JP5070292B2 - 有機トランジスタとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機化合物を用いた電界効果トランジスタ(以下、有機トランジスタとする)に関する。更に詳しくは、低電圧駆動の有機トランジスタに関する。
近年、有機トランジスタはシリコン等の無機半導体トランジスタに代わる次世代デバイスとして注目されている。
有機トランジスタは、シリコン半導体製造プロセスに比べ200℃以下の低温で素子作製が可能なことや、有機化合物を溶解し、インクジェットなどの印刷技術や、スピンコート等の、真空状態を必要としない液相プロセスでの素子作製が可能である。そのため、プラスチック基板上での素子作製が可能となり、電子ペーパーや電子タグといったフレキシブルデバイスへの応用が期待されている。さらに、低温、常圧で素子を作製できることにより、製造工程の簡便化および製造コストの低減やトランジスタの大面積化が容易という利点もある。
一方で、有機トランジスタの特性は、半導体層にペンタセンを用いたもので、移動度は1cm2/Vs程度と、アモルファスシリコン以上の特性を示している。しかし、ゲート絶縁層には一般的にシリコン酸化膜などの無機酸化物やポリイミドなどの高分子材料(膜厚100〜300nm程度)が用いられ、駆動電圧は20〜100Vと高い。この高い駆動電圧では、有機化合物へのダメージや消費電力の増大が懸念されるため実際の使用は困難である。
さて、低電圧での駆動を実現するためには、トランジスタの閾値電圧を低減する必要がある。
金属−金属酸化膜−半導体構造(いわゆるMOS構造)の電界効果型トランジスタ(FET)において、閾値電圧Vthは式(1)により表すことができる。
Figure 0005070292
[式中、Viはゲート絶縁層に印加する電圧、φsは半導体表面電位、ε0は真空誘電率、
εsは半導体層の比誘電率、qは素電荷、Nはキャリア濃度、φBは半導体層における真性準位とフェルミ準位との差、Ciはゲート絶縁層の容量をそれぞれ示している]
式1から、ゲート絶縁層の容量Ciを大きくすることで、閾値電圧の低減が可能になることが判る。
さらに、ゲート絶縁層の容量は式2で表すことができる。
Figure 0005070292
[式中、Ciおよびε0は、式(1)で定義したとおりであり、dはゲート絶縁層の厚さ、εrはゲート絶縁層の比誘電率を示している。]
つまり、ゲート絶縁層の容量を減少させ、低閾値電圧駆動を実現するためにはゲート絶縁層の比誘電率εrを大きくするか、または、ゲート絶縁層の膜厚dを小さくすることが重要であることが判る。
ゲート絶縁層の比誘電率を大きくする試みとして特許文献1などが挙げられる。しかし、一般に高い比誘電率を有する材料は無機酸化物が多く、これら無機酸化膜を形成する場合、従来のシリコン半導体プロセスを用いる必要があるため、低温で、かつ、真空プロセスを用いずに作製することが困難である。
一方で、ゲート絶縁層の膜厚を小さくする試みとして非特許文献1〜非特許文献3が挙げられる。ともに、有機分子の自己組織化膜が用いられ、膜厚は分子が直立したときの分子長にほぼ等しく、数ナノメートル程度であるため、閾値電圧の絶対値は2V以下、駆動電圧は5V以下の低電圧駆動が可能である。また、自己組織化膜は高温、真空プロセスを用いないで作製することが可能という利点も持っている。
また、有機分子を用いた有機発光素子の発光効率の向上および長寿命化の試みとして特許文献2などが挙げられる。
特開2003−25820号公報 特開2004−103547号公報 Marcus Halikら、"Nature"、vol. 431、p.p. 963−966、2004 Myung-Han Yoonら、"PNAS"、vol. 102、No. 13、p.p. 4678−4682、2005 Soeren Steudelら、"Applied Physics Letter"、vol. 85、p.p. 4400、2004
しかしながら、非特許文献1に記載のゲート絶縁層は、長鎖アルキル基を主鎖骨格として有する分子の単分子膜より構成され、隣接する分子同士は弱いファンデルワールス力により配列しているため、分子の長軸方向に対して直交した面内での分子間の相互作用は弱く、ピンホールを生じ易いという課題がある。
一方で、非特許文献2には、アルキル骨格の分子層、高分極率分子層および分子の長軸方向に対し直行した平面をシロキサン結合で架橋するキャッピング層から構成される積層分子膜が記載されている。この場合、シロキサン結合で架橋されているため、膜の面内強度は向上し、ピンホールが生じ難い構造となっている。
しかしながら、キャッピング層の形成に用いられる試薬はクロロシリル基を多く含む化合物であり、禁水性のため、取扱いが困難である。また、キャッピング層形成時に副生する塩酸により電極材料および積層分子膜の腐食が懸念されるため、実際の使用には困難であった。
かくして、本発明によれば、少なくともゲート電極と、該ゲート電極上に形成されたゲート絶縁層とを有し、
前記ゲート絶縁層は、前記ゲート電極表面に、第一の有機分子の一方の末端部との間の第一の共有結合を介して前記ゲート電極表面に対して略垂直方向に結合している第一の有機分子層と、
前記第一の有機分子層の他方の末端部に、第二の有機分子の一方の末端部との間の第二の共有結合を介して結合している第二の有機分子層とから構成される積層分子膜とを含み、
前記第二の共有結合が、前記積層分子膜の積層方向に直交する面方向で、互いに隣接する他の第二の共有結合との間で水素結合を形成されている有機トランジスタが提供される。
また、更に本発明によれば、ゲート電極表面に、第一の有機分子の一方の末端部との間の第一の共有結合を介して前記ゲート電極表面に対して略垂直方向に第一の有機分子層を形成する第一の工程と、
前記第一の有機分子層の他方の末端部に、第二の有機分子の一方の末端部との間の第二の共有結合を介して第二の有機分子層を形成し、前記第一の有機分子層および第二の有機分子層とから構成される積層分子膜からなるゲート絶縁層を形成する第二の工程と、
前記第二の共有結合の、前記積層分子膜の積層方向に直交する面方向で、互いに隣接する他の第二の共有結合との間に水素結合を形成させる第三の工程と、
を含む有機トランジスタの製造方法が提供される。
本発明の有機トランジスタの構造とその製造方法によれば、第二の共有結合が、積層分子膜の積層方向に対し直交した面、すなわちゲート電極の面と概ね平行な方向で、互いに隣接する他の第二の共有結合との間に水素結合を形成することにより、隣接する分子間の相互作用が強まり、ピンホールが生じ難いゲート絶縁層を穏和な条件で作製することが可能である。
また、第二の有機分子層を複数層積層させることで、互いに隣接する第二の共有結合間の水素結合の形成箇所が、積層分子膜の積層方向に増加するため、更なるピンホールの減少が可能である。
また、第一の有機分子層が芳香環、すなわちベンゼン骨格からなる場合は、ゲート電極に対し略垂直方向に剛直な分子構造を有する分子層を積層することが可能である。
また、第二の有機分子層が、アルカンを主鎖とする骨格から構成されることで、アルキル主鎖のσ結合により電子の移動性が低く、分子層の積層方向に対し、該分子層自身の絶縁性が向上する。
また、積層分子膜のゲート電極と反対側の末端基がフェニル基またはメチル基であることで、ゲート絶縁層表面つまり、積層分子膜のゲート電極と反対側の末端基と接触する有機半導体層の有機分子が、フェニル基または、メチル基の疎水性表面により、配列が向上し、有機半導体層のキャリア移動度の向上が可能である。
また、第一の共有結合がシロキサン結合であり、第一の有機分子層がベンゼン骨格であり、第二の共有結合がアミド結合であり、第二の有機分子層がアルカンを主鎖とする骨格からなることで、積層膜内分子密度が高く、形成されるゲート絶縁膜の上面の平坦性が高い絶縁層を得ることが可能である。
また、第一の有機分子層がベンゼン骨格、第二の共有結合がアミド結合、第二の有機分子層が、該分子の未反応末端部にフェニル基をもつアルキル骨格からなることで、膜内分子密度が高い絶縁層と絶縁層と接触する有機半導体層のキャリア移動度の高い半導体層を得ることが可能である。
第二の共有結合が、アミノ基とカルボキシ基、アミノ基とイソシアネート基およびヒドロキシ基とイソシアネート基との組合せのいずれかにおける反応により形成されることで、基板、ゲート電極および積層分子膜に悪影響を及ぼす副生成物の発生なく、穏和な条件で、分子の長軸方向に対し直交した面方向で水素結合を発現させ、分子間の相互作用を強めることが可能である。
本発明の有機トランジスタの概略図である。 本発明の有機トランジスタの製造工程を示す概略図である。 本発明の有機トランジスタの製造工程を示す概略図である。 本発明の有機トランジスタの製造工程を示す概略図である。 本発明の有機トランジスタの製造工程を示す概略図である。
符号の説明
11:基板、
12:ゲート電極、
13:ゲート絶縁層、
131:第一の共有結合、
131a:第一の有機分子層、
132:第二の共有結合、
132a:第二の有機分子層
14:有機半導体層、
15、16:ソース、ドレイン電極
21:基板、
22:ゲート電極、
23:ゲート絶縁層、
231:第一の共有結合、
231a:第一の有機分子層、
232:第二の共有結合、
232a:第二の有機分子層
24:有機半導体層、
25、26:ソース、ドレイン電極
31:基板、
32:ゲート電極、
33:ゲート絶縁層、
331:第一の共有結合、
331a:第一の有機分子層、
332:第二の共有結合、
332a:第二の有機分子層
34:有機半導体層、
35、36:ソース、ドレイン電極
41:基板、
42:ゲート電極、
43:ゲート絶縁層、
431:第一の共有結合、
431a:第一の有機分子層、
432:第二の共有結合、
432a:第二の有機分子層
44:有機半導体層、
45、46:ソース、ドレイン電極
51:基板、
52:ゲート電極、
53:ゲート絶縁層、
531:第一の共有結合、
531a:第一の有機分子層
532:第二の共有結合、
532a:第二の有機分子層
532b:第二の有機分子層(2層目)
532z:最終端分子層
54:有機半導体層、
55、56:ソース、ドレイン電極
本発明の有機トランジスタの構造、材料及び製造方法について図1〜5を用いて説明する。
まず、構造について説明する。
図1は本発明の有機トランジスタの構造を模式的に描いたものである。本発明の有機トランジスタは、基板11と、ゲート電極12と、第一の有機分子層と第二の有機分子層で構成される積層分子膜からなるゲート絶縁層13と、有機半導体層14と、ソース/ドレイン電極15、16とをこの順で有する。
しかしながら、上記有機半導体層14と、上記ソース/ドレイン電極15、16とが、上記と逆の順番で積層される有機トランジスタも本発明の一部を構成するものである。
すなわち、図1ではトップコンタクト型のトランジスタが開示されているが、ボトムコンタクト型のトランジスタでも構わない。
より具体的には、上記積層分子膜は、ゲート電極表面に、第一の共有結合131を介して前記ゲート電極表面に対して略垂直方向に結合している第一の有機分子層131aと、前記第一の有機分子層131aの未反応末端部に、第二の共有結合132を介して結合している第二の有機分子層132aから構成されている。
また、上記の第二の有機分子層132aは、それ自身が他方の末端部と、前記第二の共有結合を介して他の有機分子層の一方の末端との間で2層以上積層されていてもよい。
なお、本願発明で用いられる用語「略垂直方向」とは、電極表面に対して45°〜135°の範囲、好ましくは、60°〜120°の範囲の方向を意味する。
上記構造により、分子の長軸方向に対し、直交する面方向で隣接する第二の共有結合同士が水素結合を形成する。そのため、分子間の相互作用を強め、隣接する分子間の相互作用が強まり、ピンホールを生じ難くすることが可能になる。
また、第二の共有結合を介して形成される第二の有機分子層を複数層備える構造も好ましく、上記構造により、隣接する第二の共有結合間における水素結合の形成箇所が増加するため、更なるピンホールの減少が可能になる。
次に、本願発明による有機トランジスタの構成材料について説明する。
基板
基板11に適した材料としては、ディスプレイへの応用を考慮すると、透明性が高いものが好ましく、具体的には、ガラス、石英等が挙げられる。
さらに、フレキシブルデバイスへの応用を考慮すると、アクリル樹脂、ポリエチレンスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどプラスチック基板も好ましい。
ゲート電極
ゲート電極12に適した材料としては、積層分子膜が第一の共有結合を形成するための官能基を有していることが好ましい。
具体的には水酸基が表面に露出した材料が好ましく、ITO(酸化インジウム錫)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等の無機酸化導電物や、自然酸化膜を形成し得る金属、半導体材料であるアルミニウム、チタン、タンタル、低抵抗シリコンが挙げられる。
また、上記以外にも硫黄原子とゲート電極材料の金属表面との間で第一の共有結合を形成することも好ましく、具体的には、金、銀、白金などが挙げられる。
ゲート絶縁層
本発明におけるゲート絶縁層は、第一の共有結合、第一の有機分子層、第二の共有結合、および少なくとも1層の第二の有機分子層から構成されることを特徴とする。
また、本発明におけるゲート絶縁層は、上記の第二の有機分子層が2層以上積層されている場合には、これらの第二の有機分子層は互いに、第二の共有結合を介して積層されていることを特徴とする。
次に、ゲート絶縁層13を構成する積層分子膜に適した共有結合様式、分子層の官能基、骨格について説明する。
(第一の共有結合)
まず、第一の共有結合131について説明する。
第一の共有結合としては、ゲート電極が、ゲート電極表面に水酸基を有している場合は、シロキサン結合、リン酸結合が好ましい。
また、ゲート電極表面と第一の有機分子層との結合を形成するための官能基としては、シロキサン結合を形成する場合には、クロロシリル基、メトキシシリル基またはエトキシシリル基が好ましく、リン酸結合を形成する場合には、ホスフォニル基が好ましい。
さらに前記官能基としては、三官能性のものが好ましく(例えば、トリクロロシリル基、トリメトキシシリル基やトリエトキシシリル基)、この場合、第一の共有結合、すなわちシロキサン結合を介して積層される第一有機分子層の積層方向に対して直交する面方向で隣接する第一の共有結合間が、シロキサン結合で架橋され、隣接する分子間の相互作用を強化できる。
また、ゲート電極表面金属と硫黄原子が第一の共有結合を形成することも好ましく、この場合には、水酸基の導入(酸化膜の作製)などの工程を省くことができる。
ゲート電極表面と第一の有機分子層との結合を形成するための官能基としては、チオール基またはジチオール基が挙げられる。
(第一の有機分子層)
次に第一の有機分子層131aについて説明する。
まず、第一の有機分子層を形成する有機分子は、ゲート電極表面に、第一の有機分子の一方の末端部との間の第一の共有結合を形成するための官能基と、前記第一の有機分子の他方の末端部には、第二の有機分子の一方の末端部との間の第二の共有結合を形成するための官能基とを有することが構成要件である。
該第一の有機分子は、該分子の一方の末端部が、前記ゲート電極の表面と第一の共有結合を形成して、該ゲート電極表面に第一の有機分子層からなる積層膜を形成する。
第一の有機分子が有する、前記第一の共有結合を形成するための官能基としては、特に反応時に塩酸を生じないトリメトキシシリル基およびトリエトキシシリル基が挙げられる。
また、第一の有機分子が有する後記第二の共有結合を形成するための官能基としては、アミノ基、カルボキシ基などが挙げられる。
また、第一の有機分子層の骨格は、芳香族骨格またはアルカン骨格からなるものが好ましい。
芳香族骨格の具体例としてはベンゼン骨格、ピリジン骨格が挙げられる。芳香族骨格を有するものは剛直な分子構造により、ゲート電極表面に対し略垂直方向に分子層を積層することが可能であり、反応時の安定性などの観点からベンゼン骨格が好ましい。
アルカン骨格としてはC3〜C18のアルカン骨格が挙げられる。その具体例としては、プロパン(C3)骨格や、ウンデカン(C11)骨格、オクタデカン(C18)骨格などの直鎖状アルカン骨格が挙げられる。アルカン骨格を有するものはゲート電極近傍にσ結合を含む分子を配列することができるため、絶縁性の向上が可能になる。
また、第一の共有結合を形成する官能基と第二の共有結合を形成する官能基は、それぞれ分子骨格の中で、離れた位置、すなわち、ベンゼン骨格ならば1,4位、直鎖状アルカン骨格ならばα,ω位に位置することが好ましく、ゲート電極に対し、略垂直方向に第二の有機分子層を積層することが可能になる。
(第二の共有結合)
次に第二の共有結合132について説明する。
第二の共有結合はアミド結合、ウレア結合、ウレタン結合から選択されることが好ましく、これらの結合は、分子の長軸方向に対し直交した面で、互いに隣接する第二の共有結合同士間に水素結合を形成することで、分子間の相互作用が強まり、ゲート絶縁層にピンホールを生じ難くする。
形成される第二の共有結合が、アミド結合の場合はアミノ基とカルボキシ基から、ウレア結合の場合はアミノ基とイソシアネート基から、ウレタン結合の場合はヒドロキシ基とイソシアネート基から形成される。
また、積層分子膜に複数層の第二の有機分子層を備えた構造を有する場合、該複数の第二の有機分子層間の第二の共有結合はすべて同一である必要はなく、任意に選択することができる。
しかしながら、結合の安定性の観点から、第二の共有結合はアミド結合が好ましい。
第二の共有結合がアミド結合の場合、アミド結合の形成反応において、基板、ゲート電極および積層分子膜に悪影響を及ぼす副生成物の発生がなく、穏和な条件で、積層膜の積層方向に対し直交した面で、互いに隣接する第二の共有結合としてのアミド結合同士の間に水素結合を形成し、分子間の相互作用を強めることできる。
なお、形成された水素結合の確認方法としては、例えば、積層分子膜の赤外吸収スペクトルを測定し、第二の共有結合の水素結合に関わるピーク(例えばN−H伸縮振動やC=O伸縮振動)が、水素結合していない状態(希薄溶液中)と比較して、波数のシフトを観測することにより水素結合の有無を確認することができる。
(第二の有機分子層)
次に第二の有機分子層132aについて説明する。
まず、第二の有機分子層を形成するために用いられる第二の有機分子は、一方の末端または両末端に第二の共有結合を形成するための官能基を有することが構成要件である。
該第二の有機分子は、該分子の一方の末端部が、前記第一の有機分子層の他の末端部との間に第二の共有結合を形成して、該ゲート電極表面に第一の有機分子層および第二の有機分子層からなる積層膜を形成する。
第二の有機分子が有する、前記第二の共有結合を形成するための官能基としては、前記の中でも、取扱いの容易さおよび形成された第二の共有結合の安定性の観点から、カルボキシ基またはアミノ基が好適に用いられる。
また、積層された第二の有機分子層の上に、さらに第二の共有結合を介して第二の有機分子が積層される場合にも、第二の共有結合を形成するための官能基としては、上記の官能基の中から選択されることが望ましい。
また、それぞれの分子骨格中の官能基の位置は離れていることが好ましく、直鎖状アルカン骨格ならばα,ω位が好ましく、ゲート電極に対し、略垂直方向に形成された積層分子膜を得ることが可能になる。
したがって、第二の有機分子層は、アルカンまたは芳香族を有するアルカン骨格から構成されているのが好ましい。
さらに、第二の有機分子層は、C3〜C19アルカン骨格から構成されているものが好ましく、アルカン骨格のσ結合により、分子の長軸方向の絶縁性を向上させ得る。
第二の有機分子層の具体例としては、プロパン(C3)骨格や、オクタン(C8)骨格、ウンデカン(C11)骨格、オクタデカン(C18)骨格などのC3〜C19の直鎖状アルカン骨格および5−フェニルペンタン骨格が挙げられる。
また、直鎖状アルカンの炭素原子が酸素原子に置き換わったエーテル骨格や、2−メチルオクタン骨格など部分的に枝分かれしたアルカンを主鎖とする骨格、末端にフェニル基など芳香族が付与されたアルカンを主鎖とする骨格なども挙げられる。
また、上記の芳香族を有するアルカン骨格としては、ベンゼン骨格を有するC3〜C19アルカン骨格が挙げられ、より詳細には、5−フェニルペンタンが挙げられる。
なお、アルカン鎖の炭素数が20以上になると、積層分子膜中の第二の共有結合による水素結合部位の濃度が低下し、効果が薄くなり、また炭素数が2以下では、ある一定膜厚に達するまでの積層回数が増加するため、上記の範囲が最適である。
また、積層分子膜が複数層の第二の有機分子層を有する構造の場合、該複数の第二の有機分子層において、分子の骨格もすべて同一である必要はなく、任意に選択することができる。
次に、前記積層分子膜のゲート電極と反対側の表面末端基について説明する。
前記積層分子膜が、第二の有機分子層を単層および複数層有する構造であっても、前記積層分子膜の末端はフェニル基やメチル基から選択されることが好ましい。
フェニル基やメチル基のような非反応性で表面張力の小さい官能基で終端することにより、該積層分子膜からなる絶縁層表面の表面エネルギーを小さくし、該絶縁層表面上に有機半導体層を形成する際に、前記絶縁層表面と接触する有機半導体層を構成する有機分子の配列を向上させ、移動度の向上が可能になる(Do−Hyun Kimら、Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 41(2002)p.p. 2730−2734)。
さらに、上記の好ましい積層分子膜構造の具体例として:
(1)第一の有機分子層が芳香族骨格からなり、第二の共有結合がアミド結合からなり、第二の有機分子層が長鎖アルキル骨格からなる構造と、
(2)第一の有機分子層が芳香族骨格からなり、第二の共有結合がアミド結合からなり、第二の有機分子層が末端にフェニル基を有するアルキル骨格からなる構造が挙げられる。
まず、共通する第一の有機分子層に芳香族骨格を持ち、アミノ基を有する分子を用いることにより、膜内の分子密度が高く、ゲート電極と平行の面方向で第一の有機分子層からなる膜の平坦性の高い第一の有機分子層を得ることが可能である。膜内分子密度が高いため、分子の長軸に対し直交した面で、架橋可能な隣接する第二の共有結合が多く存在し、また平坦性が高いため、架橋が不整合なく伸展する。
例えば、シリコン基板表面と、p−アミノフェニルトリメトキシシランを反応させ第一の有機分子層を形成した場合は、六方細密充填に近い膜内分子密度を持ち、表面凹凸はRrms(Roughness root mean square)=0.2nm以下の高い平坦性を示した。
また、図3c)に示すように、第二の有機分子層にアルカンを主鎖とする骨格を有することで、アルキル鎖同士がアモルファス状に絡み合い、ゲート電極と平行の面方向で積層分子膜の平坦性の高い絶縁層を得ることが可能である。
例えば、シリコン基板上のp−位にアミノ基を有するベンゼン骨格からなる第一の有機分子層に、ステアリン酸をアミド結合で積層させ、Veeco社製の原子間力顕微鏡Nano Scope IIIaを用い、タッピングモードで1μm×1μmのエリアをスキャンしたところ、その表面凹凸はRrms=0.3nm以下を示した。
平坦性の高い絶縁層は半導体層の移動度を向上させることが知られている(P. Heremansrら、Applied Physics Letters、Vol. 85 (2004)p.p. 4400−4402)。
また、図4c)に示すように、第二の有機分子層がゲート電極と反対側の末端にフェニル基を有するアルキル骨格からなることで、主鎖アルキルによる分子の長軸方向にσ結合と分子層表面にフェニル基を導入することができるため、ゲート絶縁層の高い絶縁性とゲート絶縁層表面のフェニル基と接触する有機半導体層のπ共役分子とのπ‐π相互作用により有機半導体層のキャリア移動度の向上が可能になる。
有機半導体層
次に、ゲート絶縁層上に形成される有機半導体層としては、ペンタセン、フラーレン60および銅フタロシアニンなどの低分子π共役化合物や、ポリパラフェニレンビニレンおよびポリチオフェンなどπ共役高分子が好ましい。さらに、ペンタセンは移動度、ON/OFF比の特性が良いため好ましい。
次に、ソース/ドレイン電極としては、金、アルミニウムなどの導電性の高い金属が好ましい。また、有機半導体層へのキャリア注入を考慮すると、p型半導体の場合は有機半導体層の分子の最高被占軌道(HOMO)レベルよりも仕事関数の大きい金属(金など)が好ましく、n型半導体の場合は有機半導体層の分子の最低空軌道(LUMO)レベルよりも仕事関数の小さい金属(アルミニウムなど)が好ましい。
有機トランジスタの製造方法
次に、本願発明による有機トランジスタの製造方法について、図2a)〜f)を用いて説明する。
まず、図2a)に示すように基板21上にゲート電極22を既知の手法、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等により形成する。
次に、図2b)に示すように、ゲート電極22上に第一の共有結合231を介して第一の有機分子層231aを形成する。
まず、ゲート電極表面の水酸基と結合させる場合は、ゲート電極表面をUVオゾン処理や、酸素プラズマ処理する。
また、ゲート電極表面の金属原子と結合させる場合には、平坦性を確保するために電極材料をアニールすることが好ましい。
次に、第一の有機分子層を形成する有機分子を、気化もしくは、溶媒に溶解し、ゲート電極表面と反応させて第一の共有結合を形成することが好ましい。
例えば、トリアルコキシシリル基を有する分子を用いる場合は、アルコキシシリル基が水により加水分解し、自己重合を起こし易いため、反応容器内の水分(湿気)を充分に抑制することが好ましい。
具体的には気相法であれば、容器を窒素雰囲気下で封入することが好ましく液相法であれば、無水トルエンなどの無水溶媒を用いることが好ましい。
さらに、気相法では自己重合により生じた重合体(2量体、オリゴマーを含む)は高沸点化合物となり、蒸気圧が低下するため、ゲート電極への飛来を抑制し、均一な単分子膜形成を可能にするため好ましい。
次に、図2c)に示すように、第一の有機分子層231a未反応末端部に第二の共有結合232を介して第二の有機分子層232aを形成する。
第一の有機分子層の前記末端官能基と第二の共有結合を形成する有機分子の官能基とを液相中または気相中で反応させることにより第二の共有結合を形成させる。
具体的には、アミド結合を形成する場合は、アミノ基とカルボキシ基を塩酸N‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐N'‐エチルカルボジイミド(以下、EDCと略)や、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、DCCと略)などの縮合剤を用いて液相中で脱水縮合することが好ましい。
第二の有機分子層を形成する有機分子が水やジクロロメタンなどの極性溶媒に可溶な場合はEDCを用い、トルエンやヘキサンなど、非極性溶媒に可溶な場合はDCCを用いることが好ましい。また、N−ヒドロキシスクシンイミド(以下、NHS)などを添加し、活性エステル法により形成する方法も好ましい。また、カルボキシ基をより活性の高い、カルボン酸クロライドやカルボン酸無水物を用いることも好ましく、縮合剤を使用せずアミド結合を形成するため、液相以外にも気相反応による積層も可能になる。
また、ウレア結合およびウレタン結合を形成させる場合は、アミノ基またはヒドロキシ基とイソシアネート基と液相中また気相中で接触させることが好ましい。また、ヒドロキシ基やアミノ基とイソシアネート基との反応は付加反応により進行するため、副生成物の発生を伴わずに積層分子膜を得ることが可能になる。
また、図2d)に示すように、第二の有機分子層232xを複数層(n層)積層する場合は、両末端に同一の官能基を有する分子と、両末端にその官能基と第二の共有結合を形成する官能基を有する分子とを交互に積層する手法や、一つの分子の両末端に第二の共有結合を形成する官能基の組合せをそれぞれ備えた分子を用意し、片末端の官能基を保護した後に積層し、積層後に脱保護をする手法が挙げられる。
前者の例としては、ジアミン分子とジカルボン酸分子、ジアミン分子とジイソシアネート分子およびジオール分子とジイソシアネート分子の交互積層が挙げられる。また、後者の例としては、カルボキシ基とアミノ基を有する分子(アミノ酸)を用意し、アミノ基をターシャルブトキシカルボニル基などで保護し、その分子を基板表面のアミノ基とアミド結合により積層し、保護基を脱離し基板表面にアミノ基を再生させる手法が挙げられる。
また、第二の有機分子層を一層または複数層積層した場合についても、積層分子膜の最終端層232zは一つの官能基を有する有機分子で終端することが好ましい。
上記手法により、分子の長軸方向に対し直交した面で隣接する第二の共有結合間で水素結合が形成された積層分子膜からなるゲート絶縁層23を作製する。
次に、図2e)に示すように、ゲート絶縁層23上に有機半導体層24の作製方法について説明する。
有機半導体材料が、低分子系であれば、真空蒸着することが好ましい。また、高分子系、低分子系に限らず、溶媒に可溶なものは、インクジェットやスピンコートなど液相プロセスを用いることが好ましく、製造コストの低減や、大面積化が可能になる。
最後に、図2f)に示すように、有機半導体層24上にソース/ドレイン電極25,26の作製方法について説明する。
一般に金属をマスク蒸着することが簡便で好ましいが、銀ナノ粒子や導電性高分子のインクジェット法による手法や、無電解めっきによる手法は、液相プロセスで電極形成することができるため好ましい。
上記手法により有機トランジスタを製造できる。
前記の図2d)に記載の第二の有機分子層を複数層有する場合も、上記と同様にして、図2g)に示すように、ゲート絶縁層上に有機半導体層14ならびにソース/ドレイン電極15,16を形成することにより、第二の有機分子層を複数層有する有機トランジスタを製造できる。
なお、本発明による有機トランジスタは、ディスプレイの画素駆動素子として用いる場合には液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイまたは電子ペーパーなどに利用することができ、また、有機トランジスタを含むICチップとして用いる場合にはRFタグなどに利用することができる。
以下の実施例は、本願発明をより詳細に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
なお、以下の実施例において製造したトランジスタのVg−Id特性は、アジレント社の半導体パラメーターB 1500Aを用いて測定した。
すなわち、閾値電圧と移動度は、半導体パラメーターによりIg−Id特性を得た後、Vg−(Id)1/2プロットに変形して算出し、移動度は当該プロットの直線部分の傾きから算出した。
また、閾値電圧は、Id=0のときのVg値から算出した。
なお、FETにおける飽和領域では、以下:
Figure 0005070292
(式中、Idはドレイン電流(A)を意味し、Wはチャネル幅(1cm)を意味し、Lはチャネル長(0.01cm)を意味し、μは移動度(cm2/V・s)を意味し、Ciはゲート絶縁層の容量(1×10-6F/cm)を意味し、Vgはゲート電圧(V)を意味し、Vthは閾値電圧(V)を意味する)
の式に従った。
なお、ON/OFF比は、Vg−Id特性の (最大Id値)/(最小Id値) から算出した。
さらに、絶縁層の耐電圧は、上部電極−下部電極間に−2〜2Vの電圧を印加し、電圧に対する電流特性を得た後、電圧値を膜厚で除することで電界強度に変換し、電流値を電極面積で除することで電流密度に変換し、電界強度に対する電流密度特性をプロットした。得られたプロットを基に、電流密度値が1μA/cm2に達したときの電界強度値として耐電圧を算出した。
実施例1
図3a)〜図3e)は本発明の有機トランジスタの製造方法を模式的に示したものである。
まず、図3a)に示すようにガラス基板上31にゲート電極32としてアルミニウム60nmを真空蒸着により成膜した。次に、これをアセトンに浸漬し超音波洗浄により脱脂した後、酸素プラズマ処理により成膜したアルミニウム表面上に、自然酸化膜を形成して表面の水酸基を露出させた。
次に、図3b)に示すように第一の有機分子層331aを第一の共有結合331介して形成した。電極形成した基板と第一の有機分子層を形成する有機分子としてp−アミノフェニルトリメトキシシランを窒素雰囲気下でテフロン(登録商標)容器に封入し、100℃、120分間、オーブンにて加熱することで、シロキサン結合を介してフェニル骨格、アミノ基を有する第一の有機分子層を形成した。
次に、図3c)に示すように第二の有機分子層332aを第二の共有結合332を介して積層した。第一の有機分子層を形成した基板を、第二の有機分子層を形成する有機分子としてステアリン酸の(1mmol/L)塩化メチレン溶液に浸漬し、さらにEDCの濃度が1mmol/LになるようにEDCを加え、6時間、室温で撹拌した。最後にクロロホルムで超音波洗浄し、基板に物理吸着しているステアリン酸を除去することで、アミド結合により形成された長鎖アルキル骨格を有する第二の有機分子層が積層され、分子の長軸方向に対し直交した面で隣接したアミド結合同士が水素結合した積層分子膜からなるゲート絶縁層33を形成した。積層分子膜の赤外吸収スペクトルを測定したところ、N−H伸縮振動の吸収がステアリン酸アニリドの希薄なヘキサン溶液中で測定した時の同じ吸収ピークと比較して、約200cm-1低波数シフトした様子が観察された。このことより積層分子の長軸方向に直交する面方向で隣接するアミド結合同士の水素結合の形成が確認された。
次に、図3d)に示すように、ゲート絶縁層33上に有機半導体層34を積層した。具体的には、ペンタセンを60nm、蒸着速度0.2nm/sで真空蒸着した。
次に、図3e)に示すように、有機半導体層34上にソース、ドレイン電極35、36を積層した。具体的には金を60nm、蒸着速度0.2nm/sで真空蒸着した。
上記の手法により、トップコンタクト型トランジスタを作製した。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極にプローブし、Vg−Id特性を評価したところ、閾値電圧:−0.9V、移動度:0.9cm2/Vs、ON/OFF比:106を示し、薄いゲート絶縁層による低閾値電圧駆動と、ゲート電圧の印加によるチャネル変調を示した。また、比較例として、絶縁層に水素結合の形成箇所がない、長鎖アルキル鎖からなる単分子膜を用いた時、充分な絶縁性が確保できず、ゲート電流がソース/ドレイン電極へ流れる様子が確認され、トランジスタ動作を示さなかった。
また、積層分子膜の絶縁性評価として、低抵抗シリコン基板上に該積層分子膜を形成し、その上部に金電極(電極面積:0.196mm2)を形成することで、金属−絶縁層−無機半導体層構造(MIS構造)を構成した。次に金を上部電極とし、低抵抗シリコン基板を下部電極として、両電極間に−2V〜2Vの電圧を印加したところ、電流密度が1μA/cm2に達したときの電圧から換算される耐電圧は9MV/cmを示した。また、比較例として、絶縁層に水素結合の形成箇所のない、長鎖アルキル鎖からなる単分子膜を用いた時の耐電圧は3MV/cmと低く、本発明の積層分子膜からなる絶縁層は、ピンホールが生じ難く、絶縁性の高いゲート絶縁層であることが示された。
実施例2
実施例1と同様の材料、方法で、図4a)、b)に示すようにガラス基板41上にゲート電極42および第一の有機分子層431aを形成した。
次に、図4c)に示すように第一の有機分子層431a上に第二の有機分子層432aを第二の共有結合432で積層した。具体的には第一の有機分子層を形成した基板を、第二の有機分子層を形成する有機分子として6−フェニルヘキサン酸の1mmol/L塩化メチレン溶液に浸漬し、EDCの濃度が1mmol/LになるようEDCを加え、6時間、室温で撹拌した。最後にクロロホルムで超音波洗浄し、基板に物理吸着している6−フェニルヘキサン酸を除去することで、アミド結合により形成されたアルキル主鎖とゲート絶縁層と反対側の末端にフェニル基を有する第二の有機分子層を積層し、積層分子膜からなるゲート絶縁層43を作製した。積層分子膜の赤外吸収スペクトルを測定したところ、実施例1と同様に積層分子の希薄なヘキサン溶液中で測定した時のN−H伸縮振動の吸収ピークに比べ低波数シフトしていることが観察され、積層分子の長軸方向に直交する面方向で隣接するアミド結合同士の水素結合の形成が確認された。
次に実施例1と同様の材料、方法で、図4d)に示すようにゲート絶縁層43上に有機半導体層44およびソース、ドレイン電極45,46を形成し、トップコンタクト型トランジスタを作製した。
実施例1と同様にVg−Id特性を評価したところ、閾値電圧:−0.9V、移動度:1.1cm2/Vs、ON/OFF比:106を示し、薄いゲート絶縁層による低閾値電圧駆動と、ゲート電圧の印加によるチャネル変調を示した。また、末端がフェニル基から構成されるため、有機半導体層のペンタセンとπ―π相互作用により、有機半導体層の分子の配列が向上し、実施例1の末端がメチル基のものよりも高い移動度を示した。
また、積層分子膜の絶縁性評価として、実施例1と同様のMIS構造を構成し、同様の評価を行ったところ、1μA/cm2における絶縁層の耐電圧は9MV/cmを示し、高い絶縁性を示した。
上記結果から、ピンホールが生じ難く、絶縁性の高いゲート絶縁層であることが示された。
実施例3
実施例1と同様の材料、方法で、図5a)、b)に示すようにガラス基板51上のゲート電極52上に第一の共有結合531を介して、第一の有機分子層531aを形成した。
次に、図5c)に示すように第一の有機分子層531a上に第二の有機分子層532aを第二の共有結合532で積層した。具体的には、第一の有機分子層を形成した基板を、第二の有機分子層を形成する有機分子として二官能性カルボン酸のグルタル酸の1mmol/L水溶液に浸漬し、EDCの濃度が1mmol/LになるようにEDCを加え、加え、1時間、室温で撹拌した。
次に図5d)に示すように第二の有機分子層532a上に第二の有機分子層532bを第二の共有結合532で積層した。具体的には第二の有機分子層532aを積層した基板を、第二の有機分子層を形成する有機分子として二官能性アミンであるヘキサメチレンジアミンの1mmol/L水溶液に浸漬し、EDCの濃度が1mmol/LになるようにEDCを加え、1時間、室温で撹拌した。
次に図5e)に示すように第二の有機分子層532b上に最終端分子層532zを第二の共有結合532で積層した。最終端分子層を形成する有機分子として6−フェニルヘキサン酸を実施例2と同様の条件で積層し、分子鎖に2箇所のアミド結合を備えた積層分子膜からなるゲート絶縁層53を作製した。積層分子膜の赤外吸収スペクトルを測定したところ、実施例1と同様に積層分子の希薄なヘキサン溶液中で測定した時のN−H伸縮振動の吸収ピークに比べ低波数シフトしていることが観察され、積層分子の長軸方向に直交する面方向で隣接するアミド結合同士の水素結合の形成が確認された。
次に図5f)に示すように実施例1と同様の材料、方法で、ゲート絶縁層53上に有機半導体層54、ゲート、ソース55,56電極を形成し、トップコンタクト型トランジスタを作製した。
実施例1と同様にVg−Id特性を評価したところ、閾値電圧:−0.9V、移動度:1.0cm2/VS、ON/OFF比:106を示し、薄いゲート絶縁層による低閾値電圧駆動と、ゲート電圧の印加によるチャネル変調を示した。
また、積層分子膜の絶縁性評価として、実施例1と同様のMIS構造を構成し、同様の評価を行ったところ、1μA/cm2における絶縁層の耐電圧は10MV/cmを示し、実施例1および2に比べ高い絶縁性を示した。これは水素結合の形成箇所が増加したため、更にピンホールが減少したためだと考えられる。
上記結果からも、ピンホールが生じ難く、絶縁性の高いゲート絶縁層であることが示された。
本発明の有機トランジスタの構造とその製造方法によれば、第二の共有結合が、分子の長軸方向に対し直交した面、すなわちゲート電極の面と概ね平行な方向で、互いに隣接する他の第二の共有結合との間に水素結合を形成することにより、隣接する分子間の相互作用が強まり、ピンホールが生じ難いゲート絶縁層を穏和な条件で作製することが可能である。

Claims (12)

  1. 少なくともゲート電極と、該ゲート電極上に形成されたゲート絶縁層とを有し、
    前記ゲート絶縁層は、前記ゲート電極表面に、第一の有機分子の一方の末端部との間の第一の共有結合を介して前記ゲート電極表面に対して略垂直方向に結合している第一の有機分子層と、
    前記第一の有機分子層の他方の末端部に、第二の有機分子の一方の末端部との間の第二の共有結合を介して結合している第二の有機分子層とから構成される積層分子膜とを含み、
    前記第二の共有結合が、前記積層分子膜の積層方向に直交する面方向で、互いに隣接する他の第二の共有結合との間で水素結合を形成されている有機トランジスタ。
  2. 前記第二の有機分子層が、それ自体の他方の末端部と、前記第二の共有結合を介して他の第2の有機分子層の一方の末端との間で2層以上積層されている請求項1に記載の有機トランジスタ。
  3. 前記第一の有機分子層が、芳香族骨格から構成されている請求項1または2に記載の有機トランジスタ。
  4. 前記第一の有機分子層が、ベンゼン骨格から構成されている請求項1〜3のいずれか一つに記載の有機トランジスタ。
  5. 前記第一の有機分子層が、ベンゼン骨格から構成され、該ベンゼン骨格の1,4位に第一の共有結合および第二の共有結合を有する請求項1〜4のいずれか一つに記載の有機トランジスタ。
  6. 前記第二の有機分子層が、C3〜C19アルカン骨格またはベンゼン骨格を有するC3〜C19アルカン骨格から構成されている請求項1〜5のいずれか一つに記載の有機トランジスタ。
  7. 前記第二の有機分子層が、プロパン、ヘキサン、ヘプタデカン、5−フェニルペンタン骨格からなる群から選択される骨格から構成されている請求項1〜6のいずれか一つに記載の有機トランジスタ。
  8. 前記第一の共有結合がシロキサン結合であり、前記第一の有機分子層がベンゼン骨格からなり、前記第二の共有結合がアミド結合であり、前記第二の有機分子層がプロパン、ヘキサン、ヘプタデカン、5−フェニルペンタン骨格からなる群から選択される骨格から構成されている請求項1または2に記載の有機トランジスタ。
  9. 前記積層分子膜のゲート電極と反対側の末端部が、フェニル基またはメチル基である請求項1または2記載の有機トランジスタ。
  10. ゲート電極表面に、第一の有機分子の一方の末端部との間の第一の共有結合を介して前記ゲート電極表面に対して略垂直方向に第一の有機分子層を形成する第一の工程と、
    前記第一の有機分子層の他方の末端部に、第二の有機分子の一方の末端部との間の第二の共有結合を介して第二の有機分子層を形成し、前記第一の有機分子層および第二の有機分子層とから構成される積層分子膜からなるゲート絶縁層を形成する第二の工程と、
    前記第二の共有結合の、前記積層分子膜の積層方向に直交する面方向で、互いに隣接する他の第二の共有結合との間に水素結合を形成させる第三の工程と、
    を含む有機トランジスタの製造方法。
  11. 前記第二の工程において、前記第二の有機分子層の他方の末端部に、第二の有機分子層の他方の末端部との間に、さらに第二の共有結合を介して第二の有機分子層を積層する工程を少なくとも1回繰り返す請求項10に記載の有機トランジスタの製造方法。
  12. 前記第二の共有結合が、アミノ基とカルボキシ基、アミノ基とイソシアネート基またはヒドロキシ基とイソシアネート基との組合せのいずれかにおける反応により形成される請求項10または11に記載の有機トランジスタの製造方法。
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