JP5064282B2 - 生体内留置用ステントおよび生体器官拡張器具 - Google Patents

生体内留置用ステントおよび生体器官拡張器具 Download PDF

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Description

本発明は、血管、胆管、気管、食道、尿道等の生体管腔内に生じた狭窄部、もしくは閉塞部の改善に使用される生体内留置用ステントおよび生体器官拡張器具に関する。
生体内留置用ステントは、血管あるいは他の生体内管腔が狭窄もしくは閉塞することによって生じる様々な疾患を治療するために、その狭窄もしくは閉塞部位を拡張し、その内腔を確保するためにそこに留置する一般的には管状の医療用具である。
ステントは、体外から体内に挿入するため、そのときは直径が小さく、目的の狭窄もしくは閉塞部位で拡張させて直径を大きくし、かつその管腔をそのままで保持する物である。
ステントとしては、金属線材、あるいは金属管を加工した円筒状のものが一般的である。カテーテルなどに細くした状態で装着され、生体内に挿入され、目的部位で何らかの方法で拡張させ、その管腔内壁に密着、固定することで管腔形状を維持する。ステントは、機能および留置方法によって、セルフエクスパンダブルステントとバルーンエクスパンダブルステントに区別される。バルーンエクスパンダブルステントはステント自体に拡張機能はなく、ステントを目的部位に挿入した後、ステント内にバルーンを位置させてバルーンを拡張させ、バルーンの拡張力によりステントを拡張(塑性変形)させ目的管腔の内面に密着させて固定する。このタイプのステントでは、上記のようなステントの拡張作業が必要になる。
そして、ステントは、血管等の生体内管腔であり、かつ湾曲した部位に留置される場合がある。
特開平9−164209号公報(特許文献1)には、セルフエクスパンダブルステントである弯曲型スパイラルジグザグステントが開示されている。このステントは、弯曲型の血管又は器官等の管腔部に載置する場合にも管腔部壁に望ましくない応力を及ぼさないように予め弯曲されており、かつその弯曲方向を管腔部の変形方向と正確に一致させるのが容易なスパイラル状のジグザグステントである。そして、弯曲型スパイラルジグザグステントは、屈曲部間の線材部11a、11bの長さが長短の繰り返しとなるようにジグザグ状に変形されスパイラル状に旋回する弾性線材11と、前記弾性線材11の屈曲部に形成された係止部13に結着された糸15とからなる。スパイラルの周期と同じ周期で前記屈曲部間の線材部長さが実質的に徐々に増減しているために、前記弾性線材11全体の包絡面が弯曲円筒状である。凸曲側及び凹曲側の少なくとも一方の位置にある前記弾性線材11の一部にマーカー16が設けられている。
特開平9−164209号公報
しかし、特許文献1のステントでは、弯曲型の血管又は器官等の管腔部に載置する場合にも管腔部壁に望ましくない応力を及ぼさないものとなっている。しかし、このステントでは、スパイラルジグザグステントであるため血管拡張力において十分なものではない。さらに、ステントの復元時の形状自体が湾曲しているため、湾曲生体部位に配置された後、人体の動き等により生体部位が直線状に変形した場合に、抵抗となり、留置部位にストレスをかけるおそれが高い。
本発明の目的は、ステントとして全体的に十分な均一性のある拡張力を備え、かつ、湾曲した生体管腔に留置した場合、生体部位の湾曲形状に対応して良好に湾曲するとともに湾曲形状の逆方向への変形を確実に抑制し、かつ、ステント留置後において、湾曲生体部位の直線状への一時的な変形に対してストレスを付与することなく追従する生体内留置用ステントおよびそれを備える生体器官拡張器具を提供するものである。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1)線状構成要素により環状に形成された複数の環状体が軸方向に配列されるとともに、隣り合う環状体が連結部により連結された生体内留置用ステントであって、
前記ステントは、該ステントの中心軸に対して、第1の方向には易変形であり、該第1の方向と反対方向には難変形である変形方向性を有し、かつ、前記ステントは、第1の周方向に所定長延びかつ先端開口を有するスリットと該スリットの閉塞基端部を形成する易変形部とを有する第1の連結部と、該第1の連結部と前記ステントの中心軸を介してほぼ向かい合う位置に設けられ、かつ、第1の周方向と反対方向に所定長延びかつ先端開口を有するスリットと該スリットの閉塞基端部を形成する易変形部とを有する第2の連結部のみから構成される変形方向規制連結部を複数備え、さらに、すべての前記第1の連結部は、前記ステントの軸方向に平行かつほぼ直線状となるようにもしくは前記ステントの軸方向に平行な所定幅内に位置し、かつ、すべての前記第2の連結部は、前記ステントの軸方向に平行かつほぼ直線状となるようにもしくは前記ステントの軸方向に平行な所定幅内に位置するように配置されている生体内留置用ステント。
(2)前記第1の連結部および前記第2の連結部は、前記易変形部にて前記スリットが開く方向に変形可能であり、かつ、逆方向には、前記スリットを形成する部位が当接することにより、実質的に変形不能である上記(1)に記載の生体内留置用ステント。
(3)前記第1の連結部の前記スリットの前記先端開口と前記第2の連結部の前記スリットの前記先端開口との間に位置する部分の前記環状体の前記線状構成要素は、前記第1の連結部の前記易変形部と前記第2の連結部の前記易変形部との間に位置する部分の前記環状体の線状構成要素に比べて、隣り合う環状体方向に長く延びている上記(1)または(2)に記載の生体内留置用ステント。
(4)前記第1の連結部の前記易変形部と、前記第2の連結部の前記易変形部は、前記ステントの前記中心軸に対してほぼ向かい合うものとなっている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(5)前記各環状体は、前記ステントの軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部および前記ステントの軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部と、前記各一端側屈曲部と前記各他端側屈曲部を繋ぐ複数の連接線状部とを有する環状に連続した無端の環状体である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(6)前記第1の連結部の前記スリットの前記先端開口と前記第2の連結部の前記スリットの前記先端開口との間に位置する前記環状体の前記屈曲部は、前記第1の連結部の前記易変形部と前記第2の連結部の前記易変形部との間に位置する前記環状体の前記屈曲部に比べて、隣り合う環状体方向に位置するものとなっている上記(5)に記載の生体内留置用ステント。
(7)前記第1の連結部および前記第2の連結部は、一方の前記環状体の前記一端側屈曲部もしくはその付近より他方の前記環状体方向に延びかつ、前記環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第1の拡幅部と、他方の前記環状体の前記他端側屈曲部もしくはその付近より一方の前記環状体方向に延びかつ、前記環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第2の拡幅部とを備え、前記第1の拡幅部と前記第2の拡幅部間に前記スリットを有し、前記易変形部は、前記第1の拡幅部と前記第2の拡幅部の端部間を連結するものである上記(5)または(6)に記載の生体内留置用ステント。
(8)前記第1の拡幅部および前記第2の拡幅部は、前記易変形部と反対方向に延びる周方向延出部を備えている上記(7)に記載の生体内留置用ステント。
(9)前記第1の連結部および前記第2の連結部は、一方の前記環状体の前記一端側屈曲部付近より他方の前記環状体方向に円弧状もしくは前記ステントの中心軸に対して斜めに延びかつ、前記環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第1の拡幅部と、他方の前記環状体の前記他端側屈曲部付近より一方の前記環状体方向に円弧状もしくは前記ステントの中心軸に対して斜めに延びかつ、前記環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第2の拡幅部とを備え、前記第1の拡幅部と前記第2の拡幅部間に前記スリットを有し、前記第1の拡幅部と前記第2の拡幅部は、前記易変形部を有する湾曲連結部により連結されている上記(5)または(6)に記載の生体内留置用ステント。
(10)前記連結部は、隣り合う一方の前記環状体の前記一端側屈曲部もしくはその付近と他方の前記環状体の前記他端側屈曲部もしくはその付近とを連結するものである上記(5)ないし(9)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(11)前記連結部は、すべて前記変形方向規制連結部である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(12)少なくとも前記ステントの両端部領域に位置する前記連結部は、前記変形方向規制連結部である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(13)少なくとも前記ステントの中央部領域に位置する前記連結部は、前記変形方向規制連結部である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(14)前記ステントの軸方向に一つおきの前記連結部が、前記変形方向規制連結部である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(15)前記ステントは、該ステントの易変形方向または難変形方向を造影像を用いて確認するための変形方向性確認用造影マーカーを備えている上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(16)前記ステントは、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、該ステントの内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張するものである上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(17)チューブ状のシャフト本体部と、該シャフト本体部の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーンと、折り畳まれた状態の前記バルーンを被包するように装着され、かつ該バルーンの拡張により拡張される上記(16)に記載のステントとを備える生体器官拡張器具。
(18)前記ステントは、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものである上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(19)シースと、該シースの先端部内に収納された上記(18)のステントと、該シース内を摺動可能に挿通し、前記ステントを前記シースの先端より押し出すための内管とを備える生体器官拡張器具。
(20)前記生体器官拡張器具は、前記ステントの易変形方向または難変形方向を造影像を用いて確認するための変形方向性確認用造影部を備えている上記(17)または(19)に記載の生体器官拡張器具。
本発明の生体内留置用ステントは、線状構成要素により環状に形成された複数の環状体が軸方向に配列されるとともに、隣り合う環状体が連結部により連結された生体内留置用ステントである。そして、ステントは、ステントの中心軸に対して、第1の方向には易変形性を有し、第1の方向と反対方向には、難変形性を有する変形方向性を有する。ステントは、第1の周方向に所定長延びかつ先端開口を有するスリットと該スリットの閉塞基端部を形成する易変形部とを有する第1の連結部と、第1の連結部とステントの中心軸を介してほぼ向かい合う位置に設けられ、かつ、第1の周方向と反対方向に所定長延びかつ先端開口を有するスリットとスリットの閉塞基端部を形成する易変形部とを有する第2の連結部のみから構成される変形方向規制連結部を複数備えている。そして、すべての第1の連結部およびすべての第2の連結部は、ステントの軸方向に平行にほぼ直線状となるようにもしくはステントの軸方向に平行な所定幅内に位置するように配置されている。このため、ステントの易変形方向が生体器官の屈曲部の内側となるように、ステントを湾曲した生体器官に留置することにより、生体部位の湾曲形状に対応して良好に湾曲するとともに湾曲形状の逆方向への変形を確実に抑制する。さらに、ステント留置後において、湾曲生体部位が一時的に直線状に変形した場合に、ストレスを付与することなく追従する。また、このステントは、線状構成要素により環状に形成された環状体が複数軸方向に配列するとともに、隣り合う環状体が連結部により連結されたものであるため、ステントとして全体的に十分な均一性のある拡張力を備える。
本発明の生体内留置用ステントについて以下の好適実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例の生体内留置用ステントの正面図である。図2は、図1の生体内留置用ステントの展開図である。図3は、図1の生体内留置用ステントの拡張時の正面図である。図4は、図1の生体内留置用ステントの拡張時の展開図である。図5は、図4の部分拡大図である。図6は、図3のA−A線拡大断面図である。図7は、図4の変形方向規制連結部付近の拡大図である。
図8は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの正面図である。図9は、図8の生体内留置用ステントの展開図である。図10は、図8の生体内留置用ステントの拡張時の正面図である。図11は、図8の生体内留置用ステントの拡張時の展開図である。図12は、図11の部分拡大図である。図13は、図11の変形方向規制連結部付近の拡大図である。
本発明の生体内留置用ステント1は、線状構成要素により環状に形成された複数の環状体2が軸方向に配列されるとともに、隣り合う環状体2が連結部により連結されたステントである。ステント1は、ステント1の中心軸に対して、第1の方向には易変形であり、第1の方向と反対方向には難変形である変形方向性を有する。ステント1は、第1の周方向に所定長延びかつ先端開口33aを有するスリット32aとスリット32aの閉塞基端部を形成する易変形部36aとを有する第1の連結部3aと、第1の連結部3aとステント1の中心軸を介してほぼ向かい合う位置に設けられ、かつ、第1の周方向と反対方向に所定長延びかつ先端開口33bを有するスリット32bとスリット32bの閉塞基端部を形成する易変形部36bとを有する第2の連結部3bのみから構成される変形方向規制連結部3を複数備え、すべての第1の連結部3aは、ステント1の軸方向に平行かつほぼ直線状となるようにもしくはステント1の軸方向に平行な所定幅内に位置するように配置され、すべての第2の連結部3bは、ステント1の軸方向に平行かつほぼ直線状となるようにもしくはステント1の軸方向に平行な所定幅内に位置するように配置されている。
この実施例のステント1は、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能なステント、いわゆるバルーン拡張型ステントとなっている。なお、本発明のステントは、バルーン拡張型ステントに限定されるものではない。
この実施例のステント1は、図1ないし図4に示すように、複数の波線状環状体2を軸方向に隣り合うように配列するとともに、それぞれを接続した形態となっている。
そして、各波線状環状体2は、ステント1の軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部4およびステント1の軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部5を有するとともに、環状に連続した無端の線状構成要素(具体的には、波線状体)により構成されている。
そして、この実施例のステント1では、図1ないし図4に示すように環状体2は、ステントの一端側に位置する複数の一端側屈曲部4と他端側に位置する複数の他端側屈曲部5と一端側屈曲部4と他端側屈曲部5間を繋ぐ連接線状部7とを備える波状環状体となっている。そして、連接線状部7は、直線状部となっている。そして、軸方向に隣り合う環状体2は、ステントの一端側に位置する環状体2の他端側屈曲部5と他端側に位置する環状体2の一端側屈曲部4が向かい合うように配置されるとともに、連結部3により接続されている。
そして、ステント1は、図1の状態にて生体内に挿入され、ステントの内部より半径方向に広がる力が付加された時に、図3の状態に拡張する。展開図では、図2の状態から図4の状態に変形する。そして、上記の変形時に、一端側屈曲部4および他端側屈曲部5は、開く方向に変形するが、一端側屈曲部4と他端側屈曲部5間を繋ぐ連接線状部7は、実質的に変形しない。また、連結部3も実質的に変形しない。
この実施例のステント1における波状環状体は、図1およびその展開図である図2に示すように、ほぼ同じピッチの複数の一端側屈曲部4と他端側屈曲部5と連接線状部7とを有し、環状に連続した無端の波状体となっている。なお、波状環状体の山(もしくは谷)の数は、4〜10が好適である。そして、この実施例のステント1では、隣り合う環状体間には、変形方向規制連結部3が設けられている。
なお、本発明のステントの形態は、上述したステント1のような、複数の波状環状体により構成されたもの、また、複数の波状環状体の近接する頂点間を接合するものに限定されるものではない。
そして、このステント1は、ステント1の中心軸に対して、第1の方向(図3におけるX方向)には易変形性を有し、第1の方向(X方向)と反対方向には、難変形性を有する変形方向性を有する。
この実施例のステント1では、すべての環状体2は、変形方向規制連結部3により連結されている。そして、変形方向規制連結部3は、第1の連結部3aと第2の連結部3bにより構成されている。そして、各連結部は、隣り合う一方の環状体2の一端側屈曲部4もしくはその付近と他方の環状体2の他端側屈曲部5付近もしくはその付近とを連結している。
第1の連結部3aは、ステント1の中心軸に対してほぼ直交する第1の周方向に所定長延びかつ先端開口33aを有するスリット32aとスリット32aの閉塞基端部を形成する易変形部36aとを有している。また、第2の連結部3bは、第1の周方向と反対方向に所定長延びかつ先端開口33bを有するスリット32bとスリット32bの閉塞基端部を形成する易変形部36bとを有している。
そして、第2の連結部3bは、第1の連結部3aとステント1の中心軸を介してほぼ向かい合う位置に設けられている。さらに、第1の連結部3aの易変形部36aと、第2の連結部3bの易変形部36bは、図6に示すように、ステント1の中心軸Oに対してほぼ向かい合うものとなっていることが好ましい。そして、このステント1では、図1ないし図4に示すように、すべての第1の連結部3aは、ステント1の軸方向に平行な所定幅内に位置するように配置されている。同様に、図1ないし図4に示すように、すべての第2の連結部3bは、ステント1の軸方向に平行な所定幅内に位置するように配置されている。
そして、第1の連結部3aのスリット32aは、狭小部を備えており、この実施例では、先端開口33a部分が狭小部となっている。同様に、第2の連結部3bのスリット32bも、狭小部を備えており、この実施例では、先端開口33b部分が狭小部となっている。また、スリットとは、切欠部を意味するものであり、この実施例のように同じ幅にて延びる帯状のものに限定されるものではなく、先端側より基端側が広くなっているもの、また、円状、楕円状、矩形状、多角形状のものであってもよい。なお、この実施例では、スリット32a,32bは、狭小のスリットとなっている。
第1の連結部3aおよび第2の連結部3bは、ステント1に図3におけるX方向に変形する力が付与されたときには、易変形部36aおよび易変形部36b部分にて、各連結部3a,3b(具体的には、各スリット32a,32b)が開くように変形する。これにより、隣り合う環状体2間は、図3におけるX方向に湾曲する。また、ステント1に図3におけるX方向と反対方向に変形する力が付与されたときには、易変形部36aおよび易変形部36b部分にて、連結部3a,3b(具体的には、各スリット32a,32b)が閉じる方向に変形する。これにより、スリット32a,32bの先端開口33a,33bが閉塞し、先端開口を構成する部分が当接することにより、それ以上の第1の連結部3aおよび第2の連結部3bの変形を実質的に阻止し、ステント1の図3におけるX方向と反対方向への変形を実質的に阻害する。つまり、この実施例のステント1では、第1の連結部3aおよび第2の連結部3bは、易変形部36a,36bにてスリット32a,32bが開く方向に変形可能であり、かつ、逆方向には、スリット32a,32bを形成する部位が当接することにより、実質的に変形不能となっている。
具体的には、図5に示すように、第1の連結部3aは、一方の環状体の一端側屈曲部4もしくはその付近(具体的には、一端側屈曲部4の頂点部)より隣り合う他方の環状体方向に延びかつ、環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第1の拡幅部34aと、他方の環状体の他端側屈曲部5もしくはその付近(具体的には、他端側屈曲部5の頂点部)より一方の環状体方向に延びかつ、環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第2の拡幅部35aとを備え、第1の拡幅部34aと第2の拡幅部35a間にスリット32aを有し、易変形部36aは、第1の拡幅部34aと第2の拡幅部35aの端部間を連結するものとなっている。さらに、第1の拡幅部34aは、易変形部36aと反対方向に延びる周方向延出部37aを備え、同様に、第2の拡幅部35aも、易変形部36aと反対方向に延びる周方向延出部38aを備えている。そして、第1の拡幅部34aの周方向延出部37aの先端と第2の拡幅部35aの周方向延出部38aの先端間により、スリット32aの先端開口33aが形成されている。
同様に、図5に示すように、第2の連結部3bは、一方の環状体の一端側屈曲部4もしくはその付近(具体的には、一端側屈曲部4の頂点部)より隣り合う他方の環状体方向に延びかつ、環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第1の拡幅部34bと、他方の環状体の他端側屈曲部5もしくはその付近(具体的には、他端側屈曲部5の頂点部)より一方の環状体方向に延びかつ、環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第2の拡幅部35bとを備え、第1の拡幅部34bと第2の拡幅部35b間にスリット32bを有し、易変形部36bは、第1の拡幅部34bと第2の拡幅部35bの端部間を連結するものとなっている。さらに、第1の拡幅部34bは、易変形部36bと反対方向に延びる周方向延出部37bを備え、同様に、第2の拡幅部35bも、易変形部36bと反対方向に延びる周方向延出部38bを備えている。そして、第1の拡幅部34bの周方向延出部37bの先端と第2の拡幅部35bの周方向延出部38bの先端間により、スリット32bの先端開口33bが形成されている。
そして、図7に示すように、第1の連結部3aにおける易変形部36aの幅Gは、他の部分、例えば、環状体の連接線状部7の幅H,第1の拡幅部34aおよび第2の拡幅部35aの幅Dより十分に小さいことが好ましい。具体的には、易変形部36aの幅Gは、連接線状部7の幅Hの1/10〜1/2であることが好ましく、第1の拡幅部34aおよび第2の拡幅部35aの幅Dの1/20〜1/4であることが好ましい。また、第1の拡幅部34aおよび第2の拡幅部35aの幅Dは、環状体の連接線状部7の幅Hの2〜5倍であることが好ましい。また、スリット32aの幅Fは、0.01〜0.5mmであることが好ましく、スリット32aの長さEは、0.05〜0.3mmであることが好ましい。そして、スリット32aの幅Fは、スリット32aの長さEの1/30〜1/4であることが好ましい。なお、第2の連結部3bについても上記と同様であることが好ましい。
そして、この実施例のステント1では、第1の連結部3aの易変形部36aの変形時の支点となる部位と、第2の連結部3bの易変形部36bの変形時の支点となる部位は、図6に示すように、ステント1の中心軸Oに対してほぼ向かい合うものとなっている。
また、この実施例のステント1では、軸方向に隣り合う第1の連結部3aは、ステントの軸方向に対して若干ずれた位置となっている。また、軸方向に一つおきの第1の連結部3aは、ステントの軸方向に延びる直線上に位置するものとなっている。このため、図1ないし図4に示すように、すべての第1の連結部3aは、ステント1の軸方向に平行な所定幅内に位置するように配置されている。具体的には、すべての第1の連結部3aは、ステント1の軸方向に平行かつステントの中心軸に対して45度以内の所定幅内(所定領域内)に位置するように配置されていることが好ましく、特に、30度以内の所定幅内(所定領域内)に位置することが好ましい。
同様に、軸方向に隣り合う第2の連結部3bも、ステントの軸方向に対して若干ずれた位置となっている。また、軸方向に一つおきの第2の連結部3bは、軸方向に延びる直線上に位置するものとなっている。このため、図1ないし図4に示すように、すべての第2の連結部3bは、ステント1の軸方向に平行な所定幅内に位置するように配置されている。具体的には、すべての第2の連結部3bは、ステント1の軸方向に平行かつステントの中心軸に対して45度以内の所定幅内(所定領域内)に位置するように配置されていることが好ましく、特に、30度以内の所定幅内(所定領域内)に位置することが好ましい。
次に、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントについて説明する。
図8は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの正面図である。図9は、図8の生体内留置用ステントの展開図である。図10は、図8の生体内留置用ステントの拡張時の正面図である。図11は、図8の生体内留置用ステントの拡張時の展開図である。図12は、図11の部分拡大図である。図13は、図11の変形方向規制連結部付近の拡大図である。
この実施例のステント10の基本構成は、上述したステント1と同じであり、相違点は、第1の連結部および第2の連結部の形態のみである。
このステント10は、図8の状態にて生体内に挿入され、ステントの内部より半径方向に広がる力が付加された時に、図10の状態に拡張する。展開図では、図9の状態から図11の状態に変形する。そして、上記の変形時に、一端側屈曲部4および他端側屈曲部5は、開く方向に変形するが、一端側屈曲部4と他端側屈曲部5間を繋ぐ連接線状部7は、実質的に変形しない。また、連結部3も実質的に変形しない。
この実施例のステント10は、図8および図9に示すように、複数の波線状環状体2を軸方向に隣り合うように配列するとともに、それぞれを接続した形態となっている。
そして、各波線状環状体2は、ステント1の軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部4およびステント1の軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部5を有するとともに、環状に連続した無端の線状構成要素(具体的には、波線状体)により構成されている。
そして、このステント10では、図8および図9に示すように環状体2は、ステントの一端側に位置する複数の一端側屈曲部4と他端側に位置する複数の他端側屈曲部5と一端側屈曲部4と他端側屈曲部5間を繋ぐ連接線状部7とを備える波状環状体となっている。そして、連接線状部7は、直線状部となっている。そして、軸方向に隣り合う環状体2は、ステントの一端側に位置する環状体2の他端側屈曲部5と他端側に位置する環状体2の一端側屈曲部4が向かい合うように配置されるとともに、連結部3により接続されている。
そして、このステント10は、ステント10の中心軸に対して、第1の方向(図10におけるX方向)には易変形性を有し、第1の方向(X方向)と反対方向には、難変形性を有する変形方向性を有する。
この実施例のステント1では、すべての環状体2は、変形方向規制連結部3により連結されている。そして、変形方向規制連結部3は、第1の連結部13aと第2の連結部13bにより構成されている。
第1の連結部13aは、図12に示すように、一方の環状体の一端側屈曲部4付近より他方の環状体方向に円弧状もしくはステントの中心軸に対して斜めに(具体的には、円弧状に)延びかつ、環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第1の拡幅部44aと、他方の環状体の他端側屈曲部5付近より一方の環状体方向に円弧状もしくはステントの中心軸に対して斜めに(具体的には、円弧状に)延びかつ、環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第2の拡幅部45aとを備え、第1の拡幅部44aと第2の拡幅部45a間にスリット42aを有し、第1の拡幅部44aと第2の拡幅部45aは、易変形部46aを有する湾曲連結部49aにより連結されている。
同様に、図12に示すように、第2の連結部13bは、一方の環状体の一端側屈曲部4付近より他方の環状体方向に円弧状もしくはステントの中心軸に対して斜めに(具体的には、円弧状に)延びかつ、環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第1の拡幅部44bと、他方の環状体の他端側屈曲部5付近より一方の環状体方向に円弧状もしくはステントの中心軸に対して斜めに(具体的には、円弧状に)延びかつ、環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第2の拡幅部45bとを備え、第1の拡幅部44bと第2の拡幅部45b間にスリット42bを有し、第1の拡幅部44bと第2の拡幅部45bは、易変形部46bを有する湾曲連結部49bにより連結されている。
生体内に留置された状態のステント10において、第1の連結部13aおよび第2の連結部13bは、図10におけるX方向に変形する力が付与されたときには、易変形部36aおよび易変形部36b部分にて、各連結部13a,13b(具体的には、各スリット42a,42b)が開くように変形する。これにより、隣り合う環状体2間は、図10におけるX方向に湾曲する。また、ステント10に図10におけるX方向と反対方向に変形する力が付与されたときには、易変形部46aおよび易変形部46b部分にて、各連結部13a,13b(具体的には、各スリット42a,42b)が閉じる方向に変形する。これにより、スリット42a,42bの先端開口43a,43bが閉塞し、先端開口を構成する部分47a,48a(47b、48b)が当接することにより、それ以上の第1の連結部13aおよび第2の連結部13bの変形を実質的に阻止し、ステント10の図10におけるX方向と反対方向への変形を実質的に阻害する。
また、このステント10では、図8および図9に示すように、ステント10の圧縮状態では、第1の連結部13aおよび第2の連結部13bのスリット42a,42bは、先端開口43a,43bに向かって開いた状態となっている。このため、圧縮状態のステント10は、実質的に変形方向性を持たず、図8に示すX方向およびY方向のいずれにも変形可能となっている。このため、生体内への挿入操作が容易である。よって、このステント10では、拡張時(生体内留置時)に、変形方向性を発現するものとなっている。
そして、図13に示すように、拡張状態のステント10の第1の連結部13aにおける易変形部46aの幅Lは、他の部分、例えば、環状体の連接線状部7の幅M,第1の拡幅部44aおよび第2の拡幅部45aの幅Iより十分に小さいことが好ましい。具体的には、易変形部46aの幅Lは、連接線状部7の幅Mの1/10〜1/2であることが好ましく、第1の拡幅部44aおよび第2の拡幅部45aの幅Iの1/20〜1/4であることが好ましい。また、第1の拡幅部44aおよび第2の拡幅部45aの幅Iは、環状体の連接線状部7の幅Mの2〜5倍であることが好ましい。また、スリット42aの幅Kは、0.01〜0.5mmであることが好ましく、スリット42aの長さJは、0.05〜0.3mmであることが好ましい。そして、スリット42aの幅Kは、スリット42aの長さJの1/30〜1/4であることが好ましい。なお、第2の連結部13bについても上記と同様であることが好ましい。
そして、この実施例のステント10においても、第1の連結部13aの易変形部46aの変形時の支点となる部位と、第2の連結部13bの易変形部46bの変形時の支点となる部位は、ステント10の中心軸に対してほぼ向かい合うものとなっている。
また、この実施例のステント10では、軸方向に隣り合う第1の連結部13aは、ステントの軸方向に対して若干ずれた位置となっている。また、軸方向に一つおきの第1の連結部13aは、ステントの軸方向に延びる直線上に位置するものとなっている。このため、図8ないし図11に示すように、すべての第1の連結部13aは、ステント10の軸方向に平行な所定幅内に位置するように配置されている。同様に、軸方向に隣り合う第2の連結部13bも、ステントの軸方向に対して若干ずれた位置となっている。また、軸方向に一つおきの第2の連結部13bは、軸方向に延びる直線上に位置するものとなっている。このため、図8ないし図11に示すように、すべての第2の連結部13bは、ステント10の軸方向に平行な所定幅内に位置するように配置されている。
また、変形方向規制連結部の形態は、図14および図15に示すようなものであってもよい。
図14は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。図15は、図14の部分拡大図である。
この実施例のステント20では、第1の連結部23aは、図14および図15に示すように、一方の環状体の一端側屈曲部4付近より他方の環状体方向にステントの中心軸に対して平行に延びかつ、環状体を構成する線状構成要素より若干幅の広い第1の拡幅部54aと、他方の環状体の他端側屈曲部5付近より一方の環状体方向にステントの中心軸に対して平行に延びかつ、環状体を構成する線状構成要素より若干幅の広い第2の拡幅部55aとを備え、第1の拡幅部54aと第2の拡幅部55a間にスリット52aを有し、第1の拡幅部54aと第2の拡幅部55aは、易変形部56aを有する湾曲連結部59aにより連結されている。
同様に、図15に示すように、第2の連結部23bは、一方の環状体の一端側屈曲部4付近より他方の環状体方向にステントの中心軸に対して平行に延びかつ、環状体を構成する線状構成要素より若干幅の広い第1の拡幅部54bと、他方の環状体の他端側屈曲部5付近より一方の環状体方向にステントの中心軸に対して平行に延びかつ、環状体を構成する線状構成要素より若干幅の広い第2の拡幅部55bとを備え、第1の拡幅部54bと第2の拡幅部55b間にスリット52bを有し、第1の拡幅部54bと第2の拡幅部55bは、易変形部56bを有する湾曲連結部59bにより連結されている。
このステント20では、第1の連結部23aおよび第2の連結部23bは、所定方向に変形する力が付与されたときには、易変形部56aおよび易変形部56b部分にて、各連結部23a,23b(具体的には、各スリット52a,52b)が開くように変形する。これにより、隣り合う環状体2間は、所定方向に湾曲する。また、ステント20に所定方向と反対方向に変形する力が付与されたときには、易変形部56aおよび易変形部56b部分にて、各連結部23a,23b(具体的には、スリット52a,52b)が閉じる方向に変形する。これにより、スリット52a,52bの先端開口53a,53bが閉塞し、先端開口を構成する部分57a,58a(57b、57b)が当接することにより、それ以上の第1の連結部23aおよび第2の連結部23bの変形を実質的に阻止し、ステント20の所定方向と反対方向への変形を実質的に阻害する。
また、上述したすべての実施例において、環状体2の形態は、図16ないし図18に示すステント30のようなものであってもよい。
図16は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。図17は、図16の生体内留置用ステントの拡張時の正面図である。図18は、図17の生体内留置用ステントの拡張時の展開図である。
このステント30は、上述したステント1と基本構成は同じである。そして、このステント30では、図16および図17に示すように、第1の連結部3aのスリット32aの先端開口33aと第2の連結部3bのスリット32bの先端開口33bとの間に位置する部分の環状体2の線状構成要素は、第1の連結部3aの易変形部36aと第2の連結部3bの易変形部36bとの間に位置する部分の環状体の線状構成要素に比べて、隣り合う環状体方向に長く延びている。具体的には、第1の連結部3aのスリット32aの先端開口33aと第2の連結部3bのスリット32bの先端開口33bとの間に位置する部分の環状体の連接線状部7は、第1の連結部3aの易変形部36aと第2の連結部3bの易変形部36bとの間に位置する環状体の連接線状部7に比べて、隣り合う環状体方向に長く延びる延出線状部となっている。このため、このステント30は、スリット32aの先端開口33aとスリット32bの先端開口33b間に位置する環状体の一端側屈曲部4と他端側屈曲部5は近接し、近接部位14を備えている。また、このステント30は、第1の連結部3aの易変形部36aと第2の変形部3bの易変形部36b間に位置する環状体の一端側屈曲部4と他端側屈曲部5は所定距離離間し、離間部位となっている。
このステント30は、上述したステント1と同様に、図17に示すX方向には、易変形(湾曲可能)であり、かつX方向と反対方向には難変形性を有するものとなっている。そして、X方向にステント30が湾曲すると、第1の連結部3aのスリット32aの先端開口33aと第2の連結部3bのスリット32bの先端開口33bとの間に位置する部分の環状体2間が離間する。しかし、このステントでは、上述のように、離間する部分における環状体の線状構成要素は、他の部分の線状構成要素に比べて、隣り合う環状体方向に長く延びている。具体的には、変形時に離間する部分における一端側屈曲部4と他端側屈曲部5間は、第1の連結部3aの易変形部36aと第2の変形部3bの易変形部36b間に位置する環状体の一端側屈曲部4と他端側屈曲部5間に比べて、近接しており、離間時に両者間に大きな線状構成要素不存在部分が形成されることを防止している。このため、このステントは、変形時の離間形部分における拡張力の低下が少なく、良好な拡張力を発揮する。なお、図示するステント30では、隣り合う環状体は、向かい合うそれぞれの屈曲部が互いに近接するように他の部分に比べて延出する延出部となっているが、隣り合う環状体の一方の環状体の屈曲部のみが他方の環状体方向に延出し、近接するものであってもよい。
また、この実施例のステント30を含むすべての実施例のステントでは、第1の連結部3aの易変形部36aと第2の変形部3bの易変形部36b間に位置する環状体の一端側屈曲部4と他端側屈曲部5は所定距離離間し、離間部位となっている。このため、X方向へのステントの湾曲時に、隣り合う環状体の屈曲部同士が当接せず、ステントの変形を阻害しないものとしている。
そして、図19に示すステント40のように、上述した実施例のステント10のようなタイプのステントにおいても、上述したステント30と同様に、第1の連結部13aのスリットの先端開口と第2の連結部13bのスリットの先端開口との間に位置する部分の環状体2の線状構成要素は、第1の連結部13aの易変形部と第2の連結部13bの易変形部との間に位置する部分の環状体の線状構成要素に比べて、隣り合う環状体方向に長く延びるものであってもよい。さらに、上述した実施例のステント20においても同様である。
そして、上述したすべての実施例のステントは、隣り合う環状体を連結する連結部は、すべて変形方向規制連結部となっている。このようなものであることが好ましいが、例えば、図20に示すステント50、図21に示すステント60,図22に示すステント70のように、一部の連結部のみが、変形方向規制連結部となっているものであってもよい。
図20は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。図21は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。図22は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。
図20に示すステント50では、ステント50の軸方向に一つおきの連結部が、変形方向規制連結部3(3a、3b)となっており、他の連結部は、変形方向性を持たない連結部6となっている。このステント50では、連結部6は、隣り合う環状体2の屈曲部間を連結する線状連結部となっている。そして、このステント50では、変形方向性を持たない連結部6において、上述したX方向と反対方向への変形が可能であるものの、一つおきの連結部が変形方向規制連結部3(3a、3b)となっているため、ステント全体としては、X方向への変形が良好でありかつその反対方向には難変形性を示すものとなる。また、このステント50では、両端に位置する連結部は変形方向規制連結部3(3a、3b)となっている。そして、ステント全体では、変形方向性を持たない連結部6より変形方向規制連結部3の方が数が多いものとなっている。
図21に示すステント60では、ステント60の両端部領域に位置する連結部が、変形方向規制連結部3(3a、3b)となっており、ステント60の中央部に位置する連結部は、変形方向性を持たない連結部6となっている。このステント60では、連結部6は、隣り合う環状体2の屈曲部間を連結する線状連結部となっている。そして、このステント60では、ステント60の両端部領域に位置する複数(具体的には、3以上、好ましくは、3ないし6)の連結部が、変形方向規制連結部3(3a、3b)となっている。また、このステント60では、ステント60の中央部に位置する複数(具体的には、6未満、好ましくは、4未満)の連結部が、変形方向性を持たない連結部6となっている。ステント全体としては、変形方向規制連結部3の方が変形方向性を持たない連結部6より数が多いことが好ましく、特に、倍以上であることが好ましい。
このステント60では、中央部に変形方向性を持たない連結部6を有するため、上述したX方向と反対方向への変形が可能であるものの、両端部領域の複数の連結部が変形方向規制連結部3(3a、3b)となっているため、ステント全体としては、X方向への変形が良好でありかつその反対方向には難変形性を示すものとなる。
図22に示すステント70では、ステント70の中央部領域に位置する連結部が、変形方向規制連結部3(3a、3b)となっており、ステント70の両端領域に位置する連結部は、変形方向性を持たない連結部6となっている。このステント70では、連結部6は、隣り合う環状体2の屈曲部間を連結する線状連結部となっている。そして、このステント70では、ステント70の中央部領域に位置する複数(具体的には、5以上、好ましくは、5ないし10)の連結部が、変形方向規制連結部3(3a、3b)となっている。また、このステント70では、ステント60の両端部に位置する連結部が、変形方向性を持たない連結部6となっている。ステント全体としては、変形方向規制連結部3の方が変形方向性を持たない連結部6より数が多いことが好ましく、特に、倍以上であることが好ましい。
このステント70では、両端部に変形方向性を持たない連結部6を有するため、上述したX方向と反対方向への変形が可能であるものの、中央部領域の複数の連結部が変形方向規制連結部3(3a、3b)となっているため、ステント全体としては、X方向への変形が良好でありかつその反対方向には難変形性を示すものとなる。
そして、上述したすべての実施例において、図23および図24に示すステント80のように、造影用マーカー81を備えるものであってもよく、特に、複数の造影マーカーにより、ステントの易変形方向または難変形方向を造影像を用いて確認するための変形方向性確認用造影部が構成されていることが好ましい。
図23は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。図24は、図23のステントの拡張時の展開図である。
このステント80は、図23および図24に示すように、複数の造影マーカー81を有するとともに、複数の造影マーカー81は、第1の連結部3aと第2の連結部3b間に位置し、ステントの軸方向にほぼ直線状に並ぶものとなっている。 特に、このステント80では、図23に示すように、第1の連結部3aのスリット32aの先端開口33a側と第2の連結部3bのスリット32bの先端開口33b側との間となる軸方向領域内に複数のマーカー81がほぼ直線上となるように配置されている。そして、マーカー81が配置されたこの領域はステント80として開く領域であり、方向としては難変形側となっている。このため、造影像(例えば、X線造影像)により、ステントの全体形状を確認した上で、マーカー81による破線状の造影像を確認することにより、その破線状の造影像の中央部がステント外縁造影像より外側に突出する方向に易変形であり、その逆である破線状の造影像の中央部がステント外縁造影像より内側に変形する方向には難変形であることを確認することができる。また、マーカー81の正面形態を確認することにより、その手前側もしくは奥側のどちらかに易変形であることを確認できる。前者の造影像により、ステントの変形方向をさらに後者の造影像を合わせて確認することにより、確実に、ステントの変形方向性を確認することができる。なお、変形方向性確認用造影部を構成する造影マーカーの配置部位は、ステント80において備える領域に限定されるものではなく、第1の連結部3aの易変形部側と第2の連結部3bの易変形部側との間となる軸方向領域内に設けてもよい。
そして、このステント80では、マーカー81は、軸方向の一つおきの環状体2の他端側屈曲部に設けられている。また、ステント80の一端部を形成する環状体の一端側屈曲部4にも設けられている。なお、マーカーの配置形態は、このようなものに限定されるものではなく、すべての環状体2に設けてもよい。マーカー81としては、X線造影性マーカーであることが好ましい。また、マーカーは、ステント80のように、ステントの一端および他端に少なくとも備えることが好ましい。このようにすることにより、ステントの端部の位置確認が容易となる。
そして、このステント80では、マーカー81は、図23に示すように、ステント1に形成された小開口部82を造影性材料製マーカーにより閉塞するようにステントに固定されている。このようなマーカーは、例えば、ステントに形成された小開口部82に、この小開口より若干小さい造影性材料により形成した円盤状部材を配置し両面より押圧してかしめることにより取り付けることができる。なお、マーカーの形状および装着形態としては、 上記のようなものに限定されない。例えば、造影性物質をステントの外面に被覆すること、また造影性物質により形成された線材を巻き付けたもの、さらには、線造影性物質により形成されたリング状部材を取り付けたものなどであってもよい。なお、マーカー の形成材料としては、例えば、金、白金、タングステンあるいはそれらの合金、あるいは銀−パラジウム合金等が好適である。
そして、この実施例のステント80では、マーカー装着用の小開口部82は、それが配置される屈曲部より突出するものとなっている。このため、小開口部82は、隣り合う環状体と近接するため、このステント80のように、開く側の領域に配置することが好ましい。このようにすることにより、このステントは、変形時の離間する部分(開く部分)における拡張力の低下が少なく、良好な拡張力を発揮する。
そして、本発明のステントとしては、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、ステントの内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張するいわゆるバルーン拡張型ステントであることが好ましい。
バルーン拡張型ステントにおけるステントの形成材料は、ある程度の生体適合性を有するものが好ましい。ステントの形成材料としては、例えば、ステンレス鋼、タンタルもしくはタンタル合金、プラチナもしくはプラチナ合金、金もしくは金合金、コバルトベース合金等が考えられる。またステント形状を作製した後に貴金属メッキ(金、プラチナ)をしてもよい。ステンレス鋼としては、最も耐腐食性のあるSUS316Lが好適である。
また、ステントは、面取りされていることが好ましい。ステントの面取り方法としては、ステントを最終形状に形成した後、化学研磨、電解研磨もしくは機械研磨することにより行うことができる。化学研磨としては、ステンレス化学研磨液に浸漬することにより行うことが好ましい。ステンレス化学研磨液としては、ステンレスを溶解できるものであればよく、例えば、塩酸と硝酸からなる混合液を基本成分とし、これに、溶解速度調整、平滑化および光沢性付与のための有機硫黄化合物および界面活性剤を添加したものが好ましい。
さらに、ステントの最終形状を作製した後、焼きなましすることが好ましい。焼きなましを行うことにより、ステント全体の柔軟性および可塑性が向上し、屈曲した血管内での留置性が良好となる。焼きなましを行わない場合に比べて、ステントを拡張した後の拡張前形状に復元しようとする力、特に、屈曲した血管部位で拡張した時に発現する直線状に復帰しようとする力が減少し、屈曲した血管内壁に与える物理的な刺激が減少し、再狭窄の要因を減少させることができる。焼きなましは、ステント表面に酸化被膜が形成されないように、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素と水素の混合ガス)にて、900〜1200℃に加熱した後、ゆっくりと冷却することにより行うことが好ましい。
また、本発明のステントとしては、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するいわゆる自己拡張型ステントであってもよい。そして、自己拡張型ステントとしても、上述したすべての実施例のステントの形態を用いることができる。
自己拡張型ステントの構成材料としては、超弾性金属が好適である。超弾性金属としては、超弾性合金が好適に使用される。ここでいう超弾性合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なくとも生体温度(37℃付近)で超弾性を示すものである。特に好ましくは、49〜53原子%NiのTi−Ni合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be,Si,Sn,Al,Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等の超弾性金属体が好適に使用される。特に好ましくは、上記のTi−Ni合金である。また、Ti−Ni合金の一部を0.01〜10.0%Xで置換したTi−Ni−X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,Nb,W,Bなど)とすること、またはTi−Ni合金の一部を0.01〜30.0%原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、また、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。また、上記のTi−Ni−X合金を用いて冷間加工率および/または最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。使用される超弾性合金の座屈強度(負荷時の降伏応力)は、5〜200kg/mm(22℃)、より好ましくは、8〜150kg/mm、復元応力(除荷時の降伏応力)は、3〜180kg/mm(22℃)、より好ましくは、5〜130kg/mmである。ここでいう超弾性とは、使用温度において通常の金属が塑性変形する領域まで変形(曲げ、引張り、圧縮)させても、変形の解放後、加熱を必要とせずにほぼ圧縮前の形状に回復することを意味する。
そして、上述したすべての実施例のステントにおいて、ステントは、非拡張時(または圧縮時)の直径が、0.8〜1.8mm程度が好適であり、特に、0.9〜1.4mmがより好ましい。また、ステントの非拡張時(または非圧縮時)の長さは、9〜40mm程度が好適である。また、1つの波状環状体の長さは、0.7〜2.0mm程度が好適である。また、1つの波状環状体の一端側および他端側屈曲部数は、4〜8が好ましく、特に、5〜7が好ましい。また、環状体の数としては、4〜20が好適である。また、ステントの成形時(圧縮前)の直径は、1.5〜3.5mm程度が好適であり、特に、2.0〜3.0mmがより好ましい。さらに、ステントの肉厚としては、0.05〜0.15mm程度が好適であり、特に、0.08〜0.12mmが好適であり、線状構成要素の幅は、0.07〜0.15mm程度が好適であり、特に、0.08〜0.13mmが好適である。
次に、本発明の生体器官拡張器具を図面に示す実施例を用いて説明する。
図25は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の正面図である。図26は、図25に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大図である。図27は、図25に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大断面図である。図28は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の作用を説明するための説明である。
本発明の生体器官拡張器具100は、図25に示すように、チューブ状のシャフト本体部102と、シャフト本体部102の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーン103と、折り畳まれた状態のバルーン103を被包するように装着され、バルーン103の拡張により拡張されるステント1とを備える。
そして、ステント1としては、上述したステント1ならびに上述したすべての実施例のステントを用いることができる。そして、本発明の生体器官拡張器具は、血管拡張器具であることが好ましい。
この実施例の生体器官拡張器具100は、上述したステント1と、ステント1が装着されたチューブ状の生体器官拡張器具本体101とからなる。
生体器官拡張器具本体101は、チューブ状のシャフト本体部102と、シャフト本体部の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーン103とを備え、ステント1は、折り畳まれた状態のバルーン103を被包するように装着され、かつバルーン103の拡張により拡張されるものである。
ステント1としては、上述したすべての実施例のステントを用いることができる。なお、ここで使用されるステントは、生体内管腔への挿入のための直径を有し、管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能ないわゆるバルーン拡張型ステントが用いられる。
この実施例の生体器官拡張器具100では、図25に示すように、シャフト本体部102は、シャフト本体部102の先端にて一端が開口し、シャフト本体部102の後端部にて他端が開口するガイドワイヤールーメン115を備えている。
この生体器官拡張器具本体101は、シャフト本体部102と、シャフト本体部102の先端部に固定されたステント拡張用バルーン103とを備え、このバルーン103上にステント1が装着されている。シャフト本体部102は、内管112と外管113と分岐ハブ110とを備えている。
内管112は、図27に示すように、内部にガイドワイヤーを挿通するためのガイドワイヤールーメン115を備えるチューブ体である。内管112としては、長さは、100〜2500mm、より好ましくは、250〜2000mm、外径が、0.1〜1.0mm、より好ましくは、0.3〜0.7mm、肉厚10〜250μm、より好ましくは、20〜100μmのものである。そして、内管112は、外管113の内部に挿通され、その先端部が外管113より突出している。この内管112の外面と外管113の内面によりバルーン拡張用ルーメン116が形成されており、十分な容積を有している。外管113は、図27に示すように、内部に内管112を挿通し、先端が内管112の先端よりやや後退した部分に位置するチューブ体である。
外管113としては、長さは、100〜2500mm、より好ましくは、250〜2000mm、外径が、0.5〜1.5mm、より好ましくは、0.7〜1.1mm、肉厚25〜200μm、より好ましくは、50〜100μmのものである。
この実施例の生体器官拡張器具100では、外管113は、先端側外管113aと本体側外管113bにより形成され、両者が接合されている。そして、先端側外管113aは、本体側外管113bとの接合部より先端側の部分において、テーパー状に縮径し、このテーパー部より先端側が細径となっている。
先端側外管113aの細径部での外径は、0.50〜1.5mm、好ましくは0.60〜1.1mmである。また、先端側外管113aの基端部および本体側外管113bの外径は、0.75〜1.5mm、好ましくは0.9〜1.1mmである。
そして、バルーン103は、図26および図27に示すように、先端側接合部103aおよび後端側接合部103bを有し、先端側接合部103aが内管112の先端より若干後端側の位置に固定され、後端側接合部103bが外管の先端に固定されている。また、バルーン103は、基端部付近にてバルーン拡張用ルーメン116と連通している。
内管112および外管113の形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用でき、好ましくは上記の熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、ポリオレフィンである。
バルーン103は、図27に示すように、折り畳み可能なものであり、拡張させない状態では、内管112の外周に折り畳まれた状態となることができるものである。バルーン103は、図28に示すように、装着されるステント1を拡張できるようにほぼ同一径の筒状部分(好ましくは、円筒部分)となった拡張可能部を有している。略円筒部分は、完全な円筒でなくてもよく、多角柱状のものであってもよい。そして、バルーン103は、上述のように、先端側接合部103aが内管112にまた後端側接合部103bが外管113の先端に接着剤または熱融着などにより液密に固着されている。また、このバルーン103では、拡張可能部と接合部との間がテーパー状に形成されている。
バルーン103は、バルーン103の内面と内管112の外面との間に拡張空間103cを形成する。この拡張空間103cは、後端部ではその全周において拡張用ルーメン116と連通している。このように、バルーン103の後端は、比較的大きい容積を有する拡張用ルーメンと連通しているので、拡張用ルーメン116よりバルーン内への拡張用流体の注入が確実である。
バルーン103の形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアリレーンサルファイド(例えば、ポリフェニレンサルファイド)等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。特に、延伸可能な材料であることが好ましく、バルーン103は、高い強度および拡張力を有する二軸延伸されたものが好ましい。
バルーン103の大きさとしては、拡張されたときの円筒部分(拡張可能部)の外径が、2〜4mm、好ましくは2.5〜3.5mmであり、長さが10〜50mm、好ましくは20〜40mmである。また、先端側接合部103aの外径が、0.9〜1.5mm、好ましくは1〜1.3mmであり、長さが1〜5mm、好ましくは1〜1.3mmである。また、後端側接合部103bの外径が、1〜1.6mm、好ましくは1.1〜1.5mmであり、長さが1〜5mm、好ましくは、2〜4mmである。
そして、この生体器官拡張器具100は、図27に示すように、ステント1の易屈曲方向(または難屈曲方向)を造影像を用いて確認するための屈曲方向確認用造影部を備えていることが好ましい。また、この生体器官拡張器具100は、拡張されたときの円筒部分(拡張可能部)の両端となる位置のシャフト本体部の外面に固定された2つのX線造影性部材117、118を備えている。なお、ステント1の中央部分の所定長の両端となる位置のシャフト本体部102(この実施例では、内管112)の外面に固定された2つのX線造影性部材を備えるものとしてもよい。さらに、ステントの中央部となる位置のシャフト本体部の外面に固定された単独のX線造影性部材を設けるものとしてもよい。
X線造影性部材117、118は、所定の長さを有するリング状のもの、もしくは線状体をコイル状に巻き付けたものなどが好適であり、形成材料は、例えば、金、白金、タングステンあるいはそれらの合金、あるいは銀−パラジウム合金等が好適である。そして、X線造影性部材117は、拡張器具100の軸方向に延びる半筒状部117aを備えている。同様に、X線造影性部材118は、拡張器具100の軸方向に延びる半筒状部118aを備えている。特に、この実施例の生体器官拡張器具100では、図27に示すように、X線造影性部材117の半筒状部117aとX線造影性部材118の半筒状部118aは、内管112の周方向のほぼ同じ領域を被包するものとなっている。具体的は、半筒状部117aと半筒状部118aは、ほぼ同じ形状を備え、かつ向かい合うように形成されている。そして、ステント1は、バルーン103上に、図27に示すように、X線造影性部材117の半筒状部117aとX線造影性部材118の半筒状部118aの底面側に易変形性方向(図27におけるX方向)となるように装着される。これにより、生体器官拡張器具100の生体内への挿入時に、造影像(例えば、X線造影像)にて、図27のようなL型と反転L型が向かい合う形状を確認することができ、この部分を湾曲した生体器官にその湾曲形状に対応するように配置することができる。
内管112と外管113との間(バルーン拡張用ルーメン116内)には、線状の剛性付与体(図示せず)が挿入されていてもよい。剛性付与体は、生体器官拡張器具100の可撓性をあまり低下させることなく、屈曲部位での生体器官拡張器具100の本体部102の極度の折れ曲がりを防止するとともに、生体器官拡張器具100の先端部の押し込みを容易にする。剛性付与体の先端部は、他の部分より研磨などの方法により細径となっていることが好ましい。また、剛性付与体は、細径部分の先端が、外管113の先端部付近まで延びていることが好ましい。剛性付与体としては、金属線であることが好ましく、線径0.05〜1.50mm、好ましくは0.10〜1.00mmのステンレス鋼等の弾性金属、超弾性合金などであり、特に好ましくは、ばね用高張力ステンレス鋼、超弾性合金線である。
この実施例の生体器官拡張器具100では、図25に示すように、基端に分岐ハブ110が固定されている。分岐ハブ110は、ガイドワイヤールーメン115と連通しガイドワイヤーポートを形成するガイドワイヤー導入口109を有し、内管112に固着された内管ハブと、バルーン拡張用ルーメン116と連通しインジェクションポート111を有し、外管113に固着された外管ハブとからなっている。そして、外管ハブと内管ハブとは、固着されている。この分岐ハブ110の形成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。
なお、生体器官拡張器具の構造は、上記のようなものに限定されるものではなく、生体器官拡張器具の中間部分にガイドワイヤールーメンと連通するガイドワイヤー挿入口を有するものであってもよい。
次に、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具を図面に示す実施例を用いて説明する。
図29は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の部分省略正面図である。図30は、図29に示した生体器官拡張器具の先端部付近の拡大縦断面図である。
この実施例の生体器官拡張器具200は、シース202と、シース202の先端部内に収納されたステント203と、シース202内を摺動可能に挿通し、ステント203をシース202の先端より放出するための内管204とを備える。
この実施例の生体器官拡張器具200では、ステント203として、円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能である上述した自己拡張型ステントが使用される。
この実施例の生体器官拡張器具200は、図29に示すように、シース202、自己拡張型ステント203、内管204を備えている。
シース202は、図29および図30に示すように、管状体であり、先端および後端は開口している。先端開口は、ステント203を体腔内の狭窄部に留置する際、ステント203の放出口として機能する。ステント203は、シース202を基端側にスライドさせることにより、この先端開口より放出され、応力負荷が解除されて拡張し圧縮前の形状に復元する。シース202の先端部は、ステント203を内部に収納するステント収納部位222となっている。また、シース202は、収納部位222より基端側に設けられた側孔221を備えている。側孔221は、ガイドワイヤーを外部に導出するためのものである。
シース202の外径としては、1.0〜4.0mm程度が好ましく、特に、1.5〜3.0mmが好ましい。また、シース202の内径としては、1.0〜2.5mm程度が好ましい。シース202の長さは、300〜2500mm、特に、300〜2000mm程度が好ましい。
また、シース202の基端部には、図29に示すように、シースハブ206が固定されている。シースハブ206は、シースハブ本体と、シースハブ本体内に収納され、内管204を摺動可能、かつ液密に保持する弁体(図示せず)を備えている。また、シースハブ206は、シースハブ本体の中央付近より斜め後方に分岐するサイドポート261を備えている。また、シースハブ206は、内管204の移動を規制する内管ロック機構を備えていることが好ましい。
内管204は、図29および図30に示すように、シャフト状の内管本体部240と、内管本体部240の先端に設けられ、シース202の先端より突出する先端部249と、内管本体部240の基端部に固定された内管ハブ207とを備える。
先端部249は、シース202の先端より突出し、かつ、図30に示すように、先端に向かって徐々に縮径するテーパー状に形成されていることが好ましい。このように形成することにより、狭窄部への挿入を容易なものとする。また、内管204は、ステント203よりも先端側に設けられ、シースの先端方向への移動を阻止するストッパーを備えることが好ましい。先端部249の基端は、シース202の先端と当接可能なものとなっており、上記のストッパーとして機能している。
また、内管204は、図30に示すように、自己拡張型ステント203を保持するための2つの突出部243,245を備えている。突出部243,245は、環状突出部であることが好ましい。内管204の先端部249の基端側には、ステント保持用突出部243が設けられている。そして、このステント保持用突出部243より所定距離基端側には、ステント押出用突出部245が設けられている。これら2つの突出部243,245間にステント203が配置される。これら突出部243,245の外径は、後述する圧縮されたステント203と当接可能な大きさとなっている。このため、ステント203は、突出部243により先端側への移動が規制され、突出部245により基端側への移動が規制される。さらに、内管204が先端側に移動すると、突出部245によりステント203は先端側に押され、シース202より排出される。さらに、ステント押出用突出部245の基端側は、図30に示すように、基端側に向かって徐々に縮径するテーパー部246となっていることが好ましい。同様に、ステント保持用突出部243の基端側は、図30に示すように、基端側に向かって徐々に縮径するテーパー部244となっていることが好ましい。このようにすることにより、内管204をシース202の先端より突出させ、ステント203をシースより放出した後に、内管204をシース202内に再収納する際に、突出部がシースの先端に引っかかることを防止する。また、突出部243,245は、X線造影性材料により別部材により形成されていてもよい。これにより、X線造影下でステントの位置を的確に把握することができ、手技がより容易なものとなる。
そして、この生体器官拡張器具200は、図30に示すように、ステント203の易屈曲方向を造影像を用いて確認するための屈曲方向確認用造影部を備えていることが好ましい。この生体器官拡張器具200は、内管204の外面に固定された2つのX線造影性部材247、248を備えている。X線造影性部材247、248は、所定の長さを有するリング状のもの、もしくは線状体をコイル状に巻き付けたものなどが好適であり、形成材料は、例えば、金、白金、タングステンあるいはそれらの合金、あるいは銀−パラジウム合金等が好適である。そして、X線造影性部材147は、拡張器具200の軸方向に延びる半筒状部247aを備えている。同様に、X線造影性部材248は、拡張器具200の軸方向に延びる半筒状部248aを備えている。特に、この実施例の生体器官拡張器具200では、図30に示すように、X線造影性部材247の半筒状部247aとX線造影性部材248の半筒状部248aは、内管240の周方向のほぼ同じ領域を被包するものとなっている。具体的は、半筒状部247aと半筒状部248aは、ほぼ同じ形状を備え、かつ向かい合うように形成されている。そして、ステント203は、図30に示すように、X線造影性部材247の半筒状部247aとX線造影性部材248の半筒状部248aの底面側に易変形性方向(図30におけるX方向)となるように、シース202内に収納されている。これにより、生体器官拡張器具200の生体内への挿入時に、造影像(例えば、X線造影像)にて、図30のようなL型と反転L型が向かい合う形状を確認することにより、その両者間の下方にステントが易変形性を有することが確認でき、この部分を湾曲した生体器官にその湾曲形状に対応するように配置することができる。
内管204は、図30に示すように、先端より少なくともシース202のステント収納部位222より基端側まで延びるルーメン241と、ルーメン241とステント収納部位より基端側において連通する内管側孔242とを備えている。この実施例の生体器官拡張器具200では、ルーメン241は、側孔242形成部位にて終端している。ルーメン241は、生体器官拡張器具200の先端よりガイドワイヤーの一端を挿入し、内管内を部分的に挿通させた後、内管側面より外部に導出するためのものである。そして、内管側孔242は、シース側孔221より、生体器官拡張器具200の若干先端側に位置している。内管側孔242の中心は、シース側孔221の中心より、0.5〜10mm先端側となっていることが好ましい。
なお、生体器官拡張器具としては、上述のタイプのものに限定されるものではなく、上記のルーメン241は、内管の基端まで延びるものであってもよい。この場合には、シースの側孔221は不要となる。
そして、内管204は、シース202内を貫通し、シース202の後端開口より突出している。内管204の基端部には、図29に示すように、内管ハブ207が固着されている。
図1は、本発明の一実施例の生体内留置用ステントの正面図である。 図2は、図1の生体内留置用ステントの展開図である。 図3は、図1の生体内留置用ステントの拡張時の正面図である。 図4は、図1の生体内留置用ステントの拡張時の展開図である。 図5は、図4の部分拡大図である。 図6は、図3のA−A線拡大断面図である。 図7は、図4の変形方向規制連結部付近の拡大図である。 図8は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの正面図である。 図9は、図8の生体内留置用ステントの展開図である。 図10は、図8の生体内留置用ステントの拡張時の正面図である。 図11は、図8の生体内留置用ステントの拡張時の展開図である。 図12は、図11の部分拡大図である。 図13は、図11の変形方向規制連結部付近の拡大図である。 図14は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。 図15は、図14の部分拡大図である。 図16は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。 図17は、図16の生体内留置用ステントの拡張時の正面図である。 図18は、図17の生体内留置用ステントの拡張時の展開図である。 図19は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。 図20は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。 図21は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。 図22は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。 図23は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの正面図である。 図24は、図23の生体内留置用ステントの拡張時の展開図である。 図25は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の正面図である。 図26は、図25に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大図である。 図27は、図25に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大断面図である。 図28は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の作用を説明するための説明である。 図29は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の部分省略正面図である。 図30は、図29に示した生体器官拡張器具の先端部付近の拡大縦断面図である。
符号の説明
1 生体内留置用ステント
2 環状体
3 変形方向規制連結部

Claims (20)

  1. 線状構成要素により環状に形成された複数の環状体が軸方向に配列されるとともに、隣り合う環状体が連結部により連結された生体内留置用ステントであって、
    前記ステントは、該ステントの中心軸に対して、第1の方向には易変形であり、該第1の方向と反対方向には難変形である変形方向性を有し、かつ、前記ステントは、第1の周方向に所定長延びかつ先端開口を有するスリットと該スリットの閉塞基端部を形成する易変形部とを有する第1の連結部と、該第1の連結部と前記ステントの中心軸を介してほぼ向かい合う位置に設けられ、かつ、第1の周方向と反対方向に所定長延びかつ先端開口を有するスリットと該スリットの閉塞基端部を形成する易変形部とを有する第2の連結部のみから構成される変形方向規制連結部を複数備え、さらに、すべての前記第1の連結部は、前記ステントの軸方向に平行かつほぼ直線状となるようにもしくは前記ステントの軸方向に平行な所定幅内に位置し、かつ、すべての前記第2の連結部は、前記ステントの軸方向に平行かつほぼ直線状となるようにもしくは前記ステントの軸方向に平行な所定幅内に位置するように配置されていることを特徴とする生体内留置用ステント。
  2. 前記第1の連結部および前記第2の連結部は、前記易変形部にて前記スリットが開く方向に変形可能であり、かつ、逆方向には、前記スリットを形成する部位が当接することにより、実質的に変形不能である請求項1に記載の生体内留置用ステント。
  3. 前記第1の連結部の前記スリットの前記先端開口と前記第2の連結部の前記スリットの前記先端開口との間に位置する部分の前記環状体の前記線状構成要素は、前記第1の連結部の前記易変形部と前記第2の連結部の前記易変形部との間に位置する部分の前記環状体の線状構成要素に比べて、隣り合う環状体方向に長く延びている請求項1または2に記載の生体内留置用ステント。
  4. 前記第1の連結部の前記易変形部と、前記第2の連結部の前記易変形部は、前記ステントの前記中心軸に対してほぼ向かい合うものとなっている請求項1ないし3のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
  5. 前記各環状体は、前記ステントの軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部および前記ステントの軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部と、前記各一端側屈曲部と前記各他端側屈曲部を繋ぐ複数の連接線状部とを有する環状に連続した無端の環状体である請求項1ないし4のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
  6. 前記第1の連結部の前記スリットの前記先端開口と前記第2の連結部の前記スリットの前記先端開口との間に位置する前記環状体の前記屈曲部は、前記第1の連結部の前記易変形部と前記第2の連結部の前記易変形部との間に位置する前記環状体の前記屈曲部に比べて、隣り合う環状体方向に位置するものとなっている請求項5に記載の生体内留置用ステント。
  7. 前記第1の連結部および前記第2の連結部は、一方の前記環状体の前記一端側屈曲部もしくはその付近より他方の前記環状体方向に延びかつ、前記環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第1の拡幅部と、他方の前記環状体の前記他端側屈曲部もしくはその付近より一方の前記環状体方向に延びかつ、前記環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第2の拡幅部とを備え、前記第1の拡幅部と前記第2の拡幅部間に前記スリットを有し、前記易変形部は、前記第1の拡幅部と前記第2の拡幅部の端部間を連結するものである請求項5または6に記載の生体内留置用ステント。
  8. 前記第1の拡幅部および前記第2の拡幅部は、前記易変形部と反対方向に延びる周方向延出部を備えている請求項7に記載の生体内留置用ステント。
  9. 前記第1の連結部および前記第2の連結部は、一方の前記環状体の前記一端側屈曲部付近より他方の前記環状体方向に円弧状もしくは前記ステントの中心軸に対して斜めに延びかつ、前記環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第1の拡幅部と、他方の前記環状体の前記他端側屈曲部付近より一方の前記環状体方向に円弧状もしくは前記ステントの中心軸に対して斜めに延びかつ、前記環状体を構成する線状構成要素より幅の広い第2の拡幅部とを備え、前記第1の拡幅部と前記第2の拡幅部間に前記スリットを有し、前記第1の拡幅部と前記第2の拡幅部は、前記易変形部を有する湾曲連結部により連結されている請求項5または6に記載の生体内留置用ステント。
  10. 前記連結部は、隣り合う一方の前記環状体の前記一端側屈曲部もしくはその付近と他方の前記環状体の前記他端側屈曲部もしくはその付近とを連結するものである請求項5ないし9のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
  11. 前記連結部は、すべて前記変形方向規制連結部である請求項1ないし10のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
  12. 少なくとも前記ステントの両端部領域に位置する前記連結部は、前記変形方向規制連結部である請求項1ないし10のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
  13. 少なくとも前記ステントの中央部領域に位置する前記連結部は、前記変形方向規制連結部である請求項1ないし10のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
  14. 前記ステントの軸方向に一つおきの前記連結部が、前記変形方向規制連結部である請求項1ないし10のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
  15. 前記ステントは、該ステントの易変形方向または難変形方向を造影像を用いて確認するための変形方向性確認用造影マーカーを備えている請求項1ないし14のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
  16. 前記ステントは、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、該ステントの内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張するものである請求項1ないし15のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
  17. チューブ状のシャフト本体部と、該シャフト本体部の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーンと、折り畳まれた状態の前記バルーンを被包するように装着され、かつ該バルーンの拡張により拡張される請求項16に記載のステントとを備えることを特徴とする生体器官拡張器具。
  18. 前記ステントは、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものである請求項1ないし15のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
  19. シースと、該シースの先端部内に収納された請求項18のステントと、該シース内を摺動可能に挿通し、前記ステントを前記シースの先端より押し出すための内管とを備えることを特徴とする生体器官拡張器具。
  20. 前記生体器官拡張器具は、前記ステントの易変形方向または難変形方向を造影像を用いて確認するための変形方向性確認用造影部を備えている請求項17または19に記載の生体器官拡張器具。
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