JP2005089657A - 放射線硬化性組成物及びその用途 - Google Patents

放射線硬化性組成物及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】 密着性、透明性、表面硬度、寸法安定性、機械的物性等に優れると共に、耐候性にも優れた硬化物を与え得る放射線硬化性組成物およびその硬化物を提供する。
【解決手段】 ウレタン結合及びカーボネート結合を有するオリゴマーとシリカ粒子とを含有してなる放射線硬化性組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、放射線硬化性組成物に関する。詳しくは、密着性、透明性、表面硬度、寸法安定性、機械的物性等に優れると共に、耐候性にも優れた硬化物を与え得る放射線硬化性組成物、及び、該組成物を硬化させて得られた硬化物に関する。
放射線硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は各種被覆材料や接着材料として用いられており、硬化に要する時間が秒単位、もしくは秒以下であり工程が非常に簡単であること、また、加熱のプロセスと比較し使用するエネルギーが少なく環境負荷を軽減できることなどの利点がある。中でも、ウレタン結合を有するオリゴマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ポリカーボネートといった各種プラスチック基材に対して密着性などの幅広い適性を有するため、印刷インキ用バインダーやハードコート層等のコーティング用途に広く用いられている。
しかし、放射線硬化性組成物は特に硬い材料を使用した場合、硬化後に硬化収縮に起因する反りや変形が生ずるということ、ポリウレタン樹脂は表面硬度、耐候性、耐擦傷性については必ずしも十分とはいえないことから、分野によっては使用が制限されていた。このような問題点を解決するため、放射線硬化性組成物の原料化合物の探索が広く行われており、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートを併用して得られるイソシアヌレートと、水酸基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物とからなるウレタンアクリレート樹脂と、酸素および/または窒素含有複素環を有するラジカル重合性単量体とを含有させ、表面硬度の高い硬化被膜を形成し、かつ耐熱性、耐候性に優れた放射線硬化性塗料組成物を作成する方法が開示されている(特許文献1)。しかし、この方法では塗膜の硬化収縮は抑えられず、耐候性も十分ではなく、仕様用途が制限さsれていた。
また、分子内に少なくとも1個のアミド基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物、イソシアヌレート環含有の特定化合物、および前記成分以外のエチレン性不飽和化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を用い、重合時の硬化収縮率が低く、機械的強度を有する透明硬化被覆層を得る方法が開示されている(特許文献2)。しかしながらこの方法では十分な表面硬度は得られなかった。
一方、上記のようなウレタン結合を有するオリゴマーをベースとし、それに、表面硬度、寸法安定性等の付与のためにシリカ粒子等を含有させた放射線硬化性組成物を放射線照射により硬化させてポリウレタン硬化物とする方法がある。例えば、樹脂ビーズを含有する防眩性フィルムにポリウレタンアクリレートを導入することで、硬さと耐衝撃性を付与する方法が開示されている(特許文献3)。しかしながら、この方法においては硬化物の耐候性が十分ではなかった。
特開2002−53774号公報 特開2003−96146号公報 特開平6−018706号公報
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、密着性、透明性、表面硬度、寸法安定性等に優れると共に、耐候性にも優れた硬化物を与え得る放射線硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ウレタン結合を有するオリゴマーとシリカ粒子とを含有する放射線硬化性組成物において、該オリゴマーにカーボネート結合を導入することによって、前記目的を解決することができることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明の第1の要旨は、ウレタン結合及びカーボネート結合を有するオリゴマーとシリカ粒子とを含有してなる放射線硬化性組成物、に存する。
本発明の第2の要旨は、上記放射線硬化性組成物を含有してなるコーティング剤、に存する。
本発明の第3の要旨は、少なくとも基材層及び被覆層からなる積層体において、該基材層および/または被覆層に前記放射線硬化性組成物を含有してなる積層体、に存する。
本発明の放射線硬化性組成物は、密着性、透明性、表面硬度、寸法安定性等に優れると共に、耐候性にも優れた硬化物を与える。
〔オリゴマー〕
本発明において用いるオリゴマーは、ウレタン結合及びカーボネート結合を有することを必須とする。
オリゴマーは、通常、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物とポリオール化合物とを常法により付加反応させることにより製造される。
分子内に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリオール化合物とは、2個以上のヒドロキシル基を含有する化合物であり、本発明の組成物に必須要素であるカーボネート結合は、ポリカーボネートポリオールを用いて導入するのが好ましい。
ポリカーボネートポリオールは、下記一般式(1)で示されるものである。
Figure 2005089657
式(1)中、Rは脂肪族または脂環式アルキル基である。
ここで、上記Rに含有される炭素原子は1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、上限が通常30以下、好ましくは20以下、より好ましく、10個以下である。
また、上記nに示される繰り返し単位は、1以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、上限が通常100以下、好ましくは90以下、より好ましくは80以下である。
ポリカーボネートポリオールは、例えばアルキレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネートからなる群から選ばれる1種または2種以上のカーボネート化合物とポリオールとを反応させて得られる。
アルキレンカーボネートの例としては、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート等が挙げられる。ジアリールカーボネートの例としては、ジフェニルカーボネート、フェニル−ナフチルカーボネート、ジナフチルカーボネート、4−メチルジフェニルカーボネート、4−エチルジフェニルカーボネート、4−プロピルジフェニルカーボネート、4,4’−ジメチル−ジフェニルカーボネート、4,4’−ジエチル−ジフェニルカーボネート、4,4’−ジプロピル−ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
ジアルキルカーボネートの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等が挙げられる。
ジアリールカーボネートの例としては、ジフェニルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボネート、2−トリルー4−トリルカーボネート等が挙げられる。
カーボネート化合物と反応させるポリオールとしては、ジオール類やポリエーテルポリオール類を挙げることができる。
ジオール類の例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,3,5−トリメチルペンタンジオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール類の例としては、例えばテトラヒドロフランの開環重合により得られるポリテトラメチレングリコール、ジオール類のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。ここで用いるジオール類の例として、たとばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、異性体ペンタンジオール類、異性体ヘキサンジオール類またはオクタンジオール類例えば2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサノン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサノン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサノン、トリメチロールプロパン、グリセリン等を挙げることができ、アルキレンオキサイドの例として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等が挙げられ、これらは2種以上混合して使用することも可能である。
上述のジオール類及びポリエーテルポリオール類は1種単独でも、あるいはこれらを2種以上混合して使用してもよい。これらはいずれも公知の方法で前述のアルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートから選ばれる1種または2種以上の化合物と反応してポリカーボネートポリオールを形成することができる。
また、ウレタン結合およびカーボネート結合を有するオリゴマーには、上記カーボネート結合を有するポリオールに由来する構成単位を5重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上である。また、上限は特に限定しないが、90重量%以下であるのが好ましく、80重量%以下であるのが更に好ましく、70重量%以下であるのが特に好ましい。このポリカーボネートポリオールの含
有割合が小さすぎると、硬化物として脆くなり、また弾性率が高過ぎて内部応力を生じ易く変形の原因になる傾向となり、さらに本発明の特徴である高耐候性の効果が薄れる傾向にある。逆に大きすぎると、硬化物として表面硬度が低下し、傷が付き易くなる等の問題を生じ易い傾向となる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、カーボネート結合を有するポリオールの一部を他のポリオールに置換することができる。
カーボネート基を有さないポリオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等のアルキルポリオール及びこれらの多量体であるポリエーテルポリオール、及びこれらのポリオールや多価アルコールと多塩基酸から合成されるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルポリオール等が挙げられる。
イソシアネート化合物とポリオール化合物との付加反応は、公知の方法、例えばイソシアネート化合物存在下にポリオールと付加反応触媒、例えばジブチルスズラウレートとの混合物を50〜90℃の条件下で滴下することにより行うことができる。
本発明において用いられるウレタン結合を有するオリゴマーは、それ自身は放射線硬化性官能基を有さず、他のオリゴマーが放射線硬化性官能基を有することで、全体として放射線硬化性組成物を構成していてもよい。ただし、好ましくはウレタン結合を有するオリゴマーが放射線硬化性官能基を有するものである。これにより、ウレタン結合を有するオリゴマーが放射線硬化網目構造に組み込まれて一体となるため、凝集性が増し、結果として凝集破壊が起きにくく、密着性が向上する利点がある。また、酸素の自由な移動を制限する効果も高まるので、表面硬化性も向上する利点がある。
オリゴマーが有することのできる放射線硬化性官能基としては、放射線による重合性を有する官能基であれば特に制限はないが、ラジカル反応性を有する官能基が好ましい。特にオリゴマー1分子中に、放射線硬化性官能基を2個以上有する化合物を主体とするのが好ましい。ここで「主体とする」とは、全成分の50重量%以上を占めることを言う。この場合、放射線による重合反応により3次元の網目構造を形成し、不溶不融の硬化物を与えることができる。
このような官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基などが挙げられるが、そのなかでも重合反応速度が大きい(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。ただし、ここで「(メタ)アクリロイル」なる表記は、アクリロイル又はメタクリロイルのいずれか、という意味である。 即ち、ウレタン結合と(メタ)アクリロイル基の両方を持つウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることが好ましい。これによれば、機械特性や熱特性が向上する利点もある。
特に、ウレタン結合を有するオリゴマーの少なくとも両末端に(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。これにより、得られる硬化物の密着性や表面硬度がさらに増すという利点がある。
また、ウレタン結合が存在すると、分子内水素結合や分子間水素結合が形成しやすくなるため、有機分子の凝集性が高められる。その結果、破壊エネルギーに対する耐性が増し、かつ分子の熱運動が制限されるため、耐熱性も向上すると考えられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、上記ポリオール化合物の一部、例えば3
0〜70%に代えて、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を用いることで製造することができる。なお、その割合に応じて、得られるオリゴマーの分子量を制御することができる。
ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコール化合物のモノ(メタ)アクリレート体等が挙げられる。
また、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物1分子と、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物2分子とを付加反応させることにより、両末端に(メタ)アクリロイル基を有し、かつウレタン結合を有するオリゴマーを製造することができる。
さらに、本発明において用いるオリゴマーは、芳香環を含有しない構造であることが好ましい。
芳香環を含有するオリゴマーを用いた硬化性組成物及び硬化物は、得られるものが着色物であったり、最初は着色していなくても保存中に着色したり着色が強まってしまう場合がある。これは芳香環を形成する二重結合部分が、エネルギー線によってその構造を不可逆的に変化させることがこれらの原因であると考えられている。このため、ウレタン結合を有するオリゴマーは、芳香環を有しない構造を持つことで、色相の悪化が無く、かつ光線透過性も低下することなく、無色透明が要求される用途への応用に特に適する利点がある。
このようなオリゴマーは、上記製造法において、芳香環を含まない、脂肪族、脂環式、或いは複素環式イソシアネート化合物と、芳香環を含まない、脂肪族或いは脂環式ポリオール化合物とを付加反応することにより製造できる。
オリゴマーとしては、なかでも分子量が比較的高いウレタン結合含有オリゴマーを用いるのが好ましい。その分子量は、数平均分子量で、通常1,000以上、好ましくは2,000以上である。分子量が小さすぎると、ウレタン結合を有する硬化物の特性である良好な密着性、機械的物性の効果が低減される傾向がある。数平均分子量の上限は特にないが、通常200,000以下、好ましくは100,000以下である。分子量が大きすぎると粘度が著しく高くなり、成形性や作業性が悪化する傾向がある。ただし分子量はこの範囲に限定されるものではない。
このような比較的高分子量のオリゴマーを用いることにより、硬化物の表面硬度、密着性が向上する傾向がある。その理由は明らかではないが、オリゴマーを含む組成物は、硬化収縮も小さくなる傾向があることから、官能基密度が比較的小さく硬化反応が効率的に行われること、硬化収縮による密着界面における残留歪みが小さいこと等が、表面硬度及び密着性向上に関係していると推定される。なお、このような高分子量のオリゴマーは1種のみ用いてもよいし、2種以上を混合して用いても良い。また、より低分子量の他のモノマーやオリゴマーと併用しても良い。
分子量が著しく高いオリゴマーを用いる場合には、組成物の粘度が上昇し、成形性や作業性が悪化する傾向にあるものの、この場合は低分子量のオリゴマーやモノマー、反応性希釈剤の添加量を増加させることにより改善できる。
本発明においては、上記オリゴマーのみを用いてもよいし、ウレタン結合を有するモノマー単位化合物を混合して用いても良い。モノマー単位化合物は、そのオリゴマーと比較して低粘度な液状であるものが多いので、他の成分と混合する場合に有利である。また、コーティングや注型成形等の成形がしやすい利点がある。一方、そのオリゴマーは、概して粘度が高く、取り扱いが難しい場合がある。しかしながら、表面硬化性に優れ、硬化収縮が小さく、また硬化物の機械的特性、特に引っ張り特性や曲げ特性が良好であるという利点がある。
本発明においては、放射線硬化性官能基を、放射線で重合させることにより、後述するシリカ粒子等の超微粒子が高度に分散された状態のまま高速で硬化させることができる。また、放射線硬化は一般に秒単位の非常に高速で行わせることが出来るため、これらの超微粒子がその硬化過程において移動したり凝集したりといった好ましくない現象を防ぐことが可能となり、従って高度な透明性を有する硬化物を得ることが出来る。これに対して熱硬化は数十分〜数時間単位と時間がかかるため、重合中にこれらの超微粒子が移動し凝集して白濁する傾向があるため好ましくない。
〔シリカ粒子〕
本発明の放射線硬化性組成物は、更にシリカ粒子を構成要素とする。
本発明においてシリカとは、珪素酸化物一般を指し、珪素と酸素の比率や、結晶であるかアモルファスであるかは問わない。従って、本発明において用いられるシリカ粒子としては、工業的に販売されている、溶媒中に分散されている状態のシリカゾル、粉体のシリカ粒子等の外、アルコキシシランなどの原料から誘導、合成されたシリカ粒子も挙げることができるが、放射線硬化性組成物としての混合や分散のしやすさから、溶媒中に分散されている状態のシリカゾル、或いは、アルコキシシランなどの原料から誘導、合成されたシリカ粒子がより好ましい。
溶媒中に分散されている状態のシリカゾルとしては、例えば、平均粒子径5〜30nm、固形分10〜40重量%のものを用いることができる。その分散媒の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、エチルセロソルブ、ジメチルアセトアミド、キシレン、およびこれらの混合物が挙げられる。
また、シリカゾルとしては、界面活性剤やシランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理を施したものを用いることができる。表面処理剤を用いることで、凝集や粒子の粗大化を防止でき、高分散の放射線硬化性組成物を得ることができる。
また、アルコキシシランなどの原料から誘導、合成されたシリカ粒子としては、アルコキシシラン或いはそのオリゴマーの加水分解物が挙げられる。なお、ここで、加水分解物とは、少なくとも加水分解反応を含む反応により得られる生成物を指し、脱水縮合などを伴っていてもよい。また、加水分解反応は脱アルコール反応も含む。
アルコキシシランは、珪素原子にアルコキシ基が結合した化合物であって、また加水分解反応及び脱水縮合反応(或いは脱アルコール縮合)によりアルコキシシラン多量体(オリゴマー)を生成する。後述する水や溶媒に対してアルコキシシランオリゴマーが相溶性を持つために、本発明に用いるアルコキシシランのアルキル鎖は長すぎないことが好ましく、通常炭素数1〜5程度であり、好ましくは炭素数1〜3程度である。具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
本発明では、このアルコキシシランのオリゴマーを出発原料とするのが好ましい。アルコキシシラン単量体(モノマー)を出発原料とする場合は、粒径の制御が難しいこと、粒径の分布がブロードになりやすく、粒径が揃いにくいこと、等の傾向があるため、透明な組成物を得にくくなること、及びモノマーに毒性を有する種類のものがあり、安全衛生上好ましくないこと、等の問題がある。オリゴマーの製造は、例えば特開平7−48454号公報に記載の方法等公知の方法によって行うことができる。
アルコキシシランオリゴマーの加水分解は、特定の溶媒中にてアルコキシシランオリゴマーに一定量の水を加え、触媒を作用させることによって行う。この加水分解反応により、シリカ超微粒子を得ることができる。
溶媒としてはアルコール類、グリコール誘導体、炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類等のうち1種類ないし2種類以上を組み合わせて使用することができるが、中でもアルコール類及びケトン類が特に好ましい。
アルコール類の具体例としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール,n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、オクタノール、n−プロピルアルコール、アセチルアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン類の具体例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
親水性であるシリカ粒子を安定に存在させるためには、これらアルコール類やケトン類のアルキル鎖は短いほうが好ましい。特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトンである。中でもアセトンは沸点が低く溶媒を除去する工程に要する時間が比較的短くてすむ利点がある。
加水分解反応に必要な水の量は、アルコキシシランオリゴマーの有するアルコキシ基のモル数に対して通常0.05倍以上、より好ましくは0.3倍以上である。水の量が少なすぎると、シリカ粒子が十分な大きさに成長せず、従って所望の特性を発現できない場合がある。多すぎるとアルコキシシランオリゴマーがゲルを形成しやすくなるため、上限値は通常1倍以下である。
本発明のアルコキシシランオリゴマーは上記溶媒や水に対して相溶性があることが好ましい。
加水分解に際して用いる触媒としては、金属キレート化合物、有機酸、金属アルコキシド、ホウ素化合物等のうち1種類又は2種類以上を組み合わせて用いることができるが、とりわけ金属キレート化合物及び有機酸が好ましい。金属キレート化合物の具体例としてはアルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトナート)及びジルコニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトナート)等が挙げられ、これらの中から1種類ないし2種類以上を組み合わせて用いることができるが、とりわけアルミニウムトリス(アセチルアセトナート)が好ましく用いられる。
有機酸の具体例としては蟻酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸等が挙げられ、これらの中から1種類ないし2種類以上を組み合わせて用いることができるが、とりわけマレイン酸が好ましく用いられる。マレイン酸を用いた場合は、放射線硬化を行って得た硬化物の色相が良好で、黄色みが小さい傾向があるという利点があり、好ましい。
これら触媒成分の添加量は、その作用を十分に発揮する範囲であれば特に制限はないが、通常アルコキシシランオリゴマー100重量部に対して0.1重量部以上が好ましく、より好ましくは0.5重量部以上である。但しあまり多量でも作用は変わらないため、通常、10重量部以下が好ましく、より好ましくは5重量部以下である。
アルコキシシランオリゴマーの加水分解物からなるシリカ粒子は超微粒子であり、数平均粒子径は、通常0.1nm以上であり、0.5nm以上であるのが好ましく、1nm以上であるのが更に好ましい。また、通常50nm以下であり、20nm以下であるのが好ましく、10nm以下であるのが更に好ましい。平均粒子径が小さすぎると粒子が凝集しやすくなり、硬化物の透明性が損なわれる傾向がある。逆に大きすぎると、光を散乱してしまうため、やはり透明性が損なわれる傾向がある。
本発明によれば、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解物からなるシリカ粒子を用いることで、従来一般に充填成分として用いられているシリカ粒子に比べて、遙かに粒径
の揃った微細な超微粒子を放射線硬化性組成物または放射線硬化物に添加できる利点がある。また、本シリカ粒子は凝集しにくい性質もあるため、放射線硬化性組成物または放射線硬化物に均一に分散できる利点もある。これによれば、シリカ粒子を大量に添加しても放射線透過性を損なうことがないので、寸法安定性や機械的強度を高めるために十分な量のシリカ粒子を添加できる。さらに、このような特定のシリカ粒子と、後述するシランカップリング剤を併用することで、より大量のシリカ粒子を凝集させずに分散させられる利点がある。
従って、本発明により得られる放射線硬化物は、密着性、透明性、表面硬度、寸法安定性、機械的物性に優れると共に、耐候性も兼ね備えた優れた性質を持つ利点がある。
なお、従来からある通常のシリカ粒子は、一般にその粒径分布がブロードで、例えば50nm以上の大きな粒径の粒子を含んでいるために、透明性が不良となることが多く、また粒子が沈降しやすい問題もあるが、平均粒子径5〜30nmのシリカゾルを使用すれば、2次凝集を防ぎ、高い透明性を得ることができる。
また、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解物からなる特定のシリカ粒子は、非常に小さな粒径であり、かつそのシリカ粒子は凝集しにくい性質を有しているので、高い透明性を得ることができる利点がある。
本発明の放射線硬化性組成物におけるシリカ粒子の割合は、放射線硬化物の寸法安定性や硬度特性を高めるためには、放射線硬化性組成物または放射線硬化物100重量部中、3重量部以上含むことが好ましい。より好ましくは5重量部以上、更に好ましくは7重量部以上である。但し、放射線硬化物の透明性や機械的強度を高く保つためには多すぎないことが好ましい。放射線硬化性組成物又は放射線硬化物100重量部に対して好ましくは90重量部以下とし、より好ましくは80重量部以下、更に好ましくは70重量部以下とする。
〔その他の構成要素〕
(1)シランカップリング剤
本発明においてシランカップリング剤は、珪素原子にアルコキシ基及び官能基を有するアルキル基が結合した構造の化合物で、シリカ粒子の表面を疎水性化する役割を持ち、本発明の放射線硬化性組成物において含有するのが好ましい成分である。
通常、上述のように形成したシリカ粒子は極性が強く水やアルコール等に対して相溶性を有し、ウレタン結合を有するオリゴマーには相溶性を有しない場合が多い。このため、ウレタン結合を有するオリゴマーを添加した際に凝集を起こしたり白濁を起こしたりする傾向がある。そこで親水性官能基及び疎水性官能基を有するシランカップリング剤を添加し、シリカ粒子表面を疎水性化することにより、ウレタン結合を有するオリゴマーに対する相溶性を持たせ凝集や白濁を防ぐものである。
本発明において、シランカップリング剤としては、その目的を達成するものであれば特に限定されないが、放射線硬化性官能基を有するトリアルコキシシランが特に好ましい。その具体例としては、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、グリシドイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明において、シランカップリング剤の使用量は、シリカ粒子の1重量%以上が好ましく、より好ましくは3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上である。シランカップリング剤の使用量が少なすぎると、シリカ粒子表面が十分に疎水性化されず、ウレタン結合を有するオリゴマーとの均一な混合に支障を来す場合がある。逆に多すぎるとシリカ粒
子と結合しないシランカップリング成分が多数混入することになり、得られる硬化物の透明性、機械物性等に悪影響を及ぼしやすくなる。好ましくは100重量%以下、より好ましくは70重量%以下、更に好ましくは60重量%以下である。
なお、シランカップリング剤の他にも、シリカ粒子の表面を改質することができる表面処理剤として、界面活性剤等も挙げられる。
(2)他のオリゴマー成分
また、本発明の放射線硬化性組成物には、機械的特性や耐熱性を向上させたり、各種特性のバランスをとるためなどの目的で、前述のウレタン結合を有するオリゴマー以外のオリゴマーを更に混合してもよい。オリゴマーの種類は特に限定されないが、好ましくはウレタン結合を含有しない(メタ)アクリレート化合物などが用いられ、中でも2官能もしくは3官能の(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
このようなオリゴマーとしては、例えば脂鎖式ポリ(メタ)アクリレート、脂環式ポリ(メタ)アクリレート、芳香族ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、2官能の(メタ)アクリレート、例えばトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、3官能の(メタ)アクリレート、例えばペンタエリスリトールトリス(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、イソシアヌレート骨格を有する3官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これらのうち、架橋生成反応の制御性から2価の(メタ)アクリレート類は好ましく用いられる。 また、硬化物の架橋構造
の耐熱性、表面硬度の向上等を目的としては、3官能以上の(メタ)アクリレート類が好ましく添加される。
(3)反応性希釈剤
本発明の放射線硬化性組成物には、組成物粘度の調整などの目的で、反応性希釈剤を添加しても良い。本発明において反応性希釈剤とは、低粘度の液状化合物であって、通常、単官能の低分子化合物である。例えば、ビニル基又は(メタ)アクリロイル基を有する化合物や、熱硬化性を有するエポキシ化合物、アミン類、メルカプタン類などが挙げられる。
本発明においては、好ましくは反応性希釈剤が放射線硬化性を有し、例えばビニル基又は(メタ)アクリロイル基を有する化合物などが挙げられる。そのような化合物の具体例としては、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系化合物類、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン等のビニルエステル類、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール等のジ(メタ)アクリレート類が挙げられるが、着色を避ける点で好ましいのは芳香環を有しない構造を持つ化合物である。中でも(メタ)アクリロイルモルフォリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート等の脂環骨格を有する(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレートが、良好な色相及び粘度を有する点で、特に好ましく用いられる。
また、接着性、密着性を向上させる目的で、水酸基を含有した(メタ)アクリレート化合物が好ましく添加される。具体的な化合物の例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(4)重合開始剤
本発明の放射線硬化性組成物において放射線によって進行する重合反応を開始させるために、重合開始剤を添加してもよい。かかる重合開始剤としては、光や電子線によりラジカルを発生する性質を有する化合物であるラジカル発生剤が一般的であり、公知の化合物が使用可能である。ラジカル発生剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が例示され、これらの複数種を併用してもよい。これらのうち好ましいのは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド及びベンゾフェノンである。かかる重合開始剤の添加量は、放射線硬化性官能基を含有するオリゴマーの総和100重量部に対し通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、更に好ましくは0.05重量部以上である。但し通常10重量部以下、好ましくは8重量部以下である。この添加量が多すぎると重合反応が急激に進行して色相が悪化する場合があり、また少なすぎると組成物を十分に硬化させることができなくなる場合がある。
(5)補助成分
本発明の放射線硬化性組成物には、製造される硬化物が本発明の目的を著しく逸脱しない限りにおいて、必要に応じて添加剤など補助成分を加えてもよい。かかる補助成分としては、例えば溶剤類、酸化防止剤、熱安定剤、あるいは光吸収剤等の安定剤類、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、粘土鉱物、金属繊維、金属粉等のフィラー類、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料(フィラー類、フラーレン類などを総称して無機充填成分と称する)、難燃剤、防黴剤、補強剤、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等の改質剤類、顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類等が例示される。これら補助成分の添加量は、製造される硬化物が本発明の目的を著しく逸脱しない限り制限されないが、通常、放射線硬化性組成物の50重量%以下である。
[放射線硬化性組成物の製造方法]
本発明の放射線硬化性組成物の、好ましい製造方法について詳細に説明する。
本発明の放射線硬化性組成物の製造方法としては、(A)表面処理剤でシリカ粒子を改質する工程、(B)ウレタン結合を有するオリゴマーを混合させる工程、及び(C)10〜100℃の温度下で溶媒を除去する工程、を順次行う方法が挙げられる。この製造方法によれば、シリカ粒子の2次凝集や粒子径の粗大化を防ぎ、高度に分散された放射線硬化性組成物を容易に得ることができる。
上記(A)の工程は、室温にて、通常は0.5〜24時間撹拌操作を行い、反応を進行させるが、100℃以下の温度で加熱してもよい。加熱すると反応速度が増し、より短時間で反応を行わせることができる。
上記(B)の工程は、上記(A)の工程における反応が十分に終了してから行う必要がある。上記(A)の反応が十分に進行する以前に(B)の操作を行うと、オリゴマーが均一に混ざらなかったり、後工程において組成物が白濁したりする傾向がある。(B)の工程は室温にて行うことができるが、オリゴマーの粘度が高い場合や、オリゴマーの融点が室温以上の場合は、加熱して行うことができる。
上記(C)の工程においては、主として水及びアルコール、ケトンなどの溶媒の除去が行われる。ただし必要な範囲で除去されれば良く、必ずしも完全に除去されなくても良い。なお、温度が記載された範囲よりも低いと、溶媒の除去が十分に行われない傾向がある。逆に高すぎると、組成物がゲル化しやすくなる。
本発明の放射線硬化性組成物の更に好ましい製造方法としては、(a)アルコキシシランのオリゴマーを10〜100℃の温度下で加水分解しシリカ粒子を合成する工程、(b)シランカップリング剤をシリカ粒子に反応させる工程、(c)ウレタン結合を有するオリゴマーを混合させる工程、及び(d)10〜75℃の温度下で溶媒を除去する工程、を順次行う方法である。この製造方法によれば、粒径が揃った超微粒子のシリカ粒子が高度に分散された放射線硬化性組成物をより容易に得ることができる。
上記(a)の工程において、温度が記載の範囲よりも低いと、シリカ粒子が形成される反応が十分に進行しない。逆に高すぎるとオリゴマーのゲル化反応が起こりやすくなる。
上記(b)の反応は、室温にて進行する。通常は0.5〜24時間撹拌操作を行い、反応を進行させるが、100℃以下の温度で加熱してもよい。加熱すると反応速度が増し、より短時間で反応を行わせることができる。
上記(c)の工程は、上記(b)の反応が十分に終了してから行う必要がある。上記(b)の反応が十分に進行する以前に(c)の操作を行うと、オリゴマーが均一に混ざらなかったり、後工程において組成物が白濁したりするため好ましくない。(c)の工程は室温にて行うことができるが、オリゴマーの粘度が高い場合や、オリゴマーの融点が室温以上の場合は、加熱して行うことができる。
上記(d)の工程においては、主として水及びアルコール、ケトンなどの溶媒の除去が行われる。ただし必要な範囲で除去されれば良く、必ずしも完全に除去されなくても良い。なお、温度が記載された範囲よりも低いと、溶媒の除去が十分に行われない。逆に高すぎると、組成物がゲル化しやすくなる。
以上説明した好ましい製造方法によれば、組成物に後から充填材(シリカ粒子など)やシランカップリング剤を添加し分散させる方法に比べて、より粒径が小さい超微粒子を、しかも大量に、凝集させることなく分散させられる利点がある。従って得られる放射線硬化性組成物は、光透過性を損なうことなく、硬化物の寸法安定性や機械的強度を高めるために十分な量のシリカ粒子が分散されたものとなる。そして、それを硬化させて得られる放射線硬化物は、密着性、透明性、表面硬度、寸法安定性、機械的物性に優れると共に、耐候性も兼ね備えた優れた性質を持つ利点がある。
[放射線硬化条件]
本発明の硬化物は、上記の放射線硬化性組成物に放射線を照射して重合反応を開始させるいわゆる「放射線硬化」によって得られる。
重合反応の形式に制限はなく、例えばラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合などの公知の重合形式を用いることができる。
なお、本発明において、放射線とは、必要とする重合反応を開始させる重合開始剤に作用して該重合反応を開始する化学種を発生させる、電磁波(ガンマ線、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線等)又は粒子線(電子線、α線、中性子線、各種原子線等)である。
本発明において好ましく用いられる放射線の一例は、汎用光源を使用可能であることから紫外線、可視光線、及び電子線が好ましく、最も好ましくは紫外線及び電子線である。電子線を用いる場合、その光源および照射装置は高価であるものの、開始剤の添加を省略可能であること、及び酸素による重合阻害を受けず、従って表面硬化性が良好となるため、好ましく用いられる場合がある。
紫外線を用いる場合、紫外線によりラジカルを発生する光ラジカル発生剤(前記例示参照)を重合開始剤とし紫外線を放射線として使用する方法が採用される。この時、必要に応じて増感剤を併用してもよい。上記紫外線は、波長が通常200〜400nmの範囲で
あり、この波長範囲は好ましくは250〜400nmである。一方、該紫外線の強度は通常0.1〜200J/cm2 のエネルギー範囲で照射する。
かかる放射線の照射エネルギーや照射時間が極端に少ない場合は重合が不完全なため硬化物の耐熱性,機械特性が十分に発現されない場合がある。該照射時間は通常1秒以上とし、好ましくは2秒以上とする。ただし、逆に極端に過剰な場合は黄変等光による色相悪化に代表される劣化を生ずる場合がある。従って照射時間は通常3時間以下とし、生産性の点で好ましくは1時間程度以下とする。
該放射線の照射は,一段階でも、あるいは複数段階で照射してもよく、その線源として通常は放射線が全方向に広がる拡散線源を用い、通常、賦形された前記硬化性組成物を固定静置した状態又はコンベアで搬送された状態とし、放射線源を固定静置した状態で照射する。
また、前記硬化性組成物を適当な被着材(例えば樹脂、金属、半導体、ガラス、紙等)上の塗布液膜とし、次いで放射線を照射して該塗布液膜を硬化させることも可能である。
さらに、前記硬化性組成物の放射線硬化の前又は/及び後に、ポリイソシアネート架橋物等の架橋剤を添加し、熱硬化など放射線硬化以外の方法による硬化過程を導入してもよい。
[放射線硬化物]
本発明の放射線硬化物は、通常、溶剤等に不溶不融の性質を示し、各種の用途に有利な性質を備え、密着性、透明性、表面硬度、寸法安定性、機械的物性に優れると共に、耐候性も兼ね備えた優れた性質を持つ利点がある。また、硬化収縮が小さいほど好ましい。
放射線硬化物の有する特性について、より詳しく説明する。
上記放射線硬化物の透明性については、ナトリウムD線波長における光路長0.1mm当たりの光線透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、更に好ましくは89%以上である。
本発明の放射線硬化物は、JIS K5400に準拠した鉛筆硬度試験による表面硬度がHB以上であるのが好ましく、F以上であるのが更に好ましく、H以上であるのが特に好ましく、7H以下であるのが好ましい。硬度が小さすぎると、表面に傷が付きやすい。硬度が大きすぎること自体の問題はないが、硬化物が脆くなる傾向となり、クラックや剥離が生じやすい。
また、放射線硬化物の熱膨張が小さいほど、より良好な寸法安定性を有していることを意味し、好ましい。例えば、熱膨張の具体的指標の一つである線膨張係数が小さいほど好ましく、13×10-5/℃以下が好ましく、より好ましくは12×10-5/℃以下、更に好ましくは10×10-5/℃以下、特に好ましくは9×10-5/℃以下である。
さらには、硬化収縮は小さいほど好ましく、例えば3体積%以下である。より好ましくは2体積%以下である。
本発明の放射線硬化物は、各種溶剤に対して溶解しないことが好ましい。代表的には
トルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランなどの溶剤に対して溶解しないことが好ましい。
さらに、本発明の放射線硬化物は、被着材上に膜厚100μmの硬化物層を形成した積層体を、80℃、85%RHの環境下に100時間置いた後の被着材に対する密着面積の割合が、当初密着面積の50%以上を保持しているのが好ましい。
[放射線硬化性樹脂組成物の用途]
本発明の放射線硬化性樹脂組成物は、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ポリ
カーボネートなど種々のプラスチックや紙、金属など、種々の基材に対して密着性のよい被膜を形成することができる。従って本発明に係る放射線硬化性組成物は、この特性を生かして印刷インキ、塗料、接着剤、表面保護材などのコーティング用途として好ましく用いられる。
この組成物からなるインク等をオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、感熱転写方式、溶融転写方式、昇華感熱転写方式、インクジェット方式などを用いて基材上に印刷し、印刷インキを乾燥した後、放射線を照射し、印刷インキを硬化させればよい。塗料、蒸着用アンカーコート材、表面保護材などとして用いる場合には、この組成物を、バーコータ、スピンコータ、ナイフコータ、グラビアコータ、ロールコータなどの公知の方法を用いて基材上に塗布乾燥した後、必要に応じてトップ層を積層し、放射線を照射して硬化させればよい。例えば、基材の耐磨耗性を向上させるための表面保護材として基材の表面に本発明に係る放射線硬化性組成物の被膜を形成する場合には、乾燥後の厚さが下限値が通常、1μm以上、好ましくは3μm以上、上限値が通常15μm以下となるように基材にこの組成物を塗布し、必要に応じて乾燥したのち、放射線を照射して硬化させればよい。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物を基材層として用いる場合、積層体は、少なくとも基材層、被覆層が積層されており、積層体における基材層は、印刷インキ、塗料、接着剤、表面保護材等の被覆層の少なくとも片面に本発明の放射線硬化性組成物を含有する基材を用いて形成される層である。基材には、本発明の放射線組成物の硬化物を単独で用いてもよいし、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂などの樹脂や、上記に記載のシランカップリング剤、他のオリゴマー成分、反応性希釈剤、重合開始剤、補助成分等を含有してもよい。また、基材層の塗工は上記に記載の公知の方法にて行われ、基材層の厚さは、下限値が通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、上限値が通常、1000μm以下、好ましくは500μm以下である。
また本発明の放射線硬化性樹脂組成物を被覆層として用いる場合、積層体は、少なくとも基材層、被覆層が積層されており、積層体における被覆層は、基材層の少なくとも片面に本発明の放射線硬化性組成物を含有する被覆層を用いて形成される層である。基材層の種類や形状は特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂などの種々のプラスチック類や、紙、金属などが挙げられる。被覆層としては印刷インキ、塗料、接着剤、表面保護材等が挙げられ、その塗工方法は上記に記載の通りである。また、好ましい基材層の厚さは、下限値が通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、上限値が通常、500μm以下、好ましくは300μm以下である。
さらに、本発明の放射線硬化性樹脂組成物を含む積層体には他の樹脂層等が積層されていてもよく、例えば表面層として、トップコート層などを施すことも可能である。これらのトップコート層には二液硬化型のアクリルウレタン樹脂、紫外線硬化樹脂、放射線硬化樹脂等を使用することができる。
また、基材と被覆層などの密着性をより高めるために層間にプライマー層、接着剤層を設けることも可能である。この際用いられる材料にはウレタン樹脂系、アクリル樹脂系及びポリエステル樹脂系等の材料が好ましい。印刷模様は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等公知の印刷方法により形成することができる。
以下、本発明の具体的態様について実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
<評価方法>
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察:日立製作所(株)社製H−9000UHR型透過型電子顕微鏡(加速電圧300kV、観察時の真空度約7.6×10-9Torr)にて行った。数平均粒子径の決定は、観察される超微粒子像と同面積の円の直径を該粒子像の粒子径と定義した。
(2)光線透過率:厚さ0.1mmの試験片を、ミノルタ(株)製SPECTROPHOTOMETER CM−3500Dにて室温で測定した。波長550nmにおける透過率を代表値とした。
(3)線膨張係数:5mm×5mm×1mmの板状試験片を用いて、圧縮法熱機械測定(TMA;SSC/6100型;セイコーインスツルメント(株)製)にて加重1g、昇温速度10℃/分で測定した。線膨張係数は、40℃から100℃までの範囲を10℃刻みで評価し、その平均値を代表値とした。
(4)表面硬度:JIS K5400に準拠した鉛筆硬度試験により測定した。
(5)経時密着性:10cm角のポリカーボネート製基材表面に、放射線硬化性組成物を塗布し、硬化させることにより、膜厚100μmの硬化物層を有する積層体となし、該積層体を、80℃、85%RHに設定した恒温恒湿槽内に100時間置いた後、取り出した積層体に2cm方眼を描いた透明フィルムを重ね合わせ、被着材に対する剥離面積が半分以下である方眼の数を数え、その全体数25個に対する百分率を算出し、それを、被着材に対する密着面積の割合とした。
(6)耐候安定性:キセノンウエザオメーター((株)アトラス社製Ci35AW)を用いブラックパネル温度63℃、湿度58%RHで400時間照射後の表面硬度と強度保持率を評価した。表面硬度についてはJIS K5400に準拠した鉛筆硬度試験により測定した。また、強度保持率については、ポリエチレンフィルム上にドクターブレード(100μm)を用いて塗布して硬化させた樹脂を巾10mmに裁断した後、耐候性試験前後の塗膜の物性を測定し、破断強度の保持率を算出した。測定は、引張試験機((株)エー・アンド・デー製テンシロン万能試験機RTC−1210A)を用い、引張速度10mm/分、温度23℃、相対湿度55%の条件下で引張り試験を行った。
実施例1
[a]テトラメトキシシランオリゴマーの調製
テトラメトキシシラン234gとメタノール74gを混合した後、0.05%塩酸22.2gを加え、65℃で2時間加水分解反応を行った。次いで系内温度を130℃に昇温し、生成したメタノールを除去した後、窒素ガスを吹き込みながら温度を徐々に150℃まで上昇させ、そのまま3時間保ってテトラメトキシシランモノマーを除去した。
[b]シリカ粒子の調製
上記操作によって得られたテトラメトキシシランオリゴマー30.8gにメタノール62.4gを加えて均一に撹拌した後、触媒としてアセチルアセトンアルミニウムを0.31g溶解させた。この溶液に脱塩水6.5gを撹拌しながら徐々に滴下させ、そのまま60℃で2時間撹拌し、シリカ粒子を成長させた。生成したシリカ粒子の直径は、TEM電子顕微鏡を用いた形態観察により、2〜5nmと見積られた。
[c]シランカップリング剤によるシリカ粒子表面の疎水性化処理
上記の操作によって得られたシリカ粒子のアルコール溶液40gにシランカップリング剤としてアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン10gを加え、60℃にて2時間撹拌し、シリカ粒子表面にシランカップリング剤を反応させ、シラン処理シリカ粒子溶液50gを得た 。
[d]ウレタン結合を有するモノマー単位化合物のオリゴマーの合成
4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート222.3gとジブチルスズラウレート0.1gを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌する。温度が一定になったら、ポリカーボネートポリオール((株)クラレ製、クラレポリオールC−1090、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=9/1のカーボネートジオール)を600g滴下し、温度を80℃に保ちながら2時間撹拌する。温度を70℃まで下げてから、2−ヒドロキシエチルアクリレート102gとメトキノン0.2gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌させ、ウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。このカーボネート結合含有ウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリカーボネートポリオールに由来する構成単位を65%含有するものであった。
[e]放射線硬化性組成物の調製
上記シラン処理シリカ粒子溶液50gに、上記カーボネート結合含有ウレタンアクリレート150gにアクリロイルモルフォリン50gを加えた希釈液を38.3g、光ラジカル発生剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2.7g添加し、室温にて2時間撹拌して透明な放射線硬化性組成物を得た。放射線硬化性組成物100重量部中のシリカ粒子含有量は25重量部であった。
この硬化性組成物に含まれる低沸点成分を、減圧下30℃で1時間エバポレーションによって除去した。
[f]硬化性組成物の硬化と成形
これを、ドクターブレード(100μm)を用いてポリエチレンフィルムに塗布し、UV硬化装置(アイグラフィックス(株)製;UB041−5AM)を用いて樹脂より距離15cmの位置に設置された出力120W/cmの高圧水銀ランプにて4秒間紫外線を照射して硬化物を得た。得られた硬化物の諸物性を表―1に示した。光線透過率が高く、線膨張係数が低く、表面硬化性、経時密着性および耐候性に優れた性質を示した。この樹脂硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。
実施例2
実施例1の[d]工程でポリカーボネートポリオール((株)クラレ製、クラレポリオールC−1090、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=9/1のカーボネートジオール)600gを200gに、さらにポリオールとして1,4−ブタンジオール36gを加えた以外は実施例1と同様に行い樹脂硬化物を得た。このカーボネート結合含有ウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリカーボネートポリオールに由来する構成単位を36%含有するものであった。また、放射線硬化性組成物100重量部中のシリカ粒子含有量は25重量部であった。樹脂硬化物の諸物性を表−1に示す。この樹脂硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。
実施例3
実施例1の[f]工程で、高圧水銀ランプによる紫外線照射の代わりに電子線照射装置(ENERGI SCIENCES INC.製;ELECTROCURTAIN)を用い、酸素濃度100ppm以下の雰囲気にて、照射強度5Mrad、加速電圧175kVで硬化を行った以外は実施例1と同様に行い樹脂硬化物を得た。このカーボネート結合含有ウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリカーボネートポリオールに由来する構成単位を65%含有するものであった。樹脂硬化物の諸物性を表−1に示す。この樹脂硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようと
しても実質的に不溶であった。
実施例4
実施例1の[e]工程でシラン処理シリカ粒子溶液50gを100gに代えた以外は実施例1と同様に行い樹脂硬化物を得た。このカーボネート結合含有ウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリカーボネートポリオールに由来する構成単位を65%含有するものであった。また、放射線硬化性組成物100重量部中のシリカ粒子含有量は40重量部であった。樹脂硬化物の諸物性を表―1に示す。この樹脂硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。
比較例1
実施例1の[d]工程でポリカーボネートポリオール((株)クラレ製、クラレポリオールC−1090、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=9/1のカーボネートジオール)600gをポリテトラメチレンエーテルグリコール(分子量1000)600gに代えた以外は実施例1と同様に行い、ポリカーボネートポリオールに由来する構成を含有しないウレタンアクリレートオリゴマーを得た。放射線硬化性組成物100重量部中のシリカ粒子含有量は25重量部であった。樹脂硬化物の諸物性を表−1に示す。この樹脂硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。
比較例2
[a]、[b]、及び[c]工程を行わず、[e]工程でシラン処理シリカ粒子溶液50gを用いなかった以外は実施例1と同様に行い樹脂硬化膜を得た。このカーボネート結合含有ウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリカーボネートポリオールに由来する構成単位を65%含有するものであった。また、放射線硬化性組成物100重量部中のシリカ粒子含有量は0重量部であった。樹脂硬化物の諸物性を表―1に示す。この樹脂硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。
Figure 2005089657
本発明の放射線硬化性組成物を用いた場合、密着性、透明性、表面硬度、寸法安定性、機械的物性等に優れると共に、耐候性にも優れた硬化物を提供することができる。かかる特性を利用して、本発明の放射線硬化性組成物及びその硬化物は種々の材料に有利に利用でき、特に印刷インキ用バインダーやハードコート層等のコーティング用途に有用である

Claims (7)

  1. ウレタン結合及びカーボネート結合を有するオリゴマーとシリカ粒子とを含有してなる放射線硬化性組成物。
  2. オリゴマーが、ラジカル重合性を有するものである、請求項1に記載の放射線硬化性組成物。
  3. オリゴマーが、(メタ)アクリレート基を有するものである、請求項1又は2に記載の放射線硬化性組成物。
  4. オリゴマーが、ポリカーボネートポリオールに由来する構成単位を5重量%以上含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の放射線硬化性組成物。
  5. シリカ粒子が、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解物からなるものである請求項1〜4のいずれかに記載の放射線硬化性組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の放射線硬化性組成物を含有してなるコーティング剤。
  7. 少なくとも基材層及び被覆層からなる積層体において、該基材層および/または被覆層に請求項1〜5のいずれかに記載の放射線硬化性組成物してなる積層体。
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