JP2008200632A - バー塗布装置およびバー塗布方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バー塗布において、流動スジを発生させないように塗布液をウエブに薄膜塗布することができ、さらに、光学機能性フィルムの製造に好適なバー塗布装置およびバー塗布方法を提供する。
【解決手段】連続走行しているウエブに、バー受け部材に支持されて回転する円柱状のバーを用いて塗布液を塗布するバー塗布装置において、前記バーの中心軸のねじれ角βが360°/m以下であることを特徴とするバー塗布装置である。
【選択図】図2
【解決手段】連続走行しているウエブに、バー受け部材に支持されて回転する円柱状のバーを用いて塗布液を塗布するバー塗布装置において、前記バーの中心軸のねじれ角βが360°/m以下であることを特徴とするバー塗布装置である。
【選択図】図2
Description
本発明はバー塗布装置及びバー塗布方法に係り、特に直径が1mm〜15mmの細径な円柱状のバーによって、連続走行するウエブに塗布液を薄膜塗布するバー塗布装置及びバー塗布方法に関する。
従来から連続走行しているウエブに塗布液を塗布する方法として、各種の方法が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、操作が容易で、かつ多大なスペースを要しないバー塗布方法が記載され、また広く利用されている。このバー塗布方法は、細長いバーを用いるため、ウエブやバーの僅かな振動により、ウエブの走行方向において段状の塗布厚みムラ(以下、段状ムラという)が発生し易い。そのため、この対策として本出願人は、特許文献2において、ウエブとバーのラップ角度を2.5〜30°にすると共に、バー断面の最大径をRb、バー支持部材のバー受け部断面の円弧の曲率半径をRhとしたときに、Rb/Rhが0.9〜1.0の範囲であり、かつ、バー支持部材のバーホールド角を90°以上180°以下にするバー塗布方法を提案した。これにより、段状ムラを解決することができた。
しかしながら、特許文献2のバー塗布方法を使用しても、ウエブに塗布液が塗布された塗布膜面に、バーの1回転周期で発生するウエブの幅方向に出る横段状ムラ、塗布液の流動に起因する不連続な流動ムラ、ウエブ長手方向(搬送方向)に直線状に出る縦スジ等の塗布故障を発生する場合があった。特に、光学補償フィルム等の光学機能性フィルムの製造における塗布のように、ウエブに塗布される湿潤膜厚が15μm以下の薄膜塗布においては、塗布後のレベリング効果が得られにくいために、これらの塗布故障が顕在化し易く問題であった。
そのため、下記の特許文献3には、バー受け部材のバー支持面をバーに対して特定の関係を有する形状にすることで、バーのバー支持面に対するホールド性を確保することができ、さらに、振れ回りによりバーがバー支持面のエッジに当たり難くすることができることが開示されている。連続走行するウエブにバーで塗布液を塗布する場合、バーは軸芯を中心に完全な円形を描いて回転するのではなく、バーにラップして走行するウエブの振動やバー自体の振動、バーの僅かな撓み等によりバーの振れ回り(揺れながら回転する)が発生している。バー受け部材のバー支持面を特許文献3に記載されているような所定の形状とすることにより、塗布故障を軽減できることができた。
特公昭58−4589号公報
特開平9−201563号公報
特開2006−82059号公報
しかしながら、特許文献3に記載されているようにバー受け部材の真直度を調整しても、バーによっては流動スジが発生していた。このことから、バーの形状観察によりバーのねじれ角が影響していることが確認された。本発明は、かかる知見に基づいて成されたものである。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、バー塗布において、流動スジを発生させないように塗布液をウエブに薄膜塗布することを目的とする。さらに、薄膜塗布することができるので、例えば光学機能性フィルムの製造に好適なバー塗布装置およびバー塗布方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、連続走行しているウエブに、バー受け部材に支持されて回転する円柱状のバーを用いて塗布液を塗布するバー塗布装置において、前記バーの中心軸のねじれ角βが360°/m以下であることを特徴とするバー塗布装置を提供する。
請求項1によれば、バーの中心軸のねじれ角βが、360°/m以下であるため、バーによる塗布液の塗布をウエブの幅方向に均一の圧力で行うことができる。したがって流動スジの発生を抑制することができる。
なお、本発明において、ねじれ角とは、測定部分のバーの振れを考慮して仮想断面を任意に決定する。この仮想断面の中心を理想中心とし、この理想中心から測定断面の半径の最大値の振れを測定する。測定断面は、5〜100mmの測定ピッチで測定を行い、そして、三次元的な螺旋上に分布している測定断面の円周の半径の最大値の点を、バーの円形断面に投影した円筒座標系における角度を求めるものである。
図1は本発明のバー塗布装置に用いられるバー20の部分斜視図である。図2はねじれの無いバー120の正面図および側面図(A)、ねじれの有るバー20の正面図および側面図(B)である。図1および図2(B)に示すように、仮想断面19はバーの振れを考慮し、そのバーが振れたときの中心となるように決定し、その仮想断面19の中心を理想中心21とする。図2(B)に示すバー20は、バー全体のねじれ角が540°あるバーであり、このねじれ角の360°以内のバーの長さが1m以内である。
請求項2は請求項1において、前記バーの直径が1mm〜15mm以下の範囲であることを特徴とする。
上記範囲のような細い直径のバーは撓みやすく、振れ回りしやすく、またねじれやすいため、本発明の効果が一層発揮されるため、より効果的である。
請求項3は請求項1または2において、前記バーの真直度が1mあたり200μm以下であることを特徴とする。また、請求項4は請求項3において、前記バーの真直度が1mあたり100μm以下であることを特徴とする。
請求項3によれば、バーの単位長さあたりの真直度が200μm以下であるため、直線性を維持することができる。したがって、バーがウエブに対してウエブの幅方向に同じ圧力で塗布液を塗布することができるので、流動スジの発生を抑制することができる。さらに、バーの真直度は単位長さあたり100μm以下であることが好ましい。100μm以下とすることにより、さらに流動スジの発生を抑制することができる。
請求項5は請求項1から4において、駆動中の前記バーの先端の振れ回りが100μm以下であることを特徴とする。
請求項5によれば、塗布装置の駆動中において、バーの先端の振れ回りが100μm以下であるため、駆動中にバーのウエブに対する圧力が極端に変化することなく塗布することができる。したがって、流動スジの発生を抑制することができる。
請求項6は前記目的を達成するために、連続走行しているウエブに、バー受け部材に支持されて回転する円柱状のバーを用いて塗布液を塗布するバー塗布方法において、前記バーの中心軸のねじれ角βが360°/m以下であることを特徴とするバー塗布方法を提供する。
請求項6は、請求項1のバー塗布装置をバー塗布方法として展開したものである。請求項6によれば、請求項1と同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、流動スジの塗布故障を発生させないように塗布液をウエブに薄膜塗布することができる。したがって、本発明のバー塗布装置およびバー塗布方法は、例えば、光学機能性フィルムの製造のように、薄膜塗布における塗布膜面の表面性を改善する上で極めて効果的である。
以下、添付図面に従って、本発明に係るバー塗布装置及びバー塗布方法の好ましい実施の形態について詳説する。
図3は本発明の実施態様を示すバー塗布装置の側面断面図であり、図4はバー塗布ヘッドの一部を断面で示した斜視図である。
図3及び図4に示すように、バー塗布装置10は、バー塗布ヘッド12を挟んでウエブ走行方向の上流側と下流側とに設けられた一対外のガイドローラ14、16によりウエブ18がバー塗布ヘッド12のバー20にラップされた状態で塗布液が塗布される。
バー塗布ヘッド12は、主として、両端が図示しない軸受により回転自在に支持されたバー20と、そのバー20の全長にわたって設けられ、バー20に撓みが生ずるのを防止すると共にバー20へ塗布液を供給する給液器としての機能を備えたバー受け部材22と、バー受け部材22との間に塗布液の給液路24、26を形成する上流側堰部材28と下流側堰部材30とで構成される。給液路24、26は、マニホールド32とスロット34とで構成され、マニホールド32に給液された塗布液がスロット34を介してウエブ18の幅方向に均一に押し出される。これにより、バー20に対してウエブ18の搬送方向の上流側(以下、1次側という)には1次側ビード36が形成され、下流側(以下、2次側という)には2次側ビード38が形成される。この2次側ビード38はバー20とバー受け部材22との間に空気を巻き込まないように作用する。これら1次側と2次側のビード36,38を形成する塗布液が回転するバー20によってピックアップされることにより、バー20にラップして連続走行するウエブ18に塗布される。また、給液路24、26から1次側と2次側のビード36,38に供給された塗布液のうち余剰の塗布液は堰部材28、30の外側28A、30Aを流下する。
バー20の回転は、ウエブ18の走行によって従動回転する場合、駆動源を設けて回転駆動する場合の何れでも良く、また回転駆動する方向はウエブ18の走行方向と同方法への回転でも、逆方向への回転でもよい。バー20の種類としては、ワイヤーバー、溝切りバー、フラットバーを好適に使用することができ、特に光学補償フィルム等の光学機能性フィルムの製造のように、ウエブ18に塗布する湿潤膜厚が15μm以下の薄膜塗布には、塗布量を精度良く制御し易いため薄膜塗布に好適であるワイヤーバーを用いることが好ましい。ワイヤーバー20は、図5に示すように、円柱状の芯金40の表面にワイヤー42を巻回してワイヤ列44を形成することで作成することができる。ワイヤーバー20は、図6に示すように、ワイヤー42の太さを変えることで、ワイヤ列44のワイヤー42同士の間に保持する塗布液量を変えることができるため、所望厚みの塗布膜を精度良く塗布することができる。
次に、上記の如く構成されたバー塗布装置10によりウエブ18に塗布液を塗布する方法を説明する。
塗布液は塗布ヘッド12の給液路24,26内に供給されて1次側と2次側のビード36、38を形成し、回転するバー20によってピックアップされウエブ18に塗布される。この際、ウエブ18とバー20との接触部において塗布液の計量がおこなわれて所望の塗布量のみがウエブ18に塗布され、他は堰部材28,30の外側面に沿って流下する。即ち、バー塗布においては、塗布液はビード36、38を介してウエブ18に塗布されることになる。
塗布液はビード36、38を形成し適切に維持してゆくためには、バー20によりピックアップされる塗布液量Q1がウエブ18に塗布される塗布液量Q2と等しいか、或いはこれより大であることが要求される。一般にQ1>Q2であれば、1次側ビード36への塗布液のインプットがアウトプットより大となるから、1次側ビード36の大きさを一定に保つ場合は、この過剰の塗布液が1次側ビード36外へ流出する。即ち、バー20により掻き落された過剰の塗布液の一部は堰部材28を越えて溢れ、堰部材28の外側面に沿って流下する。こうして溢れ流下した塗布液は回収され、再び塗布液として再使用されることになる。
また、バー20の回転があまり大きくなると、塗布液の種類によっては、バー20とウエブ18の下流側接触部近傍に泡が停留して塗布故障を発生したりすることがある。この泡はバー20とバー受け部材22との間に存在する空気がバー20の回転により巻き込まれて発生するものと考えられるので、これを防止するために、図3に示す如くバー20の下流側においても、バー20に向けて塗布液を供給し、堰部材30よりオーバフローさせて、泡防止用の2次側ビード38を形成させて、空気が上流側へ巻き込まれないようにすることが好ましい。
本発明において、用いられる塗布液はとくに限定されるものではなく、高分子化合物の水又は有機溶媒液,顔料水分散液,コロイド溶液等を利用することができる。また塗布液の物性も特に限定されるものではないが、粘度は低い方が好ましく、100cp以下、とくに50cp以下の塗布液が好ましい。表面張力も特に限定されないが、50dyne/cm以下とすることにより、特に好ましい結果を得ることができる。
また、本発明において用いられるウエブ18としては、紙、プラスチックフィルム,レジンコーティッド紙,合成紙等が包含される。プラスチックフィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル,ポリ塩化ビニル,ポリスチレン等のビニル重合体、6,6−ナイロン,6−ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ヘルローストリアセテート,セルロースダイアセテート等のセルロースアセテート等が使用される。またレジンコーティッド紙に用いる樹脂としては、ポリエチレンをはじめとするポリオレフィンが代表的であるが、必ずしもこれに限定されない。ウエブの厚みも特に限定されないが、0.01mm〜1.0mm程度のものが取扱い,汎用性の点から好ましい。
本発明において使用されるバー20は、フラットバー、ワイヤーバー、溝切りバーの何れを用いることができるが、バーの中心軸のねじれ角βが360°/m以下である。中心軸のねじれ角βが360°/m以下とすることにより、塗布液の塗布をウエブに対して均一の圧力で行うことができるので、流動スジの発生を抑制することができる。ねじれ角βが360°/m以上であると、バーとウエブが複数の点、例えばねじれ角0°と360°の点で圧力が高くなり、逆に180°の点で圧力が低くなるため、流動スジが発生しやすくなる。また、ねじれ角が360°以上あっても、そのバーの長さが1m以内であれば、バーとウエブの圧力に差があまりみられないため、流動スジの発生を抑制することができる。
さらに、バー20は1mあたりの真直度が200μm以下が好ましく、より好ましくは100μm以下である。真直度を上記範囲とすることにより、バーの直線性が保たれるので、ウエブに対して一定の圧力で塗布することができるため、流動スジの発生を抑制することができる。単位長さあたりの真直度が、200μmを超える場合は、バーの直線性が得られないため、ウエブにかかる圧力が一定にならず、ウエブに流動スジが発生しやすくなる。
さらに、駆動中のバーの先端の振れ回りが100μm以下であることが好ましく、より好ましくは80μmであり、さらに好ましくは60μmである。バーの振れ回りが100μm以下であると、バーの駆動中においても、バーとウエブが極端に離れることがなくなるため、一定の圧力で塗布液を塗布することができるため、流動スジの発生を抑制することができる。
本発明においてワイヤーバーを使用する場合、バー20の直径は1mm〜15mmの範囲が好ましく、より好ましくは5mm〜10mmである。また、バー20は長さが2m以内のバーを使用することが好ましい。バー20が細長いため、長さが2mを超えると回転時に撓みに起因する振れ回りが発生しやすくなり、流動スジが発生しやすくなるからである。また、直径が1mm未満のバーは、直径が細いため、製作上困難であるため、好ましくない。ワイヤー42の径は0.06〜0.4mmが好ましく、より好ましくは0.06〜0.2mmである。これより大きいと塗布量が多くなりすぎ、高速薄膜塗布に有効なバー塗布法の使用法として適切ではない。また、これより小さいとワイヤー42を巻いて高精度なワイヤーバーを製作することが困難になると共に強度的にも問題が出てくるため好ましくない。ワイヤー42の材質としては金属が用いられるが、耐蝕性,耐摩耗性,強度等の観点からステンレス鋼が最も適している。このワイヤー42には更に耐摩耗性を向上させるため、表面にメッキを施すことも出来る。とくにハードクロムメッキが適している。
このように、バー径1mm〜15mm、ワイヤー径0.06〜0.4mmのワイヤーバーで粘度2cPの塗布液をウエブ18に塗布して湿潤厚みが5〜15μmの薄膜な塗布膜を得ることができる。
また、溝切りバーを使用する場合においても、バーの直径は1mm〜15mmが好ましく、より好ましくは1mm〜10mmである。また、溝のピッチは0.1〜0.5mm、好ましくは0.2〜0.3mmが適当であり、断面形状としては正弦曲線に近似したものが特に適している。しかしながら、断面形状は特に限定されず、他の断面形状を使用することも可能である。
一般に溝切りバーとワイヤーバーとは一定の対応関係があり、それぞれ断面における凸部の頂を結んだ線より下方にある室間の単位長さ当りの面積が等しい場合に、同一条件下における同一塗布量の塗布に適しているとされている。したがってこのような対応関係に基づき、ワイヤーバーにおける知見より適切な薄切りバーを選定することができる。バー20の材質としては、耐蝕性,強度の面より金属が好ましく、とくにステンレス鋼が適している。また溝切りバーの材質としては、耐蝕性,強度,耐摩耗性の面より金属とくにステンレス鋼が適している。
次に、上記のようなバーの中心軸のねじれ角βが360°/m以下であるバーの製造方法について説明する。
従来のバーは、つるまき状鋼から切り出した丸棒の凹凸形状を、スパロール加工で是正することにより製造していた。しかし、本発明のバーの中心軸のねじれ角βが360°/以下であるバーは、従来の製造方法に、更に丸棒矯正機(ロール矯正機)を用いることでねじれ形状を是正し製造した。
バー受け部材22はバー20が高速で回転するため、バー(ワイヤーバーにあってはワイヤー)20との間の摩擦抵抗が小さい材質のものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられるバー受け部材22の材質としては、例えば、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を挙げることができ、これらのうちでもテフロン(米国DuPont社商品名)の名で知られるポリテトラフルオルエチレン、デルリン(米国DuPont社商品名)の名で知られるポリアセタール樹脂が摩擦係数,強度の点で特に好ましい。更に、これらのプラスチック材料にグラスファイバー、グラファイト、二硫化モルブデン等の充填剤を添加したものも用いることができる。更には、バー受け部材22を金属材料で製作した後、その表面に前述の如きプラスチック材料をコーティングしたり、貼り付けたりして、バー20との間の摩擦係数を小さくさせることもできる。あるいは、各種金属材料に前述の如きプラスチック材料を含浸させたもの、例えば、アルミニウムにポリテトラフルオルエチレンを含浸させたものをバー支持部材に用いることもできる。
本発明において、ビード36、38の好ましい大きさは、塗布条件により異なるが、これは塗布液の粘度等の物性、バー20の構造と回転速度、ウエブ18の走行速度等により変化する。したがって、ビード36、38の大きさ自身を規定することに意義はなく、
むしろこれらのパラメータをいかに選ぶかを検討することが大切である。これらの条件をいかに選択すべきかは、複数のパラメータが複雑にからみ合っているため、結局のところ実験により決定すべきである。一般的に述べると、バー20の回転周速度Vbとウエブ18の走行速度Vwの相対比Vb/Vwは1であることがおおく、この相対比を1とした場合、塗布液の粘度が小さい程、またバー径が小さい程、塗布におけるVwの限界速度が大きくなる傾向にある。しかし、粘度を下げることを目的とした塗布液の密度低下や、バーの小径化は乾燥ムラの悪化やバーの振れ回りを発生させるため、塗布液の粘度やバー径の最適な組み合わせを検討することが必要である。
むしろこれらのパラメータをいかに選ぶかを検討することが大切である。これらの条件をいかに選択すべきかは、複数のパラメータが複雑にからみ合っているため、結局のところ実験により決定すべきである。一般的に述べると、バー20の回転周速度Vbとウエブ18の走行速度Vwの相対比Vb/Vwは1であることがおおく、この相対比を1とした場合、塗布液の粘度が小さい程、またバー径が小さい程、塗布におけるVwの限界速度が大きくなる傾向にある。しかし、粘度を下げることを目的とした塗布液の密度低下や、バーの小径化は乾燥ムラの悪化やバーの振れ回りを発生させるため、塗布液の粘度やバー径の最適な組み合わせを検討することが必要である。
図7は、本発明のバー塗布装置10を組み込んだ光学補償シートの製造ライン80である。
光学機能フィルムの製造ライン80は、図7に示されるように、送出機82から予め配向膜形成用のポリマー層が形成された透明支持体であるウエブ18が送り出される。次に、ウエブ18はガイドローラ84によってガイドされてラビング処理装置86に送りこまれ、ラビングローラ88は、ポリマー層にラビング処理が施される。ラビングローラ88の下流には除塵機90が設けられており、ウエブ18の表面に付着した塵を取り除く。除塵機90の下流には本発明のバー塗布ヘッド12が設けられており、ディスコネマティック液晶を含む塗布液がウエブ18に塗布される。塗布ヘッド12の下流には、乾燥ゾーン92、加熱ゾーン94が順次設けられており、ウエブ18上の塗布液が乾燥・加熱されて液晶層が形成される。更に、この下流には紫外線ランプ96が設けられており、紫外線照射により、液晶を架橋させ、所望のポリマーを形成する。これにより、光学補償フィルムが製造され、製造された光学補償フィルムは巻取機98に巻き取られる。
図8にねじれ角(振れ)測定機100の概略図を示す。ねじれ角測定機100は、測定物107の撓みを排除し測定するため、測定物107を鉛直方向に配置し、糸103で吊るしながら測定を行う。また、上下の両方を上部振れ防止ホルダー106および下部振れ防止ホルダー110で固定して測定することが好ましい。回転駆動用モーター112を用いて測定物107を回転させ、非接触センサー109により、測定物107の振れを測定して、ねじれ角を求める。なお、図8は非接触のレーザー変位計を用いているが、接触式のダイヤルゲージやテーパーゲージを使用することもできる。
実施例により本発明の効果を更に説明する。図7に示した本発明のバー塗布装置10を組み込んだ光学補償フィルムの製造ライン80により光学補償フィルムを以下の条件で製造した。
ウエブ18は厚さ100μmのトリアセチルセルロース(フジタック、富士フイルム(株)製)の表面に長鎖アルキル変性ポバールの2重量%溶液をフィルム1m2当たり25mlになるように塗布後、60℃で1分間乾燥させて配向膜用樹脂層を形成したものを使用した。このウエブ18を送出機82から送り出すと共に50m/分で搬送しながらラビング処理装置86によって配向膜用樹脂層表面にラビング処理を行って配向膜を形成した。ラビング処理におけるラビングローラ88の押し付け圧力を、配向膜樹脂層の1cm2あたり10kgf/cm2にすると共に、回転周速を5.0m/秒にした。
そして、配向膜用樹脂層をラビング処理して得られた配向膜上に、本発明のバー塗布装置10を使用して塗布液を塗布した。塗布液は、下記に示すディスコティック化合物TE−8のR(1)とR(2)の重量比で4:1の混合物に対し、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V♯360、大阪有機科学(株)製)を10重量%、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)を0.6重量%、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を3重量%、増感剤(カヤキュアーDET−X、日本化薬(株)製)を1重量%、添加し、最終的にその混合物の32重量%メチルエチルケトン溶液とした。その液晶性化合物を含む液に、さらにフッ素系界面活性剤(フルオロ脂肪族基含有共重合体、メガファックF780、大日本インキ(株)製)を0.3重量%添加し、塗布液として使用した。
そして、真直度がバー1m当たり0.1mmのバー支持面に、バー径6mm〜16mm及びワイヤー径0.06mmのワイヤーバー20を支持すると共に、ウエブ18を走行速度10〜50m/分、ウエブテンション100〜500Nで走行させながらワイヤーバー20も同速で順回転させ、バー塗布ヘッド12から塗布液をウエブ1m2当たり5ml(湿潤膜厚5μm)になるように配向膜上に塗布した。
このバー受け部材22を有するバー塗布ヘッド12で塗布液が塗布されたウエブ18は、100℃に調整された乾燥ゾーン92及び、130℃に調整された加熱ゾーン94を通過させてネマチック相を形成した後、この配向膜及び液晶性化合物相が塗布されたウエブ18を連続搬送しながら、液晶層の表面に紫外線ランプ96により紫外線を照射した。これにより、光学補償フィルムを製造した。
バーを変更して、光学補償フィルムを製造し、実施例1〜11および比較例1〜6とした。バーの条件・結果を図9に示す。なお、振れの測定には非接触のレーザー変位計(LS−7030R、KEYENCE)を用い、真円度の最大値及びバーのねじれ角の測定の精度を高めた。
(評価方法)
評価項目はバー20の1回転周期でウエブ18の幅方向に発生する流動スジを目視により評価し、以下の記号により図9に示す。
評価項目はバー20の1回転周期でウエブ18の幅方向に発生する流動スジを目視により評価し、以下の記号により図9に示す。
◎・・・・・製造品質上極めて好ましい
○・・・・・製造品質を満たす
△・・・・・製造品質は満たすが、○よりやや劣る
×・・・・・製造品質を満たさず、不合格となる
図9から分かるように、バーのねじれ角β≦360°を満足することにより、流動スジの発生を抑制することができ、塗布故障を改善することができた。バーの振れ値が100μm以上、真直度が100μm以上またはバー直径が15mmより大きい実施例7から11においては、品質は劣るが、製造品質を満たし、振れ値、真直度によらず、バーのねじれ角β≦360°を満足することにより、発生を抑制することができることが確認された。これにより塗布液をウエブ18に均一に薄膜塗布することができる。従って、本発明は、例えば光学機能性フィルムの製造のように薄膜塗布における塗布膜面の表面性を改善する上で極めて有効である。
○・・・・・製造品質を満たす
△・・・・・製造品質は満たすが、○よりやや劣る
×・・・・・製造品質を満たさず、不合格となる
図9から分かるように、バーのねじれ角β≦360°を満足することにより、流動スジの発生を抑制することができ、塗布故障を改善することができた。バーの振れ値が100μm以上、真直度が100μm以上またはバー直径が15mmより大きい実施例7から11においては、品質は劣るが、製造品質を満たし、振れ値、真直度によらず、バーのねじれ角β≦360°を満足することにより、発生を抑制することができることが確認された。これにより塗布液をウエブ18に均一に薄膜塗布することができる。従って、本発明は、例えば光学機能性フィルムの製造のように薄膜塗布における塗布膜面の表面性を改善する上で極めて有効である。
10…バー塗布装置、12…バー塗布ヘッド、14、16…ガイドローラ、18…ウエブ、19…仮想断面、20、120…バー、21…理想中心、22…バー受け部材、24、26…給液路、28…上流側堰部材、30…下流側堰部材、32…マニホールド、34…スロット、36…1次側ビード、38…2次側ビード、40…ワイヤーバーの芯金、42…ワイヤー、44…ワイヤ列、100…ねじれ角(振れ)測定機、101…支柱、102…糸吊用梁、103…糸、104…より防止ベアリング、105…棒材接続カップリング、106…上部振れ防止ホルダー、107…測定物、108…センサー移動ガイド、109…非接触センサー、110…下部振れ防止ホルダー、111…チャック装置、112…回転駆動用モータ、113…制御用シーケンサ、114…表示装置兼解析装置、β…ねじれ角、R…振れ最大値
Claims (6)
- 連続走行しているウエブに、バー受け部材に支持されて回転する円柱状のバーを用いて塗布液を塗布するバー塗布装置において、
前記バーの中心軸のねじれ角βが360°/m以下であることを特徴とするバー塗布装置。 - 前記バーの直径が1mm〜15mm以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載のバー塗布装置。
- 前記バーの真直度が1mあたり200μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のバー塗布装置。
- 前記バーの真直度が1mあたり100μm以下であることを特徴とする請求項3記載のバー塗布装置。
- 駆動中の前記バーの先端の振れ回りが100μm以下であることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載のバー塗布装置。
- 連続走行しているウエブに、バー受け部材に支持されて回転する円柱状のバーを用いて塗布液を塗布するバー塗布方法において、
前記バーの中心軸のねじれ角βが360°/m以下であることを特徴とするバー塗布方法。
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