JP2012055484A - 生体器官病変部改善用器具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生体器官病変部改善用器具1は、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント3と、内側チューブ体(内管)4と、ステント3を収納したステント収納チューブ体(シース)2とを備え、ステント収納チューブ体を内側チューブ体に対して基端側に移動させることにより、ステント3を放出可能となっている。シースの先端よりステントの収納部位の基端部までの内面には、シース2の軸方向に延びる溝23が設けられている。
【選択図】図2
Description
上記生体器官病変部改善用器具を構成するステントとしては、機能および留置方法によって、バルーン拡張型ステントと自己拡張型ステントとがある。
バルーン拡張型ステントは、ステント自身に拡張機能はなく、ステントを目的部位に留置するには、バルーンの上にマウントしたステントを目的部位に挿入した後、バルーンを拡張させ、バルーンの拡張力によりステントを拡張(塑性変形)させ目的部位の内面に密着させて固定する。
このタイプのステントは上記のようなステントの拡張作業が必要であるが、収縮したバルーンにステントを直接取り付けて留置することもできるので、留置に関してはさほど問題がない。
これに対して、自己拡張型ステントは、ステント自身が収縮および拡張機能を有している。このステントを目的部位に留置するためには、収縮させた状態にて目的部位に挿入した後、収縮状態の維持のために負荷していた応力を除去する。例えば、目的部位の内径より小さい外径のシース内にステントを収縮させて収納し、このシースの先端を目的部位に到達させた後、ステントをシースより押し出す。押し出されたステントは、シースより解放されることにより応力負荷が解除され、収縮前の形状に復元し拡張する。これにより、目的部位の内面に密着し固定する。
このタイプのステントは、ステント自身が拡張力を有しているので、バルーン拡張型ステントのような拡張作業は必要なく、血管の圧力等によって径が次第に小さくなり再狭窄を生じるといった問題もない。
この生体器官病変部改善用器具1は、ガイドワイヤルーメン21を有する先端側チューブ2と、先端側チューブ2の基端部に固定された基端側チューブ4と、先端側チューブ2の先端側を被包しかつ基端方向に摺動可能であるステント収納用筒状部材5と、筒状部材5内に収納されたステント3と、筒状部材5を基端側に移動させるための牽引ワイヤ6とを備える。先端側チューブ2は、先端側チューブ2の基端側にて開口する基端側開口23と、ステントの基端側への移動を規制するステント係止部22と、牽引ワイヤ巻取機構およびワイヤ巻取量規制機構を備える操作部を有する。
さらに、この生体器官病変部改善用器具1は、先端側チューブ2の基端側およびステント収納筒状部材5の基端側を被包し、基端部にて先端側チューブ2の基端部および基端側チューブ4の先端部と固定された中間チューブ7を備えている。中間チューブ7は、ステント収納筒状部材5の基端側への移動を規制することなく被包するものであり、牽引ワイヤ6の一端部は、中間チューブ7内にてステント収納筒状部材5と固定されており、牽引ワイヤ6は、中間チューブ7と先端側チューブ2との間を通り、基端側チューブ4内へ延びるものとなっている。
そこで、本発明の目的は、圧縮された自己拡張型ステントの外面と、ステントを収納するチューブ体の内面との接触面積を減少させ、ステントの放出作業時、圧縮された自己拡張型ステントの外面とステント収納チューブ体間の摺接抵抗を少なくすることにより、ステントの放出操作が容易である生体器官病変部改善用器具を提供するものである。
(1) 略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステントと、ガイドワイヤルーメンを有する内側チューブ体と、前記ステントを先端部内に収納したステント収納チューブ体とを備え、かつ前記ステントが前記内側チューブ体の先端部を覆うように配置され、かつ前記ステント収納チューブ体を前記内側チューブ体に対して基端側に移動させることにより、前記ステントを露出可能である生体器官病変部改善用器具であって、前記ステント収納チューブ体の少なくとも先端よりステントの収納部位の基端部までの内面には、前記ステントの外面と前記ステント収納チューブ体の内面間の接触面積を減少させるための溝が設けられており、かつ前記溝は、該ステント収納チューブ体の軸方向に延びる複数の溝である生体器官病変部改善用器具。
(2) 前記溝は、前記ステント収納チューブ体の軸方向に平行に延びる複数の溝である上記(1)に記載の生体器官病変部改善用器具。
(3) 前記溝は、前記ステント収納チューブ体の軸方向に対して緩やかな螺旋状となっている複数の溝である上記(1)に記載の生体器官病変部改善用器具。
(4) 前記溝は、実質的に角部を持たないものとなっている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体器官病変部改善用器具。
(5) 略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステントと、ガイドワイヤルーメンを有する内側チューブ体と、前記ステントを先端部内に収納したステント収納チューブ体とを備え、かつ前記ステントが前記内側チューブ体の先端部を覆うように配置され、かつ前記ステント収納チューブ体を前記内側チューブ体に対して基端側に移動させることにより、前記ステントを露出可能である生体器官病変部改善用器具であって、前記ステントは、先端部を除き前記ステントの先端方向を向く屈曲部および自由端を持たないものであり、かつ、前記ステント収納チューブ体の先端部よりステントの収納部位の基端部までの内面には、前記ステントの外面と前記ステント収納チューブ体の内面間の接触面積を減少させるための溝が設けられている生体器官病変部改善用器具。
(6) 前記溝は、前記ステント収納チューブ体の軸方向に平行に延びる複数の溝である上記(5)に記載の生体器官病変部改善用器具。
(7) 前記溝は、前記ステント収納チューブ体の軸方向に対して緩やかな螺旋状となっている複数の溝である上記(5)に記載の生体器官病変部改善用器具。
(8) 前記溝は、前記ステント収納チューブ体の軸方向に直交もしくは所定角度斜めに延びる複数の環状溝である上記(5)に記載の生体器官病変部改善用器具。
(9) 前記溝は、前記ステント収納チューブ体の軸方向に対して螺旋状に延びる1または複数の溝である上記(5)に記載の生体器官病変部改善用器具。
(10) 前記ステント収納チューブ体は、最先端部に溝非形成部を備えている上記(5)ないし(9)のいずれかにに記載の生体器官病変部改善用器具。
(11) 前記溝は、実質的に角部を持たないものとなっている上記(5)ないし(10)のいずれかに記載の生体器官病変部改善用器具。
(12) 前記内側チューブ体は、前記ガイドワイヤルーメンを有する先端側チューブと、基端側チューブと、前記先端側チューブの基端部および前記基端側チューブの先端部が固定されるとともに前記ガイドワイヤルーメンと連通する開口を備える固定チューブとを備え、前記ステント収納チューブ体は、前記先端側チューブの先端側を被包しかつ前記先端側チューブの基端方向に摺動可能であり、前記生体器官病変部改善用器具は、前記ステント収納チューブ体に一端部が固定され、前記基端側チューブ内を延びるとともに該基端側チューブの基端側に牽引することにより、前記ステント収納チューブ体を基端側に移動させるための少なくとも一つの牽引ワイヤとを備えるものである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の生体器官病変部改善用器具。
(13) 前記先端側チューブは、該先端側チューブの先端側に位置し、前記ステント収納チューブ体内に収納された前記ステントの基端と当接し、該ステントの基端側への移動を規制するステント基端部係止部を備えている上記(12)に記載の生体器官病変部改善用器具。
(14) 前記生体器官病変部改善用器具は、前記ステント収納チューブ体の基端に近接するように配置されたスライドチューブを備え、かつ、前記固定チューブは、前記スライドチューブを基端側より収納可能もしくは前記スライドチューブが基端側より被嵌可能であり、前記スライドチューブは、前記牽引ワイヤの牽引により前記ステント収納チューブ体とともに基端側に移動可能であり、かつ、前記ステント収納チューブ体に固定されていないものとなっている上記(12)または(13)に記載の生体器官病変部改善用器具。
(15) 前記基端側チューブの基端部には、前記牽引ワイヤを巻き取り、前記ステント収納チューブ体を基端側に移動させるための牽引ワイヤ巻取機構を備える操作部を有する上記(12)ないし(14)のいずれかに記載の生体器官病変部改善用器具。
そして、本発明の第1の態様の生体器官病変部改善用器具では、ステント収納チューブ体の少なくとも先端よりステントの収納部位の基端部までの内面には、ステント収納チューブ体の軸方向に延びる複数の溝が設けられている。
また、本発明の他の態様の生体器官病変部改善用器具では、ステントは、先端部を除きステントの先端方向を向く屈曲部および自由端を持たないものであり、かつ、ステント収納チューブ体の少なくとも先端よりステントの収納部位の基端部までの内面には、ステントの外面とステント収納チューブ体の内面間の接触面積を減少させるための溝が設けられている。
このため、本発明の生体器官病変部改善用器具では、圧縮された自己拡張型ステントの外面とステントを収納するチューブ体の内面との接触部分が少なく、ステントの放出作業時、圧縮された自己拡張型ステントの外面とステント収納チューブ体間の摺接抵抗も少なくなり、ステントの放出操作が容易なものとなる。
本発明の生体器官病変部改善用器具1は、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント3と、ガイドワイヤルーメンを有する内側チューブ体(この実施例では、内管)4と、ステント3を先端部内に収納したステント収納チューブ体(この実施例では、シース)2とを備える。ステント3が内側チューブ体(内管)4の先端部を覆うように配置され、かつステント収納チューブ体(シース)2を内側チューブ体(内管)4に対して基端側に移動させることにより、ステント3を露出可能(放出可能)となっている。さらに、ステント収納チューブ体(シース)2の少なくとも先端よりステントの収納部位の基端部までの内面には、ステント収納チューブ体(シース)2の軸方向に延びる複数の溝23が設けられている。
シース2は、図1ないし図4に示すように、管状体であり、先端および後端は開口している。先端開口は、ステント3を体腔内の狭窄部に留置する際、ステント3の放出口として機能する。ステント3は、この先端開口より押し出されることにより応力負荷が解除されて拡張し圧縮前の形状に復元する。シース2の先端部は、ステント3を内部に収納するステント収納部位22となっている。
そして、シース2は、図3および図4に示すように、シース2の先端よりステントの収納部位22の基端部までの内面に、シース2の軸方向に延びる複数の溝23を有している。また、図3および図4に示す実施例のシース2では、溝23は、シース2の軸方向(中心軸)に平行に延びるものとなっている。
また、図6に示す実施例のように、溝23は、実質的にシース内表面に露出する部分に角部を持たないものとなっていることが好ましい。
また、溝23は、図5に示す実施例のシース2aのように、シース2aの軸方向(中心軸)に対して螺旋状(好ましくは、緩やかな螺旋状)となるものであってもよい。
この場合においても、実質的にシース内表面に露出する部分に角部を持たないものであることが好ましい。螺旋状の場合の溝23aのシースの中心軸に対する角度は、0〜45度であることが好ましく、特に、0〜10度であることが好ましい。
さらに、シース2の外面には、潤滑性を呈するようにするための処理を施すことが好ましい。このような処理としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティング、または固定する方法などが挙げられる。また、シース2の内面に、ステント3及び内管4との摺動性を良好なものにするため、上述のものをコーティング、または固定してもよい。
さらに、シースハブ6は、内管4の移動を規制する内管ロック機構を備えている。この実施例では、ロック機構は、圧縮により内管4の基端部を液密状態に挟持する弁体62と弁体62を圧縮する操作部材64およびシースハブ本体61により構成されている。このロック機構を備えることにより、内管4はシース2に対して任意の位置で固定可能である。弁体62は、シースハブ本体61の基端部に設けられた弁体収納用凹部内に設置されており、弁体62の内部には内管用ルーメンの一部を形成する内管挿通用通路が形成されている。また、弁体収納用凹部の内径は、弁体62の外径より若干大きく作製されており、弁体62が操作部材64により圧縮された際の弁体の内側方向への拡径を可能にしている。弁体62の内部形状(言い換えれば、内管挿通用通路形状)は、軸方向に2つの略球形状が一部重なり合った形状に作製されており、両端と中央部が縮径したものとなっている。
また、シース2の基端部とシースハブ6間には、シースハブ6の先端より先端側に延びる補強用チューブ66が設けられている。この補強用チューブ66は、シースハブ6の先端におけるシース2のキンクを防止する。補強用チューブ66としては、熱収縮性チューブを用いることが好ましい。
先端部47は、シース2の先端より突出し、かつ、図2に示すように、先端に向かって徐々に縮径するテーパー状に形成されていることが好ましい。このように形成することにより、狭窄部への挿入を容易なものとする。また、内管4は、ステント3よりも先端側に設けられ、シースの先端方向への移動を阻止するストッパーを備えることが好ましい。先端部47の基端は、シース2の先端と当接可能なものとなっており、上記のストッパーとして機能している。
先端部47の最先端部の外径は、0.5mm〜1.8mmであることが好ましい。また、先端部47の最大径部の外径は、0.8〜4.0mmであることが好ましい。さらに、先端側テーパー部の長さは、2.0〜20.0mmが好ましい。
また、突出部43の基端側に形成されるテーパー部44および突出部45の基端側に形成されるテーパー部46は、テーパー状部材を固定すること、また、硬化性樹脂をテーパー状に塗布し硬化させることなどにより形成される。
なお、生体器官病変部改善用器具としては、上述のタイプのものに限定されるものではなく、上記のルーメン41は、内管の基端まで延びるものであってもよい。この場合には、シースの側孔21は不要となる。
さらに、内管4のうち、シース2より突出する可能性のある部分の外面は、潤滑性を有していることが好ましい。このために、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティング、または固定してもよい。また、内管4の外面全体に上記のものをコーティング、または固定してもよい。さらに、ガイドワイヤとの摺動性を向上させるために、内管4の内面にも上記のものをコーティング、または固定してもよい。
そして、内管4は、シース2内を貫通し、シース2の後端開口より突出している。内管4の基端部には、図1,図7に示すように、内管ハブ7が固着されている。
さらに、内管4の基端部には、シース2の先端側への移動距離を規制する挿入深度規制部を備えていることが好ましい。内管4は、基端部に挿入深度規制用チューブ73を備えている。このチューブ73は、外径がシースハブ6の操作部材64の通路の内径よりも大きく、シースハブ6内に侵入不能なものとなっている。このためこのチューブが内管の挿入深度、言い換えれば、内管のシース先端側への移動距離を規制する。この実施例では、チューブ73は、上述した硬質パイプ72を被包するように設けられている。なお、挿入深度規制部は、上記のようなチューブ体に限定されるものではなく、内管4の基端部側面に環状部材を固定することにより形成してもよい。
また、内管ハブ7の形成材料としては、シースハブ6において説明したものが好適に使用できる。
ステント3は、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なものとなっている。
この実施例にて用いるステント3は、図9,図10に示すように、側面に開口部を備えている。また、ステント3は、拡張保持の役割を担う波状(ジグザグ状)かつ環状につながった線状体54からなる複数の環状体52により構成され、これらの環状体52は接続部53(コネクター)により隣り合う環状体52が離反しないように接続されている。環状体52および接続部53を構成する部分以外の部分は開口部を形成している。
そして、この実施例のステント3では、複数の環状体52は、軸方向に隣り合う波状環状体52の谷部と山部が向かい合うようにほぼ直線的に配列されている。この実施例においては、環状体52は軸方向に11個連結している。また、ひとつの環状体52は、12個の山部(谷部)により形成されている。一つの環状体52を構成する山部(谷部)の個数はステントの直径と長さにより適宜選択されるが、4〜36個であることが好ましく、環状体52は、軸方向に5〜50個連結することが好ましい。
円状の接続部53aは、隣接する環状体52の山部と谷部が軸方向に隣接するように環状体52同士を連結している。隣接する山部と谷部は、それぞれ円形状の接続部53aの上端部および下端部に連結している。線状の接続部53bは、隣接する環状体52の山部と谷部が軸方向に隣接するように環状体52同士を連結している。線状の接続部53bは、直線状、曲線状のいずれであってもよい。
円形状の接続部53a及び線状の接続部53bは、中心軸に対してほぼ等角度となるような位置に配置されていることが好ましい。円形状の接続部53aは、隣接する環状体間に3か所、言い換えると、4つおき(120°毎)の山部(谷部)に形成されている。また、線状の接続部53bは、隣接する環状体間に4か所、言い換えると3つおき(90°毎)の山部(谷部)に形成されている。本発明の実施例においては、軸方向に最も近接する線状の接続部53b同士は、山部(谷部)が1つ半ずつずれて配置されている。なお、接続部は、全部が線状の接続部であってもよい。
ステント3は、全体において物性の急激な変更点が形成されることなく一体に形成されていることが好ましい。ステント3は、例えば、留置される生体内部位に適合した外径を有する金属パイプを準備し、金属パイプの側面を、切削加工、化学エッチングなどにより部分的に除去することにより作製される。
そして、本発明の生体器官病変部改善用器具1としては、上述したようなX線不透過材料製マーカーを有するステントを用いる場合に、特に有効である。上述したように、ステント3が収納されるシース2の内面は、略多角柱状内面となっているため、シース2の内面とX線不透過材料製マーカー56の表面との接触面積も減少するため、ステント3の放出時におけるマーカーに起因する摺動抵抗を減少させることができる。
まず、図2,図8に示すように、ガイドワイヤ9の後端部を内管4のルーメン41の先端より挿入し、内管4の側孔42およびシース2の側孔21を通過させ外部に導出する。その後、シース2を把持して、ガイドワイヤ9に沿って本発明の生体器官病変部改善用器具1を体腔(例えば血管)内に挿入させ、目的とする狭窄部内にステント3を位置させる。
次に、シース2を軸方向基端側に移動させる。この時、ステント3はその後端面がステント押出用突出部45の先端面に当接し係止されるので、シース2の移動に伴ってシース2の先端開口より放出される。この放出により、ステント3は、図8に示すように、自己拡張し狭窄部を拡張するとともに狭窄部内に留置される。その後、内管4を軸方向基端側に移動させ、シース2内に収納し、シース2を内管4とともに体腔内から抜去することにより手技が終了する。この内管4をシース2内に収納する際、本発明の生体器官病変部改善用器具1は、内管4の突出部43の基端側付近に、基端側に向かって徐々に縮径するテーパー部44が形成されているので、シース2が突出部43に引っかかることがない。
図11は、本発明の他の実施例の生体器官病変部改善用器具の部分省略正面図である。図12は、図11に示した生体器官病変部改善用器具の先端部付近の拡大縦断面図である。図13は、図11に示した生体器官病変部改善用器具の先端部付近の拡大横断面図である。図14は、本発明の生体器官病変部改善用器具に使用されるステント収納チューブ体の一例の先端部を説明するための説明図である。
この実施例の生体器官病変部改善用器具200は、上述した生体器官病変部改善用器具1と同様に、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント203と、ガイドワイヤルーメンを有する内側チューブ体(この実施例では、内管)204と、ステント203を先端部内に収納したステント収納チューブ体(この実施例では、シース)202とを備える。ステント203が内側チューブ体(内管)204の先端部を覆うように配置され、かつステント収納チューブ体(シース)202を内側チューブ体(内管)204に対して基端側に移動させることにより、ステント203を露出可能(放出可能)となっている。そして、この実施例の生体器官病変部改善用器具200では、ステント203は、先端部を除きステント203の先端方向を向く屈曲部および自由端を持たないものであり、ステント収納チューブ体(シース)202は、先端部よりステント203の収納部位の基端部までの内面に、ステント203の外面とステント収納チューブ体202の内面間の接触面積を減少させるための溝223を備えている。
この実施例の生体器官病変部改善用器具200と上述した生体器官病変部改善用器具1との基本構成は、同じであり、相違点は、ステント203の形態と、ステント収納チューブ体(シース)202の内面に設けられた溝の形態のみである。
シース202は、図11ないし図14に示すように、管状体であり、先端および後端は開口している。先端開口は、ステント203を体腔内の狭窄部に留置する際、ステント203の放出口として機能する。ステント203は、この先端開口より押し出されることにより応力負荷が解除されて拡張し圧縮前の形状に復元する。シース202の先端部は、ステント203を内部に収納するステント収納部位22となっている。
また、溝223は、図12および図14に示すシース202のように、シース202の軸方向(中心軸)に対して直交するものに限定されるものではなく、ステント収納チューブ体202の軸方向に対して所定角度斜めに延びる複数の環状溝であってもよい。さらに、溝は、図15に示す実施例のシース202aのように、シース202aの軸方向(中心軸)に対して螺旋状となる溝223aであってもよい。 この場合において、溝223aは、一本の螺旋状溝であってもよく、また、複数の螺旋状溝であってもよい。
シース202の外径としては、1.1〜4.0mm程度が好ましく、特に、1.5〜3.0mmが好ましい。また、シース202の内径としては、1.0〜2.5mm程度が好ましい。シース202の長さは、300〜2500mm、特に、300〜2000mm程度が好ましい。シース202の形成材料としては、上述したものが好適に使用できる。また、シース202の外面には、上述した実施例と同様に、潤滑性を呈するようにするための処理を施すことが好ましい。
また、シース202の基端部には、図11に示すように、上述した生体器官病変部改善用器具1と同様に、シースハブ206が固定されている。シースハブ206は、上述したシースハブ6と同じである。
なお、生体器官病変部改善用器具としては、図11、図12に示すタイプのものに限定されるものではなく、ルーメン241は、内管の基端まで延びるものであってもよい。この場合には、シースの側孔221は不要となる。
この実施例のステント203は、図12および図13に示すように、網状の側面形態を有しており、先端部を除きステント203の先端方向を向く屈曲部および自由端を持たないものとなっている。
具体的には、ステント203は、図16ないし図18に示すように、線状構成要素231により形成されるとともに、側面に多数の開口232を有するものとなっている。また、線状構成要素231は、交差部255において一体化し、最先端部および最基端部を除き、屈曲部および自由端を持たないものとなっている。そして、このステント203は、いわゆる自己拡張型ステントである。
ステント203は、全体において物性の急激な変更点が形成されることなく一体に形成されていることが好ましい。ステント203は、例えば、留置される生体内部位に適合した外径を有する金属パイプを準備し、金属パイプの側面を、切削加工、化学エッチングなどにより部分的に除去することにより作製される。ステント203を形成する材料としては、上述したステント3において説明したものが好適に使用できる。
この実施例のステント300は、ステント1の一端側から他端側まで軸方向に延びかつステントの周方向に複数配列された第1波状ストラット303と、第1波状ストラット303間に位置し、ステントの一端側より他端側まで軸方向に延びかつステントの周方向に複数配列された第2波状ストラット304と、各隣り合う第1波状ストラット303と第2波状ストラット304とを接続するとともに所定長軸方向に延びる1つもしくは複数の接続ストラット305とを備え、先端部を除きステント300の先端方向を向く屈曲部および自由端を持たないものとなっている。また、ステント300は、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能な、いわゆる自己拡張型ステントである。
そして、この実施例のステント300では、第2波状ストラット304の頂点は、この頂点とステント300の周方向に近接しかつ同じ方向に湾曲する第1波状ストラット303の頂点に対して、ステントの軸方向に所定長ずれたものとなっている。また、第1波状ストラット303の端部333、334は、近接する第2波状ストラットの端部343、344と結合されている。
第1波状ストラット303は、ステントの中心軸にほぼ平行に軸方向に延びるものとなっている。そして、第1波状ストラット303は、ステントの周方向に複数本配列されている。第1波状ストラット303の数としては、3本以上であることが好ましく、特に、3〜8本程度が好適である。さらに、複数本の第1波状ストラット303は、ステントの中心軸に対してほぼ等角度となるように配置されていることが好ましい。
そして、この実施例のステント300では、第1波状ストラット303は、両側部を除きほぼ同じ波形が所定長継続するものとなっている。つまり、第1波状ストラット303は、結合部306と結合する両端部付近を除き、ほぼ同じ波形、つまり、同じ波長および同じ振幅の波が連続するものとなっている。第1波状ストラット303が、ほぼ全体に同じ波形を有する場合には、その波長は、ステントの外径によっても相違するが、0.5〜8.0mm程度が好適であり、特に、2.0〜4.0mm程度が好適であり、振幅は、0.5〜10.0mm程度が好適であり、特に、1.0〜3.0mm程度が好適である。
そして、この実施例のステント300では、第2波状ストラット304は、両側部を除きほぼ同じ波形が所定長継続するものとなっている。つまり、第2波状ストラット304は、結合部306と結合する両端部付近を除き、ほぼ同じ波形、つまり、同じ波長および同じ振幅の波が連続するものとなっている。第2波状ストラット304が、ほぼ全体に同じ波形を有する場合には、その波長は、ステントの外径によっても相違するが、0.5〜8.0mm程度が好適であり、特に、2.0〜4.0mm程度が好適であり、振幅は、0.5〜10.0mm程度が好適であり、特に、1.0〜3.0mm程度が好適である。
さらに、この実施例のステント300では、第1波状ストラット303と第2波状ストラット304は、ほぼ同じ波形のものとなっている。つまり、この実施例のステント300では、第1波状ストラット303と第2波状ストラット304は、波長、振幅ともに同じものとなっている。
また、結合部306には、図19ないし図20に示すように放射線不透過性マーカー307が取り付けられている。この実施例では、結合部306は、端部方向に所定距離離間して平行に延びる2本のフレーム部を備えており、放射線不透過性マーカー307は、2本のフレーム部のほぼ全体もしくは一部を被包するものとなっている。放射線不透過性マーカーの形成材料としては、イリジウム、プラチナ、金、レニウム、タングステン、パラジウム、ロジウム、タンタル、銀、ルテニウム、及びハフニウムからなる元素の群から選択された一種のもの(単体)もしくは二種以上のもの(合金)が好適に使用できる。また、マーカーの長さは、0.1〜4.0mm程度が好ましく、0.3〜1.0mmが特に好ましい。また、マーカーの肉厚は、0.01〜0.30mmが好ましく、0.03〜0.10mmが特に好ましい。また、一端側結合部306の端部には、係留用穴308が形成されている。係留用穴308の直径としては、0.01〜0.30mm程度が好ましく、0.05〜0.20mmが特に好ましい。
そして、上述したすべての実施例において、生体器官病変部改善用器具は、図22ないし図38に示すようなタイプのものであってもよい。
この実施例の生体器官病変部改善用器具100は、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント103と、ガイドワイヤルーメンを有する内側チューブ体と、ステント103を先端部内に収納したステント収納チューブ体105とを備える。ステント103が内側チューブ体の先端部を覆うように配置され、かつステント収納チューブ体105を内側チューブ体に対して基端側に移動させることにより、ステント103を露出可能(放出可能)となっている、さらに、ステント収納チューブ体105の少なくともステント103の収納部位の内面は、ステント収納チューブ体105の軸方向に延びる略多角柱状内面となっている。 さらに、ステント収納チューブ体(シース)105の少なくとも先端よりステントの収納部位の基端部までの内面には、ステント収納チューブ体(シース)105の軸方向に延びる複数の溝151bが設けられている。
そして、先端側チューブ102は、先端側に位置し、ステント収納チューブ体105内に収納されたステント103の基端と当接し、ステント103の基端側への移動を規制するステント基端部係止部122を備える。
そして、生体器官病変部改善用器具100は、ステント収納チューブ体105の基端に近接するように配置されたスライドチューブ107を備え、固定チューブ108は、スライドチューブ107を基端側より収納可能であり、スライドチューブ107は、牽引ワイヤ106の牽引によりステント収納チューブ体105とともに基端側に移動可能であり、かつ、ステント収納チューブ体105に固定されていないものとなっている。さらに、スライドチューブ107は、スライドチューブ本体171と、スライドチューブ本体171の先端部に固定され、スライドチューブ本体171の先端を覆い、かつスライドチューブ本体171の先端より生体器官病変部改善用器具100の先端側に延びる先端側筒状部材172とを備えている。そして、先端側筒状部材172は、先端側筒状部材172の先端と基端間に位置しかつ少なくとも内径が縮径した縮径部173を有する一体成形筒状体となっている。
そして、この実施例の生体器官病変部改善用器具100は、基端側チューブ104の基端部には、牽引ワイヤ106を巻き取り、ステント収納チューブ体105を基端側に移動させるための牽引ワイヤ巻取機構を備えている。
この実施例の生体器官病変部改善用器具100は、先端側チューブ102、ステント103、基端側チューブ104、ステント収納チューブ体105、牽引ワイヤ106、スライドチューブ107,固定チューブ108および牽引ワイヤ106の巻取機構を有する操作部110を備えている。そして、固定チューブ108は、先端側チューブ102と基端側チューブ104を接続するとともに、先端側チューブ102の基端部と連通する開口123を備えている。
先端側チューブ102は、図に示すように、先端から基端まで貫通したガイドワイヤルーメン121を有するチューブ体である。先端側チューブ102としては、外径が0.3〜2.0mm、好ましくは0.5〜1.5mmであり、内径が0.2〜1.5mm、好ましくは0.3〜1.2mm、長さが、20〜600mm、好ましくは30〜450mmである。
なお、先端部材(先端部)125の最先端部の外径は、0.5mm〜1.8mmであることが好ましい。また、先端部材(先端部)125の最大径部の外径は、0.8〜4.0mmであることが好ましい。さらに、先端側テーパー部の長さは、2.0〜20.0mmが好ましい。
基端側チューブ104としては、長さが300mm〜1500mm、より好ましくは、1000〜1300mmであり、外径が0.5〜1.5mm、好ましくは0.6〜1.3mmであり、内径が0.3〜1.4mm、好ましくは0.5〜1.2mmである。
基端側チューブ104の中心軸と先端側チューブ102の中心軸とのずれの距離としては、0.1〜2.0mmが好ましく、特に、0.5〜1.5mmが好ましい。
そして、ステント収納チューブ体105は、図26に示すように、ステント収納チューブ体105の先端よりステントの収納部位の基端部までの内面は、ステント収納チューブ体105の軸方向に延びる略多角柱状内面となっている。
ステント収納チューブ体105の長さとしては、20mm〜400mm程度が好ましく、特に、30mm〜300mmが好ましい。また、外径としては、1.1〜4.0mm程度が好ましく、特に、1.5〜3.0mmが好ましい。また、ステント収納チューブ体105の内径としては、1.0〜2.5mm程度が好ましい。
また、溝は、図5に示し上述した実施例と同様に、チューブ体本体部151(ステント収納チューブ体105)の軸方向(中心軸)に対して螺旋状(好ましくは、緩やかな螺旋状)となるものであってもよい。 この場合においても、実質的にチューブ体本体部151(ステント収納チューブ体105)内表面に露出する部分に角部を持たないものであることが好ましい。螺旋状の場合の溝のチューブ体本体部151(ステント収納チューブ体105)の中心軸に対する角度は、0〜90度であることが好ましく、特に、10〜89度であることが好ましい。
さらに、上述したステント203,300のように、先端部を除きステントの先端方向を向く屈曲部および自由端を持たないものを用いてもよい。そして、このようなタイプのステントを用いる場合には、ステント収納チューブ体105は、先端部よりステントの収納部位の基端部までの内面に、ステントの外面とステント収納チューブ体の内面間の接触面積を減少させるための溝を備えるものとなる。このタイプのステントを用いる場合においては、溝は、上述したようなチューブ体本体部151(ステント収納チューブ体105)の軸方向(中心軸)に平行に延びるもの、チューブ体本体部151(ステント収納チューブ体105)の軸方向(中心軸)に対して螺旋状(好ましくは、緩やかな螺旋状)となるものであってもよい。さらには、図12ないし図14に示した実施例のシース202のように、溝は、チューブ体本体部151の軸方向(中心軸)に直交する複数の環状溝であってもよい。さらには、溝は、図15に示した実施例のシース202aのように、チューブ体本体部の軸方向(中心軸)に対して螺旋状となる溝あってもよい。 この場合において、溝223aは、一本の螺旋状溝であってもよく、また、複数の螺旋状溝であってもよい。
なお、ステント収納チューブ体105としては、上述したようなチューブ体本体部151と筒状部152からなるものに限定されるものではなく、一体物であってもよい。
そして、本発明の生体器官病変部改善用器具100では、図23ないし図30に示すように、スライドチューブ107は、スライドチューブ本体171と、スライドチューブ本体171の先端部に接着剤177により固定され、スライドチューブ本体171の先端を覆い、かつスライドチューブ本体171の先端より生体器官病変部改善用器具100の先端側に延びる先端側筒状部材172とを備えている。そして、先端側筒状部材172は、先端側筒状部材172の先端部174と基端部間に位置しかつ少なくとも内径が縮径した縮径部173を有する一体成形筒状体となっている。そして、この実施例では、縮径部173の内径は、スライドチューブ本体171の内径とほぼ等しいまたは若干大きいもしくは若干小さいものとなっている。さらに、この実施例の生体器官病変部改善用器具100では、図23ないし図30に示すように、先端側筒状部材172は、少なくとも縮径部173以外の部分の外径および内径が、スライドチューブ本体171より大きいものとなっている。
さらに、この実施例では、スライドチューブ本体171の全体にわたり補強層178を備えている。このような補強層を設けることにより、耐キンク性が向上し、スライドチューブ107のスライドが良好なものとなる。補強層は、網目状の補強層であることが好ましい。網目状の補強層は、ブレード線で形成することが好ましい。例えば、ワイヤブレードであり、線径0.01〜0.2mm、好ましくは0.03〜0.1mmのステンレス、弾性金属、超弾性合金、形状記憶合金等の金属線で形成することができる。または、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維等の合成繊維で形成してもよい。
先端側チューブ102の基端部には、その基端部を収納した筒状固着部材183が設けられており、また、基端側チューブ104の先端には、その先端部を収納した筒状固定部材184が設けられている。そして、図29および図31に示すように、基端側固定チューブ182に、筒状固着部材183および筒状固定部材184が固着されている。
さらに、ステント収納チューブ体105の外面には、潤滑性を呈するようにするための処理を施すことが好ましい。このような処理としては、例えば、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティング、または固定する方法などが挙げられる。また、ステント収納チューブ体105の内面に、ステント103の摺動性を良好なものにするため、上述のものをコーティング、または固定してもよい。
また、ステント収納チューブ体105は、上記のようなポリマーの2層構造(例えば、外面はナイロン、内面はPTFE)の組み合わせで形成しても良い。
そして、図22、図23、図27ないし図30および図32に示すように、この生体器官病変部改善用器具100では、複数(具体的には、2本)の牽引ワイヤ106a,106bを備えており、牽引ワイヤ106a、106bは、かなりステントに近い部分に設けられた固定点169a、169bにより、ステント収納チューブ体105の基端部に固定されている。また、牽引ワイヤ106a,106bおよびこの固定点169a、169bは、所定距離離間するように配置されている。
牽引ワイヤの構成材料としては、線材もしくは複数本の線材を撚ったものが好適に使用できる。また、牽引ワイヤの線径は、特に限定されないが、通常、0.01〜0.55mm程度が好ましく、0.1〜0.3mm程度がより好ましい。
また、牽引ワイヤ106の形成材料としては、ステンレス鋼線(好ましくは、バネ用高張力ステンレス鋼)、ピアノ線(好ましくは、ニッケルメッキあるいはクロムメッキが施されたピアノ線)、または超弾性合金線、Ni−Ti合金、Cu−Zn合金、Ni−Al合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、コバルト合金、タンタル等の各種金属により形成された線材や、ポリアミド、ポリイミド、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂等の比較的高剛性の高分子材料、あるいは、これらを適宜組み合わせたものが挙げられる。
また、牽引ワイヤの側面に滑性を増加させる低摩擦性樹脂を被覆してもよい。低摩擦性樹脂としては、フッ素系樹脂、ナイロン66、ポリエーテルエーテルケトン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。この中でも、フッ素系樹脂がより好ましい。フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン、パーフロロアルコキシ樹脂等が挙げられる。またシリコンや各種親水性樹脂によるコーティングであってもよい。
そして、剛性付与体111は、基端部にて基端側チューブ104の基端部もしくは後述する操作部110に固定されていることが好ましい。このような剛性付与体111を設けることにより、牽引部材(牽引ワイヤ)の牽引時における生体器官病変部改善用器具の変形を抑制できる。また、剛性付与体111の先端111aは、スライドチューブ係止部124による固定を確実にするために、平坦部となるように形成してもよい。さらに、側面に波状部分を形成して固定部材からの抜け止めを設けてもよい。
また、剛性付与体111としては、本体側部分(具体的には、基端側チューブ内となる部分)の剛性が高く(例えば、線径が太い)、先端側部分の剛性が低い(具体的には、線径が細い)ものであることが好ましい。さらに、両者の変化点は、線径がテーパー状に変形するテーパー部となっていることが好ましい。
また、剛性付与体111の形成材料としては、ステンレス鋼線(好ましくは、バネ用高張力ステンレス鋼)、ピアノ線(好ましくは、ニッケルメッキあるいはクロムメッキが施されたピアノ線)、または超弾性合金線、Ni−Ti合金、Cu−Zn合金、Ni−Al合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、コバルト合金、タンタル等の各種金属により形成された線材が挙げられる。また、剛性付与体111は、牽引部材(牽引ワイヤ)より、硬質であることが好ましい。
ステント収納チューブ体105内には、ステント103が収納されている。
ステント103としては、いわゆる自己拡張型ステントであればどのようなものであってもよい。ステント103としては、例えば、上述したステントが好適に使用できる。
上述した実施例の生体器官病変部改善用器具では、固定チューブ108は、牽引時において、スライドチューブ107を基端側より収納するタイプ、言い換えれば、スライドチューブ107のスライドチューブ本体171が、基端より、固定チューブ108内に侵入するタイプのものとなっている。
これに対して、この実施例の生体器官病変部改善用器具120では、牽引時において、スライドチューブ107が基端側より固定チューブ108を被嵌するタイプ、言い換えれば、スライドチューブ107のスライドチューブ本体171aが、基端より、固定チューブ108の先端側固定チューブ181cを被包するものとなっている。
このため、スライドチューブ本体171aの内径は、固定チューブ108の先端側固定チューブ181cの外径とほぼ等しい、もしくは、若干大きいものとなっている。先端側固定チューブ181cは、固定部181bにより、その基端部において、基端側固定チューブ182の先端部に固定されている。また、この実施例では、部材124は、スライドチューブ係止部として機能しない。
図34は、本発明の生体器官病変部改善用器具の操作部付近の拡大正面図である。図35は、図34に示した生体器官病変部改善用器具の操作部付近の背面図である。図36は、図34に示した生体器官病変部改善用器具の操作部の内部構造を説明するための説明図である。図37は、図34に示した生体器官病変部改善用器具の操作部分のみの右側面図である。図38は、図34に示した生体器官病変部改善用器具の操作部の内部構造を説明するための説明図である。
この実施例の生体器官病変部改善用器具100における操作部110は、牽引ワイヤ巻取機構に加えて、牽引ワイヤ巻取機構の回転を解除可能にロックするロック機構および牽引ワイヤ巻取機能の牽引ワイヤの巻取方向と逆方向への回転を規制する逆回転規制機構を備えている。
そして、図36に示すように、基端側チューブ104の基端には、筒状コネクタ145の先端部が固定されている。また、操作部ハウジング150内には、コネクタ145の基端部に接続されたシール機構が収納されている。このシール機構は、図36に示すように、コネクタ145の後端部に固定された先端部を備えるシール機構筒状本体部材170と、筒状本体部材170の基端に固定されたキャップ部材170aと、筒状本体部材170とキャップ部材170a間に配置されたシール部材170bと、筒状本体部材170内に収納された剛性付与体固定用部材170cを備えている。筒状本体部材170およびキャップ部材170aは、貫通する開口部を備えている。シール部材170bは、牽引ワイヤ106(106a,106b)を液密状態かつ摺動可能に貫通させるための孔部もしくはスリットを備えている。また、剛性付与体固定用部材170cには、剛性付与体111の基端部が固定されている。そして、剛性付与体固定用部材170cは、筒状本体部材170内に固定されている。
そして、この実施例では、巻取シャフト部163は、回転ローラ161と同軸となるように一体化されている。さらに、図34、図36および図37に示すように、巻取シャフト部163は、回転ローラ161の一方の側面側に設けられている。そして、回転ローラ161を回転させることにより、巻取シャフト部163も同時に回転する。なお、回転ローラの回転操作量に比べて、牽引ワイヤの巻取量が少ないことが好ましい。このようにすることにより、ゆっくりとした巻取を行うことができ、ステント収納チューブ体の基端側への移動もゆっくりかつ良好なものとなる。この実施例では、巻取シャフト部の外径は、回転操作用ローラより小径となっているため、回転ローラの回転操作量に比べて、牽引ワイヤの巻取量が少ないものとなっている。
なお、回転ローラと巻取シャフト部は、このような一体的なものに限定されるものではなく、回転ローラが回転することにより、追従して回転する別部材により構成したものであってもよい。回転ローラの回転の伝達方式としては、ギア形式のもの、ベルト形式のものなどであってもよい。また、ローラ161の操作する際に接触する可能性のある表面部位は、滑りにくい表面となっていることが好ましい。例えば、ローラ161の操作する際に接触する可能性のある表面部位には、ローレット処理、エンボス処理、高摩擦材料被覆などを行うことが好ましい。
操作用回転ローラ161は、図34ないし図36に示すように、同軸にかつ一体的に回動するように設けられた歯車部162を備えている。さらに、図35、図37に示すように、歯車部162は、回転ローラ161の他方の側面側(言い換えれば、巻取シャフト部163が設けられた面と反対側の面)に設けられている。よって、歯車部162と巻取シャフト部163は、操作用ローラ部が構成する壁により仕切られた状態となっている。
また、操作用回転ローラ161は、部分的に開口部より露出しており、この部分が操作部となる。そして、回転ローラは、一方の側面(具体的には、歯車部の側面)に設けられた回転軸の他端164aおよび他方の側面(具体的には、巻取シャフトの側面)に設けられた回転軸の一端164bを備えている。
操作部110内には、図34ないし図36に示すように、逆回転規制機構を備えている。この操作部110では、付勢部材180に逆回転規制機構が設けられており、付勢部材180は、逆回転規制部材でもある。逆回転規制機構は、逆回転規制部材(付勢部材でもある)180の先端部の上記操作用回転ローラ161の歯車部162と向かい合う部分に設けられ、歯車部と噛合可能な噛合部188と、弾性変形可能部186と、ハウジングへの装着部187を備えている。また、第1ハウジング150aは、内面に形成された第1の突出部(軸受部)159および第2の突出部179を備えている。第1の突出部159は、逆回転規制部材(付勢部材)180の弾性変形可能部186内に侵入するとともに、弾性変形可能部186の内面形状に対応した外面形状を有するものとなっている。具体的には、弾性変形可能部186の内面形状は、円弧状となっており、第1の突出部159は、その円弧形状に対応した円筒状となっている。そして、逆回転規制部材(付勢部材)180の装着部187は、第1ハウジング150aに形成された第1の突出部159と第2の突出部179間に装着可能な形状となっている。そして、逆回転規制部材(付勢部材)180は、その装着部187が、第1ハウジング150aの第1の突出部159と第2の突出部179間に装着されることにより、回動不能に装着されるとともに、弾性変形可能部186の弾性力により、操作用回転ローラ161を開口部158方向に付勢するものとなっている。また、逆回転規制部材(付勢部材)180の装着部187は、カラー部材112に設けられた円盤状の突出部113aにより、側面方向への移動が規制されている。
そして、操作部110が備えるカラー部材112は、一端部がピン113により軸支されているとともに、他端側のカラー部114は、巻取シャフト部163を収納するとともに、巻取シャフト部163との間に環状空間を形成する。この環状空間はあまり大きな空間ではなく、巻き取ったワイヤの外面間により狭小な環状空間を形成するものである。
まず、図22および図24に示す生体器官病変部改善用器具の先端部材の開口部125aに、ガイドワイヤの後端部を挿入し、開口123よりガイドワイヤ(図示せず)を導出する。次に、生体内に挿入されているガイディングカテーテル(図示せず)内に生体器官病変部改善用器具100を挿入し、ガイドワイヤに沿わせて生体器官病変部改善用器具100を押し進め、目的とする狭窄部内にステント収納チューブ体105のステント収納部位を位置させる。
次に、操作部110の操作用回転ローラ161を押圧した後、ローラを図36の矢印方向に回転させる。これにより、牽引ワイヤ106は、巻取シャフト163の外周面に巻き取られるとともに、ステント収納チューブ体105およびスライドチューブ107は、軸方向基端側に移動する。この時、ステント103はその後端面が先端側チューブ102のステント基端部係止部122の先端面に当接し係止されるので、ステント収納チューブ体105の移動に伴って、ステント収納チューブ体105の先端開口より放出される。この放出により、ステント103は、図32に示すように、自己拡張し狭窄部を拡張するとともに狭窄部内に留置される。
2 ステント収納チューブ体(シース)
3 ステント
4 内側チューブ体(内管)
22 ステントの収納部位
23 溝
100 生体器官病変部改善用器具
103 ステント
105 ステント収納チューブ体
151 チューブ体本体部
151b 溝
Claims (15)
- 略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステントと、ガイドワイヤルーメンを有する内側チューブ体と、前記ステントを先端部内に収納したステント収納チューブ体とを備え、かつ前記ステントが前記内側チューブ体の先端部を覆うように配置され、かつ前記ステント収納チューブ体を前記内側チューブ体に対して基端側に移動させることにより、前記ステントを露出可能である生体器官病変部改善用器具であって、前記ステント収納チューブ体の少なくとも先端よりステントの収納部位の基端部までの内面には、前記ステントの外面と前記ステント収納チューブ体の内面間の接触面積を減少させるための溝が設けられており、かつ前記溝は、該ステント収納チューブ体の軸方向に延びる複数の溝であることを特徴とする生体器官病変部改善用器具。
- 前記溝は、前記ステント収納チューブ体の軸方向に平行に延びる複数の溝である請求項1に記載の生体器官病変部改善用器具。
- 前記溝は、前記ステント収納チューブ体の軸方向に対して緩やかな螺旋状となっている複数の溝である請求項1に記載の生体器官病変部改善用器具。
- 前記溝は、実質的に角部を持たないものとなっている請求項1ないし3のいずれかに記載の生体器官病変部改善用器具。
- 略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステントと、ガイドワイヤルーメンを有する内側チューブ体と、前記ステントを先端部内に収納したステント収納チューブ体とを備え、かつ前記ステントが前記内側チューブ体の先端部を覆うように配置され、かつ前記ステント収納チューブ体を前記内側チューブ体に対して基端側に移動させることにより、前記ステントを露出可能である生体器官病変部改善用器具であって、前記ステントは、先端部を除き前記ステントの先端方向を向く屈曲部および自由端を持たないものであり、かつ、前記ステント収納チューブ体の先端部よりステントの収納部位の基端部までの内面には、前記ステントの外面と前記ステント収納チューブ体の内面間の接触面積を減少させるための溝が設けられていることを特徴とする生体器官病変部改善用器具。
- 前記溝は、前記ステント収納チューブ体の軸方向に平行に延びる複数の溝である請求項5に記載の生体器官病変部改善用器具。
- 前記溝は、前記ステント収納チューブ体の軸方向に対して緩やかな螺旋状となっている複数の溝である請求項5に記載の生体器官病変部改善用器具。
- 前記溝は、前記ステント収納チューブ体の軸方向に直交もしくは所定角度斜めに延びる複数の環状溝である請求項5に記載の生体器官病変部改善用器具。
- 前記溝は、前記ステント収納チューブ体の軸方向に対して螺旋状に延びる1または複数の溝である請求項5に記載の生体器官病変部改善用器具。
- 前記ステント収納チューブ体は、最先端部に溝非形成部を備えている請求項5ないし9のいずれかに記載の生体器官病変部改善用器具。
- 前記溝は、実質的に角部を持たないものとなっている請求項5ないし10のいずれかに記載の生体器官病変部改善用器具。
- 前記内側チューブ体は、前記ガイドワイヤルーメンを有する先端側チューブと、基端側チューブと、前記先端側チューブの基端部および前記基端側チューブの先端部が固定されるとともに前記ガイドワイヤルーメンと連通する開口を備える固定チューブとを備え、前記ステント収納チューブ体は、前記先端側チューブの先端側を被包しかつ前記先端側チューブの基端方向に摺動可能であり、前記生体器官病変部改善用器具は、前記ステント収納チューブ体に一端部が固定され、前記基端側チューブ内を延びるとともに該基端側チューブの基端側に牽引することにより、前記ステント収納チューブ体を基端側に移動させるための少なくとも一つの牽引ワイヤとを備えるものである請求項1ないし11のいずれかに記載の生体器官病変部改善用器具。
- 前記先端側チューブは、該先端側チューブの先端側に位置し、前記ステント収納チューブ体内に収納された前記ステントの基端と当接し、該ステントの基端側への移動を規制するステント基端部係止部を備えている請求項12に記載の生体器官病変部改善用器具。
- 前記生体器官病変部改善用器具は、前記ステント収納チューブ体の基端に近接するように配置されたスライドチューブを備え、かつ、前記固定チューブは、前記スライドチューブを基端側より収納可能もしくは前記スライドチューブが基端側より被嵌可能であり、前記スライドチューブは、前記牽引ワイヤの牽引により前記ステント収納チューブ体とともに基端側に移動可能であり、かつ、前記ステント収納チューブ体に固定されていないものとなっている請求項12または13に記載の生体器官病変部改善用器具。
- 前記基端側チューブの基端部には、前記牽引ワイヤを巻き取り、前記ステント収納チューブ体を基端側に移動させるための牽引ワイヤ巻取機構を備える操作部を有する請求項12ないし14のいずれかに記載の生体器官病変部改善用器具。
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