JP6399583B2 - 円偏光発光材料の製造方法、及び円偏光発光材料 - Google Patents

円偏光発光材料の製造方法、及び円偏光発光材料 Download PDF

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Description

本発明は、キラルな金属化合物構造体及び円偏光発光材料の製造方法、並びに金属化合物構造体及び円偏光発光材料に関するものである。
近年、分子間相互作用により有機化合物を平衡又は非平衡状態で自己組織化させて得られる、特定の空間形状やナノメートルオーダーの規則的構造等を備えたナノ構造体が盛んに提案されている。これらのナノ構造体は、様々な組成の有機/無機複合ナノ材料を構築するための基盤として用いることができるばかりでなく、各種の材質からなるナノ構造体を形成するための鋳型としても用いることができることから、学際的分野や産業的分野等から関心を寄せられている。
このようなナノ構造物の例として、例えば特許文献1には、特定の化学構造を備えた界面活性剤を溶液中で自己組織化させ、その周囲でシリカ源となる化合物をゾルゲル反応させてメソポーラスシリカ粒子を形成させることが提案されている。また、特許文献2には、互いに相溶しない非水溶性及び水溶性である2種のポリマーからミクロな相分離構造を形成させ、これをもとに平均孔径1〜200nmのシリンダー構造の細孔を備えた多孔質膜を形成させることが提案されている。また、生体高分子であるDNAやタンパク質が自己組織化により独特な立体構造を備えたナノ構造体となることもよく知られている。しかし、結晶性を備えたポリマーからなる結晶性のナノ構造物は少ない。
また、キラリティーを備えたナノ構造体を鋳型とし、その周囲にシリカ等の金属酸化物の層を成長させることにより、鋳型の持つキラリティーを金属酸化物に転写させることが提案されている。このような例として、特許文献3には、らせん構造等の光学活性なキラル配向構造を備えた重合体を鋳型とし、当該鋳型に金属ソースを作用させてキラルな有機/無機複合体を得ることが提案されている。このような有機/無機複合体では、金属酸化物にキラリティーが転写されているので、例えば触媒活性を備えた金属酸化物を当該有機/無機複合体の無機成分として選択すれば、キラルな反応場を備えた金属酸化物触媒が得られる可能性があると考えられる。
一方、キラリティーを備えた化合物に発光を示す化合物を錯形成等の手段により結合させて、円偏光発光を示す光学機能材料を得ることも提案されている。このような材料の一例として、非特許文献1には、希土類錯体にキラルな化合物を結合させることにより、希土類錯体から発せられる蛍光が非円偏光発光から円偏光発光に変化することが報告されている。また、非特許文献2には、蛍光発光を示す化合物であるチオフェンとキラルな(R)−1−(2−ナフチル)エチルアミンとの超分子固体錯体において、円偏光発光が観察されたことが報告されている。また、特許文献4には、キラルな配位子を備えた7配位型の希土類錯体が円偏光発光を示すことが報告されている。
円偏光発光は、光の波の進行に伴って振動面が回転する円偏光を生じる発光現象であり、そのような円偏光には右回りの円偏光と左回りの円偏光とが存在する。身近な例では、蛍の光に代表される生物発光は円偏光を有するとされている。このような円偏光発光を示す材料は、三次元表示ディスプレイへの応用や、セキュリティマーカーや不可視性インキの原料として期待されている。
特開2010−208907号公報 特開2009−256592号公報 特開2005−239863号公報 特開2013−121921号公報
Iwamura,M. et al.,Inorg.Chem.2012,51,4094−4098 Kimoto,T. et al.,Tetrahedron 2011,67,7775−7779
以上のように、キラルな性質を備えた発光性化合物は、円偏光発光材料として有望である。本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、キラルな性質を備え、蛍光発光性を備えた金属元素を有する新規な円偏光発光材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、以上の課題を解決するために次のような検討を鋭意重ねた。まず、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて得た酸塩基型錯体のキラル超分子結晶を用い、この超分子結晶に加水分解性の金属化合物を作用させて当該金属化合物の加水分解物からなる無機酸化物コート層を形成させた。このコート層には超分子結晶のキラリティーが転写されており、得られた構造体には、全体として、有機物である超分子結晶のキラリティーと無機酸化物(すなわち上記金属化合物の加水分解物)であるコート層のキラリティーとからなる二重のキラル構造が存在する。そして、この超分子結晶部分に希土類元素の塩を作用させると、この塩に含まれる金属イオンが上記キラルなジカルボン酸化合物に結合され、上記構造体は二重のキラル構造体中に金属イオンがトラップされたものへと変換される。その後これを焼成すると、二重のキラル構造中にトラップされた金属イオンが希土類の酸化物ナノ粒子となり、上記構造体がキラリティーを有する金属化合物構造体に変換されることを本発明者らは見出し、本発明を完成するに至った。周知のように、多くの希土類酸化物は蛍光発光を示すので、このような金属化合物構造体は円偏光発光材料として有望である。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて酸塩基型錯体のキラル超分子結晶を得る結晶生成工程と、上記キラル超分子結晶に加水分解性の金属化合物を作用させるゾルゲル法により、上記キラル超分子結晶の表面に上記金属化合物の加水分解物である第一の金属の化合物を含むコート層を形成させるゾルゲル工程と、上記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶に第二の金属の塩を作用させて、上記ポリエチレンイミン骨格及び上記ジカルボン酸化合物と上記第二の金属との間で反応物を形成させる反応物形成工程と、上記反応物形成工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させ、上記コート層及び上記第二の金属又はその酸化物からなる構造体を得る焼成工程と、を備え、上記第二の金属が希土類金属である円偏光発光材料の製造方法である。
(2)また本発明は、上記ジカルボン酸化合物が酒石酸である(1)項記載の円偏光発光材料の製造方法である。
(3)また本発明は、上記加水分解性の金属化合物がアルコキシシランである(1)項又は(2)項記載の円偏光発光材料の製造方法である。
(4)また本発明は、上記焼成工程を経て得た構造体に対して、さらに、アリールカルボン酸化合物を作用させるアリールカルボン酸処理工程を備えた(1)項〜(3)項のいずれか1項記載の円偏光発光材料の製造方法である。
(5)また本発明は、第一の金属の酸化物であるコート層の内部に第二の金属又はその酸化物が含まれる金属化合物構造体であって、上記第二の金属が希土類金属であり、上記第二の金属又はその酸化物の吸収波長領域において、上記コート層のキラリティーに誘起された円二色性を示すことを特徴とした金属化合物構造体である。
(6)また本発明は、上記第一の金属の酸化物が、酸化珪素化合物である(5)項記載の円偏光発光材料である。
(7)また本発明は、さらに、アリールカルボン酸化合物を含むことを特徴とする(5)項又は(6)項記載の金属化合物構造体である。
(8)また本発明は、上記第二の金属又はその酸化物の吸収波長の光を照射した際に円偏光発光を示すことを特徴とする(5)項〜(7)項のいずれか1項記載の円偏光発光材料である。
(9)また本発明は上記アリールカルボン酸の吸収波長の光を照射した際に円偏光発光を示すことを特徴とする()項記載の円偏光発光材料である。
本発明によれば、キラルな性質を備え、蛍光発光性を備えた金属元素を有する新規な円偏光発光材料が提供される。
図1は、SiO@LPEI/Tart−L及びSiO@LPEI/Tart−Dの固体円二色性スペクトルである。 図2は、実施例1で得たEu@SiO−L及びEu@SiO−Dの固体円二色性スペクトルである。 図3は、実施例2で得たY@SiO−L及びY@SiO−Dの固体円二色性スペクトルである。 図4は、実施例3で得たZnO@SiO−L及びZnO@SiO−Dの固体円二色性スペクトルである。 図5は、実施例4で得たY:Eu@SiO−L及びY:Eu@SiO−Dの固体円二色性スペクトルである。 図6は、実施例4で得たY:Eu@SiO−L及びY:Eu@SiO−DのUV−Vis反射スペクトルである。 図7は、実施例4で得たY:Eu@SiO−L及びY:Eu@SiO−Dについて、励起光を251nmとしたときの固体粉末蛍光スペクトルである。 図8は、実施例4で得たY:Eu@SiO−L及びY:Eu@SiO−Dの円偏光発光(CPL)スペクトルである。 図9は、実施例5で得たBA/Y:Eu@SiO−L及びBA/Y:Eu@SiO−Dの固体円二色性スペクトルである。 図10は、実施例6で得たAg@SiO−L及びAg@SiO−Dの固体円二色性スペクトルである。
以下、本発明に係る円偏光発光材料の製造方法の一実施態様、及び円偏光発光材料の一実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施態様及び実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
<キラルな金属酸化物構造体の製造方法>
本発明に係るキラルな金属化合物構造体の製造方法は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて酸塩基型錯体のキラル超分子結晶を得る結晶生成工程と、上記キラル超分子結晶に加水分解性の金属化合物を作用させるゾルゲル法により、上記キラル超分子結晶の表面に上記金属化合物の加水分解物である第一の金属の化合物を含むコート層を形成させるゾルゲル工程と、上記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶に第二の金属の塩を作用させて、上記ポリエチレンイミン骨格及び上記ジカルボン酸化合物と上記第二の金属との間で反応物を形成させる反応物形成工程と、上記反応物形成工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させ、上記コート層及び上記第二の金属又はその酸化物からなる構造体を得る焼成工程と、を備える。本発明に係るキラルな金属化合物構造体の製造方法が上記の各工程を備えることにより、まず、キラルなジカルボン酸化合物の持つキラリティーの反映された超分子結晶が鋳型となり、その鋳型をもとにして形成された第一の金属を含むコート層に当該キラリティーが転写され、有機化合物(超分子結晶)のキラリティーと無機酸化物(第一の金属化合物)のキラリティーとからなる二重のキラル構造を有する複合体が形成される。その後、これに第二の金属の塩を作用させて焼成することにより、第二の金属を含む金属化合物構造体に当該キラリティーが転写される。こうして得られた金属化合物構造体は、第二の金属化合物の配置に基づく構造的なキラリティーをもち、第二の金属が遷移金属や貴金属であればキラルな反応場を持つ触媒用途や円二色性を利用したセキュリティー用途等として用いることができ、第二の金属が希土類元素であれば円偏光発光材料等として用いることができる。以下、各工程について説明する。
[結晶生成工程]
結晶生成工程は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて酸塩基型錯体のキラル超分子結晶を得る工程である。
本発明で用いられる直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー(以下、単に「ポリマー」とも呼ぶ。)は、下記化学式で表される構造を分子内に備える。下記化学式で表される構造には二級のアミノ基が含まれ、このアミノ基の窒素原子が後述するキラルなジカルボン酸化合物に含まれるカルボキシル基と相互作用して酸塩基型の錯体を形成する。上記キラルなジカルボン酸化合物は、二個のカルボキシル基を備えた二塩基酸であり、二分子のポリマーに含まれるアミノ基のそれぞれと錯体を形成することができるので、ポリマーは、キラルなジカルボン酸化合物によって架橋される。その結果、複数のポリマーと複数のキラルなジカルボン酸化合物とが自己組織化した構造を備えた酸塩基型錯体型の超分子結晶が形成される。この超分子結晶は、上記キラルなジカルボン酸化合物に誘起された、構造的なキラリティーを備える。
Figure 0006399583
(上記化学式中、nは1以上の整数である。)
本発明で用いられるポリマーは、分子内に上記化学式で示す直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えていれば足り、その他の部分の構造は特に問わないので、線状構造はもちろん、星状、櫛状の構造であってもよく、上記化学式からなるホモポリマーであってもよいし、他の繰り返し単位も備えた共重合体であってもよい。ポリマーが共重合体である場合、当該ポリマー中の直鎖状ポリエチレンイミン骨格部分のモル比が20%以上であれば安定な結晶を形成できるとの観点から好ましく、直鎖状ポリエチレンイミン骨格の繰り返し単位数が10以上となるブロック共重合体であることがより好ましい。ポリマーは、上記化学式からなるホモポリマーであることが最も好ましい。
また、ポリマーとしては、後述するキラルなジカルボン酸化合物との間で結晶性の会合体を形成させる能力が高いほど好ましい。したがって、ポリマーは、ホモポリマーであっても共重合体であっても、上記化学式で示される直鎖状ポリエチレンイミン骨格部分に相当する部分の分子量が500〜1,000,000程度の範囲であることが好ましい。これら直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーは、市販品を用いてもよいし、本発明者らが特開2009−30017号公報等に開示した合成法によって得ることもできる。
本発明で用いられるキラルなジカルボン酸化合物は、既に述べたように、このジカルボン酸の備える2個のカルボキシル基が上記のポリマーを架橋して超分子結晶を形成させるとともに、このジカルボン酸化合物に由来する構造的なキラリティーが形成される超分子結晶に誘起される。ジカルボン酸化合物はD−体であってもL−体であってもよい。なお、ジカルボン酸化合物の光学純度は、必ずしも100%eeである必要はなく、90%ee以上であることが好ましく、95%ee以上であることがより好ましく、98%ee以上であることがさらに好ましい。
ジカルボン酸化合物としては、2個のカルボキシル基と不斉炭素とを備えるものであればよく、4以上の炭素原子を備えることが好ましい。また、ジカルボン酸化合物としては、直鎖状であるか分枝状であるかを問わない。このようなジカルボン酸化合物としては、酒石酸、アルトラル酸、グルカル酸、マンナル酸、グルロン酸、イダル酸、ガラクタル酸、タルロン酸等が例示され、酒石酸が好ましく例示される。
本工程では、上述のポリマーとキラルなジカルボン酸化合物とを水中で作用させて、これらと水分子とからなる超分子結晶を形成させる。次に、このような超分子結晶を形成させるための一態様について説明する。この態様では、ポリマー水溶液調製小工程と、ジカルボン酸水溶液調製小工程と、混合小工程と、析出小工程と、を順次行う。以下、これらの工程について説明する。
ポリマー水溶液調製小工程では、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーの水溶液が調製される。このとき、水溶液を調製するのに用いる水は、加温されることにより、80℃以上の熱水となっていることが好ましい。また、このとき用いられる直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーについては、既に述べた通りである。
ポリマーの水溶液を調製する手順の一例としては、ポリマーの粉末を蒸留水に加え、それを80℃以上まで加熱することによってポリマーを溶解させることを挙げることができる。このとき、水溶液におけるポリマーの濃度は、0.5〜8質量%の範囲であることが好ましいが、特に限定されない。
調製されたポリマーの水溶液は、加温された状態のままで、後述の混合小工程に付される。
ジカルボン酸水溶液調製小工程は、特に限定されないが、上記のポリマー水溶液調製小工程と並行して行われることが好ましい。この小工程では、上述のジカルボン酸化合物の水溶液を調製する。ここで用いられるジカルボン酸化合物はキラル(光学活性体)である。なお、水溶液を調製するのに用いる水は、加温されることにより、80℃以上の熱水となっていることが好ましい。
ジカルボン酸化合物の水溶液を調製する手順の一例としては、当該ジカルボン酸化合物の粉末を蒸留水に加え、それを80℃以上まで加熱することによってジカルボン酸化合物を溶解させることを挙げることができる。このとき、水溶液におけるジカルボン酸化合物の濃度は、0.5〜15質量%の範囲であることが好ましいが、特に限定されない。
調製されたジカルボン酸化合物の水溶液は、加温された状態のままで、後述の混合小工程に付される。
混合小工程では、上記のポリマーの水溶液とジカルボン酸化合物の水溶液とを混合させて混合水溶液を得る。このとき、混合される2つの水溶液は、いずれも80℃以上程度の温度に加温されていることが好ましい。
ポリマーの水溶液とジカルボン酸化合物の水溶液とを混合させる際、ポリマーの直鎖状ポリエチレンイミン骨格に含まれる二級アミノ基1当量に対して、ジカルボン酸化合物に含まれるカルボキシル基が、0.5〜1.5当量であることが好ましく、0.9〜1.1当量であることがより好ましく、1当量であることがさらに好ましい。
この小工程で調製された混合水溶液は、析出小工程に付される。
析出小工程では、混合小工程で得られた混合水溶液中にポリマーとジカルボン酸化合物との酸塩基型錯体を析出させる。この酸塩基型錯体は、既に述べたように、キラルな超分子結晶(キラル超分子結晶)である。
この小工程を行うにあたり、加温された状態である混合水溶液を徐々に冷却させる。このときの冷却方法については、特に限定されるものでないが、一例として空気雰囲気下で自然冷却して室温まで水温を下げる方法を挙げることができる。この過程で水溶液中に白い固体が析出するが、この粉末は、ナノサイズである酸塩基型錯体の結晶(超分子結晶)が凝集してできた多孔質の複合体である。なお、上記のように自然冷却を行うに際して、混合された水溶液を静置したまま放置してもよいし、当該水溶液に撹拌や振動を与えることによって固体の析出を促進してもよい。得られた白色の析出物は、濾別等の手段により単離される。単離された後の析出物を蒸留水やエタノール、アセトン等の有機溶媒で適宜洗浄し、乾燥させてもよい。
結晶生成工程で得られたキラル超分子結晶は、ゾルゲル工程に付される。
[ゾルゲル工程]
ゾルゲル工程は、上記結晶生成工程で得られたキラル超分子結晶に加水分解性の金属化合物を作用させるゾルゲル法により、上記キラル超分子結晶の表面に、上記金属化合物の加水分解物である第一の金属の化合物を含むコート層を形成させる工程である。加水分解性の金属化合物に含まれる金属元素を、便宜上、第一の金属と呼ぶ。この金属化合物が加水分解してキラル超分子結晶の表面にコート層が形成されるので、そのコート層には、加水分解物である第一の金属の化合物が含まれることになる。
本工程で用いられる加水分解性の金属化合物は、水と反応することにより加水分解され、ゾルゲル反応を生じさせるものであればよい。このような化合物としては、金属アルコキシド、金属ハライド、有機金属化合物等を挙げることができる。例えば金属化合物として珪素化合物を用いる(すなわち第一の金属として珪素を選択する)場合、加水分解性の金属化合物としては、テトラメトキシシラン、トリメトキシシラン、ジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、トリプロポキシシラン、ジプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、ジイソプロポキシシラン等のアルコキシシラン、ジクロロシラン、テトラクロロシラン等のハロゲン化シラン、オルトケイ酸テトラエチル等を挙げることができる。これらの金属化合物は、一種を単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。また、金属化合物としてチタン化合物を用いる場合、例えば、ゾルゲル反応を起こす水溶性の乳酸チタンを挙げることができる。これらの金属化合物の中でも、アルコキシシランが好ましく用いられる。
本工程を実施するにあたり、上記結晶生成工程で得られたキラル超分子結晶は、上述の、加水分解性の金属化合物(すなわち、第一の金属の供給源でもある。)との反応に付される。この反応は、水中に分散させたキラル超分子結晶に、加水分解性の金属化合物、又は加水分解性の金属化合物と水との混合物を加えて室温で撹拌することにより行われる。この過程で、加水分解性の金属化合物は、ゾルゲル反応を生じ、キラル超分子結晶の表面に金属化合物の加水分解物である第一の金属の化合物を含むコート層を形成させる。コート層に含まれる第一の金属の化合物としては、第一の金属元素(M)と酸素原子(O)とからなるポリマー[(−M−O−)]や、第一の金属元素の水酸化物等が含まれる。
キラル超分子結晶と加水分解性の金属化合物との混合比は、特に限定されず、キラル超分子結晶のほぼ全体に上記コート層が形成されるように適宜調節すればよい。このような混合比の一例として、加水分解性の金属化合物としてテトラメトキシシランを用いた場合には、3g程度の超分子結晶が分散された100mLの水に対して、3mLのテトラメトキシシランと200mLの水との混合物を加えることを挙げられるが、特に限定されない。
ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶は、反応物形成工程に付される。
[反応物形成工程]
反応物生成工程は、上記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶に第二の金属の塩を作用させて、ポリマーに含まれるポリエチレンイミン骨格及び上記ジカルボン酸化合物と、第二の金属との間で反応物を形成させる工程である。
ポリエチレンイミン骨格とジカルボン酸化合物との錯化合物である上記キラル超分子結晶では、下記化学式に示すように、複数の二級アミノ基及びカルボキシル基がほぼ規則的に配列されており、金属イオンが配位する上で極めて好ましい環境である。そこで、下記化学式に示すようにこのキラル超分子結晶に第二の金属の塩を作用させて、ポリマーとキラルなジカルボン酸化合物と第二の金属のイオンとの間で錯塩を形成させる。これにより、キラルなジカルボン酸化合物のキラリティーが転写された第二の金属イオン錯体が形成されると考えられる。この場合、この第二の金属イオン錯体が本工程でいう反応物である。なお、ポリエチレンイミン骨格に含まれる二級アミノ基は還元作用も備え、第二の金属の塩として貴金属塩を用いた場合には、貴金属イオンが還元されて、キラルな超分子結晶の内部に貴金属のナノ粒子がキラリティーを保持した状態で配列される。この場合、この貴金属のナノ粒子が本工程でいう反応物である。なお、貴金属塩を用いた場合、還元作用に関与するのは二級アミノ基を備えたポリマーであるが、そのような還元が生じる前に陽イオンである貴金属イオンとジカルボン酸化合物との間でイオン交換反応が生じており、この場合であってもポリエチレンイミン骨格及びジカルボン酸化合物と第二の金属(貴金属のイオン)とが反応していることに変わりはない。下記化学式は、キラルなジカルボン酸化合物として酒石酸を用い、第二の金属のイオンとしてMn+を用いた場合に錯塩が形成される様子を模式的に示したものである。
Figure 0006399583
なお、ポリエチレンイミン骨格及びキラルなジカルボン酸化合物と第二の金属のイオンとの間で錯塩が形成されることにより、ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーとキラルなジカルボン酸化合物の間で形成されていた酸塩基型錯体が解消される可能性があるが、この工程の前に行ったゾルゲル工程によりキラル超分子結晶の周囲にコート層が形成されているため、キラル超分子結晶は溶解することなくその形状を維持することができる。
第二の金属の塩を構成する金属としては、特に限定されないが、遷移金属、貴金属、希土類元素等が好ましく選択される。遷移金属を用いた場合には、後述する焼成工程を経た後で、本発明のキラルな金属化合物構造体としてキラルな遷移金属酸化物構造体が得られ、キラルな反応場を備えた遷移金属触媒が得られる。貴金属を用いた場合には、後述する焼成工程を経た後で、本発明のキラルな金属化合物構造体としてキラルな貴金属ナノ粒子構造体が得られ、キラルな反応場を備えた触媒としての用途や、円二色性を備えたプラズモン吸収を利用したセキュリティー材料としての用途が期待される。希土類元素を用いた場合には、後述する焼成工程を経た後で、本発明の金属化合物構造体としてキラルな希土類元素酸化物構造体が得られ、キラリティーを備えた発光材料として、円偏光発光材料としての用途が期待される。すなわち、第二の金属の塩に含まれる第二の金属が、金属化合物構造体における各種の機能を担うことになる。
遷移金属としては、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム等が挙げられる。貴金属としては、金、銀、パラジウム、ロジウム等が挙げられる。希土類元素としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等が挙げられる。
第二の金属の塩としては、酢酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩等が挙げられる。塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等も使用可能性があるが、強酸の塩を用いるとキラルな超分子結晶を構成する酸塩基型錯体が影響を受けて錯形成が解除される可能性もあり、好ましくない結果をもたらす可能性がある。これらの中でも、酢酸塩が好ましく挙げられる。
キラル超分子結晶と第二の金属の塩との混合比は、特に限定されないが、キラル超分子結晶におけるポリエチレンイミン骨格に含まれる二級アミノ基の0.1〜1.0当量となる量の塩を添加することが好ましく、これよりも過剰な量となる塩を添加してもよい。
第二の金属の塩をキラル超分子結晶に作用させるに際しては、第二の金属の塩を溶解させた水溶液中へ上記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶を添加し、そのまま室温で24時間程度撹拌することを例示できる。その後、超分子結晶を濾別し、適切な洗浄を行って乾燥させればよい。
反応物形成工程を経たキラル超分子結晶は、焼成工程に付される。
[焼成工程]
焼成工程は、上記反応物形成工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させ、上記コート層及び上記第二の金属又はその酸化物からなる構造体を得る工程である。
焼成工程にて行われる焼成により、キラル超分子結晶が熱分解して蒸発し、キラル超分子結晶の表面に形成された第一の金属化合物が酸化物となったコート層と、キラル超分子結晶の内部に存在する第二の金属化合物が残留する。そして、第二の金属化合物は、それが貴金属でない場合には金属酸化物となり、それが貴金属である場合には金属ナノ粒子となる。さらに、第二の金属化合物は、焼成によって金属酸化物又は金属ナノ粒子となって立体的な構造をもって固定されるが、この構造にはキラル超分子結晶におけるキラリティーが転写されており、その構造に由来したキラリティーを呈する。つまり、キラル超分子結晶が鋳型となって、そのキラリティーが第二の金属化合物へ転写されることになる。そのため、焼成工程を経て得られた金属化合物構造体は、鋳型として用いたキラル超分子結晶に誘起された、原子配列レベルといった構造に基づくキラリティーを備え、第二の金属化合物の吸収波長において円二色性を示すし、第二の金属が希土類元素であれば円偏光発光を示す。
焼成の条件としては、300〜800℃程度で加熱することを挙げることができるが、特に限定されない。
[アリールカルボン酸処理工程]
上記の各工程を経て得られた金属化合物構造体は、既に円二色性や円偏光発光を示す材料として用いることができるが、必要に応じて、アリールカルボン酸化合物で処理されてもよい。アリールカルボン酸化合物は、第二の金属に配位可能なカルボキシル基を備えるとともに吸光度の大きな芳香環を備えるので、この処理を行うことにより、金属化合物構造体に大きな吸収を付与することができる。付与された吸収は芳香環の存在によるものだが、アリールカルボン酸には、それが配位した第二の金属によって誘起されたキラリティーが発現されるので、その芳香環の吸収には円二色性が認められるものになる。また、第二の金属が希土類元素だった場合には、アリールカルボン酸の芳香環で光吸収が起こった後、希土類元素へエネルギー移動が生じてより強い円偏光発光を生じさせることも可能になる。
この工程を行う場合、焼成工程を経て得た金属化合物構造体に対して、アリールカルボン酸化合物を作用させればよい。より具体的は、アリールカルボン酸を含む溶液中へ処理対象である金属化合物構造体を粉末のまま加え、室温で撹拌すればよい。このような溶液を調製するための溶媒としては、上記の金属化合物構造体を溶解させるものでなければ特に限定されず、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる。
アリールカルボン酸としては、芳香環とカルボキシル基とを備えた化合物であればよく、一例としては、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、フタル酸等が挙げられる。これらのアリールカルボン酸は、一種を単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
金属化合物構造体の処理に用いるアリールカルボン酸溶液におけるアリールカルボン酸の濃度としては、100mM〜1M程度を挙げることができるが、特に限定されない。このような溶液10mLに対して、金属化合物構造体を0.05g程度加えて室温で2時間程度撹拌すれば処理が完了する。
<金属化合物構造体>
上記で説明した金属化合物構造体の製造方法によって得られた金属化合物構造体も本発明の一つである。次に、本発明の金属化合物構造体の一実施形態について説明する。
本発明の金属化合物構造体は、第一の金属の酸化物であるコート層の内部に第二の金属又はその酸化物が含まれる金属化合物構造体であって、上記第二の金属又はその酸化物は、上記コート層の内部にて、上記第二の金属又はその酸化物を構成する金属元素とキラルなジカルボン酸化合物との反応物が焼成されて形成されたものであり、上記第二の金属又はその酸化物の吸収波長領域において、上記ジカルボン酸化合物のキラリティーに誘起された円二色性を示すことを特徴とする。第一の金属及び第二の金属については、既に説明したものと同様である。
既に説明したように、上記結晶生成工程で調製されるキラル超分子結晶は、ナノサイズの酸塩基型錯体の結晶であり、その形状はナノファイバー状やナノシート状となる。そして、本発明の金属化合物構造体は、このキラル超分子結晶を鋳型として調製されるので、いずれかの径が1μm以下となるナノサイズで形成されることが多い。本発明の金属化合物構造体は、鋳型となるキラル超分子結晶のキラリティーが第二の金属又はその酸化物における原子又は分子レベルでの配置として転写されており、キラリティーを示す。そのため、本発明の金属化合物構造体では、第二の金属又はその酸化物の吸収波長において、キラル超分子結晶のキラリティーに誘起された円二色性を示す。なお、キラル超分子結晶のキラリティーは、その原料であるキラルなジカルボン酸化合物のキラリティーによって誘起されたものであるので、本発明の金属化合物構造体は、第二の金属又はその酸化物の吸収波長において、キラルなジカルボン酸化合物のキラリティーに誘起された円二色性を示すということもできる。
また、コート層は、第一の金属の酸化物で構成される。このコート層は、上記本発明のキラルな金属化合物構造体の製造方法で説明したものと同様のものであり、加水分解性の金属化合物を加水分解させ、さらにこれを焼成して形成される。これも既に述べたように、加水分解性の金属化合物を加水分解して得られる化合物は、第一の金属元素(M)と酸素原子(O)とからなるポリマー[(−M−O−)]や、第一の金属元素の水酸化物等となるが、これらのポリマー[(−M−O−)]や第一の金属元素の水酸化物は、上記焼成工程を経ることによってその多くが酸化物に転換される。なお、焼成工程を経ても、一部の上記ポリマー[(−M−O−)]や第一の金属元素の水酸化物が残留する可能性もあるが、本発明ではこれらの残留物も含めて酸化物と呼ぶものとする。
上記第一の金属の酸化物としては、アルコキシシランの加水分解物を由来とした酸化珪素化合物が好ましく例示される。アルコキシシランの加水分解物を由来とすることについては、上記キラルな金属化合物構造体の製造方法の説明において述べた通りである。
さらに、第二の金属の酸化物を構成する金属元素として希土類元素を選択した場合、本発明の金属化合物構造体は、第二の金属の酸化物の吸収波長の光を照射した際に円偏光発光を示すものとなる。このことも、上記キラルな金属化合物構造体の製造方法の説明において述べた通りである。
その他の事項については、上記キラルな金属化合物構造体の説明で述べたものと同様であるので、ここでの説明を省略する。
本発明のキラルな金属化合物構造体は、遷移金属酸化物、貴金属化合物、希土類元素の酸化物等がキラリティーを示すように配置されており、構造的なキラリティーを備える。そのため、本発明のキラルな金属化合物構造体は、キラルな反応場を持つ触媒としての用途や、円偏光発光を示す材料等としての用途が期待される。円偏光発光を示す材料は、既に述べたように、三次元表示ディスプレイへの応用や、セキュリティマーカーや不可視性インキの原料として期待されるものであり、本発明のキラルな金属化合物構造体もまた、これらの用途への展開が期待される。
以下、実施例を示すことにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[直鎖状ポリエチレンイミン(LPEI)の合成]
市販のポリエチルオキサゾリン(質量平均分子量50,000、平均重合度約500、Aldrich社製)30gを5Mの塩酸水溶液(150mL)に溶解させた。その溶液をオイルバスにて90℃に加温し、その温度で10時間撹拌した。反応溶液にアセトン(500mL)を加えてポリマーを完全に沈殿させ、それを濾別し、メタノールで3回洗浄して白色のポリエチレンイミンの粉末を得た。得られた粉末をH−NMR(重水)にて分析したところ、ポリエチルオキサゾリンの側鎖のエチル基に由来した1.2ppmのピーク(CH)と2.3ppmのピーク(CH)とが完全に消失していることが確認された。したがって、得られたポリマーでは、ポリエチルオキサゾリンが完全に加水分解され、ポリエチレンイミンに変換されたことが示された。
ポリエチレンイミンの粉末を蒸留水(50mL)に溶解し、撹拌しながら、その溶液に15%アンモニア水(500mL)を滴下した。その混合液を一晩放置した後、沈殿したポリマー会合体粉末を濾過し、そのポリマー会合体粉末を冷水で3回洗浄した。洗浄後の結晶粉末をデシケータ中で室温乾燥することで、直鎖状ポリエチレンイミン(LPEI)を得た。収量は22g(結晶水含有)であった。なお、ポリマー会合体とは、ポリエチレンイミン分子同士が、その分子に含まれる2級アミノ基を介した水分子との水素結合により架橋されたものであり、高い結晶性を備える超分子錯体である。また、ポリオキサゾリンの加水分解により得られるポリエチレンイミンでは、その側鎖だけが化学反応し、その主鎖には変化がない。したがって、LPEIの重合度は加水分解前の約500と同様である。
[キラル超分子錯体の調製、及びそれに対するゾルゲル処理]
上記LPEIの1.58mgに蒸留水50mLを加え、100℃で撹拌してこれを溶解させた。また、L−(+)−酒石酸1.50mgに蒸留水50mLを加え、100℃で撹拌してこれを溶解させた。次に、上記撹拌中のLPEI水溶液に、上記L−(+)−酒石酸の水溶液を加熱された状態のままで加え、3分間100℃で撹拌した。その後、溶液を急冷させ、さらに冷蔵庫内で一晩冷却した。溶液中に生成した白色固体を遠心分離で回収し、得られた沈殿物を蒸留水で2回洗浄した。この沈殿物がキラル超分子錯体である。次に、これとは別に、プラスチックビーカーにテトラメトキシシラン3mL及び蒸留水200mLを加えて撹拌し、シリカソース溶液を調製した。このシリカソース溶液中に上記キラル超分子錯体の沈殿物を加え、室温で2時間撹拌した。その後、生成した沈殿物を遠心分離により回収し、蒸留水で2回及びアセトンで2回洗浄してから一晩乾燥させ、白色固体を得た。この白色固体は、ゾルゲル反応によりキラル超分子結晶の表面に、テトラメトキシシランの加水分解物(便宜上、これをシリカ(SiO)として扱う。以下、同様である。)からなるコート層が形成されたものである。この生成物をSiO@LPEI/Tart−Lと呼ぶ。走査電子顕微鏡(SEM)でSiO@LPEI/Tart−Lを観察したところ、これらはナノファイバー構造の集合した球状であることを確認した。
L−(+)−酒石酸に代えてD−(−)−酒石酸を用いたこと以外は上記と同様の手順にて、SiO@LPEI/Tart−Dを得た。SEMでSiO@LPEI/Tart−Dを観察したところ、これらはナノファイバー構造の集合した球状であることを確認した。上記SiO@LPEI/Tart−LとSiO@LPEI/Tart−Dとは、互いに反対のキラリティーを持ったキラル酒石酸を用いてそれぞれ調製されたものであるので、互いに反対のキラリティーを有することになる。
SiO@LPEI/Tart−L及びSiO@LPEI/Tart−Dの固体円二色性スペクトル(以下、単にCDスペクトルと呼ぶ。)を測定したところ、原料として用いた超分子錯体のキラリティーに応じて、それぞれ負のコットン効果及び正のコットン効果が観察された(図1)。
[実施例1]酸化ユーロピウムを含むキラルな金属化合物構造体の調製
酢酸ユーロピウム0.57g(1.73mmol)に蒸留水10mLを加えて溶解させ、この溶液にSiO@LPEI/Tart−Lを0.25g加えて室温で24時間撹拌した。その後、得られた沈殿物を遠心分離によって回収し、メタノールで2回及びアセトンで2回洗浄してから、常温常圧で乾燥させた。次いで、これを600℃で3時間焼成することで白色固体を得た。これは、焼成によって有機物であるLPEI及び酒石酸が分解され、ユーロピウムの酸化物とシリカとからなる複合体となったものであり、これをEu@SiO−Lと称する。また、SiO@LPEI/Tart−Lに代えてSiO@LPEI/Tart−Dを原料として用いたこと以外は上記と同様の手順にて、Eu@SiO−Dを得た。
上記の手順で得たEu@SiO−L及びEu@SiO−DをSEMでそれぞれ観察したところ、Eu@SiO−Dは、上記SiO@LPEI/Tart−L及びSiO@LPEI/Tart−Dと類似したナノファイバー構造の集合体であることが確認できたが、Eu@SiO−Lは、ナノファイバー構造であることは確認できたものの球状を維持できていないことがわかった。なお、いずれのナノファイバー構造も、径が数十nmであった。また、これらの粉末X線回折(XRD)の測定結果をJCPDSデータと比較した結果、酸化ユーロピウムに由来する回折ピークと一致することが確認された。さらに、これらのCDスペクトルを測定したところ、Eu@SiO−L及びEu@SiO−Dでは、それぞれ正のコットン効果及び負のコットン効果が観察され(図2)、興味深いことにこれは原料であるSiO@LPEI/Tart−L及びSiO@LPEI/Tart−Dとは反対符号となるコットン効果であった。このことは、SiO@LPEI/Tart−L及びSiO@LPEI/Tart−Dのキラリティーがユーロピウムの酸化物に転写され、キラル構造を維持していることを示すものと考えられる。
[実施例2]酸化イットリウムを含むキラルな金属化合物構造体の調製
酢酸イットリウム0.57g(1.69mmol)に蒸留水10mLを加えて溶解させ、この溶液にSiO@LPEI/Tart−Lを0.25g加えて室温で24時間撹拌した。その後、得られた沈殿物を遠心分離によって回収し、メタノールで2回及びアセトンで2回洗浄してから、常温常圧で乾燥させた。次いで、これを600℃で3時間焼成することで白色固体を得た。これは、焼成によって有機物であるLPEI及び酒石酸が分解され、イットリウムの酸化物とシリカとからなる複合体となったものであり、これをY@SiO−Lと称する。また、SiO@LPEI/Tart−Lに代えてSiO@LPEI/Tart−Dを原料として用いたこと以外は上記と同様の手順にて、Y@SiO−Dを得た。
上記の手順で得たY@SiO−L及びY@SiO−DをSEMでそれぞれ観察したところ、いずれも上記SiO@LPEI/Tart−L及びSiO@LPEI/Tart−Dと類似したナノファイバー構造の集合体であることが確認できたが、その形状は球状ではなくねじれを有するラグビーボール型であった。なお、いずれのナノファイバー構造も、径が数十nmであった。また、これらの粉末X線回折(XRD)の測定結果をJCPDSデータと比較した結果、酸化イットリウムに由来する回折ピークと一致することが確認された。さらに、これらのCDスペクトルを測定したところ、Y@SiO−L及びY@SiO−Dでは、それぞれ正のコットン効果及び負のコットン効果が観察され(図3)、興味深いことにこれは原料であるSiO@LPEI/Tart−L及びSiO@LPEI/Tart−Dとは反対符号となるコットン効果であった。このことは、SiO@LPEI/Tart−L及びSiO@LPEI/Tart−Dのキラリティーがイットリウムの酸化物に転写され、キラル構造を維持していることを示すものと考えられる。
参考例1]酸化亜鉛を含むキラルな金属化合物構造体の調製
酢酸亜鉛0.38g(1.73mmol)に蒸留水10mLを加えて溶解させ、この溶液にSiO@LPEI/Tart−Lを0.25g加えて室温で24時間撹拌した。その後、得られた沈殿物を遠心分離によって回収し、メタノールで2回及びアセトンで2回洗浄してから、常温常圧で乾燥させた。次いで、これを600℃で3時間焼成することで白色固体を得た。これは、焼成によって有機物であるLPEI及び酒石酸が分解され、亜鉛の酸化物とシリカとからなる複合体となったものであり、これをZnO@SiO−Lと称する。また、SiO@LPEI/Tart−Lに代えてSiO@LPEI/Tart−Dを原料として用いたこと以外は上記と同様の手順にて、ZnO@SiO−Dを得た。
上記の手順で得たZnO@SiO−L及びZnO@SiO−DをSEMでそれぞれ観察したところ、いずれも上記SiO@LPEI/Tart−L及びSiO@LPEI/Tart−Dと類似したナノファイバー構造の集合体であることが確認できた。なお、いずれのナノファイバー構造も、径が数十nmであった。また、これらの粉末X線回折(XRD)の測定結果をJCPDSデータと比較した結果、酸化亜鉛に由来する回折ピークと一致することが確認された。さらに、これらのCDスペクトルを測定したところ、ZnO@SiO−L及びZnO@SiO−Dでは、それぞれ正のコットン効果及び負のコットン効果が観察され(図4)、興味深いことにこれは原料であるSiO@LPEI/Tart−L及びSiO@LPEI/Tart−Dとは反対符号となるコットン効果であった。このことは、SiO@LPEI/Tart−L及びSiO@LPEI/Tart−Dのキラリティーが亜鉛の酸化物に転写され、キラル構造を維持していることを示すものと考えられる。
[実施例]希土類酸化物を含むキラルな金属化合物構造体の調製
酢酸イットリウム3.2g(9.5mmol)及び酢酸ユーロピウム0.16g(0.5mmol)に蒸留水50mLを加えて溶解させ、この溶液にSiO@LPEI/Tart−Lを0.25g加えて室温で1時間撹拌した。その後、この溶液に尿素0.90gを加え、85℃にて2時間撹拌した。得られた沈殿物を遠心分離によって回収し、蒸留水で2回及びアセトンで2回洗浄してから、常温常圧で乾燥させた。次いで、これを600℃で3時間焼成することで白色固体を得た。これは、焼成によって有機物であるLPEI及び酒石酸が分解され、ユーロピウムがドープされたイットリウムの酸化物とシリカとからなる複合体となったものであり、これをY:Eu@SiO−Lと称する。また、SiO@LPEI/Tart−Lに代えてSiO@LPEI/Tart−Dを原料として用いたこと以外は上記と同様の手順にて、Y:Eu@SiO−Dを得た。
上記の手順で得たY:Eu@SiO−L及びY:Eu@SiO−DをSEMでそれぞれ観察したところ、いずれも上記SiO@LPEI/Tart−L及びSiO@LPEI/Tart−Dと類似したナノファイバー構造の集合体であることが確認できた。なお、いずれのナノファイバー構造も、径が数十nmであった。また、これらの粉末X線回折(XRD)の測定結果をJCPDSデータと比較した結果、Y:Euに由来する回折ピークと一致することが確認された。さらに、これらのCDスペクトルを測定したところ、わずかなピークしか観察されなかったものの、Y:Euの吸収帯に由来する活性が現れ、D体とL体との間で鏡像関係が観察された(図5)。このことは、金属酸化物サイト(Y:Euサイト)にキラリティーが発現したことを示唆している。
また、この金属化合物構造体の固体粉末についてのUV−Vis反射スペクトル測定において259nmに吸収が見られた(図6)。これは母結晶である酸化イットリウムの吸収に由来するものと考えられる。そして、この金属化合物構造体に254nmのUVライトを照射すると、赤色の可視発光が観察された。このことから、酸化イットリウムがアンテナ部位となって吸収されたエネルギーが、ドープされたユーロピウムに伝わり、ユーロピウム特有の発光が得られたものと考えられる。この金属化合物構造体に関して、励起波長を251nmとしたときの固体粉末の蛍光スペクトルを図7に示す。
(円偏光発光特性)
上記の手順で得たY:Eu@SiO−L及びY:Eu@SiO−Dのそれぞれについて円偏光発光特性を調べた。その結果を図8に示す。図8に示すように、Y:Eu@SiO−L及びY:Eu@SiO−Dの間では、互いに反対の符号となる円偏光発光が観察された。このことから、希土類元素を含む本発明の金属化合物構造体を用いることにより円偏光発光が得られることが示された。
[実施例]安息香酸処理金属化合物構造体の調製
アセトン10mLに安息香酸0.87g(7.1mmol)を溶解させて得た溶液に、Y:Eu@SiO−Lを0.05g加え、室温で2時間撹拌した。得られた沈殿物を遠心分離により回収し、常温常圧で2時間乾燥させた後で60℃にて減圧乾燥させて白色固体を得た。これをBA/Y:Eu@SiO−Lと称する。これは、Y:Eu@SiO−Lに対して安息香酸で修飾を行ったものに相当する。得られた白色固体のIRスペクトルにて、1600cm−1にC=Oの伸縮振動に由来するピークが観察されたことから、安息香酸がY:Euに結合していると考えられた。また、Y:Eu@SiO−Lに代えてY:Eu@SiO−Dを原料として用いたこと以外は上記と同様の手順にて、BA/Y:Eu@SiO−Dを得た。
BA/Y:Eu@SiO−L及びBA/Y:Eu@SiO−DのそれぞれについてCDスペクトルを測定したところ、安息香酸の吸収領域において互いに対照的なコットン効果が観察された(図9)。これらのCDスペクトルのピークの大きさは、安息香酸を導入する前のY:Eu@SiO−L及びY:Eu@SiO−Dのそれ(図5を参照)に比べて著しく大きくなっており、アキラルな有機配位子を導入することにより、その有機配位子に誘起CDピークがもたらされることが示された。これはY:Euがキラルサイトとなって誘起されたものと推察される。
参考例2]銀ナノ粒子を含むキラルな金属化合物構造体の調製
褐色瓶に酢酸銀0.69gを加え、0.1N硝酸水溶液35mLに溶解させた。この溶液に、SiO@LPEI/Tart−Lを0.50g加え、室温で24時間撹拌した。その後、得られた沈殿を遠心分離によって回収し、蒸留水で2回及びアセトンで2回洗浄してから、減圧乾燥して茶色固体を得た。次いで、この固体を500℃で3時間加熱し、黄色固体を得た。これをAg@SiO−Lと称する。また、SiO@LPEI/Tart−Lに代えてSiO@LPEI/Tart−Dを原料として用いたこと以外は上記と同様の手順にて、Ag@SiO−Dを得た。
上記の手順で得たAg@SiO−L及びAg@SiO−DについてのXRDの測定結果から、銀の結晶に相当するピークが観察され、またその回折ピークの半値幅から計算された銀の結晶粒子サイズは29.6nmだったことから、この金属化合物構造体に含まれる銀はナノ粒子として存在していることが示された。上記の調製に用いた銀イオン(酢酸銀に由来する。)はカチオンのためSiO@PEI/Tartの酒石酸とイオン交換され、その際にLPEIが還元剤として作用してAgイオンがAg粒子に変換されたものと推測される。次に、これらのCDスペクトルを測定したところ、Ag@SiO−L及びAg@SiO−Dは、銀ナノ粒子のプラズモン吸収に相当する波長領域にて、互いに反対の符号となるコットン効果を示した(図10)。このことから、この金属化合物構造体の内部では、銀ナノ粒子がキラリティーを発現するように三次元配置されていることが示唆された。
以上に示したように、本発明の金属化合物構造体は、金属酸化物や金属ナノ粒子の立体的な配置に基づく構造的なキラリティーを備え、キラルな反応場を有する触媒や円偏光発光材料等として有用であることが理解される。

Claims (9)

  1. 直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー及びキラルなジカルボン酸化合物を反応させて酸塩基型錯体のキラル超分子結晶を得る結晶生成工程と、
    前記キラル超分子結晶に加水分解性の金属化合物を作用させるゾルゲル法により、前記キラル超分子結晶の表面に前記金属化合物の加水分解物である第一の金属の化合物を含むコート層を形成させるゾルゲル工程と、
    前記ゾルゲル工程を経たキラル超分子結晶に第二の金属の塩を作用させて、前記ポリエチレンイミン骨格及び前記ジカルボン酸化合物と前記第二の金属との間で反応物を形成させる反応物形成工程と、
    前記反応物形成工程を経たキラル超分子結晶を焼成することで、有機物であるキラル超分子結晶を分解させ、前記コート層及び前記第二の金属又はその酸化物からなる構造体を得る焼成工程と、を備え、前記第二の金属が希土類金属である円偏光発光材料の製造方法。
  2. 前記ジカルボン酸化合物が酒石酸である請求項1記載の円偏光発光材料の製造方法。
  3. 前記加水分解性の金属化合物がアルコキシシランである請求項1又は2記載の円偏光発光材料の製造方法。
  4. 前記焼成工程を経て得た構造体に対して、さらに、アリールカルボン酸化合物を作用させるアリールカルボン酸処理工程を備えた請求項1〜3のいずれか1項記載の円偏光発光材料の製造方法。
  5. 第一の金属の酸化物であるコート層の内部に第二の金属又はその酸化物が含まれる金属化合物構造体からなり、
    前記第二の金属が希土類金属であり、前記第二の金属又はその酸化物の吸収波長領域において、前記コート層のキラリティーに誘起された円二色性を示すことを特徴とした円偏光発光材料
  6. 前記第一の金属の酸化物が酸化珪素化合物である請求項記載の円偏光発光材料
  7. さらに、アリールカルボン酸化合物を含むことを特徴とする請求項5又は6記載の円偏光発光材料
  8. 前記第二の金属又はその酸化物の吸収波長の光を照射した際に円偏光発光を示すことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項記載の円偏光発光材料
  9. 前記アリールカルボン酸の吸収波長の光を照射した際に円偏光発光を示すことを特徴とする請求項7記載の円偏光発光材料。
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