JP5285444B2 - コンバインの走行制御装置 - Google Patents
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Description
ちなみに、この特許文献1は、エンジンが、作業車としてのコンバインに搭載されて、そのエンジンの動力が、刈取処理部及び脱穀装置に伝達されており、エンジンの回転数は、走行負荷、及び、刈取処理部の負荷や脱穀装置の負荷の増減に応じて変化することになる。
即ち、静油圧式無段変速装置の可変容量型の油圧ポンプを低速側に操作することは、静油圧式無段変速装置の油圧ポンプの吐出量を少なくすることなので、機体の走行速度が低速になると同時に、走行用の駆動力(トルク)も小さくなる。これにより、走行抵抗の大きな軟弱な作業地において、静油圧式無段変速装置の油圧ポンプを低速側に操作すると、走行用の駆動力(トルク)が不足する状態になることが考えられる。
前記静油圧式無段変速装置が、可変容量型の油圧ポンプと、可変容量型の油圧モータとを備え、且つ、前記油圧ポンプの斜板が変速レバーの操作により移動自在に構成され、
前記油圧モータにおける容量変更用の操作部が低速側に移動するのを高速側に移動操作する操作力にて保持する保持手段と、
大小に変化する指令電流値が大であるほど前記保持手段の操作力を大きくする形態で前記保持手段の操作力を変更調整する操作力調整手段と、
前記操作部の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記操作部を設定目標位置に維持させるように、前記操作力調整手段に指令する指令電流値を変更調整する制御手段とが設けられ、
前記設定目標位置として、異なる位置となる複数の設定目標位置が定められ、
前記制御手段が、
前記操作部が設定目標位置よりも低速側に移動しても、設定上限電流値を超えて前記指令電流値を増加させない形態で、前記操作力調整手段に指令する前記指令電流値を変更調整するように構成され、且つ、
少なくとも刈取作業状態であるという条件を含む基準走行状態であることを判別すると、その基準走行状態において前記操作部を前記設定目標位置に維持させるのに必要とされた実際の前記指令電流値と、予め設定されている初期電流値との偏差に基づいて、前記設定上限電流値を補正するように構成されている点にある。
そして、制御手段が、操作部の位置を検出する位置検出手段の検出情報に基づいて、操作部を設定目標位置に維持させるように、前記操作力調整手段に指令する指令値を変更調整することにより、走行負荷が増減しても、操作部が設定目標位置に維持されることになる。
さらに、制御手段が、操作部が設定目標位置よりも低速側に移動しても、設定上限電流値を超えて前記指令電流値を増加させない形態で、操作力調整手段に指令する指令電流値を変更調整する処理を実行することになるため、走行負荷が増加して、指令電流値を設定上限値にまで増加させた状態において、さらに走行負荷が増加すると、操作部が低速側に移動して、可変容量型の油圧モータの回転速度が、操作部を設定目標位置に位置させるときの回転速度よりも低速側に操作されることになる。
つまり、走行負荷が増大したときに、静油圧式無段変速装置の油圧モータを低速側に操作する構成としては、例えば、油圧モータの駆動トルクを検出するトルク検出手段の検出情報に基づいて、操作部を低速側に操作するアクチュエータを作動させるようにする構成することが考えられるが、駆動トルクを検出してアクチュエータを作動させるには、応答遅れが生じるものとなる。
これに対して、本第1特徴構成によれば、制御手段が、操作部が設定目標位置よりも低速側に移動しても、設定上限電流値を超えて指令電流値を増加させない形態で、操作力調整手段に指令する指令値を変更調整することにより、走行負荷が増加したときに、特別な操作を行うことなしに、可変容量型の油圧モータの回転速度を低速側にするものであるから、応答遅れを生じることなく、走行負荷が増大したときに、静油圧式無段変速装置の油圧モータを低速側に操作することを的確に行えるものとなる。
前記設定目標位置として、異なる位置となる複数の設定目標位置が定められ、
前記複数の設定目標位置のいずれかを選択する選択手段が設けられ、
前記制御手段が、前記複数の設定目標位置のうちで、前記選択手段にて選択された設定目標位置に前記操作部を維持させるように、前記操作力調整手段に指令する指令電流値を変更調整するように構成されている点にある。
そして、操作部を異なる複数の設定目標位置に維持させることによって、油圧モータの回転速度を高低に変更することができるものであるから、地面の硬軟等の走行条件によって、走行速度を変更することができ、しかも、低速側の設定目標位置を選択すれば、大きな走行用の駆動力(トルク)を得ることができるものとなる。
前記保持手段が、操作力が供給される油圧の圧力にて変更される油圧シリンダであり、
前記操作力調整手段が、前記指令電流値が大であるほど、前記保持手段の操作力を大きくする形態で前記油圧シリンダに供給する油圧の圧力を変更調整する電磁比例弁であり、
前記制御手段が、前記設定上限電流値を超えて増加させない形態で前記電磁比例弁に通電する指令電流値を変更調整するように構成されている点にある。
前記エンジンの動力が、刈取処理部及び脱穀装置に伝達されるものであり、
刈取作業状態であるか非刈取作業状態であるかを検出する作業状態検出手段が備えられ、
前記制御手段が、
前記作業状態検出手段にて前記刈取作業状態が検出されていると、前記基準走行状態であると判別するように構成され、且つ、
前記基準走行状態であると判別すると、前記作業状態検出手段にて前記刈取作業状態が検出されている状態から前記非刈取作業状態が検出される状態に切り換わる切り換わりタイミングよりも設定時間前から前記切り換わりタイミングまでの間に、前記操作部を前記設定目標位置に維持させるときの前記指令値に基づいて前記設定上限値を補正するように構成されている点にある。
刈取作業状態であるか非刈取作業状態であるかを検出する作業状態検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、直進状態であるか旋回状態であるかを検出する操向状態検出手段とが備えられ、
前記制御手段が、
前記作業状態検出手段にて前記刈取作業状態が検出されること、前記車速検出手段にて検出される車速が設定車速以上であること、及び、前記操向状態検出手段にて直進状態が検出されることの各条件が満たされると、前記基準走行状態であると判別するように構成され、且つ、
前記基準走行状態であると判別すると、その基準走行状態であると判別する状態が継続している間において、前記操作部を前記設定目標位置に維持させるときの前記指令値を平均処理した値に基づいて、前記設定上限電流値を補正するように構成されている点にある。
図1に示すように、右及び左のクローラ式の走行装置1で支持された機体の前部に、刈取処理部としての刈取部2が昇降自在に支持され、機体の前部の右側に運転部3が備えられて、機体の後部の左側に脱穀装置4が備えられ、機体の後部の右側にグレンタンク5が備えられて自脱型のコンバインが構成されている。
図2に示すように、伝動軸20に伝動ギヤ19が相対回転自在に外嵌されて、伝動ギヤ19が低速ギヤ10に咬合しており、シフト部材21がスプライン構造により伝動軸20にスライド及び一体回転自在に外嵌されている。伝動軸20に伝動ギヤ22,23が固定されており、伝動軸20の端部に多板摩擦式の駐車ブレーキ24が備えられている。
図2に示すように、伝動軸34に相対回転自在に外嵌された伝動ギヤ35が、右の咬合部28の外周部のギヤ部に咬合しており、伝動軸34と伝動ギヤ35との間に緩旋回クラッチ36が備えられている。緩旋回クラッチ36は摩擦多板式に構成されて遮断状態に付勢されており、作動油が供給されることで伝動状態に操作され、作動油が排出されることで遮断状態に操作される。
これにより図2に示すように、ブレーキ40が制動状態に操作されると、伝動軸34及び伝動ギヤ38を介して、旋回クラッチケース37が制動状態となる。ブレーキ40の制動状態において、右又は左のサイドクラッチ33が遮断状態に操作され、右又は左の旋回クラッチ39が伝動状態に操作されると、右又は左の出力ギヤ27が制動状態となる。
図2及び図3に示すように、油圧ユニット59がミッションケース8の左側部の下部に連結されている。静油圧式無段変速装置7の入力軸7aに油圧ポンプ60が接続され、静油圧式無段変速装置7の入力軸7aにより油圧ポンプ60が駆動されるように構成されており、油圧ポンプ60から延出された油路61が油圧ユニット59に接続されている。
右及び左旋回制御弁67,68、アンロード弁70、比例制御弁71、パイロット操作弁73,74は、図4に示すように、制御手段としての制御装置79によって、後述の如く操作される。
図1及び図4に示すように、右及び左に操作自在な操向レバー77が運転部3に備えられ、操向レバー77の操作位置を検出する操作位置検出センサーQの検出情報が制御装置79に入力されており、操向レバー77は直進位置n、右及び左第1旋回位置R1,L1、右及び左第2旋回位置R2,L2に操作自在に構成されている。ダイヤル操作型式の旋回モードスイッチ78が運転部3に備えられ、旋回モードスイッチ78の操作情報が制御装置79に入力されており、旋回モードスイッチ78は緩旋回位置、信地旋回位置及び超信地旋回位置を備えている。
図2〜4に示すように、旋回モードスイッチ78が緩旋回位置に操作されると、パイロット操作弁73,74により旋回切換制御弁72が緩旋回位置72aに操作される。
これにより、操向レバー77が右第1旋回位置R1に操作されると、右旋回制御弁67が供給位置67aに操作されて、アンロード弁70が遮断位置70aに操作され、右のサイドクラッチ33(右の咬合部28)及び右の旋回クラッチ39に作動油が供給されて、右のサイドクラッチ33(右の咬合部28)が遮断状態に操作され、右の旋回クラッチ39が伝動状態に操作される。
図2〜4に示すように、旋回モードスイッチ78が信地旋回位置に操作されると、パイロット操作弁73,74により旋回切換制御弁72が信地旋回位置72bに操作される。
これにより、操向レバー77が右第1旋回位置R1に操作されると、右旋回制御弁67が供給位置67aに操作されて、アンロード弁70が遮断位置70aに操作され、右のサイドクラッチ33(右の咬合部28)及び右の旋回クラッチ39に作動油が供給されて、右のサイドクラッチ33(右の咬合部28)が遮断状態に操作され、右の旋回クラッチ39が伝動状態に操作される。この場合、左の旋回クラッチ39が半伝動状態であるので、前項[13]に記載と同様に機体は緩やかに右に向きを変える。
図2〜4に示すように、旋回モードスイッチ78が超信地旋回位置に操作されると、パイロット操作弁73,74により旋回切換制御弁72が超信地旋回位置72cに操作される。
これにより、操向レバー77が右第1旋回位置R1に操作されると、右旋回制御弁67が供給位置67aに操作されて、アンロード弁70が遮断位置70aに操作され、右のサイドクラッチ33(右の咬合部28)及び右の旋回クラッチ39に作動油が供給されて、右のサイドクラッチ33(右の咬合部28)が遮断状態に操作され、右の旋回クラッチ39が伝動状態に操作される。この場合、左の旋回クラッチ39が半伝動状態であるので、機体は緩やかに右に向きを変える。
図5に示すように、静油圧式無段変速装置7はアキシャルプランジャ型式の可変容量型の油圧ポンプ7P及びアキシャルプランジャ型式の可変容量型の油圧モータ7Mを備え、油圧ポンプ7P及び油圧モータ7Mを一対の油路7cで接続して構成されている。静油圧式無段変速装置7の入力軸7aにチャージポンプ44が接続されて、静油圧式無段変速装置7の入力軸7aによりチャージポンプ44が駆動される。
図4及び図5に示すように、静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pは中立状態、前進側及び後進側に無段階に変速自在に構成され、中立位置N、前進側F及び後進側Rに操作自在な変速レバー43(油圧ポンプ操作具に相当)が運転部3に備えられ、変速レバー43と静油圧式無段変速装置7の油圧ポンプ7Pの斜板7Paとが、連係リンク80を介して機械的に連係されている。尚、例示はしないが、操作された変速レバー43をその位置で保持するための摩擦式保持機構が設けられている。
図4に示すように、変速レバー43の上部の握り部43aにおいて、変速レバー43の握り部43aの横面部の下部に、走行変速スイッチ81が備えられており、変速レバー43の握り部43aの後面部の上部に、刈取変速スイッチ82が備えられている。走行変速スイッチ81及び刈取変速スイッチ82は、戻り側(突出側)に復帰付勢された押しボタン型式に構成されており、走行変速スイッチ81及び刈取変速スイッチ82の操作信号が制御装置79に入力される。
油圧モータ7Mの斜板7Maの位置として、操作シリンダ56のピストンの位置を検出するポテンショメータ89(位置検出手段に相当)が備えられて、ポテンショメータ89により操作シリンダ56のピストンの位置を検出することにより、油圧モータ7Mの斜板7Maの位置が検出されて、ポテンショメータ89の検出値Pが制御装置79に入力される。
説明を加えると、操作シリンダ56は、油圧モータ7Mの斜板7Maを高速側に移動操作する操作力が供給される油圧にて変更される油圧シリンダであり、圧力制御弁58が、操作シリンダ56に供給する油圧の圧力を変更調整するように構成されている。
標準刈取状態は、静油圧式無段変速装置7における油圧モータ7Mの斜板7Maが刈取作業用の中速位置Mに操作され、刈取クラッチ17及び脱穀クラッチ4Aが伝動状態に操作され、刈取変速装置18が低速位置に操作された状態であり、表示部87に中速位置Mが表示される。
低速刈取状態は、静油圧式無段変速装置7における油圧モータ7Mの斜板7Maが倒伏刈取作業用の低速位置Lに操作され、刈取クラッチ17及び脱穀クラッチ4Aが伝動状態に操作され、刈取変速装置18が高速位置に操作された状態であり、表示部87に低速位置Lが表示される。この低速刈取状態は、倒伏が激しい作物を刈り取るときに選択されることになる。
移動走行状態が設定された状態において走行変速スイッチ81が押し操作されると、標準刈取状態が設定され、標準刈取状態が設定された状態において走行変速スイッチ81が押し操作されると、移動走行状態が設定される。このように、走行変速スイッチ81が押し操作される毎に、移動走行状態及び標準刈取状態が交互に設定される。
この場合、移動走行状態が設定された状態において刈取変速スイッチ82が押し操作されても、この押し操作が無視されて移動走行状態が維持される。走行変速スイッチ81が押し操作されることにより、標準刈取状態が設定された状態において刈取変速スイッチ82が押し操作されると、低速刈取状態が設定される。
この場合、低速刈取状態が設定された状態において走行変速スイッチ81が押し操作されても、この押し操作が無視されて低速刈取状態が維持される。刈取変速スイッチ82が押し操作されることにより、標準刈取状態が設定された状態において走行変速スイッチ81が押し操作されると、移動走行状態が設定される。
そして、制御装置79が、複数の設定目標位置のうちで、走行変速スイッチ81及び刈取変速スイッチ82にて設定された目標位置に油圧モータ7Mの斜板7Maを維持させるように、圧力制御弁58に通電する電流値を制御するように構成されている。
説明を加えると、圧力制御弁58に通電する電流値は、操作シリンダ56により油圧モータ7Mの斜板7Maを高速側に移動操作する操作力に対応するものであり、図4に示すように、圧力制御弁58に通電される電流値aを検出する電流検出センサーD、及び、圧力制御弁58の駆動回路93が設けられている。
そして、油圧モータ7Mの斜板7Maを維持する設定目標位置としての、高速位置H、中速位置M、及び、低速位置Lの夫々に対応して、前記設定上限値に対応する設定上限電流値A1、A2、及び、A3が、低速側の設定目標位置ほど低くする状態で設定され、制御装置79が、電流検出センサーDの検出情報に基づいて、圧力制御弁58に通電する電流値aを設定上限電流値A1、A2、及び、A3を超えて増加させない形態で圧力制御弁58に通電する電流値aを制御するように構成されている。
つまり、油圧モータ7Mの斜板7Maを高速位置Hに維持するときに、走行負荷が増加して、設定上限電流値A1に対応する操作力にては、油圧モータ7Mの斜板7Maを高速位置Hに維持できなくなると、油圧モータ7Mの斜板7Maが高速位置Hよりも低速側に移動することになり、走行速度が低速になり、エンジン6の負荷が増大するのを抑制することになる。
同様に、油圧モータ7Mの斜板7Maを中速位置Hに維持するときに、走行負荷が増加して、設定上限電流値A2に対応する操作力にては、油圧モータ7Mの斜板7Maを中速位置Mに維持できなくなると、油圧モータ7Mの斜板7Maが中速位置Hよりも低速側に移動することになり、走行速度が低速になり、エンジン6の負荷が増大するのを抑制することになる。
ちなみに、油圧モータ7Mの斜板7Maの設定目標位置としての高速位置Hは、斜板7Maの高速側への移動限度よりも少し低速側の位置に定められている。
すなわち、電磁比例制御弁にて構成される圧力制御弁58における電流値と操作シリンダ56に供給する油圧の圧力(操作力)との関係は、例えば図13に示すように、直線状に変化するような特性を有するものであるが、個体差に起因して図13の特性線L1、L2、L3に示すように、前記特性にはバラツキが存在することになる。その結果、操作シリンダ56にて同じ圧力(操作圧)(図13にてF1,F2,F3で例示している)を得るのに必要とされる電流値が互いに異なる値になる。
図7は、メインフローを示すものであり、電源が投入されると、先ず初期設定を行うことになる(#1)。この初期設定において、移動走行状態を設定する。
初期設定を行うと、次に、移動走行状態であるか否かを判別し(#2)、移動走行状態であるときには、走行変速スイッチ81が操作されたか否か、つまり、走行変速スイッチ81がONになったか否かを判別し(#3)、走行変速スイッチ81が操作されていなければ、刈取りクラッチ17及び脱穀クラッチ4Aを遮断状態とし、刈取変速装置18を低速にする移動走行状態用処理(#4)、及び、静油圧式無段変速装置7における油圧モータ7Mの斜板7Maを高速位置Hに維持する高速操作処理(#5)を実行する。
次に、基準走行状態であることを判別すると、前記補正処理を実行し(#6)、その後、#2の移動走行状態であるか否かを判別する処理に戻ることになる。
#9にて刈取変速スイッチ82がONになったことを判別すると、低速刈取状態への変更であるとして、刈取りクラッチ17及び脱穀クラッチ4Aを伝動状態とし、刈取変速装置18を高速にする低速刈取状態用処理(#13)、及び、静油圧式無段変速装置7における油圧モータ7Mの斜板7Maを低速位置Lに維持する低速操作処理(#14)を実行し、その後、#6の補正処理に移行する。
先ず、操作シリンダ56のピストンの位置を検出するポテンショメータ89の検出値Pが高速位置Hに対応する位置であるか否かを判別し(#21)、検出値Pが高速位置Hに対応する位置である場合には、メインフローに戻ることになる。
#21にて検出値Pが高速位置Hに対応する位置でないことを判別した場合には、検出値Pが高速位置Hに対応する位置よりも高速側であるか否かを判別し(#22)、高速側であることを判別すると、現在の目標電流値Aから設定量αを減算した値を新たな目標電流値Aとして設定し(#23)、電流検出センサーDにて検出される電流値aが新たな目標電流値Aになるように駆動回路93に対して電流増減指令を指令する電流制御処理を実行し(#24)、その後、メインフローに戻ることになる。
また、#25にて目標電流値Aが高速位置Hに対応する設定上限電流値A1よりも小でないことを判別した場合は、現在の目標電流値Aを設定上限電流値A1に設定して、#24の電流制御処理に移行することになる。
先ず、操作シリンダ56のピストンの位置を検出するポテンショメータ89の検出値Pが中速位置Mに対応する位置であるか否かを判別し(#41)、検出値Pが中速位置Mに対応する位置である場合には、メインフローに戻ることになる。
#41にて検出値Pが中速位置Mに対応する位置でないことを判別した場合には、検出値Pが中速位置Mに対応する位置よりも高速側であるか否かを判別し(#42)、高速側であることを判別すると、現在の目標電流値Aから設定量αを減算した値を新たな目標電流値Aとして設定し(#43)、電流検出センサーDにて検出される電流値aが新たな目標電流値Aになるように駆動回路93に対して電流増減指令を指令する電流制御処理を実行し(#44)、その後、メインフローに戻ることになる。
また、#45にて目標電流値Aが中速位置Mに対応する設定上限電流値A2よりも小でないこと判別した場合は、現在の目標電流値Aを設定上限電流値A2に設定して、#44の電流制御処理に移行することになる。
先ず、操作シリンダ56のピストンの位置を検出するポテンショメータ89の検出値Pが低速位置Lに対応する位置であるか否かを判別し(#61)、検出値Pが低速位置Lに対応する位置である場合には、メインフローに戻ることになる。
#61にて検出値Pが低速位置Lに対応する位置でないことを判別した場合には、検出値Pが低速位置Lに対応する位置よりも高速側であるか否かを判別し(#62)、高速側であることを判別すると、現在の目標電流値Aから設定量αを減算した値を新たな目標電流値Aとして設定し(#63)、電流検出センサーDにて検出される電流値aが新たな目標電流値Aになるように駆動回路93に対して電流増減指令を指令する電流制御処理を実行し(#64)、その後、メインフローに戻ることになる。
また、#65にて目標電流値Aが低速位置Lに対応する設定上限電流値A3よりも小でないことを判別した場合は、現在の目標電流値Aを設定上限電流値A3に設定して、#64の電流制御処理に移行することになる。
先ず、株元センサ90にてオン状態(刈取作業状態)が検出され(#80)、車速センサ91にて検出される車速が設定車速以上であることが検出され(#81)、且つ、操作位置検出センサーQにて直進状態が検出されている(#82)と、すなわち、基準走行状態であると判別すると、その基準走行状態であると判別する状態が継続している間において、前回積算してから設定時間が経過したことを判別すると(#83)、そのときの電流検出センサーDにて検出される電流値aを積算値に加算して電流値を積算し且つ電流値を積算した積算値を図示しない不揮発性メモリに記憶する(#84)。又、積算した回数をカウントする(#85)。
しかも、上記基準走行状態であることにより、操作シリンダ56の油圧の圧力(操作圧)は、初期設定されている設定上限電流値A2であるときの圧力F2に近い値が出力されているものと推定するのである。
以下、本発明の別実施形態について説明する。
すなわち、制御装置が、作業状態検出手段としての株元センサにてオン状態(刈取作業状態)が検出されていると、前記基準走行状態であると判別するように構成され、且つ、前記基準走行状態であると判別すると、株元センサにてオン状態(刈取作業状態)が検出されている状態からオフ状態(非刈取作業状態)が検出される状態に切り換わる切り換わりタイミングよりも設定時間前から切り換わりタイミングまでの間に、油圧モータ7Mの斜板7Maを中速位置Mに維持させるときの圧力制御弁58に通電される電流値aに基づいて、設定上限電流値A1、A2、及び、A3を補正するように制御するものでもよい。
先ず、#100にて株元センサ90にてオン状態(刈取作業状態)が検出されると、すなわち、基準走行状態であると判別すると、その基準走行状態であると判別する状態が継続している間において、#101にて前回記憶してから設定時間が経過したことを判別すると、#102にて、そのときの電流検出センサーDにて検出される電流値aを不揮発性メモリに記憶する。尚、このとき、電流値aを時間の経過と対応つけて順次記憶するようにしている。
すなわち、上記実施形態及び上記(1)の別実施形態では、制御装置が、作業状態検出手段及びその他の検出手段の検出情報に基づいて自動で判別する構成としたが、このような構成に代えて、前記制御装置が、手動操作式の指令手段としての指示スイッチの操作指令に基づいて、前記補正処理を実行するようにしてもよい。
例えば、操作部を高速側に移動されるための駆動回転体と、その駆動回転体と操作部とを伝達力を変更調整自在な摩擦伝動機構を用いて連動連結して、摩擦伝動機構の伝達力を変更調整することにより、操作部を高速側に移動する操作力を変更調整できるように構成して実施できる。
そして、保持手段の操作力を変更調整する操作力調整手段は、保持手段の構成に応じて種々変更される。
4 脱穀装置
6 エンジン
7 静油圧式無段変速装置
7P 静油圧式無段変速装置の油圧ポンプ
7M 静油圧式無段変速装置の油圧モータ
7Ma 操作部(斜板)
56 保持手段(油圧シリンダ)
58 操作力調整手段(電磁比例弁)
79 制御手段
81,82 選択手段
89 位置検出手段
90 作業状態検出手段
91 車速検出手段
Q 操向状態検出手段
Claims (6)
- エンジンの動力が伝達される走行用の静油圧式無段変速装置を備えたコンバインの走行制御装置であって、
前記静油圧式無段変速装置が、可変容量型の油圧ポンプと、可変容量型の油圧モータとを備え、且つ、前記油圧ポンプの斜板が変速レバーの操作により移動自在に構成され、
前記油圧モータにおける容量変更用の操作部が低速側に移動するのを高速側に移動操作する操作力にて保持する保持手段と、
大小に変化する指令電流値が大であるほど前記保持手段の操作力を大きくする形態で前記保持手段の操作力を変更調整する操作力調整手段と、
前記操作部の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記操作部を設定目標位置に維持させるように、前記操作力調整手段に指令する指令電流値を変更調整する制御手段とが設けられ、
前記設定目標位置として、異なる位置となる複数の設定目標位置が定められ、
前記制御手段が、
前記操作部が設定目標位置よりも低速側に移動しても、設定上限電流値を超えて前記指令電流値を増加させない形態で、前記操作力調整手段に指令する前記指令電流値を変更調整するように構成され、且つ、
少なくとも刈取作業状態であるという条件を含む基準走行状態であることを判別すると、その基準走行状態において前記操作部を前記設定目標位置に維持させるのに必要とされた実際の前記指令電流値と、予め設定されている初期電流値との偏差に基づいて、前記設定上限電流値を補正するように構成されているコンバインの走行制御装置。 - 前記複数の設定目標位置のいずれかを選択する選択手段が設けられ、
前記制御手段が、前記複数の設定目標位置のうちで、前記選択手段にて選択された設定目標位置に前記操作部を維持させるように、前記操作力調整手段に指令する指令電流値を変更調整するように構成されている請求項1記載のコンバインの走行制御装置。 - 前記設定上限電流値が、前記複数の設定目標位置の夫々に対して、低速側の設定目標位置ほど低くする状態で定められている請求項2記載のコンバインの走行制御装置。
- 前記保持手段が、操作力が供給される油圧の圧力にて変更される油圧シリンダであり、
前記操作力調整手段が、前記指令電流値が大であるほど、前記保持手段の操作力を大きくする形態で前記油圧シリンダに供給する油圧の圧力を変更調整する電磁比例弁であり、
前記制御手段が、前記設定上限電流値を超えて増加させない形態で前記電磁比例弁に通電する指令電流値を変更調整するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンバインの走行制御装置。 - 前記エンジンの動力が、刈取処理部及び脱穀装置に伝達されるものであり、
刈取作業状態であるか非刈取作業状態であるかを検出する作業状態検出手段が備えられ、
前記制御手段が、
前記作業状態検出手段にて前記刈取作業状態が検出されていると、前記基準走行状態であると判別するように構成され、且つ、
前記基準走行状態であると判別すると、前記作業状態検出手段にて前記刈取作業状態が検出されている状態から前記非刈取作業状態が検出される状態に切り換わる切り換わりタイミングよりも設定時間前から前記切り換わりタイミングまでの間に、前記操作部を前記設定目標位置に維持させるときの前記指令電流値に基づいて前記設定上限電流値を補正するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバインの走行制御装置。 - 前記エンジンの動力が、刈取処理部及び脱穀装置に伝達されるものであり、
刈取作業状態であるか非刈取作業状態であるかを検出する作業状態検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、直進状態であるか旋回状態であるかを検出する操向状態検出手段とが備えられ、
前記制御手段が、
前記作業状態検出手段にて前記刈取作業状態が検出されること、前記車速検出手段にて検出される車速が設定車速以上であること、及び、前記操向状態検出手段にて直進状態が検出されることの各条件が満たされると、前記基準走行状態であると判別するように構成され、且つ、
前記基準走行状態であると判別すると、その基準走行状態であると判別する状態が継続している間において、前記操作部を前記設定目標位置に維持させるときの前記指令電流値を平均処理した値に基づいて、前記設定上限電流値を補正するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバインの走行制御装置。
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