JPH08252321A - 治療具搬送用カテーテル - Google Patents

治療具搬送用カテーテル

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JPH08252321A
JPH08252321A JP8313295A JP8313295A JPH08252321A JP H08252321 A JPH08252321 A JP H08252321A JP 8313295 A JP8313295 A JP 8313295A JP 8313295 A JP8313295 A JP 8313295A JP H08252321 A JPH08252321 A JP H08252321A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】治療具搬送用カテーテル1Aは、管腔に挿入し
て使用され、治療具10を管腔の目的部位(血管狭窄
部)へ搬送し、固定するためのものであり、可撓性を有
するカテーテル本体2と、その先端部に形成された治療
具保持部3と、治療具保持部3を被包するカバー部材4
と、カバー部材4をカテーテル本体2の長手方向に移動
操作する操作手段5と、治療具保持部3に収納、保持さ
れ、カバー部材4による規制が解除されると自らの弾性
力で拡径する管状の治療具(ステント)10とで構成さ
れている。カバー部材4は、操作手段5の操作部材51
を軸方向に移動操作することにより、治療具保持部3を
被包する第1の位置と、この位置より前進して治療具保
持部3を開放する第2の位置とに移動する。 【効果】管腔内壁を保護し、操作が容易であり、治療具
の固定位置、姿勢を適正にすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、治療具搬送用カテーテ
ル、特に、ステントや人工血管のような管腔治療具を、
例えば血管、気管、食道、腸、胆管、尿道管等の管腔内
の目的部位へ搬送し、固定するための治療具搬送用カテ
ーテルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、血管の再狭窄、悪性胆管狭窄、癌
性気管狭窄に対し、外科的治療に代わり、患者への侵襲
が少ない低侵襲性治療が試行されている。この低侵襲治
療の一つに、ステント等の管腔治療具をカテーテルを用
いて生体管経由で狭窄部(治療の目的部位)へ搬送し、
これを狭窄部で拡張(拡径)させる治療がある。
【0003】ステントとは、弾性金属線材よりなる網状
物を管状に形成したものであり、その内側に挿入された
バルーンを膨張させることにより拡径するバルーンエク
スパンドタイプと、規制が解除されると自らの弾性によ
り拡径するセルフエクスパンドタイプとがある(吉川ら
「Metallic Stent」IVR, Vol.19, NO.2, 151-156(198
4))。
【0004】ところで、前述したように、ステントは、
弾性金属線材で構成されているため、ステントを目的部
位へ挿入、搬送するに際し、挿入経路である管腔の内壁
面、特に、血管内皮のようなデリケートな管腔内壁面を
損傷し易い。血管内皮を損傷すると、平滑筋細胞が増殖
し、血管を硬化させる原因となるので好ましくない。ま
た、ステントの搬送の途中でステントに血液等の体液や
血栓等の蛋白の付着が生じ、ステントの機能を低下させ
ることもある。従って、ステントを目的部位へ挿入する
ためのカテーテルには、ステントを露出せずに搬送し、
目的部位で拡径するような工夫がなされている。
【0005】図8および図9は、それぞれ、従来の治療
具搬送用カテーテル(以下単に「カテーテル」と言う)
の構成を示す断面図である。
【0006】図8に示すカテーテル15は、管状の外側
シース151と、該外側シース151内に挿入されるス
テント押圧用のプッシングカテーテル152とからな
り、外側シース151の内腔の先端部にステント(治療
具)17が収納された構成となっている。このカテーテ
ル15の使用方法は、カテーテル15を血管11内に挿
入し、その先端が狭窄部(目的部位)12の近傍の前方
位置に到達したら、外側シース151を血管11に対し
不動の状態に維持しつつ、プッシングカテーテル152
を図中矢印で示すように前進させて、ステント17を外
側シース151の前方へ押し出す。押し出されたステン
ト17は、外側シース151の内面から受けていた規制
が解除されるので、自らの弾性により拡径し、血管11
の内面に密着する。
【0007】しかしながら、このカテーテル15では、
プッシングカテーテル152によりステント17を押し
出す際に、プッシングカテーテル152の押圧力が大き
いと、図8中の一点鎖線で示すように、ステント17が
遠くへ飛び出して、狭窄部12からずれた位置に固定さ
れてしまい、ステント17の姿勢が血管11の管軸に対
し傾斜して固定されることもある。このような場合、ス
テント17の固定位置や姿勢が不適正となり、ステント
17の機能を十分に発揮することができない。
【0008】一方、図9に示すカテーテル16は、管状
の外側シース161と、該外側シース161内に挿入さ
れ、先端部にステント17を収納したカテーテル本体1
62とからなる。このカテーテル16の使用方法は、カ
テーテル16を血管11内に挿入し、その先端が狭窄部
(目的部位)12へ到達したら、カテーテル本体162
を血管11に対し不動の状態に維持しつつ、外側シース
161を図中矢印で示すように後方へ引いて後退させ、
ステント17を露出させる。露出したステント17は、
外側シース161の内面から受けていた規制が解除され
るので、自らの弾性により拡径し、血管11の内面に密
着して狭窄部12を拡張する。
【0009】しかしながら、このカテーテル16では、
外側シース161を後方に移動する際、外側シース16
1とカテーテル16の挿入経路である血管11との間に
摺動抵抗が発生し、操作性が劣る。また、カテーテル1
6が、血液の逆流を防止するための逆止弁や止血用のテ
ーピング部を通過して挿入されている場合、外側シース
161を後方に移動する際、この逆止弁やテーピング部
との間でも大きな抵抗が生じる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、管腔
への挿入時に管腔内壁を保護し、操作が容易であるとと
もに、治療具の固定位置、姿勢を適正にすることができ
る治療具搬送用カテーテルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(7)の本発明により達成される。
【0012】(1) 拡径可能な管状の治療具を管腔内
の目的部位へ搬送、固定するための治療具搬送用カテー
テルであって、前記管腔へ挿入可能な可撓性を有するカ
テーテル本体と、前記カテーテル本体の先端部に形成さ
れ、前記治療具を収納、保持する治療具保持部と、前記
カテーテル本体の先端部に、前記治療具保持部を被包す
るとともに前記カテーテル本体の長手方向に移動可能に
設置されたカバー部材と、前記カバー部材を、前記治療
具保持部を被包する第1の位置と、前記治療具保持部を
開放する第2の位置とに移動操作する操作手段とを有
し、治療具搬送用カテーテルを挿入した管腔に対し、前
記カテーテル本体および前記治療具を不動の状態としつ
つ、前記カバー部材を前記第2の位置へ移動して前記治
療具を前記治療具保持部から離脱可能にするよう構成し
たことを特徴とする治療具搬送用カテーテル。
【0013】(2) 拡径可能な管状の治療具を管腔内
の目的部位へ搬送、固定するための治療具搬送用カテー
テルであって、前記管腔へ挿入可能な可撓性を有するカ
テーテル本体と、拡径可能な管状の治療具と、前記カテ
ーテル本体の先端部に形成され、前記治療具を収納、保
持する治療具保持部と、前記カテーテル本体の先端部
に、前記治療具保持部を被包するとともに前記カテーテ
ル本体の長手方向に移動可能に設置されたカバー部材
と、前記カバー部材を、前記治療具保持部を被包する第
1の位置と、前記治療具保持部を開放する第2の位置と
に移動操作する操作手段とを有し、治療具搬送用カテー
テルを挿入した管腔に対し、前記カテーテル本体および
前記治療具を不動の状態としつつ、前記カバー部材を前
記第2の位置へ移動して前記治療具を前記治療具保持部
から離脱可能にするよう構成したことを特徴とする治療
具搬送用カテーテル。
【0014】(3) 前記操作手段は、前記カテーテル
本体の基端部に設置された操作部材と、前記カテーテル
本体に沿って設置され、前記操作部材の操作を前記カバ
ー部材に伝達する伝達部材とで構成されている上記
(1)または(2)に記載の治療具搬送用カテーテル。
【0015】(4) 前記カテーテル本体の外周面と、
前記治療具保持部を被包した状態の前記カバー部材の外
周面とが、実質的に段差のない連続面を形成している上
記(1)ないし(3)のいずれかに記載の治療具搬送用
カテーテル。
【0016】(5) 前記カバー部材の少なくとも前記
治療具と接触する部位が低摩擦材料で構成されている上
記(1)ないし(4)のいずれかに記載の治療具搬送用
カテーテル。
【0017】(6) 前記カテーテル本体は、その内部
に少なくとも1つのルーメンを有する上記(1)ないし
(5)のいずれかに記載の治療具搬送用カテーテル。
【0018】(7) 前記ルーメン内に流入した流体が
前記カテーテル本体の基端側へ逆流するのを阻止または
緩和するシール手段を有する上記(6)に記載の治療具
搬送用カテーテル。
【0019】
【実施例】以下、本発明の治療具搬送用カテーテルを添
付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0020】図1は、本発明の治療具搬送用カテーテル
の実施例を示す縦断面図、図2は、図1に示す治療具搬
送用カテーテルの治療具保持部が開放した状態の構成を
示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1、図
2および後述する図3、図4中において、左側を「先
端」、右側を「基端」と言い、先端側へ移動することを
「前進」、基端側へ移動することを「後退」と言う。
【0021】図1および図2に示す治療具搬送用カテー
テル(以下単に「カテーテル」と言う)1Aは、血管に
挿入して使用され、治療具10を血管の狭窄部(治療の
目的部位)へ搬送し、固定するためのものであり、主
に、血管へ挿入可能な可撓性を有するカテーテル本体2
と、カテーテル本体2の先端部に形成された治療具保持
部3と、該治療具保持部3を被包するカバー部材4と、
該カバー部材4をカテーテル本体2の長手方向に移動操
作する操作手段5と、治療具保持部3に収納、保持され
る拡径可能な管状の治療具10とで構成されている。以
下、これらの各構成要素について順次説明する。
【0022】カテーテル本体2は、挿入する血管に追従
し得る程度の可撓性(柔軟性)を有する長尺の部材であ
り、横断面がほぼ円形をなしている。このカテーテル本
体2の内部には、カテーテル本体2の基端から先端まで
連通するルーメン21が形成されている。このルーメン
21内には、後述する伝達部材55およびチューブ6が
その長手方向に摺動可能に挿入されている。
【0023】カテーテル本体2の構成材料としては、例
えば、ポリ塩化ビニル、スチレン−エチレンブテン−ス
チレン(SEBS)、エチレン−ポリプロピレンコポリ
マー(EPM)、エチレン−プロピレン多ポリマー(E
PDM)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステ
ル(PET、EVA等)、ポリエステル系エラストマー
(例えば東洋紡績社製の商品名:ペルプレン)、ポリア
ミド、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン、シリ
コーン等の柔軟性を有する各種樹脂材料が挙げられる。
また、これらの材料を2種以上組み合わせたもの(ポリ
マーアロイ、積層体等)であってもよい。
【0024】カテーテル本体2の先端部には、治療具1
0を収納、保持する治療具保持部3が形成されている。
この治療具保持部3は、カテーテル本体2の外径より縮
径し、その外周部に治療具10を挿通可能な中空の縮径
部31と、該縮径部31の先端に形成された円盤状(鍔
状)の係止部32とで構成されており、これらにより形
成される環状の凹部33に治療具10を収納、保持す
る。
【0025】縮径部31の長さは、縮径(外径減少)状
態の治療具10の長さと同等かまたはそれより若干大き
い値とされる。また、係止部32の外径は、縮径状態の
治療具10の外径とほぼ同等とされる。
【0026】図示の構成では、縮径部31および係止部
32は、カテーテル本体2と一体的に形成されている
が、これらは、それぞれ、別部材を接合したものであっ
てもよい。
【0027】治療具保持部3には、治療具10が縮径状
態で収納されている。本実施例における治療具10は、
主に、血管狭窄部の拡張治療に用いられるセルフエクス
パンドタイプのステントであり、カバー部材4による規
制が解除されると、その内径がカテーテル本体2および
カバー部材4の外径以上となるように拡径する。このス
テントの構成としては、例えば、弾性金属線材を交織し
てなるシートをロール状に丸めたもの、アモルファス金
属線材を交織してなるもの、ステンレス鋼または形状記
憶合金よりなるワイヤーをコイル状に巻回したもの等が
挙げられる。
【0028】なお、治療具10には、例えば、抗血栓
剤、血栓溶解剤、抗癌剤のような各種薬剤が担持されて
いてもよい。例えば、抗血栓剤、血栓溶解剤を担持させ
た場合、カテーテル1Aの血管への挿入中に治療具10
が血液と接触しても、治療具10への血栓の付着等、血
液の影響を抑制することができる。
【0029】また、カテーテル本体2の先端部には、治
療具保持部3を被包するカバー部材4がカテーテル本体
2の長手方向に移動可能に設置されている。このカバー
部材4は、凹部33の外方に形成された円筒状の被包部
41と縮径部31の内腔に挿入される軸部42と、被包
部41および軸部42の先端を連結するヘッド部43と
で構成されている。
【0030】ヘッド部43は、先端へ向かってその外径
が漸減し、図示の構成では、ほぼ円錐形状をなしてい
る。これにより、カテーテル1Aの血管への挿入を円滑
かつ安全に行うことができる。このヘッド部43には、
その先端に開口し、後述するチューブ6が挿入された孔
44が形成されている。
【0031】また、ヘッド部43には、X線造影性を有
するチップ45が埋設されている。これにより、X線透
視下で、カテーテル1Aの先端位置を把握することがで
きるとともに、操作手段5の操作によるカバー部材4の
移動状態や位置、特に治療具10に対する位置を確認す
ることができる。
【0032】チップ45としては、例えば、金、銀、白
金、パラジウム、タングステン、ニッケル、チタンまた
はこれらを含む合金等の各種金属で構成された金属チッ
プが好適に使用される。なお、チップ45は、カバー部
材4の他の位置や、カテーテル本体2に設置されていて
もよい。
【0033】カテーテル本体2の先端部外周であって、
縮径部31との境界付近には、被包部41の厚さに相当
する落差を有する段差部22が形成されており、この段
差部22内にカバー部材4の被包部41の基端部が嵌合
する。これにより、カバー部材4とカテーテル本体2と
の外周面同士は、実質的に段差のない連続面を形成する
こととなり、カテーテル1Aの血管への挿入または抜去
の際に、血管内面を損傷することなく、円滑かつ安全に
行うことができる。
【0034】カバー部材4の構成材料としては、前記カ
テーテル本体2の構成材料として挙げたものと同様のも
のが使用可能である。カバー部材4の少なくとも被包部
41の内周面は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン
のような低摩擦材料で構成されているのが好ましい。こ
の場合、カバー部材4全体または被包部41全体を低摩
擦材料で構成しても、被包部41の内面に低摩擦材料よ
りなる層を形成してもよい。このような構成とすること
により、カバー部材4を移動する際、その内周面に接触
している治療具10との摺動抵抗が減少し、カバー部材
4の移動操作を容易に行うことができる。
【0035】このようなカバー部材4は、操作手段5の
移動操作により、治療具保持部3を被包する第1の位置
(図1に示す状態)と、この位置より前進して治療具保
持部3を開放する第2の位置(図2に示す状態)とに移
動する。
【0036】操作手段5は、カテーテル本体2の基端部
にカテーテル本体2の長手方向に移動可能に装着された
操作部材51と、ルーメン21内に挿通され、操作部材
51の移動操作をカバー部材4に伝達する伝達部材55
とで構成されている。
【0037】操作部材51は、円筒状の外筒52と、外
筒52の基端を遮蔽する底板53と、基端が底板53の
内面側ほぼ中央に固着された軸部54とで構成されてお
り、カテーテル本体2の基端が外筒52内に挿入される
とともに、これと逆方向から軸部54の先端がルーメン
21内に挿入されている。
【0038】操作部材51の構成材料としては、前述し
たカテーテル本体2の構成材料と同様の材料のほか、例
えば、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、
ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテル
ケトン(PEEK)、エポキシ樹脂等の硬質材料が挙げ
られる。
【0039】操作部材51の軸部54の先端とカバー部
材4の軸部42の基端とは、伝達部材55により連結さ
れている。本実施例における伝達部材55は、図3に示
すように、例えば、前記カテーテル本体2の構成材料と
して挙げたものと同様の樹脂や、ステンレス鋼、Ni−
Ti超弾性合金、アルミニウム、白金等の各種金属より
なる線材(ワイヤー)56をコイル状に巻回したもので
構成されている。
【0040】なお、本発明において、伝達部材55は、
操作部材51の操作をカバー部材4に伝達してカバー部
材4を移動することができるものであれば、いかなるも
のでもよく、例えば、前述したような線材(ワイヤー)
の単線またはその集合体(束、捻り線等)や、金属バネ
鎖等であってもよい。
【0041】ルーメン21内には、伝達部材55ととも
に可撓性を有するチューブ6が収納されている。このチ
ューブ6の先端部は、ヘッド部43の孔44に嵌入、固
定され、基端部は、ルーメン21から出て軸部54に沿
って延長され、さらに底板53を貫通して操作部材51
の基端側に突出している。
【0042】チューブ6の基端には、ルーメン61内に
流入した流体、特に血液がカテーテル本体2の基端側へ
逆流するのを阻止または緩和するシール手段として逆止
弁62が設置されている。
【0043】なお、このチューブ6は、少なくともカバ
ー部材4および操作部材51に固着され(好ましくは伝
達部材55にも固着され)、操作部材51の移動操作に
伴って移動する。
【0044】チューブ6は、例えば、その内部に形成さ
れたルーメン61を介してカテーテル1Aの先端から血
管内に例えばX線造影剤や、各種薬液、洗浄液等の液体
を注入したり、ルーメン61内にガイドワイヤー(図示
せず)を挿通して、カテーテル1Aを血管に挿入する際
の先端誘導を行うのに用いられる。
【0045】カテーテル本体2の基端部には、ルーメン
21内に流入した流体、特に血液がカテーテル本体2の
基端側へ逆流するのを阻止または緩和するシール手段と
して、軸部54およびチューブ6に密着するシール部材
7が埋設されている。このシール部材7は、図1に示す
ように、軟質樹脂またはゴム等の弾性材料よりなるリン
グ状の部材で構成される。また、他のシール部材71と
しては、図4に示すように、前記と同様の材料で構成さ
れた膜72に切り込み73が形成されたもの等が挙げら
れる。
【0046】次に、カテーテル1Aを血管狭窄部の拡張
治療に用いた場合の作用について説明する。
【0047】図1に示すように、治療具10は、治療具
保持部3に収納され、カバー部材4で被包された状態で
は、カバー部材4の内周面に規制されて縮径状態を保
つ。この状態で、チューブ6のルーメン61内にガイド
ワイヤ(図示せず)を挿入し、このガイドワイヤを先行
させて、X線透視下で位置を確認しつつ、カテーテル1
Aを血管内に徐々に挿入して行く。このとき、カバー部
材4のヘッド部43が先端へ向かってその外径が漸減す
る形状をなし、かつカバー部材4とカテーテル本体2と
の外周面同士が段差のない連続面を形成しているので、
血管内面を損傷することなく、円滑かつ安全に挿入する
ことができる。
【0048】カバー部材4が血管11の狭窄部(目的部
位)12に接近したら、ガイドワイヤを抜き取り、ルー
メン61を介してカテーテル1Aの前方の血管内にX線
造影剤を注入し、血管11の狭窄部12の正確な位置を
把握する。
【0049】さらにカテーテル1Aを前進させ、治療具
10が血管11の狭窄部12に到達したら、カテーテル
本体2の基端部を例えばテーピングにより血管に対し固
定する。このテーピングにより止血もなされる。
【0050】次に、操作部材51を押圧して前進させ
る。これにより、図2に示すように、操作部材51の押
圧力が伝達部材55を介してカバー部材4に伝達され、
それまで第1の位置にあったカバー部材4が前進して第
2の位置へ移動し、治療具保持部3が開放される。この
とき、カテーテル本体2は、血管11、特に血管11の
基端側のテーピングを施した部位に対し不動であるた
め、従来のような血管との摩擦抵抗による操作性の低下
は生じない。特に、被包部41の内面が低摩擦材料で構
成されている場合には、カバー部材4の第2の位置への
移動をより少ない押圧力で円滑に行うことができる。
【0051】図2に示すように、カバー部材4が第2の
位置へ移動すると、治療具10の規制が解除され、治療
具10は、拡径して治療具保持部3から離脱し、血管1
1の内面に密着し、狭窄部12を押し広げた状態で固定
される。このとき、治療具10は、血管11の長手方向
に移動することなく、縮径状態から拡径して血管11の
内面に密着し、固定されるため、狭窄部12からずれた
り、その姿勢が傾斜したりすることなく、適正な位置お
よび姿勢で固定される。
【0052】治療具10の固定が完了したら、操作部材
51を基端側へ引いて後退させ、カバー部材4を再び第
1の位置へ戻す。このとき、カバー部材4は、拡径した
治療具10の内側に挿入される。この状態で、カテーテ
ル1Aを血管11から抜き取る。このときも、前記と同
様、血管内面を損傷することなく、円滑かつ安全に抜き
取りを行うことができる。
【0053】図5は、本発明の治療具搬送用カテーテル
の他の実施例を示す縦断面図、図6は、図5に示す治療
具搬送用カテーテルの治療具保持部が開放した状態の構
成を示す縦断面図である。以下、図5および図6に示す
カテーテル1Bの構成について、前記カテーテル1Aと
異なる点を主に説明し、同様の事項については省略す
る。
【0054】カテーテル1Bは、可撓性(柔軟性)を有
するカテーテル本体2と、その先端部に形成された治療
具保持部3と、該治療具保持部3を被包するカバー部材
4と、該カバー部材4をカテーテル本体2の長手方向に
移動操作する操作手段5と、治療具保持部3に収納、保
持される拡径可能な管状の治療具10とで構成されてい
る。
【0055】カテーテル本体2は、前記と同様の材料で
構成され、その内部には、ルーメン23および24が形
成されている。ルーメン23の基端は、後述する筒部2
7の内腔28に連通し、ルーメン23の先端側は、カテ
ーテル本体2の先端部側面に開放している。このルーメ
ン23内には、前記と同様の伝達部材55がその長手方
向に摺動可能に挿入されている。また、ルーメン24
は、前記チューブ6と同様の機能を有するものであり、
その先端は、後述するヘッド部25の先端に開口してい
る。
【0056】カテーテル本体2の先端部には、前記と同
様の治療具10を収納、保持する治療具保持部3が形成
されている。この治療具保持部3は、前記と同様の縮径
部31で構成され、これにより形成される環状の凹部3
3に治療具10が縮径状態で収納、保持されている。
【0057】カテーテル本体2の治療具保持部3より先
端側には、先端へ向かってその外径が漸減する形状のヘ
ッド部25が形成されている。図示の構成では、ヘッド
部25は、半球形または砲弾形をなしている。これによ
り、カテーテル1Bの血管への挿入を円滑かつ安全に行
うことができる。また、ヘッド部25には、前記と同様
のX線造影性を有するチップ45が埋設されている。
【0058】また、カテーテル本体2の先端部には、治
療具保持部3を被包する円筒状のカバー部材4がカテー
テル本体2の長手方向に移動可能に設置されている。こ
のカバー部材4の少なくとも内周面は、前記と同様、低
摩擦材料で構成されているのが好ましい。
【0059】ヘッド部25の治療具保持部3との境界付
近には、カバー部材4の厚さに相当する落差を有する段
差部26が形成されており、この段差部26内にカバー
部材4の先端部が嵌合する。これにより、カバー部材4
とヘッド部25との外周面同士は、段差のない連続面を
形成することとなり、カテーテル1Bの血管への挿入ま
たは抜去の際に、血管内面を損傷することなく、円滑か
つ安全に行うことができる。
【0060】また、カバー部材4の基端側は、カテーテ
ル本体2の外周を被包するように設置されており、カバ
ー部材4の基端部には、基端に向かって外径が漸減する
テーパ46が形成されている。これにより、カバー部材
4の基端部外周面とカテーテル本体2の外周面とが連続
面を形成し、前記と同様の効果が得られる。
【0061】このようなカバー部材4は、操作手段5の
移動操作により、治療具保持部3を被包する第1の位置
(図5に示す状態)と、この位置より後退して治療具保
持部3を開放する第2の位置(図6に示す状態)とに移
動する。
【0062】操作手段5は、カテーテル本体2の基端部
に形成された筒部27の内腔28に摺動可能に挿入され
た操作部材(プランジャー)57と、ルーメン23内に
挿通され、操作部材57の移動操作をカバー部材4に伝
達する前記と同様の伝達部材55とで構成されている。
【0063】操作部材57は、円柱体571と、該円柱
体571の基端部外周に形成され、筒部27の基端面に
当接するフランジ572と、円柱体571の基端面に形
成された円盤状の把持部573とで構成されており、把
持部573を手で把持して操作部材57を移動操作す
る。操作部材57の構成材料としては、前記操作部材5
1と同様のものが挙げられる。
【0064】円柱体571の先端には、伝達部材55の
基端が固定され、伝達部材55の先端は、止め具58に
よりカバー部材4に固定されている。
【0065】筒部27の先端部には、ルーメン23内に
流入した流体、特に血液がカテーテル本体2の基端側へ
逆流するのを阻止または緩和するシール手段として、伝
達部材55に密着する前記と同様のシール部材7(また
はシール部材71)が埋設されている。
【0066】また、筒部27の先端側には、その内腔8
1がルーメン24の基端に連通するシース8が、カテー
テル本体2に対し所定角度傾斜して固着されている。こ
のシース8の基端部には、ルーメン24内に流入した流
体、特に血液がカテーテル本体2の基端側へ逆流するの
を阻止または緩和するシール手段として、例えば前述の
弾性材料で構成される逆止弁82が設置されている。
【0067】次に、カテーテル1Bを血管狭窄部の拡張
治療に用いた場合の作用について説明する。
【0068】図5に示すように、治療具10は、治療具
保持部3に収納され、カバー部材4で被包された状態で
は、カバー部材4の内周面に規制されて縮径状態を保
つ。この状態で、シース8の基端よりルーメン24内に
ガイドワイヤ(図示せず)を挿入し、このガイドワイヤ
を先行させて、X線透視下で位置を確認しつつ、カテー
テル1Bを血管内に徐々に挿入して行く。このとき、ヘ
ッド部25が先端へ向かってその外径が漸減する形状を
なし、かつカバー部材4とカテーテル本体2との外周面
同士が段差のない連続面を形成しているので、血管内面
を損傷することなく、円滑かつ安全に挿入することがで
きる。
【0069】カバー部材4が血管11の狭窄部(目的部
位)12に接近したら、ガイドワイヤを抜き取り、シー
ス8およびルーメン24を介してカテーテル1Bの前方
の血管内にX線造影剤を注入し、血管11の狭窄部12
の正確な位置を把握する。
【0070】さらにカテーテル1Bを前進させ、治療具
10が血管11の狭窄部12に到達したら、カテーテル
本体2の基端部を前記と同様テーピングにより血管に対
し固定する。
【0071】次に、把持部573を把持して操作部材5
7を基端側へ引き、後退させる。これにより、図6に示
すように、操作部材57の引張力が伝達部材55を介し
てカバー部材4に伝達され、それまで第1の位置にあっ
たカバー部材4が後退して第2の位置へ移動し、治療具
保持部3が開放される。このとき、カテーテル本体2
は、血管11、特に血管11の基端側のテーピングを施
した部位に対し不動であるため、従来のような血管との
摩擦抵抗による操作性の低下は生じない。特に、カバー
部材4の内面が低摩擦材料で構成されている場合には、
その第2の位置への移動をより少ない引張力で円滑に行
うことができる。
【0072】図6に示すように、カバー部材4が第2の
位置へ移動すると、治療具10の規制が解除され、治療
具10は、拡径して治療具保持部3から離脱し、血管1
1の内面に密着し、狭窄部12を押し広げた状態で固定
される。このとき、治療具10は、前記と同様、狭窄部
12からずれたり、その姿勢が傾斜したりすることな
く、適正な位置および姿勢で固定される。
【0073】治療具10の固定が完了したら、操作部材
57を先端側へ押圧して前進させ、カバー部材4を再び
第1の位置へ戻す。このとき、カバー部材4は、拡径し
た治療具10の内側に挿入される。この状態で、カテー
テル1Bを血管11から抜き取る。このときも、前記と
同様、血管内面を損傷することなく、円滑かつ安全に抜
き取りを行うことができる。
【0074】本発明では、治療具10としてバルーンエ
クスパンドタイプのステントを用いることもできる。こ
の場合には、図示しないが、治療具10の内周面と縮径
部31の外周面との間に拡張・収縮可能なバルーン(拡
張体)を設置するとともに、カテーテル本体2内に前記
バルーンを拡張するための作動流体の供給路(ルーメ
ン)を形成し、カバー部材4を第2の位置へ移動して治
療具保持部3を開放した状態で、前記供給路を介して前
記バルーン内へ作動流体を供給してバルーンを拡張させ
ることにより、治療具10を拡張させる。
【0075】また、本発明では、血管への挿入前の患部
の予備拡張や挿入後の治療具10の固定またはその補助
の目的で、カテーテル本体2の先端部やカバー部材4に
バルーン等の拡張体を付設することもできる。
【0076】以下、本発明のカテーテルの具体的実施例
を挙げてさらに詳細に説明する。
【0077】(実施例1)図1、図2に示す構成のカテ
ーテルを製造した。各部の構成は、次の通りである。
【0078】カテーテル本体2、治療具保持部3および
チューブ6の構成材料は、それぞれ、ポリエステルエラ
ストマー(東洋紡績社製の商品名:ペルプレン)を用い
た。カバー部材4の構成材料は、ポリテトラフルオロエ
チレン(テフロン)を用いた。伝達部材55は、ステン
レス鋼製のワイヤーをコイル状に巻回(密着巻き)した
図3に示す構造のものを用いた。操作部材51の構成材
料は、ポリエチレン(三井石油化学社製の商品面:ハイ
ゼックス5500B)を用いた。ヘッド部43には、白
金製リングよりなるチップ45を埋設した。
【0079】治療具10は、セルフエクスパンドタイプ
のステントを用いた。このステントには、弾性金属であ
るNi−Ti合金線材(TOKIN社製)を交織して作
製したシートをロール状に丸めたもの、アモルファス金
属線材(ユニチカ社製)を交織して筒状に形成したも
の、ステンレスワイヤーをスプリングコイル状に巻回し
たものの3種を用いた。交織筒状ステントには、抗血栓
剤として、ヘパリン生食(100 unit/ml)を含浸させ
た。
【0080】シール部材7には、ゴム製の膜72に十文
字状の切り込み73を有する図4に示す構造のものを使
用し、逆止弁62には、ゴム製のシールリングを使用し
た。
【0081】カテーテル1Aの全長は、70cm、治療具
保持部3の縮径部31の長さは、52mm、カテーテル本
体2の外径およびカバー部材4の外径は、いずれも5mm
とした。
【0082】(実施例2)図5、図6に示す構成のカテ
ーテルを製造した。各部の構成は、次の通りである。
【0083】カテーテル本体2および治療具保持部3の
構成材料、カバー部材4の構成材料は、実施例1と同様
のものを用いた。伝達部材55、治療具10、シール部
材7、逆止弁82およびチップ45は、それぞれ、実施
例1と同様のものを用いた。
【0084】カテーテル1Bの全長、治療具保持部3の
縮径部31の長さおよびカテーテル本体2の外径は、い
ずれも実施例1と同様とし、カバー部材4の外径は、5
mmとした。
【0085】(比較例1)外側シース151と、該外側
シース151内に挿入されたプッシングカテーテル15
2とからなる図8に示す構成のカテーテル15を製造し
た。カテーテル15の全長および外径は、それぞれ70
cmおよび5mmとし、実施例1と同様のステントを用い
た。
【0086】なお、外側シース151の構成材料は、ポ
リエステルエラストマー(東洋紡績社製の商品名:ペル
プレン)を用い、プッシングカテーテル152の構成材
料は、ポリエチレン(三井石油化学社製の商品面:ハイ
ゼックス5500B)を用いた。
【0087】(比較例2)外側シース161と、該外側
シース161内に挿入されたカテーテル本体162とか
らなる図9に示す構成のカテーテル16を製造した。カ
テーテル16の全長および外径は、それぞれ70cmおよ
び5mmとし、実施例1と同様のステントを用いた。
【0088】なお、外側シース161の構成材料は、ポ
リエステルエラストマー(東洋紡績社製の商品名:ペル
プレン)を用い、カテーテル本体162の構成材料は、
ポリエチレン(三井石油化学社製の商品面:ハイゼック
ス5500B)を用いた。
【0089】[実験1]疑似血管として、全長25cm、
内径12mmのシリコーンチューブを用意し、このチュー
ブ内に常時6000ml/minの流量で水を流した。
【0090】カバー部材4が治療具保持部3を被包し、
治療具保持部3に縮径状態のステントが収納された状態
(図1に示す状態)の実施例1のカテーテル1Aを前記
流水状態のシリコーンチューブ内に下流側から約10cm
挿入し、次いで、カテーテル本体およびステントをシリ
コーンチューブに対し不動の状態としつつ、操作部材5
1を先端側へ押圧し、カバー部材4を前進させて治療具
保持部3を開放した。これにより、ステントが自らの弾
性により拡径し、シリコーンチューブの内面に密着し、
確実に固定されたことを目視により確認した。
【0091】カバー部材4が治療具保持部3を被包し、
治療具保持部3に縮径状態のステントが収納された状態
(図5に示す状態)の実施例2のカテーテル1Bを前記
流水状態のシリコーンチューブ内に下流側から約10cm
挿入し、次いで、カテーテル本体およびステントをシリ
コーンチューブに対し不動の状態としつつ、操作部材5
7を基端側へ引き、カバー部材4を後退させて治療具保
持部3を開放した。これにより、ステントが自らの弾性
により拡径し、シリコーンチューブの内面に密着し、確
実に固定されたことを目視により確認した。
【0092】前記流水状態のシリコーンチューブ内に下
流側から比較例1のカテーテル15を約10cm挿入し、
次いで、外側シース151をシリコーンチューブに対し
不動の状態としつつ、プッシングカテーテル152を前
進させて、ステントを押し出した。これにより、ステン
トは、前方に飛び出した後、水流により押し戻され、目
的部位からずれた位置で自らの弾性により拡径してシリ
コーンチューブの内面に密着、固定されたことを目視に
より確認した。
【0093】[実験2]実施例1、2、比較例1、2の
各カテーテルを用い、実験動物(成犬)に対し、治療具
の搬送および血管内への固定の実験を行った。
【0094】図7に示すように、ペントバルビタール2
5mg/kg で麻酔した実験動物の大腿動脈100を露出
し、その一部を切開し、該切開部101から実施例1、
2、比較例1、2の各カテーテルを挿入した。その際、
切開部101からの血液のバックフローを抑えるため
に、切開部101の近傍において、テーピング102に
よりカテーテル周囲を軽く締めて固定した。
【0095】X線透視下で、ステント17の収納部分が
胸部大動脈103の狭窄部を想定した目的部位104に
到達するまで、カテーテルを前進させた。なお、実施例
1、2のカテーテルについては、ガイドワイヤを先行さ
せて挿入操作を行うとともに、ルーメン61、24を介
してX線造影剤を胸部大動脈103へ注入した。比較例
1、2のカテーテルについては、別途の注射器でX線造
影剤を胸部大動脈103へ注入した。
【0096】次に、実施例1、2、比較例1の各カテー
テルについては、それぞれ前記実験1と同様の操作によ
りステント17を拡径させ、胸部大動脈103に固定し
た。また、比較例2のカテーテルについては、動脈に対
しカテーテル本体162を不動の状態としつつ、外側シ
ース161を引いて後退させ、ステントを拡径させて胸
部大動脈103に固定した。
【0097】実施例1および2のカテーテルでは、操作
部材を容易に移動操作してカバー部材4を開閉すること
ができ、しかも、図7に示すように、ステント17を胸
部大動脈103の適正位置、すなわち目的部位104に
留置、固定することができたことをX線造影により確認
した。さらに、血管内皮の損傷も全く認められなかっ
た。また、血液の逆流によるカテーテル基端側からの血
液の漏れ出しも生じなかった。
【0098】これに対し、比較例1のカテーテルでは、
外側シース151からステント17を押し出した際に、
前方に飛び出した後、血流により後方に流され、目的部
位104からずれた位置で固定されたことをX線造影に
より確認した。
【0099】また、比較例2のカテーテルでは、ステン
ト17は、目的部位104からの位置ずれなく固定され
たことをX線造影により確認したが、外側シース161
を後方に引く時に、テーピング102を施した部分と外
側シース161とが摩擦抵抗を生じ、操作性が非常に悪
かった。
【0100】以上、本発明の治療具搬送用カテーテルを
図示の各実施例について説明したが、本発明は、これら
に限定されるものではない。例えば、操作手段は、カテ
ーテル本体の基端部に回転可能に設置された操作部材
と、操作部材の回転力を伝達する伝達部材と、伝達部材
の先端側においてその回転をカバー部材の移動に変換す
る機構(例えば、スクリュー軸とその回転に伴ってスク
リュー軸上を移動するスライダ)とで構成され、操作部
材の回転操作によりカバー部材が第1の位置と第2の位
置とに移動するような構成であってもよい。
【0101】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の治療具搬送
用カテーテルによれば、カテーテル本体の先端部にのみ
設置されたカバー部材を移動して治療具保持部を開放
し、治療具を治療具保持部から離脱可能とするので、そ
の移動操作の際に大きな摺動抵抗が生じることもなく、
操作性に優れるとともに、治療具の固定位置や姿勢を適
正にすることができる。特に、カバー部材の少なくとも
治療具と接触する部位が低摩擦材料で構成されている場
合には、より円滑にカバー部材を移動操作することがで
きる。
【0102】また、本発明の治療具搬送用カテーテルで
は、治療具を露出することなく管腔の目的部位へ搬送す
ることができるので、管腔内面を損傷することがなく安
全であり、特に、カテーテル本体の外周面とカバー部材
の外周面とが実質的に段差のない連続面を形成している
場合には、血管等の損傷し易い管腔への挿入、抜去の際
にも、その内面を損傷することなく、円滑かつ安全に行
うことができる。
【0103】また、カバー部材を移動操作する操作手段
が、操作部材と該操作部材の操作をカバー部材に伝達す
る伝達部材とで構成されている場合には、操作性および
操作によるカバー部材の移動の応答性がより向上する。
【0104】また、カテーテル本体に少なくとも1つの
ルーメンを形成した場合には、ルーメン内への伝達部材
等の収納により外表面への露出を防止でき、また、その
他、ガイドワイヤーの挿通やX線造影剤、各種薬剤等の
液体の注入等、ルーメンの使用目的に応じた付加的機能
を得ることができる。
【0105】また、シール手段を設けた場合には、カテ
ーテル本体の基端側へ例えば血液のような液体が逆流
し、漏れ出すのを阻止または緩和することができるの
で、治療の際に、患者への負担が軽減し、衛生管理上も
有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の治療具搬送用カテーテルの実施例を示
す縦断面図である。
【図2】図1に示す治療具搬送用カテーテルの治療具保
持部が開放した状態の構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明における伝達部材の構成例を示す斜視図
である。
【図4】本発明におけるシール部材の構成例を示す平面
図である。
【図5】本発明の治療具搬送用カテーテルの他の実施例
を示す縦断面図である。
【図6】図5に示す治療具搬送用カテーテルの治療具保
持部が開放した状態の構成を示す縦断面図である。
【図7】治療具搬送用カテーテルを用いた治療具の搬送
および血管内固定の実験の状態を示す図である。
【図8】従来の治療具搬送用カテーテルの構成を示す縦
断面図である。
【図9】従来の治療具搬送用カテーテルの構成を示す縦
断面図である。
【符号の説明】
1A、1B 治療具搬送用カテーテル 2 カテーテル本体 21 ルーメン 22 段差部 23、24 ルーメン 25 ヘッド部 26 段差部 27 筒部 28 内腔 3 治療具保持部 31 縮径部 32 係止部 33 凹部 4 カバー部材 41 被包部 42 軸部 43 ヘッド部 44 孔 45 チップ 46 テーパ 5 操作手段 51 操作部材 52 外筒 53 底板 54 軸部 55 伝達部材 56 線材 57 操作部材 571 円柱体 572 フランジ 573 把持部 58 止め具 6 チューブ 61 ルーメン 62 逆止弁 7、71 シール部材 72 膜 73 切り込み 8 シース 81 内腔 82 逆止弁 10 治療具 11 血管 12 狭窄部 15 治療具搬送用カテーテル 151 外側シース 152 プッシングカテーテル 16 治療具搬送用カテーテル 161 外側シース 162 カテーテル本体 17 ステント 100 大腿動脈 101 切開部 102 テーピング102 103 胸部大動脈 104 目的部位

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 拡径可能な管状の治療具を管腔内の目的
    部位へ搬送、固定するための治療具搬送用カテーテルで
    あって、 前記管腔へ挿入可能な可撓性を有するカテーテル本体
    と、 前記カテーテル本体の先端部に形成され、前記治療具を
    収納、保持する治療具保持部と、 前記カテーテル本体の先端部に、前記治療具保持部を被
    包するとともに前記カテーテル本体の長手方向に移動可
    能に設置されたカバー部材と、 前記カバー部材を、前記治療具保持部を被包する第1の
    位置と、前記治療具保持部を開放する第2の位置とに移
    動操作する操作手段とを有し、 治療具搬送用カテーテルを挿入した管腔に対し、前記カ
    テーテル本体および前記治療具を不動の状態としつつ、
    前記カバー部材を前記第2の位置へ移動して前記治療具
    を前記治療具保持部から離脱可能にするよう構成したこ
    とを特徴とする治療具搬送用カテーテル。
  2. 【請求項2】 拡径可能な管状の治療具を管腔内の目的
    部位へ搬送、固定するための治療具搬送用カテーテルで
    あって、 前記管腔へ挿入可能な可撓性を有するカテーテル本体
    と、 拡径可能な管状の治療具と、 前記カテーテル本体の先端部に形成され、前記治療具を
    収納、保持する治療具保持部と、 前記カテーテル本体の先端部に、前記治療具保持部を被
    包するとともに前記カテーテル本体の長手方向に移動可
    能に設置されたカバー部材と、 前記カバー部材を、前記治療具保持部を被包する第1の
    位置と、前記治療具保持部を開放する第2の位置とに移
    動操作する操作手段とを有し、 治療具搬送用カテーテルを挿入した管腔に対し、前記カ
    テーテル本体および前記治療具を不動の状態としつつ、
    前記カバー部材を前記第2の位置へ移動して前記治療具
    を前記治療具保持部から離脱可能にするよう構成したこ
    とを特徴とする治療具搬送用カテーテル。
  3. 【請求項3】 前記操作手段は、前記カテーテル本体の
    基端部に設置された操作部材と、前記カテーテル本体に
    沿って設置され、前記操作部材の操作を前記カバー部材
    に伝達する伝達部材とで構成されている請求項1または
    2に記載の治療具搬送用カテーテル。
  4. 【請求項4】 前記カテーテル本体の外周面と、前記治
    療具保持部を被包した状態の前記カバー部材の外周面と
    が、実質的に段差のない連続面を形成している請求項1
    ないし3のいずれかに記載の治療具搬送用カテーテル。
  5. 【請求項5】 前記カバー部材の少なくとも前記治療具
    と接触する部位が低摩擦材料で構成されている請求項1
    ないし4のいずれかに記載の治療具搬送用カテーテル。
  6. 【請求項6】 前記カテーテル本体は、その内部に少な
    くとも1つのルーメンを有する請求項1ないし5のいず
    れかに記載の治療具搬送用カテーテル。
  7. 【請求項7】 前記ルーメン内に流入した流体が前記カ
    テーテル本体の基端側へ逆流するのを阻止または緩和す
    るシール手段を有する請求項6に記載の治療具搬送用カ
    テーテル。
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