得ることが難しくなる。
この反応において、必要に応じてウレタン反応触媒を添加することが出来る。触媒としては、トリエチルアミンなどの三級アミン、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸スズなどの金属塩、ジブチルスズジラウレートなどの有機金属化合物が挙げられる。添加量は、反応物に対して0.5〜2000ppmである。必要に応じて有機溶媒を使用できる。有機溶媒としては、例えば、酢酸ブチルや酢酸エチルなどのエステル系、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン系、トルエン、キシレンなどの芳香族系の有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独でまたは2種類以上を混合して使用することが出来る。さらに、ラジカル重合禁止剤を用いることも出来る。ラジカル重合禁止剤としては、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジンなどを挙げることが出来る。
硬化性組成物を希釈することにより用途に応じた粘度に調整し、さらには得られる樹脂の架橋密度などを調整する目的で、適当な希釈剤を用いても良い。希釈剤としては、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸プロピレングリコール、ジアクリル酸1,4−ブタンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸1,9−ノナンジオール、ジアクリル酸ネオペンチルグリコール、ジアクリル酸メチルペンタンジオール、ジアクリル酸テトラエチレングリコール、ジアクリル酸シクロヘキサンジメタノール、ジアクリル酸ポリエトキシレートビスフェノールA、ジアクリル酸ポリポロキシ水添ビスフェノールAなどのジアクリル酸エステルおよびこれらに対応するジメタアクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリアクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリアクリル酸エステルなどの多官能アクリル酸エステルおよびこれらに対応する多官能メタアクリル酸エステル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステルおよびこれらに対応するメタアクリル酸エステル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、アジピン酸ジビニルなどのビニルエステルモノマー類、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリルアミド、N−ビニルホルムアルデヒド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−t−ブチルアクリルアミドなどのアクリルアミド、フタル酸、コハク酸、テレフタル酸、アジピン酸などの多塩基酸、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール、ジアクリロキシエチルフォスフェート、ジメタクロキシエチルフォスフェート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。希釈剤の添加量は、硬化性組成物の特性が損なわれない限り特に限定するのでないが、通常は硬化性組成物の重量に対して10〜100%である。
本発明の硬化性樹脂組成物は(メタ)アクリレート基の二重結合を有するため、熱重合開始剤を添加すれば加熱による、光重合開始剤を添加すれば紫外線蛍光ランプや高圧水銀灯などを用いた紫外線照射または電子線の照射により、容易に短時間で硬化させることが可能である。これら重合開始剤の濃度は、水酸基含有(メタ)アクリレートとポリカーボネートジオールと有機イソシアネートの重量合計の0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは3〜5重量%である。重合開始剤が0.1重量%未満の場合、硬化が不十分となる傾向にあり、20重量%を超えると得られる硬化物の特性が低下する傾向にある。
熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルオアーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。これら熱重合開始剤を、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。加熱温度は、接着や塗布する基材によっても異なるが、通常は常温〜90℃で、好ましくは常温〜70℃である。
本発明の硬化性組成物は、反応性希釈剤を含むこともできる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ω−ブロモアセトフェノン、クロロアセトン、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p´−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−N,N´−ジメチルアセトフェノンなどのカルボニル系光重合開始剤が挙げられる。さらに、ジフェニルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、テトラエチルメチルアンモニウムスルフィドなどのスルフィド系光重合開始剤、ベンゾキノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンなどのキノン系光重合開始剤、アジビスイソブチロニトリル、2、2´−アゾビスプロパン、ヒドラジンなどのアゾ系光重合開始剤、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシドなどの過酸化物系光重合開始剤などが挙げられる。これらの光重合開始剤を単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することが出来る。
さらに、必要に応じて、光重合開始剤と公知の光増感剤を併用することも出来る。光増感剤としては、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられ、性能を損なわない範囲でその添加量を決めることが出来る。
本発明の硬化性樹脂組成物は、貯蔵安定性向上の目的で、酸化防止剤や光安定剤を添加することも出来る。これらの例としては、アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30,アデカスタブAO−40,アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−330、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8,アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36,アデカスタブHP−10,アデカスタブ2112,アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ329A、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010(以上、旭電化工業株式会社製)スミライザーBHT、スミライザーS、スミライザーBP−76、スミライザーMDP−S、スミライザーGM、スミライザーBBM−S、スミライザーWX−R、スミライザーNW、スミライザーBP−101、スミライザーGA−80、スミライザーTNP、スミライザーBP−179、スミライザーTPP−R、スミライザーP−16(以上、住友化学株式会社製)チヌビン770、チヌビン765、チヌビン144、チヌビン622、チヌビン111,チヌビン123、チヌビン292(以上、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。これらの酸化防止剤や光安定剤の添加量は特に限定しないが、通常は硬化性樹脂組成物に対し0.001〜5重量%用いられる。
その他にも、必要に応じて、天然または合成高分子物質、充填剤、顔料、レベリング剤、改質剤、可塑剤、チクソトロピー剤、増粘剤、増量剤などの各種物質を添加しても構わない。これらの配合量は、本発明の性能を損なわない範囲で、用途に応じて適宜決めることが出来る。
次に、実施例および比較例によって、本発明を説明する。
以下の実施例および比較例において、ポリカーボネートジオールの水酸基価は、以下の方法で測定した。メスフラスコを用い、無水酢酸12.5gにピリジンを加えて50mlとし、アセチル化試薬を調整する。100mlのナスフラスコに、サンプルを2.5〜5.0g精秤する。アセチル化試薬5mlとトルエン10mlをホールピペットで添加後、冷却管を取り付けて、100℃で1hr撹拌加熱する。蒸留水2.5mlをホールピペットで添加、さらに10min加熱撹拌する。2〜3min冷却後、エタノールを12.5ml添加し、指示薬としてフェノールフタレインを2〜3滴入れた後に、0.5mol/lエタノール性水酸化カリウムで滴定する。アセチル化試薬5ml、トルエン10ml、蒸留水2.5mlを100mlナスフラスコに入れ、10分間加熱撹拌した後、同様に滴定を行う(空試験)。この結果をもとに、下記式(1)で水酸基価を計算する。
水酸基価(mg−KOH/g)={(B−A)×28.05×f}/C(1)
A:サンプルの滴定量(ml)
B:空試験の滴定量(ml)
C:サンプル重量(g)
f:滴定液のファクター
実施例、比較例中のポリマーの末端は、13C−NMR(270MHz)の測定により、実質的に全てがヒドロキシル基であった。さらに、ポリマー中の酸価をKOHによる滴定で測定したが、実施例、比較例のポリマー全てが0.01以下であった。従って、得られたポリマーの数平均分子量は、上記の水酸基価を用い、下記式(2)により求められる。
数平均分子量=2/(水酸基価×10―3/56.11) (2)
組成比は、以下のように測定した。100mlのナスフラスコにサンプルを1g取り、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて、100℃で1hr反応する。室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを2〜3滴添加し、塩酸で中和する。冷蔵庫で1hr冷却後、沈殿した塩を濾過で除去し、ガスクロマトグラフィーにより分析を行った。分析は、カラムとしてDB−WAX(J&W製)をつけたガスクロマトグラフィーGC−14B(島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内標として、検出器をFIDとして行った。なお、カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/minで250℃まで昇温した。得られた結果をもとに、下記式(3)を用いて、組成比を求めた。
組成比(mol%)= (D/E)×100 (3)
D:2−メチル−1.3−プロパンジオールのモル数
E:全てのジオールのモル数
尚、ポリカーボネートジオールの分子内にエーテル結合を有する場合、その含有量は、上記の方法で得られた、全てのジオールのモル数に対する、エーテル結合を有するジオールのモル%として現される。
[ポリカーボネートジオールの合成例1]
攪拌機、温度計、頭頂に還流ヘッドを有する真空ジャッケト付きオルダーショウを備えた2lセパラブルフラスコに、2−メチル−1,3−プロパンジオール350g、1,4−ブタンジオール300g、エチレンカーボネート640gを仕込み、70℃で撹拌溶解したあと、触媒として酢酸鉛三水和物を0.015g入れた。175℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温130℃、真空度1.0〜1.5kPaで、還流ヘッドから還流比4で留分の一部を抜きながら、20hr反応した。その後、オルダーショウを単蒸留装置に取り替え、180℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140〜150℃、真空度を0.5kPaまで落として、セパラブルフラスコ内に残った、ジオールとエチレンカーボネートを除去した。その後、オイルバスの設定を185℃に上げ、フラスコの内温155〜160℃で、生成するジオールを除去しながら、さらに7hr反応した。この反応により、常温で粘ちょうな液体が得られた。得られた反応物の水酸基価は112.7であり、組成比は52mol%であった。該ポリカーボネートジオールをPC1と称する。
[ポリカーボネートジオールの合成例2]
合成例1の装置を用い、1,6ヘキサンジオール702g、エチレンカーボネート520g、酢酸鉛三水和物0.014g仕込んだ。190℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温150℃、真空度3.0〜4.2kPaで、還流ヘッドから還流比4で留分の一部を抜きながら、15hr反応した。その後、オルダーショウを単蒸留装置に取り替えた後、190℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温150〜160℃、真空度を0.5kPaまで落として、セパラブルフラスコ内に残った、ジオールとエチレンカーボネートを除去した。その後、オイルバスの設定を200℃に上げ、フラスコの内温160〜190℃で、生成するジオールを除去しながら、さらに6hr反応した。この反応により、常温で白色の固体が得られた。得られた反応物の水酸基価は115.1であった。該ポリカーボネートジオールをPC2と称する。
[ポリカーボネートジオールの合成例3]
1,6ヘキサンジオール540g、1,5−ペンタンジオール189g、エチレンカーボネート504g、酢酸鉛三水和物0.013gとした以外は、合成例2の条件で重合を行った。この反応により、常温で粘ちょうな液体が得られた。得られた反応物の水酸基価は110.8であった。該ポリカーボネートジオールをPC3と称する。
[ポリカーボネートジオールの合成例4]
1,6ヘキサンジオール178g、2−メチル−1,3−プロパンジオール385g、エチレンカーボネート510g、酢酸鉛三水和物0.012gとした以外は、合成例2の条件で重合を行った。この反応により、常温で粘ちょうな液体が得られた。得られた反応物の水酸基価は141.2であり、組成比は71mol%であった。該ポリカーボネートジオールをPC4と称する
[ポリカーボネートジオールの合成例5]
1,5−ペンタンジオール338g、2−メチル−1,3−プロパンジオール128g、エチレンカーボネート410g、酢酸鉛三水和物0.010gとした以外は、合成例2の条件で重合を行った。この反応により、常温で粘ちょうな液体が得られた。得られた反応物の水酸基価は120.4であり、組成比は29mol%であった。該ポリカーボネートジオールをPC5と称する。
実施例1
攪拌機、冷却管、温度計を備えた2Lの4口フラスコに、550gのポリカーボネートジオールPC1を入れる。0.2kPa、80℃の条件で3時間、減圧乾燥した。常圧に戻した後、触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.5g入れ、50℃に加熱しながら、滴下ロトを用い、イソホロンジイソシアネート246gを1時間掛けて滴下した。さらに70℃に加熱し、3時間撹拌して反応させた。70℃に加熱しながら、2−ヒドロキシプロピルアクリレート72gと2−エチルヘキシルアクリレート150g、ハイドロキノンモノメチルエーテル1gを均一に混合した溶液を、別の滴下ロトを用いて1時間かけて滴下し、さらに5時間撹拌して反応させた。イソシアネートの反応率が99%以上となったことを、残存イソシアネート量を滴定することにより確認した。該ウレタンアクリレートをUAP1と称する。
ウレタンアクリレートUAP1を500gに、2−ヒドロキシプロピルアクリレートを250g、テトラヒドロフルフリルアクリレートを125g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを125g、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを20g添加し撹拌して樹脂組成物(以降、R1と称する。)を得た。
比較例1
実施例1の装置を用い、ポリカーボネートジオールとしてPC2を用い、イソホロンジアミンの量を251g、2−ヒドロキシプロピルアクリレートの量を73gとした以外は実施例1の方法で、ウレタンアクリレート(以降、UAP2と称する。)を得た。
ウレタンアクリレートUAP2を用い、実施例1に示す方法で樹脂組成物(以降、R2と称する。)を得た。
比較例2
実施例1の装置を用い、ポリカーボネートジオールとしてPC3を用い、イソホロンジアミンの量を242g、2−ヒドロキシプロピルアクリレートの量を71gとした以外は実施例1の方法で、ウレタンアクリレート(以降、UAP3と称する。)を得た。
ウレタンアクリレートUAP3を用い、実施例1に示す方法で樹脂組成物(以降、R3と称する。)を得た。
実施例2
実施例1の装置を用い、ポリカーボネートジオールとしてPC4を用い、イソホロンジアミンの量を308g、2−ヒドロキシプロピルアクリレートの量を90g、2−エチルヘキシルアクリレート155gとした以外は、実施例1の方法でウレタンアクリレート(以降、UAP4と称する。)を得た。
ウレタンアクリレートUAP4を用い、実施例1に示す方法で樹脂組成物(以降、R4と称する。)を得た。
実施例3
実施例1の装置を用い、ポリカーボネートジオールとしてPC5を用い、イソホロンジアミンの量を262g、2−ヒドロキシプロピルアクリレートの量を77g、2−エチルヘキシルアクリレート150gとした以外は、実施例1の方法でウレタンアクリレート(以降、UAP5と称する。)を得た。
ウレタンアクリレートUAP5を用い、実施例1に示す方法で樹脂組成物(以降、R5と称する。)を得た。
上記の方法で得られた樹脂組成物を下記に示す方法で評価した。
強度、柔軟性、耐油性の評価に用いるフィルムは、下記に示す方法で調製した。ガラス板上に、アプリケーターを用い膜厚が150μmとなるように樹脂組成物を塗布する。出力80W/cmの高圧水銀灯を備えた紫外線照射装置(日本電池製)を用い、ガラス板から15cmの距離から5秒間紫外線を照射しフィルムを得た。
上記のフィルムを10mm×80mmの短冊型に切り取り、23℃、50%RHの恒温室にて1日養生したものを試験体とした。試験体を恒温室において、テンシロン引張試験器(RTC−1250A、ORIENTEC製)を用いて、チャック間50mm、引張速度100mm/minで測定した。破断時の強度をフィルムの強度として、50%伸長した時の応力を柔軟性とした。また、上記のフィルムを45℃のオレイン酸(試薬1級)中に1週間浸漬後、下記式(4)で膨潤度を求め、耐油性の尺度とした。
膨潤率=(試験後の重量−試験前の重量)/試験前の重量×100 (4)

さらに、ポリカーボネート樹脂(パンライトAD9000TG、帝人化成製)を射出成型して得たポリカーボネート樹脂シートに、アプリケーターを用い膜厚が150μmとなるように樹脂組成物を塗布する。出力80W/cmの高圧水銀灯を備えた紫外線照射装置(日本電池製)を用い、ガラス板から15cmの距離から5秒間紫外線を照射し、ポリカーボネートシートの上に厚さ50μmの硬化物を得た。上記試験体を100℃の恒温槽に3時間放置した後、−40℃の恒温槽に移し48時間放置する。この操作を3回繰り返しJIS K−5400に準拠し、基盤目剥離テスト(セロテープ(登録商標)、ニチバン製)を用い、硬化物が剥離しなかった数を元に、密着性を評価した。
評価結果を下記表1にまとめた。

〈密着性〉
下記式(5)に基づき、密着性を評価した。
Z=(比較例1の剥離数)/(サンプルでの剥離数) (5)
耐薬品性、耐加水分解性、耐候性、柔軟性、密着性など物性バランスに優れた、コーティング材、接着剤、粘着剤などの用途に使用される、光硬化性組成物および熱硬化性組成物に利用することが出来る。

Claims (3)

  1. 少なくとも(a)水酸基含有(メタ)アクリレート、(b)ポリカーボネートジオール、および(c)1分子中にイソシアネート基を2個以上含有する化合物との反応生成物から構成され、(b)のポリカーボネートジオールが、下記式(A)と下記式(B)の繰り返し単位を含み、末端基が水酸基であり、(A)と(B)の割合がモル比率で99:1〜1:99で、数平均分子量が300〜10000のポリカーボネートジオールであることを特徴とする硬化性組成物。

    (式中、Rは、2−メチル−1,3プロパンジオールに由来するアルキレン基を除く、炭素数2〜20のアルキレン基を表す)
  2. 上記式(B)中のRが下記式(C)で表されることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
    (CH (C)
    (式中、nは、2〜10の整数を表す)
  3. 上記式(B)中のRが下記式(D)で表されることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
    (CH (D)
    (式中、mは4または6。)
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