JP5065580B2 - 金属粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、流動性を高めるためには略球体の粉末を用いることが考えられるが、その場合には、粉末同士の接触面積が低下するため、焼結性が低下する。すなわち、従来では、焼結性と流動性を両立したタンタル粉末およびニオブ粉末を得ることは困難であった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、焼結性と流動性とを両立したタンタルまたはニオブからなる金属粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。
前記凝集粉を、差動ロールを多段に備えた解砕機により解砕する解砕工程とを有し、
前記差動ロールは、上段から下段に向かうにつれて各段のロール同士の間隔が狭くなっていることを特徴とする。
本発明の金属粉末の製造方法においては、解砕工程前に、凝集粉を予備粉砕する予備粉砕工程を有してもよい。
また、本発明の金属粉末の製造方法においては、原料粉が、タンタル微粉末またはニオブ微粉末を圧縮成形し、差動ロールを備えた解砕機により解砕して得た解砕原料粉であってもよい。
また、原料粉が、タンタル微粉末またはニオブ微粉末を、水をバインダとして造粒して得た造粒粉であってもよい。
本発明の金属粉末は、タンタルまたはニオブからなり、焼結性と流動性とを両立したものである。
本実施形態の金属粉末の製造方法は、タンタルからなる原料粉(以下、タンタル原料粉という。)を熱凝集して凝集粉を得る熱凝集工程と、凝集粉を予備粉砕する予備粉砕工程と、予備粉砕により得られた粉砕粉を解砕する解砕工程と、解砕工程にて得た解砕粉を篩分して所定の粒径範囲の粉末を回収する回収工程とを有する方法である。
以下、各工程について詳細に説明する。
この熱凝集工程によって、45〜5000μmの凝集粉を得ることが好ましく、さらには、予備粉砕を簡略化または省略できることから、45〜3000μmの凝集粉を得ることがより好ましい。
その際の圧縮成形では、例えば、プレス装置を用いる周知の方法を採用できる。
プレス装置としては、例えば、図1に示すような、断面円形の貫通孔11aが鉛直方向に形成された矩形状の金型11と、金型11の貫通孔11aに下方から挿入される円筒状の支持体12と、金型11の貫通孔11aに上方から挿入される円筒状の加圧体13とを具備するプレス装置10が挙げられる。このプレス装置10においては、貫通孔11aの内径と支持体12および加圧体13の外径とが略同等になっている。
このプレス装置10を用いた圧縮成形では、図2に示すように、まず、支持体12を上昇させて、金型11の貫通孔11aの下側に支持体12を僅かに挿入し、円筒形状の型枠を形成する。次いで、図3に示すように、貫通孔11aの上側からタンタル微粉末14を所定量充填した後、図4に示すように、加圧体13を下降させて貫通孔11aに挿入し、貫通孔11a内に充填されたタンタル微粉末14を圧縮成形して成形体を得る。その成形体は、支持体12を下降させてから、加圧体13により突き出して、あるいは、加圧体13を上昇させてから、支持体12により突き出して金型11から取り出す。
圧縮成形においては、得られる成形体の嵩密度を4〜5g/cm3程度にすることが好ましい。
この予備粉砕工程により、凝集粉を好ましくは45〜5000μm、より好ましくは45〜3000μm程度に粉砕するとよい。
差動ロール21における2本のロール21a,21bの周速度の差は、所定の粒径範囲の粉末がより高い収率で得られることから、一方のロール21aの周速度が他方のロール21bの周速度より20%以上速いことが好ましい。
また、篩い分けの方法としては、例えば、振動法または周動法などを適用できる。ここで、振動法とは、積み重ねた篩を上下に動かす方法のことであり、周動法とは、積み重ねた篩を水平方向に円運動させる方法のことである。これらのうち、衝撃が小さく、所定の粒子径範囲より小さい粉末の量が少なくなる上に、騒音が少ないことから、周動法が好ましい。
平坦面の割合は走査型電子顕微鏡写真を画像解析することにより求めることができる。
例えば、上述した実施形態の製造方法では、予備粉砕工程を有していたが、予備粉砕工程を省略してもよい。ただし、予備粉砕工程を有していれば、解砕工程の効率が向上する。
また、上述した実施形態では、解砕機の差動ロールは多段で備えられていたが、解砕しようとする粉末の粒径が小さければ、一段であっても構わない。ただし、多段である方が、所定の粒径範囲内の粉末を高い収率で得ることができるため、好ましい。
まず、100gのタンタル微粉末を1100℃で熱凝集して凝集粉を得た後、その凝集粉をチョッパーミルにより予備粉砕した。次いで、解砕工程にて、予備粉砕した粉砕粉を、全長100mmの差動ロールを3段備えたロールグラニュレータで解砕してタンタル粉末を得た。ここで、各差動ロールは、一段目のロール間の間隔を0.6mm、二段目のロール間の間隔を0.3mm、三段目のロール間の間隔を0.2mmとした。また、それぞれ一方のロールの周速度が他方のロールの周速度より30%速くなるように設定した。
実施例1における解砕工程の代わりに、直径250mm、目開き0.5mmのスクリーンと、3段のカッターとを備えたスピードミルを用い、カッター回転速度300rpmで凝集粉を粉砕したこと以外は実施例1と同様にしてタンタル粉末を得た。
これに対し、粉砕機により凝集粉を粉砕した比較例1のタンタル粉末は、粒度分布が広く、平坦面の割合が70%を超えていた。
フッ化タンタル酸ナトリウムを溶融塩中でナトリウム還元して得た100gのタンタル微粉末を、水をバインダとして造粒して造粒粉を得た後、その造粒粉を1000℃で熱凝集して凝集粉を得た。次いで、解砕工程にて、その凝集粉を、実施例1と同様のロールグラニュレータで解砕してタンタル粉末を得た。
325メッシュパス(粒径45μm未満)の酸化タンタル粉を固体マグネシウムにより還元してタンタル粉末を得た。
実施例2における解砕工程の代わりに、比較例1と同様のスピードミルを用い、カッター回転速度300rpmで凝集粉を粉砕したこと以外は実施例2と同様にしてタンタル粉末を得た。
また、6mgのタンタル粉末から直径1mmのペレットを成形し、そのペレットを1300℃、20分間で焼結して焼結体を得た。そして、その焼結体を径方向に荷重をかけて引き抜け強度を測定した。この引き抜け強度が高いほど焼結性が高いといえる。
また、走査型電子顕微鏡写真から、各タンタル粉末の平坦面の割合を求めた。
これらの結果を表2に示す。
これに対し、325メッシュパスの酸化タンタル粉を固体マグネシウムにより還元して得た比較例2のタンタル粉末は、平坦面の割合が30%未満であり、焼結性が低かった。
また、粉砕機により凝集粉を粉砕した比較例3のタンタル粉末は、平坦面の割合が70%を超えており、流動性が低かった。
Claims (4)
- タンタルまたはニオブからなる原料粉を熱凝集して凝集粉を得る熱凝集工程と、
前記凝集粉を、差動ロールを多段に備えた解砕機により解砕する解砕工程とを有し、
前記差動ロールは、上段から下段に向かうにつれて各段のロール同士の間隔が狭くなっていることを特徴とする金属粉末の製造方法。 - 解砕工程前に、凝集粉を予備粉砕する予備粉砕工程を有する請求項1に記載の金属粉末の製造方法。
- 原料粉が、タンタル微粉末またはニオブ微粉末を圧縮成形し、差動ロールを備えた解砕機により解砕して得た解砕原料粉である請求項1または2に記載の金属粉末の製造方法。
- 原料粉が、タンタル微粉末またはニオブ微粉末を、水をバインダとして造粒して得た造粒粉である請求項1または2に記載の金属粉末の製造方法。
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