JP5068981B2 - アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換器等に用いられるアルミニウム合金クラッド材に関し、詳しくはフッ化物系フラックスを用いる不活性ガス雰囲気ろう付けあるいは真空ろう付けにより、自動車用ラジエーター、ヒーターコアなどのアルミニウム製熱交換器を製造する場合、その構成部材であるチューブ材(クラッド材の溶接管あるいは成型チューブ)などに適応でき、とくに等該熱交換器においてアルカリ腐食性環境に対して優れた耐食性を備えた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材に関する。
従来のアルミニウム製熱交換器、例えば自動車用ラジエーターを図5(a),(b)に示す。図5(a)は自動車用熱交換器(ラジエーター)の正面図、図5(b)は図5(a)のA−A断面拡大図である。
この自動車用熱交換器は、冷却水を通すチューブ管(1)にフィン(2)を配置し、チューブ管(1)の両端にヘッダープレート(3)を取り付けて、コア(4)を組み立て、ろう付け後にヘッダープレート(3)にバッキング(6)を介して樹脂タンク(5A),(5B)を取り付けてなる。
その材料としてフィン(2)にはJIS3003合金にZnを1.50%添加した厚さ0.1mm前後の板を用い、チューブ管(1)には冷却水からの貫通孔食の発生を防止するために、JIS3003合金を芯材とし、Znが添加されているJIS7072合金を犠牲陽極材として冷却水側にクラッドし、外気側にJIS4045合金をろう材としてクラッドした厚さ0.2〜0.4mmのアルミニウム合金複合材を用いる。
またヘッダープレート(3)には、厚さ1.0〜1.3mmの厚さで、チューブ管(1)と同様の構成のアルミニウム合金複合材を用いる。
チューブ管(1)、ヘッダープレート(3)に用いられているアルミニウム合金複合材は、ろう付け加熱時に600℃程度の雰囲気に曝される。このため、犠牲陽極材に添加されているZnは芯材中にZnの拡散層を形成する。このZn拡散層が存在するために、犠牲陽極材に発生した腐食は、芯材方向に進行せず、横広がりに進行するため長期の耐貫通孔食性を示すことが知られている。
これら犠牲陽極材としてはJIS7072合金の他に、特許文献1に示されたAl−Zn−Mg系合金、Al−Zn−In系合金が知られている。これらの合金もJIS7072合金と同様、アルミニウム合金複合材にした場合、犠牲陽極材の腐食は横広がりになることが知られている。
上記チューブ管(1)および特許文献1に示されたAl−Zn−Mg系合金、Al−Zn−In系合金を犠牲陽極材としたアルミニウム合金複合材においては、芯材と犠牲陽極材に孔食電位差が存在し、そのため犠牲陽極材に腐食が発生し芯材が露出した場合においても、犠牲陽極材が優先的に腐食され、芯材の腐食が防止される。
さらに、特許文献2には、アルミニウム合金よりなる芯材の片面にアルミニウム合金ろう材をクラッドし、他の面に犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材において、犠牲陽極材が、Alと結合して犠牲陽極材のマトリックスより貴な化合物を形成する元素を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合金から構成され、マトリックス中に粒子径(円相当直径)1〜10μmの前記化合物が1mmあたり5×102〜5×104個均一に分布していることを特徴とするアルミニウム合金クラッド材を提案している。
これらは、犠牲陽極材表面の化合物が存在する個所で、皮膜成分である水酸化アルミニウムの沈着が妨げられ皮膜の生成が抑制されるから、皮膜欠陥が多くなって孔食が分散するため、皮膜欠陥が少ない場合のように孔食が局在化して深さ方向への進行が速くなることが少なく、アルカリ腐食環境においても、貫通孔食の発生が防止できるとしている。
特開平9−97788号公報 特開平9−259239号公報
熱交換器特にラジエーターの冷却水の仕様は、一部地域によって弱アルカリ仕様になっているものがある。近年、自動車を走行している環境によって冷却水が何らかの原因で劣化し、強アルカリ環境(pH=11)になることが判明した。
図5に示す自動車用ラジエーター関して説明したJIS3003合金を芯材とし、冷却水側にZnが添加されているJIS7072合金を犠牲陽極材としてクラッドし、外気側にJIS4045合金をろう材としてクラッドした厚さ0.2〜0.4mmのアルミニウム合金複合材を用いたチューブ(1)では、そのような環境では十分な防食効果が得られず、早期に貫通孔食を発生させてしまう問題を発生させていた。
さらに特許文献2に明らかにされたアルミニウム合金クラッド材ではマトリックスに化合物を分散させることで貫通孔食の発生を抑制できるとしても、マトリックスに化合物が分散される必要があるため熱処理等による強度の調整が制限を受け、軽量化及び強度向上という自動車熱交換器材料に本来的に求められる要請に応えがたいという問題があった。
本発明は以上の従来技術における問題に鑑み、自動車を走行している環境によって冷却水が強アルカリ環境となっても十分な防食効果が得られ、早期に貫通孔食を発生させるようなことがなく、かつ熱処理等による強度の調整が容易なアルミニウム合金クラッド材を提供することを目的とする。
本発明者は、アルカリ腐食液(pH=9〜11)を用い、88℃で8時間の加熱を行った後に16時間の放冷を行う熱サイクル試験中の自然電位を測定し、アルカリ環境下で早期に腐食貫通を示すクラッド材は、熱サイクル試験中の3サイクル後の88℃の自然電位が、犠牲材よりも芯材が卑になり、この様な熱サイクル中88℃の犠牲材の自然電位の値の変化は、特許文献2に示されるような化合物の存在に起因するものではなく、犠牲材に添加したZnがアルカリ溶液中でZnの水酸化皮膜を形成し、電位を貴化させることに起因し、犠牲材マトリックスにおける元素の固溶量に依存する現象であることが見出された。
本発明者は係る知見に基づき、アルカリ腐食液中で良好な耐食性を示すアルミニウム合金クラッド材たる要件を明確にすべく検討を進め、アルカリ溶液中で熱サイクル試験中の自然電位を測定し、併せて実際のアルミニウム合金クラッド材の浸漬試験の結果とを比較検討した。その結果、熱サイクル試験中の犠牲陽極材と芯材の自然電位が、3サイクル後の88℃で150mV以上、3サイクル後の40℃で400mV以上を示すアルミニウム合金クラッド材がアルカリ腐食液中で良好な耐食性を示すことが見出され、この様なアルミニウム合金クラッド材の備えるべき要件は合金組成とクラッド材の製造工程により、犠牲材に添加した元素の固溶量を調整することにより実現することができることが明らかとなった。
本発明のアルミニウム合金クラッド材は係る知見に基づき構成されたものであって、Si0.4wt%〜1.0wt%、Fe0.15〜1.0wt%、Cu0.5〜1.0wt%、Mn1.0〜2.0wt%、Ti0.05〜0.2wt%を含有し残部Al及び不可避不純物よりなる芯材の片面にろう材をクラッドし、前記芯材の前記ろう材をクラッドしていない他面にZn3wt%〜8wt%、Si0.4wt%〜1.0wt%、Fe0.25wt%〜1.0wt%、Mn0.4〜2.0wt%、Ti0.05〜0.20wt%、Zr0.05〜0.2wt%、V0.01〜0.2wt%を含有し残部Al及び不可避不純物よりなる犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、以下の(i)及び(ii)に示す前記犠牲陽極材表面と前記芯材表面の電位差構成を同時に備えて成ることを特徴とする。
(i)Cl195ppm、SO 2−60ppm、Cu2+1ppm、Fe3+30ppmを含有し、建浴時にpH=11に調整した腐食液中において、88℃で8時間の加熱を行った後に16時間の放冷を行う熱サイクルを3サイクル行い、3サイクル目の88℃の時点で犠牲陽極材表面と芯材表面との電位差が150mV以上となる電位差構成
(ii)Cl195ppm、SO 2−60ppm、Cu2+1ppm、Fe3+30ppmを含有し、建浴時にpH=11に調整した腐食液中において、88℃で8時間の加熱を行った後に16時間の放冷を行う熱サイクルを3サイクル行い、3サイクル目の40℃の時点で犠牲陽極材表面と芯材表面との電位差が400mV以上となる電位差構成。
尚、以上においてOY水はCl195ppm、SO 2−60ppm、Cu2+1ppm、Fe3+30ppmを含有し建浴時pH=3に調整した腐食液である。
また犠牲陽極材に、さらにV0.01〜0.2wt%、Sn0.05〜0.2wt%、In0.05〜0.2wt%のうち1種または2種以上を含有する様にしても良い。
さらに芯材が、Zr0.05〜0.2wt%、Cr0.05〜0.2wt%、V0.05〜0.2wt%のうち1種または2種以上を含有する様にしても良い。
以上の本発明のアルミニウム合金複合材は、酸性側、アルカリ性側両方での腐食環境で優れた犠牲防食能を有し、かつ長時間にわたり腐食孔食が進行しない優れた耐食性を有し、犠牲陽極材の腐食溶解を必要以上に増大させないものである。
本発明によれば、自動車用熱交換器のアルミニウム合金配管材として、優れた強度、内部(酸性およびアルカリ性)耐食性、外部耐食性を有する犠牲陽極材及びアルミニウム合金複合材が得られる。
本発明者は高温アルカリ熱サイクル環境下でのAl合金の自然電位の経時変化を測定し、犠牲防食効果の有効性を調べた。供試材の化学組成を表1に示す。
Figure 0005068981
鋳造、熱間圧延、冷間圧延にて板厚1.0mmの冷延板とし、30×100mm2に切り出してリード線接続、裏面・端部をマスキングして測定に供した。試験液は、(i)OY水(Cl195ppm、SO 2−60ppm、Fe3+30ppm、Cu2+1ppm)(ii)イオン交換水を5Lを用い、水酸化ナトリウムを用いてpH=11に調製した。熱サイクル条件は88℃で8時間の加熱を行った後に16時間の放冷を行う熱サイクルとした。
熱サイクル試験中の試験液温度の経時変化を図1(a)に、各供試材の自然電位のそれらを図1(b)、(c)にそれぞれ示す。
図1(b)に示した純Alの自然電位は、1サイクル目に88℃では−1500mVより卑で、放冷中に貴化して2サイクル目の加熱直前に−1000mVに達した。以降のサイクルでも同様の挙動を繰り返した。図1(b)には、当該試験液のpHの経時変化も合わせて示した。試験液はpH=11に調整したが、Alのアルカリ溶解によりサイクルとともに減少し、3サイクルでは8.5付近に落ち着いた。
Alの25℃および100℃における電極電位−pH平衡図を図2(a)および(b)に、これらに基づいて作成したpHと温度に関する腐食形態マップを図2(c)にそれぞれ示す。熱サイクル試験における、pHと温度条件を図2(c)中に矢印で記入した。高温保持時にはアルカリ均一腐食領域、常温付近では不働体/孔食領域にそれぞれあることが判る。従って、図1(b)の自然電位の卑・貴化挙動は、高温弱アルカリ環境中の均一腐食電位・常温弱アルカリ孔食電位にそれぞれむかっており、温度変化に伴う“腐食形態”の変化を示していると考えられる。
図1(c)に示したAl−Zn合金の自然電位は、純Alと同様、加熱中は卑に、放冷中に貴化する傾向がある。しかし、pHが低下する2サイクル以降、高温時の自然電位に下がり幅が小さくなる。すなわち、Zn添加は高温弱アルカリ環境におけるAlの脱不働態化を抑制する。同図に示した3003合金の自然電位も、他合金と同様に温度変化に対応した挙動を示す。しかし、放冷時の貴化速度が早く、放冷中に孔食電位に達して孔食を起こしている。また2サイクル以降の高温時は約−950mVで純Alより貴である。すなわち、3003の添加元素は放冷中に不働態化を促進し、Znと同様、高温時の脱不動態化を抑制する。図1(c)の高温時には、3003合金の自然電位がAl−Zn合金のそれより卑になる期間がある。芯材が一部露出したクラッド材が、このような環境条件に曝されれば、犠牲材の防食効果はなく芯材の腐食が促進され深い侵食につながる。
以上の熱サイクル試験中の3サイクル後の88℃(高温時)の自然電位が、犠牲材よりも芯材が卑になり、この様な熱サイクル中88℃の犠牲材の自然電位の値の変化は、化合物の存在に起因するものではなく、犠牲材に添加したZnがアルカリ溶液中でZnの水酸化皮膜を形成し、電位を貴化させることに起因し、犠牲材マトリックスにおける元素の固溶量に依存する現象である。したがって、犠牲材に添加したZn以外の元素(Si、Fe、Mn、Ti、Zr等)の固溶量を調整し、製造工程を制御することで犠牲材に生成するZnの水酸化皮膜の形成を調整することによってアルカリ腐食液中で良好な耐食性を示す本発明のアルミニウム合金クラッド材を実現できる。
すなわち本発明のアルミニウム合金クラッド材は、本発明成分のアルミニウム合金クラッド材の犠牲材を製造する際に、犠牲材に予め500℃〜600℃の均熱化処理を施し、中間焼鈍温度を400℃から500℃で1時間以上行い、最終冷間圧延率を30%から50%で実施することで製造することができる。
500℃〜600℃の均熱化処理を施すことによって、犠牲材に添加したZn以外の元素(Si、Fe、Mn、Ti、Zr等)を十分に固溶させることができる。また、中間焼鈍時でのAl−Mn−FeあるいはAl−Mn−Si、Al−Mn−Si−Fe系の化合物の析出を抑制するために、これら化合物の析出ピーク温度である300℃〜400℃をはずした400℃〜500℃で実施し、最終冷間加工率を30%〜50%で実施する。このことで、熱サイクル時の犠牲材と芯材の電位差が、88℃で150mV、40℃で400mVであるという本発明のアルミニウム合金クラッド材の備える要件を具備することができる。
以下に本発明のアルミニウム合金クラッド材を構成する犠牲陽極材の成分の限定理由について説明する。
Zn:Znは中性環境においては、アルミニウム合金に固溶し、犠牲材の自然電極電位を卑にして芯材を防食し、チューブの耐食性を向上させる。しかしながらアルカリ環境においては熱サイクル試験中において、加熱中の電位において犠牲材と芯材の電位の逆転を生じ、チューブに早期に貫通孔を生じてしまう。この酸性域の腐食とアルカリ域での腐食を両立させるためには、添加量3.0wt%未満ではアルカリ溶液での加熱中の電位逆転が生じ、8.0wt%を越えると酸性環境において過剰に溶解し、チューブの貫通寿命を短くする。従ってZnの添加量を3.0wt%以上8.0wt%以下と規定した。
Si:Siはアルミニウム合金に添加すると、アルミに固溶またはAl−Si−Fe系の化合物を形成する。この化合物は中性環境においては孔食の起点となり、腐食点を分散させることにより犠牲腐食を横広がりにする効果がある。またアルカリ環境においては、上記のZn単独添加で発生する電位の逆転現象を抑制する効果を有する。この効果が0.4未満では十分でなく、1.0wt%を越えるとろう付け加熱時に溶けてしまう。従ってSiの添加量を0.4wt%以上、1.0wt%以下と規定した。
Fe:Feはアルミニウム合金に添加すると、アルミに固溶またはAl−Fe系の化合物を形成する。この化合物は中性環境においては孔食の起点となり、腐食点を分散させることにより犠牲腐食を横広がりにする効果がある。またアルカリ環境においては、上記のZn単独添加で発生する電位の逆転現象を抑制する効果を有する。この効果が0.25wt%未満では十分でなく、1.0wt%を越えると圧延加工でわれてしまう。従ってFeの添加量を0.25wt%以上、1.0wt%以下と規定した。
Mn:Mnはアルミニウム合金に添加すると、アルミに固溶またはAl−Mn−Fe系の化合物を形成する。この化合物は中性環境において孔食の起点とならず、そのため腐食による減耗を抑制する効果を有する。またアルカリ環境においては、上記のZn単独添加で発生する電位の逆転現象を抑制する効果を有する。この効果が0.4wt%未満では十分でなく、2.0wt%を越えると圧延加工で割れてしまう。従ってMnの添加量を0.4wt%以上、2.0wt%以下と規定した。
Ti:Tiはアルミニウム合金に添加するとアルミに固溶またはAl−Ti系の化合物を形成する。この化合物は中性環境においては孔食の起点となり、腐食点を分散させることにより犠牲腐食を横広がりにする効果がある。またアルカリ環境においては、上記のZn単独添加で発生する電位の逆転現象を抑制する効果を有する。この効果が0.01wt%未満では十分でなく、0.05wt%を越えると酸性および中性環境での孔食の起点が増える。従ってTiの添加量を0.01wt%以上0.05wt%以下と規定した。
Zr:Zrはアルミニウムに添加するとアルミに固溶またはAl−Zr系の化合物を形成する。この化合物は中性環境においては孔食の起点となり、腐食点を分散させることにより犠牲腐食を横広がりにする効果がある。また、アルカリ環境においては表面に強固な不導体皮膜を形成し、アルカリ環境での腐食溶解を防止する。この効果が0.05wt%未満では十分でなく、0,20wt%以上であると圧延割れを生じてしまう。従ってZrの添加量を0.05wt%〜0.20wt%に規定した。
V:Vはアルミニウムに添加するとアルミに固溶またはAl−V系の化合物を形成する。
また鋳造時において化合物とその周辺部にVの濃淡層を形成する。この濃淡層は圧延によって伸ばされ、板厚方向にVの濃淡層を形成する。Al−V系の化合物は中性環境においては孔食の起点となり、腐食点を分散させることにより犠牲腐食を横広がりにする効果がある。またアルカリ環境においてはこのVの濃淡により、Vが濃い部分が優先的に溶解して板厚方向への腐食を抑制する。またアルカリ環境においては上記のZn単独添加で発生する電位の逆転現象を抑制する効果を有する。この中性、アルカリ環境で耐食性を向上させるVの添加は、0.01wt%未満では十分でなく、0.2wt%を越えるとアルカリ環境での腐食溶解量が増大する従ってVの添加量を0.01wt%以上0.2wt%以下と規定した。
Sn、In:Sn、Inはアルミニウムに添加するとアルミに固溶または化合物を形成する。中性では犠牲材の電位を卑にする効果があり、犠牲腐食を横広がりにする効果がある。 アルカリ性では上記のZn単独添加で発生する電位の逆転現象を抑制する効果を有する。この効果が0.05wt%未満では十分でなく、0.2wt%以上では圧延割れを生じてしまう。従ってSn、Inの添加量を0.05wt%〜0.2wt%に規定した。
次に本発明における芯材の限定理由を説明する。
Si:Siは、マトリックスに固溶およびFe、Mnと金属間化合物を形成し強度向上に寄与する。その含有量が0.40wt%未満であると強度向上効果が無く、1.0wt%を越えるとろう付け時の芯材の溶融および外部耐食性に劣る、従って本発明においてはSi含有量を0.40wt%以上1.00wt%以下と規定した。
Fe:Feは、マトリックスに固溶およびSi、Mnと金属間化合物を形成し強度向上に寄与する。その含有量が0.15wt%未満であると強度向上効果がなく、1.0wt%を越えると複合材の芯材とした場合に、芯材の耐食性が劣化する。従って本発明においてはFe含有量を0.15wt%以上1.0wt%以下と規定した。
Cu:Cuは、マトリックスに固溶し強度向上に寄与する。その含有量が0.50wt%未満であると強度向上効果に乏しく、1.00wt%を越えるとろう付け時の芯材の溶融および芯材に粒界腐食が発生し外部耐食性に劣る、従って本発明においてはCuの含有量を0.50wt%以上1.00wt%以下と規定した。
Mn:Mnはマトリックスに固溶およびSi、Feと金属間化合物を形成し強度向上に寄与する。その含有量が0.50wt%未満では強度向上効果が十分でなく、2.00wt%を越えると複合材の芯材とした場合に、圧延加工時に端部に割れが発生し圧延加工が困難になる。従って本発明においてはMn含有量を0.50wt%以上2.00wt%以下と規定した。
Ti:Tiは鋳造時においてTiの濃淡部を形成する、この濃淡部が圧延加工により伸ばされTiの濃淡層を圧延方向に形成することで芯材自身の耐食性を向上させる。0.05wt%未満の添加量では上記効果が期待できず、0.20wt%以上ではTiの巨大晶出物を形成し、圧延時に割れの原因となる。従ってTiの添加量を0.05wt%以上0.20wt%以下と規定した。
Zr:Zrは芯材に微細析出物を形成し強度向上に寄与する。この効果が0.05wt%未満では期待できず、0.20wt%を越えて添加すると圧延時に割れが発生し製品ができない。従ってZrの添加量を0.05wt%以上0.20wt%以下と規定した。
Cr:Crは芯材に微細析出物を形成し強度向上に寄与する。この効果が0.05wt%未満では期待できず、0.20wt%を越えるとTiとの組み合わせで巨大晶出物を形成し圧延時に割れの原因となる、従ってCrの添加量を0.05wt%以上0.20wt%以下と規定した。
V:Vはアルミニウムに添加するとアルミに固溶またはAl−V系の化合物を形成する。また鋳造時において化合物とその周辺部にVの濃淡層を形成する。この濃淡層は圧延によって伸ばされ、板厚方向にVの濃淡層を形成し耐食性の向上に寄与する。この効果が0.05wt%未満では十分でなく、0.2wt%を越えるとアルカリ性での耐食性が劣る。従って0.05wt%〜0.2wt%と規定した。
本発明において複合材を形成する場合に、ろう材として使用される合金はJISに規定されているBA4343P、BA4045P、BA4047Pが用いられるが、本発明においては限定されるものではなく、熱交換器の形状および熱交換器を作成する時の加熱条件によって種々選択が可能である。
[実施例]
表2に本発明例の芯材合金成分と本発明例を外れる比較例芯材合金を示す。表3に本発明例の犠牲材合金成分と本発明例を外れる比較例犠牲材合金を示す。これら芯材と犠牲材合金をろう材(BA4045P合金)と合わせて、表4に示すアルミニウムブレージング゛シートを作製した。尚、芯材、犠牲材合金成分には560℃×3時間の均質化処理を施し、中間焼鈍温度は400℃で1時間、最終冷間圧延率を30%で実施した。このような工程を経て0.20mmの板を得た。なお、製造工程の比較例として、芯材と犠牲材合金の成分は本発明例範囲内であるが、中間焼鈍温度を400℃ではなく330℃として1時間の中間焼鈍を行い、最終冷間圧延率を30%ではなく60%で実施して得られた比較例No.74を表5に併せて示す。これらのアルミニウムブレージングシートに関して以下の評価を行った。
(1)引張り試験
表4の構成のブレージングシートをJIS5号の試験片に加工し、窒素雰囲気化でろう付け相当の加熱(600℃で3分)を行った後、室温で7日間放置した後、引張り試験を行い、強度を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0005068981
Figure 0005068981
Figure 0005068981
Figure 0005068981
表4に示す本発明例及び表5に示す比較例の各試験片の構成につき以下に説明する。
本発明例であるNo.1〜No.13試験片は表2に示す芯材の成分におけるS1組成の芯材を用いた複合材として構成された。
またNo.14及びNo.28試験片はS2組成、No.15及びNo.29試験片はS3組成、No.16及びNo.30試験片はS4組成、No.17及びNo.31試験片はS5組成、No.18及びNo.32試験片はS6組成、No.19及びNo.33試験片はS7組成、No.20及びNo.34試験片はS8組成、No.21及びNo.35試験片はS9組成、No.22及びNo.36試験片はS10組成、No.23及びNo.37試験片はS11組成、No.24及びNo.38試験片はS12組成、No.25及びNo.39試験片はS13組成、No.26及びNo.40試験片はS14組成、No.27及びNo.41試験片はS15組成の芯材を用いた複合材として構成された。
また犠牲陽極材については表3に示す各犠牲陽極材の組成の中で、No.1試験片にはG1、No.2試験片にはG2、No.3及びNo.14〜No.27試験片にはG3、No.4試験片にはG4、No.5及びNo.28〜No.41試験片にはG5、No.6試験片にはG6、No.7試験片にはG7、No.8試験片にはG8、No.9試験片にはG9、No.10試験片にはG10、No.11試験片にはG11、No.12試験片にはG12、No.13試験片にはG13の組成の犠牲陽極材がそれぞれ用いられた。
また、表4に示す本発明例であるNo.42試験片にはS2(芯材)−G1(犠牲陽極材)、No.43試験片にはS3−G2、No.44試験片にはS4−G3、No.45試験片にはS5−G4という構成が適用されている。
したがって以上のNo.1〜No.13試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材におけるSi含有量は0.41%、Fe含有量が0.16%、Cu含有量が0.53%、Mn含有量が1.12%、Ti含有量が0.06%であった(S1)。
またNo.14、No.28及びNo.42試験片のアルミニウム合金芯材におけるSi含有量は0.42%、Fe含有量が0.16%、Cu含有量が0.51%、Mn含有量が1.95%、Ti含有量が0.18%であった(S2)。またNo.15、No.29及びNo.43試験片にあってはアルミニウム合金芯材におけるSi含有量は0.43%、Fe含有量が0.95%、Cu含有量が0.97%、Mn含有量が1.05%、Ti含有量が0.05%であった(S3)。
さらにNo.16、No.30及びNo.44試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材におけるSi含有量は0.42%、Fe含有量が0.97%、Cu含有量が0.95%、Mn含有量が1.95%、Ti含有量が0.19%であった(S4)。またNo.17、No.31及びNo.45試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材におけるSi含有量が0.99%、Fe含有量が0.15%、Cu含有量が0.55%、Mn含有量が1.11%、Ti含有量が0.20%であった(S5)。
さらにNo.18及びNo.32試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材におけるSi含有量が0.90%、Fe含有量が0.18%、Cu含有量が0.51%、Mn含有量が1.98%、Ti含有量が0.06%であった(S6)。またNo.19及びNo.33試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材におけるSi含有量が0.95%、Fe含有量が0.90%、Cu含有量が0.90%、Mn含有量が1.20%、Ti含有量が0.18%であった(S7)。
またNo.20及びNo.34試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材におけるSi含有量が0.94%、Fe含有量が0.95%、Cu含有量が0.99%、Mn含有量が1.90%、Ti含有量が0.06%であった(S8)。No.21及びNo.35試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材におけるSi含有量が0.45%、Fe含有量が0.18%、Cu含有量が0.54%、Mn含有量が1.13%、Ti含有量が0.07%、Cr含有量が0.18%であった(S9)。
No.22及びNo.36試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材におけるSi含有量が0.43%、Fe含有量が0.17%、Cu含有量が0.54%、Mn含有量が1.90%、Ti含有量が0.18%、Zr含有量が0.18%であって(S10)、No.23及びNo.37試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材におけるSi含有量が0.41%、Fe含有量が0.94%、Cu含有量が0.90%、Mn含有量が1.30%、Ti含有量が0.06%、V含有量が0.18%であった(S11)。
No.24及びNo.38試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材におけるSi含有量が0.43%、Fe含有量が0.93%、Cu含有量が0.97%、Mn含有量が1.96%、Ti含有量が0.19%、Cr含有量が0.06%、Zr含有量が0.06%であった(S12)。またNo.25及びNo.39試験片はSi含有量が0.97%、Fe含有量が0.18%、Cu含有量が0.95%、Mn含有量が1.16%、Ti含有量が0.19%、Zr含有量が0.06%、V含有量が0.08%であった(S13)。
またNo.26及びNo.40試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材におけるSi含有量が0.95%、Fe含有量が0.16%、Cu含有量が0.97%、Mn含有量が1.92%、Ti含有量が0.06%、Cr含有量が0.19%、Zr含有量が0.18%であった(S14)。またNo.27及びNo.41試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材におけるSi含有量が0.94%、Fe含有量が0.92%、Cu含有量が0.52%、Mn含有量が1.18%、Ti含有量が0.18%、Cr含有量が0.06%、Zr含有量が0.05%、V含有量が0.06%であった(S15)。
したがって以上のNo.1試験片〜No.45試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材の組成(S1〜S15)はSi0.4wt%〜1.0wt%、Fe0.15〜1.0wt%、Cu0.5〜1.0wt%、Mn1.0〜2.0wt%、Ti0.05〜0.2wt%を含有し残部Al及び不可避不純物よりなるとする本発明のアルミニウム合金複合材(請求項3)の条件を充足する。
ただしNo.1〜No.20試験片、No.28〜No.34試験片及びNo.42〜No.45試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材にCr及びZrの含有は認められず(S1〜S8)、したがって、アルミニウム合金芯材がZr0.05〜0.2wt%、Cr0.05〜0.2wt%、V0.05〜0.2wt%のうち1種または2種以上を含有するとする本発明請求項4のアルミニウム合金複合材の条件は充足しない。
一方、No.21、No.35試験片の芯材は本発明(請求項4)の上限値を下廻る0.18%のCrを含有し(S9)、一方、No.22、No.36試験片の芯材は本発明(請求項4)の上限値を下廻る0.18%のZrを含有し(S10)、No.23、No.37試験片の芯材は本発明(請求項4)の上限値を下廻る0.18%のVを含有する(S11)。
No.24、No.38試験片の芯材は本発明(請求項4)の下限値を越える0.06%のCr及びZrを含有し(S12)、一方、No.25、No.39試験片の芯材は本発明(請求項4)の下限値を越えるである0.06%のZr及び0.08%のVを含有する(S13)。
No.26、No.40試験片の芯材は本発明(請求項4)の上限値を下廻る0.19%のCr及び0.18%Zr量を含有し(S14)、一方、No.27、No.41試験片の芯材は本発明(請求項4)の下限値を越える0.06%のCr、下限値である0.06%のZr及び下限値を越える0.06%のVを含有する(S15)。
したがってNo.21〜No.27及びNo.35〜No.41試験片については、アルミニウム合金芯材がZr0.05〜0.2wt%、Cr0.05〜0.2wt%、V0.05〜0.2wt%のうち1種または2種以上を含有するとする本発明のアルミニウム合金複合材(請求項4)の条件を充足する。
次に本発明各実施例の犠牲陽極材について説明する。
No.1及びNo.42試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は3.14%、Si含有量が0.41%、Fe含有量が0.26%、Mn含有量が1.95%、Ti含有量が0.05%、Zr含有量が0.08%であった(G1)。またNo.2及びNo.43試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は7.78%、Si含有量が0.41%、Fe含有量が0.27%、Mn含有量が1.90%、Ti含有量が0.19%、Zr含有量が0.18%であった(G2)。
またNo.3及びNo.14〜No.27及びNo.44試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は3.17%、Si含有量が0.43%、Fe含有量が0.95%、Mn含有量が0.46%、Ti含有量が0.07%、Zr含有量が0.18%であった(G3)。またNo.4及びNo.45試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は7.82%、Si含有量が0.42%、Fe含有量が0.97%、Mn含有量が0.41%、Ti含有量が0.18%、Zr含有量が0.06%であった(G4)。
さらにNo.5及びNo.28〜No.41試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は3.22%、Si含有量が0.95%、Fe含有量が0.27%、Mn含有量が0.42%、Ti含有量が0.12%、Zr含有量が0.08%であった(G5)。またNo.6試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は7.78%、Si含有量が0.96%、Fe含有量が0.28%、Mn含有量が0.44%、Ti含有量が0.06%、Zr含有量が0.17%であった(G6)。
またNo.7試験片あってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は3.12%、Si含有量が0.94%、Fe含有量が0.97%、Mn含有量が1.92%、Ti含有量が0.18%、Zr含有量が0.18%、V含有量が0.01%であった(G7)。加えてNo.8試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は7.78%、Si含有量が0.98%、Fe含有量が0.92%、Mn含有量が1.82%、Ti含有量が0.06%、Zr含有量が0.08%、V含有量が0.17%であった(G8)。
さらにNo.9試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は3.12%、Si含有量が0.42%、Fe含有量が0.99%、Mn含有量が0.43%、Ti含有量が0.07%、Zr含有量が0.17%、V含有量が0.18%であり、さらに0.06%のSnを含有した(G9)。さらにNo.10試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は3.08%、Si含有量が0.41%、Fe含有量が0.95%、Mn含有量が0.41%、Ti含有量が0.06%、Zr含有量が0.19%、V含有量が0.02%であり、さらに0.15%のSnを含有した(G10)。
さらにNo.11試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は3.20%、Si含有量が0.42%、Fe含有量が0.99%、Mn含有量が0.44%、Ti含有量が0.05%、Zr含有量が0.18%、V含有量が0.18%であり、さらに0.05%のInを含有した(G11)。さらにNo.12試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は3.18%、Si含有量が0.44%、Fe含有量が0.93%、Mn含有量が0.41%、Ti含有量が0.07%、Zr含有量が0.17%、V含有量が0.03%であり、さらに0.15%のInを含有した(G12)。さらにNo.13試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は3.21%、Si含有量が0.41%、Fe含有量が0.91%、Mn含有量が0.44%、Ti含有量が0.06%、Zr含有量が0.16%、V含有量が0.17%であり、さらに0.05%のSn及び0.16%のInを含有した(G13)。
したがって以上のNo.1〜No.6、No.14〜No.27、No.28〜No.41、No.42〜No.45試験片にあっては、犠牲陽極材がZn3wt%〜8wt%、Si0.4wt%〜1.0wt%、Fe0.25wt%〜1.0wt%、Mn0.4〜2.0wt%、Ti0.05〜0.20wt%、Zr0.05〜0.2wt%を含有し残部Al及び不可避不純物よりなるとする本発明のアルミニウム合金クラッド材(請求項1)の条件を充足する。さらにNo.7〜No.13試験片にあってはV0.01〜0.2wt%、Sn0.05〜0.2wt%、In0.05〜0.2wt%のうち1種または2種以上を含有するとする本発明のアルミニウム合金クラッド材(請求項2)の条件を充足する。
表5に示す比較例であるNo.46〜No.74試験片は表2に示す各芯材及び表3に示す各犠牲陽極材の組成の中で、No.46試験片にはS16(芯材)−G1(犠牲陽極材)、No.47試験片にはS17−G2、No.48試験片にはS18−G3、No.49試験片にはS19−G4、No.50試験片にはS20−G5、No.51試験片にはS21−G6、No.52試験片にはS22−G7、No.53試験片にはS23−G8、No.54試験片にはS24−G9、No.55試験片にはS25−G10、No.56試験片にはS26−G11、No.57試験片にはS27−G12、No.58試験片にはS28−G13の組成の芯材−犠牲陽極材がそれぞれ用いられた。
No.59試験片には表2に示す芯材の成分におけるS1(芯材)−G14(犠牲陽極材)、No.60試験片にはS2−G15、No.61試験片にはS3−G16、No.62試験片にはS4−G17、No.63試験片にはS5−G18、No.64試験片にはS5−G19、No.65試験片にはS7−G20、No.66試験片にはS8−G21、No.67試験片にはS9−G22、No.68試験片にはS10−G23、No.69試験片にはS11−G24、No.70試験片にはS12−G25、No.71試験片にはS14−G26、No.72試験片にはS15−G27、No.73試験片にはS15−G28組成の芯材ー犠牲陽極材がそれぞれ用いられた。
比較例複合材No.46〜No.58試験片のアルミニウム合金芯材における成分構成は表2に示される様に、比較例試験片No.46はSi含有量が0.35%、Fe含有量が0.16%、Cu含有量が0.51%、Mn含有量が1.09%、Ti含有量が0.06%であった(S16)。また比較例試験片No.47はSi含有量が1.11%、Fe含有量が0.17%、Cu含有量が0.52%、Mn含有量が1.95%、Ti含有量が0.19%であった(S17)。
また比較例試験片No.48はSi含有量が0.41%、Fe含有量が0.11%、Cu含有量が0.53%、Mn含有量が1.06%、Ti含有量が0.07%であった(S18)。また比較例試験片No.49はSi含有量が0.41%、Fe含有量が1.18%、Cu含有量が0.98%、Mn含有量が1.95%、Ti含有量が0.19%であった(S19)。
また比較例試験片No.50はSi含有量が0.97%、Fe含有量が0.18%、Cu含有量が0.16%、Mn含有量が1.10%、Ti含有量が0.19%であった(S20)。また比較例試験片No.51はSi含有量が0.95%、Fe含有量が0.16%、Cu含有量が1.26%、Mn含有量が1.94%、Ti含有量が0.06%であった(S21)。
また比較例試験片No.52はSi含有量が0.41%、Fe含有量が0.17%、Cu含有量が0.53%、Mn含有量が0.52%、Ti含有量が0.19%であった(S22)。また比較例試験片No.53はSi含有量が0.99%、Fe含有量が0.42%、Cu含有量が0.99%、Mn含有量が2.52%、Ti含有量が0.06%であった(S23)。
また比較例試験片No.54はSi含有量が0.43%、Fe含有量が0.18%、Cu含有量が0.56%、Mn含有量が1.14%、Ti含有量が0.03%であった(S24)。また比較例試験片No.55はSi含有量が0.45%、Fe含有量が0.16%、Cu含有量が0.51%、Mn含有量が1.94%、Ti含有量が0.25%であった(S25)。
また比較例試験片No.56はSi含有量が0.41%、Fe含有量が0.41%、Cu含有量が0.93%、Mn含有量が1.04%、Ti含有量が0.05%、Cr含有量が0.29%であった(S26)。また比較例試験片No.57はSi含有量が0.42%、Fe含有量が0.41%、Cu含有量が0.98%、Mn含有量が1.95%、Ti含有量が0.18%、Zr含有量が0.28%であった(S27)。
また比較例試験片No.58はSi含有量が0.95%、Fe含有量が0.18%、Cu含有量が0.97%、Mn含有量が1.17%、Ti含有量が0.19%、V含有量が0.28%であった(S28)。
したがってNo.46〜No.58試験片にあってはそのアルミニウム合金芯材における成分構成がSi0.4wt%〜1.0wt%、Fe0.15〜1.0wt%、Cu0.5〜1.0wt%、Mn1.0〜2.0wt%、Ti0.05〜0.2wt%を含有し残部Al及び不可避不純物よりなることを特徴とする本発明のアルミニウム合金複合材(請求項3)の条件を充足しない。
すなわち、比較例No.46は芯材のSi量が本発明の下限値の0.40%未満の0.35%であり、No.47は芯材のSi量が本発明の上限値の1.00%を越える1.11%であり、比較例試験片No.48は芯材のFe量が本発明の下限値の0.15%未満の0.11%である。
比較例のNo.49は芯材のFe量が本発明の上限値の1.00%を越える1.18%であり、比較例試験片No.50は芯材のCu量が0.16%であって0.50%以上とする本発明の規定値未満である。さらに比較例のNo.51はCu量が本発明の上限値である1.00%を越える1.26%であった。また比較例試験片No.52は芯材のMn量が本発明の下限値の1.00%未満の0.52%である。比較例のNo.53は芯材のMn量が本発明の上限値の2.00%を越える2.52%であった。
比較例複合材No.54では芯材のTi量が0.03%であって芯材のTi量が0.05%以上とする本発明規定値未満であった。さらに比較例のNo.55は芯材のTi量が本発明の上限値である0.20%を越える0.25%であった。
また比較例試験片No.56は芯材のCr量が0.29%、比較例試験片No.57は芯材のZr量が0.28%、比較例試験片No.58は芯材のV量が0.28%であって、比較例試験片No.56〜No.58はいずれもZr0.05〜0.2wt%、Cr0.05〜0.2wt%、V0.05〜0.2wt%のうち1種または2種以上を含有するとする本発明請求項4の条件を充足しない。またこの比較例試験片No.56〜No.58はいずれもSi、Fe、Cu、Mn、Tiを含有し残部Al及び不可避不純物よりなるとする本発明請求項3の条件も充足しない。
比較例複合材No.59〜No.73試験片の犠牲陽極材における成分構成は表2に示される様に、No.59試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量は3.12%、Fe含有量が0.26%、Si含有量が0.35%、Mn含有量が0.98%、Ti含有量が0.06%、Zr含有量が0.07%であった(G14)。またNo.60試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量が3.06%、Fe含有量が0.27%、Si含有量が1.16%、Mn含有量が0.95%、Ti含有量が0.07%、Zr含有量が0.05%であった(G15)。
またNo.61試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量が7.82%、Fe含有量が0.11%、Si含有量が0.42%、Mn含有量が0.92%、Ti含有量が0.19%、Zr含有量が0.18%であった(G16)。またNo.62試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量が7.82%、Fe含有量が1.18%、Si含有量が0.44%、Mn含有量が0.91%、Ti含有量が0.17%、Zr含有量が0.19%であった(G17)。
さらにNo.63試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量が3.17%、Fe含有量が0.92%、Si含有量が0.41%、Mn含有量が0.26%、Ti含有量が0.05%、Zr含有量が0.15%であった(G18)。またNo.64試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量が3.05%、Fe含有量が0.96%、Si含有量が0.44%、Mn含有量が2.51%、Ti含有量が0.06%、Zr含有量が0.19%であった(G19)。
またNo.65試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量が2.07%、Fe含有量が0.98%、Si含有量が0.42%、Mn含有量が0.41%、Ti含有量が0.17%、Zr含有量が0.06%であった(G20)。加えてNo.66試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量が9.97%、Fe含有量が0.99%、Si含有量が0.41%、Mn含有量が0.45%、Ti含有量が0.19%、Zr含有量が0.05%であった(G21)。
No.67試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量が7.92%、Fe含有量が0.25%、Si含有量が0.99%、Mn含有量が0.43%、Ti含有量が0.03%、Zr含有量が0.05%であった(G22)。No.68試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量が7.94%、Fe含有量が0.27%、Si含有量が0.91%、Mn含有量が0.41%、Ti含有量が0.25%、Zr含有量が0.06%であった(G23)。
No.69試験片の犠牲陽極材はZn含有量が7.92%、Fe含有量が0.25%、Si含有量が0.94%、Mn含有量が0.44%、Ti含有量が0.05%、Zr含有量が0.03%であった(G24)。またNo.70試験片の犠牲陽極材はZn含有量が7.89%、Fe含有量が0.26%、Si含有量が0.99%、Mn含有量が0.41%、Ti含有量が0.06%、Zr含有量が0.25%であった(G25)。
No.71試験片にあってはその犠牲陽極材におけるZn含有量が3.02%、Fe含有量が0.92%、Si含有量が0.97%、Mn含有量が0.91%、Ti含有量が0.18%、Zr含有量が0.19%、V含有量が0.27%であった(G26)。
No.72試験片の犠牲陽極材はZn含有量が3.16%、Fe含有量が0.92%、Si含有量が0.41%、Mn含有量が0.41%、Ti含有量が0.05%、Zr含有量が0.18%、V含有量が0.19%、Sn含有量が0.26%であった(G27)。
No.73試験片の犠牲陽極材はZn含有量が3.17%、Fe含有量が0.96%、Si含有量が0.41%、Mn含有量が0.42%、Ti含有量が0.06%、Zr含有量が0.19%、V含有量が0.19%、In含有量が0.27%であった(G28)。
したがって以上のNo.59〜No.73試験片にあってはその犠牲陽極材の組成は、Zn3wt%〜8wt%、Si0.4wt%〜1.0wt%、Fe0.25wt%〜1.0wt%、Mn0.4〜2.0wt%、Ti0.05〜0.20wt%、Zr0.05〜0.20wt%を含有し残部Al及び不可避不純物よりなるとする本発明の犠牲陽極材(請求項1)の条件を充足しない。
すなわち比較例複合材No.59は犠牲陽極材のSi量が0.35%であって、Si量が0.40%以上とする本発明規定値未満である。また比較例No.60は犠牲陽極材のSi量が本発明の上限値である1.00%を越え1.16%である。比較例複合材No.61は犠牲陽極材のFe量が0.11%であって、犠牲陽極材のFe量が0.25%以上とする本発明の規定値未満である。比較例No.62は犠牲陽極材のFe量が本発明の上限値である1.00%を越え1.18%である。
また比較例複合材No.63は犠牲陽極材のMn量が0.26%であって、Mn量が0.40%以上とする本発明規定値未満である。また比較例複合材No.64は犠牲陽極材のMn量が2.51%であって、Mn量が2.00%以下とする本発明規定値を越える。さらに比較例複合材No.65は犠牲陽極材のZn量が2.07%であって、Zn量が3.00%以上とする本発明規定値未満である。
また比較例複合材No.66は犠牲陽極材のZn量が9.97%であって、Zn量が8.00%以下とする本発明規定値を越える。比較例複合材No.67は犠牲陽極材のTi量が0.03%であって、Ti量が0.05%以上とする本発明規定値未満である。比較例複合材No.68は犠牲陽極材のTi量が0.25%であって、Ti量が0.20%以下とする本発明規定値を越える。
さらに比較例複合材No.69は犠牲陽極材のZr量が0.03%であって、Zr量が0.05%以上とする本発明規定値未満である。また比較例複合材No.70は犠牲陽極材のZr量が0.25%であって、Zr量が0.20%以下とする本発明規定値を越える。
No.71試験片は0.27%のVを含有し、No.72試験片にあっては0.25%のSnを含有し、No.73試験片にあっては0.25%のInを含有することから、Zn、Si、Fe、Mn、Ti、Zrを含有し残部Al及び不可避不純物よりなるとする本発明請求項1の犠牲陽極材の条件を充足せず、また、V0.01〜0.2wt%、Sn0.05〜0.2wt%、In0.05〜0.2wt%のうち1種または2種以上を含有するとする本発明請求項2におけるV、Sn、Inの含有量の上限値の条件を越えており、本発明請求項2の条件も充足しない。
従来例複合材であるNo.75試験片は芯材(S29)及び犠牲陽極材(G29)から成る。その結果、芯材はSi量含有量が0.18%であって、芯材のSi量を0.40%以上とする本発明規定値未満とされている。また、芯材のCu量は0.13%であって、芯材のCu量を0.50%以上とする本発明規定値未満とされている。さらに芯材にはTiが含有されず、0.05〜0.20%のTiを含有すると規定する本発明(請求項3)と異なる。さらにCr及びZr及びVのいずれも含有せず、0.05〜0.20%のCr及びZr及びVのうち1種または2種以上を含有すると規定する本発明(請求項4)と異なる。
さらに従来例複合材であるNo.75試験片の犠牲陽極材はSi量含有量が0.21%であって、犠牲陽極材のSi量を0.40%以上とする本発明の規定値未満とされている。また犠牲陽極材にZn、Ti、Zrを本発明の規定値の範囲で含有せず本発明の犠牲陽極材(請求項1、請求項2)とは異なる。
(1)引っ張り試験
表4(本発明例)及び表5(比較例)の構成のブレージングシートをJIS5号の試験片に加工し、窒素雰囲気化でろう付け相当の加熱(600℃×3分)を行った後、室温で7日間放置した後引張試験を行い強度を測定した。その結果を表4又は表5に示す。
本発明例のNo.1〜No.45のうち、本発明のアルミニウム合金複合材(請求項4)の条件を充足するNo.21〜No.27及びNo.35〜No.41試験片については、135〜170MPaの良好な強度を示した。またNo.1試験片〜No.45試験片の中で本発明請求項3の条件は充足するが本発明請求項4のアルミニウム合金複合材の条件は充足しないNo.1〜No.20試験片、No.28〜No.34試験片及びNo.42〜No.45試験片にあっては127〜164MPaの良好な強度を示した。
これに対し、芯材のSi量が本発明の基準値未満である比較例No.46、芯材のFe量が本発明の基準値未満であるNo.48、芯材のCu量が本発明の基準値未満であるNo.50、芯材のMnが本発明未満の比較例No.52、従来例No.75はろう付け加熱後の引張り強度が114〜123MPaであり、本発明例と比較して明らかに劣っていた。尚、芯材のSi量が本発明の範囲を越える比較例No.47は、芯材に過剰なSiを含有する結果、ろう付け加熱の際に材料が溶けて試験片の作製ができなかった。芯材のFe量が本発明の基準値を越える比較例No.49、芯材のMn量が本発明の基準値を越える比較例No.53、芯材のTi量が本発明の基準値を越えるNo.55、芯材のCr量が本発明の基準値を越えるNo.56、芯材のZr量が本発明の基準値を越えるNo.57は、各々Fe、Mn、Ti、Cr、Zrを過剰に含有する結果、圧延中に割れて試験片の作製を行うことができなかった。
比較例No.60は犠牲材のSiが本発明の基準値を越えており、その結果、ろう付け加熱の際に材料が溶けて試験片の作製を行うことができなかった。比較例No.62は犠牲材のFe量が本発明の基準値を越え、No.64は犠牲材のMn量が本発明の基準値を越え、No.68は犠牲材のTi量が本発明の基準値を越え、No.70は犠牲材のZr量が本発明の基準値を越え、No.71は犠牲材のV量が本発明の基準値を越え、No.72は犠牲材のSn量が本発明の基準値を越え、No.73は犠牲材のInが本発明範囲を越えており、そのためこれらの比較例では圧延中に割れて試験片の作製を行うことができなかった。
(2)熱サイクル中の自然電位測定
表4及び表5の構成のブレージングシートを幅100mm、長さ200mmの試験片に加工し、窒素雰囲気下でろう付け加熱(600℃で3分)を行った。その後、幅30mm、長さ100mmの試験片に切り出し、自然電位の試験片を作製した。犠牲材の測定には、リード線で接続をとった後に、ろう材面と端面を信越化学製シリコンシーラントでマスキングして試験に供した。芯材の測定には、犠牲材層を研磨で取り除き、芯材を露出した後に、リード線で接続をとった後に、ろう材面と端面を信越化学製シリコンシーラントでマスキングして試験に供した。Cl:195ppm、SO −:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppm(pH=11に水酸化ナトリウムで調整)の溶液をビーカーに入れその中に試験片を浸漬した。溶液を外部の水による間接加熱により88℃で8時間加熱した後に16h時間放冷する熱サイクル試験を施した。Ag/AgCl電極を参照極とし、北斗電工製HG−101にて自然電位を測定した。3サイクル後加熱中の88℃の電位と、同じく3サイクル後の放冷中の40℃の電位を測定した。芯材の自然電位の値より犠牲材の自然電位の値を減じて、88℃と40℃の芯材と犠牲材表面の電位差を求めた。
本発明例のNo.1〜No.45においては、犠牲材と芯材の電位差が3サイクル後加熱中の88℃の電位で158〜590mVであり、No.1〜No.45試験片のいずれもが150mV以上であると共に、同じく3サイクル後放冷中の40℃の電位で412〜729mVであって、No.1〜No.45試験片のいずれもが400mV以上であった。
これに対し、比較例No.59では犠牲材のSi量が本発明の基準値未満であり、No.61では犠牲材のFe量が本発明の基準値未満であり、No.63では犠牲材のMn量が本発明の基準値未満であり、No.65では犠牲材のZn量が本発明の基準値未満であり、No.67では犠牲材のTi量が本発明の基準値未満であり、No.69では犠牲材のZr量が本発明の基準値未満であり、これらについては、そのように特定の成分が基準値未満であることに起因して、3サイクル後加熱中の88℃における電位差が150mV以下になった。また成分範囲は本発明例範囲であるが、製造工程が本発明を逸脱するNo.74、および従来例No.75においても3サイクル後88℃の電位差が150mV以下になった。
(3)腐食試験(i)(アルカリ性内部試験)
表4及び表5に示す構成のブレージングシートを幅30mm、長さ120mmの板に切り出し、窒素雰囲気下でろう付け相当の加熱(600℃で3分)を行った後、端部を絶縁テープでマスキングした後に、Cl:195ppm、SO −:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppm(pH=11に水酸化ナトリウムで調整)溶液に、腐食試験片の試験面に対して、比液量6mL/cmで試験片を浸漬し、試験液88℃で8時間過熱した後、16時間放置するサイクル試験を3ヶ月間実施し、試験後の最大孔食深さを測定した。
本発明例のNo.1〜No.45では最大孔食深さが50μmであり良好な耐食性を示した。しかし、比較例試験片No.58は芯材のV量が0.30%であって、本発明範囲を越えることに起因して孔食深さが170μmに達し、耐食性が劣った。比較例No.59では犠牲材のSi量が本発明の基準値未満であり、No.61では犠牲材のFe量が本発明の基準値未満であり、No.63では犠牲材のMn量が本発明の基準値未満であり、No.65では犠牲材のZn量が本発明の基準値未満であり、No.67では犠牲材のTi量が本発明の基準値未満であり、No.69では犠牲材のZr量が本発明の基準値未満であり、これらについては、そのように特定の成分が基準値未満であることに起因して、3サイクル後加熱中の88℃における電位差が150mV未満になると共に最大孔食深さが140μm以上に達し、耐食性が劣った。特にNo.65については貫通孔を生じた。
また成分範囲は本発明例範囲であるが、製造工程が本発明を逸脱するNo.74、および従来例No.75においても3サイクル後88℃の電位差が150mV以下となり耐食性が劣り、貫通孔を生じた。
(4)腐食試験(ii)(酸性内部試験)
表4及び表5に示す組成のブレージングシートを幅30mm、長さ120mmの板に切り出し、窒素雰囲気下でろう付け相当の加熱(600℃で3分)を行った後、端部を絶縁テープ等でマスキングした後に、Cl:195ppm、SO −:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppm(未調整でpH=3)溶液に、腐食試験片の試験面に対して比液量6mL/cmで試験片を浸漬し、試験液を88℃で8時間加熱した後、16時間放置するサイクル試験を3ヶ月間実施し、試験後の最大孔食深さを測定した。結果を表4及び表5に示す。
本発明例のNo.1〜No.45では最大孔食深さが50μmであり良好な耐食性を示した。しかし、犠牲材のZn量が本発明の基準値未満である比較例試験片No.65では孔食深さが70μmに達し、比較例No.66では犠牲材のZn量が本発明を越えるため貫通孔を生じ、また従来例No.75でも貫通孔を生じた。
(4)腐食試験(iii)
表4及び表5に示す成分の各試験片を、幅16mm、長さ80mmの板に切り出し、2枚の板の間にろう材面にフィンが接するように組み付け、窒素雰囲気下でろう付け相当の加熱(600℃で3分)を実施して1段のミニコアを作製した。フィン材としてはJIS3003合金にZnを1.5%添加した板厚0.1mmのもの使用した。作成したミニコアの概念図を図4に示す。このミニコアのフィンが接していない面を信越化学製のシリコンシーラントでマスキングして試験に供した。試験はJIS Z2371に準じる塩水噴霧試験を2000hr実施した。試験後、マスキング面とフィンを削除し、フィンとフィンの間のチューブ表面の孔食深さを測定した。結果を表4及び表5に示す。
本発明例のNo.1〜No.45では最大孔食深さが50μmであり良好な耐食性を示した。
これに対し、芯材のCu量が0.15%(S20)であって0.50%以上とする本発明の規定値未満である比較例複合材No.50はチューブに貫通孔を生じた。またNo.51はCu量が本発明の上限値である1.00%を越える1.20%であるため、やはりチューブに貫通孔を生じた。No.54では芯材のTi量が0.03%であって芯材のTi量が0.05%以上とする本発明規定値未満であるため耐食性が劣り、孔食深さが100μmに達した。
図1(a)は熱サイクル試験中の試験液温度の経時変化を、図1(b)、(c)は熱サイクル試験中の各供試材の自然電位の試験液温度の経時変化を示す。 図2(a)はAlの100℃における電極電位−pH平衡図を、図2(b)はAlの25℃における電極電位−pH平衡図を示す。 AlのpHと温度に関する腐食形態マップを示す。 本発明の実施例において作成したミニコアの概念図。 図5(a)は自動車用熱交換器(ラジエーター)の正面図、図5(b)は図5(a)のA−A断面拡大図である。
符号の説明
1・・・チューブ管、2・・・フィン、3・・・ヘッダープレート、4・・・コア、5・・・樹脂タンク、6・・・バッキング。

Claims (3)

  1. Si0.4wt%〜1.0wt%、Fe0.15〜1.0wt%、Cu0.5〜1.0wt%、Mn1.0〜2.0wt%、Ti0.05〜0.2wt%を含有し残部Al及び不可避不純物よりなる芯材の片面にろう材をクラッドし、前記芯材の前記ろう材をクラッドしていない他面にZn3wt%〜8wt%、Si0.4wt%〜1.0wt%、Fe0.25wt%〜1.0wt%、Mn0.4〜2.0wt%、Ti0.05〜0.20wt%、Zr0.05〜0.2wt%を含有し残部Al及び不可避不純物よりなる犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、以下の(i)及び(ii)に示す前記犠牲陽極材表面と前記芯材表面の電位差構成を同時に備えて成ることを特徴とするアルミニウム合金クラッド材。
    (i)Cl195ppm、SO 2−60ppm、Cu2+1ppm、Fe3+30ppmを含有し、建浴時にpH=11に調整した腐食液中において、88℃で8時間の加熱を行った後に16時間の放冷を行う熱サイクルを3サイクル行い、3サイクル目の88℃の時点で犠牲陽極材表面と芯材表面との電位差が150mV以上となる電位差構成
    (ii)Cl195ppm、SO 2−60ppm、Cu2+1ppm、Fe3+30ppmを含有し、建浴時にpH=11に調整した腐食液中において、88℃で8時間の加熱を行った後に16時間の放冷を行う熱サイクルを3サイクル行い、3サイクル目の40℃の時点で犠牲陽極材表面と芯材表面との電位差が400mV以上となる電位差構成。
  2. 前記犠牲陽極材に、さらにV0.01〜0.2wt%、Sn0.05〜0.2wt%、In0.05〜0.2wt%のうち1種または2種以上を含有する請求項1に記載のアルミニウム合金クラッド材。
  3. 前記芯材が、さらにZr0.05〜0.2wt%、Cr0.05〜0.2wt%、V0.05〜0.2wt%のうち1種または2種以上を含有する請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム合金クラッド材。
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