JP5060670B2 - シリカ系キラルナノ構造体及びその製造方法 - Google Patents

シリカ系キラルナノ構造体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、直鎖状ポリエチレンイミン鎖を有するポリマーと光学活性酒石酸とからなるキラル結晶体により誘導されてなる、シリカにキラリティが付与されたシリカ系キラルナノ構造体及びその製造方法に関するものである。
有機系物質におけるキラリティは低分子から高分子まで幅広く存在し、生命体はキラリティ分子の存在を前提に、生命を営むようになっている。キラル分子は、医薬、液晶、光学材料、電子材料分野ではなくてはならない物質である。一般に、有機物質のキラリティは、その分子構造中に、不斉中心元素(例えば、炭素、リン、硫黄など)、不斉軸、不斉面などを有することに由来し、それらの分子の高次構造に正のコットンまたは負のコットンのらせん構造も形成する。キラルポリマーの場合、通常はポリマー分子の構造ユニットに不斉構造が含まれ、それにより、キラルポリマーの種々の機能が発現される。これとは別に、ポリマー分子そのものには不斉構造がなくても、ポリマーと相互作用できる不斉構造の低分子をアキラルなポリマーと物理的に結合させることにより、ポリマーの構造中にキラル空間が誘起され、キラル情報を具えた機能材料に変換される。キラル分子とアキラルポリマーの分子錯体からなる準キラルポリマー錯体は、製法の簡便さ、材料構造制御での高い自由度、機能性発現での多様性など、多くの利点を有するので、超分子的視点での研究が盛んに行なわれている。一方、有機物質の分子レベルでのキラリティと違って、無機材料におけるキラリティ空洞または螺旋を付与することによるキラルなミネラルの研究開発も多くの注目を集めている。
例えば、有機溶剤中でキラルな有機化合物により螺旋状繊維を基本構造とするゲルを形成し、それにアルコキシシラン、触媒としてのアミン、シランの加水分解ための少量の水を混合することで、螺旋状キラルなシリカが形成することが報告されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、水が媒体ではなく、キラルな有機化合物が有機溶剤中で繊維状ゲルを形成することを利用し、その有機溶剤中、添加したアミン化合物の触媒作用で加水分解されたアルコキシシランのシリカゾルが、螺旋状繊維表面にて析出することを特徴とする。
有機溶剤中でのキラルな有機化合物の繊維状ゲル形成と違って、水中で形成する4個のカルボン酸含有両親媒性キラル脂肪族化合物からなるヒドロゲルをテンプレートとして用い、それにアルコキシシラン及びアミノ基含有シランカップリング剤を一定割合で混合し、室温にて5〜10日間反応することで、ハイブリッド型のキラルなシリカナノワイヤを形成することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。このシリカ内部の有機化合物を抽出させると螺旋状のキラルなシリカナノチューブが得られるが、キラリティは中空の内壁に存在し、ナノチューブ外壁中にはキラリティが発現しないことが開示されている。
上記のキラルなゲル状繊維表面でのシリカ析出と異なり、アミノ酸残基を有するアニオン性のキラルな界面活性剤にアミノ基を有するカチオン性シランカップリング剤、シリカソースのテトラアルコキシシランを混合し、酸性媒体中で反応させることで、ヘリックス形態を伴うキラルなメソポーラスシリカを得ることが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。この反応では、キラルなアニオン性界面活性剤とカチオン性のシランカップリング剤が集合し、キラルなミセルを形成するが、そのミセルの表面層でのカチオン性シランカップリング剤は加水分解的縮合する。その後、そのミセルのヘキサゴナル的集合体に沿って、各ミセル表面層外部ではアルコキシシランの加水分解と縮合反応が進行し、結果的にはキラルミセルにより誘導されたキラルシリカが形成し、キラル界面活性剤とキラルシリカからなる複合体を得ることになる。詳細理由は不明だが、これで得るキラルシリカはヘリックス形態である。これを加熱焼成し、内部の有機成分を除去すると2〜4nmの空径のチャンネルを有するヘリックス形状のメソポーラスシリカになる。
上記キラルミセル法と類似した方法であるが、キラルな界面活性剤を用いる替わりに、アキラルなアニオン界面活性剤とキラルなアミノ化合物との相互作用によるキラルミセルを形成させ、それをテンプレートとして用い、酸性条件にてアルコキシシランの加水分解と縮合反応を引き起こすことにより、ヘリックスのキラルシリカと有機物との複合体を得ることが報告されている(例えば、非特許文献3参照)。この複合体中の有機成分を除去することで、ヘリックスであり、かつ内径が数10nmのシリカナノチューブが得られる。
これらのキラルなミセルをテンプレートとすることとは反対に、キラルな化合物が一切使われないにも関わらず、酸性の水性媒体中に、通常のアキラルな界面活性剤からなるミセル反応場にし、それにアルコキシシランを混合して種構造を誘導した後、その種構造を有する溶液を酸性水溶液中に加えることで、ヘリックス構造のメソポーラスシリカが得られることが報告されている(例えば、非特許文献4参照)。このことは、へリックス構造そのものはキラリティとは関係ないことを示唆する。言い換えれば、キラルなメソポーラスシリカでは、へリックスそのものがキラリティであるというより、メソポアーにキラルな構造が付与されたということである。上記のようなキラルなミセルをテンプレートとするキラルメソポーラスシリカは、その合成段階のアルコキシシランのゾルゲル反応では、強い酸性媒体が必要であり、また90℃前後温度での熟成が必要となる。さらに、キラルなミセルの作製には、キラルな界面活性剤またはキラルなイオン性分子の合成が要求される。これらのキラルソースを供給することは既存産業では不可能である。産業的に広く用いられているキラル分子を用い、産業的に製造販売されている既存のアキラル分子と相互作用させ、キラル超分子錯体の誘導、さらには、それをテンプレートとしたキラルなミネラル、シリカなどを構築例は未だにない。
一般的に、ミネラル空洞にキラリティが付与される場合、その空洞の壁は硬い無機質で構成されているので、耐熱性、耐久性に強く、半永久的なキラルな物質であると考えられる。しかしながら、通常のメソポーラスシリカの構造上の熱安定性が不十分であることを考えると、キラルなメソポーラスシリカのキラリティの熱安定性も期待できなくなる可能性が高い。現在多くのキラルメソポーラスシリカの研究報告が開示されているが、キラリティの熱安定性に論じた報告はなく、高温焼成によるキラル構造の維持については、ほとんど知見がない。
また、キラリティを有するシリカ合成では、室温、中性、高速といったバイオミメティックシリシフィケーション手法によるものはなく、ゾルゲル反応の条件では、酸性または塩基性条件で行なうなど、その反応プロセスは環境対応的ではない欠点があった。
シリカを材料及びデバイスとして考える場合、自然界に広く生息しているバイオシリカを理解する必要がある。バイオシリカは、珪藻類及びスポンジ類に分類されるが、それらは単細胞生物で、その細胞壁は極めて複雑なパターンと精巧な構造を有するシリカで構築されている。そのシリカ中には、ポリペプチド、タンパク質が複合されて、ナノレベルのハイブリッド構造を形成している。実際、このハイブリッド構造形成において、ポリペプチドまたはタンパク質は、ケイ酸を縮合し、それをシリカに成長させる触媒であると同時に、テンプレートとしても機能する。というのは、バイオシリカの細胞壁、即ちシリカ壁は、キラルなポリペプチド、キラルなタンパク質により誘導され、そのシリカ内部構造には、多かれ少なかれ、キラリティが伴うと推測できる。しかし、これは証明されたこともなく、また、この原理を利用した人工的にキラルシリカを設計・合成した例もない。ちなみに、自然界のバイオシリカは年間ギガトン単位で生成されるが、その生成過程では、常温・常圧・中性といった温和な条件下でケイ酸をシリカに変換する。
近年、バイオシリカに啓発された研究は数多く報告されている。そこでの多くは、室温、常圧、中性といった条件で、有機ポリアミン、塩基性ポリペプチド類を用いたシリカナノ粒子またはシリカナノプレートなどの合成及び機構の検討に集中されている。しかしながら、その温和な条件を生かした、キラルシリカ合成を目的にした報告例はない。
本発明者らは、バイオシリカに学ぶ物づくりの一環として、すでに直鎖状ポリエチレンイミンの結晶化に着目し、それの繊維状結晶及びその結晶体を反応場に用いることによる複雑階層シリカ構築を展開して来た。しかし、これらの方法から得られる結晶体は、あくまでも、直鎖状ポリエチレンイミン単独の結晶であり、その結晶体は該ポリマー中のエチレンイミン、即ち1つのモノマーユニットに2分子の水が結合したことを特徴とするものであった。
特開2001−253705号公報
Minghua Liu et al.、Chem Comm.、46号、7178、2010年 Takashi Tatsumi et al.、NATURE 429巻、281、2004年 Shunai Che et al.、Chem.Mater.2007年、19巻、1577−1583頁 Longping Zhou et al.、Langmuir、2009、25、6040−6044
上記実情を鑑み、本発明が解決しようとする課題は、室温、常圧、中性の水性媒体中、バイオシリカ形成の基本原理、即ち、キラリティを有する有機構造体を触媒とテンプレートにし、そのテンプレートにより自発的に誘導されるゾルゲル反応を利用することによるキラリティを有するシリカ/有機物複合のシリカ系キラルナノ構造体、高温焼成にも安定なシリカ系キラルナノ構造体、シリカに有機シランが結合されてなる有機シラン修飾シリカ系キラルナノ構造体とそれらの製造方法を提供することにある。
バイオシリカから学ぶシリカ構築において、有機マトリックスの存在はシリカ構造制御の前提条件である。その有機マトリックスは塩基性ポリアミンであることが多く、それらは、リン酸残基などの酸性分子との協調により、常温、常圧、中性の温和な条件下、シリカを効果的に析出させる。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するアキラルなポリマーに対して、非蒸発性のキラルな有機酸を組み合わせることにより、従来の直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーと水分子との相互作用による結晶体ではなく、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーの塩基とキラルな有機酸との酸塩基相互作用によって、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー中に当該キラル分子が取り込まれることで誘導されるキラルな超分子錯体からなる結晶性構造体を構築し、そのキラル結晶性構造体をアルコキシシランの加水分解的縮合反応(即ち、ゾルゲル反応)の触媒及びテンプレートとして用いることにより、室温、中性の温和な条件下、キラリティを有するシリカ/有機物が複合されたナノ構造体、焼成高温にも安定なキラリティを有するシリカ系ナノ構造体が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、(1)直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)の水溶液と、光学活性酒石酸(B)の水溶液とを混合し、酸塩基型錯体のキラル結晶体(X)を得る工程、(2)前記工程(1)で得られたキラル結晶体(X)の存在下で、シリカソース(Y’)のゾルゲル反応を行い、キラル結晶体(X)のキラル構造が転写されたシリカ(Y)で当該キラル結晶体(X)を被覆する工程、を有することを特徴とするシリカ系キラルナノ構造体の製造方法とその構造体〔以下、シリカ系キラルナノ構造体(α)と称する〕提供するものである。
更に本発明は、前記工程(2)の後に、(3)光学活性酒石酸(B)を酸性または塩基性水溶液で溶出する工程、又は(3’)前記工程(2)で得られた複合体を焼成し、有機成分を除去する工程、を有することを特徴とするシリカ構造体中にキラルな空間構造を有するシリカ系キラルナノ構造体の製造方法とその構造体〔以下、溶出して得られる構造体をシリカ系キラルナノ構造体(β)、焼成により得られる構造体をシリカ系キラルナノ構造体(γ)と称する〕を提供するものである。
更に又本発明は、前記で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α〜γ)のシリカにO−Si−C結合が導入されてなることを特徴とする有機シラン修飾シリカ系キラルナノ構造体の製造方法とその構造体を提供するものである。
本発明のキラル構造体は、シリカのナノ構造体、例えば、ナノファイバー、ナノシート中にキラリティを付与することを基本特徴とする。シリカはSiOとして示されるように、化学結合には−O−Si−O−Si−O−構造が繰り返し、三次元的に広がる。通常、この結合にはキラリティはないが、キラルなテンプレートの存在下で形成するシリカの−O−Si−O−Si−O−結合には、キラルのテンプレートの分子及び分子集合体の不斉立体空間構造が刻み込まれる。その結果、不斉立体空間構造を支えるシリカ結合からなる壁はキラリティでもある。従って、キラルな壁が気体と接する際の気体/固体界面、液体と接する際の液体/固体界面では、様々な不斉情報のやりとりが可能となる。当然ながら、そのキラルな壁に有機物を複合、または有機残基を結合させることにより、キラルな壁周辺の極性制御、親水化、疎水化、種々の官能基、または機能性分子ユニット、金属錯体などの配置ができる。さらに、キラルな壁(空洞)周辺に、金属ナノ粒子、金属酸化物を複合することも可能である。また、本発明のキラル構造体の製法は極めて簡便で、大スケールで合成ができる。従って、本発明のキラル構造体は、産業・医薬・農薬用の液晶性、薬理性、生理活性、抗微生物性、抗ウイルス性物質の製造における不斉有機合成の触媒、有機ラセミ体分割用の不斉吸着剤、偏光調光と関連する光センサー、セキュリティー材料など幅広い用途が可能である。
実施例1で得られたキラル結晶体のXRDチャートである。 実施例1で得られたキラル結晶体(a)及び原料のD−酒石酸(b)のCDスペクトルである。 実施例1で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−1)の固体29Si−NMRスペクトルである。 実施例1で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−1)の固体13C−NMRスペクトルである。 実施例1で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−1)のCDスペクトルである。 実施例1で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−1)のSEM写真像である。 実施例1で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−1)のTEM写真像である。 実施例2で得られたキラル結晶体のXRDチャートである。 実施例2で得られたキラル結晶体のCDスペクトルである。 実施例2で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−2)の固体29Si−NMRスペクトルである。 実施例1で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−2)の固体13C−NMRスペクトルである。 実施例2で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−2)のCDスペクトルである。 実施例2で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−2)のSEM写真像である。 実施例2で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−2)のTEM写真像である。 実施例3で得られたシリカ系キラルナノ構造体(γ−1)のTEM写真像である。 実施例3で得られたシリカ系キラルナノ構造体(γ−1)のCDスペクトルである。 実施例3における、ポリフィリン吸着後のシリカ系キラルナノ構造体(γ−1)のCDスペクトルである。 実施例4で得られたシリカ系キラルナノ構造体(γ−2)のTEM写真像である。 実施例4で得られたシリカ系キラルナノ構造体(γ−2)のCDスペクトルである。 実施例4における、ポリフィリン吸着後のシリカ系キラルナノ構造体(γ−2)のCDスペクトルである。 実施例5における、有機シラン修飾後のナノ構造体のCDスペクトルである。 実施例6における、有機シラン修飾後のナノ構造体のCDスペクトルである。 実施例7で得られたキラル結晶体のXRDチャートである。 実施例7で得られたキラル結晶体のCDチャートである。 実施例7で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−3)のCDスペクトルである。 実施例7で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−3)のSEM写真像である。 比較例1で得られた結晶体のXRDチャートである。 比較例1で得られたシリカ系ナノ構造体の固体29Si−NMRスペクトルである。 比較例1で得られたシリカ系ナノ構造体の固体13C−NMRスペクトルである。 比較例1で得られたシリカ系ナノ構造体のCDスペクトルである。 比較例1における、ポリフィリン吸着後のナノ構造体のCDスペクトルである。 比較例1で得られたシリカ系ナノ構造体のSEM写真像である。 実施例8における酒石酸溶出工程前後のシリカ系キラルナノ構造体(β−1)のFT−IRスペクトルである。(a):溶出工程前、(b):溶出工程後 実施例8のシリカ系キラルナノ構造体(β−1)、実施例9のシリカ系キラルナノ構造体(β−2)及び比較例2のシリカ系ナノ構造体にそれぞれ銅イオンを吸着させた後のCDスペクトルである。(a)実施例8、(b)実施例9、(c)比較例2。 実施例10のシリカ系キラルナノ構造体に2−メチル−1,4−ナフトキノンを吸着した後の固体CDスペクトルである。(a)測定用サンプルセル固定角度が0°、(b)測定用サンプルセル固定角度を90°回転、(c)比較の2−メチル−1,4−ナフトキノン粉末とKCl混合サンプル。
本発明者らは既に、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーが水性媒体中で自己組織化的に成長する結晶性会合体を反応場にし、溶液中でその会合体表面にてアルコキシシランを加水分解的に縮合させ、シリカを析出させることで、ナノファイバー、ナノシートなどを基本ユニットにした複雑形状のシリカ系ナノ構造体(粉体)及びそれらの製法を提供した(特開2005−264421号公報、特開2005−336440号公報、特開2006−063097号公報、特開2007−051056号公報、Chem.Commun.、2005、1399−1401、Langmuir 2005、21、3136−3145、Adv.Funct.Mater.2006、16、2205−2212、CrystEngComm、2009、11、2695−2700等参照)。
これらの技術の場合、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーを熱水中溶解させ、その溶液を室温までに冷やすことで、ポリマー結晶体が析出することを利用するものである。その結晶体は、必ず一個のエチレンイミンユニットに二個の水分子が結合した組成で構成される。後は、この結晶体をシリカソースと単に室温混合するだけで、特種形状を伴うシリカを迅速に析出させることができる。このプロセスは極めて単純かつ高効率であるが、当然キラリティを発現するものではない。
直鎖状ポリエチレンイミンや、これを有するポリマーの結晶化において、水分子の替わりに非蒸発性でキラルな化合物を該結晶中に取り入れることができれば、安定性に優れるキラル結晶性の構造物が得られると考えられる。本発明では、非蒸発性でありかつ光学活性(キラル)であるLまたはD−酒石酸が水分子と同様に直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーと結合しながら酸塩基型錯体であるキラル結晶体に成長することを見出したことにより、本発明が完成したものである。
[直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)]
本発明で用いる直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)としては、線状、星状、櫛状構造の単独重合体であっても、他の繰り返し単位を有する共重合体であっても良い。共重合体の場合には、該ポリマー(A)中の直鎖状ポリエチレンイミン骨格のモル比が20%以上であることが、安定な結晶を形成できる点から好ましく、該ポリエチレンイミン骨格の繰り返し単位数が10以上である、ブロック共重合体であることがより好ましい。
前記直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)としては、結晶性会合体形成能が高いほど好ましい。従って、単独重合体であっても共重合体であっても、直鎖状ポリエチレンイミン骨格部分に相当する分子量が500〜1,000,000の範囲であることが好ましい。これら直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)は市販品または本発明者らがすでに開示した合成法(前記の特許文献や非特許文献を参照。)により得ることができる。
[光学活性酒石酸(B)]
酒石酸は市販されている、D−酒石酸、L−酒石酸を単独で、又は、D−体とL−体との非等量混合物(エナンチオマー過剰の混合物)を用いることができる。これら酒石酸の光学異性体を選択することにより、得られるポリマー/酒石酸の酸塩基型錯体であるキラル結晶体の構造を制御することが可能である。
[ポリマー/酒石酸の酸塩基型錯体であるキラル結晶体(X)]
前記ポリマーと酒石酸とからなる酸塩基型錯体は白色粉末である。その粉末は1〜80μmの粒子径を有する粒子であり、特に10〜50μmの粒子径を有する粒子とすることが可能である。このとき、粒子は完全な球体であることを必要とせず、楕円形であっても、又複数の球体の一部が重なり合った形状であって良い。楕円形のときの粒子径はもっとも長い部分を言うものであり、複数の球体が重なり合った場合には、それぞれの球体の最も長い部分を便宜上粒子径という。
ポリマー/酒石酸の酸塩基型錯体の粒子の内部構造は、用いる酒石酸の種類により変化させることが可能である。即ち、D−酒石酸又はL−酒石酸を単独で用いる場合には、1〜50nmのシート状のナノ構造体(ナノシート)を基本骨格とし、これが複雑に絡み合った集合体となっている(図面参照)。
D−酒石酸とL−酒石酸とを非等量比の割合で混合した酒石酸(エナンチオマー過剰状態)を用いると、粒状結晶を形成し、その一つの粒が1〜50nmの厚さを有するシートが一定の間隔(5〜30nm)で重なってできた多重の積層構造であることを特徴とする。
いずれの場合においても、ポリマー/酒石酸からなる酸塩基型錯体は、DSCでの一回加熱走査範囲(150℃以下まで)において、100℃以上の温度から大きく吸熱し、融点を示さないことを特徴とする。即ち、結晶体でありながら、酒石酸のカルボン酸とイミンとの間での脱水を起こし、アミド化が進行している。
又、何れの酒石酸を用いても、その結晶体は、XRD測定において酒石酸のL体またはD体の種類に関わらず、同様な回折パターンを示すことを特徴とする。
[酸塩基型錯体からなるキラル結晶体(X)の単離]
酸塩基型錯体からなるキラル結晶体(X)は、下記の工程を経由して得ることができる。
(I)直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)を熱水中に溶解させた(I液)を調製する工程、
(II)光学活性酒石酸(B)を熱水中に溶解させた(II液)を調製する工程、
(III)(I液)と(II液)とを混合し、ポリマー(A)と光学活性酒石酸(B)との酸塩基型錯体を形成させる工程、
(IV)(III)で得られた酸塩基型錯体を含む混合熱水液を降温させることにより、酸塩基型錯体からなるキラル結晶体を析出させる工程。
直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)としては、前述のものを何れも用いることができ、ポリマー(A)の粉末を蒸留水に加え、それを80℃以上まで加熱することによって、ポリマーの熱水溶液(I液)を調製する。このとき、ポリマー(A)の濃度としては、0.5〜8質量%の範囲であることが好ましい。
一方、光学活性を有する酒石酸(B)の粉末を蒸留水に加え、それを80〜100℃の範囲で加熱し、酒石酸の熱水溶液(II液)を調製する。このとき、酒石酸(B)の濃度としては1〜15質量%の範囲であることが好ましい。
上記で得られた、(I液)と(II液)とを混合し、80〜100℃の温度範囲から冷却する。このとき冷却方法については特に限定されるものではなく、空気雰囲気下で自然冷却、または氷水に混合による冷却などにし、室温又は室温以下まで下げる方法で良い。この過程で、白い粉末が析出してくる。この粉末がキラリティを有するキラル結晶体(X)である。
熱水溶液である(I液)と(II液)とを混合する際、(I液)中のエチレンイミンユニットのモル数(アミン官能基のモル数)と(II液)中のカルボン酸官能基のモル数との比が1:1であることが最も好ましく、等モルではない場合ではいずれかの官能基の過剰範囲として10モル%以内にすることが好ましい。
また、自然冷却過程において混合液は静置したままでも良く、又は攪拌や振動を与えることによって析出を促進させることもできる。さらに、熱水溶液中に、氷水を加えて冷却させる際には、攪拌などの方法で、キラル結晶体(X)の析出を促進させることもできる。
得られた白色の析出物は、そのまま単離しても、また蒸留水で洗浄した後、室温下で乾燥させて単離しても良い。更に蒸留水での洗浄後、引き続きエタノール、イソプロパノール、アセトンなどの有機溶剤で洗浄し、乾燥させることもできる。
上述のようにして得られるキラル結晶体(X)は、固体円二色性スペクトル(以下CDスペクトルと称す。)で、いずれも偏光の負のコットン効果または正のコットン効果を引き起こすことができる。
[キラル結晶体(X)とシリカ(Y)とからなるシリカ系キラルナノ構造体]
上記のキラル結晶体(X)の構成には、アミノ基とカルボン酸残基とが高密度に含まれている。この2種類の官能基は、アルコキシシランの加水分解及びそれらの縮合反応の触媒として機能する。即ち、アミノ基とカルボン酸残基の同時存在は、シリケートの加水分解的縮合反応(ゾルゲル反応)を促進させる有効な触媒である。従って、前記キラル結晶体(X)をシリカソース(Y’)と混合することで、その結晶体(X)表面でのゾルゲル反応が進行し、キラル結晶体(X)とシリカ(Y)とが複合したシリカ系キラルナノ構造体(α)を得ることができる。
上記のゾルゲル反応において、キラル結晶体(X)そのものを触媒とするため、形成するシリカ(Y)の骨格にはキラルな構造が誘導されると考えられる。即ち、キラル結晶体(X)中のキラル情報が析出するシリカ(Y)の構造に転写され、シリカ(Y)構造そのものに、キラリティが発現する。即ち、本発明でのキラルナノ構造体は、内部の有機成分にキラリティが保持されるだけではなく、それにより触媒されたシリカ(Y)にもキラル構造が付与されることに特徴を有する。
本発明でのシリカ系キラルナノ構造体(α)を得る方法としては、基本的に、一定濃度のキラル結晶体(X)を水中分散し、それにシリカソース(Y’)液を混合し、その混合物を室温にて一定時間攪拌すればよい。
キラル結晶体(X)の水中分散濃度は、0.5〜15wt%に設定することができる。また、シリカソース(Y’)は液体そのまま、またはアルコール溶液に調製し、キラル結晶体(X)と混合する。
シリカソース(Y’)としては、アルコキシシラン類であれば好適に用いることができる。アルコキシシランの濃度は、キラル結晶体(X)の濃度と比例的に調整し、当該濃度が低い場合にはアルコキシシラン類の濃度も低くし、濃度が高い場合には、アルコキシシラン類の濃度を高めることが望ましい。概ね、シリカソース(Y’)の使用量はケイ素換算でポリマー(A)のアミンのモル数に対し、2〜50倍モル数にすることができる。
アルコキシシラン類化合物として、テトラアルコキシシラン類、アルキルトリアルコキシシラン類、ジアルキルジアルコキシシラン類などが挙げられる。
テトラアルコキシシラン類としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどが挙げられる。
シリカソース(Y’)としては、特にテトラメトキシシランの4〜5量体である縮合物(コルコート株式会社製の商品名MS−51等)、テトラエトキシシランの4〜5量体である縮合物(コルコート株式会社製の商品名ES−51等)などを好適に用いることができる。
上記のシリカソース(Y’)としては、テトラアルコキシシラン及びそれのオリゴマーを単独使用することが好ましいが、必要により、それにトリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン等のその他のアルコキシシラン類を混合して用いることもできる。
その他のアルコキシシラン類としては、例えば、メチルトリメトキシラン、メチルトリエトキシラン、エチルトリメトキシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシラン、n−プロピルトリエトキシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、p−クロロメチルフェニルトリメトキシラン、p−クロロメチルフェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランなどが挙げられる。
又、シリカ系キラルナノ構造体(α)は、その組成として、有機成分が30〜60wt%含むことができる。その有機成分はシリカと複合化され、シリカ成分に包埋された状態であることを特徴とする。
[光学活性酒石酸(B)が除去されたシリカ系キラルナノ構造体(β)]
上記のシリカ系キラルナノ構造体(α)は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)、光学活性酒石酸(B)、シリカ(Y)の三つの成分を主成分として構成されるが、その構造体中では、ポリマー(A)とシリカ(Y)との間は、強く物理結合しているため、そのポリマー(A)を内部に残したまま、光学活性酒石酸(B)成分だけを当該構造体(α)から洗い落とし(溶出させ)、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)とシリカ(Y)とを主成分とするシリカ系キラルナノ構造体(β)を得ることができる。尚、本発明において主成分とするとは、意図的に第三成分を用いない限りにおいて、原料に由来する不純物以外の成分、若しくは溶出や焼成によって充分に除去できずに変性等が起きた成分が入ることがあっても、その他の成分を含まないことを言うものである。
光学活性酒石酸(B)の選択的除去には、塩基性水溶液、アルコール類溶剤及び酸性水溶液を用いることができる。具体的には、シリカ系キラルナノ構造体(α)を上記の溶液や溶剤中に浸漬して室温放置したり、その混合物を加熱したりすることで酒石酸(B)成分をシリカ系キラルナノ構造体(α)から抽出し、残った固体成分を濾過、遠心分離などにより回収することで容易に得ることができる。
上記塩基性水溶液としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの塩基性有機化合物の水溶液を用いることができる。これらの水溶液の濃度は0.1〜1mol/Lであればよく、実際の使用量としては、シリカ系キラルナノ構造体(α)中に含まれる酒石酸(B)量に対して過剰であれば好適であるが、モル数的では1.5〜10倍等量であることが望ましい。シリカ系キラルナノ構造体(α)を塩基性水溶液中に浸漬する時間は1〜10時間の範囲で適宜調整できるが、一回浸漬後、上澄みを除去し、さらに浸漬するなど、2〜3回繰り返し浸漬することで、酒石酸(B)を完全に除去することができる。
上記アルコール類溶剤として、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどを用いることができる。その際、有機アミン類化合物を混合するのも好適である。
上記酸性水溶液として、塩酸水溶液、硝酸水溶液、硫酸水溶液、リン酸水溶液などの無機酸の水溶液を用いることができる。この場合、酸の濃度は0.1〜5.0mol/L範囲であれば好適である。直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)は無機酸性化合物によりプロトン化されると水中に溶けやすくなるが、水溶液のpH値が1以下のところでは不溶性である。従って、ポリマー(A)成分の流出を防ぐためには、高濃度の酸性水溶液を用いることが望ましい。
酒石酸(B)成分が除去された後、得られるシリカ系キラルナノ構造体(β)中にはポリマー(A)は残存し、シリカ(Y)とポリマー(A)とが複合されているが、この複合体もキラリティを示す。
このシリカ系キラルナノ構造体(β)中の、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)の含有率(即ち構造体中の有機成分)は5〜30wt%の範囲である。
酒石酸(B)成分が除去されたポリマー(A)とシリカ(Y)とを主成分とするシリカ系キラルナノ構造体(β)は、固体CDスペクトルにて、正のコットンまたは負のコットンの偏光回転を示す。この偏向回転の方向は、酒石酸(B)成分を溶出させる前のシリカ系キラルナノ構造体(α)と同じであり、溶出によってもキラリティが維持される、即ち、当該構造体(β)中にキラルな空間構造を有するものである。
[酒石酸(B)とポリマー(A)とが除去されてなるシリカ系キラルナノ構造体(γ)]
前述のシリカ系キラルナノ構造体(α)中の有機成分である酒石酸(B)とポリマー(A)は、当該構造体(α)を空気中で加熱焼成することで分解除去される。これにより、シリカ(Y)成分を主成分とするシリカ系キラルナノ構造体(γ)を得ることができる。
有機成分の加熱除去には、特別な条件設定は必要なく、電気炉中有機成分が分解される温度範囲にて一定時間焼成することで十分である。
例えば、電気炉焼成温度範囲としては、250℃以上1000℃以下に設定することができる。有機成分を効率的に除去することを考えた場合、加熱温度は400℃以上であることが望ましい。
加熱焼成温度は、有機成分を分解除去すると同時に、得られるシリカ系キラルナノ構造体(γ)の化学結合変化を起こすこともあるので、表面積は焼成温度の増大により低下する。従って、高い比表面積を得るためには、焼成温度を一概に上げることより、比表面積要求範囲と合わせて、適宜設定することが望ましい。
加熱焼成時間は概ね1〜4時間であればよく、高温焼成では時間を短くすることが望ましい。
加熱焼成後に得られるシリカ系キラルナノ構造体(γ)の形状には変化はなく、ナノファイバー、ナノリボン、ナノシート等のシリカ系キラルナノ構造体(α)の形状を維持する。焼成後のシリカ系キラルナノ構造体(γ)の比表面積は400〜700m/gの範囲であり、また、固体CDスペクトルにおいて、偏光の負のコットンまたは正のコットン効果を示す。即ち、シリカ系キラルナノ構造体(γ)中にキラルな空間構造を有するものである。
又、シリカ系キラルナノ構造体(α)からの有機成分の除去には、加熱焼成以外、酸性溶液洗浄法でも可能である。即ち、酒石酸(B)を選択的に除去するには、前述のように塩基性水溶液または高濃度の酸性水溶液が要求されるが、酒石酸(B)とポリマー(A)とを同時に除去するには、pH値が3〜5の範囲の酸性水溶液中、90℃以下の温度にて加熱洗浄する方式を繰返し用いることで、有機成分を完全に除去することもできる。
本発明のシリカ系キラルナノ構造体(α〜γ)は、ナノファイバー、ナノリボン、ナノシート等のナノ構造体の集合体であるが、それらの太さまたは厚さが10〜100nmの範囲であり、長さは200nm〜10μmの範囲であり、その集合体の外観は球状体に近く、それの大きさは1〜20μmの範囲であることを特徴とする。
又、本発明のシリカ系キラルナノ構造体(α〜γ)は、CDスペクトルにて、左右円偏光に対しての光吸収の差が起こるので、正のコットン効果、または負のコットン効果を示す。言い換えれば、シリカ系キラルナノ構造体(α〜γ)は、左偏光または右偏光を一定方向に回転することができる。固体CDスペクトルにおける正のコットン効果または負のコットン効果は、シリカ系キラルナノ構造体(α〜γ)を合成する際に用いた原料の酒石酸(B)の光学活性により決まるが、この二つの光学異性体が等量以外の一定比率で混合された場合(即ち、エナンチオマー過剰の場合)は、左円偏光または右円偏光の吸収度合いの変化が起こるので、コットン効果の正負方向を逆転させることも可能である。
[有機シラン修飾シリカ系キラルナノ構造体]
前述で得られるシリカ系キラルナノ構造体(α〜γ)のシリカ(Y)の化学構造は基本的にSiOに代表される。これら構造体とシランカップリング剤とを接触させると、当該シリカ(Y)にO−Si−C結合成分が導入され、有機シラン修飾シリカ系キラルナノ構造体を得ることができる。
ここで用いることができるシランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトメトキシシラン、3−メルカプトトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−クロロメチルフェニルトリメトキシシラン、p−クロロメチルフェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシランなどが挙げられる。
上記シランカップリング剤との接触には、当該シランカップリング剤をクロロホルム、塩化メチレン、シクロヘキサノン、キシレン、トルエン、エタノール、メタノールなどの溶剤中に溶解し、その溶液にシリカ系キラルナノ構造体(α〜γ)の粉末を分散し、その混合物を一定時間攪拌する方法が好ましい。
上記シランカップリング剤の濃度は1〜5質量%であれば好適に用いることができ、特に1〜5質量%アンモニア水のエタノール溶液と混合して用いることがより好ましい。混合する際の体積比としては、シランカップリング剤の溶液に対し、アンモニア水エタノール溶液は5〜10倍量であれば好適である。
上記混合物を2時間以上攪拌すれば、シランカップリング剤の残基を容易にシリカ(Y)に導入することができる。一定時間攪拌混合を行なった後、得られた粉体を濾過または遠心分離して、固形分を、エタノール、メタノール、アセトン、トルエン、クロロホルム、ヘキサン、シクロヘキサンなどの溶剤で洗浄し、それを常温乾燥させることで有機シラン修飾シリカ系キラルナノ構造体を得ることができる。
これらの有機シランで修飾された構造体の固体CDスペクトルでは、偏光の正または負のコットン効果を示し、接触前のシリカ系キラルナノ構造体と同様の方向である。
又、本発明のシリカ系キラルナノ構造体(α〜γ)及びこれを有機シランで修飾した構造体には、有機シランを導入することとは別に、種々の有機化合物を物理結合することで、シリカ(Y)の表面を修飾することもできる。用いることができる有機化合物としては、高分子から低分子の様々な構成成分、例えば、極性、非極性、カチオン性、アニオン性の有機化合物を好適に用いることができる。これらの有機化合物は色素類または発光性を有するものであってもよい。
また、本発明のシリカ系キラルナノ構造体(α〜γ)及びこれを有機シランで修飾した構造体には、有機金属錯体化合物または有機金属化合物を物理吸着させることもできる。これらの金属を含む有機化合物は触媒機能を有するものであっても好適である。これらが吸着された後、固体CDスペクトルでのコットン効果は依然維持できるし、吸着された化合物の吸収波長範囲で、正負のコットン効果の向きには基本的には変わりがない。
以下、実施例および応用例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を表す。
[X線回折法による分析]
単離乾燥した試料を測定試料用ホルダーにのせ、それを理学社製広角X線回折装置「Rint−Ultma」にセットし、Cu/Kα線、40kV/30mA、スキャンスピード1.0°/分、走査範囲10〜70°の条件で測定を行った。
[示差走査熱量分析]
単離乾燥した試料を測定パッチにより秤量し、それをSIIナノ技術示差走査熱量分析測定装置(TG−TDA6300)にセットし、昇温速度を10℃/分として、20℃から800℃の温度範囲にて測定を行った。
[走査電子顕微鏡による形状分析]
単離乾燥した試料をガラススライドに載せ、それをキーエンス社製表面観察装置VE−7800にて観察した。
[透過型電子顕微鏡による形状分析]
単離乾燥した試料を炭素蒸着された銅グリッドに乗せ、それを(株)トプコン、ノーランインスツルメント社製EM−002B、VOYAGER M3055高分解能電子顕微鏡にて観察した。
[ガス吸着脱着の等温線測定による比表面積分析]
試料を300℃で3時間以上減圧乾燥させた後、TriStar3000(Micromeritics社製)を用いて比表面積を測定した。マイクロ細孔面積と外部表面積はt−plot法により算出した。
[固体CDスペクトルによるキラリティ解析]
円二色性の測定はCD用積分球装置(DRCD−466粉体CD測定ユニット)を取り付けたJ−720(日本分光製)を用いて行った。CD測定用試料は、塩化カリウムと混合分散により調製した。
合成例1[直鎖状ポリエチレンイミン(LPEI)の合成]
市販のポリエチルオキサゾリン(平均分子量50,000、平均重合度約500、Aldrich社製)30gを、5Mの塩酸水溶液150mLに溶解させた。その溶液をオイルバスにて90℃に加熱し、その温度で10時間攪拌した。反応液にアセトン500mLを加え、ポリマーを完全に沈殿させ、それを濾過し、メタノールで3回洗浄し、白色のポリエチレンイミンの粉末を得た。得られた粉末をH−NMR(重水)にて同定したところ、ポリエチルオキサゾリンの側鎖エチル基に由来したピーク1.2ppm(CH)と2.3ppm(CH)が完全に消失していることが確認された。即ち、ポリエチルオキサゾリンが完全に加水分解され、ポリエチレンイミンに変換されたことが示された。
その粉末を50mLの蒸留水に溶解し、攪拌しながら、その溶液に15%のアンモニア水500mLを滴下した。その混合液を一晩放置した後、沈殿したポリマー結晶を濾過し、その結晶を冷水で3回洗浄した。洗浄後の結晶粉末をデシケータ中で室温乾燥し、直鎖状のポリエチレンイミン(LPEI)を得た。収量は22g(結晶水含有)であった。ポリオキサゾリンの加水分解により得られるポリエチレンイミンは、側鎖だけが反応し、主鎖には変化がない。従って、LPEIの重合度は加水分解前の約500と同様である。
実施例1
[D−酒石酸とLPEIからなるキラル結晶体とシリカとが複合したシリカ系キラルナノ構造体(α−1)<SiO/LPEI/D−Tart>]
合成例1で得たLPEI粉末316mg(4mmolのエチレンイミン[EI]ユニット)を4gの蒸留水中に加え、それを約95℃まで加熱し、LPEIが完全に溶解した水溶液([EI]=1000mM)を調製した。一方、D−酒石酸(D−Tart、東京化成工業株式会社製)粉末300mg(2.0mmol)を4.0gの蒸留水に溶解し、その溶液をLPEIの熱水溶液中に加えた。この混合物溶液(95℃)を室温(25℃)まで自然冷却し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を遠心分離にて分離し、蒸留水で洗浄、回収して大気中で3日間乾燥して粉末を得た。収量は477mgであった。
得られた粉末のXRD測定から、この粉末は結晶体であることが判明した(図1)。また固体CDスペクトル測定から、この粉末は210〜240nmの波長範囲で負のコットン効果を示すことがわかった(図2a)。同様な波長範囲で、原料として用いたD−酒石酸の粉末単独では正反対の正のコットン効果を示した(図2b)。これらの結果から、得られた粉末はポリマーLPEIとD−酒石酸とからなる酸塩基型錯体のキラル結晶体であって、キラルな酒石酸とアキラルなLPEIで構成された新しい構造のキラル結晶体であることがわかる。
上記で得られたキラル結晶体である粉末200mgを水とテトラメトキシシラン(TMOS)混合液(水/TMOS=20mL/3mL)中に分散し、それを室温(25℃)にて1時間攪拌した。得られた沈殿物を遠心分離にて分離し、蒸留水で洗浄して、白い固体を回収した。収量は405mgであった。
得られた固体の固体29Si−NMR測定結果から、固体中にはシリカを構成する基本結合Si−Oが含まれることが確認できた(図3)。特に、−100ppmから−120ppmの範囲で、Si(OSi)を示すQシグナルとHOSi(OSi)を示すQ結合が主要結合であることが示唆された。
また、得られた固体の固体13C−NMR測定から、該固体中には、LPEI由来のメチレン炭素CHNのピーク(44ppm)、酒石酸由来のヒドロキシ炭素HC−OHのピーク(73ppm)、酒石酸のカルボニル基炭素C=Oのピーク(180ppm)を確認した(図4)。これは、該固体中には、シリカ構造以外に、LPEIの化学構造と酒石酸の化学構造が共存していることを強く示唆する。
この固体の固体CDスペクトルを図5に示した。約220nmの紫外線吸収をピークトップとする負のコットン効果を示した。これはシリカを析出させる前のLPEI/D−Tartキラル結晶体の楕円率の負の向きと同様である。キラルなLPEI/D−Tart結晶体とそれにより誘導されたシリカとの複合体が共に左円偏光を強く吸収することから、これらは左巻きのキラリティを内部に保持していると考えられる。以上により、ここで得られたシリカとの複合体は本発明のシリカ系キラルナノ構造体(α−1)<SiO/LPEI/D−Tart>であることが確認できた。
得られた固体のSEM写真では、該固体はナノファイバーの集合体であることが確認できた(図6)。また、それのTEM写真(図7)から、この集合体の基本ユニットであるナノファイバーの太さは25nm前後であった。
実施例2
[L−酒石酸とLPEIからなるキラル結晶体とシリカとが複合したシリカ系キラルナノ構造体(α−2)<SiO/LPEI/L−Tart>]
実施例1において、D−酒石酸の代わりにL−酒石酸(L−Tart、東京化成工業株式会社製)粉末を用いる以外は、実施例1と同様な方法でキラル結晶体LPEI/L−Tart及びシリカ系キラルナノ構造体(α−2)<SiO/LPEI/L−Tart>を作製した。
図8ではキラル結晶体LPEI/L−TartのXRDチャートを示した。実施例1におけるキラル結晶体LPEI/D−Tartと同様な回折パターンであることから、同様な結晶構造を有することが確認できる。
図9はキラル結晶体LPEI/L−Tartの固体CDスペクトルである。L−酒石酸の存在により、実施例1と正反対の正のコットン効果が確認できた。
図10はシリカと複合化してなるシリカ系キラルナノ構造体(α−2)<SiO/LPEI/L−Tart>の固体29Si−NMRのスペクトルである。シリカの結合構造由来のQとQのピークが顕著に現れ、構造体は確かにシリカ構造を有することが確認できる。
図11はシリカ系キラルナノ構造体(α−2)<SiO/LPEI/L−Tart>の固体13C−NMRスペクトルである。LPEI骨格由来のメチレン炭素、酒石酸構造由来のヒドロキシメチン炭素とカルボニル炭素が確認できた。
図12はシリカ系キラルナノ構造体(α−2)<SiO/LPEI/L−Tart>の固体CDスペクトルである。このスペクトルの波形は実施例1で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−1)とちょうど鏡像関係の正のコットン効果を示した。即ち、L−酒石酸をキラルソースとして作製したシリカ系キラルナノ構造体(α−2)<SiO/LPEI/L−Tart>には右巻きキラリティを内部に保持していることになる。L−酒石酸とD−酒石酸がそれぞれのキラリティ特徴をシリカに転写したことは明らかである。
図13と14では、シリカ系キラルナノ構造体(α−2)<SiO/LPEI/L−Tart>のSEMとTEM写真を示した。該構造体は花状のフィイバーの集合体であり、その基本ユニットであるナノファイバーの太さは25nm前後であった。
実施例3
[シリカ系キラルナノ構造体(α−1)中の有機成分を加熱除去してなるシリカ系キラルナノ構造体(γ−1)]
実施例1で作製したシリカ系キラルナノ構造体(α−1)<SiO/LPEI/D−Tart>250mgをセラミックス製の坩堝中に入れ、それを電気炉にて600℃まで加熱し、その温度で3時間放置した。これで得たシリカ系キラルナノ構造体(γ−1)のTEM観察から、ナノフィイバー構造が確認できた(図15)。シリカ系キラルナノ構造体(γ−1)の比表面積(BET)は665m/gであったが、その内、μポアー由来の表面積は553m/gであり、単純外表面由来の面積は112m/gであった。
シリカ系キラルナノ構造体(γ−1)の固体CDスペクトル(図16)からシリカ構造O−Si−O由来の吸収波長範囲での負のコットン効果が確認された。このことは、シリカ系キラルナノ構造体(γ−1)には左円偏光を選択的に吸収するキラルな空間構造がしっかり刻み込まれたことを示唆する。
さらに、このシリカ系キラルナノ構造体(γ−1)にポルフィリン色素を吸着させた後、その粉末の固体CDスペクトルを測定したところ、ポルフィリンのSoret帯吸収波長(400nm前後)範囲での負のコットン効果が確認された(図17)。即ち、アキラルなポルフィリン色素はCDスペクトルでは全く波形を示さないが、それがキラルなシリカ系キラルナノ構造体(γ−1)の空間構造中に吸着されたことで、ポルフィリンが不斉構造を有する如く振る舞う誘起CDが現れたのである。キラルなシリカ構造体とアキラルな有機化合物が新たな不斉構造を形成することが強く示唆された。
実施例4
[シリカ系キラルナノ構造体(α−2)中の有機成分を加熱除去してなるシリカ系キラルナノ構造体(γ−2)]
実施例2で作製したシリカ系キラルナノ構造体(α−2)<SiO/LPEI/L−Tart>250mgをセラミックス製の坩堝中に入れ、それを電気炉にて600℃加熱し、その温度で3時間放置した。これで得たシリカ系キラルナノ構造体(γ−2)のTEM観察から、ナノフィイバー構造が確認できた(図18)。シリカ系キラルナノ構造体(γ−2)の比表面積(BET)は653m/gであったが、その内、μポアー由来の表面積は549m/gであり、単純外表面由来の面積は104m/gであった。
焼成で得たシリカ系キラルナノ構造体(γ−2)の固体CDスペクトルでは、正のコットン効果が現れ、それは実施例3の結果とちょうど鏡像関係であった(図19)。
さらに、このシリカ系キラルナノ構造体(γ−2)にポルフィリン色素を吸着させた後、その粉末の固体CDスペクトルを測定したところ、ポルフィリンのSoret帯吸収波長(400nm前後)範囲での正のコットン効果が確認された(図20)。これは実施例3の結果鏡像関係であった。即ち、アキラルなポルフィリン色素がキラルなシリカ構造体の空間構造中に吸着されたことで、ポルフィリンが不斉構造を有する如く振る舞う誘起CDが現れたのである。キラルシリカとアキラルな有機化合物が新たな不斉構造を形成することが強く示唆された。
実施例5
[有機シラン修飾シリカ系キラルナノ構造体−1]
上記実施例3で得たシリカ系キラルナノ構造体(γ−1)200mgをフェニルトリメトキシシラン(1.0mmol)のトルエン溶液(200mg)と混合し、窒素雰囲気下6時間還流し、有機シラン修飾シリカ系キラルナノ構造体−1を得た。TG−TDA分析結果から、フェニル基の導入量は0.67mmol/gであることがわかった。この粉体の固体CDスペクトル測定結果、芳香族環のC=C結合の紫外線吸収波長範囲(190−230nm)において、負のコットン効果が確認された(図21)。これは、フェニル基がキラル空間構造を構成するシリカ壁面に結合されたことを示唆する
実施例6
[有機シラン修飾シリカ系キラルナノ構造体−2]
上記実施例4で得たシリカ系キラルナノ構造体(γ−2)200mgをフェニルトリメトキシシラン(1.0mmol)のトルエン溶液(200mg)と混合し、窒素雰囲気下6時間還流し、有機シラン修飾シリカ系キラルナノ構造体−2を得た。TG−TDA分析結果から、フェニル基の導入量は0.64mmol/gであることがわかった。この粉体の固体CDスペクトル測定結果、芳香族環のC=C結合の紫外線吸収波長範囲(190−230nm)において、正のコットン効果が確認された(図22)。これは、フェニル基がキラル空間構造を構成するシリカ壁面に結合されたことを示唆する。
実施例7
[エナンチオマー過剰状態でのシリカ系キラルナノ構造体(α−3)<SiO/LPEI/ee−Tart>]
合成例1で得たLPEI粉末158mgを3gの蒸留水中に加え、それを約95℃まで加熱し、LPEIが完全に溶解した水溶液を調製した。一方、D−酒石酸(120mg)とL−酒石酸(30mg)混合粉末を3.0gの蒸留水中溶解し、その溶液をLPEIの熱水溶液中に加えた。この混合物溶液(95℃)を室温(25℃)まで自然冷却し、結晶化させた。沈殿物を遠心分離にて洗浄、回収し、大気中で3日間乾燥させ、LPEIとD,L−酒石酸(ee)とからなる粉末を得た。
この粉末のXRD測定から、この複合体は結晶体であることが確認できた(図23)。また、固体CDスペクトル測定(図24)から、この結晶性粉末は210〜240nmの波長範囲で負のコットン効果を示すことがわかり、キラル結晶体であることが確認できた。
このキラル結晶体200mgを水とテトラメトキシシラン(TMOS)混合液(水/TMOS=20mL/3mL)中に分散し、それを室温にて1時間攪拌した。固形物を遠心分離機にて分離、蒸留水で洗浄して、白い固体を回収した。収量は396mgであった。
この固体の固体CDスペクトル結果を図25に示した。約220nmの紫外線吸収をピークトップとする負のコットン効果を示した。これはシリカと複合化する前のキラル結晶体LPEI/D体過剰L−Tartの楕円率の負の向きと同様であった。D体がL体より過剰状態でもキラル構造をシリカの空間構造中に刻み込むことができ、シリカ系キラルナノ構造体(α−3)であることが確認できた。
得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−3)のSEM写真では、該構造体はナノファイバーの集合体であることを確認した(図26)。
比較例1
[ラセミ酒石酸とLPEIからなる酸塩基錯体型結晶体とシリカとが複合してなるシリカ系ナノ構造体<SiO/LPEI/(±)−Tart>]
合成例1で得たLPEI粉末316mg(4mmolのエチレンイミン[EI]ユニット)を4gの蒸留水中に加え、それを約95℃まで加熱し、LPEIが完全に溶解した水溶液([EI]=1000mM)を調製した。一方、D−酒石酸(150mg)とL−酒石酸(150mg)混合粉末(合計モル数2.0mmol)を4.0gの蒸留水中溶解し、そのラセミ体溶液をLPEIの熱水溶液中に加えた。この混合物溶液(95℃)を室温(25℃)まで自然冷却し、結晶化させた。沈殿物を遠心分離にて洗浄、回収し、大気中で3日間乾燥させ、粉末を得た。収量は472mgであった。
この粉末のXRD測定から、結晶体であることが確認できた(図27)。しかしながら、この結晶体の固体CDスペクトル測定では、楕円率変化はなく、キラルの波形が現れないことが明らかとなった。
この結晶体200mgを水とテトラメトキシシラン(TMOS)混合液(水/TMOS =20mL/3mL)中に分散し、それを室温にて1時間攪拌した。固形物を遠心分離機にて分離、洗浄し、白い固体を回収した。収量は402mgであった。
この固体の29Si−NMRと13C−NMRのスペクトルをそれぞれ図28と図29に示した。これらの結果から、この複合体は、シリカ、LPEI、酒石酸の3成分で構成されたことが確認できた。しかしながら、該固体の固体CDスペクトル(図30)では、波形変化は全くなく、キラリティを示さなかった。さらに、該固体にポルフィリン色素を吸着させた後、それの固体CDスペクトルを測定したが、ポルフィリン吸収波長範囲でも楕円率の波形変化は全く現れなかった(図31)。即ち、ラセミ体酒石酸を用いて作製したシリカ系ナノ構造体<SiO/LPEI/(±)−Tart>中には、個別の不斉空間構造が形成する可能性はあるかも知れないが、全体構造では、光学活性を示す構造体にはならないことが明らかとなった。図32では、該構造体のSEM写真を示した。
実施例8
[シリカ系キラルナノ構造体(α−1)<SiO/LPEI/D−Tart>中の酒石酸を除去してなるシリカ系キラルナノ構造体(β−1)]
実施例1で得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−1)500mgを1%NH水溶液20mLに加え、室温で30min静置させ、遠心分離により回収した。この操作を4回行い、最終的に蒸留水で2回、2−プロパノールで1回洗浄した。40℃で減圧乾燥を行い、白色粉末266mgを得た。得られた粉末のFT−IRスペクトル測定の結果(図33)、酒石酸のCOOH(図33a)由来の振動が消失(図33b)しており、本発明のシリカ系キラルナノ構造体(β−1)であることを確認した。この構造体(β−1)と硝酸銅水溶液を混合してLPEIに銅イオンを配位結合させた後、それを固体CDスペクトルにて測定した。図34aの結果から、銅錯体吸収波長(250nm前後の強い吸収)範囲で強い負のコットン効果が現れた。
実施例9
[シリカ系キラルナノ構造体(α−2)<SiO/LPEI/L−Tart>中の酒石酸を除去してなるシリカ系キラルナノ構造体(β−2)]
酒石酸としてL−酒石酸を用いて得られたシリカ系キラルナノ構造体(α−2)を用いる以外は実施例8と同様な方法により、シリカ系キラルナノ構造体(β−2)を得た。これに実施例8と同様にしてLPEIに銅イオンを配位結合させた後、それを固体CDスペクトルにて測定した。図34bの結果から、銅錯体吸収波長(250nm前後の強い吸収)範囲で強い正のコットン効果が現れた。
比較例2
[シリカ系ナノ構造体<SiO/LPEI/(±)−Tart>中の酒石酸を除去してなるシリカ系ナノ構造体]
比較例1で得られたシリカ系ナノ構造体<SiO/LPEI/(±)−Tart>を用いて実施例8と同様な方法で酒石酸を除去した。更にこれに実施例8と同様にして銅イオンを配位結合させた後、それを固体CDスペクトルにて測定した。図34cの結果から、銅錯体吸収波長(250nm前後の強い吸収)範囲で楕円率の波形変化はなかった。これは実施例8と9と全くことなる結果である。
実施例10
[シリカ系キラルナノ構造体(α−1)<SiO/LPEI/D−Tart>の高温焼成から得られるシリカ系キラルナノ構造体(γ−3)]
実施例1の方法で、シリカ系キラルナノ構造体(α−1)を調製し、その粉体250mgをセラミックス製の坩堝中に入れ、それを電気炉にて900℃まで加熱し、その温度で2時間放置した。これで得たシリカ系キラルナノ構造体(γ−3)の比表面積(BET)は402m/gであったが、その内、μポアー由来の表面積は317m/gであり、単純外表面由来の面積は86m/gであった。これは実施例3の600℃焼成に比べて、表面積は低下傾向であった。即ち、900℃の高温ではシリカの内部空間が縮小したと考えられる。
該構造体粉末を2−メチル−1,4−ナフトキノンのクロロホルム溶液と混合し、シリカ系キラルナノ構造体(γ−3)に2−メチル−1,4−ナフトキノンを吸着させた後、それの固体CDスペクトルを測定した(図35a、図35b)。比較に、2−メチル−1,4−ナフトキノン粉末の固体CDスペクトルも測定した(図35c)。900℃焼成後にもかかわらず、2−メチル−1,4−ナフトキノン分子の吸着後、測定用サンプルセル固定角度を0または90°にしても、同様な誘起CDスペクトルが顕著に現れ、キノンの紫外吸収波長範囲で、負のコットン効果であることが明らかとなった。キラルシリカなしには、2−メチル−1,4−ナフトキノンだけではCD波形変化は全くなかった。これらの結果は、該シリカ系キラルナノ構造体(γ−3)は極めて高い耐熱性を有することを強く示唆する。

Claims (8)

  1. (1)直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)の水溶液と、光学活性酒石酸(B)の水溶液とを混合し、酸塩基型錯体のキラル結晶体(X)を得る工程、
    (2)前記工程(1)で得られたキラル結晶体(X)の存在下で、シリカソース(Y’)のゾルゲル反応を行い、キラル結晶体(X)のキラル構造が転写されたシリカ(Y)で当該キラル結晶体(X)を被覆する工程、
    (3)光学活性酒石酸(B)を酸性または塩基性水溶液で溶出する工程、
    を有することを特徴とする直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)とシリカ(Y)とを含有し、キラルな空間構造を有することを特徴とするシリカ系キラルナノ構造体の製造方法。
  2. (1)直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)の水溶液と、光学活性酒石酸(B)の水溶液とを混合し、酸塩基型錯体のキラル結晶体(X)を得る工程、
    (2)前記工程(1)で得られたキラル結晶体(X)の存在下で、シリカソース(Y’)のゾルゲル反応を行い、キラル結晶体(X)のキラル構造が転写されたシリカ(Y)で当該キラル結晶体(X)を被覆する工程、
    (3’)前記工程(2)で得られた複合体を焼成し、有機成分を除去する工程、
    を有することを特徴とする、シリカ骨格中にキラルな空間構造を有することを特徴とするシリカ系キラルナノ構造体の製造方法。
  3. 請求項1〜の何れか1項記載の製造方法で得られるシリカ系キラルナノ構造体に、更に、
    (4)シランカップリング剤と接触させる工程、
    を有する、シリカ(Y)にO−Si−C結合が導入されてなることを特徴とする有機シラン修飾シリカ系キラルナノ構造体の製造方法。
  4. 前記工程(1)における、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)中のアミン官能基と、光学活性酒石酸(B)中のカルボン酸官能基とのモル比が1:1となるように用いる請求項1〜の何れか1項記載のシリカ系キラルナノ構造体の製造方法。
  5. 前記光化学活性酒石酸(B)がD−酒石酸、L−酒石酸又はエナンチオマー過剰な酒石酸である請求項1〜の何れか1項記載のシリカ系キラルナノ構造体の製造方法。
  6. 前記シリカ系キラルナノ構造体の形状が、ナノファイバー又はナノシートの集合体である請求項1〜の何れか1項記載のシリカ系キラルナノ構造体の製造方法。
  7. 請求項1〜の何れか1項記載の製造方法で得られることを特徴とするシリカ系キラルナノ構造体。
  8. 固体円二色性スペクトルにて、正または負のコットン効果を有するものである請求項記載のシリカ系キラルナノ構造体。
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