JP5094980B2 - 生体器官拡張器具 - Google Patents

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Description

本発明は、血管、胆管、気管、食道、尿道、消化管その他の臓器などの生体内に形成された狭窄部または閉塞部に、ステントを留置するための生体器官拡張器具に関する。
従来より、血管、胆管、食道、気管、尿道、消化管その他の臓器などの生体管腔または体腔の狭窄部あるいは閉塞部にステントを留置して、管腔または体腔空間を確保する生体器官拡張器具が提案されている。
上記生体器官拡張器具を構成するステントとしては、機能および留置方法によって、バルーンエキスパンダブルステントとセルフエキスパンダブルステントとがある。
バルーンエキスパンダブルステントは、ステント自身に拡張機能はなく、ステントを目的部位に留置するには、例えばステントを目的部位まで挿入した後、ステント内にバルーンを位置させてバルーンを拡張させ、バルーンの拡張力によりステントを拡張(塑性変形)させ目的部位の内面に密着させて固定する。
このタイプのステントは上記のようなステントの拡張作業が必要であるが、収縮したバルーンにステントを直接取り付けて留置することもできるので、留置に関してはさほど問題がない。しかし、ステント自身に拡張力がないため、血管の圧力等によって経時的に径が小さくなり、再狭窄が生じる可能性が高い。
これに対して、セルフエキスパンダブルステントは、ステント自身が収縮および拡張機能を有している。このステントを目的部位に留置するためには、収縮させた状態にて目的部位に挿入した後、収縮状態の維持のために負荷した応力を除去する。例えば、目的部位の内径より小さい外径のシース内にステントを収縮させて収納し、このシースの先端を目的部位に到達させた後、ステントをシースより押し出す。押し出されたステントは、シースより解放されることにより応力負荷が解除され、収縮前の形状に復元し拡張する。これにより、目的部位の内面に密着し固定する。
このタイプのステントは、ステント自身が拡張力を有しているので、バルーンエキスパンダブルステントのような拡張作業は必要なく、血管の圧力等によって径が次第に小さくなり再狭窄を生じるといった問題もない。
そして、セルフエキスパンダブルステントは、バルーンエキスパンダブルステントより、一般的に正確に留置しにくいと言われている。その理由は、ステントを目的の狭窄部に配置した後は、バルーンの中に液体を注入するだけであるため、ステントの拡張時にステントが前後に動くことがない。一方、セルフエキスパンダブルステントのデリバリーシステムの構造は、内管と外管の間にステントを収納して拘束し、内管のステント基端側にステントの動きを規制する係止部を設け、外管を基端側に引くことで、ステントの拘束を解放して自己拡張させるものである。このとき外管の体腔内でのたるみや、外管と体腔若しくは外管を導入しているカテーテルとの摩擦、または、システムを体内に導入するためのイントロデューサーといわれるデバイスの弁との摩擦などに起因して、ステントは拡張するときに前進しやすいといわれている。
例えば、特許文献1(特表平11−503054号公報)では、3つの管状部材で構成されたシステムが提案されている。これは、内管と外管以外に最外管がある。ステントは内管と外管の間に収納拘束されており、最外管と内管が体外で固定されていて、動かない構造になっている。このように構成することで、最外管が体腔や弁との摩擦に関係するが、拡張するためには外管を引くだけであるから、ステントの位置移動が極めて少ない。
また、特許文献2(特開平8−252321号公報)を本件出願人が提案している。このセルフエキスパンダブルステントのデリバリーシステムにおいても、ステント拡張時(放出時)におけるステントの動きは極めて少ない。
特表平11−503054号公報 特開平8−252321号公報
セルフエキスパンダブルステントのデリバリーシステムとしては、上述の特許文献1および2のように、基端より先端まで延びるガイドワイヤルーメンが延びるオーバーザワイヤタイプのものとなっている。これは、ステントを放出するための構造上、外側シースを基端側の移動させることが必要であることに起因する。
ステントの生体内留置術を行う場合には、ステントデリバリーシステムとして、外径、ステントの拡張時(放出後)外径などが異なる複数のものを準備する。そして、第1のステントデリバリーシステムの血管内への挿入後に、他のシステムに交換する場合がある。オーバーザワイヤタイプは、ガイドワイヤルーメンが最先端から最後端まで貫通しており、システムを体内に導入するためにはシステム全長の2倍以上のガイドワイヤが必要になる。このためシステムの交換に時間がかかる。
また、最近では、より末梢側へのステントの留置が求められるようになってきており、より細径のステントデリバリーシステムが要望されてきている。特許文献1のものでは、3本の管状部材を用いているため、細径化は困難である。
本発明の目的は、セルフエキスパンダブルステントを用いる生体器官拡張器具であって、ステント留置作業時において、他の生体器官拡張器具に交換する作業が容易に行えるとともに、より細径化可能な生体器官拡張器具を提供するものである。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) ガイドワイヤルーメンを有する先端側チューブと、該先端側チューブの基端部に先端部が固定された基端側チューブと、前記先端側チューブの先端側を被包しかつ先端側チューブの基端方向に摺動可能であるステント収納用筒状部材と、該ステント収納用筒状部材内に収納されたステントと、前記ステント収納用筒状部材に一端部が固定され、前記基端側チューブ内を延びるとともに該基端側チューブの基端側に牽引することにより、前記ステント収納用筒状部材を基端側に移動させるための牽引部材とを備える生体器官拡張器具であって、
前記先端側チューブは、該先端側チューブの基端側にて開口し前記ガイドワイヤルーメンと連通する基端側開口と、該先端側チューブの先端側に位置し、前記ステント収納用筒状部材内に収納された前記ステントの基端と当接し、該ステントの基端側への移動を規制するステント係止部とを備えるものであり、前記ステントは、略円筒形状に形成され、中心軸方向に圧縮された状態にて前記ステント収納用筒状部材内に収納され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものであり、
前記生体器官拡張器具は、前記先端側チューブの基端側を被包し、基端部にて前記先端側チューブの基端部および前記基端側チューブの先端部と固定された中間チューブを備え、前記中間チューブの先端部は、前記ステント収納用筒状部材の基端内部に侵入しており、前記牽引部材の牽引により、前記中間チューブの外側を前記ステント収納用筒状部材がスライドするものとなっており、
さらに、前記基端側チューブの外径は、前記生体器官拡張器具の前記基端側チューブより先端側における最大径部分の外径より小さいものとなっている生体器官拡張器具。
(2) 前記先端側チューブは、前記ステントの先端より先端側に設けられたステント移動抑制用突出部を備えており、さらに、該ステント移動抑制突出部の先端側は、先端に向かって徐々に縮径するテーパー部となっている(1)に記載の生体器官拡張器具。
) 前記生体器官拡張器具は、前記先端側チューブの外面側に位置する突起部を有しており、前記ステント収納用筒状部材は、基端より先端側に延びかつ前記突起部が進行可能なスリットを備えている(1)または(2)に記載の生体器官拡張器具。
) 前記基端側チューブの中心軸は、前記先端側チューブの中心軸より、前記基端側開口から離間する方向にずれている(1)ないし()のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
) 前記牽引部材は、前記基端側チューブの基端より延出している(1)ないし()のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
) 前記牽引部材は、前記基端側チューブの基端より延出し、かつ、延出した部分に固定された牽引操作用部材を備えている(1)ないし()のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
) 前記基端側チューブは、液密状態にて前記牽引部材が貫通するシール部材を備えている(1)ないし()のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
) 前記基端側チューブの基端部には、前記牽引部材を摺動可能、かつ液密に保持する弁体を備えたハブが設けられている(1)ないし()のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
) 前記生体器官拡張器具は、前記牽引部材を前記基端側チューブに解除可能に固定する固定手段を有している(1)ないし()のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(10) 前記生体器官拡張器具は、前記ステント収納用筒状部材の基端側への移動距離を規制する移動距離規制部を備えている(1)ないし()のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(1前記牽引部材の前記一端部は、前記中間チューブの先端より先端側にて前記ステント収納用筒状部材と固定されており、さらに、前記牽引部材は、該中間チューブと前記先端側チューブ間を通り、前記基端側チューブ内へ延びるものとなっている(1)ないし(1)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(1) 前記先端側チューブは、先端側に形成されたステント配置用小径部を備えており、前記ステント係止部は、該ステント配置用小径部の基端にて構成されている(1ないし1のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(1) 前記牽引部材は、2本設けられている(1)ないし(1)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(14) 前記基端側チューブの外径は、前記先端側チューブと前記基端側チューブとの固定部位における外径より小さいものである(1)ないし(1)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(1) 前記基端側チューブの外径は、前記ステント収納用筒状部材の外径より小さいものである(1)ないし(1)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
本発明の生体器官拡張器具は、ガイドワイヤルーメンを有する先端側チューブと、該先端側チューブの基端部に先端部が固定された基端側チューブと、前記先端側チューブの先端側を被包しかつ先端側チューブの基端方向に摺動可能であるステント収納用筒状部材と、該ステント収納用筒状部材内に収納されたステントと、前記ステント収納用筒状部材に一端部が固定され、前記基端側チューブ内を延びるとともに該基端側チューブの基端側に牽引することにより、前記ステント収納用筒状部材を基端側に移動させるための牽引部材とを備える生体器官拡張器具であって、前記先端側チューブは、該先端側チューブの基端側にて開口し前記ガイドワイヤルーメンと連通する基端側開口と、該先端側チューブの先端側に位置し、前記ステント収納用筒状部材内に収納された前記ステントの基端と当接し、該ステントの基端側への移動を規制するステント係止部とを備えるものであり、前記ステントは、略円筒形状に形成され、中心軸方向に圧縮された状態にて前記ステント収納用筒状部材内に収納され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものであり、さらに、前記基端側チューブの外径は、前記生体器官拡張器具の前記基端側チューブより先端側における最大径部分の外径より小さいものとなっている。
このため、セルフエキスパンダブルステントを用いる生体器官拡張器具であっても、基端側開口が器具の基端ではなく、先端側チューブの基端側にあるため、ステント留置作業時において、他の生体器官拡張器具に交換する作業が容易であり、さらに、基端側チューブの外径は、前記生体器官拡張器具の前記基端側チューブより先端側における最大径部分の外径より小さいため、基端側開口より基端側に延びるガイドワイヤを基端側チューブの側面に沿わせた状態においても生体器官拡張器具の基端側チューブより先端側における最大径部分の外径と同等程度のものとすることができ、細径の血管への挿入が可能である。
図1は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の部分省略正面図である。 図2は、図1に示した生体器官拡張器具の部分省略拡大外観図である。 図3は、図1に示した生体器官拡張器具の先端部付近の拡大断面図である。 図4は、図1に示した生体器官拡張器具の基端部付近の拡大断面図である。 図5は、本発明の生体器官拡張器具に用いられるステント収納用筒状部材の一例の外観図である。 図6は、図2のA−A線断面拡大図である。 図7は、図2のB−B線断面拡大図である。 図8は、本発明の生体器官拡張器具の他の実施例の基端部付近の拡大断面図である。 図9は、本発明の生体器官拡張器具の作用を説明するための説明図である。 図10は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の部分省略拡大外観図である。 図11は、図10に示した生体器官拡張器具の先端部付近の拡大断面図である。 図12は、図10に示した生体器官拡張器具の作用を説明するための説明図である。 図13は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の部分省略拡大外観図である。 図14は、図13のC−C線断面拡大図である。 図15は、図13のD−D線断面拡大図である。 図16は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の先端部の拡大外観図である。 図17は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の先端部の拡大外観図である。 図18は、図17に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大断面図である。 図19は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の先端部の拡大外観図である。 図20は、図19のE−E線断面図である。 図21は、図19のF−F線断面拡大図である。 図22は、図19のG−G線断面拡大図である。 図23は、本発明の生体器官拡張器具に使用する体腔内留置用ステントの一例の斜視図である。
本発明の生体器官拡張器具を図面に示した実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の部分省略正面図であり、図2は、図1に示した生体器官拡張器具の部分省略拡大外観図であり、図3は、図1に示した生体器官拡張器具の先端部付近の拡大断面図であり、図4は、図1に示した生体器官拡張器具の基端部付近の拡大断面図である。図5は、本発明の生体器官拡張器具に用いられるステント収納用筒状部材の一例の外観図である。図6は、図2のA−A線断面拡大図であり、図7は、図2のB−B線断面拡大図である。図8は、本発明の生体器官拡張器具の他の実施例の基端部付近の拡大断面図である。図9は、本発明の生体器官拡張器具の作用を説明するための説明図である。図23は、本発明の生体器官拡張器具に使用する体腔内留置用ステントの一例の斜視図である。
本発明の生体器官拡張器具1は、ガイドワイヤルーメン21を有する先端側チューブ2と、先端側チューブ2の基端部に先端部が固定された基端側チューブ4と、先端側チューブ2の先端側を被包しかつ先端側チューブ2の基端方向に摺動可能であるステント収納用筒状部材5と、ステント収納用筒状部材5内に収納されたステント3と、ステント収納用筒状部材5に一端部が固定され、基端側チューブ4内を延びるとともに基端側チューブの基端側に牽引することにより、ステント収納用筒状部材5を基端側に移動させるための牽引部材6とを備える。
そして、先端側チューブ2は、先端側チューブ2の基端側にて開口しガイドワイヤルーメン21と連通する基端側開口23と、先端側チューブ2の先端側に位置し、ステント収納用筒状部材5内に収納されたステント3の基端と当接し、ステント3の基端側への移動を規制するステント係止部22とを備える。ステント3は、略円筒形状に形成され、中心軸方向に圧縮された状態にてステント収納用筒状部材5内に収納され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものである。さらに、基端側チューブ4の外径は、生体器官拡張器具1の基端側チューブ4より先端側における最大径部分の外径より小さいものとなっている。
この実施例の生体器官拡張器具は、先端側チューブ2、基端側チューブ4、ステント収納用筒状部材5、ステント3および牽引部材6を備えている。
そして、この実施例の生体器官拡張器具1では、先端側チューブ2の基端側およびステント収納用筒状部材5の基端側を被包し、基端部にて先端側チューブ2の基端部および基端側チューブ4の先端部と固定された中間チューブ7を備えている。そして、この実施例の生体器官拡張器具1では、中間チューブ7は、ステント収納用筒状部材5の基端側への移動を規制することなく被包するものであり、牽引部材6の一端部は、中間チューブ7内にてステント収納用筒状部材と固定されており、牽引部材6は、中間チューブ7と先端側チューブ2間を通り、基端側チューブ4内へ延びるものとなっている。このようにすることより、牽引ワイヤの露出がない。
ステント収納用筒状部材5は、図1、図2、図3および図5に示すように所定長の管状体である。先端および後端は開口している。先端開口は、ステント3を体腔内の狭窄部に留置する際、ステント3の放出口として機能する。ステント3はこの先端開口より押し出されることにより応力負荷が解除されて拡張し圧縮前の形状に復元する。
ステント収納用筒状部材5の長さとしては、20mm〜400mm程度が好ましく、特に、30mm〜250mmが好ましい。また、外径としては、1.0〜4.0mm程度が好ましく、特に、1.5〜3.0mmが好ましい。また、ステント収納用筒状部材5の内径としては、1.0〜2.5mm程度が好ましい。そして、この実施例において用いられているステント収納用筒状部材5は、先端側であるステント収納部位が拡径部51となっており、この拡径部51に対して、基端側は小径部となっている。そして、拡径部の外径としては、1.0〜4.0mm程度が好ましく、特に、1.5〜3.0mmが好ましい。また、小径部の外径としては、1.0〜4.0mm程度が好ましく、特に、1.2〜2.8mmが好ましい。なお、ステント収納用筒状部材は、全体がほぼ同一外径のものであってもよい。
そして、ステント収納用筒状部材5は、図2、図3、図5および図6に示すように、基端より先端側に延びるスリット52を備えている。このスリット52には、後述する先端側チューブの外面に形成された突起部(この実施例では、牽引部材が貫通する管状部材8)が進行可能なものとなっている。そして、この実施例では、このスリットの先端側端部が、管状部材8に当接するまで、ステント収納用筒状部材5は、基端側に移動可能となっている。よって、スリット52は、ステント3を収納したステント収納用筒状部材5におけるステント3の基端からステント収納用筒状部材5の先端までの長さと同等もしくは若干長いものとなっている。
ステント収納用筒状部材5の形成材料としては、ステント収納用筒状部材に求められる物性(柔軟性、硬度、強度、滑り性、耐キンク性、伸縮性)を考慮して、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、PTFE、ETFE等のフッ素系ポリマー、さらには、熱可塑性エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、ナイロン系(例えば、ポリアミドエラストマー)、ウレタン系(例えば、ポリウレタンエラストマー)、ポリエステル系(例えば、ポリエチレンテレフタレートエラストマー)、オレフィン系(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)の中から適宜選択される。
さらに、ステント収納用筒状部材5の外面には、潤滑性を呈するようにするための処理を施すことが好ましい。このような処理としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティング、または固定する方法などが挙げられる。また、ステント収納用筒状部材5の内面に、ステント3の摺動性を良好なものにするため、上述のものをコーティング、または固定してもよい。
そして、ステント収納用筒状部材5の先端部には、ステント3が収納されている。ステント3は、いわゆるセルフエキスパンダブルステントである。具体的には、ステント3は、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものである。そして、中心軸方向に圧縮させた状態でステント収納用筒状部材5内に保持されている。よって、ステント3は自らの復元力によりステント収納用筒状部材5の内面を押圧する状態にてステント収納用筒状部材内に保持されている。また、ステント3は、後述するように、先端側チューブ2に設けられたステント係止部22により、基端側への移動が規制されている。
ステント3としては、上述したようないわゆるセルフエキスパンダブルステントであればどのようなものであってもよい。例えば、ステント3としては、図23(拡張して圧縮前の形状に復元した状態を示している)に示すような形状を有しているものが好適に使用できる。この例のステント3は、円筒状フレーム体30と、この円筒状フレーム体30を構成するフレーム36a,36bにより区画(囲撓)された開口34およびフレーム36aにより区画された切欠部35を有しており、フレーム体30は両端部33a,33bを有している。
ステントの形成材料としては、合成樹脂または金属が使用される。合成樹脂としては、ある程度の硬度と弾性を有するものが使用され、生体適合性合成樹脂が好ましい。具体的には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート),フッ素樹脂(例えば、PTFE、ETFE)、若しくは生体内吸収材料であるポリ乳酸、ポリグリコール酸、又はポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体などである。また、金属としても生体適合性を有するものが好ましく、例えば、ステンレス、タンタル、ニッケルチタン合金などがある。特に、超弾性金属が好ましい。ステント3は、全体において物性の急激な変更点が形成されることなく一体に形成されていることが好ましい。ステントは、例えば、留置される生体内部位に適合した外径を有する金属パイプを準備し、金属パイプの側面を、切削加工(例えば、機械式切削、レーザー切削)、化学エッチングなどにより部分的に除去して、側面に複数の切欠部または複数の開口を形成することにより作製される。
このステント3はフレーム体30の端部に切欠部35を有するので、ステント3の端部33a,33bの変形が容易となり、特に、端部の部分的変形が可能となり、留置される血管の変形時に対する応答が良好である。また、端部33は、複数のフレーム36aの端部により形成されているため、つぶれにくく、十分な強度を有する。また、両端部間には、フレーム36a,36bにより囲まれた開口34が形成されており、この開口34は、フレーム36aの変形により容易に変形する。このため、ステント3はその中央部(フレーム体30の中央部)での変形も容易である。なお、切欠部および開口は図示した形状および個数に限定されるものではなく、切欠部としては、3〜10個、開口としては、3〜10個程度が好適である。
フレーム体30は、外径が2.0〜30mm、好ましくは、2.5〜20mm、内径が1.4〜29mm、好ましくは1.6〜28mmのものであり、長さは、10〜150mm、より好ましくは15〜100mmである。
なお、ステントの形状は、図23に示すものに限られず、例えば両端部に台形状の切欠部が形成されるとともに、中央部にハニカム状に複数の六角形の開口が形成されているもの、また、両端部に長方形状の切欠部が形成され、中央部に複数の長方形状(切欠部の二倍の長さを有する)の開口が形成されているものなどであってもよい。さらに、ステント3の形状は、挿入時に縮径可能であり、かつ、体内放出時に拡径(復元)可能なものであればよく、上述の形状に限定されるものではない。例えば、コイル状のもの、円筒状のもの、ロール状のもの、異形管状のもの、高次コイル状のもの、板バネコイル状のもの、カゴまたはメッシュ状のものでもよい。
ステントを形成する超弾性金属としては、超弾性合金が好適に使用される。ここでいう超弾性合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なくとも生体温度(37℃付近)で超弾性を示すものである。特に好ましくは、49〜53原子%NiのTi−Ni合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be,Si,Sn,Al,Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等の超弾性金属体が好適に使用される。特に好ましくは、上記のTi−Ni合金である。また、Ti−Ni合金の一部を0.01〜10.0%Xで置換したTi−Ni−X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,Nb,W,Bなど)とすること、またはTi−Ni合金の一部を0.01〜30.0%原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、また、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。また、上記のTi−Ni−X合金を用いて冷間加工率および/または最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。
使用される超弾性合金の座屈強度(負荷時の降伏応力)は、5〜200kg/mm(22℃)、より好ましくは、8〜150kg/mm、復元応力(除荷時の降伏応力)は、3〜180kg/mm(22℃)、より好ましくは、5〜130kg/mmである。ここでいう超弾性とは、使用温度において通常の金属が塑性変形する領域まで変形(曲げ、引張り、圧縮)させても、変形の解放後、加熱を必要とせずにほぼ圧縮前の形状に回復することを意味する。
また、本発明の生体器官拡張器具に使用されるステントは、略円筒形状に形成された縮径可能なステント本体と、ステント本体の側面を封鎖する筒状カバー(図示せず)を備えるものであってもよい。
先端側チューブ2は、図1ないし図3に示すように、先端から基端まで貫通するガイドワイヤルーメン21を有するチューブ体であり、先端に固定された先端部材25により形成された先端部を有しているとともに、先端開口24を備えている。なお、先端部は、先端側チューブと一体に形成してもよい。そして、先端側チューブ2は、基端において、基端側チューブの先端に固定されている。また、先端側チューブ2の基端部(この実施例では基端)に、基端側開口23を備えている。また、先端側チューブ2の基端部は、図3に示すように、屈曲している。そして、基端側開口23は、図3および図7に示すように、基端側に向かって傾斜するように斜めに形成されている。これにより、ガイドワイヤの誘導を容易にしている。
先端側チューブ2は、図に示すように、先端から基端まで貫通したガイドワイヤルーメン21を有するチューブ体である。先端側チューブ2としては、外径が0.3〜2.0mm、好ましくは0.5〜1.5mmであり、内径が0.2〜1.5mm、好ましくは0.3〜1.2mm、長さが、20〜600mm、好ましくは30〜350mmである。
そして、先端部材25は、ステント収納用筒状部材5の先端より先端側に位置し、かつ、図3に示すように、先端に向かって徐々に縮径するテーパー状に形成されていることが好ましい。このように形成することにより、狭窄部への挿入を容易なものとする。また、先端側チューブ2は、ステント3よりも先端側に設けられ、ステント収納用筒状部材の先端方向への移動を阻止するストッパーを備えることが好ましい。この実施例では、先端部材25の基端は、ステント収納用筒状部材5の先端と当接可能なものとなっており、上記のストッパーとして機能している。
なお、先端部材(先端部)25の最先端部の外径は、0.5mm〜1.8mmであることが好ましい。また、先端部材(先端部)25の最大径部の外径は、0.8〜4.0mmであることが好ましい。さらに、先端側テーパー部の長さは、2.0〜20.0mmが好ましい。
また、先端側チューブ2は、図3に示すように、体腔内留置用ステント3の基端側への移動を規制するステント係止部22を備えている。係止部22は、環状突出部であることが好ましい。そして、このステント係止部22より先端側が、ステント収納部位となっている。この係止部22の外径は、圧縮されたステント3の基端と当接可能な大きさとなっている。そして、ステント収納用筒状部材5が、基端側に移動しても、係止部22によりステント3は位置を維持するため、ステント収納用筒状部材5より、結果的に排出される。
ステント係止部22の外径は、0.8〜4.0mmであることが好ましい。なお、ステント係止部22は、図示するような環状突出部が好ましいが、ステント3の移動を規制し、かつ、押出可能であればよく、例えば、先端側チューブ2に一体にあるいは別部材で設けられた1つまたは複数の突起であってもよい。また、ステント係止部22は、X線造影性材料により別部材により形成されていてもよい。これにより、X線造影下でステントの位置を適確に把握することができ、手技がより容易なものとなる。X線造影性材料としては、例えば、金、プラチナ、プラチナ−イリジウム合金、銀、ステンレス、白金、あるいはそれらの合金等が好適である。そして、突出部は、X線造影性材料によりワイヤを形成し内管の外面に巻きつけること、もしくはX線造影性材料によりパイプを形成し、かしめる又は接着することにより取り付けられる。
先端側チューブの形成材料としては、硬度があってかつ柔軟性がある材質であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミドなどが好適に使用できる。特に、上記の樹脂のうち、熱可塑性を有する樹脂が好ましい。なお、先端側チューブの露出する外面には、生体適合性、特に抗血栓性を有する樹脂をコーティングしてもよい。抗血栓性材料としては、例えば、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、HEMA−St−HEMAブロック共重合体)などが好適に使用できる。
また、先端部をチューブと別部材により構成する場合には、先端部(先端部材)25としては、柔軟性を有する材料を用いることが好ましい。例えば、オレフィン系エラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレンコポリマー)、ポリウレタン、ウレタン系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマーなどの合成樹脂エラストマー、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ラテックスゴムなどの天然ゴムなどのゴム類が使用される。
基端側チューブ4は、図2、図4および図7に示すように、先端から基端まで貫通したチューブ体であり、基端に固定されたハブ40を備えている。基端側チューブ4の先端部は、先端側チューブ2の基端部と接合されている。基端側チューブ4は、内部に牽引部材6を挿通可能な牽引部材用ルーメン41を備えている。
基端側チューブ4としては、長さが300mm〜1500mm、より好ましくは、1000〜1300mmであり、外径が0.5〜1.5mm、好ましくは0.6〜1.3mmであり、内径が0.3〜1.4mm、好ましくは0.5〜1.2mmである。
また、基端側チューブの外径は、後述する中間チューブの外径より、0.1〜2.5mm小さいことが好ましく、特に、0.3〜1.5mm小さいことが好ましい。
基端側チューブの外径は、生体器官拡張器具1の基端側チューブ4より先端側における最大径部分の外径より小さいものとなっている。具体的には、この実施例では、先端側チューブ2と基端側チューブ4との固定部位における外径が、最大外径となっており、この外径より、基端側チューブ4の外径は、小さいものとなっている。特に、基端側チューブの外径は、ステント収納用筒状部材5の外径よりも小さいことが好ましい。さらに、この実施例では、図2、図3および図7に示すように、基端側チューブ4の先端部は、先端側チューブ2の基端部に基端側チューブ4の中心軸が、先端側チューブ2の中心軸より、基端側開口23から離間する方向にずれるように固定されている。このため、基端側開口23より延びるガイドワイヤを基端側開口23の延長上となる基端側チューブ4の外面に沿わせることにより、ガイドワイヤを含む生体器官拡張器具1の基端側の外径を小さいものとすることができ、使用時に用いられるガイディングカテーテル内におけるガイドワイヤの操作性を良好とするとともに、ガイディングカテーテルも小径のものを用いることができる。
基端側チューブ4の中心軸と先端側チューブ2の中心軸とのずれの距離としては、0.1〜2.0mmが好ましく、特に、0.5〜1.5mmが好ましい。
基端側チューブの形成材料としては、硬度があってかつ柔軟性がある材質であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミドなどが好適に使用できる。なお、基端側チューブの外面には、生体適合性、特に抗血栓性を有する樹脂をコーティングしてもよい。抗血栓性材料としては、例えば、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、HEMA−St−HEMAブロック共重合体)などが使用できる。また、基端側チューブの形成材料としては、比較的剛性の高い材質を用いることが好ましい。例えばNi−Ti、真鍮、ステンレス鋼、アルミ等の金属、さらには、比較的剛性の高い樹脂、例えば、ポリイミド、塩化ビニル、ポリカーボネート等を用いることもできる。
そして、この実施例の生体器官拡張器具1では、先端側チューブ2の基端側およびステント収納用筒状部材5の基端側を被包し、基端部にて先端側チューブ2の基端部および基端側チューブ4の先端部と固定された中間チューブ7を備えている。そして、この実施例の生体器官拡張器具1では、中間チューブ7は、ステント収納用筒状部材5の基端側への移動を規制することなく被包するものであり、牽引部材6の一端部は、中間チューブ7内にてステント収納用筒状部材と固定されており、牽引部材6は、中間チューブ7と先端側チューブ2間を通り、基端側チューブ4内へ延びるものとなっている。
先端側チューブ2の基端部は、中間チューブ7内を延び、基端部が、中間チューブの基端より露出している。また、基端側チューブ4の先端部は、中間チューブ7の基端部内に侵入している。そして、先端側チューブ2,基端側チューブ4および中間チューブ7は、中間チューブ7の基端部にてそれぞれ液密に固定されている。また、基端側チューブ4のルーメン41は、中間チューブ7内と連通している。また、中間チューブ7の先端部は、図2および図3に示すように、縮径もしくは湾曲化されている。中間チューブ7の先端は、ステント収納用筒状部材5の外面にその移動を規制することなく液密に接触するものであることが好ましいが、接触しないものであってもよい。
中間チューブの形成材料としては、硬度があってかつ柔軟性がある材質であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミドなどが好適に使用できる。特に、上記の樹脂のうち、熱可塑性を有する樹脂が好ましい。なお、中間チューブの外面には、生体適合性、特に抗血栓性を有する樹脂をコーティングしてもよい。抗血栓性材料としては、例えば、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、HEMA−St−HEMAブロック共重合体)などが好適に使用できる。
そして、生体器官拡張器具1は、ステント収納用筒状部材5に一端部が固定され、基端側チューブ4内を延びるとともに基端側チューブの基端側に牽引することにより、ステント収納用筒状部材5を基端側に移動させるための牽引部材6を備えている。
この実施例の生体器官拡張器具1では、牽引部材6は、牽引ワイヤにより構成されている。また、牽引部材6は、図1、図2および図4に示すように、基端側チューブ4を貫通し、基端側チューブの基端より延出するものとなっている。
牽引ワイヤの構成材料としては、線材もしくは複数本の線材を撚ったものが好適に使用できる。また、牽引ワイヤの線径は、特に限定されないが、通常、0.01〜0.55mm程度が好ましく、0.1〜0.3mm程度がより好ましい。
また、牽引部材6の形成材料としては、ステンレス鋼線(好ましくは、バネ用高張力ステンレス鋼)、ピアノ線(好ましくは、ニッケルメッキあるいはクロムメッキが施されたピアノ線)、または超弾性合金線、Ni−Ti合金、Cu−Zn合金、Ni−Al合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、コバルト合金、タンタル等の各種金属により形成された線材や、ポリアミド、ポリイミド、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂等の比較的高剛性の高分子材料、あるいは、これらを適宜組み合わせたものが挙げられる。
また、牽引部材の側面に滑性を増加させる低摩擦性樹脂を被覆してもよい。低摩擦性樹脂としては、フッ素系樹脂、ナイロン66、ポリエーテルエーテルケトン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。この中でも、フッ素系樹脂がより好ましい。フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン、パーフロロアルコキシ樹脂等が挙げられる。またシリコンや各種親水性樹脂によるコーティングであってもよい。
そして、牽引部材6の基端部に固定された操作用部材62は、牽引部材6の基端部および牽引部材6の基端に形成された膨出部64を被包するように形成されている。そして、この実施例では、操作用部材62は、指などの侵入が可能な貫通孔63を備えている。
また、この実施例の生体器官拡張器具1では、先端側チューブ2の基端側外面には、ステント収納用筒状部材5のスリット52内に進行可能な突起部(この実施例では、ワイヤが貫通する管状部材)8が設けられている。突起部8の先端は、スリット52の基端部内に位置しており、生体器官拡張器具1の操作時におけるステント収納用筒状部材5の中心軸に対する回動を規制している。また、スリット52は、上述したように先端側に延びているため、ステント収納用筒状部材5の基端側への移動を規制することなく、ステント収納用筒状部材5の基端側への直線的な移動を誘導する。この突起部(この実施例では、ワイヤが貫通する管状部材)8は、先端側チューブ2の外面に固定されているが、中間チューブ7の内面に固定されたものでもよく、さらには、基端側チューブの先端より先端側に延びるように設けられたものであってもよい。この実施例の生体器官拡張器具1は、ステント収納用筒状部材の基端側への移動距離を規制する移動距離規制部を備えている。具体的には、突起部(この実施例では、ワイヤが貫通する管状部材)8は、ステント収納用筒状部材5を基端側へ移動することにより、スリット52の先端に当接し、それ以上のステント収納用筒状部材5の基端側への移動を規制する。
また、この実施例の生体器官拡張器具1では、先端側チューブ2の外面側に位置し、牽引部材6が貫通可能な通路を有する牽引部材位置保持用部材を備えている。特に、この実施例では、この牽引部材位置保持用部材と上述した突起部の両者の機能を発揮する筒状部材8が設けられている。このような牽引部材位置保持用部材8を設けることにより、牽引部材6の良好な牽引を可能とする。そして、牽引部材位置保持用部材8は、牽引部材6のステント収納用筒状部材5との固定部61の基端側延長上に位置することが好ましい。なお、牽引部材位置保持用部材としては、牽引部材6が貫通可能な通路を有するものであればよく、リング状部材もしくは切り欠きを有するリング状部材、樋状部材などであってもよい。上記のリング状部材を用いる場合には、複数設けることが好ましい。
筒状部材8としては、内部に牽引部材の外径より大きい内腔を有するチューブ体が用いられる。筒状部材8としては、長さが10mm〜180mm、より好ましくは、15〜120mmであり、外径が0.15〜0.8mm、好ましくは0.2〜0.5mmであり、内径が、牽引部材の外径より、0.05〜0.2mm程度大きいことが好ましい。
そして、この牽引部材位置保持用部材も、先端側チューブ2の外面に固定されたものが好ましいが、中間チューブ7の内面に固定されたものでもよく、さらには、基端側チューブの先端より先端側に延びるように設けられたものであってもよい。さらに、牽引部材位置保持用部材の内面に、上述したような滑性を増加させる低摩擦性樹脂を被覆してもよい。
そして、基端側チューブ4の基端部には、図1、図2および図4に示すように、ハブ40が固定されている。ハブ40は、図2および図4に示すように、ハブ本体42と、ハブ本体42内に収納され、牽引部材6を摺動可能、かつ液密に保持する弁体43を備えている。また、ハブ40は、ハブ本体42の中央付近より斜め後方に分岐するサイドポート45を備えている。さらに、ハブ40は、牽引部材6の移動を規制する内管ロック機構を備えている。この実施例では、ロック機構は、圧縮により牽引部材6の基端部を液密状態に挟持する弁体43と弁体43を圧縮する操作部材44およびハブ本体42により構成されている。このロック機構を備えることにより、牽引部材6の不用意な牽引が行われることを防止する。弁体43は、ハブ本体42の基端部に設けられた弁体収納用凹部内に設置されており、弁体43の内部には、牽引部材挿通用通路が形成されている。また、弁体43は、圧縮されない状態においても、牽引部材との間を液密状態に保持し、血液の流出を防止する。この実施例における弁体43の内部形状(言い換えれば、内管挿通用通路形状)は、軸方向に2つの略球形状が一部重なり合った形状に作製されており、両端と中央部が縮径したものとなっている。
操作部材44は、中央部に先端側に突出した筒状の弁体押圧部44aと、この弁体押圧部44aを被包するように形成され、かつ、ハブ本体42の後端外面に形成された螺合部42aと螺合可能な螺合部44bを備えている。また、弁体押圧部44aの内部には、牽引部材挿通用通路が形成されている。また、弁体押圧部44aの先端側部分は、図4に示すように、弁体収納用凹部内に侵入しており、操作体の先端への移動により弁体43を圧縮可能となっている。
この実施例のロック機構では、操作部材44を回転させて、ハブ40の先端側に移動するように螺合を進行させると、弁体押圧部44aの先端が、弁体43の後端を押圧し、さらに、操作部材44を回転させて螺合を進行させると弁体43は軸方向に圧縮される。そして、弁体43は圧縮が進行するに従い、弁体は、牽引部材6に強く密着することにより、牽引部材6を把持し固定する。なお、ロック機構の解除は、上記と逆の回転操作により行われる。
なお、上記のようなロック機構を備えることが好ましいが、図8に示すハブ40aのようなロック機構を備えないものであってもよい。このハブ40aでは、ハブ本体40b内には、牽引部材6を液密状態にて摺動可能なシール部材43aが収納されている。シール部材43aは、移動不能となっている。
ハブ本体42,40bおよび操作部材44の構成材料としては、硬質もしくは半硬質材料が使用される。硬質もしくは半硬質材料としては、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマーなどのポリオレフィン)、スチレン系樹脂[例えば、ポリスチレン、MS樹脂(メタクリレート−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体)]、ポリエステルなどの合成樹脂、ステンレス鋼、アルミもしくはアルミ合金などの金属が使用できる。
また、弁体43,シール部材43aの構成材料としては、弾性材料が使用される。弾性材料としては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ラテックスゴムなどの天然ゴムなどのゴム類、オレフィン系エラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレンコポリマー)、ポリウレタン、ウレタン系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマーなどの合成樹脂エラストマー等が使用される。
次に、本発明の生体器官拡張器具1の使用方法について図面を用いて説明する。
まず、図1および図2に示す生体器官拡張器具の先端部材の開口部24に、多くの場合は既に体内に留置されているガイドワイヤーの末端を挿入し、基端側開口23にガイドワイヤ(図示せず)を出す。次に、生体内に挿入されているガイディングカテーテル(図示せず)内に挿入し、ガイドワイヤに沿わせて生体器官拡張器具1を押し進め、目的とする狭窄部内にステント収納用筒状部材5のステント収納部位を位置させる。
次に、基端側チューブ4のハブ40の操作部材44を操作し、牽引部材6の固定状態を解除した後、牽引部材6の操作部材62を基端方向に引く。これにより、ステント収納用筒状部材5は、軸方向基端側に移動する。この時、ステント3はその後端面が先端側チューブ2のステント係止部22の先端面に当接し係止されるので、ステント収納用筒状部材5の移動に伴って、ステント収納用筒状部材5の先端開口より放出される。この放出により、ステント3は、図9に示すように、自己拡張し狭窄部を拡張するとともに狭窄部内に留置される。
次に、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具10について説明する。
図10は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の部分省略拡大外観図である。図11は、図10に示した生体器官拡張器具の先端部付近の拡大断面図である。図12は、図10に示した生体器官拡張器具の作用を説明するための説明図である。
この実施例の生体器官拡張器具10と上述した実施例の生体器官拡張器具1との相違は、中間チューブを備えない点および先端側チューブの形態の相違であり、その他については、上述した生体器官拡張器具1と同じであり、同じ符号を付したものについては、上述したものと同じである。
この実施例の生体器官拡張器具10は、先端側チューブ2、基端側チューブ4、ステント収納用筒状部材5a、ステント3および牽引部材6を備えている。
ステント収納用筒状部材5aは、図10および図11に示すように、全体がほぼ同一外径の筒状部材が用いられている。また、ステント収納用筒状部材5aには、図16に示すようなスリット59を設けてもよい。このスリット59には、図16に示すように、先端側チューブの外面に形成された突起部29が進行可能なものとなっている。そして、この実施例では、このスリット59の先端側端部が、突起部29に当接するまで、ステント収納用筒状部材5aは、基端側に移動可能となっている。よって、スリット59は、ステント3を収納したステント収納用筒状部材5におけるステント3の基端からステント収納用筒状部材5aの先端までの長さと同等もしくは若干長いものとなっている。
ステント収納用筒状部材5aの形成材料としては、上述したステント収納用筒状部材5と同様のものが用いられる。また、ステント収納用筒状部材5aの外面には、潤滑性を呈するようにするための処理を施すことが好ましい。このような処理としては、上述した通りである。さらに、ステント収納用筒状部材5aの内面に、ステント3の摺動性を良好なものにするため、上述のものをコーティング、または固定してもよい。
そして、ステント収納用筒状部材5aの先端部には、ステント3が収納されている。ステント3は、上述したものと同じである。
先端側チューブ2aは、図10ないし図11に示すように、先端から基端まで貫通するガイドワイヤルーメン21を有するチューブ体であり、先端に固定された先端部材25により形成された先端部を有しているとともに、先端開口24を備えている。なお、先端部は、先端側チューブと一体に形成してもよい。そして、先端側チューブ2aは、基端において、基端側チューブの先端に固定されている。また、ガイドワイヤルーメン21は基端部において屈曲し、先端側チューブ2の基端部(この実施例では基端)に、基端側開口23を備えている。そして、基端側開口23は、図11に示すように、基端側に向かって傾斜するように斜めに形成されている。これにより、ガイドワイヤの誘導を容易にしている。
先端側チューブ2aとしては、外径が0.5〜3.0mm、好ましくは1.0〜2.5mmであり、内径が0.2〜1.5mm、好ましくは0.3〜1.2mm、長さが、20〜600mm、好ましくは30〜350mmである。
また、先端側チューブ2aは、図11に示すように、先端部にステント配置用小径部26を備えている。そして、このステント配置用小径部26の基端26aにより、体腔内留置用ステント3の基端側への移動を規制するステント係止部が構成されている。ステント配置用小径部26の基端26aの外径は、圧縮されたステント3の基端と当接可能な大きさとなっている。そして、ステント収納用筒状部材5aが、基端側に移動しても、基端26aによりステント3は位置を維持するため、ステント収納用筒状部材5aより、結果的に排出される。
そして、この実施例の生体器官拡張器具10においても、基端側チューブの外径は、生体器官拡張器具10の基端側チューブ4より先端側における最大径部分の外径より小さいものとなっている。具体的には、ステント収納用筒状部材5aの外径が、最大外径となっており、この外径より、基端側チューブ4の外径は、小さいものとなっている。さらに、この実施例では、図10、図11に示すように、基端側チューブ4の先端部は、先端側チューブ2aの基端部に基端側チューブ4の中心軸が、先端側チューブ2aの中心軸より、基端側開口23から離間する方向にずれるように固定されている。
さらに、先端側チューブ2aは、牽引部材6のステント収納用筒状部材5との固定部61付近より基端側に延びるとともに、牽引部材が貫通する牽引部材用通路27を備えている。なお、この実施例では、牽引部材用通路27は、先端側チューブ2aの外面に設けられた軸方向に延びる凹部により形成されている。なお、牽引部材用通路は、先端側チューブ2aの肉厚内を延びるルーメンであってもよい。
そして、この実施例の生体器官拡張器具10においても、牽引部材6の操作部材62を基端方向に引くことにより、ステント収納用筒状部材5aは、軸方向基端側に移動する。この時、ステント3はその後端面が先端側チューブ2の小径部の基端面に当接し係止されるので、ステント収納用筒状部材5aの移動に伴って、ステント収納用筒状部材5aの先端開口より放出される。この放出により、ステント3は、図12に示すように、自己拡張し狭窄部を拡張するとともに狭窄部内に留置される。
そして、上述した全ての実施例において、牽引部材は、複数、具体的には、2本備えるものであってもよい。
図13ないし図15に示す実施例の生体器官拡張器具20は、2本の牽引部材を備えている。
図13は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の部分省略拡大外観図である。図14は、図13のC−C線断面拡大図である。図15は、図13のD−D線断面拡大図である。
この実施例の生体器官拡張器具20と上述した実施例の生体器官拡張器具1との相違は、牽引部材が2本設けられている点およびそれに起因する相違のみであり、その他については、上述した生体器官拡張器具1と同じであり、同じ符号を付したものについては、上述したものと同じである。なお、上述した生体器官拡張器具10においても、牽引部材を2本設けてもよい。
この 実施例の生体器官拡張器具20におけるステント収納用筒状部材5は、図13および図14に示すように、基端より先端側に延びるとともに、向かい合う位置に設けられた2本のスリット52a、52bを備えている。そして、これに対応するように、先端側チューブ2には、向かい合う位置に配置された2本の管状部材8a、8bが設けられている。
そして、ステント収納用筒状部材5の基端部には、向かい合う位置に、2本の牽引部材6a,6bが固定されている。そして、牽引部材6aは、図13ないし図15に示すように、管状部材8aを貫通して、基端側チューブ4内を延び、基端部にて操作部材62に固定されている。同様に、牽引部材6bは、管状部材8bを貫通して、基端側チューブ4内を延び、基端部にて操作部材62に固定されている。
また、生体器官拡張器具の先端部は、図17および図18に示すような構成のものであってもよい。図17は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の先端部の拡大外観図である。図18は、図17に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大断面図である。
この生体器官拡張器具30の基本構成は、上述した生体器官拡張器具1と同じである。この生体器官拡張器具30と上述した生体器官拡張器具1との相違点は、生体器官拡張器具1では、中間チューブ7の内側をステント収納用筒状部材5がスライドするのに対し、この生体器官拡張器具30では、中間チューブ7aの外側をステント収納用筒状部材5bがスライドするものとなっている。また、ステント収納用筒状部材5bは、ほぼ全長にわたり同一外径となっており、中間チューブ7aも、ほぼ全長にわたり同一外径となっている。そして、中間チューブ7aの外径は、ステント収納用筒状部材5bの内径より若干小さいものとなっている。よって、この実施例の生体器官拡張器具30では、ステント収納用筒状部材5bが、このシステムで最も大径部分となっている。
そして、上述したように、中間チューブ7aの先端部は、ステント収納用筒状部材5bの基端内部に侵入している。また、図18に示すように、牽引ワイヤー6は、かなりステントに近い部分に設けられた固定点61により、ステント収納筒状部材5の内側に固定されている。そして、中間チューブ7aの基端部において、先端側チューブ2の基端部および基端側チューブ4の先端部が固定されている。
生体器官拡張器具1と同様に、中間チューブ7aとステント収納用筒状部材5bは接着されておらず移動可能であるから、牽引ワイヤー6を引くことによって、ステント収納用筒状部材5bは基端側に移動するものの、ステント3は、係止部22により係止されているので、ステント3はステント収納用筒状部材5bより排出され、自己拡張する。このような形態をとることによって、全体のチューブ類を柔らかい素材により形成しても、牽引ワイヤーはチューブの中にあるため、曲がった血管等でもたわむことなく安全にステントを拡張することが可能となる。
また、生体器官拡張器具の先端部は、図19ないし図22に示すような構成のものであってもよい。この生体器官拡張器具0の基本構成は、上述した生体器官拡張器具1と同じである。図19は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の先端部の拡大外観図である。図20は、図19のE−E線断面図である。図21は、図19のF−F線断面拡大図である。図22は、図19のG−G線断面拡大図である。
この生体器官拡張器具0と上述した生体器官拡張器具1との相違点は、生体器官拡張器具1では、中間チューブ7の内側をステント収納用筒状部材5がスライドするのに対し、この生体器官拡張器具0では、中間チューブ47の外側をステント収納用筒状部材5bがスライドするものとなっている。また、ステント収納用筒状部材5bは、ほぼ全長にわたり同一外径となっており、中間チューブ47も基端部を除き、ほぼ全長にわたり同一外径となっている。そして、中間チューブ47の外径は、ステント収納用筒状部材5bの内径より若干小さいものとなっている。よって、この実施例の生体器官拡張器具0では、ステント収納用筒状部材5bが、このシステムで最も大径部分となっている。
そして、上述したように、中間チューブ47の先端部は、ステント収納用筒状部材5bの基端内部に侵入している。また、図19および図20に示すように、生体器官拡張器具0では、複数(具体的には、2本)の牽引ワイヤ6a,6bを備えており、牽引ワイヤー6a、6bは、かなりステントに近い部分に設けられた固定点61a、61bにより、ステント収納筒状部材5の内側に固定されている。また、牽引ワイヤー6a、6bおよびこの固定点61a、61bは、生体器官拡張器具0の中心軸に対してほぼ向かい合う位置に配置されている。
また、中間チューブ47は、図21に示すように、向かい合う位置に形成された牽引ワイヤ収納用の軸方向に延びる膨出部47a、47bを有している。この膨出部47a,47b部分を除く部分では、中間チューブ47は、先端側チューブ2に近接している。このような構成とすることにより、牽引ワイヤの先端側チューブ2の外面上での動きを規制することができ、ワイヤの牽引がより良好に行えるものとなる。
さらに、中間チューブ47は、図20および図22に示すように、基端側において縮径しており、向かい合う位置に形成された牽引ワイヤ収納用の軸方向に延びる膨出部47a、47bは、牽引ワイヤ6a、6bに極めて近接するとともに、膨出部47a,47b部分を除く部分では、中間チューブ47は、先端側チューブ2に接触している。そして、図20に示すように、中間チューブ7aの縮径する基端部は、接続チューブ48の先端内に侵入し、かつ固定されている。また、接続チューブ48の基端部において、先端側チューブ2の基端部および基端側チューブ4の先端部が固定されている。
生体器官拡張器具1と同様に、中間チューブ47とステント収納用筒状部材5bは接着されておらず移動可能であるから、牽引ワイヤー61a,61bを引くことによって、ステント収納用筒状部材5bは基端側に移動するものの、ステント3は、係止部22により係止されているので、ステント3はステント収納用筒状部材5bより排出され、自己拡張する。このような形態をとることによって、全体のチューブ類を柔らかい素材により形成しても、牽引ワイヤーはチューブの中にあるため、曲がった血管等でもたわむことなく安全にステントを拡張することが可能となる。
そして、本発明の生体器官拡張器具において、先端側チューブは、前記ステントの先端より先端側に設けられたステント移動抑制用突出部を備えており、さらに、該ステント移動抑制突出部の先端側は、先端に向かって徐々に縮径するテーパー部となっているものであれば、ステントの先端側への移動を規制するととともに、器具の先端部の生体器官の目的部位への挿入が容易となる。
また、本発明の生体器官拡張器具において、生体器官拡張器具が、先端側チューブの外面側に位置し、牽引部材が貫通可能な通路を有する牽引部材位置保持用部材を備えるものであれば、牽引部材の牽引が良好なものとなる。
また、本発明の生体器官拡張器具において、生体器官拡張器具が、先端側チューブの外面側に位置する突起部を有するとともに、ステント収納用筒状部材が、基端より先端側に延びかつ突起部が進行可能なスリットを備えるものであれば、ステント収納用筒状部材の基端側への移動が良好なものとなる。
また、本発明の生体器官拡張器具において、生体器官拡張器具が、ステント収納用筒状部材の基端側への移動距離を規制する移動距離規制部を備えるものであれば、過剰なステント収納用筒状部材の移動を防止する。
図1ないし図7に示した形態の生体器官拡張器具を作成した。なお、この実施例の生体器官拡張器具は、0.035インチのガイドワイヤを使用することを前提として作成したいわゆるラピッドエクスチェンジタイプのものである。先端側チューブは、外径1.23mm、内径0.95mmのポリエーテルエーテルケトンチューブを用いた。ステント係止部は、ステンレス製のリングを先端側チューブの外面にかしめることにより固定した。先端部材は、射出成形により形成したポリエステルエラストマー製のものを用いた。ステントとしては、ニッケルチタン製チューブから切り出して作製したものを用いた。そして、ステント収納用筒状部材としては、ステント収納部の外径が、2.06mm、内径が1.8mm、小径部の外径が1.60mm、内径が1.36mmであるポリイミドチューブを使用した。中間チューブとしては、外径が2.06mm、内径が1.80mmのポリイミドチューブを用いた。基端側チューブとしては、外径が1.16mm、内径が0.85mmのポリエーテルエーテルケトンチューブを用いた。牽引部材としては先端部外径0.3mm(長さ15cm)それ以降基端側の外径0.52mmのステンレス製の単線ワイヤを用いた。
そして、この実施例の生体器官拡張器具を、腸骨動脈の模擬血管にイントロデューサーを用いて対側からアプローチしてステントを拡張したが、ステントは全く位置移動することなく留置することができた。
1,10,20,30,0 生体器官拡張器具
2 先端側チューブ
3 ステント
4 基端側チューブ
5 ステント収納用筒状部材
6 牽引部材
7 中間チューブ
40 ハブ

Claims (15)

  1. ガイドワイヤルーメンを有する先端側チューブと、該先端側チューブの基端部に先端部が固定された基端側チューブと、前記先端側チューブの先端側を被包しかつ先端側チューブの基端方向に摺動可能であるステント収納用筒状部材と、該ステント収納用筒状部材内に収納されたステントと、前記ステント収納用筒状部材に一端部が固定され、前記基端側チューブ内を延びるとともに該基端側チューブの基端側に牽引することにより、前記ステント収納用筒状部材を基端側に移動させるための牽引部材とを備える生体器官拡張器具であって、
    前記先端側チューブは、該先端側チューブの基端側にて開口し前記ガイドワイヤルーメンと連通する基端側開口と、該先端側チューブの先端側に位置し、前記ステント収納用筒状部材内に収納された前記ステントの基端と当接し、該ステントの基端側への移動を規制するステント係止部とを備えるものであり、前記ステントは、略円筒形状に形成され、中心軸方向に圧縮された状態にて前記ステント収納用筒状部材内に収納され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものであり、
    前記生体器官拡張器具は、前記先端側チューブの基端側を被包し、基端部にて前記先端側チューブの基端部および前記基端側チューブの先端部と固定された中間チューブを備え、前記中間チューブの先端部は、前記ステント収納用筒状部材の基端内部に侵入しており、前記牽引部材の牽引により、前記中間チューブの外側を前記ステント収納用筒状部材がスライドするものとなっており、
    さらに、前記基端側チューブの外径は、前記生体器官拡張器具の前記基端側チューブより先端側における最大径部分の外径より小さいものとなっていることを特徴とする生体器官拡張器具。
  2. 前記先端側チューブは、前記ステントの先端より先端側に設けられたステント移動抑制用突出部を備えており、さらに、該ステント移動抑制突出部の先端側は、先端に向かって徐々に縮径するテーパー部となっている請求項1に記載の生体器官拡張器具。
  3. 前記生体器官拡張器具は、前記先端側チューブの外面側に位置する突起部を有しており、前記ステント収納用筒状部材は、基端より先端側に延びかつ前記突起部が進行可能なスリットを備えている請求項1または2に記載の生体器官拡張器具。
  4. 前記基端側チューブの中心軸は、前記先端側チューブの中心軸より、前記基端側開口から離間する方向にずれている請求項1ないしのいずれかに記載の生体器官拡張器具。
  5. 前記牽引部材は、前記基端側チューブの基端より延出している請求項1ないしのいずれかに記載の生体器官拡張器具。
  6. 前記牽引部材は、前記基端側チューブの基端より延出し、かつ、延出した部分に固定された牽引操作用部材を備えている請求項1ないしのいずれかに記載の生体器官拡張器具。
  7. 前記基端側チューブは、液密状態にて前記牽引部材が貫通するシール部材を備えている請求項1ないしのいずれかに記載の生体器官拡張器具。
  8. 前記基端側チューブの基端部には、前記牽引部材を摺動可能、かつ液密に保持する弁体を備えたハブが設けられている請求項1ないしのいずれかに記載の生体器官拡張器具。
  9. 前記生体器官拡張器具は、前記牽引部材を前記基端側チューブに解除可能に固定する固定手段を有している請求項1ないしのいずれかに記載の生体器官拡張器具。
  10. 前記生体器官拡張器具は、前記ステント収納用筒状部材の基端側への移動距離を規制する移動距離規制部を備えている請求項1ないしのいずれかに記載の生体器官拡張器具。
  11. 前記牽引部材の前記一端部は、前記中間チューブの先端より先端側にて前記ステント収納用筒状部材と固定されており、さらに、前記牽引部材は、該中間チューブと前記先端側チューブ間を通り、前記基端側チューブ内へ延びるものとなっている請求項1ないし1のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
  12. 前記先端側チューブは、先端側に形成されたステント配置用小径部を備えており、前記ステント係止部は、該ステント配置用小径部の基端にて構成されている請求項1ないし1のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
  13. 前記牽引部材は、2本設けられている請求項1ないし1のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
  14. 前記基端側チューブの外径は、前記先端側チューブと前記基端側チューブとの固定部位における外径より小さいものである請求項1ないし1のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
  15. 前記基端側チューブの外径は、前記ステント収納用筒状部材の外径より小さいものである請求項1ないし1のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
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