JP5063028B2 - 塗布方法及び装置並びに塗布ライン用ローラ - Google Patents

塗布方法及び装置並びに塗布ライン用ローラ Download PDF

Info

Publication number
JP5063028B2
JP5063028B2 JP2006126025A JP2006126025A JP5063028B2 JP 5063028 B2 JP5063028 B2 JP 5063028B2 JP 2006126025 A JP2006126025 A JP 2006126025A JP 2006126025 A JP2006126025 A JP 2006126025A JP 5063028 B2 JP5063028 B2 JP 5063028B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
roller
web
natural frequency
bar
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006126025A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007296462A (ja
Inventor
俊哉 三田
武司 北岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2006126025A priority Critical patent/JP5063028B2/ja
Publication of JP2007296462A publication Critical patent/JP2007296462A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5063028B2 publication Critical patent/JP5063028B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は塗布方法及び装置並びに塗布ライン用ローラに係り、特に、走行するウエブに塗布液を高精度に塗布することが要求される塗布装置において塗布機の近傍に配置されたローラの改良技術に関する。
搬送されるウエブの表面に塗布液を塗布する塗布装置には、塗布機の上流側及び下流側にウエブの搬送を支持するパスローラや、ウエブに搬送力を付与するフィードローラ等のローラが配置される。また、塗布機としては、バー塗布機(ロッド塗布機ともいう)、リバースロール塗布機、グラビアロール塗布機、スロットダイ塗布機(例えばエクストルージョン塗布機等)等がある。これらの塗布機は、光学フィルム(光学補償フィルム、反射防止フィルム等)や磁気記録媒体等の製造において使用されており、薄膜で且つ塗布ムラがない面質の良好な高精度の塗布が要求されている。
ところで、塗布操作において塗布機の振動がウエブの塗布面に伝わると塗布ムラとなって現れ、塗布品質を低下させることから、塗布機の振動を除振したり制振したりして、塗布機が振動しないようにすることも提案されている。
塗布機ではないが、例えば特許文献1の露光装置やデバイス装置では、駆動方向が鉛直方向で対向するように配置した一対のエアダンパと、該エアダンパの内圧を制御する手段を設けてエアダンパの固有振動数を調整する除振装置が開示されている。また、特許文献2には、感光ドラムの剛性を変えることで固有振動数を調整することが開示されている。
特開平11−315883号公報 特開平10−222011号公報
しかしながら、光学フィルムや磁気記録媒体等の製造における塗布のように薄膜塗布で且つ塗布ムラを極力小さくした高精度の塗布が要求される場合には、単に塗布機の除振や制振を行うだけでは、満足できる品質の光学フィルムや磁気記録媒体を製造できないという問題がある。例えば、バー塗布機でウエブに塗布液を塗布したときに、塗工用バーの回転による固有振動数と、塗布機近傍のパスローラの回転による固有振動数とが共振して塗布ムラが発現することがある。また、塗工用バーの径や回転数を変えたり、塗布機の種類を変えたりすることによっても、塗布機とパスローラとが共振して塗布ムラが発現することがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、光学フィルムや磁気記録媒体等の極めて高精度な塗布が要求される塗布であっても、塗布ムラのない良好な面状の塗布膜を得ることができる塗布方法及び装置並びに塗布ライン用ローラを提供することを目的とする。
請求項1の発明は、前記目的を達成するために、複数のローラに接触しながら搬送されるウエブに対して塗布機により塗布液を塗布する塗布方法において、前記複数のローラのうち、少なくとも前記塗布機に最も近いローラの固有振動数を調整することにより、前記塗布機の振動と前記ローラの振動とによる共振を回避した状態で塗布することを特徴とする塗布方法を提供する。
本発明の請求項1によれば、ウエブの搬送ラインに設けられた複数のローラのうち、少なくとも塗布機に最も近いローラの固有振動数を調整することにより、塗布機の振動とローラの振動とによる共振を回避した状態で塗布するようにしたので、塗布ムラの発生を効果的に抑制することができる。従って、光学フィルムや磁気記録媒体等の極めて高精度な塗布が要求される塗布膜の塗布であっても、良好な面状の塗布膜を得ることができる。
請求項2は請求項1において、前記ローラは前記ウエブの搬送を支持するパスローラ及び/又は前記ウエブに搬送力を付与するフィードローラであることを特徴とする。
請求項2は塗布に使用されるローラを具体的に示したものであり、このようなパスローラやフィードローラの固有振動数を変えることで、塗布ムラを防止できる。
請求項3は請求項1又は2において、前記ローラの固有振動数は、ローラシャフトを回転自在に支持する一対の軸受同士の距離である軸受スパンを変えることにより調整されることを特徴とする。
請求項2によれば、ローラシャフトを回転自在に支持する一対の軸受同士の距離である軸受スパンを変えることによりローラの固有振動数を調整するようにしたので、ローラの剛性を変えたり、重さを変えたりして固有振動数を調整する場合に比べて効果的に固有振動数を調整できる。
請求項4は請求項3において、前記軸受スパンの調整範囲は、軸受スパン最大値をC1とし、軸受スパン最小値をC2としたときに、0.5≦C2/C1≦1.0を満足する範囲で調整することを特徴とする。
本発明は、ローラの固有振動数を調整することで塗布機との共振を回避するようにしたものであるが、軸受スパンを長くしすぎるとローラの振れ回りが発生し、共振は抑制できても振れ回りに起因する塗布ムラが発現する。従って、請求項4では振れ回りを塗布ムラに影響がでないように効果的に抑制しながら固有振動数を調整できる軸受スパンの好適な範囲を規定したものである。
請求項4によれば、軸受スパンの調整範囲を0.5≦C1/C2≦1.0としたので、ローラの振れ回りを効果的に抑制しながら固有振動数を調整することが可能となる。
請求項5は請求項1〜4の何れか1において、前記塗布機に最も近いローラが前記塗布機から1000mm以内に配置されていることを特徴とする。
塗布機から1000mm以内に配置されているローラは塗布機との共振が発現しやすいため、このローラの固有振動数を調整することが塗布ムラ防止に特に有効である。
請求項6は請求項1〜5の何れか1において、前記塗布機は、バー支持部材の支持溝に支持されて回転する塗工用バーに前記ウエブをラップさせながら搬送することにより、前記塗工用バーを介して塗布液を前記ウエブに塗布するバー塗布機であることを特徴とする。
バー塗布機は、ウエブに薄膜を高速塗布するのに優れているが、塗工用バーの回転と、塗布機近傍のローラとが共振しやすく、本発明が特に有効だからである。
請求項7の発明は、前記目的を達成するために、塗布ラインを搬送されるウエブに接触する複数のローラを備え、前記搬送されるウエブに対して塗布機により塗布液を塗布する塗布装置において、前記複数のローラのうち、少なくとも前記塗布機に最も近いローラについては、その固有振動数を可変可能な固有振動数可変手段を備えると共に、前記固有振動数を可変することによって、前記塗布機の振動と前記ローラの振動とによる共振を回避することを特徴とする塗布装置を提供する。
請求項7は本発明を装置として構成したものであり、これにより光学フィルムや磁気記録媒体等の極めて高精度な塗布が要求される塗布であっても、塗布ムラのない良好な面状の塗布膜を得ることができる。
請求項8は請求項7において、前記ローラは前記ウエブの搬送を支持するパスローラ及び/又は前記ウエブに搬送力を付与するフィードローラであることを特徴とする。
請求項8は塗布に使用されるローラを具体的に示したものであり、このようなパスローラやフィードローラの固有振動数を変えることで、塗布ムラを防止できる。
請求項9の発明は、前記目的を達成するために、塗布ラインを搬送されるウエブに対して塗布機で塗布液を塗布する塗布装置に設けられ、前記ウエブに接触するローラであって、該ローラは、その固有振動数を可変可能な固有振動数可変手段を備えると共に、前記固有振動数を可変することによって、前記塗布機の振動と前記ローラの振動とによる共振を回避することを特徴とする塗布ライン用ローラを提供する。
請求項9は本発明を塗布ライン用ローラとして構成したものであり、ウエブに接触して搬送を支持又は搬送動力を付与する塗布ライン用ローラに固有振動数可変手段を備えるようにしたので、塗布装置において、塗布ライン用ローラと塗布機とによる共振に起因する塗布ムラを効果的に抑制できる。
請求項10は請求項9において、前記ローラは前記ウエブの搬送を支持するパスローラ及び/又は前記ウエブに搬送力を付与するフィードローラであることを特徴とする。
請求項10は塗布に使用されるローラを具体的に示したものであり、このようなパスローラやフィードローラの固有振動数を変えることで、塗布ムラを防止できる。
請求項11は請求項9又は10において、前記固有振動数可変手段は、前記ローラのローラシャフトを支持する一対の軸受同士の距離である軸受スパンを可変する手段であることを特徴とする。
請求項11は好ましい固有振動数可変手段として、一対の軸受同士の距離である軸受スパンを可変する手段を使用したものである。ローラの固有振動数はローラの剛性を変えたり、重さを変えたりして調整することも可能であるが、軸受スパンを変えることで精度良く固有振動数を調整できるからである。
請求項12は請求項11において、軸受スパンを可変する手段は、ローラシャフト表面の軸芯方向に形成された凸条又は凹条のスプラインに沿ってスライド自在であると共に、前記ローラシャフトにラジアル荷重とトルクとを同時に負荷できる軸受を有することを特徴とする。
軸受スパンを可変する手段として、ローラシャフト表面の軸芯方向に形成された凸条又は凹条のスプラインに沿ってスライド自在であると共に、前記ローラシャフトにラジアル荷重とトルクとを同時に負荷できる軸受を有する、通称ボールスプライン軸受を使用することで、容易に軸受スパンを可変することができる。
本発明によれば、光学フィルムや磁気記録媒体等の極めて高精度な塗布が要求される塗布であっても、塗布ムラのない良好な面状の塗布膜を得ることができる。
以下、添付図面により本発明の塗布方法及び装置並びに塗布ライン用ローラの好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明の塗布装置の一例であり、塗布機としてバー塗布機を用いた例で以下に説明すると共に、塗布ライン用ローラとしてパスローラの例で説明する。尚、塗布機はバー塗布機に限らず、塗布機近傍のローラ(例えばパスローラ)と共振を発生する恐れのある塗布機であれば何れの塗布機にも適用できる。また、塗布ライン用ローラはパスローラに限らず、ウエブに搬送力を付与するフィードローラ(ウエブを一対のローラでニップして搬送するニップローラ、ウエブをローラ周面に吸引保持して搬送するサクションローラ等)でもよく、更には他のローラでもよい。
図1のバー塗布装置10は、塗布・計量別体型の一例である。
塗布・計量別体型のバー塗布装置10は、主として、ウエブWに塗布液14を所望の塗布液量よりも過剰に塗布するエクストルージョン型のプレコート装置16と、ウエブWに過剰に塗布された塗布液14の過剰分を掻き取る掻取り用バー装置18と、ウエブWの搬送ラインに沿って設けられた複数のパスローラ20、20、20とで構成される。
エクストルージョン型のプレコート装置16は、ポケット22(又は、「マニホールド」とも称呼される)内に圧送された塗布液14を、ポケット22に連通するスリット24(又は、「スロット」とも称呼される)の出口24Aから、パスローラ20に装架されて矢印方向に一定の速度で走行するウエブWにヘッド先端面26を押し付けながら連続的に吐出する。
これにより、掻取り用バー装置18の直前においてウエブWの下面に過剰な塗布液が塗布される。尚、プレコート装置16としては、エクストルージョン型に限定されるものではなく、ウエブWに塗布液を塗布する任意の塗布装置を使用することができる。
掻取り用バー装置18は、ウエブWの幅方向と平行に配設された円柱状のバー28をバー支持台30の支持溝30Aに支持して構成され、パスローラ20により、走行するウエブWが塗工用バー28に対して所定のラップ角(巻き掛け角)をもって接触されるように構成されている。
また、バー28は、図示しない回転駆動系により、ウエブWと同方向又は逆方向に回転駆動される。これにより、プレコート装置16によりウエブWに過剰に塗布された塗布液14の過剰分が、バー28により掻き落とされて、所望の塗布液量に計量される。また、バー28を回転させることにより、ウエブWとバー28との間に異物がトラップされることを防止し、異物による塗布故障の発生を防止する。
バー28としては、バー表面がフラットなフラット型のバー、バーにワイヤーを密に巻回したワイヤーバー、バーの表面に溝をつけた溝付バー等を使用することができる。バー28を支持する支持溝30Aの形状としては、図2に示されるV字溝、又は図示しないU字溝が一般的に使用される。この支持溝30Aを形成する壁面30Bの長手方向(ウエブ幅方向と同じ)の真直度は、バー28の長手方向(ウエブ幅方向と同じ)の真直度と同等か、それ以上になるように加工される。
図3のバー塗布装置10’は塗布・計量一体型の一例である。尚、図1及び2で説明した塗布・計量別体型と同じ部材には同符号を付して説明する。
図3に示されるように、塗布・計量一体型のバー塗布装置10’は、主として、所望量の塗布液を塗布する塗工用バー装置50と、ウエブWの搬送ラインに沿って設けられた複数のパスローラ20、20、20とで構成される。
塗工用バー装置50は、主として、バー28と、バー28を回転自在に支持するバー支持台30と、コーターブロック52、54と、両側の(図では前後の)サイドブロック(図示略)から構成される。バー支持台30と各コーターブロック52、54との間には、ポケット56、58及びスリット60、62が形成され、各ポケット56、58に塗布液が供給される。
各ポケット56、58に供給された塗布液は、ウエブWの幅方向に平行でウエブ搬送方向に狭隘なスリット60、62を介してウエブWの幅方向に均一に押し出される。これにより、バー28に対してウエブWの搬送方向の上流側(以下、「1次側」という)には1次側塗布ビード64が形成され、下流側(以下、「2次側」という)に2次側塗布ビード66が形成される。したがって、バー28はこれらの塗布ビード64、66を介して走行するウエブWに所定量の塗布液を転移塗布する。
ポケット56、58から過剰に供給された塗布液は、各コーターブロック52、54とウエブWとの間からオーバーフローし、側溝65、67(一部図示)を介して回収される。尚、ポケット56、58への塗布液の供給はポケット56、58の中央部から行なっても、又は端部から行なってもよい。
塗布・計量別体型及び塗布・計量一体型の何れのバー塗布装置10、10’の場合にも、バー28の直径Φは3〜15mmの範囲が好ましく、バー28がワイヤーバーの場合のワイヤー直径Φは0.05〜0.20mmの範囲が好ましい。また、ウエブWの塗布テンション(搬送方向のテンション)は50〜1500N/mの範囲が好ましく、塗布速度は5〜150m/分の範囲が好ましい。また、バー28の異周速比(バー周速度/ウエブ速度)は0.1〜1.5の範囲が好ましい。また、パスローラ20の1回転周期の速度ムラは1.5%以内が好ましく、1.0%以内がより好ましい。
また、バー塗布装置10、10’の何れの場合にも、パスローラ20、20…のうち、少なくとも掻取り用バー装置18又は塗工用バー装置50(以下、まとめてバー装置18、50という)に最も近いパスローラ20には、その固有振動数を調整する固有振動数調整手段が設けられている。図4に示すように、特にバー装置18、50から最も近いパスローラ20が、バー28の中心〜パスローラ20の中心までの距離Fにおいて1000mm以内に位置する場合には、該パスローラ20に固有振動数調整手段を設けることが必要である。
次に、パスローラ20の固有振動数調整手段について説明する。
パスローラ20の固有振動数の調整は、ローラの剛性を変えたり、重さを変えたりすることによっても可能であるが、本実施の形態では、ローラシャフトを回転自在に支持する一対の軸受同士の距離である軸受スパンを変えることによりパスローラ20の固有振動数を調整する方法を説明する。
図5に示すように、パスローラ20は、主として、ローラ本体部11(ローラシェル部ともいう)と、該ローラ本体部11の回転軸であるローラシャフト13と、ローラシャフト13、13を支持する一対の軸受15、15と、ローラシャフト13の片端と回転駆動源(図示せず)に連結された駆動軸17とを連結する連結部材19と、固有振動数調整手段21とで構成される。この場合、ローラ本体部11とローラシャフト13とは一体構造とすることもできるが、別体構造として、ローラ本体部11とローラシャフト13とをパワーロックにより固定することが好ましい。
固有振動数調整手段21は、ローラシャフト13として、軸芯方向に凸条又は凹条のスプラインが形成されたスプライン軸を使用し、軸受15として、スプライン軸のスプラインに沿って直動可能で且つラジアル荷重とトルクとを同時に負荷できる軸受を使用することで構成される。このようなスプライン軸と軸受とを通称「ボールスプライン軸受」という)。
そして、この軸受15をローラシャフト13のスプラインに沿ってスライドさせて軸受15、15同士の間の距離である軸受スパンC(図5参照)を調整し、これによりパスローラ20の固有振動数を調整する。このパスローラ20の固有振動数の調整により、パスローラ20の回転振動とバー装置18、50のバー28の回転振動との共振を回避し、これにより塗布ムラを防止する。また、パスローラ20に固有振動数調整手段21を設けることにより、共振に起因した塗布ムラが発生しても、固有振動数の異なるパスローラにロール交換する必要がなくなり、塗布ムラの迅速な解消が可能となる。
「ボールスプライン軸受」については、特に説明しないが、市販のものを使用することができ、例えばTHK株式会社のボールスプラインLBS(商品名)やLT(商品名)等を使用できる。
また、固有振動数調整手段21における軸受15,15同士の軸受スパンCの調整範囲は、軸受スパン最大値をC1とし、軸受スパン最小値をC2としたときに、0.5≦C2/C1≦1.0を満足する範囲内で調整することが好ましい。これは、パスローラ20の固有振動数を調整することで、バー装置18、50との共振を回避できても、軸受スパンCを長くしすぎるとパスローラ20の振れ回りが発生し、共振は抑制できても振れ回りに起因する塗布ムラが発現するからである。従って、振れ回りを塗布ムラに影響がでないように効果的に抑制しながら固有振動数を調整できる軸受スパンCの好適な範囲は、0.5≦C2/C1≦1.0の範囲であることが好ましい。
以後の説明において、図5のパスローラ20におけるローラ本体部11の軸芯方向の長さを面長Aとし、ローラシャフト13の全長(一端から他端までの長さ)を軸長Bとし、一対の軸受15、15同士の間の距離を軸受スパンCとし、ローラ本体部11の端から軸受15までのローラシャフト13の長さを片持ち長さDという。
本発明で使用するウエブWとしては、一般に、その幅が300〜2000mm、長さが45〜10000m、厚さが2〜200μmのポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6 −ナフタレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド等のプラスチックフィルム、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンブテン共重合体等の炭素数が2〜10のα−ポリオレフィン類を塗布又はラミネートした紙等からなる可撓性帯状物あるいは該帯状物を基材としてその表面に加工層を形成した帯状物が含まれる。
ウエブWへの塗布液の塗布量としては、2〜15mL/m2 の範囲が好ましく採用できる。また、ウエブWへの塗布液の塗布幅としては、500〜2000mmの範囲が好ましく採用できる。
また、塗布液としては、光学フィルムや磁気テープの塗布液のような非ニュートン流体にかぎらず、写真感光層の比較的低粘度のゼラチン溶液をバインダとしてなるようなニュートン流体であってもよい。塗布液の粘度としては、0.8〜10cp(0.8〜10×10-3Pa・s)の範囲が好ましく採用できる。
[実施例1]
次に、図1に示した塗布・計量別体型のバー塗布装置10を用いて、光学補償フィルム用の塗布液を塗布した実施例を説明する。
この塗布において、図6の表に示すように、軸受スパン(C)の最大値(C1)に対する最小値(C2)の比率(C2/C1)を変えることにより、パスローラの固有振動数、パスローラ20の1回転成分の速度ムラ、及びウエブ Wに塗布された塗布層表面の塗布ムラがどうなるかを試験した。試験の評価は、掻取り用バー装置18のバー28に最も近い上流側のパスローラ20について行った。
試験は、図6の表の試験1〜5に示すように、ローラ本体部11の長さ(面長A)が1600mm、軸長Bが2580mmのパスローラ20を用いた。図6の軸受スパン最大値(C1)とは、軸長Bの長さから可能な最大の軸受スパン(C)を意味する。また、試験1の軸受スパン最小値(C2)が2500mmとは、軸受スパン最大値(C1)と軸受スパン最小値(C2)が同じであり比率(C2/C1)が1.00であることを意味する。
(光学補償フィルム用塗布液の調製)
下記に示すディスコティック化合物TE−8のR(1)とR(2)の重量比で4:1の混合物に対し、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V♯360、大阪有機科学(株)製)を10重量%、セルロースアセテートプチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)を0.6重量%、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を3重量%、増感剤(カヤキュアーDET−X、日本化薬(株)製)を1重量%添加し、最終的にその混合物の32重量%メチルエチルケトン溶液とした。その液晶性化合物を含む液に、さらにフッ素系界面括性剤(フルオロ脂肪族基含有共重合体、メガファックF780、大日本インキ(株)製)を0.3重量%添加し、塗布液とした。
Figure 0005063028
(塗布条件)
・プレコート装置…エクストルージョン型のスロットダイ
・掻取り用バー装置…直径8mmの円柱状の芯材に0.07mmのワイヤーを密に巻回したワイヤーバー
・塗布速度…20m/分
・塗布テンション…200N/m
(パスローラ条件)
・ローラ本体部の直径…95mm
・ローラシャフトの直径…32mm
・パスローラの真円度…0.01mm
・パスローラの円筒度…0.01mm
・掻取り用バー装置のバーからパスローラまでの距離F…100mm
(評価項目)
試験の評価項目は、図6のように、パスローラ20の固有振動数、1回転成分の速度ムラ、及びウエブWに塗布された塗布層表面の塗布ムラの3項目である。速度ムラは、図7に示すように、ロータリエンコーダー23(仙台ニコン社製のRD−5000)と、FFT25(小野測器(株)製のCF5220)を使用して測定した。速度ムラは1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。
また、塗布結果の評価は、目視による官能検査で、横段状ムラ(搬送方向にバー28の1回転周期で出るムラ)が製造品質を満たすもの(わずかに検出できるもの)を○と、製造合格限度レベル(検出できるが製造品質上問題がないもの)のものを△と、不合格レベルのもの(十分検出でき、製品として問題となるレベル)を×として判定した。
(試験結果)
図6の表から分かるように、軸受スパン最大値(C1)を2500mmと固定し、軸受スパン最小値(C2)を2500mm〜1700mmまで、試験1〜試験5の5水準で変化させることにより、パスローラ20の固有振動数は33〜73まで変化した。このことは、軸受スパン(C)を変えることによりパスローラ20の固有振動数を効果的に変えることができ、掻き取り用バーの回転との共振を回避することができることを意味する。
また、図6の表の試験1〜5から分かるように、比率(C2/C1)を試験1の1.00〜試験5の0.68まで小さくするに従って、即ちローラ本体部11の端部から軸受15までの片持ち長さ(D)が長くなるに従って、速度ムラで評価されるローラ本体部11の振れ回りが大きくなる傾向にある。そして、速度ムラが1.0以下の試験1〜4では塗布結果の評価が○であったが、速度ムラが1.1の試験5では、塗布結果が△の評価であった。
[実施例2]
実施例2は、図8に示すように、軸長Bは実施例1と同じ2580mmであるが、ローラ本体部の長さ(面長A)を1000mmと実施例1よりも短くした場合である。その他の条件は、実施例1と同様である。これにより、比率(C2/C1)が実施例1の最小値である0.68よりも小さな0.48まで小さくできるようにし、比率(C2/C1)を小さくすることによるパスローラ20の固有振動数、パスローラ20の1回転成分の速度ムラ、及びウエブWに塗布された塗布層表面の塗布ムラへの影響を調べた。
実施例2の図9の表から分かるように、比率(C2/C1)が0.5のときの速度ムラは1.5となると共に塗布結果の評価が△であった。更に、比率(C2/C1)が0.48になると速度ムラは1.6となり、塗布結果の評価が×になった。ちなみに、固有振動数については実施例1の面長Aが1600mmの場合も実施例2の面長Aが1000mmの場合も、軸受スパン(C)を変えることにより効果的に調整することができた。
以上、実施例1及び2から、パスローラ20の固有振動数の調整は軸受スパン(C)を変えることで面長Aに係わらず効果的に調整でき、バー28の回転との共振を回避することができるので、共振に起因する塗布ムラを防止できる。しかし、比率(C2/C1)が0.5を下回るとパスローラ20の1回転成分の速度ムラが大きくなり、塗布ムラの発現に繋がる。これは、比率(C2/C1)が0.5未満になり、径の細いローラシャフト13の片持ち長さ(D)が長くなりすぎると、剛性が落ちるためにローラ本体部11の振れ回りが大きくなるためである。従って、軸受スパン(C)の調整範囲は、軸受スパン最大値をC1とし、軸受スパン最小値をC2としたときに、0.5≦<C2/C1≦1.0を満足する範囲で調整することが好ましいことが分かる。
尚、塗布・計量一体型での実施例は図に示してないが、上記と同様の結果であった。
本発明に係るバー塗布装置であって、塗布・計量別体型の一例を示す側面断面図 図1における掻取り用バー装置の側面断面図 本発明に係るバー塗布装置であって、塗布・計量一体型の一例を示す側面断面図 バーとパスローラとの距離を説明する説明図 本発明に係るローラ(パスローラの例)を説明する全体図 実施例1の条件及結果を示す表図 実施例におけるパスローラの速度ムラを測定するための概念図 実施例1と実施例2の面長の違いを説明する説明図 実施例2の条件及結果を示す表図
符号の説明
10…塗布・計量別体型のバー塗布装置、10’…塗布・計量一体型のバー塗布装置、11…ローラ本体部、13…ローラシャフト、14…塗布液、15…軸受、16…プレコート装置、17…駆動軸、18…掻取り用バー装置、20…パスローラ、21…固有振動数調整手段、22…ポケット、24…スリット、28…バー、30…バー支持台、50…塗工用バー装置

Claims (12)

  1. 複数のローラに接触しながら搬送されるウエブに対して塗布機により塗布液を塗布する塗布方法において、
    前記複数のローラのうち、少なくとも前記塗布機に最も近いローラの固有振動数を調整することにより、前記塗布機の振動と前記ローラの振動とによる共振を回避した状態で塗布することを特徴とする塗布方法。
  2. 前記ローラは前記ウエブの搬送を支持するパスローラ及び/又は前記ウエブに搬送力を付与するフィードローラであることを特徴とする請求項1の塗布方法。
  3. 前記ローラの固有振動数は、ローラシャフトを回転自在に支持する一対の軸受同士の距離である軸受スパンを変えることにより調整されることを特徴とする請求項1又は2の塗布方法。
  4. 前記軸受スパンの調整範囲は、軸受スパン最大値をC1とし、軸受スパン最小値をC2としたときに、0.5≦C2/C1≦1.0を満足する範囲で調整することを特徴とする請求項3の塗布方法。
  5. 前記塗布機に最も近いローラが前記塗布機から1000mm以内に配置されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1の塗布方法。
  6. 前記塗布機は、バー支持部材の支持溝に支持されて回転する塗工用バーに前記ウエブをラップさせながら搬送することにより、前記塗工用バーを介して塗布液を前記ウエブに塗布するバー塗布機であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1の塗布方法。
  7. 塗布ラインを搬送されるウエブに接触する複数のローラを備え、前記搬送されるウエブに対して塗布機により塗布液を塗布する塗布装置において、
    前記複数のローラのうち、少なくとも前記塗布機に最も近いローラについては、その固有振動数を可変可能な固有振動数可変手段を備えると共に、前記固有振動数を可変することによって、前記塗布機の振動と前記ローラの振動とによる共振を回避することを特徴とする塗布装置。
  8. 前記ローラは前記ウエブの搬送を支持するパスローラ及び/又は前記ウエブに搬送力を付与するフィードローラであることを特徴とする請求項7の塗布装置。
  9. 塗布ラインを搬送されるウエブに対して塗布機で塗布液を塗布する塗布装置に設けられ、前記ウエブに接触するローラであって、
    該ローラは、その固有振動数を可変可能な固有振動数可変手段を備えると共に、前記固有振動数を可変することによって、前記塗布機の振動と前記ローラの振動とによる共振を回避することを特徴とする塗布ライン用ローラ。
  10. 前記ローラは前記ウエブの搬送を支持するパスローラ及び/又は前記ウエブに搬送力を付与するフィードローラであることを特徴とする請求項9の塗布ライン用ローラ。
  11. 前記固有振動数可変手段は、前記ローラのローラシャフトを支持する一対の軸受同士の距離である軸受スパンを可変する手段であることを特徴とする請求項9又は10の塗布ライン用ローラ。
  12. 軸受スパンを可変する手段は、ローラシャフト表面の軸芯方向に形成された凸条又は凹条のスプラインに沿ってスライド自在であると共に、前記ローラシャフトにラジアル荷重とトルクとを同時に負荷できる軸受を有することを特徴とする請求項11の塗布ライン用ローラ。
JP2006126025A 2006-04-28 2006-04-28 塗布方法及び装置並びに塗布ライン用ローラ Active JP5063028B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006126025A JP5063028B2 (ja) 2006-04-28 2006-04-28 塗布方法及び装置並びに塗布ライン用ローラ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006126025A JP5063028B2 (ja) 2006-04-28 2006-04-28 塗布方法及び装置並びに塗布ライン用ローラ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007296462A JP2007296462A (ja) 2007-11-15
JP5063028B2 true JP5063028B2 (ja) 2012-10-31

Family

ID=38766407

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006126025A Active JP5063028B2 (ja) 2006-04-28 2006-04-28 塗布方法及び装置並びに塗布ライン用ローラ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5063028B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61206819A (ja) * 1985-03-08 1986-09-13 Hiroshi Teramachi ボ−ルスプライン軸受
JPS6236541Y2 (ja) * 1985-06-19 1987-09-17
JPH0685901B2 (ja) * 1991-09-05 1994-11-02 中外炉工業株式会社 ロールコータの駆動装置
JP2002168317A (ja) * 2000-12-01 2002-06-14 Yamaha Motor Co Ltd ボールねじ駆動装置
JP2003080156A (ja) * 2001-09-13 2003-03-18 Fuji Photo Film Co Ltd バー塗布装置及びバー塗布方法
JP2004033946A (ja) * 2002-07-04 2004-02-05 Toppan Printing Co Ltd 塗布装置
JP2004106949A (ja) * 2002-09-13 2004-04-08 Toray Ind Inc ゴデットローラ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007296462A (ja) 2007-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101209619B1 (ko) 도포장치 및 도포방법
TWI450767B (zh) 塗布裝置及塗布膜的製造方法
US20080075867A1 (en) Method for drying applied film and drying apparatus
JP2003211052A (ja) 塗布装置及び塗布方法
TWI450768B (zh) 塗布裝置及塗布膜的製造方法
JP3941857B2 (ja) 塗布方法及び装置
JP4964630B2 (ja) 塗布装置及び塗布方法
JP5335319B2 (ja) 塗布装置及び塗布方法
JP2003251260A (ja) 塗布方法
JP5063028B2 (ja) 塗布方法及び装置並びに塗布ライン用ローラ
JP4945291B2 (ja) 塗布方法及び塗布装置
JP5748364B2 (ja) 塗布方法
JP4479555B2 (ja) バー塗布方法及び装置
JP2008212819A (ja) バー塗布方法及び装置
JP2006272269A (ja) 塗布液の塗布方法および光学フィルム
JP5065690B2 (ja) バー塗布方法
JP4743482B2 (ja) 塗布液の塗布方法、および塗布装置
JP4239215B2 (ja) バー塗布方法及び装置
JP2009112923A (ja) バー塗布装置及び塗布方法
JP2010188229A (ja) 塗布装置及び塗布方法
JP3940892B2 (ja) バーコータ装置
JP2003236456A (ja) ロッド塗布方法
WO2021137103A1 (en) Die coating on air supported shell
JP2005046692A (ja) 塗布方法
JP2002001197A (ja) ロッド塗布方法及び装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090203

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110401

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110929

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120731

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120807

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5063028

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150817

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250