JP2009240996A - バー塗布装置、塗布方法、及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バー塗布において、塗布液の流動が不安定になり、渦流の発生により塗布ムラが発生するのを防止する。
【解決手段】バー16の下側に設けられ、バー16を回転自在に支持する支持部材20と、支持部材20に対し、ポリマーフィルムの走行方向の上流側に設けられ、支持部材20との間に塗布液を供給して液溜り部を形成する第1スリット24を有するとともに、液溜り部の塗布液がオーバーフローする堰を有する第1ブロック22と、支持部材20に対し、ポリマーフィルムの走行方向の下流側に設けられ、支持部材20との間に塗布液を供給する第2スリット34を有する第2ブロック32と、を備えるとともに、液溜り部には、ポリマーフィルムに対して平行に整流板40を備えられ、且つ、整流板40とポリマーフィルムとのクリアランスL1が0.5mm〜5.0mmの範囲にする。
【選択図】図1
【解決手段】バー16の下側に設けられ、バー16を回転自在に支持する支持部材20と、支持部材20に対し、ポリマーフィルムの走行方向の上流側に設けられ、支持部材20との間に塗布液を供給して液溜り部を形成する第1スリット24を有するとともに、液溜り部の塗布液がオーバーフローする堰を有する第1ブロック22と、支持部材20に対し、ポリマーフィルムの走行方向の下流側に設けられ、支持部材20との間に塗布液を供給する第2スリット34を有する第2ブロック32と、を備えるとともに、液溜り部には、ポリマーフィルムに対して平行に整流板40を備えられ、且つ、整流板40とポリマーフィルムとのクリアランスL1が0.5mm〜5.0mmの範囲にする。
【選択図】図1
Description
本発明は、バー塗布装置、バー塗布装置を用いた塗布方法、及び光学フィルムの製造方法に係り、特に液晶表示装置に好適な品質を有する光学フィルムを製造するための塗布技術に関する。
光学補償フィルム等の光学性機能フィルムの製造における塗布では、塗布液を均一且つ薄層に塗布することが要求される。しかしながら、このような薄層塗布では、縦スジやストリーク故障を生じることが多く、従来から各種対策が検討されている。
たとえば、塗布装置の一次側(ポリマーフィルム走行方向の上流側)液溜めに不規則な渦が発生するのを抑制するため、液溜めにおけるウエブの走行方向の長さを10mm以上50mm以下とすることが提案されている(特許文献1)。
バー塗布装置においては、バー断面の最大半径とバー受け部断面の円弧の曲率半径との関係、バーホールド角等を規定することで、バー振動による段状塗布ムラや、バーとバー支持部材との間に発生する泡による塗布スジ故障を防止することが提案されている(特許文献2)。
また、ポリマーフィルム(ウエブともいう。)とバーのラップ角度を2.5〜30°にすると共に、バー断面の最大径をRbとし、バー支持部材のバー受け部断面の円弧の曲率半径をRhとしたときに、Rb/Rhが0.9〜1.0の範囲とし、バー支持部材のバーホールド角を90°以上180°以下にするバー塗布方法が提案されている(特許文献3)。
ブレードコーターにおいて、ファウンテンノズルから塗布液を吹き出す前に、塗布液にせん断力を付与して低粘度化する方法(特許文献4)、ロッドコーターにおいて、ロッドのワイヤー間の溝に引っかかる異物や凝集物を除去するための異物除去ブラシ等をロッドバーホルダに設ける方法(特許文献5)等が提案されている。また、ウエブ上に塗布膜を形成した後、掻き取りローラにより余剰液を掻き取り必要膜厚を得る塗布方法において、掻き取りローラ表面の乾きに起因する塗布故障を抑制するために、掻き取りローラ表面に塗布液又は溶剤を供給する方法が提案されている(特許文献6)。
特開2003−33702号公報
特開2006−82059号公報
特開平9−201563号公報
特開平7−189169号公報
特開平7−246358号公報
特開平9−294956号公報
ところで、一般的なバー塗布装置では、バーに対して一次側(ウエブ走行方向の上流側)に塗布液をオーバーフローする液溜り部が設けられている。この一次側の気液界面が乱れると、液溜り部の塗布液の流動に乱れが生じ、液溜り部での内圧力の変動が生じてしまう。特に、塗布速度の速い系では、液溜り部の塗布液の流動が不安定になり、渦流の発生により塗布ムラが発生するという問題があった。これは、液溜まり内のウエブ近傍の位置では、塗布液はウエブの速度に引っ張られるような流速分布を持ち、ウエブから離れるに従い、塗布液の粘性により渦流の発生などが起きることによる。
これに対して、特許文献1〜6に記載された塗布方法では、いずれも渦流の発生に起因する塗布ムラを解決するものではなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、バー塗布において、塗布液の流動が不安定になり、渦流の発生により塗布ムラが発生するのを抑制することができるバー塗布装置及びそれを用いた製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、バーに接触して走行するポリマーフィルムの接触部直前に液溜り部を形成して塗布液を塗布するバー塗布装置において、前記バーの下側に設けられ、該バーを回転自在に支持する支持部材と、前記支持部材に対し、前記ポリマーフィルムの走行方向の上流側に設けられ、該支持部材との間に塗布液を供給して前記液溜り部を形成する第1スリットを有するとともに、前記液溜り部の塗布液がオーバーフローする堰を有する第1ブロックと、前記支持部材に対し、前記ポリマーフィルムの走行方向の下流側に設けられ、該支持部材との間に塗布液を供給する第2スリットを有する第2ブロックと、を備えるとともに、前記液溜り部には、前記ポリマーフィルムに対して平行に整流板を備えられ、且つ、該整流板と前記ポリマーフィルムとのクリアランスが0.5mm〜5.0mmの範囲にすることを特徴とする。
請求項1によれば、一次側の液溜り部にポリマーフィルムに対して平行に整流板を備え、且つ、整流板とポリマーフィルムとのクリアランスを0.5mm〜5.0mmの範囲にする。このように、液溜まり内に渦発生を抑制する障害物を設置することで、液溜まり内の流れを整流化することができるので、塗布ムラが発生するのを抑制することができる。
請求項2の発明は請求項1において、前記整流板のポリマーフィルム走行方向の長さが5.0mm以上であることを特徴とする。
そして、請求項3の発明は請求項1又は2において、前記整流板の前記ポリマーフィルムに対向する面は、真直度が帯状体の幅方向において0.5mm/1m以下であることを特徴とする。
また、請求項4の発明は請求項1〜3の何れか1において、前記バーと前記整流板とのクリアランスが1.0mm以上であることを特徴とする。
これらの条件を付加することで、更に、液溜まり内の流れを整流化することができるので、更に塗布ムラが発生するのを抑制することができる。
請求項5に記載の発明は、前記目的を達成するために、バーに接触して走行するポリマーフィルムの接触部直前に液溜り部を形成して塗布液を塗布するバー塗布装置において、前記バーの下側に設けられ、該バーを回転自在に支持する支持部材と、前記支持部材に対し、前記ポリマーフィルムの走行方向の上流側に設けられ、前記ポリマーフィルムに塗布液を供給する第1スリットを有する第1ブロックと、前記支持部材に対し、前記ポリマーフィルムの走行方向の下流側に設けられ、該支持部材との間に塗布液を供給する第2スリットを有する第2ブロックと、を備えるとともに、前記第1ブロックが前記ポリマーフィルムに対向する対向面は、ポリマーフィルムに平行、且つ、該対向面と前記ポリマーフィルムとのクリアランスが0.5mm〜5.0mmの範囲であって、前記ポリマーフィルムと前記第1ブロックの対向面との間に前記液溜り部を形成することを特徴とする。
請求項5によれば、一次側の第1ブロックがポリマーフィルムに対向する対向面を、ポリマーフィルムに平行、且つ、対向面とポリマーフィルムとのクリアランスを0.5mm〜5.0mmの範囲にする。このように一次側の第1ブロックを設けることで、第1ブロックの対向面との間に液溜り部が形成され、請求項1の発明と同様に、塗布液の流れを整流化することができるので、塗布ムラが発生するのを抑制することができる。
請求項6の発明は請求項5において、前記対向面のポリマーフィルム走行方向の前記第1スリットより下流側の長さが5.0mm以上であることを特徴とする。
請求項7の発明は請求項5又は6において、前記対向面は、真直度が帯状体の幅方向において0.5mm/1m以下であることを特徴とする。
請求項8の発明は請求項5〜7の何れか1において、前記バーと前記第1ブロックとのクリアランスが1.0mm以上であることを特徴とする。
これらの条件を付加することで、更に、塗布液の流れを整流化することができるので、更に塗布ムラが発生するのを抑制することができる。
請求項9の発明は、前記目的を達成するために、前記バー塗布装置の何れかを使用して、走行する帯状体に塗布液を塗布することを特徴とする。
本発明の塗布方法によれば、バー塗布後の塗布面に塗布ムラが発現するのを抑制することができる。
請求項10の発明は、前記目的を達成するために、帯状体に形成された配向膜にラビング処理する工程と、前記ラビング処理された配向膜上に前記バー塗布装置の何れかを使用して液晶ディスコティック化合物を含有する塗布液を塗布し硬化する工程と、塗布された前記塗布液を乾燥することにより光学異方性層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の光学フィルムの製造方法によれば、(特に塗布速度の速い系においても)塗布ムラが発現するのを抑制し、良好な品質の光学フィルムを得ることができる。
本発明によれば、バーの一次側での気液界面の乱れに起因する二次側の塗布面でのスジ等のムラが発現するのを抑制し、均質な塗布を行うことができる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。従って、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を含む範囲を意味する。
図1は本発明が適用される実施形態のバー塗布装置の構成を模式的に示す断面図である。バー塗布装置10は、走行方向に沿って連続走行するウエブ(ポリマーフィルム)12に塗布液を塗布する装置であり、バー16を有する塗布ヘッド14と、バー16が接触するようにウエブ12を塗布面と反対側から支持するバックアップローラ18を備えている。
塗布ヘッド14のバー16は、円柱状に形成されており、円周方向に一定間隔で溝が形成されているもの、ワイヤーが密に巻回されているもの、あるいは表面が平滑であるものの何れでもよい。また、バー16は、不図示の回転駆動手段に連結されており、ウエブ12の走行方向と同方向に、且つウエブ12の走行速度と略同じ速度で回転される。
また、バー16は、ウエブ12の走行方向と反対方向に回転させてもよく、さらにはバー16の周速がウエブ12の走行速度と異なるように回転させてもよい。
バー16は、支持部材20によって支持される。支持部材20の上部には、円弧状の溝が形成されており、この溝にバー16が回動自在に支持される。
バー16に対してウエブ12の走行方向の上流側(すなわち、ウエブ12の進入側)に、第1ブロック22が支持部材20に対して所定の間隔で平行に設けられる。第1ブロック22と支持部材20との間にスリット24が形成される。第1ブロック22は走行方向の上流側に堰26を備えている。液溜り部30が支持部材20とバー16、及び堰26により構成される。
スリット24には、塗布液の供給ライン(不図示)が接続される。供給ラインから供給された塗布液が、スリット24を介して液溜り部30に供給される。液溜り部30の塗布液が回転するバー16にピックアップされ、バー16にラップして連続走行するウエブ12に塗布される。なお、過剰に供給された塗布液は堰26をオーバーフローし、堰26の上流側の面26Aを流下して、回収部(不図示)により回収される。
バー16に対してウエブ12の走行方向の下流側には、第2ブロック32が支持部材20に対して所定の間隔で平行に設けられる。第2ブロック32と支持部材20との間にはスリット34が形成される。スリット34には、塗布液の供給ライン(不図示)が接続される。供給ラインから供給された塗布液が、バー16の乾きによる塗布故障を防止するために、バー16の下流側に供給され、バー16表面との間に塗布液ビードが形成される。塗布液の一部は塗布残液として第2ブロック32をオーバーフローして、傾斜面32Aを流下する。
しかしながら、このように構成された塗布装置は、上流側でウエブ12と塗布液との気液界面が乱れると、液溜り部30の塗布液の流動に乱れが生じ、液溜り部30での内圧力の変動が生じてしまう。特に、塗布速度の速い系では、液溜り部30の塗布液の流動が不安定になり、渦流の発生により塗布ムラが発生するという問題があった。これは、液溜まり内のウエブ近傍の位置では、塗布液はウエブの速度に引っ張られるような流速分布を持ち、ウエブから離れるに従い、塗布液の粘性により渦流の発生などが起きることによる。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、液溜り部30に、ウエブ12に対して平行に整流板40を備え、且つ、整流板40とウエブ12とのクリアランスL1が0.5mm〜5.0mmの範囲になるようにした。このように、液溜まり内に渦発生を抑制する障害物を設置することで、液溜まり内の塗布液の流れを整流化することができるので、塗布ムラが発生するのを抑制することができる。尚、整流板40とウエブ12とのクリアランスL1は、好ましくは1.0mm〜3.0mmの範囲である。
ここで、整流板40のウエブ走行方向の長さL2は、5.0mm以上であることが好ましい。整流板40のウエブ走行方向の長さL2が5.0mm未満であると、液溜まり内の塗布液の流動の乱れの抑制する効果が不十分となるため、整流効果が低下する。尚、整流板40のウエブ走行方向の長さL2の好ましい範囲は5.0mm以上30mm以下である。
そして、整流板40のウエブ12に対向する対向面40aは、真直度がウエブ12の幅方向において0.5mm/1m以下であることが好ましい。整流板40の対向面40aの真直度を上述の範囲とすることでクリアランスL1部分での塗布液の流動の乱れに対する抑制効果を大きくでき、かつ塗布幅方向で均質な塗布を行うことができる。
また、バー16と整流板40とのクリアランスL3は、1.0mm以上であることが好ましい。クリアランスL3が1.0mm未満であると、整流板40がバー16と接触しやすくなるが、それだけではなく、液溜まり内の塗布液の流れを整流化することが難しくなる。クリアランスL3の好ましい範囲は、2.0mm以上20mm以下である。
これらの条件を満たすことで、本発明は更に液溜まり内の流れを整流化することができるので、更に塗布ムラが発生するのを抑制することができる。
図2は本発明が適用される実施形態のバー塗布装置の構成の別態様を模式的に示す断面図である。尚、図1のバー塗布装置10の構成と同様の構成については説明を省略する。
図2のバー塗布装置10’においても、バー16は、支持部材20によって支持される。支持部材20の上部には、円弧状の溝が形成されており、この溝にバー16が回動自在に支持される。
バー16に対してウエブ12の走行方向の上流側に、第1ブロック22が支持部材20に接触して設けられる。第1ブロック22にはスリット24が形成される。尚、本実施形態において、支持部材20と第1ブロック22のスリット24より下流側は一体となっていても良い。
スリット24には、塗布液の供給ライン(不図示)が接続される。供給ラインから供給された塗布液が、スリット24を介して、第1ブロック22のウエブ12に対向する対向面22a上に供給される。この塗布液が回転するバー16にピックアップされ、バー16にラップして連続走行するウエブ12に塗布される。過剰に供給された塗布液は堰26をフローし、堰26の上流側の面26Aを流下して、回収部(不図示)により回収される。
ここで、第1ブロック22の対向面22aは、ウエブ12に平行、且つ、対向面22aとウエブ12とのクリアランスL1が0.5mm〜5.0mmの範囲になるように設けられている。
このように一次側の第1ブロック22を設けることで、第1ブロックの対向面との間に液溜り部30’が形成され、図1のバー塗布装置10と同様に、クリアランスL1部分の塗布液の流れを整流化することができるので、塗布ムラが発生するのを抑制することができる。尚、対向面22aとウエブ12とのクリアランスL1は、好ましくは1.0mm〜3.0mmの範囲である。
ここで、対向面22aの第1スリット24より下流側の長さL2は、5.0mm以上であることが好ましい。対向面22aの第1スリット24より下流側の長さL2が5.0mm未満であると、クリアランスL1部分の塗布液の流れを整流化する効果が低下する。尚、対向面22aの第1スリット24より下流側の長さL2の好ましい範囲は5.0mm以上30mm以下である。
そして、第1ブロック22のウエブ12に対向する対向面40aは、真直度がウエブ12の幅方向において0.5mm/1m以下であることが好ましい。整流板40の対向面40aの真直度を上述の範囲とすることでクリアランスL1部分での塗布液の流動の乱れに対する抑制効果を大きくでき、かつ塗布幅方向で均質な塗布を行うことができる。
また、バー16と第1ブロック22とのクリアランスL3は、1.0mm以上であることが好ましい。クリアランスL3が1.0mm未満であると、第1ブロック22がバー16と接触しやすくなるが、それだけではなく、塗布液の流れを整流化することが難しくなる。クリアランスL3の好ましい範囲は2.0mm以上20mm以下である。
これらの条件を満たすことで、本発明は更に塗布液の流れを整流化することができるので、更に塗布ムラが発生するのを抑制することができる。
次に、本発明に係るバー塗布装置10の適用例について説明する。図3は、本発明のバー塗布装置10を組み込んだ光学フィルム(以下、光学補償フィルムという。)の製造ライン80である。
光学補償フィルムの製造ライン80は、図3に示されるように、送出機82から予め配向膜形成用のポリマー層が形成された透明支持体であるウエブ12が送り出される。
次に、ウエブ12はガイドローラ84によってガイドされてラビング処理装置86に送りこまれる。そして、ウエブ12のポリマー層には、ラビングローラ88によりラビング処理が施される。ラビングローラ88の下流には除塵機90が設けられており、ウエブ12の表面に付着した塵を取り除く。
除塵機90の下流には本発明に係る塗布ヘッド14が設けられている。塗布ヘッド14に対し、ウエブ12の走行方向の上流及び下流側に、ウエブ12をバーにラップさせるためのガイドローラ84が設けられている。また、塗布ヘッド14の上方向で、堰26の近傍にバックアップローラ18が設けられている。これにより、塗布ヘッド14の一次側での乱れが抑制され、二次側でのスジ等の塗布ムラが抑制される。塗布ヘッド14によりディスコネマティック液晶を含む塗布液がウエブ12に塗布される。塗布ヘッド14の下流には、乾燥ゾーン92、加熱ゾーン94が順次設けられており、ウエブ12上の塗布液が乾燥・加熱されて液晶層が形成される。更に、この下流には紫外線ランプ96が設けられており、紫外線照射により、液晶を架橋させ、所望のポリマーが形成される。これにより、光学補償フィルムが製造され、製造された光学補償フィルムは巻取機98に巻き取られる。
このように、本発明に係るバー塗布装置10を、光学補償フィルムの液晶層の塗布(ディスコネマティック液晶を含む塗布液の塗布)に用いるので、縦スジ等のムラのない良好な面質のフィルムを製造できる。
本発明に使用されるウエブ12としては、紙、プラスチックフィルム、レジンコーティッド紙、合成紙等が包含される。プラスチックフィルムの材質は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のビニル重合体、6,6−ナイロン、6−ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ヘルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロースアセテート等が使用される。またレジンコーティッド紙に用いられる樹脂としては、ポリエチレンをはじめとするポリオレフィンが代表的であるが、必ずしもこれに限定されない。ウエブの厚さも特に限定されないが、0.01mm〜1.0mm程度のものが取扱い、汎用性の見地から有利である。
本発明に用いられる塗布液は特に限定は無く、高分子化合物の水又は有機溶媒液、顔料分散液、コロイド溶液等が適用できる。特に、薄層塗布を均一且つ高精度に行うことが求められる各種光学フィルムの塗布液、例えば、液晶性ディスコティック塗布液等が好適である。また、塗布液の粘度が高い場合、塗布膜厚や塗布速度、塗布後の乾燥速度等にもよるが、ワイヤー目或いは溝の目が消えずにバー筋故障となるため、0.5Pa・s以下が望ましい。
以上、本発明に係るバー塗布装置及び塗布方法の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
以下、実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。本発明に係るバー塗布装置及び従来のバー塗布装置を組み込んだ図3の光学補償フィルムの製造ライン80において、塗布直後の縦スジ故障への影響を評価した。
ウエブ12は、厚さ40〜120μmのトリアセチルセルロース(フジタック、富士フィルム(株)製)の表面に長鎖アルキル変性ポバールの2重量%溶液をフィルム1m2当たり25mlになるように塗布後、60℃で1分間乾燥させて配向膜用樹脂層を形成したものを使用した。このウエブ12を、送出機82から送り出すと共に10〜50m/分で搬送しながらラビング処理装置86によって配向膜用樹脂層表面にラビング処理を行って配向膜を形成した。ラビング処理におけるラビングローラ88の押し付け圧力を、配向膜樹脂層の1cm2あたり10kgf/cm2にすると共に、回転周速を5.0m/秒とした。
そして、配向膜用樹脂層をラビング処理して得られた配向膜上に、図1に示す実施形態に係るバー塗布装置10を使用して塗布液を塗布した。塗布液は、下記に示すディスコティック化合物TE−8のR(1)とR(2)の重量比で4:1の混合物に対し、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V♯360、大阪有機科学(株)製)を10重量%、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)を0.6重量%、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を3重量%、増感剤(カヤキュアーDET−X、日本化薬(株)製)を1重量%、添加し、最終的にその混合物の32重量%メチルエチルケトン溶液とした。その液晶性化合物を含む液に、さらにフッ素系界面活性剤(フルオロ脂肪族基含有共重合体、メガファックF780、大日本インキ(株)製)を0.3重量%添加し、塗布液として使用した。
そして、図1に示す実施形態に係るバー塗布装置10において、支持部材20により、バー径6mm、線径80μmのワイヤーのバー16を支持し、ウエブ12を走行速度10〜50m/分で走行させながらバー16も同速で順回転させ、塗布ヘッド14から塗布液をウエブ1m2当たり5ml(湿潤膜厚5μm)になるように配向膜上に塗布した。
ここで、液溜り部30にウエブに対して平行に整流板40を設けたものと設けなかったものについて実験を行った。また、(1)整流板40とウエブ12とのクリアランスL1を変化させたもの、(2)整流板40のウエブ走行方向の長さL2を変化させたもの、(3)整流板40の対向面40aのウエブ幅方向における真直度が異なるもの、(4)バー16と整流板40とのクリアランスL3を変化させたもの、について実験を行った。実験の条件について表1に示す。
(評価方法)
評価項目は、バーの塗布直後において下流側のウエブの塗布面に発生する塗布ムラを目視により評価した。
評価項目は、バーの塗布直後において下流側のウエブの塗布面に発生する塗布ムラを目視により評価した。
評価レベルは、光学補償フィルムにおいて、塗布ムラの発生がないレベルを◎、塗布ムラの品質許容限度レベルの1/3以下のレベルを○、塗布ムラの品質許容限度レベルの2/3以下のレベルを△、塗布ムラの品質許容限度レベル以上のレベルを×とした4段階評価を行った。
実験結果を表1に示す。
表1から分かるように、液溜り部30にウエブ12に対して平行に整流板40を備え、且つ、整流板40とウエブ12とのクリアランスL1が0.5mm〜5.0mmの範囲になるようにしたバー塗布装置を用いた実験では、評価が△以上となった。
更に、図2に示す実施形態に係るバー塗布装置10’においても上記と同様の実験を行った。即ち、第1ブロック22の対向面22aがウエブ12に平行で、且つ、対向面22aとウエブ12とのクリアランスL1を変化させたものについて実験を行った。そして、上記実験と同様に、(1)対向面22aのウエブ走行方向の長さL2を変化させたもの、(2)対向面22aのウエブ幅方向における真直度が異なるもの、(3)バー16と第1ブロック22とのクリアランスL3を変化させたもの、について実験を行った。実験の条件について表2に示す。
表2から分かるように、第1ブロック22の対向面22aがウエブ12に平行で、且つ、対向面22aとウエブ12とのクリアランスL1が0.5mm〜5.0mmの範囲になるよう液溜り部を形成したバー塗布装置を用いた実験では、評価が△以上となった。
10、10’・・・バー塗布装置、12・・・ウエブ、14・・・塗布ヘッド、16・・・バー、18・・・バックアップローラ、20・・・支持部材、22・・・第1ブロック、22a・・・第1ブロックの対向面、24・・・第1スリット、26・・・堰、26A・・・面、30・・・液溜り部、30’ ・・・液溜り部、32・・・第2ブロック、32A・・・傾斜面、34・・・第1スリット、40・・・整流板、40a・・・整流板の対向面
Claims (10)
- バーに接触して走行するポリマーフィルムの接触部直前に液溜り部を形成して塗布液を塗布するバー塗布装置において、
前記バーの下側に設けられ、該バーを回転自在に支持する支持部材と、
前記支持部材に対し、前記ポリマーフィルムの走行方向の上流側に設けられ、該支持部材との間に塗布液を供給して前記液溜り部を形成する第1スリットを有するとともに、前記液溜り部の塗布液がオーバーフローする堰を有する第1ブロックと、
前記支持部材に対し、前記ポリマーフィルムの走行方向の下流側に設けられ、該支持部材との間に塗布液を供給する第2スリットを有する第2ブロックと、を備えるとともに、
前記液溜り部には、前記ポリマーフィルムに対して平行に整流板を備えられ、且つ、該整流板と前記ポリマーフィルムとのクリアランスが0.5mm〜5.0mmの範囲にすることを特徴とするバー塗布装置。 - 前記整流板のポリマーフィルム走行方向の長さが5.0mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のバー塗布装置。
- 前記整流板の前記ポリマーフィルムに対向する面は、真直度が前記ポリマーフィルムの幅方向において0.5mm/1m以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバー塗布装置。
- 前記バーと前記整流板とのクリアランスが1.0mm以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載のバー塗布装置。
- バーに接触して走行するポリマーフィルムの接触部直前に液溜り部を形成して塗布液を塗布するバー塗布装置において、
前記バーの下側に設けられ、該バーを回転自在に支持する支持部材と、
前記支持部材に対し、前記ポリマーフィルムの走行方向の上流側に設けられ、前記ポリマーフィルムに塗布液を供給する第1スリットを有する第1ブロックと、
前記支持部材に対し、前記ポリマーフィルムの走行方向の下流側に設けられ、該支持部材との間に塗布液を供給する第2スリットを有する第2ブロックと、を備えるとともに、
前記第1ブロックが前記ポリマーフィルムに対向する対向面は、ポリマーフィルムに平行、且つ、該対向面と前記ポリマーフィルムとのクリアランスが0.5mm〜5.0mmの範囲であって、前記ポリマーフィルムと前記第1ブロックの対向面との間に前記液溜り部を形成することを特徴とするバー塗布装置。 - 前記対向面のポリマーフィルム走行方向の前記第1スリットより下流側の長さが5.0mm以上であることを特徴とする請求項5に記載のバー塗布装置。
- 前記対向面は、真直度が前記ポリマーフィルムの幅方向において0.5mm/1m以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載のバー塗布装置。
- 前記バーと前記第1ブロックとのクリアランスが1.0mm以上であることを特徴とする請求項5〜7の何れか1に記載のバー塗布装置。
- 請求項1〜8の何れか1に記載のバー塗布装置を使用して、走行するポリマーフィルムに塗布液を塗布することを特徴とする塗布方法。
- ポリマーフィルムに形成された配向膜にラビング処理する工程と、
前記ラビング処理された配向膜上に請求項1〜8の何れか記載のバー塗布装置を使用して液晶ディスコティック化合物を含有する塗布液を塗布する工程と、
塗布された前記塗布液を乾燥し硬化することにより光学異方性層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
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JP2008093090A JP2009240996A (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | バー塗布装置、塗布方法、及び光学フィルムの製造方法 |
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JP2012143721A (ja) * | 2011-01-13 | 2012-08-02 | Fujifilm Corp | バー塗布装置、塗布方法、及び光学フィルムの製造方法 |
CN107413576A (zh) * | 2017-08-03 | 2017-12-01 | 深圳市旭然电子有限公司 | 新型涂布装置 |
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- 2008-03-31 JP JP2008093090A patent/JP2009240996A/ja active Pending
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