JP5543095B2 - 刈取収穫機 - Google Patents
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Description
特許文献1では、エンジン(特許文献1の図2の8)の動力が静油圧式無段変速装置(特許文献1の図2の7)に伝達され、静油圧式無段変速装置の出力軸(特許文献1の図2の7b)の動力が、走行伝動系及び刈取伝動系に並列的に分岐されている。走行伝動系の動力が副変速装置(特許文献1の図2の10)を介して、走行装置(特許文献1の図1及び図2の1)に伝達されるのであり、刈取伝動系の動力が刈取変速装置(特許文献1の図2の15)を介して、刈取部(特許文献1の図1及び図2の2)に伝達される。
本発明は、刈取収穫機において静油圧式無段変速装置を備えた場合、駆動力(トルク)の低下を避けながら、機体の走行速度を低速にすることができるように構成することを目的としている。
エンジンの動力が伝達される静油圧式無段変速装置を備え、前記静油圧式無段変速装置を伝動上手側の油圧ポンプと伝動下手側の油圧モータとを備えて構成して、前記油圧ポンプを、変速操作具の操作によって無段階に変速自在なように構成し、前記油圧モータを、複数の操作位置に変速自在に且つ前記複数の操作位置を任意に変更及び記憶自在に構成するとともに、前記複数の操作位置のいずれか1つを選択する選択手段を備え、前記油圧モータの動力を走行伝動系及び刈取伝動系に並列的に分岐させて、前記走行伝動系の動力を走行装置に伝達するように構成し、前記刈取伝動系の動力を刈取部に伝達するように構成して、前記刈取伝動系に刈取変速装置を備えてある点にある。
これにより、静油圧式無段変速装置の油圧ポンプの吐出量が確保された状態で、静油圧式無段変速装置の油圧モータを低速側に操作すると、十分な駆動力(トルク)を備えた低速の動力が走行装置に伝達されることになるので、走行抵抗の大きな軟弱な圃場であっても、駆動力(トルク)が不足することなく低速の機体の走行速度を得ることができる。
これにより、静油圧式無段変速装置の油圧モータを操作すると、静油圧式無段変速装置の油圧モータで変速された動力が走行装置及び刈取部に並列的に伝達されるので、特許文献1と同様に機体の走行速度と刈取部の作動速度とが同調する状態が得られる。
これにより、上述したように、静油圧式無段変速装置の油圧モータを低速側に操作して、機体の走行速度を十分に低速にすると、刈取部の作動速度も十分に低速になって(刈取部の作動速度が低速になり過ぎて)、刈取部での安定した刈り取りが行えないことがある(刈取部では一定以上の作動速度が確保されていないと、安定した刈り取りが行えないことがある)。
前記選択手段により選択された操作位置が所定位置よりも高速であれば、前記刈取変速装置を低速側に操作し、前記選択手段により選択された操作位置が所定位置よりも低速であれば、前記刈取変速装置を高速側に操作するアクチュエータを備えてあると好適である。
[1]
図1に示すように、右及び左のクローラ式の走行装置1で支持された機体の前部に刈取部2が昇降自在に支持され、機体の前部の右側に運転部3が備えられて、機体の後部の左側に脱穀装置4が備えられ、機体の後部の右側にグレンタンク5が備えられて、刈取収穫機の一例である自脱型のコンバインが構成されている。
次に、ミッションケース8の伝動系(直進系)の構造について説明する。
図2に示すように、伝動軸20に伝動ギヤ19が相対回転自在に外嵌されて、伝動ギヤ19が低速ギヤ10に咬合しており、シフト部材21がスプライン構造により伝動軸20にスライド及び一体回転自在に外嵌されている。伝動軸20に伝動ギヤ22,23が固定されており、伝動軸20の端部に多板摩擦式の駐車ブレーキ24が備えられている。
次に、ミッションケース8の伝動系(旋回系)の構造について説明する。
図2に示すように、伝動軸34に相対回転自在に外嵌された伝動ギヤ35が、右の咬合部28の外周部のギヤ部に咬合しており、伝動軸34と伝動ギヤ35との間に緩旋回クラッチ36が備えられている。緩旋回クラッチ36は摩擦多板式に構成されて遮断状態に付勢されており、作動油が供給されることで伝動状態に操作され、作動油が排出されることで遮断状態に操作される。
これにより図2に示すように、ブレーキ40が制動状態に操作されると、伝動軸34及び伝動ギヤ38を介して、旋回クラッチケース37が制動状態となる。ブレーキ40の制動状態において、右又は左のサイドクラッチ33が遮断状態に操作され、右又は左の旋回クラッチ39が伝動状態に操作されると、右又は左の出力ギヤ27が制動状態となる。
次に、静油圧式無段変速装置7の油圧回路構造について説明する。
図5に示すように、静油圧式無段変速装置7はアキシャルプランジャ型式の油圧ポンプ7P及び油圧モータ7Mを備え、油圧ポンプ7P及び油圧モータ7Mを一対の油路7cで接続して構成されている。静油圧式無段変速装置7の入力軸7aにチャージポンプ44が接続されて、静油圧式無段変速装置7の入力軸7aによりチャージポンプ44が駆動される。
この場合、図5に示すように、オイルクーラー53の流路抵抗等により油路52の圧力(背圧)が上昇して所定低圧を越えると、開閉弁55が開位置に操作され、油路52の作動油が供給油路47に供給されて、油路52及びオイルクーラー53での圧力の上昇が抑えられる。
次に、静油圧式無段変速装置7の操作構造について説明する。
図4及び図5に示すように、静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pは中立位置N、前進側F及び後進側Rに無段階に変速自在に構成されている。運転部3に備えられた変速レバー43と静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pの斜板とが、連係リンク80を介して機械的に連係されており、変速レバー43により静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pの斜板を操作して、静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pを中立位置N、前進側F及び後進側Rに操作する。
これにより、走行変速スイッチ81の操作に基づいて、制御装置79により圧力制御弁58が操作され、操作シリンダ56が作動する。
このように、走行変速スイッチ81を高速及び低速位置に操作することによって、静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mを高速側及び低速側に無段階に操作することができる。
前述の静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mの斜板が低速の設定位置を越えて低速側に操作され、刈取変速装置18が高速位置に操作された状態が、圃場での刈取作業において作物の倒伏が激しい部分に達した場合に対応する。
次に、右及び左のサイドクラッチ33(右及び左の咬合部28)、右及び左の旋回クラッチ39、緩旋回クラッチ36、ブレーキ40、逆転クラッチ42に作動油を給排操作する油圧ユニット59について説明する。
図2及び図3に示すように、油圧ユニット59がミッションケース8の左側部の下部に連結されている。静油圧式無段変速装置7の入力軸7aに油圧ポンプ60が接続され、静油圧式無段変速装置7の入力軸7aにより油圧ポンプ60が駆動されるように構成されており、油圧ポンプ60から延出された油路61が油圧ユニット59に接続されている。
右及び左旋回制御弁67,68、アンロード弁70、比例制御弁71、パイロット操作弁73,74は、後述する[7][8][9][10]に記載のように、制御装置79によって操作される。
次に、操向レバー77による直進状態について説明する。
図1及び図4に示すように、右及び左に操作自在な操向レバー77が運転部3に備えられ、操向レバー77の操作位置が制御装置79に入力されており、操向レバー77は直進位置N、右及び左第1旋回位置R1,L1、右及び左第2旋回位置R2,L2に操作自在に構成されている。旋回モードスイッチ78が運転部3に備えられて、旋回モードスイッチ78の操作位置が制御装置79に入力されており、旋回モードスイッチ78は緩旋回位置、信地旋回位置及び超信地旋回位置を備えている。
次に、操向レバー77による緩旋回状態について説明する。
図2,3,4に示すように、旋回モードスイッチ78が緩旋回位置に操作されると、パイロット操作弁73,74により旋回切換制御弁72が緩旋回位置72aに操作される。これにより、操向レバー77が右第1旋回位置R1に操作されると、右旋回制御弁67が供給位置67aに操作されて、アンロード弁70が遮断位置70aに操作され、右のサイドクラッチ33(右の咬合部28)及び右の旋回クラッチ39に作動油が供給されて、右のサイドクラッチ33(右の咬合部28)が遮断状態に操作され、右の旋回クラッチ39が伝動状態に操作される。
次に、操向レバー77による信地旋回状態について説明する。
図2,3,4に示すように、旋回モードスイッチ78が信地旋回位置に操作されると、パイロット操作弁73,74により旋回切換制御弁72が信地旋回位置72bに操作される。
これにより、操向レバー77が右第1旋回位置R1に操作されると、右旋回制御弁67が供給位置67aに操作されて、アンロード弁70が遮断位置70aに操作され、右のサイドクラッチ33(右の咬合部28)及び右の旋回クラッチ39に作動油が供給されて、右のサイドクラッチ33(右の咬合部28)が遮断状態に操作され、右の旋回クラッチ39が伝動状態に操作される。この場合、左の旋回クラッチ39が半伝動状態であるので、前項[8]に記載と同様に機体は緩やかに右に向きを変える。
次に、操向レバー77による超信地旋回状態について説明する。
図2,3,4に示すように旋回モードスイッチ78が超信地旋回位置に操作されると、パイロット操作弁73,74により旋回切換制御弁72が超信地旋回位置72cに操作される。
これにより、操向レバー77が右第1旋回位置R1に操作されると、右旋回制御弁67が供給位置67aに操作されて、アンロード弁70が遮断位置70aに操作され、右のサイドクラッチ33(右の咬合部28)及び右の旋回クラッチ39に作動油が供給されて、右のサイドクラッチ33(右の咬合部28)が遮断状態に操作され、右の旋回クラッチ39が伝動状態に操作される。この場合、左の旋回クラッチ39が半伝動状態であるので、前項[8]に記載と同様に機体は緩やかに右に向きを変える。
前述の[参考形態]のように、静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mを高速側及び低速側に無段階に操作するのではなく、操作シリンダ56により静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mを、複数の操作位置(例えば5つの操作位置)に操作するように構成する。
事前に設定された低速の設定位置と選択された操作位置とが比較されて、選択された操作位置が低速の所定位置よりも高速側であると、刈取変速装置18がアクチュエータ(図示せず)により低速位置に自動的に操作され、選択された操作位置が低速の所定位置よりも低速側であると、刈取変速装置18がアクチュエータにより高速位置に自動的に操作されるように構成する。
操作シリンダ56により静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mを、移動走行用の高速位置、刈取作業用の中速位置、及び倒伏が激しい作物を刈り取る倒伏刈取作業用の低速位置の3位置に操作するように構成してもよい。
移動走行状態は静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mが高速位置に操作され、刈取クラッチが遮断状態に操作され、刈取変速装置18が低速位置に操作された状態である。標準刈取状態は静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mが中速位置に操作され、刈取クラッチが伝動状態に操作され、刈取変速装置18が低速位置に操作された状態である。低速刈取状態は、静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mが低速位置に操作され、刈取クラッチが伝動状態に操作され、刈取変速装置18が高速位置に操作された状態である。
この場合、移動走行状態が設定された状態において、刈取変速スイッチが押し操作されても、この押し操作が無視されて移動走行状態が維持される。走行変速スイッチが押し操作されることにより、標準刈取状態が設定された状態において、刈取変速スイッチが押し操作されると、低速刈取状態が設定される。
この場合、低速刈取状態が設定された状態において、走行変速スイッチが押し操作されても、この押し操作が無視されて低速刈取状態が維持される。刈取変速スイッチが押し操作されることにより、標準刈取状態が設定された状態において、走行変速スイッチが押し操作されると、移動走行状態が設定される。
前述の[発明の実施形態]において、以下の構成を備えてもよい。
図4及び図7に示すように、走行変速スイッチ81及び圧力制御弁58により操作シリンダ56に油室56aに作動油を給排操作する場合、操作シリンダ56の油室56aの圧力が最低圧力B1及び最高圧力B2の範囲で操作される。静油圧式無段変速装置7に負荷が掛からない無負荷状態において、静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mの斜板の位置と、操作シリンダ56の油室56aの圧力との関係(A1)が事前に把握されており、操作シリンダ56の油室56aの最低圧力B1が、静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7M(斜板)の最低速位置Lに対応し、操作シリンダ56の油室56aの最高圧力B2(リリーフ弁50(図5参照)によって設定される)が、静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7M(斜板)の最高速位置Hに対応している。
前述の[発明の実施形態][発明の実施の第1別形態]において、図8に示すように、静油圧式無段変速装置7の出力軸7b(油圧モータ7M)に、無段変速型式の変速装置88(ベルト式無段変速装置やトロイダルコア式無段変速装置等)を接続してもよい。
これにより、図8に示すように、静油圧式無段変速装置7の油圧モータ7Mを操作するのではなく、静油圧式無段変速装置7の出力軸7b(油圧モータ7M)の動力を変速装置88に伝達し、変速装置88を操作して、変速装置88の動力を伝動軸12から刈取変速装置18及び伝動軸20に伝達するように構成する。
前述の[発明の実施形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、刈取変速装置18を無段変速型式(静油圧式無段変速装置やベルト式無段変速装置、トロイダルコア式無段変速装置等)に構成してもよい。
2 刈取部
6 エンジン
7 静油圧式無段変速装置
7P 静油圧式無段変速装置の油圧ポンプ
7M 静油圧式無段変速装置の油圧モータ
18 刈取変速装置
88 変速装置
Claims (2)
- エンジンの動力が伝達される静油圧式無段変速装置を備え、前記静油圧式無段変速装置を伝動上手側の油圧ポンプと伝動下手側の油圧モータとを備えて構成して、
前記油圧ポンプを、変速操作具の操作によって無段階に変速自在なように構成し、
前記油圧モータを、複数の操作位置に変速自在に且つ前記複数の操作位置を任意に変更及び記憶自在に構成するとともに、前記複数の操作位置のいずれか1つを選択する選択手段を備え、
前記油圧モータの動力を走行伝動系及び刈取伝動系に並列的に分岐させて、前記走行伝動系の動力を走行装置に伝達するように構成し、
前記刈取伝動系の動力を刈取部に伝達するように構成して、前記刈取伝動系に刈取変速装置を備えてある刈取収穫機。 - 前記選択手段により選択された操作位置が所定位置よりも高速であれば、前記刈取変速装置を低速側に操作し、前記選択手段により選択された操作位置が所定位置よりも低速であれば、前記刈取変速装置を高速側に操作するアクチュエータを備えてある請求項1に記載の刈取収穫機。
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