JP2009173482A - 膨潤性層状複水酸化物およびその製造方法とそれを用いたゲル状物質、ゾル状物質ならびにナノシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水酸化物の層と層間に陰イオンを有する層状複水酸化物であって、下記一般式(式1)で表されることを特徴とする層状複水酸化物。(式1)QzR(OH)2(z+1)(A−)・mH2O……(1)(ここで、Qは1価金属または2価金属であり、Rは3価金属または4価金属であり、A−は脂肪族カルボン酸アニオンであり、mは0より大きい実数であり、zは1.8≦z≦4.2の数値範囲である。)
【選択図】図1
Description
(1)多くの層状化合物は、ナノシート化したときには、層は陰イオン性を示すが、LDHは、層が陽イオン性であり、このような正電荷を有したカチオン性ナノシートの事例は少なく、アニオン性ナノシートと交互積層できること(非特許文献1および特許文献1)、
(2)LDHは、いろいろな2価の金属イオンと3価の金属イオンから成り立ち、磁性や電気伝導性などで特長ある金属イオンを自由に入れることができ、物質設計の範囲が大きなこと(物質設計の自由度)(非特許文献2−4)、
(3)LDH自体、その合成が比較的簡単であること(合成の容易性)。
このようなLDHに特有の利点により、LDHを膨潤・剥離させて、カチオン性ナノシートを作製する試みがこれまで行われてきた。たとえば、LDHの層間に親油性のある長鎖アルキル基をもつアニオンを導入し有機溶媒を作用させたりしていた。しかし剥離に時間がかかったり、有機溶媒を使用することや室温ではできないなど欠点があった(非特許文献1)。
極性溶媒とは、分子内で正電荷と負電荷の偏りがあり極性を示す分子からなる比誘電率の高い溶媒で、2つに分類できる。
(1)プロトン性極性溶媒系(protic polar solvent)):水,アルコール類,カルボン酸などのように解離して容易にプロトン(H+)を放出するプロトン供与性を持つ溶媒。
(2)非プロトン性極性溶媒系:(aprotic polar solvent):DMSO(ジメチルスルホキシド),DMF(ジメチルホルムアミド),FAなど、酸素のローンペアでカウンターカチオンに配位し溶媒和することで、裸のアニオン種が生成する溶媒。
物質構造中のイオンである陽イオン(カチオン)や陰イオン(アニオン)が溶液など外部環境に存在する同種類の電荷を持つイオンと可逆的に入れ替わる事。粘土鉱物などの場合、層間のカチオンが、また、LDHの場合、層間のアニオンがイオン交換する。本発明で扱っているLDHについては、イオン交換とは、層間のアニオン(陰イオン)の交換を意味している。
下記一般式(式1)で表されることを特徴とする層状複水酸化物。
(式1)
QzR(OH)2(z+1)(A−)・mH2O……(1)
(ここで、Qは1価金属または2価金属であり、Rは3価金属または4価金属であり、A−は脂肪族カルボン酸アニオンであり、mは0より大きい実数であり、zは1.8≦z≦4.2の数値範囲である。)
(式2)
QzR(OH)2(x+1)(X−)・mH2O……(2)
(式中、zは、1.8≦z≦4.2の数値範囲を示し、Qは、2価の金属イオン。Rは、3価の金属イオン。mは0より大きい実数である。(X−):Cl−,Br−,NO3 −, ClO4 −)
(式3)
[Ln+]1/n[A−]……(3)
(ここで、Ln+はn価の陽イオンであり、nは1≦n≦3の数値範囲である。)
(式5)
[QzR(OH)2(z+1)]+……(5)
(ここで、Qは1価金属または2価金属であり、Rは3価金属または4価金属であり、zは1.8≦z≦4.2の数値範囲である。)
本発明は、このような知見に基づき、上記構成を採用することで、水に対し膨潤性を持つ高純度なLDH複合体とLDHナノシート水溶液を方法を提供するに至った。
(式1)
;QzR(OH)2(z+1)(A−)(1−y)(X−)y・mH2O …… (1)
(ここで、Qは1価金属または2価金属であり、Rは3価金属または4価金属であり、A−は脂肪族カルボン酸アニオンであり、mは0より大きい実数であり、zは1.8≦z≦4.2の範囲である。X−はA−に置換せずに残った陰イオン、yは、X−の残存分を示し、0≦y<1である。)
これは、イオン交換が最も完全に行われた場合(100%の置換率)は、y=0となるが、実験条件を緩和させることにより、部分的に陰イオン(X−)が置換されずに残留した化合物が得られるのは当然のことである。また、生成物を分離、ろ別、乾燥の操作段階で空気中・雰囲気中のCO2を取り込み、二次的に数%程度の微量の炭酸イオンが取り込まれることがある。実際、20%程度の炭酸イオン・塩素イオンが混在していても、水に対して膨潤する。また、実用上完全に0となる必要がない場合があるので、実用上、完全な置換体が要求されない時においても、当該請求の範囲外とはしない。
しかしながら、実施例3においても記載しているように、純度が低下することによってコロイド溶液の透明度など、性能が低下するため、少なくともアニオンサイトにおいて炭酸イオン・塩素イオン等の不純物アニオンは、20%以下にするのが望ましいし、本発明の合成プロセスでは、この純度を達成できる。すなわち、実用上は、yが0.2以下、より好ましくは0.1以下とする。
下記一般式(式2)で表される組成を有するLDHを出発物質とし、これを脂肪族カルボン酸陰イオン(A−)を含む下記(式3)で示す塩を溶解させた水や有機溶媒の溶液中で、X−とA−を陰イオン交換することによって合成する。
(式2)
QzR(OH)2(x+1)(X−)・mH2O……(2)
(式中、zは、1.8≦z≦4.2の数値範囲を示し、Qは、2価の金属イオン。Rは、3価の金属イオン。mは0より大きい実数である。(X−):Cl−,Br−,NO3 −, ClO4 −)
(式3)
[Ln+]1/n[A−]……(3)
(ここで、Ln+はn価の陽イオンであり、nは1≦n≦3の数値範囲である。)
下記実施例では、[Ln+]が、Na+である前記(式3)で示す塩を使用している。これは、Na塩が、最も安価で入手が容易、しかも水への溶解度が大きいことによるものである。しかし、アニオン交換においては、溶液内に存在する[Ln+]のみが肝要であり、他の陽イオンを含む塩であっても、それが水に充分溶ける(すなわち[Ln+]を溶液内に発生させる)という条件を満たすならば他の塩も使用できるのであって、これに該当する塩を列挙している。
QzR(OH)2(x+1)(X−)・mH2O……(2)
(式中、zは、1.8≦z≦4.2の数値範囲を示し、Qは、2価の金属イオン。Rは、3価の金属イオン。mは0より大きい実数である。(X−):Cl−,Br−,NO3 −, ClO4 −)
ここでzは、1.8≦z≦4.2の数値範囲と規定しているが、これは、LDHの組成範囲としてよく知られている組成範囲である(非特許文献2−4)。また、実施例では、(X−)として、Cl−を使っているが、これは、炭酸イオン型のLDHから、脱炭酸イオンによって得られるのが、Cl−型であるため(非特許文献9、10)で、脱炭酸イオン以外の方法で良質なLDHが得られるなら、アニオン交換がさらに容易であることが知られているNO3 −,Br−, ClO4 −(非特許文献3,4)を含むLDHでも全く問題ないからである。
(式1)
QzR(OH)2(z+1)(A−)(1−y)(X−)y・mH2O …… (1)
(ここで、Qは1価金属または2価金属であり、Rは3価金属または4価金属であり、A−は脂肪族カルボン酸アニオンであり、mは0より大きい実数であり、zは1.8≦z≦4.2の範囲である。X−はA−に置換せずに残った陰イオン、yは、X−の残存分を示し、0≦y<1である。)
この一般式で、zは1.8≦z≦4.2の範囲であるとしているが、これは、実施例にも記載したようにアニオン交換反応によってLDHの層の組成に変化が無いためである。また、FAによる膨潤・剥離が、このzの値にほとんど影響されないところから、本件においても同様であることは、容易に類推できるからである。
LDH3を16.1mgとり、それに、酢酸比(酢酸モル量の、酢酸および酢酸ナトリウム合計モル量に対する比率)が0.1の0.1mol/L酢酸緩衝液について、各種のNaCl濃度(0〜25重量%)に調整した酢酸緩衝液−NaCl混合溶液10mlを加え、25℃で1日、緩やかに振りながら反応させた。その後、窒素気流中、0.2ミクロンのメンブランフィルターでろ過し、脱ガス水で、沈殿物を充分に洗浄した。ろ別した沈殿物をかき集めて回収し、直ちに減圧し、真空下で1時間以上、乾燥して、白色粉末を得た。得られたLDHは、粉末X線回折から算出した底面間隔0.798nmおよびFTIRプロファイルから、Cl−LDHであることが分かり、また、その回折ピーク形より結晶性にほとんど変化無く、良質なCl−LDHが合成されていることが分かった。化学分析によるCl含有量は、LDH3では、11重量%で、Cl−LDH3のCl含有量の理論値(11.5重量%)と良い一致を示していた。SEM写真も得られたCl−LDHの結晶形状や結晶径は出発物である炭酸型LDHと同等であった。これらのことより、その結晶外形・結晶構造・結晶性が、出発原料の炭酸型LDHと同様であった。なお、炭酸型から塩素イオン型への変換(脱炭酸イオン)には、発明者が既に出願した特許文献4に記載しているような塩酸とNaClの混合溶液を使用する方法も適用が可能で、ここに記した脱炭酸イオン法は特許文献4の方法を改良したものである。
Cl−LDHを、20mg使用し、それぞれ、2.5 mol/Lのギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム水溶液(10mL)を加え、25℃で1日、イオン交換反応させて、LDHにそれぞれのカルボン酸アニオンを包接した(大量に合成する際には、この割合を保ち、試薬量を変えた)。
(ここで、、A−は脂肪族カルボン酸アニオンであり、X−はA−に置換せずに残った陰イオン、yは、X−の残存分を示し、0≦y<1である。)において、(1−y)を%で表したものである。
粉末X線回折の結果、底面間隔(窒素雰囲気)は、0.782nm(F3),0.854nm(A3),0.893nm(P3),2.12nm(B3)であった。B3は、かなり大きな底面間隔を示しているが、これは、実施例2で詳述するようにセカンドステージ相が出現しているためである。
なお、P3については、上記、2.5 mol/Lの溶液では、アニオン交換率は、64%と低かったため、6.25 mol/Lの溶液を使ったものを別途、合成した。この場合のアニオン交換率は83%で、図2,3の該当するデータおよび膨潤性の検査など実施例1でのデータにはこのP3試料を使った結果を示した。
アニオン交換率を高め、純度を向上させるため、イオン交換(2.5 mol/L溶液)を2回行った。なお、合成において、イオン交換後の洗浄はメチルアルコールで行ったが、これは、洗浄に水を使用すると生成物がゲル化してコロイド溶液が生じろ過が著しく困難になるためである。メタノールでは、酢酸ナトリウムや反応生成物の塩化ナトリウムのみを溶かして洗浄できるので、このような問題はない。
これにより、CHN分析結果から、A3では、置換率が80%から96%に、P3では、64%から88%に向上したことがわかった。また、組成について、誘導結合プラズマ発光分析装置ICP−AESSPS1700HVR(SEIKO、Japan)を用いて、Mg,Al,Na分析を行い、イオンクロマトグラフ法でCl分析を行った。これらの結果を、総合することによって、A3,P3の組成式を求めた。
式(6)
A3: Mg2.9Al(OH)7.8{(CH3COO−)0.96(Cl−)0.02(CO3 2−)0.01}・mH2O ・・・・ (6)
式(7)
P3: Mg2.9Al(OH)7.8{(CH3CH2COO−)0.88(Cl−)0.04(CO3 2−)0.04}・mH2O ・・・・(7)
ここで、mは、水の量であるが、この値は雰囲気の相対湿度によって変化する。この値は別法で求めたので、後で記述する。なお、これらの組成式は、便宜上、Alを1に、また、アニオンサイトの負電荷を(−1)になるように合わせたもので、構造式(単位格子中の基本的な組成式)は、これから簡単に求めることができる。
図7はA3の,そして、図8はP3の相対湿度によるX線回折パターンの変化を示している。測定は、X線粉末回折装置Rint1200(リガク、日本)を用い、回折条件は、CuKα線(λ=1.5405nm)、40kV/30mA、走査速度2°(2θ)/分で、測定は25℃で行った。相対湿度は、25℃で窒素ガスと水を飽和させた窒素ガスを混合する装置(SHINYEI SRG−1R−1)を用いて調整し、相対湿度の値は、湿度温度測定器(VAISALA社製 HMI41)でモニターした。
図7,8より、相対湿度を増加することにより、非水和相からセカンドステージ相を経て水和相に不連続的な底面間隔を示しながら移行する様子が観察される。また、同じ相においても、相対湿度の増加により水分含有量が増加し、底面間隔が連続的に漸増することが分かる。
A3、P3の25〜1000℃までの熱分析挙動を示す(図14、図15)(リガク社製TG8120)。測定は、空気雰囲気で行った。25〜100℃、100℃〜300℃、300℃〜500℃の3つの段階で、減量が生じた。水和相の水分など脱離しやすい層間の水分、有機成分の分解・脱離、水酸化物層のOH(構造水)の脱離などが起こり、段階的に減量が生じている。DTAより350〜400℃に発熱ピークが観察されたが、これは有機物の炭素成分の燃焼のためである。600℃でほとんどの減量が終了する。これは、構造が欠陥ペリクレース構造に変化するとされる温度と一致している。1000℃までの重量減少量は、組成式(式(6)および(7))から予想される値と良く一致していた。25〜100℃の間でかなりの減量があったが、これは層間の脱離しやすい水分(特に水和相の水分)によるもので、RH〜0%の窒素雰囲気下では保持した試料では、25〜100℃の著しい減量は観察されない。
A3について、25℃で相対湿度と重量変化を調べた(図16)。重量変化は、窒素雰囲気中での重量を基準にした。これより、室温においてもRH=95%まで変化させると、約22%近い重量の水分が入ることが分かった。これは、塩素型のLDHに比べ10倍近い変化であった。このような重量変化と熱分析の結果より、式(6)における水の量は、窒素雰囲気中(RH〜0%)でm=1.5、RH=45%でm=2.7、RH=90%でm=5.6であることがわかった。RH〜0%でも層間には、脱離しにくい水分が残っており、非水和相においても層間の分子や層とネットワークを作って、比較的、強固に結びついている水分子が存在していると考えられる。
なお、この様に雰囲気の湿度によって大量の水分子を層間から出し入れするため、A3、P3を粉末状態で外気にさらしておくと、外気の湿度変化に伴い、炭酸ガスの浸入が生じ、1週間〜1ヶ月程度で、次第に炭酸型LDHへの変質が起こることが観察された(粉末X線回折ならびにFTIRスペクトルによる)。これを防ぐためには、密閉したガラス瓶で保存する必要がある。このように保存されたものでは、2ヶ月程度の保存でも全く変質は見られなかった。
以上、膨潤性のLDHであるA3、P3を純度良く製造した。またこれらの固体状態での性質について明らかにした。
コロイド溶液の粘度測定は、粘度測定装置(CBC Material,VM−10A)を用いて行った。濃度と粘度(Static Viscosity)をプロットした図を示す(図17)。A3は、0.25mol/Lの濃度で4.5 mPa・sの粘度を示したが、これは、ほぼ人間の血液の粘度に相当する。P3もほぼ、同様であった。
コロイド溶液の透過度の濃度による変化を可視分光器で測定した。濃度と吸光度(Absorbance)をプロットした図を示す(図18)。0.1mol/Lといった高い濃度においても、吸光度は、0.3〜0.45であり、これは、透過度(Transmittance)に直すと、35〜50%になる。A3、P3以外の試料では、この1/10の濃度でもこれ以下の透過度であることから、これらのコロイド溶液の透過度の高さが良く分かる。P3の方が、吸光度が大きいがあるが、これは、P3の純度がA3に比べやや低いため、剥離しない部分が光の透過を妨げるためである。
(XRD)ガラス板上にA3を広げ、粉末状態でX線回折測定を行い、次に同試料に水を少量滴下しゲル状態になった状態で、X線回折測定を行った(図19(a)および(b))。さらに、ゲルを窒素気流中および真空中で乾燥させた後、X線回折測定を行った(図19(c))。その結果、粉末状態で明らかであった反射ピークは、ゲル状態で消失し、また、さらに乾燥させることによってそれらの反射ピークの再出現が観察され、ゲル状態においてLDHの層が剥離し、乾燥によって再度、積層されたことがわかる。P3も全く同じ挙動を示し、A3、P3共に、水によって層の剥離が起こることが証明された。
Claims (17)
- 水酸化物の層と層間に陰イオンを有する層状複水酸化物であって、下記一般式(式1)で表されることを特徴とする層状複水酸化物。
(式1)
QzR(OH)2(z+1)(A−)(1−y)(X−)y・mH2O……(1)
(ここで、Qは1価金属または2価金属であり、Rは3価金属または4価金属であり、A−は脂肪族カルボン酸アニオンであり、mは0より大きい実数であり、zは1.8≦z≦4.2の範囲である。X−はA−に置換せずに残った陰イオン、yは、X−の残存分を示し、0≦y<1である。) - 請求項1に記載の層状複水酸化物において、Qが2価金属のMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、および、Caからなる群から選択されることを特徴とする。
- 請求項1又は2に記載の層状複水酸化物において、前記Rが3価金属のAl、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、および、Laからなる群から選択されることを特徴とする。
- 請求項1に記載の層状複水酸化物において、前記Qが1価金属のLiであることを特徴とする。
- 請求項1、2,4のいずれかに記載の層状複水酸化物において、前記Rが4価金属のTiであることを特徴とする。
- 請求項1から5のいずれかに記載の層状複水酸化物において、前記A−のカルボン酸アニオン;CnH2n+1COO−(ここで、nは0より大きい整数)が、n=1のCH3COO−および、n=2のCH3CH2COO−であることを特徴とする。
- 請求項1から6のいずれかに記載の層状複水酸化物の製造方法であって、下記一般式(式2)で表される組成を有する層状複水酸化物を出発物質とし、これを脂肪族カルボン酸陰イオン(A−)を含む下記(式3)で示す塩を溶解させた水や有機溶媒の溶液中で、X−とA−を陰イオン交換することによって合成することを特徴とする。
(式2)
QzR(OH)2(x+1)(X−)・mH2O……(2)
(式中、zは、1.8≦z≦4.2の数値範囲を示し、Qは、2価の金属イオン。Rは、3価の金属イオン。mは0より大きい実数である。(X−):Cl−,Br−,NO3 −, ClO4 −)
(式3)
[Ln+]1/n[A−]……(3)
(ここで、Ln+はn価の陽イオンであり、nは1≦n≦3の数値範囲である。) - 請求項7に記載の製造法において、Qが2価金属のMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、および、Caからなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の層状複水酸化物の製造方法。
- 請求項7に記載の製造法において、前記Rが3価金属のAl、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、および、Laからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の層状複水酸化物の製造方法。
- 請求項7に記載の製造法において、前記Qが1価金属のLiであることを特徴とする請求項4に記載の層状複水酸化物の製造方法。
- 請求項7に記載の製造法において、前記Rが4価金属のTiであることを特徴とする請求項5に記載の層状複水酸化物の製造方法。
- 請求項7から11のいずれかに記載の製造法において、前記カルボン酸陰イオン(A−)を含む前記式3で示す塩で、[Ln+]が、Na+、Li+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ca2+およびAl3+からなる群から選択されることを特徴とする。
- 層状複水酸化物を膨潤させて得られるゲル状およびゾル状物質であって、請求項1から6のいずれかに記載の層状複水酸化物に、プロトン性極性溶媒を添加して膨潤させたものであることを特徴とする。
- 層状複水酸化物から得られた複水酸化物ナノシートであって、請求項1から6のいずれかに記載の層状複水酸化物にプロトン性極性溶媒を添加して得られた下記一般式(式5)で表される構造を有することを特徴とする。
(式5)
[QzR(OH)2(z+1)]+……(5)
(ここで、Qは1価金属または2価金属であり、Rは3価金属または4価金属であり、zは1.8≦z≦4.2の数値範囲である。) - 請求項14に記載の複水酸化物ナノシートにおいて、その厚さが0.6nm以上8nm以下であることを特徴とする。
- 請求項13に記載のゲル状およびゾル状物質において、そのプロトン性極性溶媒が、水、および、水と50モル%未満の他の極性溶媒の混合溶媒、からなる群から選択されることを特徴とする。
- 請求項14又は15に記載の複水酸化物ナノシートにおいて、そのプロトン性極性溶媒が、水、および、水と50モル%未満の他の極性溶媒の混合溶媒、からなる群から選択されることを特徴とする。
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