JP5953130B2 - ウレタン(メタ)アクリレート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
その中でもウレタン(メタ)アクリレートは、構成原料の多様性による設計自由度の高さから、目的に応じ強靭性、耐薬品性、柔軟性などの特長を持つ様々なタイプが製造されている。
特にポリカーボネートジオールを原料とするウレタン(メタ)アクリレートは、その構造に起因する特長より、良好な耐加水分解性、耐候性、耐薬品性を有し、かつ柔軟性も優れている材料として各種特許文献により紹介されている(特許文献1〜5参照)。
また前記各種文献は、原料であるポリカーボネートジオールの1級末端OH比率に着目しておらず、1級末端OH比率が低いものが合成原料として用いられる可能性があるため、1級末端OH比率が低いポリカーボネートジオールを合成原料として使用した場合、反応相手であるイソシアネートとの反応速度が遅くなり速度コントロールが困難になる事や、得られた反応物が目的の性能を発揮しないという問題が生じることがあった。
一方、ポリカーボネートジオールの1級末端OH比率が100%に限りなく近く高いものをウレタン(メタ)アクリレートの原料に使用した場合、得られる合成物の粘度が非常に高くなるという問題があった。
[1]少なくとも2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)と、下記一般式(A)で表わされる繰り返し単位及び末端ヒドロキシル基からなるポリカーボネートジオール(b)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(c)との反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートであって、該ポリカーボネートジオール(b)は必須の繰り返し単位として下記式(B)で表わされる繰り返し単位と下記式(C)で表わされる繰り返し単位とを含み、下記式(B)で表わされる繰り返し単位と下記式(C)で表わされる繰り返し単位の合計が一般式(A)で表わされる繰り返し単位全体の60〜100モル%であり、下記成分:
トリメチロールプロパントリアクリレート 20部
前記ウレタン(メタ)アクリレート(固形分として) 30部
酢酸n−ブチル(合計) 52部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2部
を含む混合物をポリカーボネート板にコーティングし、膜厚が20μmとなるように800mJ/cm2の紫外線を照射し硬化して得られる塗膜(膜厚:20μm)は、クロスカット法(JIS−K−5600)において剥離が認められず、かつ塗膜に塗布した油性黒インキをイソプロピルアルコールで除去した際の除去前後の色差(ΔE)が3以下である、ウレタン(メタ)アクリレート。
(但し、式中のRは、炭素数2〜12の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表わす。)
[2] 上記塗膜を80℃の温水中4時間浸漬させた後でも、クロスカット法で剥離が認められない、[1]に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
[3] ポリカーボネートジオール(b)の1級末端OH比率が95.0〜99.5%である、[1]又は[2]に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
[4] ポリカーボネートジオール(b)の分子量が、900〜1100である、[1]から[3]のいずれか一つに記載のウレタン(メタ)アクリレート。
[5] ウレタン(メタ)アクリレートを得るための反応の際に生じるイソシアネート化合物(a)と水酸基含有(メタ)アクリレート(c)との直接付加物の割合が、反応で得られる生成物全体に対して0.1〜12重量%である、[1]から[4]のいずれか一つに記載のウレタン(メタ)アクリレート。
[6] [1]〜[5]のいずれか一つに記載のウレタン(メタ)アクリレートと、それ以外の(メタ)アクリル酸エステルとを含む、配合組成物。
[7] 更に、重合開始剤を含む、[6]に記載の配合組成物
[8] 少なくとも2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)と、下記一般式(A)で表わされる繰り返し単位及び末端ヒドロキシル基からなり、必須の繰り返し単位として下記式(B)で表わされる繰り返し単位と下記式(C)で表わされる繰り返し単位とを含み、下記式(B)で表わされる繰り返し単位と下記式(C)で表わされる繰り返し単位の合計が一般式(A)で表わされる繰り返し単位全体の60〜100モル%であり、かつ1級末端OH比率が95.0〜99.5%であるポリカーボネートジオール(b)とを反応させて両末端イソシアネート基のプレポリマーを得た後、水酸基含有ウレタン(メタ)アクリレート(c)をさらに反応させる工程を含む、ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
(但し、式中のRは、炭素数2〜12の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表わす。)
[9] ポリカーボネートジオール(b)の分子量が900〜1100である、[8]に記載のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
[10] [1]から[5]のいずれか一つに記載のウレタン(メタ)アクリレートを含む、コーティング材料。
[11] [1]から[5]のいずれか一つに記載のウレタン(メタ)アクリレートを含む、成型材料。
[12] [6]または[7]に記載の配合組成物を含む、コーティング材料。
[13] ポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネートとABSの複合体から成る樹脂に対するコーティング用途として使用される、[10]または[12]に記載のコーティング材料。
[14] [6]または[7]に記載の配合組成物を含む、成型材料。
[15] [10]または[12]に記載のコーティング材料を、ポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネートとABSの複合体から成る樹脂にコーティングした、コーティング物。
[16] [15]に記載のコーティング物が、モバイル機器といわれる携帯電話、スマートフォン、携帯型音楽プレーヤー、パーソナルコンピューター躯体、およびそれらの保護カバー、保護フィルムのいずれかである、コーティング物。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、少なくとも2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)と、下記一般式(A)で表わされる繰り返し単位及び末端ヒドロキシル基からなるポリカーボネートジオール(b)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(c)との反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートであって、該ポリカーボネートジオール(b)は必須の繰り返し単位として下記式(B)で表わされる繰り返し単位と下記式(C)で表わされる繰り返し単位とを含み、下記式(B)で表わされる繰り返し単位と下記式(C)で表わされる繰り返し単位の合計が一般式(A)で表わされる繰り返し単位全体の60〜100モル%である該ウレタン(メタ)アクリレートである。
(但し、式中のRは、炭素数2〜12の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表わす。)
トリメチロールプロパントリアクリレート 20部
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(固形分として)30部
酢酸n−ブチル(合計) 52部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2部
本発明で用いるイソシアネート化合物は、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート及びその混合物、粗製トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(PMDI)、ジアニジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、p−フェニレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート;4,4´−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート(水添MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)などの脂環式ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)及びその混合物、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、リジンイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートを挙げることができる。耐光性、耐候性などの観点から、脂環式ジイソシアネート又は脂肪族ジイソシアネートを用いることが好ましい。中でも異なる反応速度のイソシアネート基を持ち分子量制御が容易となるイソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
上記のイソシアネート化合物として、それらのカルボジイミド変性、イソシアヌレート変性、ビウレット変性、アロファネート変性、ウレトジオン変性などの変性物を用いてもよく、各種のブロッキング剤によりブロックされたブロックドイソシアネートを用いてもよいが、反応中ゲル化させしないためにはイソシアネート基は通常2官能であることが好ましい。通常は1種のイソシアネートを選択して用いるが、これらのイソシアネート化合物から2種類以上を選択しそれらを混合して、または逐次追加して用いることができる。さらに、反応中にゲル化させない範囲であれば1分子中にイソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネートを用いることもできる。1分子中にイソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネートとしては、上記のジイソシアネートのイソシアヌレート三量体、ビウレット三量体、トリメチロールプロパンアダクト化合物、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネートなどが挙げられる。さらに、これらのイソシアヌレート変性やビウレット変性などの変性物を用いてもよく、各種のブロッキング剤によりブロックされたブロックドイソシアネートを用いてもよい。
本発明で用いるポリカーボネートジオール(b)は、下記一般式(A)で表わされる繰り返し単位及び末端ヒドロキシル基からなるポリカーボネートジオールであり、下記式(B)で表わされる繰り返し単位は、必須の繰り返し単位として、ポリカーボネートジオール(b)に含まれる。下記式(C)で表わされる繰り返し単位は、下記式(B)との組み合わせにより粘度および柔軟性を下げることができるため、ポリカーボネートジオール(b)に含まれることが好ましい。下記式(B)で表わされる繰り返し単位と、下記式(C)で表わされる繰り返し単位の合計は、通常、ポリカーボネートジオール(b)の一般式(A)で表される繰り返し単位(ポリカーボネートジオール(b)の繰り返し単位全体)の60〜100モル%である。
(但し、式中のRは、炭素数2〜12の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表わす。)
1級末端OH比率(%)=A÷B×100 (1)
A:両末端が1級OH基であるジオールのピーク面積の総和
B:ジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)のピーク面積の総和)
1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールに加え、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ナノジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどの側鎖を持たないジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールなどの側鎖を持ったジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパンなどの環状ジオールから、1種類又は2種類以上のジオールを原料として用いることができる。その量は、本発明で特定するポリカーボネートジオール(b)の繰り返し単位の割合を満たせば、特に限定させるのもではない。
また、第一の工程の反応温度が170℃を超えると、例えばエチレンカーボネートを原料とした場合、分解反応が起こり易くなり分解により発生するエチレンオキサイドの量が増加する。エチレンオキサイドは脂肪族ジヒドロキシ化合物、又はエチレンカーボネートと脂肪族ジヒドロキシ化合物との反応により生成するエチレングリコールと反応しエーテル基を有するジオール化合物を生成させる。このエーテル基を有するジオール化合物は、最終的には脂肪族ポリカーボネートジオールの主鎖骨格に取り込まれるため、第一の工程が170℃を超えると脂肪族ポリカーボネートジオールの主鎖骨格中のエーテル基含量が増大してしまう。このエーテル基含量が増大すると、脂肪族ポリカーボネートジオールの耐熱性、耐候性が低下してしまうので好ましくない。
(但し、式中のRは、炭素数2〜12の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表わす。)
本発明で用いられるポリカーボネートジオール(b)の共重合割合を上記範囲とするためには、前述のポリカーボネートジオールの製造において、沸点の低い1,5−ペンタンジオールの方が多く留去される傾向にあり、1,5−ペンタンジオールの仕込みを多くする必要がある。原料ジオールである1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールの仕込み時のモル比は通常28:72〜83:17、好ましくは39:61〜72:28である。
本発明で用いられるポリカーボネートジオール(b)の平均分子量の範囲は、数平均分子量で通常300〜3000である。数平均分子量が300以上であれば、ウレタン(メタ)アクリレートの柔軟性が低下することもなく、また、3000以下であれば、ウレタン(メタ)アクリレートの原料とするには元々の粘度が高く製造時のハンドリングの難しさや希釈溶剤を多量に使用するという事態も発生しない。数平均分子量が800〜2000の範囲であればさらに好ましく、900〜1100であれば基材との密着性および耐汚染性といった耐久性の指標となる物性バランスが高次元で両立できるため最も好ましい。
本発明で用いる水酸基含有(メタ)アクリレート(c)としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、グリセリンモノアクリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、ポリカプロラクトングリコールモノアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、並びにこれらのアクリレートに対するメタアクリレート等が挙げられ、水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマーであれば原料として使用できる。これらは、単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
本発明において、ポリカーボネートジオール原料ウレタン(メタ)アクリレートは、特定のイソシアネート化合物(a)と、ポリカーボネートジオール(b)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(c)との反応生成物である。ポリカーボネートジオール原料ウレタン(メタ)アクリレートは、公知の方法により得ることができる。例えば、イソシアネート化合物(a)と、ポリカーボネートジオール(b)とを反応させて、末端がイソシアネート基となったプレポリマーを合成した後、これに水酸基含有(メタ)アクリレート(c)を反応させる方法等がある。
本発明において水酸基含有(メタ)アクリレート(c)の配合量はその水酸基当量に基づいて決定され、イソシアネート化合物(a)とポリカーボネートジオール(b)の反応で得られた末端イソシアネート基重合物のイソシアネート基当量と、水酸基当量とが等しいことが好ましい。等量以下では重合物の末端にイソシアネート基が残存したものが存在し、本発明とは異なるものとなる。イソシアネート基末端を全て反応させるために安全を見て等量より少し多くすることも可能であるが、その好ましい範囲は水酸基/イソシアネート基比率で1.0〜1.5である。水酸基/イソシアネート基比率が1.0未満では、イソシアネート基が残存し貯蔵安定性に悪影響を与えるので好ましくない。水酸基/イソシアネート基比率が1.0を超える場合、(c)成分は本発明の構造に取り込まれずアクリルモノマーとしてそのまま存在することになり、配合設計の自由度を損なうものとなる。ただし、コーティング組成物や成型用組成物の配合構成原料として本発明の構造に取り込まれない(c)成分を意図的に利用する場合はこの限りでない。
以下に本発明で使用されるコーティング組成物の材料について述べる。
本願明細書中で述べるコーティングとは、対象物の表面に1層以上の硬化物層を設けることであり、その手法は特に限定されないが、一般的な各種塗装機、印刷機、コーター等により行われる。コーティング材料の分類としては、各種塗料、インキ、接着剤粘着剤等が挙げられる。
成型物とは、これらの材料をある一定の形状に硬化させて得るものであり、コーティング組成物と使用する材料は基本的に共通である。
ポリカーボネートジオール原料ウレタン(メタ)アクリレートの粘度の調整や、硬化して得られる樹脂の架橋密度を調整するために、適当な反応性希釈剤を用いることができる。反応性希釈剤としては、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸プロピレングリコール、ジアクリル酸1,4−ブタンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸1,9−ノナンジオール、ジアクリル酸ネオペンチルグリコール、ジアクリル酸メチルペンタンジオール、ジアクリル酸テトラエチレングリコール、ジアクリル酸シクロヘキサンジメタノール、ジアクリル酸ポリエトキシレートビスフェノールA、ジアクリル酸ポリプロキシ水添ビスフェノールAなどのジアクリル酸エステル及びこれらに対応するジメタアクリル酸エステル;トリメチロールプロパントリアクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリアクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラアクリル酸エステルなどの多官能アクリル酸エステル及びこれらに対応する多官能メタアクリル酸エステル;アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステルおよびこれらに対応するメタアクリル酸エステル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、アジピン酸ジビニルなどのビニルエステルモノマー類、アクリルアミド、N−ビニルホルムアルデヒド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−t−ブチルアクリルアミドなどのアクリルアミドなどが挙げられる。希釈剤の添加量は、本発明のポリカーボネートジオール原料ウレタン(メタ)アクリレートの特性が損なわれない限りは、特に限定する必要はないが、使用する場合は本発明のポリカーボネートジオール原料ウレタン(メタ)アクリレートとの合計重量中5〜90%であることが好ましい。さらに好ましくは10〜80である。5%以上では希釈の効果が得られ、90%以下では本発明のポリカーボネートジオール原料ウレタン(メタ)アクリレートの特性が得られる。これら反応性希釈剤を使用する場合、本発明のポリカーボネートジオール原料ウレタン(メタ)アクリレートを得るための合成時に添加してもよく、配合組成物とする際に添加してもよい。
(6)コーティング品、成型物
本発明品が具体的に使用されるのは、携帯電話やスマートフォン、パーソナルコンピューター等の情報家電への塗装、光学フィルムや建材向けフィルムへのコーティング、特殊レンズ等のUV硬化成形品、自動車内装および外装部品といったものが一例として挙げられる。その中でも、人の手に触れかつカバン等に入れられ持ち運ばれる、いわゆるモバイル機器といわれる携帯電話、スマートフォン、携帯型音楽プレーヤー、パーソナルコンピューター躯体、およびそれらの保護カバーや保護フィルムといったものの各部品表面へのコーティング用途に用いられることが、本発明の効果が最も発揮でき好ましい。これらの被コーティング物の材質はプラスチック、木、紙、金属の中で特に限定されないが、ポリカーボネートジオール樹脂あるいはABSとポリカーボネートジオールの複合体からなる樹脂にコーティングされた際に最も性能が発揮でき好ましい。
以下の実施例及び比較例において示す値は下記の方法で測定した。
ポリカーボネートジオールの1級末端OH比率は、以下の方法で測定した。ポリカーボネートジオールの70g〜100gを300ccのナスフラスコに測り取り、留分回収用のトラップ球(trap bulb)に接続したロータリーエバポレーターを用いて0.1kPa以下の圧力下、攪拌下、約180℃の加熱浴でポリカーボネートジオールを加熱して、トラップ球に該ポリカーボネートジオールの1〜2重量%に相当する量の留分、即ち約1g(0.7〜2g)の初期留分を得て、これを約100g(95〜105g)のエタノールを溶剤として用いて回収し、回収した溶液をGC分析にかけて得られるクロマトグラムのピーク面積の値から下記数式(1)により算出した。
A:両末端が1級OH基であるジオールのピーク面積の総和
B:ジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)のピーク面積の総和
ガスクロマトグラフィーの分析条件:カラム;DB−WAX(米国J&W社製)、30m、膜厚0.25μm、昇温条件:60℃〜250℃、検出器:FID(flame ionization detector)。
無水酢酸とピリジンを用い、水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定する「中和滴定法(JIS K 0070−1992)」によって水酸基価を決定し、下記数式(2)を用いて計算した。
数平均分子量=2/(OH価×10−3/56.1) (2)
100mlのナスフラスコにポリカーボネートジオール(b)のサンプルを1g取り、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて、100℃で1時間反応した。反応液を室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを2〜3滴添加し、塩酸で中和した。冷蔵庫で1時間冷却後、沈殿した塩を濾過で除去し、GC(ガスクロマトグラフィー)を用いて分析した。GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国、J&W製)をつけたガスクロマトグラフィーGC−14B(日本、島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内部標準として、検出器をFIDとして行った。なお、カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/minで250℃まで昇温した。
(i)共重合割合
上記の分析結果を用い、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとのモル比から共重合割合(1,5−ペンタンジオールの全モル数:1,6−ヘキサンジオールの全モル数)を求めた。
(ii)主成分割合
上記の分析結果を元に下記数式(3)により求めた。
主成分割合(モル%)=(B+C)/A×100 (3)
A:上記一般式(A)の繰り返し単位に由来するジオールの全モル数
B:1,5−ペンタンジオールの全モル数
C:1,6−ヘキサンジオールの全モル数
ジオール原料として用いた1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール及び1,6−ヘキサンジオールをガスクロマトグラフィーで分析した。条件は、カラムとしてDB−WAX(J&W製)をつけたガスクロマトグラフィーGC−14B(島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内標として、検出器をFIDとして行った。なお、カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/minで250℃まで昇温した。
イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基量は、イソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
得られたウレタン(メタ)アクリレートの粘度は、株式会社トキメックのE型粘度計を用い25℃で測定した。
反応生成物に含まれるイソシアネート化合物(a)と水酸基含有(メタ)アクリレート(c)の直接付加物の含有量を、GPC(東ソー株式会社製)によって分析した。
原料に用いた1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールを分析した。1,5−ペンタンジオールは、純度が98.4%で、1,5−ヘキサンジオールが1.1重量%、1,4−シクロヘキサンジオールを0.1重量%含んでいた。残りの0.4重量%は、複数の不明物であった。1,6−ヘキサンジオールは、純度が98.9%で、1,4−シクロヘキサンジオールを0.6重量%含んでいた。残りの0.5重量%は、複数の不明物であった。ポリカーボネートジオール(b)の重合例6、比較例3、4を除き、重合例及び比較例は当該原料を使用した。
得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−1と称す。
ポリカーボネートジオールの重合例1と同じ装置を用い、ジメチルカーボネートを380g(4.2mol)、1,5−ペンタンジオールを320g(3.1mol)、1,6−ヘキサンジオールを140g(1.2mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.05gを加え、ポリカーボネートジオールの合成例1と同条件で反応を行った。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−2と称す。
ポリカーボネートジオールの重合例1と同じ装置を用い、ジエチルカーボネートを590g(5.0mol)、1,5−ペンタンジオールを280g(2.7mol)、1,6−ヘキサンジオールを300g(2.5mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、ポリカーボネートジオールの合成例1と同条件で反応を行った。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−3と称す。
ポリカーボネートジオールの重合例1と同じ装置を用い、ジエチルカーボネートを590g(5.0mol)、1,5−ペンタンジオールを200g(1.9mol)、1,6−ヘキサンジオールを280g(2.4mol)、1,4−ブタンジオールを80g(0.9mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、4.0〜5.0kPaの圧力下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら、10時間反応した。その後、反応温度を175℃〜185℃、圧力1.0〜3.0kPaで、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら5時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、185℃で8時間反応した。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−4と称す。
なお、原料に用いた1,4−ブタンジオールを分析したところ、純度が99.6重量%であり、0.4重量%は複数の不明物であった。
ポリカーボネートジオールの重合例1と同じ装置を用い、エチレンカーボネートを450g(5.1mol)、1,5−ペンタンジオールを260g(2.5mol)、1,6−ヘキサンジオールを310g(2.6mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.10gを加え、常圧で攪拌・昇温させた。反応温度を140℃〜150℃、圧力4.0〜5.0kPaで、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を留去しながら10時間反応を行った。その後、0.5kPaまで減圧し、エチレンカーボネートとジオールを留去しながら、180℃でさらに5時間反応した。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−5と称す。
重合例1〜5で使用した1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを蒸留で精製した。その結果、1,5−ペンタンジオールについては、純度が98.9%で、1,5−ヘキサンジオールが0.3重量%、1,4−シクロヘキサンジオールは検出されなかった。残りの0.8重量%は、複数の不明物であった。1,6−ヘキサンジオールについては、純度が99.2%で、1,4−シクロヘキサンジオールを0.2重量%含んでいた。残りの0.6重量%は、複数の不明物であった。上記の原料を用いてポリカーボネートジオールを重合した。
ジエチルカーボネートを590g(5.0mol)、精製した1,5−ペンタンジオールを280g(2.7mol)、精製した1,6−ヘキサンジオールを300g(2.5mol)用いた以外は、ポリカーボネートジオールの重合例1に示す装置及び条件で反応を行った。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−6と称す。
ポリカーボネートジオールの重合例1と同じ装置を用い、ジエチルカーボネートを590g(5.0mol)、1,5−ペンタンジオールを280g(2.7mol)、1,6−ヘキサンジオールを300g(2.5mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、4.0〜5.0kPaの圧力下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら、10時間反応した。その後、反応温度を180℃〜210℃、圧力4.0〜6.0kPaで、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら3時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、210℃で3時間反応した。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−7と称す。
ポリカーボネートジオールの重合例1と同じ装置を用い、ジメチルカーボネートを440g(4.9mol)、1,6−ヘキサンジオールを590g(5.0mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、ポリカーボネートジオールの合成例1と同条件で反応を行った。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−8と称す。
ポリカーボネートジオールの重合例1と同じ装置を用い、重合例6で用いた精製した1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを用いて重合を行った。エチレンカーボネートを450g(5.1mol)、純度98.9%の1,5−ペンタンジオールを260g(2.5mol)、純度99.2%の1,6−ヘキサンジオールを310g(2.6mol)用いた以外は、ポリカーボネートジオールの重合例5に示す条件で反応を行った。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−9と称す。
重合例1〜6で用いた原料と異なる1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを用意し、分析した。用意した1,5−ペンタンジオールは、純度が96.2%で、1,5−ヘキサンジオールが2.5重量%、1,4−シクロヘキサンジオールを0.5重量%含んでいた。残りの0.8重量%は、複数の不明物であった。用意した1,6−ヘキサンジオールは、純度が96.7%で、1,4−シクロヘキサンジオールを0.8重量%含んでいた。残りの2.5重量%は、複数の不明物であった。用意した1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを用い、ポリカーボネートジオールの重合例1と同じ装置を用いて重合を行った。ジメチルカーボネートを380g(4.2mol)、1,5−ペンタンジオールを320g(3.1mol)、1,6−ヘキサンジオールを140g(1.2mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.05gを加え、重合例1に示す条件で反応を行った。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−10と称す。
上記のポリカーボネートジオールを用いて、ウレタン(メタ)アクリレートを作製した。
比較例3で得られたポリカーボネートジオールに、モノアルコール(2−エチルヘキサノール)6.5g(0.05mol)を添加した。150℃まで加温した後0.5kPaまで減圧しジオールを留去しながら2時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−11と称す。
ポリカーボネートジオールの重合例1と同じ装置を用い、ジメチルカーボネートを485g(5.4mol)、1,5−ペンタンジオールを310g(3.0mol)、1,6−ヘキサンジオールを300g(2.5mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.08gを加え、4.0〜5.0kPaの圧力下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、10時間反応した。その後、反応温度を180℃〜185℃、圧力1.0〜3.0kPaで、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら2時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、185℃で3時間反応した。
得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−12と称す。
ポリカーボネートジオールの重合例1と同じ装置を用い、ジメチルカーボネートを485g(5.4mol)、1,5−ペンタンジオールを310g(3.0mol)、1,6−ヘキサンジオールを300g(2.5mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.08gを加え、4.0〜5.0kPaの圧力下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、10時間反応した。その後、反応温度を180℃〜185℃、圧力1.0〜3.0kPaで、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら4時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、185℃で7時間反応した。
得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC−13と称す。
攪拌機、冷却管、窒素流入管、温度計を備えた500mlの4口フラスコに、イソホロンジイソシアネート43.6gを入れた。フラスコ中に窒素を0.1cc/分の量で流入させ、攪拌しながらオイルバスを用い50℃に加熱した後、触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.01g入れ、滴下ロートを用い100gのポリカーボネートジオールPC−1と酢酸n−ブチル72.0gの混合溶液を1時間掛けて滴下した。この混合液の反応終点確認は、反応が平衡に達しておりかつ計算上のイソシアネート基残存量付近に達しているかという確認で行うため、PC−1滴下完了2時間30分後および3時間後のイソシアネート残存量を滴定により測定した。測定の結果、残存量は理論値付近でかつ反応が平衡に達していることが確認できた。該反応液を70℃に加熱した後、ジブチル錫ジラウレートを0.02g追加し、窒素流入を止め、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート25.5g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.02gを均一に混合した溶液を、別の滴下ロートを用いて1時間かけて滴下し、さらに3時間撹拌して反応させた。イソシアネートの反応率が99%以上となったことを、残存イソシアネート量を滴定することにより確認した。得られたウレタンアクリレートをUAP−1と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
合成例1と同じ装置を用いて、ポリカーボネートジオールをPC−2に変え、イソホロンジイソシアネートを47.9g、酢酸n−ブチルを75.4g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート28.1gとした以外は装置、その他の原料、反応条件とも合成例1と同様に操作し、ウレタンアクリレートを得た。該ウレタンアクリレートをUAP−2と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
ポリカーボネートジオールをPC−3に代え、イソホロンジイソシアネートを41.1g、酢酸n−ブチルを71.0g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを24.0gとした以外は装置、その他の原料、反応条件とも合成例1と同様に操作し、ウレタンアクリレートを得た。該ウレタンアクリレートをUAP−3と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
ポリカーボネートジオールをPC−4に代え、イソホロンジイソシアネートを42.8g、酢酸n−ブチルを72.0g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを25.1gとした以外は装置、その他の原料、反応条件とも合成例1と同様に操作し、ウレタンアクリレートを得た。該ウレタンアクリレートをUAP−4と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
ポリカーボネートジオールをPC−5に代え、イソホロンジイソシアネートを42.5g、酢酸n−ブチルを72.0g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを24.9gとした以外は装置、その他の原料、反応条件とも合成例1と同様に操作し、ウレタンアクリレートを得た。該ウレタンアクリレートをUAP−5と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
ポリカーボネートジオールをPC−6に代え、イソホロンジイソシアネートを45.3g、酢酸n−ブチルを74.0g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを26.5gとした以外は装置、その他の原料、反応条件とも合成例1と同様に操作し、ウレタンアクリレートを得た。該ウレタンアクリレートをUAP−6と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
ポリカーボネートジオールをPC−11に代え、イソホロンジイソシアネートを42.3g、酢酸n−ブチルを72.0g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを24.8gとした以外は装置、その他の原料、反応条件とも合成例1と同様に操作し、ウレタンアクリレートを得た。該ウレタンアクリレートをUAP−7と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
ジイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネートの代わりにヘキサメチレンジイソシアネートを32.9g、酢酸n−ブチルを68.0g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを24.7g用いた以外は装置、その他の原料、反応条件とも合成例1と同様に操作し、ウレタンアクリレートを得た。該ウレタンアクリレートをUAP−8と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
水酸基含有アクリレートとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(トリアクリレート含有量70wt%)83.6gを用い、イソホロンジイソシアネートを43.6g、酢酸n−ブチルを97.0gとした以外は装置、その他の原料、反応条件とも合成例1と同様に操作し、ウレタンアクリレートを得た。該ウレタンアクリレートをUAP−9と称し、得られたウレタンアクリレートの粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
ポリカーボネートジオールをPC−12に代え、イソホロンジイソシアネートを56.0g、酢酸n−ブチルを80.9g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを32.8gとした以外は装置、その他の原料、反応条件とも合成例1と同様に操作し、ウレタンアクリレートを得た。該ウレタンアクリレートをUAP−10と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
ポリカーボネートジオールをPC−13に代え、イソホロンジイソシアネートを22.1g、酢酸n−ブチルを57.9g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを12.9gとした以外は装置、その他の原料、反応条件とも合成例1と同様に操作し、ウレタンアクリレートを得た。該ウレタンアクリレートをUAP−11と称し、反応生成物中の直接付加物含有量測定結果の粘度測定結果を表2に示す。
ポリカーボネートジオールをPC−7に代え、イソホロンジイソシアネート38.8g、酢酸n−ブチルを69.5g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを23.4gとした以外は装置、その他の原料、反応条件とも合成例1と同様に操作し、ウレタンアクリレートを得た。該ウレタンアクリレートをUAP−12と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
ポリカーボネートジオールをPC−8に代え、イソホロンジイソシアネートを46.3g、酢酸n−ブチルを74.0g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを27.1gとし、固体状のPC−8を50℃に加温し液状に戻す作業を行った以外は装置、その他の原料、反応条件とも合成例1と同様に操作し、ウレタンアクリレートを得た。該ウレタンアクリレートをUAP−13と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
合成例1と同じ装置を用い、ポリカーボネートジオールをPC−9に代えて反応を行った。4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート44.3gを入れた。攪拌しながら50℃に加熱した後、触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.01g入れ、滴下ロートを用い100gのポリカーボネートジオールPC−9と酢酸n−ブチル73.0gの混合溶液を1時間掛けて滴下した。この混合液の反応終点確認は、合成例1同様反応が平衡に達しておりかつ計算上のイソシアネート基残存量付近に達しているかという確認で行うため、PC−9滴下完了1時間30分後および2時間後のイソシアネート残存量を滴定により測定した。測定の結果、その際に粘度が上昇し攪拌が困難になっていることを確認したため、フラスコ中に酢酸n−ブチル97.7gを追加した。追加により反応液の粘度が下がり攪拌が容易になったことを確認できたため、フラスコ中に窒素を0.1cc/分の量で流入させ、反応液を70℃に加熱した後、ジブチル錫ジラウレートを0.02g追加し、窒素流入を止め、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート25.9g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.02gを均一に混合した溶液を、別の滴下ロートを用いて1時間かけて滴下し、さらに3時間撹拌して反応させた。イソシアネートの反応率が99%以上となったことを、残存イソシアネート量を滴定することにより確認した。得られたウレタンアクリレートをUAP−14と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
合成例1と同じ装置を用いて、ポリカーボネートジオールをPC−10に代えて合成を行った。イソホロンジイソシアネート48.8gを入れ、窒素を0.1cc/分の量で流入させ、攪拌しながら50℃に加熱した後、触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.01g入れ、滴下ロートを用い、100gのポリカーボネートジオールPC−10と酢酸n−ブチル76.0gの混合溶液を1時間掛けて滴下し、さらに3時間攪拌して反応させた。その時点でのイソシアネート基残存量を滴定により確認した所、理論値から離れており反応が最後まで進行していないことが確認されたため、70℃に昇温して2時間攪拌しながら反応を継続させた。その時点でのイソシアネート基の残存分析結果とさらに同温度で30分反応させた時点での分析結果に変化がなかったため、ジブチル錫ジラウレートを0.02g追加した後窒素流入を停止し、引き続き70℃の条件で2−ヒドロキシエチルメタアクリレート28.6g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.02gを均一に混合した溶液を、別の滴下ロートを用いて1時間かけて滴下し、さらに3時間撹拌して反応させた。イソシアネートの反応率が99%以上となったことを、残存イソシアネート量を滴定することにより確認した。得られたウレタンアクリレートをUAP−15と称し、粘度測定結果と反応生成物中の直接付加物含有量測定結果を表2に示す。
配合組成物として、合成したウレタンアクリレート(UAP−1〜UAP−15)と、その他のアクリレート成分としてトリメチルプロパントリアクリレート(TMPTA)と、光重合開始剤としてIrgacure184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)とを用いた(表3)。配合組成物の塗装表面仕上がりを良くする目的で粘度調整のため酢酸n−ブチルを希釈剤として用いた。配合比較例2は合成したUAP−11が結晶化していたため50℃×4時間加温した後配合し、直ちに塗装に用いた。また表3の配合はそれぞれ固形分70%となるように調整しているが、配合比較例3では、合成したUAP−3由来の酢酸n−ブチルが多く含まれるために追加配合なしでも固形分が70%を下回ることから、追加の酢酸n−ブチルは用いず評価に供した。なお、下記する密着性、二次密着性、及び耐汚染性試験は、下記の割合で成分を配合して、硬化塗膜を作製した(これらの配合組成物の例は、試験配合例、試験比較配合例と称することにする)。
トリメチロールプロパントリアクリレート 20g
ウレタン(メタ)アクリレート(固形分) 30g
酢酸n−ブチル(合計) 52g
光重合開始剤(Irgacure184) 2g
―――――――――――――――――――――――――――――
104g
1)密着性
耐久性の指標の一つである密着性の評価を行った。トリメチロールプロパントリアクリレートを20部、ウレタン(メタ)アクリレート(固形分)を30部、酢酸n−ブチルを52部、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を2部の割合で配合し、その配合組成物を、厚さ約2mm、幅100mm、長さ150mmのポリカーボネート板上にアプリケーターで硬化後膜厚が約20μmとなるように塗装し、UV照射機(株式会社オーク製作所、ハンディUV−300)を用いて800mJ/cm2の照度でUV光重合させ硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜について基材との密着性を、JIS−K−5600クロスカット法(23℃)を用いて評価した。剥離およびクロスカット部分の欠けが認められないものを0、クロスカット部分に欠けと僅かな剥がれが認められるものを1、クロスカット面が35%以上剥がれているものを5とした6段階で目視にて判断した。評価結果を表4に示す。
耐久性の促進試験の位置付けで、熱と加水分解の影響を確認できる、二次密着性の評価を行った。上記1)と同様に硬化塗膜を作製し、硬化塗膜をそのまま(剥がしたりクロスカットを入れたりせずに)80℃4時間浸漬させ、室温まで冷えた後JIS−K−5600クロスカット法で評価した。評価基準は、1)と同様である。評価結果を表4に示す。
人間の手による汚れ、環境汚れ、また意図的、非意図的に付着する生活の場で遭遇する汚れ(例えばコーヒーや毛染め剤)に対する耐性の評価方法として以下の試験を行った。基材として白色カーボネート板を用い、上記1)と同様に硬化塗膜を作製し、耐汚染性の評価に供した。耐汚染性の評価として、市販の油性マーカー(マジックインキ、登録商標)のイソプロピルアルコール(IPA)による除去性を確認した。まずコーティング膜上に太字タイプの油性マーカーで面積が1cm2以上となるよう塗りつぶし、1分間静置後1cc程度のIPAを垂らし、マーカーのインキを浮き上がらせた後ティッシュペーパーで静かにインキ全てを拭き取った。この耐汚染性試験前後の色差の変化を、色差計(カラーコンピューター:スガ試験機製 SM−T45、測定孔12mm)、45−0法で評価した。耐汚染性試験の評価結果を表4に示す。
塗膜への傷の付きやすさの指標となる硬さの評価方法として、鉛筆硬度を測定した。表3の配合を用い、厚さ約2mm、幅100mm、長さ150mmのポリカーボネート板上にアプリケーターで硬化後膜厚が約20μmとなるように塗装し、UV照射機(株式会社オーク製作所、ハンディUV−300)を用いて800mJ/Wの照度でUV光重合させ硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜についてJIS K−5600に準拠し、鉛筆硬度を測定した。評価結果を表5に示す。
塗膜に付着する日常的に使用される化学物質への耐性を調べるため、耐薬品性試験を行った。上記4)と同様の操作で得られた硬化塗膜の表面に、5%の水酸化ナトリウム液を直径1〜2cmの大きさとなるように滴下し、23℃の温度で24時間静置した後水洗し、硬化塗膜の外観の変化を確認した。変化の有無を目視により、変化無=○(良)、変化有=×(不良)として判断した。評価結果を表5に示す。
上記4)と同様の操作で得られた塗膜の表面を目視にて観察した。オレンジピールのような細かい凹凸が見られたものを×(不良)、若干認められるものを△、認められないものを○(良)として判断した。評価結果を表5に示す。
7)耐衝撃性
塗膜の柔軟性および強靭性の指標になり、また耐久性に直接繋がる衝撃による塗膜の割れ、剥がれの起き難さを判断する評価として、デュポン式耐衝撃性試験機を用いた。上記4)と同様の操作で得られた硬化塗膜上に、1/4インチの撃芯をセットし、500gの重りを所定の高さから落下させ、塗膜の割れや塗膜の浮きの有無を目視で確認した。塗膜の割れや塗膜の浮きが認められない最大高さ(cm)を耐衝撃性として示した。評価結果を表5に示す。
上記4)と同様の操作で得られた硬化塗膜についてゲル分率を測定した。まず表3の配合を用いアプリケーターでブリキ板上に硬化後膜厚が約50μmとなるように塗装し、800mJ/WのエネルギーでUV光重合し硬化塗膜を得た。そのフィルム状のコーティング膜を剥がした後、それをアセトンに23℃の温度下で24時間浸漬し、浸漬前後の重量を測定し、下記の計算によりアセトン不溶分を求めた。評価結果を表6に示す。
ゲル分率(%)=(アセトン浸漬後の重量)/(アセトン浸漬前の重量)×100
上記4)と同様の操作で得られた硬化塗膜を、JIS K5600摩耗輪法に従い耐磨耗性を評価した(摩耗輪CS−10、重り500g、500回転)。試験での減少重量測定結果を表6に示す。
本発明のポリカーボネートジオール原料ウレタン(メタ)アクリレートを使用して得られる塗膜は優れた密着性、耐汚染性を示すが、UVコーティング剤がポリカーボネートジオール原料ウレタン(メタ)アクリレートを使用しているかどうかの確認は、必要に応じて分取型GPCを用いた分子量による分取を行った後、(A)FT−IRによる結合状態分析(B)熱分解ガスクロマトグラフによる組成分析を実施することで確認できる。その条件を下記する。
分析機器は特に限定されないが、JASCO FT/IR−4200を使用する。必要に応じ分取型GPCを用い、アクリレートモノマーに該当する分画以外を分析に用いる。得られた分取物を岩塩板に塗布し1250cm−1のカーボネート結合COの鋭いピーク有無を確認する。
分析条件と装置は特に限定されないが、(A)と同じ分取物用い下記装置及び条件で分析する。
熱分解装置:FRONTER LAB 2020D
加熱温度:600℃
GC/MS装置:日本電子AutomassSUN
カラム:DB-1(0.25mm i.d.×30m)液相厚0.25μm
カラム温度:40℃(5min)→(20℃/min昇温)→300℃(12min保持)
注入口温度:320℃
注入法:スプリット法(スプリット比1/50)
インターフェイス温度:300℃
イオン源:EI、温度240℃、PM=360V
配合組成物として、表7に記載の割合で配合組成物を調製した。成型は直径10cmのガラスシャーレで行い、硬化厚みが2mmとなるように配合組成物を流し込み、1500mJ/cm2のエネルギーでUV光重合させ硬化成型物を得た。
ショアD硬度計を用い、成形品配合実施例1、成形品配合比較例1、成型配合比較例2の硬化成型物の硬度を測定した。測定結果を表8に示す。
成形品配合実施例1、成形品配合比較例1、成型配合比較例2の硬化成型物の表面を目視にて観察した。オレンジピールのようなこまかい凹凸が見られたものを×(不良)、認められないものを○(良)として判断した。評価結果を表8に示す。
Claims (13)
- 少なくとも2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)と、下記一般式(A)で表わされる繰り返し単位及び末端ヒドロキシル基からなるポリカーボネートジオール(b)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(c)との反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートであって、該ポリカーボネートジオール(b)は必須の繰り返し単位として下記式(B)で表わされる繰り返し単位と下記式(C)で表わされる繰り返し単位とを含み、下記式(B)で表わされる繰り返し単位と下記式(C)で表わされる繰り返し単位の合計が一般式(A)で表わされる繰り返し単位全体の60〜100モル%であり、該ポリカーボネートジオール(b)の1級末端OH比率が95.0〜99.5%であり、該ポリカーボネートジオール(b)の分子量が、900〜1100であり、下記成分:
トリメチロールプロパントリアクリレート 20部
前記ウレタン(メタ)アクリレート(固形分として) 30部
酢酸n−ブチル(合計) 52部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2部
を含む混合物をポリカーボネート板にコーティングし、800mJ/cm2の紫外線を照射し硬化して得られる塗膜(膜厚:20μm)は、クロスカット法(JIS−K−5600)において剥離が認められず、かつ塗膜に塗布した油性黒インキをイソプロピルアルコールで除去した際の除去前後の色差(ΔE)が3以下である、ウレタン(メタ)アクリレート。
(但し、式中のRは、炭素数2〜12の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表わす。)
- 上記塗膜を80℃の温水中4時間浸漬させた後でも、クロスカット法で剥離が認められない、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
- ウレタン(メタ)アクリレートを得るための反応の際に生じるイソシアネート化合物(a)と水酸基含有(メタ)アクリレート(c)との直接付加物の割合が、反応で得られる生成物全体に対して0.1〜12重量%である、請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレートと、それ以外の(メタ)アクリル酸エステルとを含む、配合組成物。
- 更に、重合開始剤を含む、請求項4に記載の配合組成物
- 少なくとも2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)と、下記一般式(A)で表わされる繰り返し単位及び末端ヒドロキシル基からなり、必須の繰り返し単位として下記式(B)で表わされる繰り返し単位と下記式(C)で表わされる繰り返し単位とを含み、下記式(B)で表わされる繰り返し単位と下記式(C)で表わされる繰り返し単位の合計が一般式(A)で表わされる繰り返し単位全体の60〜100モル%であり、かつ1級末端OH比率が95.0〜99.5%であり、かつ分子量が、900〜1100であるポリカーボネートジオール(b)とを反応させて両末端イソシアネート基のプレポリマーを得た後、水酸基含有ウレタン(メタ)アクリレート(c)をさらに反応させる工程を含む、ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
(但し、式中のRは、炭素数2〜12の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表わす。)
- 請求項1から3のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレートを含む、コーティング材料。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレートを含む、成型材料。
- 請求項4または5に記載の配合組成物を含む、コーティング材料。
- ポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネートとABSの複合体から成る樹脂に対するコーティング用途として使用される、請求項7または9に記載のコーティング材料。
- 請求項4または5に記載の配合組成物を含む、成型材料。
- 請求項7または9に記載のコーティング材料を、ポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネートとABSの複合体から成る樹脂にコーティングした、コーティング物。
- 請求項12に記載のコーティング物が、モバイル機器といわれる携帯電話、スマートフォン、携帯型音楽プレーヤー、パーソナルコンピューター躯体、およびそれらの保護カバー、保護フィルムのいずれかである、コーティング物。
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