JP5069443B2 - 建築物用補強体 - Google Patents

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Description

本発明は、簡易な施工によって建築物のあらゆる構造部材の相対する結合部位に跨って接合されることにより当該結合部位を補強する建築物用補強体に関する。
建築物においては、2005年7月1日に「建築物の安全性及び市街地の防災機能等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律」が施行され、構造各部材、部位の結合部位における耐震性や耐久性の向上が図られるようになっている。一方、同改正法の施行以前に建設された建築物においては、同等の耐震性、耐久性までに向上させる補強対策が極めて大きな課題となっている。
既存建築物の補強工事においては、基礎を対象とした有筋化の対策、1階及び2階部分における各柱脚部の耐震金物の追加や筋交いの追加等の対策等が必要である。基礎の有筋化対策は、既存基礎のハツリ、配筋と型枠組みの施工、コンクリートの打設及び脱型と仕上げ等の煩雑かつ大規模な工事が必要であり、また2週間程度の工事期間も必要である。
補強工事は、筋交補強が、足場組みと外壁撤去、合板と金物の取付或いは外壁復旧と足場撤去等の工事を行う必要がある。また、補強工事においては、内壁ボードや断熱材の撤去、補強金物の取付、内壁復旧とクロス貼り等の工事が必要であり、エアコンディショナや各種配管の移動と再設置等の付帯作業も必要である。補強工事は、基礎コンクリートや外壁モルタルの養生期間も必要であることから、さらに工事期間も長くなる。
建築物においては、鉄筋や各種金物を用いる上述した一般的な補強工事に対して、例えば基礎と土台、土台と柱或いは柱と筋交い等の結合部位に対して繊維シートと接着剤とからなる補強材を用いることによって補強工事の期間短縮化や簡易化等を図った工法が提案されている(特許文献1乃至特許文献3を参照)。特許文献1は、基礎、土台、柱、横架材、筋交い等の建築物の躯体を構成する建築部材同士の接合部に接着剤を塗布するとともに接着面に靱性に優れた高引張り強度特性を有する繊維シートを貼り付けた後にさらに接着剤を塗布する。特許文献1には、繊維シートとしてアラミド繊維、炭素繊維及びガラス繊維が例示されるとともに、接着剤として2液混合型のエポキシ系接着剤が例示されている。
また、特許文献2は、木造建造物の接合部を、アラミド繊維単独又は他の強化繊維とからなる複合繊維と、接着剤及び又は釘、ネジ或いはボルトとナットとから選択された接合部材を用いて接合する。特許文献2には、強化繊維として炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維或いはポリエステル繊維等の有機繊維が例示されるとともに、接着剤としてエポキシ樹脂系接着剤、アクリル系樹脂接着剤或いはポリアミド系樹脂接着剤が例示されている。
さらに、特許文献3は、土台と柱の接合部位に、熱可塑性樹脂の長繊維を素材とする不織布にエポキシ樹脂剤を含浸させた補強材を重ね合わせ接合する。特許文献3には、不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリルが例示されている。
特開2001−279814公報 特開2002−30727公報 特開2004−100303公報
ところで、建築物においては、例えば土台と柱を補強する場合に、一般にステンレス等の金属材によって形成されたホールダウン金物が用いられている。かかるホールダウン金物は、比較的高価であり、多数箇所に取り付けるために部材費だけでも高額となってしまう。また、補強金物を用いた補強施工は、例えば既存の建築物において実施する場合に、最適な位置に取り付けるために柱等の構造部材を移動させるといった対応を図る必要もある。さらに、補強金物を用いた補強施工は、土台や柱等の構造部材にボルト等を打ち込む多数個の孔を穿孔することからこれら構造部材自体の強度を低下させてしまうといった問題もあった。
一方、各特許文献に開示された繊維シートを用いた補強施工は、構造部材に対して負荷をかけずに簡易な作業で取り付けることが可能である。しかしながら、各特許文献に開示された繊維シートには、アラミド繊維、炭素繊維或いはガラス繊維が用いられるが、補強金物と比較してやや廉価ではあるが繊維材料としては比較的高価であり、また繊維径も大きく接着剤の含浸効率も小さい。また、かかる繊維シートは、各繊維間に接着剤が存在することによってアンカー的作用による機械的結合と分子間引力による物理的結合とにより一体化され、接着剤の接着力によって構造部材に接合されることになる。
したがって、各特許文献に開示された繊維シートを用いた補強施工によれば、接着剤によって構造部材に接合された繊維シートによって結合部位の機械的強度を保持することから、繊維シートの特性によって補強強度も決定されることになる。かかる補強施工においては、上述した補強金物を用いた補強施工と比較して、充分な補強強度を得ることが困難であるとともに繊維の並び方向に対して機械的強度が発揮される。したがって、かかる補強施工においては、補強金物と同様に構造部材の配置構造によって最適な位置に取り付けることが困難なことがあり、例えば土台と柱の相対する直交面に跨ってL字状に接合するといった適用は充分な補強作用を期待し得ない。
また、上述した補強金物や繊維シートを用いる補強工法においては、予め所定の寸法仕様で形成され標準品として提供される補強金物や繊維シートを、現場の各対象部位に応じて選択して用いている。したがって、かかる補強工法においては、補強金物や繊維シートに互換性が無く、割高となっていた。
出願人は、様々な構造部材が引張り力と圧縮力に対して所定の機械的強度を有して結合されるようにすることで上述した従来の各種補強工法の問題を解決する新規な補強体及び補強工法を開発した。新規な補強工法も、エポキシ樹脂接着剤を用いて補強体を構造部材間に接合して補強を行う工法であるが、硬化状態で大きな硬度を有するが脆性が大きいエポキシ樹脂接着剤の特性を補強体の素材として用いるセルロース材により補完することにより強靱で地震エネルギーを吸収する弾性を有する補強体を構成して補強が行われるようにした工法である。
すなわち、新規な補強工法は、上述した合成樹脂繊維と比較してより多くのOH基を有するセルロース材に対して、そのOH基にエポキシ樹脂接着剤の二官能性化合物からなる硬化剤の作用により開環したエポキシ基が重合して分子間架橋構造を形成して硬化する。新規な補強工法によれば、セルロース材とエポキシ樹脂接着剤のエポキシ樹脂とが一体化してエポキシ樹脂接着剤の高接着性と高強度特性とが発揮されるとともに、エポキシ樹脂の脆性特性がセルロースを素材とする繊維シートにより補完されて弾力性を有する補強体を構成する。したがって、新規な補強工法によれば、建築物のあらゆる構造部材の結合部位に共通して用いられ、簡易な施工により引張り力と圧縮力とに対しても大きな耐性が奏されるようにする。新規な補強工法によれば、地震等に際して構造部材の各結合部位に大きな力が作用されても剥離すること無く確実かつ強固に保持して耐震性や耐久性の向上を図ることを可能とする。
そして出願人は、上述した新規な補強体及び補強工法に対してさらなる鋭意工夫を図ることにより、さらに施工効率と機械的強度の向上を図る建築物用補強体を実現するに至った。
すなわち、本発明にかかる建築物用補強体は、上述した新規な補強体及び補強工法において用いられる繊維シートが有する上述の課題を改善することを目的とする。
本発明にかかる建築物用補強体は、セルローススポンジ材を素材とし、直交して結合される第1構造部材と第2構造部材を備える建築物に用いられ、少なくとも上記第1構造部材及び上記第2構造部材の各結合部位とそれぞれ対向する互いに直角をなす第1接合面及び第2接合面を有してブロック状に形成されるとともに、エポキシ樹脂接着剤を含浸して構成される。建築物用補強体は、上記第1接合面及び上記第2接合面をそれぞれ上記第1構造部材及び上記第2構造部材の相対する結合部位に接合することにより、当該結合部位を補強する。建築物用補強体は、例えば第1接合面を土台の表面にあてがうとともに、第2接合面を土台に直交して立設した柱の側面にあてがって取り付ける。
また、本発明にかかる建築物用補強体は、セルローススポンジ材を素材とし、直交して結合される第1構造部材及び第2構造部材と、これら第1構造部材と第2構造部材との結合部位において結合される第3構造部材とを備える建築物に用いられる。建築物用補強体は、セルローススポンジ材を素材とし、少なくとも第1構造部材乃至第3構造部材の各結合部位とそれぞれ対向する第1接合面乃至第3接合面を有してブロック状に形成されるとともに、エポキシ樹脂接着剤を含浸して構成される。建築物用補強体は、第1接合面乃至第3接合面をそれぞれ第1構造部材乃至第3構造部材の相対する結合部位に跨って接合することにより、当該結合部位を補強する。建築物用補強体は、例えば第1接合面を土台の表面にあてがうとともに、第2接合面を土台に直交して立設した柱の側面にあてがい、さらに第3接合面を寸切りされ或いは大入れ構造により土台と柱に釘打ちして結合した筋交いの側面にあてがって取り付ける。
建築物用補強体においては、セルローススポンジ材を素材としてブロック状に形成されることにより土台等の構造部材上に自立して取り付けることが可能であり、取り扱いが簡便となる。建築物用補強体においては、セルローススポンジ材を素材とすることによりその内部にエポキシ樹脂接着剤が効率よく含浸する。建築物用補強体においては、ナイフ等を用いてスポンジ材を土台や柱の形状に応じて任意の形状に加工することが可能であり、現場対応での互換性が図られる。
建築物用補強体においては、取り付けた状態でエポキシ樹脂接着剤をエアガン等により吹き付けることにより、セルローススポンジ材の内部にエポキシ樹脂接着剤を効率よく含浸させることが可能である。また、建築物用補強体においては、取り付けの前工程でスポンジ材を予めエポキシ樹脂接着剤中に漬け置きすることにより、その内部にエポキシ樹脂接着剤を含浸させることが可能である。建築物用補強体においては、硬化状態で大きな硬度を有するが脆さもあるエポキシ樹脂接着剤の特性が、セルローススポンジ体との重合によって補完されることにより、合成樹脂繊維等にエポキシ樹脂を含浸させた建築物用補強体と比較してより大きな弾性を有する補強体を構成し、地震等に際して構造部材の結合部位に大きな力が作用されてもこの結合部位から剥離すること無く確実かつ強固に保持する。
本発明にかかる建築物用補強体を用いて行われる建築物の補強工法は、セルローススポンジ材を素材とし、建築物の結合される少なくとも1組の構造部材の結合部位と対向する第1接合面と第2接合面とを有してブロック状に形成されるとともに、エポキシ樹脂接着剤を含浸して構成された建築物用補強体が用いられる。建築物の補強工法は、建築物用補強体を、各構造部材の相対する結合部位に対して、それぞれ第1接合面と上記第2接合面を接合することにより当該結合部位を補強する。
本発明によれば、セルローススポンジ材を素材として少なくとも1組の構造部材の結合部位と対向する第1接合面と第2接合面とを有してブロック状に形成するとともにエポキシ樹脂接着剤を含浸して補強体を構成することから、エポキシ樹脂接着剤の脆性特性がスポンジ材により補完されて弾力性を有する補強体を構成する。本発明によれば、建築物のあらゆる構造部材の結合部位に共通して用いることが可能であり、引張り力と圧縮力とに対する大きな耐性を有して機械的強度の向上を図ることにより大きな地震等に際して構造部材の各結合部位から剥離すること無く結合部位を確実かつ強固に保持する。本発明によれば、ブロック状に形成された補強体が角構造部材に対して自立して取り付けることが可能であり、シート状の補強体と比較して取り扱いが簡便となるとともに各接合面を構造部材の取付面に対して密着させて接合することが可能となる。本発明によれば、セルローススポンジ材を素材とすることにより補強体の内部にエポキシ樹脂接着剤が効率よく含浸して構造部材に強固に接合されるとともに、ナイフ等を用いてスポンジ材を土台や柱の形状に応じて任意の形状に加工することが可能であり、現場対応での互換性が図られる。
以下、本発明の実施の形態として示した建築物用補強体(以下、補強体と略称する。)1及びこの補強体1を用いた建築物の補強構造並びに補強工法について図面を参照して詳細に説明する。補強体1は、後述するように建築物の結合される様々な構造部材間の結合部位に接合され、接合状態において高強度接着性と適宜の弾力性を有して当該結合部位に対して引張り力と圧縮力とに対する大きな耐性を付与して機械的強度を向上させる。補強体1は、新築の木造や各種コンクリート建造物等に用いられるとともに、既存の建築物における耐震補強工事等にも用いられる。
補強体1は、例えば図1に示す木造家屋における各構造部材間、すなわち基礎2、土台3、柱4、胴差(梁を含む)5或いは筋交い6間にそれぞれ構成される第1結合部位7A乃至第4結合部位7D(以下、個別に説明する場合を除いて結合部7と総称する。)に用いられることにより、これら各結合部位7を補強する。なお、補強体1は、上述した構造部材間ばかりでなく、木造家屋のその他の箇所、例えば床下や天井裏等における様々な構造部材間の結合部位にも用いられることは勿論である。また、補強体1は、各結合部位7において共通して用ることを基本とするが、それぞれの構成について後述するが、図1に示すように各結合部位7に対して形状等を異にする第1の補強体1A乃至第第4補強体1Dを選択して用いることも可能である。
第1の補強体1Aは、図1に示すように例えば基礎2上にアンカボルト8により固定された土台3と、この土台3に適宜の結合構造により立設された柱4と、筋交い6の一端部が土台3と柱4とに跨って結合されてなる第1結合部位7Aに用いられる。第1の補強体1Aは、これら土台3と柱4と筋交い6に跨って接合されることによりこの第1結合部位7Aを補強する。
第2の補強体1Bは、図1に示すように例えば土台3に柱4を立設した第2結合部位7Bに用いられる。第2の補強体1Bは、基礎2と土台3と柱4に跨り或いは土台3と柱4に跨って接合されることによりこの第2結合部位7Bを補強する。第3の補強体1Cは、図1に示すように例えば複数本の柱4と、これら柱4間に架け渡されて梁を支える胴差5との結合部位を構成する各第3結合部位7Cに用いられる。第3の補強体1Cは、各柱4と胴差5とに跨ってそれぞれ接合されることにより、この第3結合部位7Cを補強する。
第4の補強体1Dは、詳細を後述するように主補強体1D1と、この主補強体1D1に組み合わされる1個以上の補助補強体1D2、1D3とから構成され、図1に示すように例えば柱4と、胴差5と、筋交い6の他端部が結合されてなる第4結合部位7Dに用いられる。第4の補強体1Dは、主補強体1D1が柱4と胴差5と筋交い6とに跨って接合されるとともに、第1補助補強体1D2が柱4と筋交い6とに跨って接合され、さらに第2補助補強体1D3が胴差5と筋交い6とに跨って接合されることにより、第4結合部位7Dを補強する。なお、補強体1は、第1の補強体1A乃至第3の補強体1Cが第1結合部位7A乃至第4結合部位7Dに対して互換使用が可能であり、また第4の補強体1Dが第1結合部位7Aに対して互換使用が可能である。
第1結合部7Aは、上述したように土台3と、柱4と、筋交い6とが結合される。第1結合部位7Aにおいては、図2に示すように、基礎2上に適宜の間隔を以って設けられたアンカボルト8により土台3が取り付けられるとともに、この土台3に例えばほぞ構造等により柱4が立設される。第1結合部位7Aにおいては、詳細を省略するが互いに直交する土台3の上面3Aと柱4の側面4Aとに跨って溝切り加工を施すとともに形成した溝内に先端部を嵌め込むいわゆる大入れ構造等により筋交い6の下端部が結合される。第1結合部位7Aにおいては、筋交い6から土台3或いは柱4に達する釘9をそれぞれ打ち込むことにより、この筋交い6が土台3と柱4から抜け止めされるようにする。
第4結合部位7Dは、上述したように柱4と、胴差5と、筋交い6とが結合される。第4結合部位7Dにおいては、図7に示すように、柱4の上端部に例えばほぞ構造等により胴差5が水平状態で固定される。第4結合部位7Dにおいては、詳細を省略するが互いに直交する柱4の側面4Aと胴差5の底面5Aに跨って溝切り加工を施すとともに形成した溝内に先端部を嵌め込むいわゆる大入れ構造等により筋交い6の上端部が結合される。なお、第4結合部位7Dにおいても、図示しないが筋交い6から柱4或いは胴差5に達する釘をそれぞれ打ち込むことにより、この筋交い6が柱4或いは胴差5から抜け止めされるようにする。
結合部位7は、第2結合部位7Bが上述した第1結合部7Aにおいて筋交い6を有していない構造であり、第3結合部位7Cが上述した第4結合部位7Dにおいて筋交い6を有していない構造である。各結合部7は、それぞれの構造部材の結合構造が、上述した第1結合部7Aや第3結合部位7Cの結合構造に限定されないことは勿論である。また、各結合部7は、既に適宜の補強金具が設けられている場合には、この補強金具を取り外すことなく補強体1を取り付けることも可能である。
補強体1は、例えば東レ・ファインケミカル社製或いは3M社製のセルローススポンジを素材として形成されるセルローススポンジ体10に、エポキシ樹脂接着剤11を含浸させて構成される。セルローススポンジ材は、レーヨンやセロファンと同様に天然パルプ中のセルロースを化学処理したビスコースを原料とし、ビスコースに混合した結晶ぼう硝が溶解して抜けることにより内部に気泡が形成された塊状のセルロースに再生した素材である。セルローススポンジ材は、吸水性や保水性、耐熱性や耐薬品性或いは生物親和性や生分解性、柔軟性等の様々な特性を有し、例えば台所家庭用品、自動車用品等様々な分野で利用されている。セルローススポンジ材は、例えばナイフ等を用いて簡単に適宜の大きさに切断したりして適宜の形状に削ることが可能であるとともに、予め所定の形状に成形することも可能である。
セルローススポンジ材は、従来技術として提案されている補強シートに用いられているアラミド繊維等と比較して廉価であり、[C(OH)]nの分子式で示されるセルロースを主成分とする。セルロースは、アラミド繊維等の合成樹脂繊維や炭素繊維或いはガラス繊維等と比較して多くのOH基を有することにより、後述するように含浸させる未硬化状態のエポキシ樹脂接着剤と反応してエポキシ化合物の酸素原子に付加して分子間架橋させる性質を有している。
補強体1は、セルローススポンジ体10が、吸水特性に優れたセルローススポンジ材を用いて形成されることにより、出願人が先に提供した不織布等からなるセルロースシート体と比較してエポキシ樹脂接着剤11の浸透効率が向上される。補強体1は、エポキシ樹脂接着剤11がセルローススポンジ体10に対して短時間でその内部に均一な状態で含浸し、全体で上述した分子間架橋反応が生じるようになる。また、補強体1は、セルローススポンジ体10が、その保水特性によりエポキシ樹脂接着剤の垂れ落ちが低減されることから、取り扱いが簡便であるとともに垂れ落ちによる周囲の汚損及びその清掃の手間が軽減されるようになる。さらに、補強体1は、ブロック状のセルローススポンジ体10を用いることから、このセルローススポンジ体10を後述するように各結合部位7に自立させて組み付けることが可能であり施工性が大幅に向上される。
補強体1は、セルローススポンジ体10に含浸されたエポキシ樹脂接着剤11が、時間経過に伴って大気中のOH基と反応して次第に硬化するとともにセルローススポンジ体10のOH基との重合が行われて分子間架橋構造を形成する。補強体1は、エポキシ樹脂接着剤11が充分に硬化した状態で大きな結合力によって、各結合部位7において各構造部材の結合状態を強固に保持する。
エポキシ樹脂接着剤11は、周知のようにビスフェノールAとエピクロロヒドリンの重合により生成され1分子中に2個以上のエポキシ基を有する熱硬化性樹脂を主剤とし、この主剤に対して例えばジエチレントリアミン等のアミン類、有機酸或いは酸無水物等の二官能性化合物からなる硬化剤を混合して用いられる。エポキシ樹脂接着剤11は、主剤に硬化剤を混合することによってエポキシ基の開環及びOH基との反応が起こり、架橋結合が生じて安定した三次元構造となって硬化する。エポキシ樹脂接着剤11は、高硬度で硬化時の収縮が小さくかつ強力な接着強度を有しているが、脆性が大きいといった特徴がある。なお、エポキシ樹脂接着剤11には、硬化剤に例えば三級アミン等の低温反応性硬化促進剤を添加したものを用いるようにしてもよい。
エポキシ樹脂接着剤11には、上述した2液混合型エポキシ樹脂接着剤ばかりでなく、1液型エポキシ樹脂接着剤を用いてもよい。1液型エポキシ樹脂接着剤としては、例えばコニシ(株)製のエポキシ樹脂系1液常温硬化型接着剤「ユニエポ補修用プライマー」が用いられる。このエポキシ樹脂接着剤は、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂と硬化剤のケチミンとに、酸化カルシウムやシリカ、酸化亜鉛を混合したものであり、大気に晒されることによってOH基と反応して硬化する特性を有している。
補強体1は、各結合部位7に組み付ける前工程においてセルローススポンジ体10にエポキシ樹脂接着剤を含浸させる前含浸処理を施して形成するようにしてもよく、また後工程においてセルローススポンジ体10にエポキシ樹脂接着剤を含浸させる後含浸処理を施して形成するようにしてもよく、さらに各結合部位7に応じて前含浸処理と後含浸処理とを使い分けて形成するようにしてもよい。補強体1は、前含浸処理が、例えば適当な容器内にエポキシ樹脂接着剤11を充填し、この容器にセルローススポンジ材を所定の形状に切断して形成したセルローススポンジ体10を所定時間の間漬け込んでエポキシ樹脂接着剤11を含浸させる。補強体1は、後含浸処理が、セルローススポンジ材を所定の形状に切断して形成したセルローススポンジ体10を結合部位7に組み付けた状態で、例えばスプレーガンを用いる吹き付けにより全体に亘ってエポキシ樹脂接着剤11を含浸させる。
補強体1は、セルローススポンジ体10に対して、上述した漬け込み法や吹き付け法ばかりでなく、他の適宜の方法によりエポキシ樹脂接着剤11を含浸させるようにしてもよい。含浸方法としては、例えばセルローススポンジ体10に注入ノズルを射し込み、この注入ノズルから圧力をかけてエポキシ樹脂接着剤11を内部に注入する注入方法等も採用することが可能である。
補強体1は、セルローススポンジ体10が、例えば現場に搬入された所定の厚みを有する矩形ブロック状のセルローススポンジ材を各結合部位7に応じてナイフ等により所定の形状に切断して形成される。補強体1は、セルローススポンジ体10が、上述した第2結合部位7Bや第3結合部位7Cのように2つの構造部材が結合される部位に用いられる場合に、これら構造部材にそれぞれ接合される少なくとも第1接合面12と第2接合面13の2つの接合面を有する形状であればよい。
また、補強体1は、セルローススポンジ体10が、上述した第1結合部位7Aや第4接合部位7Dのように3つの構造部材が結合される部位に用いられる場合に、これら構造部材にそれぞれ接合される第1接合面12乃至第3接合面14の3つの接合面を有する形状に形成される。補強体1は、セルローススポンジ体10が、後述するように各結合部位7に対して所定の耐力を付与するように第1接合面12乃至第3接合面14が所定の大きさを有するとともに、所定の厚みを以って形成される。
図2に示した第1の補強体1Aは、セルローススポンジ体10Aが、略直角三角形状を基本形状とした所定の厚みを有するブロック体に形成される。第1の補強体1Aは、セルローススポンジ体10Aが、互いに直交する第1側面と第2側面がそれぞれ互いに直交する土台3の上面3Aと柱4の側面4Aにそれぞれ接合される第1接合面12Aと第2接合面13Aを構成する。第1の補強体1Aは、セルローススポンジ体10Aが、第1接合面12Aと第2接合面13Aとに直交する厚み方向の一方側面が筋交い6の主面6Aに接合される第3接合面14Aを構成する。
第1の補強体1Aは、セルローススポンジ体10Aが、第1接合面12Aの長さLAを大きくすると土台3を基礎2に固定するアンカボルト8に当たることが多くなるとともに第2接合面13Aの高さHAが大きくなると壁面に設置するコンセントボックス16(図1参照)に当たってしまうことが多くなり、現場において切り抜き加工等を施す必要が生じて効率が低下する。したがって、第1の補強体1Aは、セルローススポンジ体10Aが、第1接合面12Aの長さLAを120mm乃至130mm程度の長さに形成するとともに第2接合面13Aの高さHAを150mm乃至200mm程度の高さに形成することが好ましい。第1の補強体1Aは、セルローススポンジ体10Aをかかる外形寸法で形成した場合でも、後述するように結合部7に対して所定の耐力を付与することが可能である。
以上のように構成された第1の補強体1Aは、例えばセルローススポンジ体10Aに対して前含浸処理を施してエポキシ樹脂接着剤11が含浸される。第1の補強体1Aは、第1接合面12Aを土台3の上面3A上に載せてこの上面3Aを基準面とし、第2接合面13Aを柱4の側面4Aに押し付けながら押し込んで第3接合面14Aを筋交い6の主面6Aに押圧することにより、第1結合部位7Aに組み付けられる。第1の補強体1Aは、土台3の上面3Aと柱4の側面4A及び筋交い6の主面6Aとに跨って密着した状態で接合されて第1結合部位7Aに設けられる。
第1の補強体1Aは、上述したようにセルローススポンジ体10Aにエポキシ樹脂接着剤11を含浸させて一体化したブロック体を構成することから、セルローススポンジ体10Aとエポキシ樹脂接着剤11との特徴が発揮されて引張り力と圧縮力とに対して大きな機械的耐性を有するとともにある程度の弾性も有している。第1の補強体1Aは、上述した各先願に開示された合成樹脂繊維シートを基材としたシート体と比較してより大きな結合力を発揮するとともに、この結合力が繊維の方向に制限されることも無い。したがって、第1の補強体1Aは、大きな地震の際に生じる縦揺れや横揺れにより大きな力が第1結合部位7Aに作用されてもその接合状態が保持される。第1補強体1Aは、土台3からの柱4の抜け出しを防止するとともに土台3と柱4からの筋交い6の抜け出しを防止し、耐震性を向上させる。
なお、第1の補強体1Aは、上述したように第1結合部位7Aに設けたが、その他の第2結合部位7B〜第4結合部位7Dに設けてもよいことは勿論である。第1の補強体1Aは、所定の厚みを有することから各結合部位7に自立した状態で組み付けることが可能であるが、例えば上側の第3結合部位7Cや第4結合部位7Dに組み付ける場合には、エポキシ樹脂接着剤11が硬化するまで落下しないように保持する必要がある。したがって、第1の補強体1Aは、かかる使用例の場合に仮止め釘によりセルローススポンジ体10Aを柱4や胴差5或いは筋交い6に仮止めすることが好ましい。
図3に示した第2の補強体1Bは、セルローススポンジ体10Bが、縦長矩形で所定の厚みを有するブロック体に形成される。第2の補強体1Bは、セルローススポンジ体10Bが、現場に搬入された幅がLB、高さがHBの長尺のセルローススポンジ材を所定の厚みにスライスして縦長矩形に形成する。第2の補強体1Bは、セルローススポンジ体10Bがその主面を、略同一面を構成する基礎2の表面2Aと土台3の表面3Bと柱4の表面4Bに跨って接合される。
第2の補強体1Bは、上述したようにセルローススポンジ体10Bの主面が、上述した第1接合面12Bと第2接合面13Bを構成する。第2の補強体1Bは、上述した第1の補強体1Aと比較して大きな接合面積を以って土台3や柱4に接合することが可能であり、第2結合部位7Bにおいて土台3と柱4の結合状態をより確実に保持する。第2の補強体1Bは、第2結合部位7Bにおいて基礎2からの土台3の脱落及び土台3からの柱4の抜け出しを防止する。
なお、第2の補強体1Bは、上述したようにセルローススポンジ体10Bの主面を接合面として基礎2と土台3と柱4に跨って接合する態様で用いたが、かかる使用態様に限定されないことは勿論である。第2の補強体1Bは、セルローススポンジ体10Bを直交する土台3と柱4とに跨って接合する使用態様であってもよく、この場合にセルローススポンジ体10Bの直交する側面が第1接合面12Bと第2接合面13Bを構成することになる。
さらに、第2の補強体1Bは、上側の第3結合部位7Cや第4結合部位7Dにも用いるようにしてもよく、柱4と胴差5及び筋交い6の結合状態をより確実に保持する。第2の補強体1Bも、かかる使用例の場合に仮止め釘によりセルローススポンジ体10Aを柱4や胴差5或いは筋交い6に仮止めすることが好ましい。
図4に示した第3の補強体1Cは、セルローススポンジ体10Cが、上述した第1結合部位7Aのように梁6が存在しない柱4と胴差5が直交して結合される第3結合部位7Cに用いられる。第3の補強体1Cは、セルローススポンジ体10Cが、所定の厚みを有するとともに所定の長さを有する第1接合片部1C1と第2接合片部1C2とを互いに直交状態で一体に連設することにより全体が略L字状のブロック体に形成される。第3の補強体1Cは、第1接合片部1C1と第2接合片部1C2がそれぞれの外側面を第1接合面12Cと第2接合面13Cとして構成されて、上述したように第3結合部位7Cにおいて互いに直交して結合される柱4と胴差5に接合される。なお、第3の補強体1Cは、土台3と柱4とに跨って接合されるようにしてもよいことは勿論である。
第3の補強体1Cには、所定の耐力を付与する条件を損なわない範囲で、第1接合面12Cと第2接合面13Cを連結する斜辺部を切り取って肉盗み凹部15が設けられる。第3の補強体1Cは、肉盗み凹部15が、斜辺部の先端から直角コーナ部に向かって次第に厚みが大きくなるように略三角形状に切り取って形成することで楔形のブロック体に形成される。第3の補強体1Cは、セルローススポンジ体10Cをかかる形状に形成することにより体積が低減され、セルローススポンジ材やエポキシ樹脂接着剤11の使用量を低減することが可能となされるように構成される。
また、第3の補強体1Cは、肉盗み凹部15の形状により第1接合面12Cと第2接合面13Cの構成部位がそれぞれの厚みが小さくなって所定の耐力を奏し得なくなる虞が生じる。第3の補強体1Cにおいては、第1の補強体1Aで説明した上述した長さLAと高さHAを有する場合に、第1接合面12Cと第2接合面13Cと対向する肉盗み凹部15の構成面がそれぞれ35°より大きな角度とすることが好ましい。
図5に示した補強体1Eは、上述した第3の補強体1Cの変形例であり、所定の厚みを有するとともに所定の長さを有する第1接合片部1E1と第2接合片部1E2とを互いに直交状態で一体に連設することにより全体が略L字状のブロック体に形成される。補強体1Eは、第1接合片部1E1と第2接合片部1E2がそれぞれの外側面を第1接合面12Eと第2接合面13Eとして構成されて、上述したように第3結合部位7Cにおいて互いに直交して結合される柱4と胴差5に接合される。
補強体1Eは、上述した第3の補強体1Cと比較してもさらに体積の低減が図られることにより、セルローススポンジ材やエポキシ樹脂接着剤11の使用量を低減することが可能となる。なお、補強体1Eは、第1接合片部1E1と第2接合片部1E2の幅が小さくなることにより大きな荷重に対して直角コーナ部と対向する部位からクラックが生じる虞がある場合には、上述した第1の補強体1Aや第2の補強体1Bと組み合わせて用いるようにしてもよい。
第4の補強体1Dは、上述したように主補強体1D1と、この主補強体1D1に組み合わされる補助補強体1D2、1D3とから構成される。第4の補強体1Dは、主補強体1D1が、図6に示すようにセルローススポンジ体10D1を直角三角形状のブロック体に形成する。主補強体1D1は、セルローススポンジ体10D1の互いに直交する第1側面と第2側面がそれぞれ互いに直交する柱4の側面4Aと胴差5の底面5A(又は土台3の上面3A)とにそれぞれ接合される第1接合面12D11と第2接合面13D11を構成する。主補強体1D1は、セルローススポンジ体10D1が、これら第1接合面12D11と第2接合面13D11とに直交する厚み方向の一方側面が筋交い6の主面6Aに接合される第3接合面14D11を構成する。
主補強体1D1は、セルローススポンジ体10D1が柱4や胴差5(又は土台3)に対して追加工を施さずにアンカボルト8やコンセントボックス16を避けて設置することが可能なように上述した第1補強体1Aの外形寸法とほぼ同等に形成される。主補強体1D1は、第1補強体1Aよりも大きな第3接合面14D11が確保され、また補助補強体1D2、1D3と共同して第4結合部位7Dを補強することからさらに小型化することが可能である。
第1の補助補強体1D2は、セルローススポンジ体10D2が、柱4と筋交い6との間に構成される三角形状の第1空間部17Aとほぼ同形の小さな略三角形状のブロック体に形成される。補助補強体1D2は、図7に示すように第1空間部17Aに装填されるとともにセルローススポンジ体10D2が例えば仮止め釘18により柱4に仮止めされる。第1の補助補強体1D2は、この状態でセルローススポンジ体10D2の第1側面が柱4の側面4Aと接合される第1接合面12D21を構成する。また、第1の補助補強体1D2は、この状態でセルローススポンジ体10D2の第2側面が筋交い6の側面6Bと接合される第2接合面13D21を構成する。
同様に、第2の補助補強体1D3は、セルローススポンジ体10D3が、胴差5の底面5A(又は土台3の上面3A)との間に構成される三角形状の第2空間部17Bとほぼ同形の小さな略三角形状のブロック体に形成される。第2の補助補強体1D3も、図7に示すように第2空間部17Bに装填されるとともにセルローススポンジ体10D3が例えば仮止め釘18により胴差5に仮止めされる。第2の補助補強体1D3は、この状態でセルローススポンジ体10D3の第1側面が胴差5の底面5Aと接合される第1接合面12D31を構成する。また、第2の補助補強体1D3は、この状態でセルローススポンジ体10D3の第2側面が筋交い6の側面6Cと接合される第2接合面13D31を構成する。
以上のように構成される第4の補強体1Dは、第4結合部位7Dに組み付けられる。第4の補強体1Dは、図7に示すように第1の補助補強体1D2が第1空間部17Aに装填されて仮止め釘18により柱4に仮止めされるとともに、第2の補助補強体1D3が第2空間部17Bに装填されて仮止め釘18により胴差5に仮止めされる。なお、第4の補強体1Dは、第1の補助補強体1D2と第2の補助補強体1D3が、同図に示すように筋交い6の主面6Aと略同一面を構成するようにして第1空間部17Aと第2空間部17Bに組み付けられることが好ましい。
第4の補強体1Dは、この状態で主補強体1D1が、図7矢印で示すように第1接合面12D11を柱4の側面4Aに押し付けるとともに第2接合面D11を胴差5の底面5Aに押し付けながら、第3接合面14D11を筋交い6の主面6Aと第1の補助補強体1D2及び第2の補助補強体1D3の主面に押し当てられる。第4の補強体1Dは、主補強体1D1が、図8に示すように仮止め釘18が打ち込まれることにより、第4結合部位7Dからの落下を防止されて組み合わされる。
第4の補強体1Dは、この状態で主補強体1D1と第1の補助補強体1D2及び第2の補助補強体1D3に対して、図9に示すようにスプレーガン19からエポキシ樹脂接着剤11が吹き付けられる。第4の補強体1Dは、上述したように主補強体1D1と第1の補助補強体1D2及び第2の補助補強体1D3が、それぞれセルローススポンジ材によりセルローススポンジ体10D1、10D2、10D3を形成したことにより、吹き付けられたエポキシ樹脂接着剤11がそれぞれの内部まで効率よく含浸する。
第4の補強体1Dは、主補強体1D1と第1の補助補強体1D2及び第2の補助補強体1D3が、第4結合部位7Dを構成する柱4と胴差5と筋交い6の結合部位を覆い込んで一体化したブロック体を構成する。第4の補強体1Dは、セルローススポンジ体10とエポキシ樹脂接着剤11との特徴が発揮され、全体として引張り力と圧縮力とに対して大きな機械的耐性を有するとともにある程度の弾性も有するブロック体を構成する。したがって、第4の補強体1Dは、大きな地震の際に生じる縦揺れや横揺れにより大きな力が第4結合部位7Dに作用されても各構造部材4〜6に対して接合状態をしっかりと保持して耐震性を向上させる。
なお、第4の補強体1Dは、上述したように第4結合部位7Dに設けたが、その他の第1結合部位7A〜第3結合部位7Cに設けてもよいことは勿論である。第4の補強体1Dは、スプレーガン19を用いた吹き付けによる後含浸処理によりエポキシ樹脂接着剤11を含浸させるようにしたが、前含浸処理を施してエポキシ樹脂接着剤11を含浸させた状態で第4結合部位7Dに組み付けるようにしてもよい。第4の補強体1Dは、前含浸処理を施しかつ下側の第1結合部位7Aや第2結合部位7Bに組み付ける場合には、特に仮止め釘18による仮止めを不要としてもよい。
第4の補強体1Dは、主補強体1D1がセルローススポンジ材を切断して略直角三角形状に形成されるが、上述した第1の補強体1A乃至第3の補強体1Cと同様の形状に形成したものを用いるようにしてもよいことは勿論である。第4の補強体1Dは、主補強体1D1が例えば上述した第1の補強体1Aと同様に肉盗み凹部15を形成したものを用いる場合に、肉盗み凹部15の切断部位を利用して第1の補助補強体1D2と第2の補助補強体1D3とを形成することにより、セルローススポンジ材の歩留り向上が図られる。
建築物においては、土台3と柱4に結合された筋交い6が、地震等により引抜き力を作用される場合でも、所定の大きさの引抜き力に対しても結合状態が保持されるように構成される。上述した補強体1と従来工法の比較例1〜比較例3とを対象として、土台3と柱4に結合された筋交い6の耐力の比較実験を行い、図10(A)に示した結果を得た。補強体1は、筋交い6に対して26kNの引抜き力が作用された場合でも、充分な耐力を有する結合部位7を構成することが確認された。
比較実験は、結合部位において所定の耐力、すなわちする耐力が得られるように、土台3と柱4及び柱4と胴差5とをホールダウン金物で固定した状態で筋交い6に対して次第に大きな引抜き力Tを作用させた際の水平変位量δ(mm)を測定した。比較実験は、同一素材と同一寸法の構成部材、すなわち栂材の土台3と杉材の柱4に対して断面寸法が45mm×90mmの栂材からなる筋交い6を結合した結合部位7における補強体1と従来構造による比較例1〜比較例3との耐力比較を行った。なお、図10(A)において、縦軸は筋交い6の引抜き力(kN)、横軸は水平変位量δ(mm)である。
比較実験では、第1接合面12の長さ寸法Lが140mm、第2接合面13の高さ寸法Hが250mm、全体の厚みが45mmで、上述した第2の補強体1Bのように全体が縦長矩形に形成した補強体1を用い、この補強体1を図10(B)に示すように土台3と柱4と筋交い6とに跨ってエポキシ樹脂接着剤11を含浸させて接合した。補強体1は、同図(A)のa線で示す試験結果を得た。補強体1においては、最大耐力が35.0kNと極めて大きな耐力を有し、筋交い6の結合部位が保持された状態で土台3が割裂する現象が生じた。
比較例1は、図10(C)に示すように先端を寸切りした筋交い6を土台3と柱4にそれぞれ釘止めして構成した。比較例1は、同図(A)のb線で示す試験結果を得た。比較例1は、最大耐力が6.3kN程度であり、釘が抜けて筋交い6が土台3と柱4から簡単に引き抜かれてしまった。
比較例2は、図10(D)に示すように先端を寸切りした筋交い6を土台3と柱4に対して大入れ構造により結合するとともに釘止めして構成され、従前の建築基準法に規定された構造である。比較例2は、同図(A)のc線で示す試験結果を得た。比較例2においても、最大耐力が6.9kN程度であり、釘が抜けて筋交い6が土台3と柱4から簡単に引き抜かれてしまった。
比較例3は、図10(E)に示すように現建築基準法に準拠して形成された金属製の筋交いプレート20を、土台3に対して3本、柱4に対して5本、筋交い6に対して7本の釘により固定して構成した構造である。比較例3は、同図(A)のd線で示す試験結果を得た。比較例3においては、最大耐力が25.6kNと大きな耐力を有するが、筋交い6が破断してしまった。
以上の比較実験からも明らかなように、補強体1は、金属製の筋交いプレート20よりも大きな耐力を以って結合部位7を保持する。
建築物の各構造部材の結合部位に実施の形態として示す補強体を組み付けた構造説明図である。 第1の実施の形態として示す第1の補強体を用いて土台と柱と筋交いの結合部位の補強を行う要部分解斜視図である。 第2の補強体の正面図である。 第3の補強体の正面図である。 第3の補強体の変形例を示す正面図である。 第4の補強体を構成する主補強体と補助補強体の斜視図である。 同第4の補強体を柱と胴差と筋交いの結合部位の補強を行う要部分解斜視図である。 同第4の補強体を結合部位に組み付けた状態の要部斜視図である。 同第4の補強体に対してエポキシ樹脂接着剤を吹き付けて含浸させる後含浸処理工程の説明図である。 補強体と従来工法との比較実験の説明図及び結果を示した図である。
符号の説明
1 補強体、2 基礎、3 土台、4 柱、5 胴差、6 筋交い、7 結合部位、10 セルローススポンジ体、11 エポキシ樹脂接着剤、12 第1接合面、13 第2接合面、14 第3接合面、15 肉盗み凹部、17 空間部、18 仮止め釘、19 スプレーガン

Claims (8)

  1. セルローススポンジ材を素材とし、直交して結合される第1構造部材と第2構造部材を備える建築物に用いられ、
    少なくとも上記第1構造部材及び上記第2構造部材の各結合部位とそれぞれ対向する互いに直角をなす第1接合面及び第2接合面を有してブロック状に形成されるとともに、エポキシ樹脂接着剤を含浸して構成され、
    上記第1接合面及び上記第2接合面をそれぞれ上記第1構造部材及び上記第2構造部材の相対する結合部位に接合することにより、当該結合部位を補強することを特徴とする建築物用補強体。
  2. セルローススポンジ材を素材とし、直交して結合される第1構造部材及び第2構造部材と、これら第1構造部材と第2構造部材との結合部位において結合される第3構造部材とを備える建築物に用いられ、
    少なくとも上記第1構造部材乃至上記第3構造部材の各結合部位とそれぞれ対向する第1接合面乃至第3接合面を有してブロック状に形成されるとともに、エポキシ樹脂接着剤を含浸して構成され、
    上記第1接合面乃至上記第3接合面をそれぞれ上記第1構造部材乃至上記第3構造部材の相対する結合部位に跨って接合することにより、当該結合部位を補強することを特徴とする建築物用補強体。
  3. 略直角三角形状のブロック体に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の建築物用補強体。
  4. 斜辺部に肉盗み凹部が形成されることを特徴とする請求項3記載の建築物用補強体。
  5. セルローススポンジ材を素材として形成されるとともにエポキシ樹脂接着剤を含浸して構成され、上記第1構造部材と上記第3構造部材との結合部位間に構成される第1間隙部に嵌挿される第1補助補強体と、
    セルローススポンジ材を素材として形成されるとともにエポキシ樹脂接着剤を含浸して構成され、上記第2構造部材と上記第3構造部材との結合部位間に構成される第2間隙部に嵌挿される第2補助補強体と、
    が組み合わされて用いられることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の建築物用補強体。
  6. 上記各構造部材に対して釘打ちされて仮止めされることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の建築物用補強体。
  7. 上記構造部材の結合部位に取り付けた状態で、上記エポキシ樹脂接着剤が吹き付けられて含浸されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の建築物用補強体。
  8. 上記エポキシ樹脂接着剤中に漬け置きすることにより、上記エポキシ樹脂接着剤が含浸されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の建築物用補強体。
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