JP2005046692A - 塗布方法 - Google Patents

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恒一郎 寺内
Toshio Shibata
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Abstract

【課題】比較的低い粘度の塗布液を搬送速度の大きいウエブに均一に塗布することができる塗布方法を提供する。
【解決手段】ワイヤバー塗布装置10は、ウエブ16の搬送方向に対してワイヤバー12を順転させるとともに、ウエブ16の搬送速度Vとワイヤバー12の回転周速Vとの比V/Vが0.1以上0.8以下、より好ましくは0.35以上0.6以下になるようにする。ワイヤバー12のワイヤ40は、真円度が2μm以下のものが使用される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は塗布方法に係り、特に、連続走行している可撓性支持体(以下、「ウエブ」と記す。)に対して、ワイヤバーを用いて塗布液を塗布する塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続走行するウエブの面上に塗布液を塗布する装置としてワイヤバー塗布装置がある。このワイヤバー塗布装置は、丸棒状のロッドにワイヤを螺旋状に密着巻きして形成したワイヤ列を備えた塗工用ワイヤバーを備え、走行するウエブに塗布液を転移塗布するもので、簡単な装置構成でしかも薄層塗布が可能なことから広く用いられている。例えば、塗工用ワイヤバーを用いた薄層塗布の一例として、液晶表示装置において視野角特性を改善するために設ける光学補償シートや反射防止のために設ける反射防止膜等の光学機能性フィルムの製造がある。
【0003】
このようなバー塗布装置において、塗布面状を改善する様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1には、ウエブの搬送速度Vとワイヤバーの回転周速Vに速度差を設けた塗布方法が記載されている。この塗布方法によれば、VとVに速度差を設けることによって、ワイヤバーのワイヤのピッチで発生する塗布ムラを無くすことができる。これにより、20mPa ・s 以上の比較的高い粘度の塗布液を塗布する場合であっても、均一な塗布を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−117682号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の塗布方法では、ウエブの搬送速度Vを高めるにつれて、ウエブの搬送方向に沿ったスジ状の塗布ムラ(以下、スジ状故障という)が1mm程度の大きなピッチで発生するおそれがあった。このスジ状故障は、20mPa ・s 未満の比較的低粘度の塗布液を50cc/m以下の少ないウエット塗布量で塗布した際に顕著に現れる。このため、従来の塗布方法では、比較的低粘度の塗布液を少ないウエット塗布量で塗布する際にウエブの搬送速度を高めることができず、生産性が低いという問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、比較的低粘度の塗布液を搬送速度の大きいウエブに均一に塗布することができる塗布方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、連続走行している可撓性支持体に対して、ワイヤバーを用いることによって、粘度が20mPa ・s 未満の塗布液を50cc/m(μmに相当)以下のウエット塗布量で塗布する塗布方法において、前記ワイヤバーを前記支持体の搬送方向に対して順転させるとともに、前記支持体の搬送速度Vと前記ワイヤバーの回転周速Vとの比V/Vを0.1以上0.8以下に設定することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、連続走行している可撓性支持体に対して、ワイヤバーを用いることによって、粘度が20mPa ・s 未満の塗布液を50cc/m以下のウエット塗布量で塗布する塗布方法において、前記ワイヤバーを前記支持体の搬送方向に対して順転させるとともに、前記支持体の搬送速度Vと前記ワイヤバーの回転周速Vとの比V/Vを0.35以上0.6以下に設定することを特徴としている。
【0009】
本発明の発明者は、粘度が20mPa ・s 未満の塗布液を50cc/m以下のウエット塗布量で塗布する場合において、ワイヤバーを支持体の搬送方向に対して順転させるとともに、支持体の搬送速度Vとワイヤバーの回転周速Vとの比V/Vを0.1以上0.8以下、好ましくは0.35以上0.6以下に設定すると、支持体の搬送速度Vを増加させても、スジ状故障等が発生しないという知見を得た。
【0010】
請求項1及び2に記載の発明はこのような知見に基づいて成されたものであり、V/Vを上記の範囲に設定したので、スジ状故障等の発生を防止できる。したがって、Vを増加させて生産速度を高めることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記ワイヤバーのワイヤは、真円度が2μm以下であることを特徴としている。
【0012】
請求項1及び2の発明において、VとVの差が大きくなると、ワイヤ表面の不整部分によって点状故障が支持体の走行方向に拡大されるおそれがあるが、請求項3に記載の発明によれば、真円度の小さいワイヤ、すなわち、不整部分の少ないワイヤを用いたので、点状故障の拡大を防止できる。したがって、請求項3に記載の発明によれば、VとVの差が大きい場合であっても良好な塗布面状を得ることができるので、Vをより増加させて生産速度を高めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係る塗布方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0014】
図1は、本発明に係る塗布方法が適用されるのワイヤバー塗布装置10の一例を示す断面図であり、図2はワイヤバー塗布装置10に設けられた塗工用ワイヤバー12の拡大断面図である。
【0015】
ワイヤバー塗布装置10は、一対のガイドローラ18、18でガイドされて走行するウエブ16に対して、塗工用ワイヤバー12を備えた塗布ヘッド14で塗布液を塗布する装置である。一対のガイドローラ18、18は、ウエブ16が塗工用ワイヤバー12に近接走行するように配置されている。
【0016】
塗布ヘッド14は主として、塗工用ワイヤバー12、バックアップ部材20、コーターブロック22、24で構成され、塗工用ワイヤバー12は、バックアップ部材20に回動自在に支持されている。バックアップ部材20と各コーターブロック22、24との間には、マニホールド26、28及びスロット30、32が形成され、各マニホールド26、28に塗布液が供給される。各マニホールド26、28に供給された塗布液は、狭隘なスロット30、32を介してウエブ幅方向で均一に押し出される。これにより、塗工用ワイヤバー12に対してウエブ16の送り方向の上流側(以下、「1次側」という)に1次側塗布ビード34が形成され、下流側(以下「2次側」という)に2次側塗布ビード36が形成される。これらの塗布ビード34、36を介して、走行するウエブ16に塗布液が塗布される。
【0017】
マニホールド26、28から過剰に供給された塗布液は各コーターブロック22、24とウエブ16との間からオーバーフローし、図示しない側溝を介して回収される。尚、マニホールド26、28への塗布液の供給はマニホールド26、28の中央部から行なっても、または端部から行なってもよい。
【0018】
塗工用ワイヤバー12は、図2に示すように、丸棒状のロッド38にワイヤ40を螺旋状に密着巻回して形成されたワイヤ列42を備えており、このワイヤ列42に塗布液を保持することにより、走行するウエブ16に塗布液を転移塗布する。
【0019】
塗工用ワイヤバー12を構成するロッド38及びワイヤ40の材質としては、ステンレスをはじめとする各種金属が使用可能であり、強度的に満足するものであればよい。また、ロッド38は、5〜15mmの径のものが好適に使用される。
【0020】
一方、ワイヤ40は、真円度が2μm以下のものが使用される。具体的には、、ワイヤ40の単位断面積(仮想真円)に対し、欠損や突起等の不整部分の面積の割合が小さいもの(例えば0.5%以下のもの)を使用することが好ましい。ここで、ワイヤ40の不整部分とは、図3(A)に示す突起64や、図3(B)に示す欠損62等である。不整部分の割合を算出する場合は、不整部分の幅と深さを測定し、その測定値から不整部分の断面を算出し、この算出値をワイヤ40の断面積で割って100倍することにより求められる。なお、不整部分の幅や深さの実測は、レーザー顕微鏡等の非接触方式、或いは表面粗さ計等の接触方式のどちらを用いても測定することができる。また、ワイヤ40の真円度を真円度測定機によって直接測定してもよい。
【0021】
真円度の小さいワイヤ40は、例えば素材自体の不純物や粒界の少ないものを入手することでもいいし、電解研磨やメッキのような化学処理を施してワイヤ表面を平滑化させる方法もある。以下、ワイヤ40の具体的な製造方法の一例を説明する。
【0022】
ワイヤ40表面に存在する欠損62や突起64の不整部分は、図4(A)に示す伸線工程で形成されることが多い。伸線工程は通常、ダイヤモンド製のダイスにステンレス母材を通して粗伸線を行い、次に目標のワイヤ40線径まで最終伸線を行うが、ステンレス母材を細くしていく過程で引き伸ばされ、ステンレス母材の新しい界面が現れる。その際に不純物の多いステンレス母材(例えば、粒界面が多い、或いはガスが混入した空隙空間が多い等)では、欠損62や突起64の不整部分が形成され易くなる。従って、不純物量の少ないステンレス母材を伸線してワイヤ40を製造することが重要になるが、ステンレス母材を製造するためのステンレス鋼の溶解工程の数を増やすことにより不純物量を下げることができる。
【0023】
図4(B)はステンレス鋼のシングル溶解による製造工程を示したものであり、製鋼をアーク溶解工程、鋳造工程、加熱/圧延工程を経てステンレス母材を製造する。しかし、シングル溶解製法ではステンレス母材の不純物量の合計が500ppm以下にまで低減することは通常不可能であり、上記した伸線工程でワイヤ40表面に欠損62や突起64の不整部分が形成されてしまう。これに対し、本発明の塗工用ワイヤバー12に使用するワイヤ40は、図4(C)のダブル溶解製法又は図4(D)のトリプル溶解製法で製造するようにした。これにより、伸線工程でワイヤ40表面に欠損62や突起64の不整部分が殆ど形成されなくなった。ステンレス母材中の不純物がどの程度低減されたかは次の方法によって測定することができる。即ち、ステンレス母材中の不純物のうち不純ガス(ステンレス中に含まれる水素や窒素や酸素等のガス)については、加熱溶解赤外線吸収法や加熱溶融熱伝導度法等により測定することができる。また、不純物のうち非金属介在物については、JIS法やASTM法によって定量化が可能である。また、不純物のうち粒界の量については、線材切断し、断面を顕微鏡で直接観察することで、単位断面積当たりの粒界量として定量することができる。非金属介在物はステンレス母材の場所によってはバラツキが大きいので、通常、不純ガス量が不純物量の代表値として把握しやすい。
【0024】
このワイヤ40の改良において、改良後のワイヤ40の真円度は2μm以下であることが好ましい。現在のワイヤ製作技術であれば、ワイヤ自体の径寸法のバラツキは十分小さく(例えばバラツキ1μm以下も可能)できるので、ワイヤ表面の欠損62や突起64の不整部分をなくすことによって、ワイヤ40の真円度を2μm以下にすることが可能となる。
【0025】
上記の如く構成された塗工用ワイヤバー12は、図1に示す如く、ウエブ16の搬送方向に対して順転される。さらに、塗工用ワイヤバー12の回転周速Vは、ウエブ16の搬送速度Vに対して、V/Vが0.1以上0.8以下、好ましくは0.35以上0.6以下となるように設定される。
【0026】
/Vが上記の範囲を上回ると、20mPa ・s 未満の低粘度の塗布液を50cc/m以下のウエット塗布量で塗布する際に、スジ状故障が発生しやすくなる。反対に、V/Vが上記の範囲を下回ると、VとVの差が大きくなった際に(すなわち、Vを増加させた際に)点状故障が拡大されやすくなる。具体的には、V/Vが0.35以下になると、塗布液の掻きあげ量が減るために液切れを起こすおそれがあり、V/Vが0.1以下になると、液切れが顕著に発生する。
【0027】
したがって、V/Vを上記の範囲に調節することによって、スジ状故障の発生と点状故障の拡大の両方を防止することができる。特にV/Vを0.35以上0.6以下の範囲に設定した際には、ウエブ16の搬送速度Vを増加させてもスジ状故障の発生と点状故障の拡大の両方を防止することができる。
【0028】
このように本実施の形態によれば、V/Vを上記の範囲に規制することによってスジ状故障の発生と点状故障の拡大の両方を防止できるので、20mPa ・s 未満の低粘度の塗布液を50cc/m以下のウエット塗布量で塗布する場合に、ウエブ16の搬送速度Vを向上させても良好な塗布面状を得ることができる。これにより、生産速度を高めることができる。
【0029】
また、本実施の形態によれば、塗工用ワイヤバー12のワイヤ40の真円度を2μm以下に規制しているので、VとVの差が大きくなった際に、ワイヤ40の不整部分によって点状故障が拡大されることを防止できる。すなわち、VとVの速度差が大きい場合には、ワイヤ40の不整部分によって、点状の塗布ムラが拡大されたり、ウエブ16に既に塗設されている材料が削られたりして、塗布面状に致命的影響を与えるおそれがあるが、ワイヤ40の真円度を小さくして不整部分を少なくすることによって、これらの不具合の発生を防止できる。
【0030】
尚、本実施の形態において、ワイヤバー塗布装置10は、クリーンルーム等の清浄な雰囲気に設置するとよい。その際、清浄度はクラス1000以下が好ましく、クラス100以下がより好ましく、クラス10以下がさらに好ましい。
【0031】
また、本実施の形態において、V/Vを変えることによってウエット塗布量が変化するが、その補正はワイヤ径によって調節すればよい。
【0032】
また、本実施の形態で得られる塗布面状の改善効果は、塗布液の粘度が低く、ウエット塗布量が少ないほど、効果が大きくなる。このため、塗布液の粘度は、20mPa ・s 未満が好ましく、10mPa ・s 未満がより好ましく、5mPa ・s 未満がさらに好ましい。また、ウエット塗布量は、50cc/m以下が好ましく、20cc/m以下がより好ましく、5cc/m以下がさらに好ましい。
【0033】
上述したワイヤバー塗布装置10は特に薄層塗布に有効であるので、例えば、ウエット塗布膜厚が5cc/m以下の超薄層塗布を行う光学補償シートの製造ラインに設置することができる。
【0034】
光学補償シートの製造ラインは、図5に示すように、送り出し機66からは予め配向膜形成用のポリマー層が形成されたウエブ16が送り出される。ウエブ16はガイドローラ68によってガイドされてラビング処理装置70に送りこまれ、ラビングローラ72によってポリマー層がラビング処理される。次に、除塵機74により、ウエブ16の表面に付着した塵が取り除かれる。そして、ワイヤバー塗布装置10によりディスコネマティック液晶を含む塗布液がウエブ16に塗布される。この後に、乾燥ゾーン76、加熱ゾーン78を経て、液晶層が形成される。更に紫外線ランプ80により液晶層を照射し、液晶を架橋させることで、所望のポリマーが形成される。そして、このポリマーが形成されたウエブ16は巻取り機82により巻き取られる。
【0035】
本発明で使用されるウエブ16としては、一般に幅0.3〜5m、長さ45〜10000m、厚さ5〜200μmのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6ナフタレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド等のプラスチックフィルム、紙、紙にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンブテン共重合体等の炭素数が2〜10のα−ポリオレフイン類を塗布又はラミネートした紙、アルミニウム、銅、錫等の金属箔等、或いは帯状基材の表面に予備的な加工層を形成させたものが含まれる。更に、前記したウエブ16には、光学補償シート塗布液、反射防止フィルム塗布液、磁性塗布液、写真感光性塗布液、表面保護、帯電防止或いは滑性用塗布液等が表面に塗布され、乾燥された後、所望する長さ、及び幅に裁断されるものが含まれ、これらの代表例としては、光学補償シート、反射防止フィルムが挙げられる。
【0036】
本発明に用いられる塗布液は、ウエブ16上に塗布膜を形成するためのものであればよく、公知のいずれの塗布液でもよい。例えば、液晶を含有している塗布液、反射防止膜の成分を含む液、又は光学補償シートの液晶性ディスコティック化合物を含む液等を塗布液に用いることができ、塗設された塗膜が反射防止膜または視野角拡大のための光学補償シートであることが好ましい。
【0037】
塗布液の物性は、有機溶剤系の場合、通常液粘度0.5〜20mPa ・s 、静的表面張力150〜300μN/cmのものが好ましい。静的表面張力に関しては、塗布後の初期乾燥ムラを改善するため、有機溶剤系の塗布液にフッ素系界面活性剤を添加し、静的表面張力を下げることが好ましい。代表的なフッ素系界面活性剤は、[化1]、[化2]に示す。ただし、静的表面張力を下げることによって、塗膜のレベリング促進にマイナス効果となり、スジ状故障が発生しやすくなるが、本実施の形態では、V/Vの比を調節しているので、スジ状故障の発生を防止できる。
【化1】
Figure 2005046692
【化2】
Figure 2005046692
【0038】
フッ素系界面活性剤等によって塗布液の静的表面張力を低下させた場合には、図6に示すように、一次側のコーターブロック22の形状を変えるとよい。すなわち、一次側のコーターブロック22に堰44を設けて、一次側塗布ビード34を長くするとよい。
【0039】
尚、本実施の形態は、ウエブ16への塗布液の塗布と塗布液の計量を同時に行うタイプのワイヤバー塗布装置10に本発明を適用した例で説明したが、予めウエブ16にプレコータで塗布液を過剰に塗布した後、塗布液の過剰分を掻き落とすタイプのワイヤバー塗布装置にも適用することができる。
【0040】
【実施例】
次に、本発明に係る塗布方法が適用されるワイヤバー塗布装置10の実施例を説明する。本発明の実施例として、超薄層塗布が要求される光学補償シートの製造及び/又は反射防止膜の製造に適用した例で以下に説明するが、これに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1において、光学補償シートの製造ラインのライン条件は次の通りである。
【0041】
ウエブ16には、厚さ100μmのトリアセチルセルロース(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を使用し、ウエブ16の表面に、長鎖アルキル変性ボバール(MP−203、クラレ(株)製)の2重量パーセント溶液をウエブ16の1m 当り25ml塗布後、60°Cで1分間乾燥させて配向膜用樹脂層を形成した。このウエブ16を50m/分で搬送しながら、樹脂層表面にラビング処理を行って配向膜を形成した。ラビング処理におけるラビングローラ72の押しつけ圧力は、配向膜樹脂層の1cm当たり10kgf/cmとすると共に、回転周速を5.0m/秒とした。
【0042】
そして、配向膜用樹脂層をラビング処理して得られた配向膜上に、ワイヤバー塗布装置10を使用して塗布液を塗布した。
【0043】
塗布液には、ディスコティック化合物TE−8のR(1)とR(2)(化3)の重量比で4:1の混合物に対し、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V♯360、大阪有機化学(株)製)を10重量%、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)を0.6重量%、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を3重量%、増感剤(カヤキュアーDET−X、日本化薬(株)製)を1重量%、添加し、最終的にその混合物の32重量%メチルエチルケトン溶液とした。その液晶性化合物を含む液に、さらにフッ素系界面活性剤(フルオロ脂肪族基含有共重合体、メガファックF780、大日本インキ(株)製)を0.3重量%添加し、塗布液として使用した。
【化3】
Figure 2005046692
【0044】
塗工用ワイヤバー12はロッド径8mmのステンレス製で、ワイヤ40の真円度が5μmのものを使用した。この塗工用ワイヤバー12をウエブ16に対して順回転させ、前記塗布液を塗布ヘッド(図1のように1次側の液溜まりの少ないブロックを採用)14から幅680mmの配向膜上に、塗布液量がウエブ16について1m 当り6mlになるように塗布した。送液量は1次側マニホールドより1分間当たり2.0Lを送り、2次側マニホールドより1分間当たり0.5L送った。
【0045】
塗布液が塗布されたウエブ16は、100℃に調整された乾燥ゾーン及び、130℃に調整された加熱ゾーンを通過させてネマチック相を形成した後、この配向膜及び液晶性化合物相が塗布されたウエブ16を連続搬送しながら、液晶層の表面に紫外線ランプにより紫外線を照射した。
【0046】
そして、塗工用ワイヤバー12の回転周速V、ウエブ16の搬送速度V等の各条件を変えながら、塗布面状がどのように変わるかを試験した。
【0047】
塗布面状の評価は、スジ状塗布ムラのスジ本数、点状塗布ムラの点欠陥数、乾燥ムラの個数から面状判定を行った。スジ本数は製品幅当たり何本あるかを目視でカウントし、弱いスジが三本以下を合格とした。点欠陥数は顕微鏡で大きさが100μm以上のものが製品m当たり幾つあるかをカウントし、五個以下のものを合格とした。乾燥ムラは製品m当たり幾つあるかをカウントし、二個以下を合格とした。
【0048】
また、面状判定としては、スジ本数が合格のものを△で表示し、スジ本数と点欠陥数の両方が合格のものを○とした。さらにスジ本数、点欠陥数、乾燥ムラの全てで合格したものを◎とした。
【0049】
図7に、実施例1での試験1〜16の塗布液の粘度、塗布量、表面張力、塗布速度(Vに相当)、周速比(V/V)、ワイヤ真円度、塗布面状の評価結果を示した。
【0050】
試験1〜7は、従来の塗布方法で塗布した場合であり、塗工用ワイヤバー12は、ウエブ16と同じ速度で順回転している。すなわち、V=Vであり、V/Vは1.0である。
【0051】
このうち、試験1〜試験5は、ウエブ16の搬送速度Vが従来速度(15m/分)の場合であり、試験1、2、及び4では、良好な塗布面状が得られた。ただし、粘度を20mPa ・s に増加させた試験3や、塗布量を5cc/m(μmに相当)から2cc/mまで減少させた試験5では、スジ状塗布ムラが発生した。
【0052】
試験6、7は、V=Vのまま、Vをそれぞれ、20m/分、25m/分まで増加させている。この試験6、7から分かるように、V=VのままVを増加させると、スジ状塗布ムラが発生する。そして、Vが大きくなるほど、スジ状塗布ムラの数が増加する。したがって、従来の塗布方法では、Vを増加することができず、処理速度を向上させることができない。
【0053】
また、試験6、7では、Vを増加させることによって乾燥ムラの個数が増加している。これは、Vの増加に伴って乾燥ゾーン長が不足し、乾燥不足が発生するとともに、Vの増加によって同伴エアによる影響で乾燥ムラが顕著になると考えられる。
【0054】
試験8〜11及び試験13〜16は、本発明に係る塗布方法で塗布した場合であり、塗工用ワイヤバー12の周速Vとウエブ16の搬送速度Vの比V/Vを0.1〜0.5の範囲に設定している。
【0055】
このうち、試験8は、試験6と比較して、V/Vを1.0から0.5に変更している。その結果、スジ状塗布ムラをゼロにすることができた。これにより、V/Vを0.5に設定することによって、スジ状塗布ムラの発生を防止できることが分かる。ただし、試験8では、V/Vを小さくしたことによって、点状塗布ムラが目立つようになり、点欠陥数が増加した。
【0056】
そこで、試験9〜19では、ワイヤ精度をアップし、ワイヤの真円度を5μmから2μmに変更した。その結果、点欠陥数を大幅に減少させることができた。例えば、真円度が5μmの試験8では点欠陥数が18個だったのに対し、真円度が2μmの試験9では点欠陥数を3個に減少させることができた。なお、図7には示してないが、ワイヤの真円度を変化させて試験した結果、ワイヤの真円度が小さくなるほど点欠陥数を減らすころができ、具体的には、真円度を2μm以下にすると、点欠陥数を五個以下にすることができた。
【0057】
試験9〜14はV/V以外を同一条件に保ったまま、V/Vを変化させている。この結果、V/Vを小さくするほど、スジ本数が減少し、スジ状塗布ムラを改善することができるという結果が得られた。具体的には、試験14の如く、V/Vを0.8以下にすることによってスジ状塗布ムラの面で合格レベルになり、試験13の如く、V/Vを0.6以下にすることによってスジ本数をゼロにすることができた。
【0058】
一方で、V/Vを小さくするほど点欠陥数が増加し、反対にV/Vをある値以上に設定することによって点欠陥数の増加を抑えることができるという結果が得られた。具体的には、試験11の如く、V/Vを0.1以上に設定することによって点欠陥数を一桁に抑えることができ、試験10の如くV/Vを0.35以上に設定することによって点欠陥数を五個以下に抑えることができた。以上の結果から、V/Vが0.1以上0.8以下であれば、スジ状塗布ムラの発生を防止しつつ、点状塗布ムラの発生を抑制する効果が得られることが明らかになった。さらに、V/Vが0.35以上0.6以下であれば、スジ状塗布ムラの発生防止、及び点状塗布ムラの発生防止の点で効果が大きいことが明らかになった。
【0059】
試験15〜19では、塗布液の静的表面張力を250から200μN/cmに下げており、これによって乾燥塗布ムラの改善を図っている。試験16では、スジ状塗布ムラ、点状塗布ムラ、乾燥ムラの全ての面において、優れた製品を得ることができた。なお、試験15は、試験16に対する比較例であり、周速比V/Vが従来の塗布方法と同じ1.00である。このため、スジ状塗布ムラの発生を防止することができない。
【0060】
試験17〜19は、試験16に対して塗布速度Vを増加させている。このように、本発明を用いた塗布方法では、塗布速度Vを増加させても、優れた塗布面状を得ることができた。
【0061】
以上の結果より、ウエブ19の搬送速度Vより塗工用ワイヤバー12の周速度Vを遅くすることで、良質な面状を確保できることがわかった。また、塗工用ワイヤバー12のワイヤ表面の精度を高めることによって、速度差を設ける弊害である点状故障の発生を防止することができることが分かった。
【0062】
尚、図7には示さなかったが、試験の結果、塗布液の粘度は0.5〜20mPa ・s 、静的表面張力は150〜300μN/cm、ウエット塗布量は2〜20cc/mが適用範囲であった。
【0063】
また、本実施例は光学補償シートの液晶性ディスコティック化合物の塗布液のバー塗布を引用したが、その他に反射防止膜の反射防止成分を含む塗布液の塗布についても実施例と同様の効果が得られ、汎用性のある塗布が可能であることも分かった。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る塗布方法によれば、ワイヤバーを支持体の搬送速度に対して順転させるとともに、支持体の搬送速度Vとワイヤバーの回転周速Vとの比V/Vを0.1以上0.8以下、好ましくは0.35以上0.6以下に設定したので、20mPa ・s 未満の低粘度の塗布液を50cc/m以下のウエット塗布量で塗布する場合であってもスジ状故障を発生させることがなく、よって、支持体の搬送速度を増加させて生産速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗布方法が適用されたワイヤバー塗布装置の全体構成を説明する断面図
【図2】塗工用ワイヤバーを説明する部分拡大断面図
【図3】ワイヤの不整部分を説明する説明図
【図4】ワイヤ製造の伸線工程及びワイヤの母材であるステンレス鋼の製造工程を説明する工程図
【図5】光学補償フィルムの製造ラインを説明する説明図
【図6】図1と異なる形状のワイヤバー塗布装置の全体構成を説明する断面図
【図7】実施例の結果を示す説明図
【符号の説明】
10…ワイヤバー塗布装置、12…塗工用ワイヤバー、14…塗布ヘッド、16…ウエブ、18…ガイドローラ、20…バックアップ部材、22,24…コーターブロック、26,28…マニホールド、30,32…スロット、34…1次側塗布ビード、36…2次側塗布ビード、38…ロッド、40…ワイヤ、42…ワイヤ列、62…ワイヤの欠損、64…ワイヤの突起、66…送り出し機、68…ガイドローラ、70…ラビング処理装置、72…ラビングローラ、74…除塵機、76…乾燥ゾーン、78…加熱ゾーン、80…紫外線ランプ、82…巻取り機

Claims (3)

  1. 連続走行している可撓性支持体に対して、ワイヤバーを用いることによって、粘度が20mPa ・s 未満の塗布液を50cc/m以下のウエット塗布量で塗布する塗布方法において、
    前記ワイヤバーを前記支持体の搬送方向に対して順転させるとともに、前記支持体の搬送速度Vと前記ワイヤバーの回転周速Vとの比V/Vを0.1以上0.8以下に設定することを特徴とする塗布方法。
  2. 連続走行している可撓性支持体に対して、ワイヤバーを用いることによって、粘度が20mPa ・s 未満の塗布液を50cc/m以下のウエット塗布量で塗布する塗布方法において、
    前記ワイヤバーを前記支持体の搬送方向に対して順転させるとともに、前記支持体の搬送速度Vと前記ワイヤバーの回転周速Vとの比V/Vを0.35以上0.6以下に設定することを特徴とする塗布方法。
  3. 前記ワイヤバーのワイヤは、真円度が2μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013034980A (ja) * 2011-08-11 2013-02-21 Hirano Tecseed Co Ltd 塗工装置
WO2022075217A1 (ja) * 2020-10-06 2022-04-14 富士フイルム株式会社 塗布装置、インクジェット印刷装置及び塗布方法

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