JP5069698B2 - 刈取収穫機 - Google Patents
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Description
特許文献1では、静油圧式無段変速装置の油圧モータ(特許文献1の図2及び図4の14)(走行用の変速装置に相当)を、標準位置(中速位置)及び低速位置に操作自在に構成しており、静油圧式無段変速装置の油圧ポンプとは別に、静油圧式無段変速装置の油圧モータを操作できるように構成し、静油圧式無段変速装置の油圧モータを操作する人為操作具(特許文献1の図3及び図4の34,35参照)を備えている。
このように倒伏が激しい作物を刈り取る場合、機体の走行速度を低速に設定することにより、作物の状態に対して機体の走行速度が速すぎて、刈取部による刈り取りが間に合わないと言うような状態を防止することができるのであり、刈取部が遅れることなく倒伏した作物を刈り取る。
本発明は、刈取収穫機において、走行用の変速装置を移動走行用の高速位置、刈取作業用の標準位置、及び倒伏が激しい作物を刈り取る倒伏刈取作業用の低速位置に操作自在に構成した場合、刈取部用の変速装置を適切に連係させることを目的としている。
本発明の第1特徴は、刈取収穫機において次のように構成することにある。
走行用の変速装置と、刈取部用の変速装置と、人為的に操作される人為操作具とを備えて、
走行用の変速装置を、刈取作業用の標準位置、及び倒伏が激しい作物を刈り取る倒伏刈取作業用で標準位置よりも低速の低速位置に操作自在に構成し、
刈取部用の変速装置を、刈取作業用の標準位置、及び倒伏が激しい作物を刈り取る倒伏刈取作業用で標準位置よりも高速の高速位置に操作自在に構成して、
人為操作具により標準刈取状態が設定されると、刈取部用の変速装置を標準位置に操作して、この後に走行用の変速装置を標準位置に操作する第1制御手段を備え、
人為操作具により低速刈取状態が設定されると、走行用の変速装置を低速位置に操作して、この後に刈取部用の変速装置を高速位置に操作する第2制御手段を備える。
[I]
本発明の第1特徴によれば、作物の倒伏があまり無いような通常の作物の状態では、人為操作具により標準刈取状態を設定すればよい。これにより、刈取部用の変速装置が標準位置に操作され、走行用の変速装置が標準位置に操作されて、通常の作物の状態に対して走行用の変速装置及び刈取部用の変速装置が適切な速度に設定される。
本発明の第1特徴によれば、倒伏が激しい作物の状態では、人為操作具により低速刈取状態を設定すればよい。これにより、走行用の変速装置が低速位置に操作され、刈取部用の変速装置が高速位置に操作されて、倒伏が激しい作物の状態に対して走行用の変速装置及び刈取部用の変速装置が適切な速度に設定される。
本発明の第1特徴によれば、人為操作具により低速刈取状態が設定されると、走行用の変速装置の低速位置への操作、及び刈取部用の変速装置の高速位置への操作の両方の操作が行われるので、走行用の変速装置の低速位置への操作と、刈取部用の変速装置の高速位置への操作とを別々に行う必要がない。
前項[I]において、低速刈取状態(走行用の変速装置が低速位置で、刈取部用の変速装置が高速位置)から標準刈取状態が設定される場合に、例えば走行用の変速装置が標準位置に操作されてから、刈取部用の変速装置が標準位置に操作されるように構成すると、走行用の変速装置が標準位置に操作された瞬間に、一時的に走行用の変速装置が標準位置で、刈取部用の変速装置が高速位置となる状態が生じる。
前項[I]において、標準刈取状態(刈取部用の変速装置が標準位置で、走行用の変速装置が標準位置)から低速刈取状態が設定される場合に、例えば刈取部用の変速装置が高速位置に操作されてから、走行用の変速装置が低速位置に操作されるように構成すると、刈取部用の変速装置が高速位置に操作された瞬間に、一時的に刈取部用の変速装置が高速位置で、走行用の変速装置が標準位置となる状態が生じる。
例えば作物に対して刈取部の作動速度が高速になりすぎることにより、刈取部において作物から穀粒が脱粒する可能性がある。例えば走行用の変速装置の伝動下手側に刈取部用の変速装置が配置されている場合、走行用の変速装置が標準位置で、刈取部用の変速装置が高速位置になる状態が生じると、刈取部の作動速度が高速になりすぎて、刈取部の振動が大きくなり刈取部の破損を招く可能性がある。
本発明の第1特徴によると、刈取収穫機において走行用の変速装置及び刈取部用の変速装置を備えた場合、走行用の変速装置及び刈取部用の変速装置を互いに適切に連係させながら、人為操作具による標準刈取状態及び低速刈取状態の設定の操作性を向上させることができた。
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の刈取収穫機において次のように構成することにある。
走行用の変速装置を標準位置よりも高速の高速位置に操作自在に構成し、走行用の変速装置が高速位置に操作される移動走行状態を設定可能に構成して、
移動走行状態が設定されると刈取部に動力を伝動及び遮断自在な刈取クラッチを遮断状態に操作してこの後に走行用の変速装置を高速位置に操作する第3制御手段を備える。
特許文献1では、静油圧式無段変速装置の油圧モータにおいて、中速位置(標準位置)及び低速位置に加えて、中速位置(標準位置)よりも高速の高速位置を備えており、畦や圃場での移動走行用として高速位置を使用するように構成されている。
この状態において、標準刈取状態(刈取部用の変速装置が標準位置で、走行用の変速装置が標準位置)から移動走行状態が設定される場合に、例えば刈取クラッチが伝動状態に操作された状態のままで、走行用の変速装置が高速位置に操作されると、不具合の生じることがある(例えば走行用の変速装置の伝動下手側に刈取部用の変速装置が配置されている場合、刈取クラッチが伝動状態に操作された状態のままで、走行用の変速装置が高速位置に操作されると、刈取部が高速で作動する状態となって、刈取部の振動が大きくなり刈取部の破損を招く可能性がある)。
従って、走行用の変速装置を高速位置に操作する際には、刈取クラッチを遮断状態に操作して、刈取部を停止させる必要がある。
この場合、刈取クラッチの遮断状態への操作、及び走行用の変速装置の高速位置への操作の両方の操作が行われるので、刈取クラッチの遮断状態への操作と、走行用の変速装置の高速位置への操作とを別々に行う必要がない。
本発明の第2特徴によれば、走行用の変速装置を高速位置に操作自在に構成した場合、移動走行状態が設定されると、刈取クラッチの遮断状態への操作と、走行用の変速装置の高速位置への操作とを別々に行う必要がない点、並びに、刈取クラッチが伝動状態のままで、走行用の変速装置が高速位置となる状態が一時的に生じると言うようなことがない点により、移動走行状態の設定の際の操作性の向上、及び刈取収穫機の耐久性の向上を図ることができた。
図1に示すように、右及び左のクローラ式の走行装置1で支持された機体の前部に刈取部2が昇降自在に支持され、機体の前部の右側に運転部3が備えられて、機体の後部の左側に脱穀装置4が備えられ、機体の後部の右側にグレンタンク5が備えられて、刈取収穫機の一例である自脱型のコンバインが構成されている。
旋回モードスイッチ30が信地旋回位置に操作された状態において、操作レバー29が右の第2旋回位置R2(左の第2旋回位置L2)に操作されると、制御装置31によりブレーキを介して右(左)の走行装置1に制動が掛かり機体は右(左)に信地旋回する。
旋回モードスイッチ30が超信地旋回位置に操作された状態において、操作レバー29が右の第2旋回位置R2(左の第2旋回位置L2)に操作されると、制御装置31により逆転クラッチを介して右(左)の走行装置1に逆回転の動力が伝達され、機体は右(左)に超信地旋回する。
次に、刈取部2について説明する。
図2に示すように、伝動軸12に高速ギヤ11が固定され、出力軸13に低速ギヤ14及び高速ギヤ15が相対回転自在に外嵌されて、低速ギヤ10,14及び高速ギヤ11,15が咬合しており、シフト部材16がスプライン構造により出力軸13にスライド及び一体回転自在に外嵌されている。出力軸13と刈取部2の入力軸2aとに亘って、伝動ベルト及びテンションプーリーにより構成されたテンション型式の刈取クラッチ17が備えられている。
次に、静油圧式無段変速装置7の油圧回路構造について説明する。
図4に示すように、静油圧式無段変速装置7は油圧ポンプ7P及び油圧モータ7M(走行用の変速装置に相当)を備え、油圧ポンプ7P及び油圧モータ7Mを一対の油路7cで接続して構成されている。静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pは、中立位置N、前進側F及び後進側Rに無段階に変速自在に構成され、図3に示すように、運転部3に備えられた変速レバー43と静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pの斜板とが、連係リンク33を介して機械的に連係されており、変速レバー43により静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pの斜板を操作して、静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pを中立位置N、前進側F及び後進側Rに操作する。
次に、静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7M、刈取クラッチ17及び刈取変速装置18の操作系について説明する。
図3に示すように、変速レバー43の上部の握り部43aにおいて、変速レバー43の握り部43aの横面部の下部に、第1スイッチ34(人為操作具に相当)が備えられており、変速レバー43の握り部43aの後面部の上部に、第2スイッチ35(人為操作具に相当)か備えられている。第1及び第2スイッチ34,35は押しボタン型式に構成されて戻り側(突出側)に付勢されており、第1及び第2スイッチ34,35の操作信号が制御装置31に入力される。
次に、第1スイッチ34による移動走行状態の設定の流れについて、図6に基づいて説明する。
標準刈取状態(静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mが標準位置に操作され(変速表示部55の標準ランプ55aの点灯)、刈取クラッチ17が伝動状態に操作され(刈取ランプ42の点灯)、刈取変速装置18が標準位置に操作された状態(刈取表示部54の標準ランプ54aの点灯))が設定された状態において、第1スイッチ34が押し操作されたとする(ステップS1)。
移動走行状態が設定されると、刈取クラッチ17が遮断状態に操作されて(ステップS11)、刈取ランプ42が消灯し(ステップS12)、変速表示部55の標準ランプ55aが消灯して高速ランプ55bが点滅する(ステップS13)。
次に、第1スイッチ34による標準刈取状態の設定の流れについて、図6に基づいて説明する。
移動走行状態(静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mが高速位置に操作され(変速表示部55の高速ランプ55bの点灯)、刈取クラッチ17が遮断状態に操作され(刈取ランプ42の消灯)、刈取変速装置18が標準位置に操作された状態(刈取表示部54の標準ランプ54aの点灯))が設定された状態において、第1スイッチ34が押し操作されたとする(ステップS1)。
標準刈取状態が設定されると、変速表示部55の高速ランプ55bが消灯して標準ランプ55aが点滅し(ステップS21)、静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mが標準位置に操作される(ステップS22)。
以上のように第1スイッチ34が押し操作される毎に、移動走行状態及び標準刈取状態が交互に設定される。
次に、第2スイッチ35による低速刈取状態の設定の流れについて、図6及び図7に基づいて説明する。
標準刈取状態(静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mが標準位置に操作され(変速表示部55の標準ランプ55aの点灯)、刈取クラッチ17が伝動状態に操作され(刈取ランプ42の点灯)、刈取変速装置18が標準位置に操作された状態(刈取表示部54の標準ランプ54aの点灯))が設定された状態において、第2スイッチ35が押し操作されたとする(ステップS2)。
低速刈取状態が設定されると、変速表示部55の標準ランプ55aが消灯して低速ランプ55cが点滅し(ステップS31)、静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mが低速位置に操作される(ステップS32)。
次に、第2スイッチ35による標準刈取状態の設定の流れについて、図6及び図7に基づいて説明する。
低速刈取状態(静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mが低速位置に操作され(変速表示部55の低速ランプ55cの点灯)、刈取クラッチ17が伝動状態に操作されて(刈取ランプ42の点灯)、刈取変速装置18が高速位置(刈取表示部54の高速ランプ54bの点灯))に操作された状態において、第2スイッチ35が押し操作されたとする(ステップS2)。
標準刈取状態が設定されると、刈取変速装置18が標準位置に操作される(ステップS41)。刈取表示部54の高速ランプ54bが消灯して標準ランプ54aが点灯し(ステップS42)、変速表示部55の低速ランプ55cが消灯し標準ランプ55aが点滅する(ステップS43)。
以上のように第2スイッチ35が押し操作される毎に、標準刈取状態及び低速刈取状態が交互に設定される。
前述の[発明を実施するための形態]の図2において、静油圧式無段変速装置7とは別に、伝動軸12の伝動下手側に副変速装置(図示せず)(走行用の変速装置に相当)を備え、副変速装置を移動走行用の高速位置、刈取作業用の標準位置及び倒伏が激しい作物を刈り取る倒伏刈取作業用の低速位置に操作自在に構成してもよい。
このように構成した場合、移動走行状態において副変速装置が高速位置に操作され、標準刈取状態において副変速装置が標準位置に操作され、低速刈取状態において副変速装置が低速位置に操作されるように構成する。
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]に代えて、移動走行状態において静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pが高速位置に操作され、標準刈取状態において静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pが標準位置に操作され、低速刈取状態において静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pが低速位置に操作されるように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、第1スイッチ34が押し操作されることにより、標準刈取状態が設定された状態において、刈取クラッチ17が自動的に伝動状態に操作されるように構成するのではなく、標準刈取状態及び低速刈取状態が設定された状態において、第1及び第2スイッチ34,35とは別の人為操作具(例えば刈取クラッチレバー)により、刈取クラッチ17を伝動状態及び遮断状態に操作可能に構成してもよい。この場合、標準刈取状態で別の人為操作具により刈取クラッチ17が伝動状態に操作された状態において、第1スイッチ34が押し操作されることにより、移動走行状態が設定されると、刈取クラッチ17が遮断状態に操作される。
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、第1及び第2スイッチ34,35を廃止し、一つの変速スイッチ(人為操作具に相当)(図示せず)により移動走行状態、標準刈取状態及び低速刈取状態を設定するように構成してもよい。
この場合、変速スイッチにより低速刈取状態から移動走行状態を設定する場合、低速刈取状態から標準刈取状態を設定し、この後に標準刈取状態から移動走行状態を設定しなければならないように構成してもよい。変速スイッチにより移動走行状態から低速刈取状態を設定する場合、移動走行状態から標準刈取状態を設定し、この後に標準刈取状態から低速刈取状態を設定しなければならないように構成してもよい。第1及び第2スイッチ34,35や前述の変速スイッチを、変速レバー43の握り部43aではなく、運転部3の前側部の操縦パネルや横側部のサイドパネルに備えてもよい。
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第4別形態]において、刈取変速装置18を無段変速自在に構成してもよい(例えば静油圧式無段変速装置やベルト無段変速装置)。
このように構成した場合、標準刈取状態で刈取変速装置18が低速位置に操作された状態において、刈取変速装置18を低速位置の付近で適正な変速位置に無段変速可能に構成する。低速刈取状態で刈取変速装置18が高速位置に操作された状態において、刈取変速装置18を高速位置の付近で適正な変速位置に無段変速可能に構成する。
7M 走行用の変速装置
17 刈取クラッチ
18 刈取部用の変速装置
34,35 人為操作具
61 第1制御手段
62 第2制御手段
63 第3制御手段
Claims (2)
- 走行用の変速装置と、刈取部用の変速装置と、人為的に操作される人為操作具とを備えて、
前記走行用の変速装置を、刈取作業用の標準位置、及び倒伏が激しい作物を刈り取る倒伏刈取作業用で前記標準位置よりも低速の低速位置に操作自在に構成し、
前記刈取部用の変速装置を、刈取作業用の標準位置、及び倒伏が激しい作物を刈り取る倒伏刈取作業用で前記標準位置よりも高速の高速位置に操作自在に構成して、
前記人為操作具により標準刈取状態が設定されると、前記刈取部用の変速装置を標準位置に操作して、この後に前記走行用の変速装置を標準位置に操作する第1制御手段を備え、
前記人為操作具により低速刈取状態が設定されると、前記走行用の変速装置を低速位置に操作して、この後に前記刈取部用の変速装置を高速位置に操作する第2制御手段を備えてある刈取収穫機。 - 前記走行用の変速装置を前記標準位置よりも高速の高速位置に操作自在に構成し、前記走行用の変速装置が高速位置に操作される移動走行状態を設定可能に構成して、
前記移動走行状態が設定されると、刈取部に動力を伝動及び遮断自在な刈取クラッチを遮断状態に操作して、この後に前記走行用の変速装置を高速位置に操作する第3制御手段を備えてある請求項1に記載の刈取収穫機。
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