JP2014024711A - スメクタイト被覆シリカ粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 シリカ粒子の水懸濁液と、スメクタイトを構成する元素を供給する化合物と、アルカリとの混合物を撹拌する工程と、撹拌後の混合物を密閉容器に収容し、加熱してシリカ粒子の表面にスメクタイトを生成させる生成工程と、生成工程を経た混合物から固体生成物を分離回収し、分離回収した固体生成物を乾燥させて、シリカ粒子の表面にスメクタイトを析出したコアシェル粒子を得る回収工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
スメクタイトの生成に必要な成分は,シリカゾル(水に溶解したシリカ)、Al3+、Mg2+、Li+などの典型元素のイオン、水およびアルカリである。本発明では、シリカゾルに替えて可視光、紫外光、近赤外線の波長と同程度のシリカ粒子を原料に用いスメクタイトを生成する。
本発明に係るスメクタイト被覆シリカの製造方法は、シリカ粒子の水懸濁液と、スメクタイトを構成する元素を供給する化合物と、シリカの一部を一旦溶解させ、スメクタイトとして再沈殿させるに必要なアルカリとの混合物を撹拌する工程と、撹拌後の混合物を密閉容器に収容し、加熱してシリカ粒子の表面にスメクタイトを生成させる生成工程と、生成工程を経た混合物から固体生成物を分離回収し、分離回収した固体生成物を乾燥させて、シリカ粒子の表面にスメクタイトが生成されたコアシェル粒子を得る回収工程とを備えることを特徴とする。なお、シリカ粒子の表面にスメクタイトを生成させる工程での加熱温度は、合成するスメクタイトの種類に応じて適宜温度(たとえばヘクトライトを合成する際には60℃以上)に加熱する。
後述する実施例ではシリカ粒子として球体状のシリカ粒子を使用した例を説明する。本発明は球体状のシリカ粒子に限らず、水に分散できるものであれば、繊維状等や薄膜状のシリカでも同様に使用することができる。シリカ粒子とは、これらの球体とは異形のシリカ材料を包含する概念である。
球状のシリカ粒子としては、ろ過などによる分離回収が確実にできることと、十分な表面積を確保して効果的な吸着作用が得られるために、直径0.1μm〜2μmの球状シリカ粒子を使用することが有効である。
均質なスメクタイトを合成する条件とは、スメクタイトの理想的な組成に合致するように、出発原料の組成を設定するという意味である。ヘクトライトを合成する例では、Li:Mg:Si=1.4:5.3:8.0が理想的な組成に合致する組成の例である。この合成条件と比較してLiとMgの仕込量(割合)を少なくすると(例として、LiとMgの組成を理想組成の10〜20%程度)、シリカ粒子の表面層のみがスメクタイトの合成源となり、シリカ粒子の原形を損なわずに、シリカ粒子の表面にスメクタイトを生成させることができる。
シリカ粒子の表面を被覆するスメクタイトの厚さは10〜50nm程度であり、スメクタイトはシリカ粒子の全面を被覆する場合もあるし、シリカ粒子の表面を部分的に被覆する場合もある。
シリカ粒子の表面にスメクタイトが被覆して形成されたコアシェル粒子は、スメクタイトのイオン交換性に基づく、金属イオンの吸着作用、陽イオン性界面活性剤等の有機陽イオンの吸着作用、非イオン性有機分子の吸着作用といった優れた作用を維持する。これによって、金属イオン、水に溶解した有機陽イオンや有機分子の分離回収等に好適に利用することができる。
LiF水溶液にMgCl2及び尿素を加えた後、球状のシリカ粒子(東亞合成製,0.5
±0.1μm)の水懸濁液を、Li:Mg:Si:尿素=0.28:1.1:8.0:11(モル比)の仕込み比となるように加えて室温で撹拌した(撹拌工程)。
ヘクトライトの理想組成は、Lix(Mg6-xLixSi8O20(OH)4・nH2O)である。均質なヘクトライトを合成する条件としては、Li:Mg:Si=1.4:5.3:8.0(モル比)とすることが報告されている(非特許文献2)。本実験例では、ヘクトライトを合成する条件として、Siに対するLi及びMgの比を、従来の、Siに対するLi及びMgの比の20%とし、Siに対するLiとMgの量を従来法に比べて減らした仕込み比とした。混合液の撹拌は、ホモジナイザー(4.6krpmn)を用いて30分間行った。
この生成工程は、シリカ粒子の表面にヘクトライトを生成させる工程である。混合液を100℃で保持することにより、尿素は加水分解され、水酸化物イオンを生成する。生成した水酸化物イオンの作用によって、シリカ粒子の表面から徐々にシリカが溶出するとともにMg成分が沈殿して、これらがシリカ表面近傍で混和しヘクトライトの結晶核が生成する。したがって、尿素は球状シリカの一部を溶解してシリケートアニオンを生成する作用と、ヘクトライト形成に必要なMg成分を沈殿せしめる作用を促すための水酸化物イオンを供する役割を果たす。尿素の加水分解には、尿素を含む水溶液を70℃以上に保持する必要がある。特許文献2請求項8によると、ヘクトライト形成には少なくとも60℃で原料液を保持する必要があるので、100℃未満でヘクトライトを球状シリカに被覆しようとするのであれば、尿素を原料液に添加するだけで上述の機構でヘクトライト生成反応が進行する。
また、球状シリカの形状を維持できるのであれば、必ずしも尿素を添加する必要はない。特許文献2請求項4および5の操作pHの範囲内であればヘクトライトは生成するので、撹拌行程において所定量のアルカリ試薬を添加するかわりに尿素を添加しなくても良い。
この試験結果は、球状のシリカ粒子と比較して試料(ヘクトライト被覆シリカ粒子)のガス吸着量が大きく勝ることを示す。球状のシリカ粒子の比表面積が6(m2/g)であるのに対し、試料の比表面積は25(m2/g)である。
層状物質の1枚の厚さは1nm程度であることから、ヘクトライトのシリケート層集合構造があらわれている。この領域ではスタッキングの厚さが20nm程度と観察できることから、シリカ粒子の表面には10〜15層のシリケート層が存在している。
シリカ粒子の表面は50nm程度の間隔で波打ったように削られていることがみられる。層状物質はシリカ粒子から成長し、シリカ粒子と一体的に形成されている。すなわち、ヘクトライトはシリカ粒子と一体にシリカ粒子の表面に形成されている。
図5と図6のSEM画像を比較すると、シリカ粒子の外面は滑らかな曲面に形成されているのに対し、試料の粒子は球体形状を維持しているものの、外面に凹凸が見られる。これは、試料作製時にシリカ粒子の表面が部分的に溶出してヘクトライトを生成する場となったことを示す。
粒子の平均粒子径をSEM観察から求めた結果、処理前のシリカ粒子の平均粒子径が0.59±0.04μmであるのに対し、試料の平均粒子径は0.61±0.10μmであり、若干粒度分布幅が広くなっている。
試料のゼータ電位平均値は−35±7 mVであり、シリカ粒子のゼータ電位平均値−63±9 m)と比較して高い値を示す。また、試料のゼータ電位は、同様の条件で測定されたヘクトライトのゼータ電位と近い値(−30mV)である。さらに、試料、シリカ粒子いずれもゼータ電位の平均値と中央値が一致(すなわちガウス分布)しており、かつ互いに分布が重ならないことから、すべてのシリカ粒子がヘクトライトにより被覆されていると解釈することができる。
Claims (5)
- シリカ粒子の水懸濁液と、スメクタイトを構成する元素を供給する化合物と、アルカリとの混合物を撹拌する工程と、
撹拌後の混合物を密閉容器に収容し、加熱してシリカ粒子の表面にスメクタイトを生成させる生成工程と、
生成工程を経た混合物から固体生成物を分離回収し、分離回収した固体生成物を乾燥させて、シリカ粒子の表面にスメクタイトが析出したコアシェル粒子を得る回収工程とを備えることを特徴とするスメクタイト被覆シリカ粒子の製造方法。 - 前記シリカ粒子として、直径0.1μm〜2μmの球状シリカ粒子を使用することを特徴とする請求項1記載のスメクタイト被覆シリカ粒子の製造方法。
- スメクタイトを構成する元素を供給する化合物の仕込み量を、均質なスメクタイトを合成する際の合成条件における、Siに対する他の構成元素の組成比に対し、他の構成元素の組成比を小さく設定することを特徴とする請求項1または2記載のスメクタイト被覆シリカ粒子の製造方法。
- スメクタイトを構成する元素を供給する化合物の仕込み量におけるSiに対する他の構成元素の組成比を、
均質なスメクタイトを合成する際の合成条件における、Siに対する他の構成元素の組成比の10〜20%に抑えた比率に設定することを特徴とする請求項3記載のスメクタイト被覆シリカ粒子の製造方法。 - シリカ粒子の表面に、シリカ粒子と一体に、層状にスメクタイトが形成されていることを特徴とするスメクタイト被覆シリカ粒子。
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