JP4846414B2 - 生体内留置用ステントおよび生体器官拡張器具 - Google Patents
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Description
ステントは、体外から体内に挿入するため、そのときは直径が小さく、目的の狭窄もしくは閉塞部位で拡張させて直径を大きくし、かつその管腔をそのままで保持する物である。
そして、血管系、特に冠動脈治療に用いられているステントは、バルーンエクスパンドタイプがその大半を占めている。そして、ステントとしては、より多くの症例に対応させるために軸方向に柔軟な構造が求められている。
バルーンエクスパンドタイプステントは、ストラットの形状によりクローズドセルタイプとオープンドセルタイプ2種に大別できる。オープンドセルタイプは、血管に刺激を与えないように血管走行に追随して留置されるという柔軟性という長所を持つ半面で、ストラットが外側にフレアになるという短所を持つ。一方、クローズドセルタイプはフレアにならない長所を持つ反面、血管走行に追随する柔軟性には劣る。双方ともに一長一短があり、適用する血管形状等に応じて使い分けがされる。
オープンドセルタイプのバルーンエクスパンドタイプステントとしては、例えば、特開2002−136601(特許文献1)を本件出願人が提案している。
本発明の目的は、生体器官に対するより高い追従性および高い拡張保持力を有する生体内留置用ステントおよび生体器官拡張器具を提供するものである。
(1)波線状環状体がステントの軸方向に隣り合うよう複数配列されるとともに、隣り合う波線状環状体が接続部により接続されたステントであって、各波線状環状体は、前記ステントの軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部および前記ステントの軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部を有し、かつ、前記波線状環状体の一端側屈曲部の頂点は、隣り合う一方の波線状環状体の他端側屈曲部間に形成される空間に侵入し、前記波線状環状体の他端側屈曲部の頂点は、隣り合う他方の波線状環状体の一端側屈曲部間に形成される空間に侵入しており、かつ、前記各波線状環状体の一端側屈曲部の頂点および前記他端側屈曲部の頂点は、近接する方向に湾曲することによりかみ合った状態となっており、かつ、前記接続部は、前記隣り合う波線状環状体の前記屈曲部の頂点間ではなく、前記隣り合う波線状環状体の前記屈曲部の頂点より前記ステントの軸方向にずれた位置に設けられている生体内留置用ステント。
(3)前記波線状環状体は、他の一端側屈曲部の頂点部より窪んだ状態の頂点部および他の他端側屈曲部の頂点部より窪んだ状態の頂点部を有し、上記窪んだ状態の2つの頂点部は近接するとともに非噛合部を形成している上記(1)または(2)に記載の生体内留置用ステント。
(5)前記接続部は、前記隣り合う波線状環状体における一端側屈曲部と他端側屈曲部の両者の頂点が近接するとともにかみ合った状態となっている部分の背面部位間を接続するものである上記(1)ないし(4)のいずれかの生体内留置用ステント。
(7)前記接続部は、前記隣り合う波線状環状体における一端側屈曲部と他端側屈曲部の両者の頂点が近接するとともにかみ合った状態となっている部分の背面部位間を接続する第1の接続部と、前記隣り合う波線状環状体における一端側屈曲部と他端側屈曲部の両者の頂点が近接するとともにかみ合った状態となっている前記屈曲部の内側を接続する第2の接続部とを有するものである上記(1)ないし(4)のいずれかの生体内留置用ステント。
(9)前記ステントは、前記隣り合う波線状環状体を複数の前記第1の接続部もしくは複数の前記第2の接続部により接続するものでありかつ、前記第1の接続部および前記第2の接続部は、前記ステントの軸方向に向かって交互となるように設けられている上記(7)の生体内留置用ステント。
(11)前記ステントにおける前記接続部は、前記隣り合う波線状環状体における一端側屈曲部と他端側屈曲部の両者の頂点が近接するとともにかみ合った状態となっている部分の背面部位間を接続する接続部のみにより形成されており、かつ、該接続部が、前記ステントの軸方向に連続しないように形成されている上記(1)ないし(4)のいずれかの生体内留置用ステント。
(13)前記波線状環状体を形成する線状体は、常に湾曲しており、実質的に直線状部分を持たないものとなっている上記(1)の生体内留置用ステント。
(14)前記波線状環状体の他端側屈曲部の頂点は、隣り合う他方の波線状環状体の一端側屈曲部間に形成される空間に侵入しており、かつ、前記各波線状環状体の一端側屈曲部の頂点および前記他端側屈曲部の頂点は、近接する方向に湾曲することによりかみ合った状態となっており、かつ、前記かみあった状態となっている部分の前記ステントの軸方向の長さは、0.2mm以上である上記(1)ないし(13)のいずれかの生体内留置用ステント。
(15)前記ステントは、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、該管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能なステントである上記(1)ないし(14)のいずれかの生体内留置用ステント。
(16)チューブ状のシャフト本体部と、該シャフト本体部の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーンと、折り畳まれた状態の前記バルーンを被包するように装着され、かつ該バルーンの拡張により拡張されるステントとを備える生体器官拡張器具であって、前記ステントは、上記(1)ないし(15)のいずれかのステントである生体器官拡張器具。
(17)前記バルーンに装着された状態における前記ステントの線状体部分が占める面積は、該ステントの空隙部を含む外周面の面積の60%〜80%である上記(16)の生体器官拡張器具。
(18)前記バルーンに装着された状態における前記ステントの前記波線状環状体の他端側屈曲部の頂点は、隣り合う他方の波線状環状体の一端側屈曲部間に形成される空間に侵入しており、かつ、前記各波線状環状体の一端側屈曲部の頂点および前記他端側屈曲部の頂点は、近接する方向に湾曲することによりかみ合った状態となっており、かつ、前記かみあった状態となっている部分の前記ステントの軸方向の長さは、0.2mm以上である上記(16)または(17)の生体器官拡張器具。
特に、各波線状環状体の一端側屈曲部の頂点および他端側屈曲部の頂点は、ステントの周方向に湾曲しているため、ストラットが外側にフレアになりにくく、血管走行に追随が良好となる。さらに、各環状体は、波線状環状体により構成されているため、柔軟かつ均一に屈曲しやすく、また、一端側屈曲部の頂点および前記他端側屈曲部の頂点は、ステントの周方向に対して異なる方向に湾曲しているため、隣り合う環状体の空間に侵入する部分が多くなり、高い拡張保持力を有する。
図1は、本発明の一実施例のステントの正面図である。図2は、図1のステントの展開図である。図3は、図2の部分拡大図である。図4は、図1に示すステントの製造時の展開図である。図5は、本発明の実施例のステントの拡張時の形態を説明するための説明図である。
本発明のステント1は、波線状環状体2がステント1の軸方向に隣り合うよう複数配列されるとともに、隣り合う波線状環状体2が接続されたステントである。各波線状環状体2は、ステント1の軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部21およびステント1の軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部22を有する。波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点21aは、隣り合う一方の波線状環状体2の他端側屈曲部22間に形成される空間23に侵入し、波線状環状体2の他端側屈曲部22の頂点22aは、隣り合う他方の波線状環状体2の一端側屈曲部21間に形成される空間24に侵入している。そして、各波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点21aおよび他端側屈曲部22の頂点22aは、近接する方向に湾曲することによりかみ合った状態となっている。
本発明のステント1は、図1および図2に示すように、複数の波線状環状体2を軸方向に隣り合うように配列するとともに、それぞれを接続した形態となっている。
ステント1を形成する波線状環状体2の数としては、図1に示すものでは、23となっている。波線状環状体2の数としては、ステントの長さによって相違するが、4〜50が好ましく、特に、10〜35が好ましい。
そして、各波線状環状体2は、ステント1の軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部21およびステント1の軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部22を有するとともに、環状に連続した無端の波線状体により構成されている。環状体2における一端側屈曲部21と他端側屈曲部22は、交互に形成されており、かつそれぞれの数は同じとなっている。1つの波線状環状体2における一端側屈曲部21(他端側屈曲部22)の数としては、図1に示すものでは、6つとなっている。一端側屈曲部21(他端側屈曲部22)の数としては、4〜12が好ましく、特に、6〜8が好ましい。そして、この実施例のステント1における波線状環状体2を形成する線状体は、常に湾曲しており、実質的に直線状部分を持たないものとなっている。このため、環状体2を形成する線状体は十分な長さを有するため、拡張時における高い拡張力を発揮する。特に、この実施例のステント1では、環状体2は、頂点21a,22aを結ぶストラット部分は、短いS字状部分と短いS字状部分側に傾斜した長いS字状部分とにより構成されており、各頂点21a,22aは、その2つのS字状部分を連結している。
また、ステント1の両端に位置する波線状環状体2のステントの端部側の屈曲部2a、2bは、他の屈曲部に比べて、広がった状態となっている。このようにすることにより、拡張時における端部の拡張力を高めることができる。
そして、図2および図3に示すように、波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点21aは、隣り合う一方の波線状環状体2の他端側屈曲部22間に形成される空間23に侵入し、波線状環状体2の他端側屈曲部22の頂点22aは、隣り合う他方の波線状環状体2の一端側屈曲部21間に形成される空間24に侵入している。つまり、各波線状環状体2は、ステント1の軸方向に対して、部分的に重なった状態となっている。この部分的に重なる部分(言い換えれば、後述する噛合部)の軸方向の長さは、0.2mm以上であることが好ましい。特に、0.2〜0.8mmが好ましく、さらには、0.3〜0.6mmが好ましい。また、隣り合う波線状環状体の近接する頂点間の軸方向距離(後述するバルーンへの装着時)は、0.2mm以上であることが好ましい。特に、0.2〜0.8mmが好ましく、さらには、0.3〜0.6mmが好ましい。
そのため、拡張時のステント全長の収縮(ショートニング)を軽減することができる。また隣り合う屈曲部の頂点が互いに向かい合うことなく交互に入れ子になっている為、血管屈曲部においてステントが曲がる際、頂点同士が衝突することなくステントが通過し高い柔軟性を発揮する。また、頂点部からずれた位置に接続部を設けているので、拡張の均一性および強度の均衡を保つことができる。頂点同士を接続部にてつないだ場合には、接続部の存在する屈曲部と接続部が存在しない屈曲部において強度の差が生じ、拡張状態が不均一となる可能性があり、ステント全体に強度の強弱分布が生じるおそれがある。
特に、この実施例のステント1では、接続部3は、隣り合う波線状環状体2における一端側屈曲部21と他端側屈曲部22の両者の頂点21a,22aが近接するとともにかみ合った状態となっている部分の背面部位(言い換えれば、お互いに離反する方向に湾曲する部位、さらに言い換えれば、近接する屈曲部の外側部位)に設けられた離反部位接続型接続部(言い換えれば、近接屈曲部外側接続部)31となっている。このように、一端側屈曲部21と他端側屈曲部22の頂点付近であり、お互いに離反する方向に湾曲する部位に接続部を設けることにより、拡張時における頂点部位の開きを阻害することがない。
つまり、この実施例のステント1では、上記の隣り合う波線状環状体2における一端側屈曲部21と他端側屈曲部22の両者の頂点21a,22aが近接するとともにかみ合った状態となっている部分の背面部位に設けられた第1の接続部(離反部位接続型接続部)31と、隣り合う波線状環状体2における一端側屈曲部21と他端側屈曲部22の両者の頂点21a,22aが近接するとともにかみ合った状態となっている部位に設けられた第2の接続部(噛合部位接続型接続部)32との両者のタイプの接続部を有している。
そして、第1の接続部31と第2の接続部32は、ステント1の軸方向に対して傾斜方向が異なるものとなっている。傾斜方向がすべて同じであると曲がりに対して不利な曲げモード(曲げの方向性)が生じる可能性がある(ある曲げ方向に対しては曲がりやすく、ある曲げ方向に対しては曲がりにくい)。すべての方向における曲げの均一性を保つ為に傾斜方向を異なるものとしている。
また、ステント1の両端に位置する波線状環状体2と隣り合う波線状環状体2とは多くの接続部により接続してもよい。図8は、本発明の他の実施例のステントの展開図であり、図9は、図8に示すステントの製造時の展開図である。この実施例のステント20では、ステント20の一端の波線状環状体27とこの環状体27と隣り合う環状体2は、すべての離反部位(近接屈曲部の外側部位)において、第1の接続部(離反部位接続型接続部、近接屈曲部外側接続部)31により接続されている。よって、これら2つの環状体間には、6つの接続部31が設けられている。なお、接続部としては、噛合部位接続型接続部であってもよい。同様に、ステント20の他端の波線状環状体28とこの環状体28と隣り合う環状体2は、すべての離反部位(近接屈曲部の外側部位)において、第1の接続部(離反部位接続型接続部)31により接続されている。よって、これら2つの環状体間には、6つの接続部31が設けられている。なお、接続部としては、噛合部位接続型接続部であってもよい。
全周接続することにより、小さなユニット(周方向6個)を形成し、端部の強度を強くすることができる。ステントの脱落防止およびバルーンのドッグボーン(バルーンを拡張する際に、ステントの両端部が初めに拡張し始める現象)を防ぐことができる。ステントが均等に拡張することで血管に与えるダメージを最小限に抑えることができる。
このステント30と上述したステント1との相違は、接続部3の形態のみである。このステント30では、図10ないし図12に示すように、隣り合う波線状環状体2は、離反部位接続型接続部(近接屈曲部外側接続部)31により接続されている。そして、隣り合う波線状環状体2は、1つの離反部位接続型接続部31により接続されている。さらに、接続部31は、連続することなく直線状となるように2列配置されており、接続部が形成する2つ列は、ステントの中心軸に対してほぼ向かい合うものとなっている。具体的には、接続部31は、ステントの軸方向に隣り合う環状体2を一つおきに接続するように設けられており、かつ、接続部は、直線状となるように配置された第1の列を形成する。さらに、ステント30は、上記の第1の列の接続部が接続しない環状体間を接続する接続部31を備えており、この接続部もステントの軸方向に隣り合う環状体2を一つおきに接続するものとなり、この接続部は、直線状となるように配置された第2の列を形成する。そして、これら接続部が形成する2つ列は、ステントの中心軸に対してほぼ向かい合うものとなっている。また、接続部31は、ステントの軸方向にみると、第1の列の接続部31と、第2の列の接続部31は、交互に配置された状態となっている。
このようにすることにより、ある曲げ方向に対しては曲がりやすく、ある曲げ方向に対しては曲がりにくいといった、曲がりの不均一性が形成されることなく、すべての方向における曲げの均一性を保つことが可能となる。
このステント40と上述したステント1との相違は、波線状環状体2の数、1つの波線状環状体2における一端側屈曲部および他端側屈曲部の数、接続部3の形態のみである。このステント40では、環状体2の数がステント1より多い(具体的には、それぞれ30)ものとなっている。また、1つの環状体2における一端側屈曲部および他端側屈曲部の数もステント1より多い(具体的には、それぞれ8)ものとなっている。
このようにすることにより、曲がりの均一性を有するものとなる。また、屈曲部の数を多くすることにより、隣り合う環状体をつなぐ接続部間の波の距離が長くなり高い柔軟性を発揮する。
このステント50と上述したステント1との相違は、接続部3の配置形態のみである。このステント50では、図15および図16に示すように、隣り合う波線状環状体2は、すべて離反部位接続型接続部(近接屈曲部の外側部位)31により接続されている。なお、噛合部位接続型接続部、もしくはそれらの混合であってもよい。具体的には、隣り合う波線状環状体2は、3つの離反部位接続型接続部31により接続されている。さらに、接続部31は、ステントの軸方向に連続することなく、かつ、直線状(言い換えれば、破線状)となるように6列配置されており、接続部が形成する6つ列は、ステントの中心軸に対してほぼ等角度となるように配置されている。
このようにすることにより、拡張時により均一性を保つことができる。隣り合う波との間にフリーな部分が少ない分、拡張時に自由な拡張は妨げられ、結果として均一な拡張状態を得ることができる。それにより、拡張力の均一性、薬剤をコーティングした際には血管への薬剤分布の均一性を保つことが可能となる。
図20は、本発明の他の実施例のステントの展開図である。図21は、図20に示すステントの製造時の展開図である。
この実施例のステント60は、波線状環状体2がステント60の軸方向に隣り合うよう複数配列されるとともに、隣り合う波線状環状体2が接続されたステントである。各波線状環状体2は、ステント60の軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部21およびステント60の軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部22を有する。波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点21aは、隣り合う一方の波線状環状体2の他端側屈曲部22間に形成される空間23に侵入し、波線状環状体2の他端側屈曲部22の頂点22aは、隣り合う他方の波線状環状体2の一端側屈曲部21間に形成される空間24に侵入している。そして、各波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点部21aおよび他端側屈曲部22の頂点部22aは、潰れた形状となっており、一端側屈曲部21の頂点部21aおよび他端側屈曲部22の頂点部22aは、かみ合った状態となっている。
ステント60の基本構成は、上述したステント1と同じである。相違点のみ説明する。
ステント60では、17個の波線状環状体2が直線状に配列されている。
そして、ステント60では、波線状環状体2は、ステントの中心軸に対して所定角度斜めに延びる複数の直線状線状部61と、隣り合う一方の直線状線状部61の上端と他方の直線状線状部61の下端とを連結し、かつS字状に湾曲した複数のS字状湾曲部63により形成されている。特に、この実施例のステント60の環状体2では、頂点21a,22aを結ぶストラット部分は、直線状線状部61とS字状湾曲部63とにより構成されており、各頂点21a,22aは、直線状線状部61とS字状湾曲部63により連結されている。また、ステント60の両端に位置する波線状環状体2のステントの端部側の屈曲部2a、2bは、他の屈曲部とほぼ同じ形状となっている。なお、ステント1のように、ステント60の両端に位置する波線状環状体2のステントの端部側の屈曲部2a、2bは、広がった状態としてもよい。
そして、このステント60においても、ステント1と同様に、波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点21aは、隣り合う一方の波線状環状体2の他端側屈曲部22間に形成される空間23に侵入し、波線状環状体2の他端側屈曲部22の頂点22aは、隣り合う他方の波線状環状体2の一端側屈曲部21間に形成される空間24に侵入している。つまり、各波線状環状体2は、ステント60の軸方向に対して、部分的に重なった状態となっている。
そして、各波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点部21aおよび他端側屈曲部22の頂点部22aは、潰れた形状となっているとともに、両者は、かみ合った状態となっている。
特に、この実施例のステント60では、接続部3は、隣り合う波線状環状体2における一端側屈曲部21と他端側屈曲部22の両者の頂点21a,22aが近接するとともにかみ合った状態となっている部分の背面部位(言い換えれば、直線状線状部61)に設けられた直線状線状部接続型接続部31となっている。
さらに、この実施例のステント60では、接続部3は、隣り合う波線状環状体2における一端側屈曲部21と他端側屈曲部22の両者の頂点21a,22aがかみ合った状態となっている部位に設けられた噛合部位接続型接続部32を備えている。噛合部位接続型接続部32は、噛合部内側接続部と言い換えることができ、上記の直線状線状部接続型接続部31は、噛合部外側接続部と言い換えることができる。
ステント60では、ステント1と同様に、第1の接続部(直線状線状部接続型接続部)31により接続された2つの波線状環状体2からなる隣り合う環状ユニットを、第2の接続部(噛合部位接続型接続部)32により接続した形態となっている。つまり、第1の接続部31および第2の接続部32は、ステント60の軸方向に対して交互となるように形成されている。さらに、この実施例のステント60では、第1の接続部(離反部位接続型接続部)31は、ステントの中心軸に対してほぼ向かい合うように2つ設けられている。さらに、第1の接続部31は、ステント60の軸方向に対して直線状となるように配置されている。同様に、この実施例のステント60では、第2の接続部32は、ステントの中心軸に対してほぼ向かい合うように2つ設けられている。さらに、第2の接続部32は、ステント60の軸方向に対して連続せずかつ直線状となるように配置されている。そして、2つの第1の接続部31および2つの第2の接続部32は、ステント60の中心軸に対して、それぞれがほぼ等角度となる位置に配置されている。
そして、接続部3は、短くかつステント60の軸方向に対して所定角度斜めとなるように形成されている。このため、ステント全体において、拡張時における拡張維持力に寄与しにくい接続部分の割合が少なく、全体として高い拡張維持力を発揮する。
なお、ステント60としては、奇数個の波線状環状体により構成し、かつ、奇数番目の波線状環状体62aは、それを形成する線状部の幅が太く、偶数番目の波線状環状体62bは、それを形成する線状部の幅が細いものとすることが好ましい。このようにすることにより、ステント60の両端部に位置する波線状環状体62aは、線状部の幅が太いものとなり、ステント60の両端部は、十分な拡張保持力を有する。
また、上述したステント1と同様に、ステント60は、図20に示した状態より外径の大きい、図21の展開図を有する状態に形成した後、拡張可能なバルーンを有する器具のバルーン上に縮径させることにより装着される。そして、ステント60は、バルーンを拡張することにより、図21の展開図を有する状態よりさらに外径の大きい状態に拡径される。
図22は、本発明の他の実施例のステントの展開図である。図23は、図22に示すステントの製造時の展開図である。
ステント70の基本構成は、上述したステント1およびステント60と同じである。ステント60との相違点は、すべての波線状環状体2を形成する線状体の幅がほぼ同じ幅となっている点および第2の接続部32付近の形状である。
ステント70では、図22および図23に示すように、複数の波線状環状体2を軸方向に隣り合うように配列するとともに、それぞれを接続した形態となっている。そして、このステント70においても、ステント1と同様に、波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点21aは、隣り合う一方の波線状環状体2の他端側屈曲部22間に形成される空間23に侵入し、波線状環状体2の他端側屈曲部22の頂点22aは、隣り合う他方の波線状環状体2の一端側屈曲部21間に形成される空間24に侵入している。つまり、各波線状環状体2は、ステント70の軸方向に対して、部分的に重なった状態となっている。
この実施例のステント70では、上述したステント60と同様に、接続部3は、隣り合う波線状環状体2における一端側屈曲部21と他端側屈曲部22の両者の頂点21a,22aが近接するとともにかみ合った状態となっている部分の背面部位(言い換えれば、直線状線状部61)に設けられた直線状線状部接続型接続部31を備えている。この実施例のステント70では、上述したステント60に比べ、直線状線状部接続型接続部31は、幅が広いものとなっている。このため、直線状線状部接続型接続部31は、直線状線状部一体化部でもある。
そして、この実施例のステント70では、接続部3は、隣り合う波線状環状体2における一端側屈曲部21と他端側屈曲部22の両者の頂点71,72がかみ合った状態となっている低噛合部位に設けられた低噛合部位接続型接続部32を備えている。低噛合部位接続型接続部32は、低噛合部内側接続部と言い換えることができ、上記の直線状線状部接続型接続部31は、噛合部外側接続部と言い換えることができる。この実施例のステント70では、低噛合部位接続型接続部32は、低噛合部位一体化部でもある。
また、接続部3は、ステント1およびステント60と同様に、隣り合う波線状環状体2の屈曲部21の頂点と屈曲部22の頂点との中間部付近に、設けられている。言い換えれば、接続部3は、屈曲部21,22の頂点ではなく、頂点より若干ステントの軸方向にずれた位置(さらに、言い換えれば、ステントの一端側もしくは他端側によった位置)に設けられている。
このステント70においても、ステント1と同様に、第1の接続部(直線状線状部接続型接続部)31により接続された2つの波線状環状体2からなる隣り合う環状ユニットを、第2の接続部(低噛合部位接続型接続部)32により接続した形態となっている。
そして、このステント70では、第1の接続部(離反部位接続型接続部)31は、ステントの中心軸に対してほぼ向かい合うように2つ設けられている。さらに、第1の接続部31は、ステント70の軸方向に対して直線状となるように配置されている。同様に、この実施例のステント70では、第2の接続部(低噛合部位接続型接続部)32は、ステントの中心軸に対してほぼ向かい合うように2つ設けられている。さらに、第2の接続部32は、ステント70の軸方向に対して連続せずかつ直線状となるように配置されている。そして、2つの第1の接続部31および2つの第2の接続部32は、ステント70の中心軸に対して、それぞれがほぼ等角度となる位置に配置されている。
図24は、本発明の他の実施例のステントの展開図である。図25は、図24に示すステントの製造時の展開図である。
ステント80の基本構成は、上述したステント1およびステント70と同じである。ステント70との相違点は、接続部付近の形状である。
ステント80では、図24および図25に示すように、複数の波線状環状体2を軸方向に隣り合うように配列するとともに、それぞれを接続した形態となっている。 また、このステント80においても、ステント60と同様に、波線状環状体2の一つの波は、ステントの中心軸に対して所定角度斜めに延びる直線状線状部61とこの直線状線状部61の上端と連結し、かつS字状に湾曲したS字状湾曲部63により形成されている。そして、このステント80においても、ステント1と同様に、波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点21aは、隣り合う一方の波線状環状体2の他端側屈曲部22間に形成される空間23に侵入し、波線状環状体2の他端側屈曲部22の頂点22aは、隣り合う他方の波線状環状体2の一端側屈曲部21間に形成される空間24に侵入している。つまり、各波線状環状体2は、ステント80の軸方向に対して、部分的に重なった状態となっている。
そして、各波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点部21aおよび他端側屈曲部22の頂点部22aは、潰れた形状となっているとともに、両者は、かみ合った状態となっている。
そして、この実施例のステント80では、接続部3は、隣り合う波線状環状体2における一端側屈曲部21と他端側屈曲部22の両者の頂点71,72がかみ合った状態となっている低噛合部位に設けられた低噛合部位接続型接続部32となっている。このステント80では、接続部3はすべて低噛合部位接続型接続部32となっている。
そして、このステント80では、接続部32は、ステントの中心軸に対してほぼ向かい合うように2つ設けられている。さらに、接続部32は、ステント80の軸方向に対して螺旋状となるように配置されている。この実施例のステント80では、低噛合部位接続型接続部32は、低噛合部位一体化部でもある。
図26は、本発明の他の実施例のステントの展開図である。図27は、図26に示すステントの製造時の展開図である。
ステント90の基本構成は、上述したステント1およびステント60と同じである。ステント60との相違点は、すべての波線状環状体2を形成する線状体の幅がほぼ同じ幅となっている点および接続部31,32付近の形状である。
ステント90では、図26および図27に示すように、複数の波線状環状体2を軸方向に隣り合うように配列するとともに、それぞれを接続した形態となっている。そして、このステント90においても、ステント1と同様に、波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点21aは、隣り合う一方の波線状環状体2の他端側屈曲部22間に形成される空間23に侵入し、波線状環状体2の他端側屈曲部22の頂点22aは、隣り合う他方の波線状環状体2の一端側屈曲部21間に形成される空間24に侵入している。つまり、各波線状環状体2は、ステント90の軸方向に対して、部分的に重なった状態となっている。
この実施例のステント90では、上述したステント60と同様に、接続部3は、隣り合う波線状環状体2における一端側屈曲部21と他端側屈曲部22の両者の頂点21a,22aが近接するとともにかみ合った状態となっている部分の背面部位(言い換えれば、直線状線状部61)に設けられた直線状線状部接続型接続部31を備えている。この実施例のステント90では、上述したステント60に比べ、直線状線状部接続型接続部31は、幅が広いものとなっている。このため、直線状線状部接続型接続部31は、直線状線状部一体化部でもある。
この実施例のステント90では、上述したステント60と同様に、直線状線状部接続型接続部(噛合部外側接続部)31と噛合部位接続型接続部(噛合部内側接続部)32の2つのタイプの接続部を有し、それらが軸方向に交互に配置された形態となっている。このように、異なる形状の接続部が交互に配置されているため、拡張保持力が向上する。
図28は、本発明の他の実施例のステントの展開図である。図29は、図28に示すステントの製造時の展開図である。
ステント120の基本構成は、上述したステント1およびステント90と同じである。ステント90との相違点は、波線状環状体2の形状である。
ステント120では、図28および図29に示すように、複数の波線状環状体2を軸方向に隣り合うように配列するとともに、それぞれを接続した形態となっている。そして、このステント120においても、ステント1と同様に、波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点21aは、隣り合う一方の波線状環状体2の他端側屈曲部22間に形成される空間23に侵入し、波線状環状体2の他端側屈曲部22の頂点22aは、隣り合う他方の波線状環状体2の一端側屈曲部21間に形成される空間24に侵入している。そして、波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点部21aおよび他端側屈曲部22の頂点部22aは、潰れた形状となっており、一端側屈曲部21の頂点部21aおよび他端側屈曲部22の頂点部22aは、かみ合った状態となっている。しかし、このステント120では、すべての頂点部が、噛み合った状態とはなっていない。また、噛み合いの浅い、低噛合部も備えている。
また、偶数番目(ステント120の軸方向順)の波線状環状体2の他の頂点部より窪んだ状態の頂点部72は、奇数番目の波線状環状体2の窪んだ状態となっていない普通の頂点部21aと近接している。この頂点部72と頂点部21aの近接部では、波線状環状体の屈曲部は、ステント120の軸方向に対して、重なるものの重なりの浅い低噛合部となっている。つまり、偶数番目の波線状環状体2と奇数番目の波線状環状体2間には、複数(具体的には、4つ)の屈曲部の頂点部の噛合部と、2つの低噛合部が形成されている。
さらに、この実施例のステント120では、上述したステント60と同様に、接続部3は、隣り合う波線状環状体2における一端側屈曲部21と他端側屈曲部22の両者の頂点21a,22aがかみ合った状態となっている部位に設けられた噛合部位接続型接続部32を備えている。噛合部位接続型接続部32は、噛合部内側接続部と言い換えることができ、上記の直線状線状部接続型接続部31は、噛合部外側接続部と言い換えることができる。この実施例のステント120では、上述したステント60に比べ、噛合部位接続型接続部32は、幅が広いものとなっている。このため、噛合部位接続型接続部32は、噛合部位一体化部でもある。
この実施例のステント120では、上述したステント60と同様に、直線状線状部接続型接続部(噛合部外側接続部)31と噛合部位接続型接続部(噛合部内側接続部)32の2つのタイプの接続部を有し、それらが軸方向に交互に配置された形態となっている。このように、異なる形状の接続部が交互に配置されているため、拡張保持力が向上する。
図30は、本発明の他の実施例のステントの展開図である。図31は、図30に示すステントの製造時の展開図である。
ステント130の基本構成は、上述したステント1およびステント90と同じである。ステント90との相違点は、波線状環状体2の形状である。
ステント130では、図30および図31に示すように、複数の波線状環状体2を軸方向に隣り合うように配列するとともに、それぞれを接続した形態となっている。そして、このステント130においても、ステント1と同様に、波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点21aは、隣り合う一方の波線状環状体2の他端側屈曲部22間に形成される空間23に侵入し、波線状環状体2の他端側屈曲部22の頂点22aは、隣り合う他方の波線状環状体2の一端側屈曲部21間に形成される空間24に侵入している。そして、波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点部21aおよび他端側屈曲部22の頂点部22aは、潰れた形状となっており、一端側屈曲部21の頂点部21aおよび他端側屈曲部22の頂点部22aは、かみ合った状態となっている。しかし、このステント130では、すべての頂点部が、噛み合った状態とはなっていない。噛み合わない非噛合部を備えている。
この実施例のステント130の波線状環状体2では、噛合部と近接部(非噛合部)が交互に配置された形態となっている。このため、このステント130では、拡張可能なバルーンを有する器具のバルーン上へのステントの縮径装着が、容易となるるとともに、装着時の外径を小さいものとすることができる。また。このステント130では、ステント拡張時における軸方向長の短縮が少ない。
バルーン拡張型ステントの形成材料としては、ある程度の生体適合性を有するものが好ましく、例えば、ステンレス鋼、タンタルもしくはタンタル合金、プラチナもしくはプラチナ合金、金もしくは金合金、コバルトベース合金、コバルトクロム合金、チタン合金、ニオブ合金等が考えられる。またステント形状を作製した後に貴金属メッキ(金、プラチナ)をしてもよい。ステンレス鋼としては、最も耐腐食性のあるSUS316Lが好適である。
そして、ステントの成形は、管状体(具体的には、金属パイプ)よりフレーム構造体となる部分以外を除去することにより行われる。具体的には、金属パイプを、例えば、フォトファブリケーションと呼ばれるマスキングと化学薬品を使用したエッチング方法、型による放電加工法、切削加工(例えば、機械研磨、レーザー切削加工)などにより不要部分を除去することによりステントが形成される。また、フレーム構造体を作製した後に、化学研磨あるいは電解研磨を用いて、構造体のエッジを研磨することが好ましい。
そして、ステントは、留置対象部位により異なるが、一般的に、拡張時(非縮径時、復元時)の外径が2.0〜30mm、好ましくは2.5〜20mm、肉厚が0.04〜1.0mm、好ましくは0.06〜0.5mmのものであり、長さは、10〜150mm、より好ましくは15〜100mmである。特に、血管内留置用ステントの場合には、外径が2.0〜14mm、好ましくは2.5〜12mm、肉厚が0.04〜0.3mm、好ましくは0.06〜0.22mmのものであり、長さは5〜100mm、より好ましくは10〜80mmである。
超弾性金属としては、超弾性合金が好適に使用される。ここでいう超弾性合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なくとも生体温度(37℃付近)で超弾性を示すものである。特に好ましくは、49〜54原子%NiのTiNi合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be,Si,Sn,Al,Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等の超弾性金属体が好適に使用される。特に好ましくは、上記のTiNi合金である。また、Ti−Ni合金の一部を0.01〜10.0%Xで置換したTi−Ni−X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,Nb,W,B、Au,Pdなど)とすること、またはTi−Ni合金の一部を0.01〜30.0%原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、また、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。
ステントの表面に合成樹脂を薄く被覆する方法としては、例えば、溶融状態または溶液状態の合成樹脂の中に、ステントを挿入して被覆する方法、モノマーを超弾性金属パイプの表面で重合させながら被覆する化学蒸着などがある。極薄な樹脂被覆が要求される場合は、希薄溶液を用いた被覆、または化学蒸着が好適である。さらに、より生体適合性材料を向上させるために、上記樹脂被膜に抗血栓性材料を被覆または固定してもよい。抗血栓性材料として、公知の各種の樹脂を単独または混合して使用することができるが、例えば、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、HEMA−St−HEMAブロック共重合体)などが好適に使用できる。
図17は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の正面図である。図18は、図17に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大部分断面図である。
本発明の血管拡張器具100は、チューブ状のシャフト本体部102と、シャフト本体部102の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーン103と、折り畳まれた状態のバルーン103を被包するように装着され、かつバルーン103の拡張により拡張されるステント101とを備えるものである。
ステント101としては、上述したステント1のように、波線状環状体2がステント1の軸方向に隣り合うよう複数配列されるとともに、隣り合う波線状環状体2が接続されたステントであり、各波線状環状体2は、ステント1の軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部21およびステント1の軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部22を有し、波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点21aは、隣り合う一方の波線状環状体2の他端側屈曲部22間に形成される空間23に侵入し、波線状環状体2の他端側屈曲部22の頂点22aは、隣り合う他方の波線状環状体2の一端側屈曲部21間に形成される空間24に侵入し、さらに、各波線状環状体2の一端側屈曲部21の頂点21aおよび他端側屈曲部22の頂点22aは、近接する方向に湾曲することによりかみ合った状態となっているものが用いられる。
具体的には、ステント101としては、上述した実施例のいずれのステントを用いてもよい。具体的には、ステント101としては、例えば、上述したステント1,10,20,30,40,50のいずれを用いてもよい。そして、ステントとしては、バルーン103に装着された状態におけるステントの線状体部分が占める面積は、ステントの空隙部を含む外周面の面積の60%〜80%であることが好ましい。 さらに、本発明の血管拡張器具100は、シャフト本体部102は、一端がバルーン103内と連通するバルーン拡張用ルーメンを備える。生体器官拡張器具100は、ステントの中央部となる位置のシャフト本体部の外面に固定されたX線造影性部材もしくはステントの中央部分の所定長の両端となる位置のシャフト本体部の外面に固定された2つのX線造影性部材を備えている。
この生体器官拡張器具100は、シャフト本体部102と、シャフト本体部102の先端部に固定されたステント拡張用バルーン103と、このバルーン103を上に装着されたステント101とを備える。シャフト本体部102は、内管112と外管113と分岐ハブ110とを備えている。
内管112は、図17に示すように、内部にガイドワイヤーを挿通するためのガイドワイヤールーメン115を備えるチューブ体である。内管112としては、長さは、100〜2000mm、より好ましくは、150〜1500mm、外径が、0.1〜1.0mm、より好ましくは、0.3〜0.7mm、肉厚10〜150μm、より好ましくは、20〜100μmのものである。そして、内管112は、外管113の内部に挿通され、その先端部が外管113より突出している。この内管112の外面と外管113の内面によりバルーン拡張用ルーメン116が形成されており、十分な容積を有している。外管113は、内部に内管112を挿通し、先端が内管112の先端よりやや後退した部分に位置するチューブ体である。
外管113としては、長さは、100〜2000mm、より好ましくは、150〜1500mm、外径が、0.5〜1.5mm、より好ましくは、0.7〜1.1mm、肉厚25〜200μm、より好ましくは、50〜100μmのものである。
先端側外管113aの細径部での外径は、0.50〜1.5mm、好ましくは0.60〜1.1mmである。また、先端側外管113aの基端部および本体側外管113bの外径は、0.75〜1.5mm、好ましくは0.9〜1.1mmである。
そして、バルーン103は、先端側接合部103aおよび後端側接合部103bを有し、先端側接合部103aが内管112の先端より若干後端側の位置に固定され、後端側接合部103bが外管の先端に固定されている。また、バルーン103は、基端部付近にてバルーン拡張用ルーメン116と連通している。
内管112および外管113の形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用でき、好ましくは上記の熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、ポリオレフィンである。
バルーン103は、バルーン103の内面と内管112の外面との間に拡張空間103cを形成する。この拡張空間103cは、後端部ではその全周において拡張用ルーメン116と連通している。このように、バルーン103の後端は、比較的大きい容積を有する拡張用ルーメンと連通しているので、拡張用ルーメン116よりバルーン内への拡張用流体の注入が確実である。
バルーン103の大きさとしては、拡張されたときの円筒部分(拡張可能部)の外径が、2〜4mm、好ましくは2.5〜3.5mmであり、長さが10〜50mm、好ましくは20〜40mmである。また、先端側接合部103aの外径が、0.9〜1.5mm、好ましくは1〜1.3mmであり、長さが1〜5mm、好ましくは1〜1.3mmである。また、後端側接合部103bの外径が、1〜1.6mm、好ましくは1.1〜1.5mmであり、長さが1〜5mm、好ましくは、2〜4mmである。
X線造影性部材117、118は、所定の長さを有するリング状のもの、もしくは線状体をコイル状に巻き付けたものなどが好適であり、形成材料は、例えば、金、白金、タングステンあるいはそれらの合金、あるいは銀−パラジウム合金等が好適である。
そして、バルーン103を被包するようにステント101が装着されている。ステントは、ステント拡張時より小径かつ折り畳まれたバルーンの外径より大きい内径の金属パイプを加工することにより作成される。そして、作成されたステント内にバルーンを挿入し、ステントの外面に対して均一な力を内側に向けて与え縮径させることにより製品状態のステントが形成される。つまり、上記のステント101は、バルーンへの圧縮装着時により完成する。
なお、生体器官拡張器具の構造は、上記のようなものに限定されるものではなく、生体器官拡張器具の中間部分にガイドワイヤールーメンと連通するガイドワイヤ挿入口を有するものであってもよい。
2 波線状環状体
3 接続部
21 一端側屈曲部
22 他端側屈曲部
31 第1の接続部
32 第2の接続部
Claims (18)
- 波線状環状体がステントの軸方向に隣り合うよう複数配列されるとともに、隣り合う波線状環状体が接続部により接続されたステントであって、
各波線状環状体は、前記ステントの軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部および前記ステントの軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部を有し、かつ、前記波線状環状体の一端側屈曲部の頂点は、隣り合う一方の波線状環状体の他端側屈曲部間に形成される空間に侵入し、前記波線状環状体の他端側屈曲部の頂点は、隣り合う他方の波線状環状体の一端側屈曲部間に形成される空間に侵入しており、かつ、前記各波線状環状体の一端側屈曲部の頂点および前記他端側屈曲部の頂点は、近接する方向に湾曲することによりかみ合った状態となっており、かつ、前記接続部は、前記隣り合う波線状環状体の前記屈曲部の頂点間ではなく、前記隣り合う波線状環状体の前記屈曲部の頂点より前記ステントの軸方向にずれた位置に設けられていることを特徴とする生体内留置用ステント。 - 前記波線状環状体を形成する線状体は、ステントの中心軸に対して所定角度斜めに延びる複数の直線状線状部と、隣り合う一方の前記直線状線状部の上端と他方の前記直線状線状部の下端とを連結し、かつS字状に湾曲した複数のS字状湾曲部により形成されている請求項1に記載の生体内留置用ステント。
- 前記波線状環状体は、他の一端側屈曲部の頂点部より窪んだ状態の頂点部および他の他端側屈曲部の頂点部より窪んだ状態の頂点部を有し、上記窪んだ状態の2つの頂点部は近接するとともに非噛合部を形成している請求項1または2に記載の生体内留置用ステント。
- 前記接続部は、前記隣り合う波線状環状体の前記屈曲部の頂点よりステントの軸方向にずれかつ近接する部位を接続する短い接続部である請求項1ないし3のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記接続部は、前記隣り合う波線状環状体における一端側屈曲部と他端側屈曲部の両者の頂点が近接するとともにかみ合った状態となっている部分の背面部位間を接続するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記接続部は、前記隣り合う波線状環状体の前記屈曲部の頂点間ではなく、前記隣り合う波線状環状体における一端側屈曲部と他端側屈曲部の両者の頂点が近接するとともにかみ合った状態となっている前記屈曲部の内側を接続するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記接続部は、前記隣り合う波線状環状体における一端側屈曲部と他端側屈曲部の両者の頂点が近接するとともにかみ合った状態となっている部分の背面部位間を接続する第1の接続部と、前記隣り合う波線状環状体における一端側屈曲部と他端側屈曲部の両者の頂点が近接するとともにかみ合った状態となっている前記屈曲部の内側を接続する第2の接続部とを有するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記ステントは、前記隣り合う波線状環状体を前記第1の接続部もしくは前記第2の接続部のいずれかにより接続するものでありかつ、前記第1の接続部および前記第2の接続部は、前記ステントの軸方向に対して交互となるように設けられている請求項7に記載の生体内留置用ステント。
- 前記ステントは、前記隣り合う波線状環状体を複数の前記第1の接続部もしくは複数の前記第2の接続部により接続するものでありかつ、前記第1の接続部および前記第2の接続部は、前記ステントの軸方向に向かって交互となるように設けられている請求項7に記載の生体内留置用ステント。
- 前記ステントは、前記隣り合う波線状環状体をほぼ向かい合う位置に配置された2つの前記第1の接続部により接続する部分と、前記隣り合う波線状環状体をほぼ向かい合う位置に配置された2つの前記第2の接続部により接続する部分とを有し、かつ、前記第1の接続部および前記第2の接続部は、前記ステントの軸方向に対して交互となるように形成されており、かつ、前記第1の接続部および前記第2の接続部は、前記ステントの中心軸に対して、ほぼ等角度となる位置に配置されている請求項7に記載の生体内留置用ステント。
- 前記ステントにおける前記接続部は、前記隣り合う波線状環状体における一端側屈曲部と他端側屈曲部の両者の頂点が近接するとともにかみ合った状態となっている部分の背面部位間を接続する接続部のみにより形成されており、かつ、該接続部が、前記ステントの軸方向に連続しないように形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記ステントは、該ステントの両端部における隣り合う波線状環状体を複数の接続部により接続するものである請求項1ないし11のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記波線状環状体を形成する線状体は、常に湾曲しており、実質的に直線状部分を持たないものとなっている請求項1に記載の生体内留置用ステント。
- 前記波線状環状体の他端側屈曲部の頂点は、隣り合う他方の波線状環状体の一端側屈曲部間に形成される空間に侵入しており、かつ、前記各波線状環状体の一端側屈曲部の頂点および前記他端側屈曲部の頂点は、近接する方向に湾曲することによりかみ合った状態となっており、かつ、前記かみあった状態となっている部分の前記ステントの軸方向の長さは、0.2mm以上である請求項1ないし13のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記ステントは、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、該管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能なステントである請求項1ないし14のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- チューブ状のシャフト本体部と、該シャフト本体部の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーンと、折り畳まれた状態の前記バルーンを被包するように装着され、かつ該バルーンの拡張により拡張されるステントとを備える生体器官拡張器具であって、前記ステントは、請求項1ないし15のいずれかに記載のステントであることを特徴とする生体器官拡張器具。
- 前記バルーンに装着された状態における前記ステントの線状体部分が占める面積は、該ステントの空隙部を含む外周面の面積の60%〜80%である請求項16に記載の生体器官拡張器具。
- 前記バルーンに装着された状態における前記ステントの前記波線状環状体の他端側屈曲部の頂点は、隣り合う他方の波線状環状体の一端側屈曲部間に形成される空間に侵入しており、かつ、前記各波線状環状体の一端側屈曲部の頂点および前記他端側屈曲部の頂点は、近接する方向に湾曲することによりかみ合った状態となっており、かつ、前記かみあった状態となっている部分の前記ステントの軸方向の長さは、0.2mm以上である請求項16または17に記載の生体器官拡張器具。
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