JP5063757B2 - 車体側部構造 - Google Patents
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Description
この構造では、サイドシルは内部に設けた補強用のサイドシルリンフォースを前側部分と後側部分とに分割し、センタピラーの下端部を結合した結合部とその前後の所定範囲にサイドシルリンフォースが存在しない補強の不連続部を形成している。そして、側面衝突時に、サイドシルはサイドシルリンフォースが存在しない補強の不連続部から内側に屈曲変形し、それに伴いセンタピラーは上部のルーフサイドレールとの結合部付近を支点として振り子のように内側へ回動して、衝撃の吸収が行われる(例えば、特許文献1参照)。
一方、サイドシルはサイドシルスチフナーによって、車両の正面又は後面に入力される荷重(衝撃)に対し、強度が高まるという利点がある。
このように、車体側部構造は、車両の前面(正面)、車両の後面、側方(車両側面)に入力される荷重(衝突荷重)に対する車体の強度を向上させることができる。
請求項1に係る発明では、フロントフロアクロスメンバのフロントフロアクロスメンバ本体のみが、サイドシルインナに結合し、フロントフロアクロスメンバスチフナーは、サイドシルインナに対し乖離して空間を形成しているので、車両の外側からサイドボデーに入力される荷重に対し、サイドシルインナに結合しているフロントフロアクロスメンバ本体の端部は変形しやすくなり、乗員着座部の下方へ向け下部センタピラースチフナーの変形を誘導することができる。
その結果、仕切り補強部材は荷重をほとんど減衰させないでサイドシルインナを介して、サイドシルインナに結合しているフロントフロアクロスメンバ本体の端部に伝達し、フロントフロアクロスメンバ本体の端部の圧縮変形をより確実に促進させることができる。
つまり、中空に形成したサイドシル自体の内方へ押し込まれるつぶれ変形を抑制するという利点がある。
右のサイドボデーは左のサイドボデー13とほぼ対称である。
車体12の左側を主体に説明していく。
図中、35は車体側部構造のルーフアーチ16を含むルーフ、36はルーフパネルである。
車体側部構造は、車室22の左の側壁をなす左のサイドボデー13、右の側壁をなす右のサイドボデーを配置し、これらの下端をなすサイドシル27の中央部41同士を左右に延びるフロントフロアクロスメンバ15で接合し、中央部41に立設したセンタピラー31の上端42同士を左右に延びるルーフアーチ16で接合している。
そして、車室22の正面視(図3の視点)で、フロントフロアクロスメンバスチフナー46、左右の下部センタピラースチフナー47、左右の上部センタピラースチフナー44、ルーフアーチ16を環状に配置している。
ダイクエンチ(ホットスタンプ)は鋼板を加熱し、加熱した鋼板をプレス装置に取付けた金型で塑性加工すると同時に、金型との接触によって焼き入れ(冷却)を行う。
このダイクエンチ(ホットスタンプ)によって得られた成形品(ホットスタンプ材)は、引っ張り強さが、980MPa以上の超ハイテンである。下部センタピラースチフナー47、センタピラーインナ48、フロントフロアクロスメンバ15、サイドシルインナ54の引っ張り強さ(例えば、590MPa)に比べ、大きいものである。
ルーフアーチ16は、図3、図6に示す通り、センタピラーインナ48にルーフサイドレールインナ87を挟んでコーナブラケット51を介して接合している。
一方、フロントフロアクロスメンバスチフナー46は、サイドシルインナ54に対し距離(平均距離)E(図4)だけ乖離して空間56を形成している。
仕切り補強部材57は、外バルクヘッド58と、内バルクヘッド61と、前バルクヘッド62と、後バルクヘッド63と、からなる。
サイドシル27は、図3、図4に示す通り、3部材からなる。
サイドパネルアウタ33のサイドシルアウタ67と、サイドシルインナ54と、ダイクエンチ(ホットスタンプ)で成形したサイドシルスチフナー45と、からなる。
サイドシルインナ54にアンダボデー68を接合している。
一端53a、他端53bはフロントフロアクロスメンバ15の一端、他端でもある。
さらに、一端53a、他端53bの距離(平均距離)Eは、つぶれ領域を示すものでもある。
サイドパネルアウタ33のセンタピラーアウタ75と、センタピラーインナ48と、センタピラースチフナー43と、からなる。そして、センタピラーインナ48をサイドシル27に貫通させている。
また、センタピラースチフナー43は、2部材からなり(図1)、前述のダイクエンチ(ホットスタンプ)で成形した上部センタピラースチフナー44と、下部センタピラースチフナー47と、からなる。
一方、上部センタピラースチフナー44は、下部センタピラースチフナー47に接合した下端接合部83が形成され、ルーフサイドレール29に接合したルーフ接合部84が形成されている。
締結部92、94には、締結用の孔95をボルト96に対応する径で開けている。
仕切り補強部材57は、前述の外バルクヘッド58と、内バルクヘッド61と、前バルクヘッド62と、後バルクヘッド63と、からなる。
外バルクヘッド58は、ほぼコ字形で、コ字形を第1仕切部103、対向する第2仕切部104、これらに連続する接続部105とで形成している。
後バルクヘッド63は前バルクヘッド62と同様である。
前部座席24は、既存のセパレート形のシートで、運転席用座席114と助手席用座席115を分割したものである。
助手席用座席115は図3に示す通り、乗員着座部(シートクッション)52と、このシートクッション52に取付けたシートバック116と、を有する。そして、シートクッション52をフロントフロアクロスメンバ15を含むアンダボデー68にスライド装置117で固定している。
なお、前部座席24は運転席用座席114と助手席用座席115を一体的に形成したベンチシートでもよい。
まず、側面衝突などの衝撃荷重に対する強度向上の機構を説明する。また、その衝撃を吸収する機構を説明する。
なお、荷重(矢印a1、矢印a2)の入力に際しサイドパネルアウタ33を省いて説明している。
このフロントフロアクロスメンバ本体53に一体的に接合するフロントフロアクロスメンバスチフナー46はダイクエンチ(ホットスタンプ)によって得られた部材(ホットスタンプ材)なので、高張力鋼製(フロントフロアクロスメンバ本体53)に比べ、引っ張り強さが大きいので曲がり難い(詳しくは、座屈、圧縮変形し難い)。従って、一端53aが積極的に変形することによって、衝撃を吸収する。
同時に、フロントフロアクロスメンバ15のフロントフロアクロスメンバスチフナー46によってサイドシル27は座屈し難い。
サイドシルスチフナー45は車両11の後面(後)から荷重(衝突)が入力される場合も同様に変形し難い。
下部センタピラースチフナー47は、連続する部位(上部センタピラースチフナー44、サイドシルスチフナー45)に比べ、引っ張り強さが小さいので、荷重(矢印a1)が入力されると、前部座席24の乗員着座部(シートクッション)52へ向かって変形し始める。
つまり、下部センタピラースチフナー47を乗員着座部(シートクッション)52の下方へ向かって変形させることができる。
サイドシルインナ54から離したフロントフロアクロスメンバスチフナー46にはサイドシルインナ54から荷重は直接伝達されない。
その結果、フロントフロアクロスメンバ本体53の端部(一端53a)は入力される荷重に対して変形しやすく、下部センタピラースチフナー47を乗員着座部(シートクッション)52の下方(矢印a3の方向)へ向かってより確実に変形させることができる。
Claims (4)
- 車室の左の側壁をなす左のサイドボデー、右の側壁をなす右のサイドボデーを配置し、これらの下端をなすサイドシルの中央部同士を左右に延びるフロントフロアクロスメンバで接合し、前記中央部に立設したセンタピラーの上端同士を左右に延びるルーフアーチで接合している車体側部構造において、
前記ルーフアーチ、前記センタピラーのセンタピラースチフナーのうち上部センタピラースチフナー、前記サイドシルのサイドシルスチフナー、前記フロントフロアクロスメンバのフロントフロアクロスメンバスチフナーは、鋼板を加熱して金型で塑性加工すると同時に前記金型に接触して冷却することによって焼き入れを行うダイクエンチを用いて成形され、
前記センタピラースチフナーの残りの部位である下部センタピラースチフナーは、前記ダイクエンチで得られる強度より強度が小さい鋼板を用いて塑性加工され、
前記車室の正面視で、前記フロントフロアクロスメンバスチフナー、前記左右の下部センタピラースチフナー、前記左右の上部センタピラースチフナー、前記ルーフアーチを環状に配置し、
前記フロントフロアクロスメンバを閉断面形状に前記フロントフロアクロスメンバスチフナーとフロントフロアクロスメンバ本体で形成して、該フロントフロアクロスメンバ本体のみが、前記サイドシルスチフナーと閉断面形状を形成しているサイドシルインナに結合し、
前記フロントフロアクロスメンバスチフナーは、前記サイドシルインナに対し乖離して空間を形成していることを特徴とする車体側部構造。 - 前記センタピラーは、前記上部センタピラースチフナー及び前記車室へ向くセンタピラーインナで上部を閉断面形状に形成し、前記下部センタピラースチフナー及び前記センタピラーインナで下部を閉断面形状に形成し、
前記ルーフアーチは、前記センタピラーインナにコーナブラケットを介して接合していることを特徴とする請求項1記載の車体側部構造。 - 前記下部センタピラースチフナーは、車両側面視で、前記車室に配置した前部座席の乗員着座部に重なっていることを特徴とする請求項1記載の車体側部構造。
- 前記サイドシル内に仕切り補強部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の車体側部構造。
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