JP2001342016A - 表面処理多孔質体及び多孔質体の表面処理方法 - Google Patents

表面処理多孔質体及び多孔質体の表面処理方法

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JP2001342016A
JP2001342016A JP2000157439A JP2000157439A JP2001342016A JP 2001342016 A JP2001342016 A JP 2001342016A JP 2000157439 A JP2000157439 A JP 2000157439A JP 2000157439 A JP2000157439 A JP 2000157439A JP 2001342016 A JP2001342016 A JP 2001342016A
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porous body
layered compound
inorganic layered
silica airgel
thin film
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JP2000157439A
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Kenji Kono
謙司 河野
Hiroshi Yokogawa
弘 横川
Masaru Yokoyama
勝 横山
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリカエアロゲルなど多孔質体の表面を平滑
化することができる多孔質体の表面処理方法を提供す
る。 【解決手段】 無機層状化合物を溶媒に分散させた処理
液に多孔質体(シリカエアロゲル1)を接触させること
によって、多孔質体の表面に無機層状化合物を吸着させ
て無機層状化合物による吸着層2を形成する。この吸着
層2で多孔質体の表面を被覆して多孔質体の表面を平滑
化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断熱性、電気絶縁
性、低屈折率、低誘電率などの特性を有するシリカエア
ロゲルなどの多孔質体において、その表面処理の技術に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】シリカエアロゲルは、米国特許第440
2927号明細書、米国特許第4432956号明細
書、米国特許第4610863号明細書に開示されてい
るように、アルコキシシラン(シリコンアルコキシドや
アルキルシリケートとも称する)を加水分解し、これを
縮重合して得られるゲル状化合物を、分散媒の存在下
で、この分散媒の臨界点以上の超臨界条件で乾燥するこ
とによって得ることができる。また特開平5−2790
11号公報、特開平7−138375号公報に開示され
るように、シリカエアロゲルを疎水化処理することによ
って、シリカエアロゲルの耐湿性を高め、シリカエアロ
ゲルの特性が低下することを防ぐことができる。
【0003】そしてシリカエアロゲルは、高断熱性、高
電気絶縁性、低屈折率、低誘電率などの特性を有してお
り、これらの特性を利用して各種の方面に応用すること
が期待されている。例えば、基板の表面にシリカエアロ
ゲルの薄膜を形成し、このシリカエアロゲルの表面にさ
らに機能性薄膜を形成することによって、高機能性基板
を作製することができる。例えばシリカエアロゲルの表
面に機能性薄膜として銅などの導電性金属薄膜を設け
て、この導電性金属薄膜で回路を形成することによっ
て、シリカエアロゲルの低誘電率という特性を活かした
回路基板を作製することができるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シリカエアロ
ゲルは多孔質体であり、シリカエアロゲルの表面に溶液
から作製される薄膜を形成しようとした場合、溶液が多
孔質の空隙に染み込み易く、また多孔質体の表面は凹凸
があるので、シリカエアロゲルの表面に機能性の薄膜を
均一に形成することが困難であって、実用化に至ってい
ないのが現状である。
【0005】そしてこのように表面に機能性の薄膜を均
一に形成することが困難なのは、多孔質体が一般に有す
る問題であり、多孔質体の表面を平滑化して、このよう
な機能性薄膜の形成ができるようにすることが、望まれ
るところである。
【0006】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、シリカエアロゲルなど多孔質体の表面を平滑化す
ることができる表面処理多孔質体及び多孔質体の表面処
理方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
多孔質体の表面処理方法は、無機層状化合物を溶媒に分
散させた処理液に多孔質体を接触させることによって、
多孔質体の表面に無機層状化合物を吸着させて無機層状
化合物による吸着層を形成することを特徴とするもので
ある。
【0008】また請求項2の発明は、無機層状化合物
が、Na−モンモリロナイト、Ca−モンモリロナイ
ト、合成スメクタイト、Na−テニオライト、Li−テ
ニオライト、Na−ヘクトライト、Li−ヘクトライ
ト、酸性白土、合成雲母などのフィロケイ酸塩鉱物であ
ることを特徴とするものである。
【0009】また請求項3の発明は、多孔質体がシリカ
エアロゲルであることを特徴とするものである。
【0010】また請求項4の発明は、多孔質体がイオン
性ポリマーを表面に有するものであることを特徴とする
ものである。
【0011】また請求項5の発明は、多孔質体を処理液
に浸漬することによって、処理液に多孔質体を接触させ
ることを特徴とするものである。
【0012】本発明の請求項6に係る表面処理多孔質体
は、上記請求項1乃至5のいずれかに記載の方法で、多
孔質体の表面に無機層状化合物による吸着層が形成され
ていることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0014】シリカエアロゲルは、米国特許第4402
927号公報、同第4432956号公報、同第461
0863号公報で提供されているように、アルコキシシ
ラン(シリコンアルコキシド、アルキルシリケートとも
称される)の加水分解、重合反応によって得られたシリ
カ骨格からなる湿潤状態のゲル状化合物を、アルコール
あるいは二酸化炭素等の溶媒(分散媒)の存在下で、こ
の溶媒の臨界点以上の超臨界状態で乾燥することによっ
て製造することができる。超臨界乾燥は、例えばゲル状
化合物を液化二酸化炭素中に浸漬し、ゲル状化合物が含
む溶媒の全部又は一部をこの溶媒よりも臨界点が低い液
化二酸化炭素に置換し、この後、二酸化炭素の単独系、
あるいは二酸化炭素と溶媒との混合系の超臨界条件下で
乾燥することによって、行なうことができる。
【0015】またシリカエアロゲルは、米国特許第51
37279号公報、同第5124364号公報で提供さ
れているように、ケイ酸ナトリウムを原料として、上記
と同様にして製造することができる。
【0016】ここで、特開平5−279011号公報、
特開平7−138375号公報に開示されているよう
に、上記のようにしてアルコキシシランの加水分解、重
合反応によって得られたゲル状化合物を疎水化処理する
ことによって、シリカエアロゲルに疎水性を付与するこ
とが好ましい。このように疎水性を付与した疎水性シリ
カエアロゲルは、湿気や水等が浸入し難くなり、シリカ
エアロゲルの屈折率や光透過性等の性能が劣化すること
を防ぐことができるものである。
【0017】この疎水化処理の工程は、ゲル状化合物を
超臨界乾燥する前、あるいは超臨界乾燥中に行なうこと
ができる。疎水化処理は、ゲル状化合物の表面に存在す
るシラノール基の水酸基を疎水化処理剤の官能基と反応
させ、疎水化処理剤の疎水基と置換させることによって
疎水化するために行なうものである。疎水化処理を行な
う手法としては、例えば、疎水化処理剤を溶媒に溶解さ
せた疎水化処理液中にゲルを浸漬し、混合するなどして
ゲル内に疎水化処理剤を浸透させた後、必要に応じて加
熱して、疎水化反応を行なわせる方法がある。
【0018】ここで、疎水化処理に用いる溶媒として
は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、キシレン、トルエン、ベンゼン、N,N−ジメチル
ホルムアミド、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げるこ
とができるが、疎水化処理剤が容易に溶解し、かつ、疎
水化処理前のゲルが含有する溶媒と置換可能なものであ
ればよく、これらに限定されるものではない。また後の
工程で超臨界乾燥が行なわれる場合、超臨界乾燥の容易
な媒体、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノ
ール、液体二酸化炭素などと同一種類もしくはそれと置
換可能なものが好ましい。また疎水化処理剤としては例
えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキ
サン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルジメトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメト
キシシラン、エチルトリメトキシシラン、トリメチルエ
トキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリ
エトキシシラン等を挙げることができる。
【0019】上記のようにして作製されるシリカエアロ
ゲルは数十nmの大きさの空孔を有する多孔質体であ
り、このような多孔質体の表面に機能性の薄膜を均一に
形成することは困難である。そこで本発明では多孔質体
の表面を平滑化し、このような機能性薄膜の形成が容易
になるようにするものである。
【0020】すなわち本発明では、無機層状化合物を溶
媒に分散させた処理液に多孔質体の表面を接触させるこ
とによって、多孔質体の表面に無機層状化合物を吸着さ
せて無機層状化合物による吸着層を形成し、この無機層
状化合物による吸着層で多孔質体の表面を被覆して多孔
質体の表面を平滑化するようにしてある。
【0021】膜材料を溶媒に溶解した溶液を多孔質体の
表面に塗布し、溶媒を蒸発除去することによって、多孔
質体の表面に膜を形成する場合、多孔質の空孔内に溶液
が染み込むために、表面を膜で被覆するように多孔質体
に膜を形成することは困難である。これに対して本発明
では、無機層状化合物を溶媒に分散させた処理液に多孔
質体の表面を接触させることによって、無機層状化合物
のみを多孔質体の表面に吸着させ、多孔質体の表面をこ
の無機層状化合物による吸着層で被覆することができる
ようにしたものであり、多孔質体の表面を被覆した無機
層状化合物による吸着層で多孔質体の表面を平滑化する
ことができるものである。
【0022】ここで吸着とは、多孔質体の表面に無機層
状化合物の層を形成する過程で、無機層状化合物を分散
する溶媒が層形成に介在しないで層形成がなされる状態
をいうものであり、無機層状化合物を例えば水中に分散
して用いる場合、多孔質体の表面を水中に接触させる
と、水中で無機層状化合物のみが多孔質体の表面に吸着
されて層となり、水中から多孔質体を取り出す際に溶媒
である水は無機層状化合物の層中に含まれていない。こ
のようにして無機層状化合物のみを多孔質体の表面に吸
着させて、多孔質体の表面をこの無機層状化合物による
吸着層で被覆することができるのである。無機層状化合
物の吸着量は、多孔質体の表面電荷を打ち消すぶんであ
り、そのため、多孔質体の表面に吸着した無機層状化合
物の吸着層の厚みは数nmとなる。この吸着を繰り返す
ことよって、無機層状化合物の吸着層の厚みをさらに厚
く形成することができるが、多孔質体としてシリカエア
ロゲルを用いるにあたって、シリカエアロゲルの高断熱
性、高電気絶縁性、低屈折率、低誘電率などの特性を有
効に発揮させるために、無機層状化合物による吸着層の
厚みは薄いほうが望ましく、吸着層の厚みは0.1μm
以下に設定するのが好ましい。吸着層は多孔質体の表面
を平滑にすることができる厚みであることが必要である
が、無機層状化合物を一層形成するだけでも表面を平滑
する効果があるので、吸着層の厚みは1nm程度でよ
い。尚、特表平8−504674号公報や特表平8−5
08535号公報に開示されるような超臨界処理を行な
わない多孔質体に対しても、同様にして無機層状化合物
の吸着層を形成して表面を平滑化することができるもの
である。
【0023】上記のように無機層状化合物を溶媒に分散
させた処理液に多孔質体の表面を接触させて、多孔質体
の表面に無機層状化合物を吸着させて吸着層を形成する
処理を行なうにあたって、処理液に多孔質体の表面を接
触させる方法として、無機層状化合物を溶媒に分散させ
た処理液に多孔質体を浸漬する方法を用いることができ
る。このように無機層状化合物を溶媒に分散させた処理
液に多孔質体を浸漬することによって、溶媒中で無機層
状化合物が多孔質体の表面に吸着され、多孔質体を処理
液から引き上げた際には、溶媒を含まない無機層状化合
物のみの吸着層が多孔質体の表面に形成されるものであ
る。ここで、無機層状化合物を溶媒に分散させた処理液
において、無機層状化合物の濃度は、無機層状化合物が
劈開する程度の濃度である1質量%以下が好ましい。無
機層状化合物の濃度が低い程、分散性が良くなるが、濃
度があまり低いと吸着層が形成され難くなるので、無機
層状化合物の濃度は0.001質量%以上であることが
望ましい。尚、このように無機層状化合物を溶媒に分散
させた処理液に多孔質体を浸漬する場合は、表面の安定
性から、疎水化処理を行なった多孔質体を用いるのが好
ましく、特にシリカエアロゲルの場合は疎水化処理を行
なったものであることが望ましい。
【0024】ここで、本発明の処理液において、上記の
無機層状化合物としては、Na−モンモリロナイト、C
a−モンモリロナイト、合成スメクタイト、Na−テニ
オライト、Li−テニオライト、Na−ヘクトライト、
Li−ヘクトライト、酸性白土、合成雲母などのフィロ
ケイ酸塩鉱物を用いることができる。また溶媒としては
水を用いることができる。上記のフィロケイ酸塩鉱物は
層状化合物間に水分子が入ることにより膨潤し、処理液
の濃度が低い場合や超音波などの力を与えることによっ
て容易に劈開し、厚みが数nm、面方向の径が数十〜数
百nmの板状物質が得られるものであり、このような層
状化合物を多孔質体の表面に、多孔質体の空孔を覆うよ
うに吸着させることによって、吸着層で多孔質体の表面
を平滑化することができるものである。無機層状化合物
は単一のものを用いるようにしても、2種以上のものを
併せて使用するようにしても、いずれでもよい。
【0025】また、シリカエアロゲルなど多孔質体の表
面には、上記の処理の前に、イオン性ポリマーを設けて
おくことができる。このイオン性ポリマーとしては、ポ
リ(アリルアミンヒドロクロリド)、ポリ(エチレンイ
ミン)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリ
ド)などのカチオン性ポリマーや、ポリ(スチレンスル
ホネート)、ポリ(ビニルスルフェート)などのアニオ
ン性ポリマーを挙げることができるが、イオン性であれ
ばよく、これらのポリマーに限定されるものではない。
このように多孔質体の表面にイオン性ポリマーを設けて
おくことによって、このイオン性ポリマーで無機層状化
合物を多孔質体の表面に良好に接着させることができる
ものである。また無機層状化合物の吸着を複数回繰り返
して吸着層を形成する場合、イオン性ポリマーの形成と
無機層状化合物の吸着を繰り返すことによって、複数層
構成の吸着層を接着性高く多孔質体の表面に形成するこ
とができるものである。
【0026】上記のようにして多孔質体の表面に無機層
状化合物の吸着層を形成することよって、多孔質体の表
面を平滑にする処理を行なうことができるものであり、
このように平滑化した多孔質体の表面に機能性を持った
薄膜を均一な厚みで形成することが可能になり、シリカ
エアロゲルなど多孔質体の特徴を活かすことができるよ
うになるものである。
【0027】機能性の薄膜として、例えば銅、アルミニ
ウム、マグネシウム、銀などの導電性物質薄膜を形成す
る場合、シリカエアロゲルは誘電率が1.05〜2.0
程度と非常に小さい値を示すので、高集積回路用などの
優れた低誘電率回路基板として用いることができる。
【0028】また機能性の薄膜として、アルミニウムや
チタニアなどの赤外線反射性薄膜を形成する場合、赤外
線を反射することができ、シリカエアロゲルを断熱性基
板として使用することができるものであり、しかもシリ
カエアロゲルは熱伝導率が0.01〜0.025mW/
mK程度と非常に低く、かつ密度が非常に小さいことか
ら赤外線反射性薄膜との界面における熱伝導係数が大き
くなるので、より優れた断熱性を示すものである。
【0029】また機能性の薄膜として、シリカなどの透
明性無機酸化物薄膜を形成する場合、シリカエアロゲル
と透明性無機酸化物薄膜との界面で光を全反射させ、透
明性無機酸化物薄膜を光伝送性能の高い光導通路とし
た、光伝送性能に優れた光導路基板として使用すること
ができるものである。シリカエアロゲルは光の屈折率が
1.008〜1.1と非常に小さいために光導通路と外
部との界面での全反射効率が高く、光導通路が曲線パタ
ーンで形成されていても光の伝送ロスを極小に抑制でき
るものである。ただこの場合、シリカエアロゲルと透明
性無機酸化物薄膜の間には吸着層が介在しているので、
吸着層の厚みは光の波長より小さい0.1μm以下とす
る必要がある。吸着層の厚みが導通させる光の波長並み
になると、本来伝送すべき光が伝送できなくなるで好ま
しくない。
【0030】また機能性の薄膜として、インジウムスズ
酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IXO)、
銀、クロムなどの透明導電性薄膜を形成する場合、シリ
カエアロゲルを発光素子用基板として用いることができ
る。例えば、透明導電性薄膜の表面にEL(エレクトロ
ルミネッセンス)層を設けると共にさらにEL層の表面
に背面金属電極を設け、透明導電性薄膜と背面金属電極
の間に電界を印加することによって、EL層を発光させ
ることができ、EL発光素子としてディスプレーに用い
ることができるものである。ここで、シリカエアロゲル
は光の屈折率が1.008〜1.1と非常に小さく、こ
の低屈折率のシリカエアロゲルを通過する光は大気への
取り出し率が高く、EL層で発光した光を外部に取り出
す取り出し率が高いEL発光素子として使用することが
できるものである。EL層としては有機ELや無機EL
として従来から用いられているものを使用することがで
きる。また、シリカエアロゲル1は光の屈折率が1.0
08〜1.1と小さいために、空気が存在するのと同等
の光機能を有し、例えば反射型液晶用フロントライトの
保護とタッチパネルを兼ねたディスプレーを形成するこ
とができるものである。
【0031】また機能性の薄膜として、蛍光体物質によ
る蛍光体薄膜を形成する場合、このものでは紫外線照射
によって蛍光体薄膜を構成する蛍光体物質が発光し、上
記のEL発光素子と同じ原理で発光の取り出し効率が高
い蛍光性薄膜基板として使用することができるものであ
る。
【0032】尚、本発明は、シリカエアロゲル以外に、
多孔質体全般に適用することができるものである。シリ
カエアロゲル以外の多孔質体としては、親水性多孔質体
として、例えばアルコシキシランの加水分解重合反応や
ケイ酸ナトリウム溶液のゲル化反応によって得られる湿
潤ゲルを通常の加熱や減圧などで乾燥して得られる多孔
質シリカ(キセロゲル)などがあり、また疎水性多孔質
体として、例えば上記キセロゲルの疎水化処理物、低濃
度のメラミン樹脂ゲル化物を乾燥した多孔質ポリマー、
ポリスチレンとポリメチルメタクリル樹脂とポリスチレ
ン樹脂の溶解物を乾燥した後、ポリスチレン樹脂を溶剤
にて選択的に溶解除去することで得られる多孔質ポリマ
ーなどがあり、素材は特に限定されるものではない。
【0033】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
る。
【0034】(実施例1)テトラメトキシシランのオリ
ゴマー(コルコート社製「メチルシリケート51」)と
メタノールを質量比47:81で混合してA液を調製
し、また水、28質量%アンモニア水、メタノールを質
量比50:1:81で混合してB液を調製した。そして
A液とB液を16:17の質量比で混合して得たアルコ
キシシラン溶液を、ソーダガラス製の基板3の上に滴下
し、スピンコーターの回転室にこの基板3を入れ、基板
3を回転させて基板3の表面にアルコシキシラン溶液を
スピンコーティングした。ここで、スピンコーターの回
転室には予めメタノールを入れてメタノール雰囲気にな
るようにしてあり、また基板3の回転は700rpmの
回転数で10秒間行なった。このようにアルコキシシラ
ン溶液をスピンコーティングした後、3分間放置してア
ルコキシシランをゲル化させ、次いで、この薄膜状のゲ
ル状化合物を設けた基板3を、水:28質量%アンモニ
ア水:メタノール=162:4:640の質量比の組成
の養生溶液中に浸漬し、室温にて1昼夜養生した。次
に、このようにして養生を行なった薄膜状のゲル状化合
物を、ヘキサメチルジシラザンの10質量%イソプロパ
ノール溶液中に浸漬し、疎水化処理をした。このように
して基板3の表面に形成した薄膜状のゲル状化合物をイ
ソプロパノール中へ浸漬して洗浄した後、高圧容器中に
入れ、高圧容器内を液化炭酸ガスで満たし、80℃、1
6MPa、2時間の条件で超臨界乾燥をすることによっ
て、基板3の表面に膜厚20μmのシリカエアロゲル1
の膜を形成した。
【0035】上記のようにしてシリカエアロゲル1を表
面に形成した基板3を、合成ヘクトライト(ラポルト工
業社製「ラポナイトRD」)を0.2質量%濃度で水に
分散した処理液に10分間浸漬し、さらに純水中に10
分間浸漬することによって、図1に示すように、シリカ
エアロゲル1の表面に合成ヘクトライトを吸着させて吸
着層2を形成した。
【0036】(実施例2)実施例1と同様にして基板3
の表面にシリカエアロゲル1を形成した後、ポリ(ジア
リルジメチルアンモニウムクロリド)の5.0質量%濃
度の水溶液に基板3を10分間浸漬し、さらに純水に1
0分間浸漬することによって、図2(a)に示すよう
に、シリカエアロゲル1の表面にポリ(ジアリルジメチ
ルアンモニウムクロリド)によるイオン性ポリマー4を
設けた。
【0037】次に、この基板3を、合成ヘクトライト
(ラポルト工業社製「ラポナイトRD」)を0.2質量
%濃度で水に分散した処理液に10分間浸漬し、さらに
純水中に10分間浸漬することによって、図2(b)に
示すように、シリカエアロゲル1の表面にイオン性ポリ
マー4を介して合成ヘクトライトを吸着させ、吸着層2
を形成した。
【0038】(比較例1)実施例1と同様にして基板3
の表面にシリカエアロゲル1を形成した。
【0039】上記実施例1,2及び比較例1のシリカエ
アロゲル1の表面(実施例1,2では吸着層2で被覆さ
れた表面になる)を原子間力顕微鏡により観察し、表面
粗さの指標の一つである1μmの算術平均粗さ(Ra)
を測定した。表1にその結果を示す。尚、表1において
実施例2の括弧内はシリカエアロゲル1にイオン性ポリ
マー4を設けた段階での測定結果である。
【0040】
【表1】
【0041】表1にみられるように、シリカエアロゲル
1の表面に無機層状化合物の吸着層2を設けることによ
って、シリカエアロゲル1の表面を平滑化できることが
確認される。
【0042】次に、実施例2で得た、シリカエアロゲル
1の表面にイオン性ポリマー4を設けた後に吸着層2を
形成したものを用い、その表面に200℃、1Pa、1
00Wの条件でスパッタリングすることによって、厚み
100nmのITO膜からなる透明導電性薄膜を形成し
た。また比較例1で得たシリカエアロゲル1の表面にも
同様にして、厚み100nmのITO膜からなる透明導
電性薄膜を形成した。そしてこれらについて、透明導電
性薄膜の1cm距離について導通性能をテスターにより
測定した。その結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】表2にみられるように、実施例2のものは
シリカエアロゲル1の表面が平滑されているために、透
明導電性薄膜として導通性能が良好なものを形成するこ
とができるものであった。
【0045】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係る多
孔質体の表面処理方法は、無機層状化合物を溶媒に分散
させた処理液に多孔質体を接触させることによって、多
孔質体の表面に無機層状化合物を吸着させて無機層状化
合物による吸着層を形成するようにしたので、無機層状
化合物を多孔質体の表面に吸着させることによって、多
孔質体の表面をこの無機層状化合物による吸着層で被覆
することができるものであり、多孔質体の表面を被覆し
た無機層状化合物による吸着層で多孔質体の表面を平滑
化することができるものである。
【0046】また請求項2の発明は、無機層状化合物
が、Na−モンモリロナイト、Ca−モンモリロナイ
ト、合成スメクタイト、Na−テニオライト、Li−テ
ニオライト、Na−ヘクトライト、Li−ヘクトライ
ト、酸性白土、合成雲母などのフィロケイ酸塩鉱物であ
るので、フィロケイ酸塩鉱物は層状化合物間に水分子が
入ることにより膨潤して容易に劈開し、厚みが数nm、
面方向の径が数十〜数百nmの板状物質が得られるもの
であり、このような無機層状化合物は多孔質体の空孔を
覆うように吸着させることができ、吸着層で多孔質体の
表面を平滑化することができるものである。
【0047】また請求項3の発明は、多孔質体がシリカ
エアロゲルであるので、シリカエアロゲルが有する高断
熱性、高電気絶縁性、低屈折率、低誘電率などの特性を
活かした商品展開ができるものである。
【0048】また請求項4の発明は、多孔質体がイオン
性ポリマーを表面に有するものであるので、イオン性ポ
リマーで無機層状化合物を多孔質体の表面に良好に接着
させることができるものである。
【0049】また請求項5の発明は、多孔質体を処理液
に浸漬することによって、処理液に多孔質体を接触させ
るようにしたので、多孔質体を処理液に浸漬するという
簡単な操作で多孔質体の表面に吸着層を確実に形成する
ことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであ
り、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【符号の説明】
1 シリカエアロゲル 2 吸着層 3 基板 4 イオン性ポリマー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 勝 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 4D075 AB01 DA25 EB01 4G072 CC07 CC08 GG03 QQ09 RR12 4G073 AA03 BA03 BA04 BA11 BD18 CM07 CM14 CM15 CM17 CM20 CM22

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機層状化合物を溶媒に分散させた処理
    液に多孔質体を接触させることによって、多孔質体の表
    面に無機層状化合物を吸着させて無機層状化合物による
    吸着層を形成することを特徴とする多孔質体の表面処理
    方法。
  2. 【請求項2】 無機層状化合物が、Na−モンモリロナ
    イト、Ca−モンモリロナイト、合成スメクタイト、N
    a−テニオライト、Li−テニオライト、Na−ヘクト
    ライト、Li−ヘクトライト、酸性白土、合成雲母など
    のフィロケイ酸塩鉱物であることを特徴とする請求項1
    に記載の多孔質体の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 多孔質体がシリカエアロゲルであること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質体の表面処
    理方法。
  4. 【請求項4】 多孔質体がイオン性ポリマーを表面に有
    するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3
    のいずれかに記載の多孔質体の表面処理方法。
  5. 【請求項5】 多孔質体を処理液に浸漬することによっ
    て、処理液に多孔質体を接触させることを特徴とする請
    求項1乃至4のいずれかに記載の多孔質体の表面処理方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の方法
    で、多孔質体の表面に無機層状化合物による吸着層が形
    成されていることを特徴とする表面処理多孔質体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004281307A (ja) * 2003-03-18 2004-10-07 Seiko Epson Corp 有機エレクトロルミネッセンス表示体及びその製造方法
JP2014024711A (ja) * 2012-07-26 2014-02-06 Shinshu Univ スメクタイト被覆シリカ粒子及びその製造方法
WO2014061606A1 (ja) * 2012-10-15 2014-04-24 旭硝子株式会社 防汚性反射防止膜、物品およびその製造方法
JP2018009238A (ja) * 2016-07-12 2018-01-18 現代自動車株式会社Hyundai Motor Company 多孔性断熱コーティング層の製造方法、多孔性断熱コーティング層およびこれを用いた内燃機関

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