JP2012246194A - 層状複水酸化物コロイド分散液およびその製造方法 - Google Patents

層状複水酸化物コロイド分散液およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】層状複水酸化物の水酸化物層中の金属を変更することに起因する、乳酸を含有する層状複水酸化物が水中でナノプレートとなって安定的にコロイド溶液を形成する効率の低下を、層状複水酸化物に乳酸イオンとともに異種陰イオンを添加することによって解消し、コロイド溶液状態を経由して組成物または構造物を提供する。
【解決手段】層状複水酸化物に乳酸イオンとともに重炭酸イオンを添加することによって、水中で層状複水酸化物の微粒子が非凝集状態で、または層状複水酸化物が層剥離を生じた状態でナノプレートとなって分散したコロイド溶液を得る。該コロイド溶液は、他の溶液、または分散系と混合することによって、溶媒または媒質を含んだまま、または溶媒または媒質を除去した状態で組成物または構造物を得ることに使用できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規で有用な層状複水酸化物、該層状複水酸化物を水中で分散させたコロイド溶液、及びこれらの製造方法に関する。
層状複水酸化物またはハイドロタルサイト様化合物と呼ばれる化合物は、以下の一般式で表される。
[M2+ 1-xM3+ x(OH)2][An- x/n・mH2O]
ここで、M2+は2価金属、M3+は3価金属、An-は層間陰イオンで、mは適当な正の有理数、nは正整数、xは0を超え1未満の有理数(通常0.2〜0.33程度)である。金属水酸化物層は全体として正に荷電しており、層間の陰イオンによって電荷が補償されている。上記一般式での層状複水酸化物に加え、3価金属の一部を4価金属に置き換えた派生物や金属水酸化物層中の金属が1価金属と3価金属の組み合わせである[Li1/3Al2/3(OH)2][An- 1/(3×n)・mH2O]などの派生的化合物も合成されている。
層状複水酸化物の層間を有機溶媒や水などの媒質中で無限に広げること(層剥離)によって、薄層となった層状複水酸化物(ナノシート)を媒質中に分散した形態で作製する方法が、現在までに幾つか報告されてきている。層剥離においては、層間陰イオンと媒質の組み合わせが重要な要素となっている。
ホルムアミドを媒質とした例では、層間陰イオンがアミノ酸であるものをはじめとして、その他の単純な無機陰イオンも含めて多くの陰イオンを層間陰イオンとしても、層状複水酸化物ナノシートが得られている(特許文献1−5、非特許文献1−4)。
アルコールを媒質とした例も層間陰イオンが有機陰イオンである系で報告されている(特許文献6−8、非特許文献5)。
さらに、水を媒質とした例では、層間陰イオンを乳酸などモノカルボン酸にした検討を中心として層状複水酸化物ナノシートが得られている(特許文献9−12、非特許文献6−7)。
剥離によらなくとも、層状複水酸化物の微粒子を非凝集状態で水中に分散させる方法(解膠)によって、ナノスケールの板状粒子が得られている(非特許文献8−9)。
層剥離または解膠、またはその両者の中間的とみられる状態において得られる層状複水酸化物のナノシートまたは板状微粒子は、若干の厚みの幅はあるにせよ、典型的には厚みが数ナノメーター以下であるナノプレートといえるものであり、ナノコンポジットや高配向性を目指した積層などの用途において、必要不可欠な基本構成物であり、その応用的価値は高い。例えば、樹脂組成物、塗料組成物、皮膜、Layer-by-Layer(LbL)膜、中空小球体などに利用され、新規な高性能材料創製が行われてきている(特許文献9、13−19、非特許文献10−12)。
特開2003-221226 特開2003-226681 特開2005-89269 特開2005-239980 特開2007-31189 特開2004-189671 特開2005-272323 特開2008-214128 特開2006-52114 特開2008-184343 特開2008-214127 特開2009-173482 特開2006-274385 特開2007-39549 特開2008-1806 特開2009-44009 特開2009-185340 特開2010-80430 特開2010-140887
Hibino, T. and Jones, W. (2001) J. Mater.Chem., 11, 1321-1323. Hibino, T. (2004) Chem. Mater., 16, 5482-5488. Li, L., Ma, R., Ebina, Y., Iyi, N. and Sasaki,T. (2005) Chem. Mater., 17, 4386-4391. Wu, Q., Olafsen, A., Vistad, O. B., Roots, J.and Norby, P. (2005) J. Mater. Chem., 15,4695-4700. Adachi-Pagano, M., Forano, C. and Besse, J.-P. (2000) Chem. Commun, 91-92. Hibino, T. and Kobayashi, M. (2005) J.Mater. Chem., 15, 653-656. Iyi, N., Ebina, Y., Sasaki, T. (2008) Langmuir, 24, 5591-5598. Xu, Z. P., Stevenson, G., Lu, C.-Q., Lu, G. Q. (2006) J. Phys. Chem. B, 110, 16923-16929. Xu, Z. P., Stevenson, G. S., Lu, C.-Q., Lu, G. Q., Bartlett, P. F., Gray, P. P. (2006) J.Am. Chem. Soc., 128, 36-37. Ma, R., Liu, Z., Li, L., Iyi, N., Sasaki, T. (2006) J. Mater. Chem., 16, 3809-3813. Li, L., Ma, R., Iyi, N., Ebina, Y., Takada, K., Sasaki, T. (2006) Chem. Commun. 3125-3127. Gunawan, P. and Xu, R. (2009) Chem. Mater. 21, 781-783.
媒質と層間陰イオンの組み合わせによる層剥離を利用した方法や層状複水酸化物の微粒子を非凝集状態で媒質中に分散させる方法においては、層状複水酸化物のナノプレートは、コロイド溶液中に分散した形態で得られる。該コロイド溶液の媒質を水とした場合、環境に優しいため取り扱いが容易となり、利用しやすいという利点がある。
本発明者はすでに、層間陰イオンを乳酸イオンとした層状複水酸化物(乳酸型層状複水酸化物)の場合において、層状複水酸化物のナノプレートが水に分散したコロイド溶液を得る方法を発明していた(特許文献9)が、層状複水酸化物の一般式における金属水酸化物層中の金属の組み合わせをMg-AlからZn-Alに変更すると、コロイド溶液になるまでの時間が後者は非常に多くかかる、またはある固形分濃度では半透明若しくはほぼ透明といえる低い濁度を持った分散系にならないなど、コロイド溶液を得る効率が悪くなる難点があることが分った。共沈法における類似した合成法での場合を比較すると、Zn-Al系乳酸型層状複水酸化物は、X線回折分析においてMg-Al系乳酸型層状複水酸化物と比較して底面反射のピークが鋭く、見かけ上のピークトップの位置から算出される底面間隔はMg-Al系に比べて大きくなる傾向がみられた。X線回折分析の結果から、層状複水酸化物層間への乳酸イオンの取り込まれ方に、Zn-Al系とMg-Al系では差異があることが示唆された。
層状複水酸化物の水酸化物層中の金属を変更することは、層状複水酸化物の溶解度を変化させることを意味する。例えば、Mg-Al系からZn-Al系に金属を変更すると、水中でより溶けにくい、より低いpHでも安定な層状複水酸化物とすることが期待できる。この点において、構成金属の変更は、層状複水酸化物を用いた材料設計において重要である。
以上、乳酸イオンを含有させることによって層状複水酸化物ナノプレートが水に分散したコロイド溶液を得ることは可能であったが、層状複水酸化物を用いた材料設計において重要である、層状複水酸化物の水酸化物層中の金属の変更を行うと、これに起因するコロイド溶液作製効率低下の問題が生じていた。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、乳酸イオンと同時に重炭酸イオンを層状複水酸化物に含有させることによって、コロイド溶液作製効率の低下の問題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)金属水酸化物からなる層が積み重なり、その金属水酸化物層の層間に陰イオン及び水分子を有する構造を持つ層状複水酸化物において、層間イオンとして、乳酸イオンと重炭酸イオンを含有し、重炭酸イオンが金属水酸化物層の正電荷を補償する量の0.1倍以上であることを特徴とする層状複水酸化物。
(2)金属水酸化物層中の2価の金属としてZnを含み、3価の金属としてAlを含むことを特徴とする請求項1に記載の層状複水酸化物。
(3)上記(1)に記載の層状複水酸化物を水中に分散させてなることを特徴とする、コロイド溶液。
(4)上記(1)に記載の層状複水酸化物を水中に分散することにより形成されたコロイド溶液を、水または水と有機溶媒の混合溶媒に溶解した状態で存在する溶質または分散させた分散質と均一な分散系として混合し、溶媒、媒質含有のまま、または溶媒、媒質を除去することにより得られたものであることを特徴とする組成物または構造物。
(5)金属イオン源及び層間陰イオン源を含む、ただし幾つかの成分毎に分けて作製も可能であるところの水溶液と沈殿剤となる塩基性水溶液を混合して、層状複水酸化物を合成させるときに、乳酸イオンと重炭酸イオンが混合した反応液中に存在することを特徴とする、層状複水酸化物の製造方法。
(6)上記(1)に記載の層状複水酸化物を水中に分散させることを特徴とする、層状複水酸化物が微粒子化または薄片化された粒子を含有するコロイド溶液の製造方法。
(7)上記(3)に記載のコロイド溶液を、水または水と有機溶媒の混合溶媒に溶解した状態で存在する溶質または分散させた分散質と均一な分散系として混合し、溶媒、媒質含有のまま、または溶媒、媒質を除去することを特徴とする、組成物または構造物の製造方法。
本発明における層状複水酸化物ナノプレートのコロイド溶液は、水または水と有機溶媒の混合溶媒に溶解した状態で存在する溶質または分散させた分散質と均一な分散系として混合することによって、溶媒、媒質含有のまま、または溶媒、媒質を除去することにより、組成物または構造物を得るのに用いることができる。これにより様々なナノコンポジットまたは、制御された形態の構造物を合成することができる。
層状複水酸化物の組成は、以下の一般式で表される。
[M2+ 1-xM3+ x(OH)2][An- x/n・mH2O]
ここで、M2+は2価金属、M3+は3価金属、An-は層間陰イオンで、mは適当な正の有理数、nは正整数、xは0を超え1未満の有理数(通常0.2〜0.33程度)である。金属水酸化物層は全体として正に荷電しており、層間の陰イオンによって電荷が補償されている。上記一般式での層状複水酸化物に加え、3価金属の一部を4価金属に置き換えた派生物や金属水酸化物層中の金属が1価金属と3価金属の組み合わせである[Li1/3Al2/3(OH)2][An- 1/(3×n)・mH2O]などの派生的化合物も存在する。
層状複水酸化物では、1つの金属イオンを6つのOH-が取り囲んで八面体を成し、これらの八面体が稜を共有して金属水酸化物層を形成している。層状複水酸化物は、この金属水酸化物層が積み重なった構造を持っているが、金属水酸化物層は正に荷電しているため、金属水酸化物層と金属水酸化物シートの間(層間)に電荷を補償する陰イオンが存在し、さらにこの層間には水分子も存在している。
上記2価の金属イオンとしては、Mg2+、Zn2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Mn2+、Fe2+等が、同3価イオンとしては、Al3+、Fe3+、Cr3+、Co3+等が、同4価イオンとしては、Zr4+、Sn4+、Ti4+等が挙げられる。2価と3価の金属の具体的組み合わせとしては、重炭酸イオンが有意に存在しうる条件下でそれらの金属水酸化物を含む層状複水酸化物を共沈殿により合成できるものであればよい。2価と3価の金属の好適な組み合わせとしては、ZnとAlとの組み合わせが挙げられる。
金属水酸化物層中の金属としては2価と3価の金属の組み合わせが基本的なものだが、上記したように、1価や4価の金属が入ったもの、さらには、多種の金属が入った組み合わせも挙げられる。
層間陰イオンも、様々な陰イオンが入る。異なる陰イオンが同時に含有されうるが、異なる層間に入る場合もあれば、同じ層間に共存する場合もある。本発明では、合成時に乳酸イオンと重炭酸イオンを加えているが、意図せずに混入する陰イオン、例えば、空気中の二酸化炭素由来の炭酸イオンや、合成に必要な水酸化物イオンなどの含有の可能性を排除するものではない。
加える重炭酸イオンの量は、加える金属イオン種の比と量から、上記の一般式によって計算される金属水酸化物層の正電荷を補償する量の2倍未満、さらには0.5倍以下が好ましい。また、下限については加える重炭酸イオンの量は、加える金属イオン種の比と量から、上記の一般式によって計算される金属水酸化物層の正電荷を補償する量の0.1倍以上が望ましい。乳酸イオンの量は特に限定はしないが、本発明では、乳酸イオン、重炭酸イオン及び合成のpH調整で必要な水酸化物イオン以外が系内に含まれないようにするため、金属の乳酸塩を用いることが好ましく、この場合は、使用する金属イオンの量によって乳酸イオンの量が決まってくる。乳酸イオンの量は該乳酸金属塩に含まれたもので十分であるが、乳酸を添加するなどしてさらに乳酸イオンを加えてもよい。
層状複水酸化物の合成は、金属イオン源及び層間陰イオン源を含む、ただし幾つかの成分毎に分けて作製も可能であるところの水溶液と沈殿剤となる塩基性水溶液を混合して、層状複水酸化物を合成させるときに、乳酸イオンと重炭酸イオンが混合した反応液中に存在する条件により行うが、具体的には、乳酸金属塩、重炭酸塩のそれぞれの溶液と、pHをアルカリ性に調整するための塩基性溶液を混ぜ合わせて行うのが最も容易である。出発原料を酸化物にする、塩基性溶液として、尿素溶液の加熱によって生じるものを使うなどの方法も可能である。乳酸金属塩溶液、重炭酸塩溶液および塩基性溶液の混ぜ方は、特に限定されないが、前2者を混ぜ合わせた後、塩基性溶液を徐々に加えて所定のpHに調整するのが、本発明では好ましい。
pHの値は、重炭酸を加え、混合溶液中に重炭酸イオンが存在しうるためには、炭酸の2段目のpKaより低いpHの値が望ましい。さらに好ましくはpH=8以下がよい。しかし、pHが低すぎる場合には層状複水酸化物が生成しない。加えた成分及びそれらの濃度により層状複水酸化物が生成するpHは異なってくるが、pH6より低いpHにしないことが好ましい。
上述のようにして、原料溶液を混ぜ合わせると、層状複水酸化物が沈殿してくる。得られた沈殿は、余分な塩を除去するため、水洗する。水洗の方法としては、例えば、沈殿物を遠心分離によって固液分離して、上澄みを捨て、新たに水に加えて再分散させた後、再び、遠心分離による固液分離、上澄みの廃棄、洗浄水に再分散という工程を繰り返すことなどによって行うことが可能である。使用する洗浄水の量は、なるべく少なくして行うと、上澄みの廃棄に伴って流失してしまう層状複水酸化物の量が少なくできる。逆に、大量の水を用いて洗浄を行うと、特にコロイド溶液になりやすい系では、層状複水酸化物の損失が著しくなる。
洗浄した層状複水酸化物を水に分散させ、そのまま静置することによって、次第に層状複水酸化物が微粒子となって分散し、半透明あるいはほぼ透明なコロイド溶液に変化していく。
洗浄後の層状複水酸化物は、分散性の点で乾燥させないことが好ましい。ここで、分散質である微粒子は層状複水酸化物が単層に剥離した厚みに相当するものから、数層に相当する厚みのものなど様々であるが、原子間力顕微鏡では、高々数ナノメートル以下の厚みを持ったナノプレートが観察されるものである。
得られたコロイド溶液は、水または水と有機溶媒の混合溶媒に溶解した状態で存在する溶質または分散させた分散質と均一な分散系として混合し、溶媒、媒質含有のまま、または溶媒、媒質を除去することにより得られたものであることを特徴とする組成物または構造物を得るのに用いることができる。
該コロイド溶液と混ぜ合わせる溶液は、例えば、高分子樹脂を水または水と有機溶媒の混合溶媒に溶かしたものが挙げられ、この場合、溶媒を除去すれば樹脂組成物が得られる。高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等のような水溶性ポリマーや、水と有機溶媒の混合溶媒に溶解する変性ポリマーが挙げられる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、それらの混合物等が挙げられる。
また、温度変化によってゲル化する高分子の溶液と混ぜ合わせれば、ゲル化後はゲル組成物が得られる。そのほか、Liらの報告(非特許文献11)のように、微小な樹脂ビーズ表面を層状複水酸化物ナノプレートとアニオンポリマーの交互積層で被覆して構造体を作る、さらには樹脂ビーズを焼成によって取り除いて中空の構造体を作製することも可能である。該コロイド溶液はそのままキャストして乾かしてフィルムとして成形することも可能であるし、LbL膜の製造に用いることも可能である。すなわち、該コロイド溶液は液状物として混合または塗布できるものであれば、基本的に複合や材料作製することに適している。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は特にこれにより限定されるものではない。
〔実施例1〕水溶液中でのZn:Alがモル比で3:1となるように、乳酸亜鉛3水和物1.1160gと乳酸アルミニウム0.3677gを水に溶かし、100mLに調整した(溶液1-1)。これとは別に溶液1-1中のAlに対し、モル比で[HCO3]/[Al]=0.5となるように炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)0.0525gを水に溶かし100mLに調整した(溶液1-2)。溶液1-1と溶液1-2を混ぜ、この混合溶液に2N NaOHを少しずつ滴下してpH=8になるまで加えた。一晩おいた後、遠心分離して上澄みを捨てた後のペースト状生成物を、一回につき10mLの水を使い、水への再分散、遠心分離、上澄みの廃棄のサイクルを5回繰り返して洗浄した。洗浄した生成物は、未乾燥のまま水に分散させ、一度、既知少量の分散液を乾かして固形分をはかり、この固形分から必要な水の量を計算し、最終的に固形分が10g/Lとなるように水を加えて調整した。これとは別に、分析のため、洗浄後すぐに50℃−18hで乾燥させた試料をX線回折分析にかけたところ、確認された結晶相は層状複水酸化物のみであった。未乾燥のまま10g/Lで水に分散させて作製した懸濁液は、24h後にはすでにほぼ透明なコロイド溶液となっており、沈殿はみられなかった。また、このときの濁度は約75NTUであった。
〔実施例2〕水溶液中でのZn:Alがモル比で3:1となるように、乳酸亜鉛3水和物1.1160gと乳酸アルミニウム0.3677gを水に溶かし、100mLに調整した(溶液2-1)。これとは別に溶液2-1中のAlに対し、モル比で[HCO3]/[Al]=0.1となるように炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)0.0105gを水に溶かし100mLに調整した(溶液2-2)。溶液2-1と溶液2-2を混ぜ、この混合溶液に2N NaOHを少しずつ滴下してpH=8になるまで加えた。一晩おいた後、遠心分離して上澄みを捨てた後のペースト状生成物を、一回につき10mLの水を使い、水への再分散、遠心分離、上澄みの廃棄のサイクルを5回繰り返して洗浄した。洗浄した生成物は、未乾燥のまま水に分散させ、一度、既知少量の分散液を乾かして固形分をはかり、この固形分から必要な水の量を計算し、最終的に固形分が10g/Lとなるように水を加えて調整した。これとは別に、分析のため、洗浄後すぐに50℃−18hで乾燥させた試料をX線回折分析にかけたところ、確認された結晶相は層状複水酸化物のみであった。未乾燥のまま10g/Lで水に分散させて作製した懸濁液は、濁度の低下は〔実施例1〕より緩やかに進行したが、例えば96h後では約150NTUで、すでに半透明なコロイド溶液であり、沈殿もみられなかった。
〔比較例1〕水溶液中でのZn:Alがモル比で3:1となるように、乳酸亜鉛3水和物1.1160gと乳酸アルミニウム0.3677gを水に溶かし、100mLに調整した(溶液H1-1)。これとは別に、水100mLを用意した。溶液H1-1と水100mLを混ぜ、この混合溶液に2N NaOHを少しずつ滴下してpH=8になるまで加えた。一晩おいた後、遠心分離して上澄みを捨てた後のペースト状生成物を、一回につき10mLの水を使い、水への再分散、遠心分離、上澄みの廃棄のサイクルを5回繰り返して洗浄した。洗浄した生成物は、未乾燥のまま水に分散させ、一度、既知少量の分散液を乾かして固形分をはかり、この固形分から必要な水の量を計算し、最終的に固形分が10g/Lとなるように水を加えて調整した。これとは別に、分析のため、洗浄後すぐに50℃−18hで乾燥させた試料をX線回折分析にかけたところ、確認された結晶相は層状複水酸化物のみであった。未乾燥のまま10g/Lで水に分散させて作製した懸濁液は、24h後もまだ不透明で、濁度は約700NTUであった。濁度は時間の経過とともに少しずつ減少する傾向にあったが、96h後も400NTU以上と高い濁度であった。

Claims (7)

  1. 金属水酸化物からなる層が積み重なり、その金属水酸化物層の層間に陰イオン及び水分子を有する構造を持つ層状複水酸化物において、層間イオンとして、乳酸イオンと重炭酸イオンを含有し、重炭酸イオンが金属水酸化物層の正電荷を補償する量の0.1倍以上であることを特徴とする層状複水酸化物。
  2. 金属水酸化物層中の2価の金属としてZnを含み、3価の金属としてAlを含むことを特徴とする請求項1に記載の層状複水酸化物。
  3. 請求項1に記載の層状複水酸化物を水中に分散させてなることを特徴とする、コロイド溶液。
  4. 請求項1に記載の層状複水酸化物を水中に分散することにより形成されたコロイド溶液を、水または水と有機溶媒の混合溶媒に溶解した状態で存在する溶質または分散させた分散質と均一な分散系として混合し、溶媒、媒質含有のまま、または溶媒、媒質を除去することにより得られたものであることを特徴とする組成物または構造物。
  5. 金属イオン源及び層間陰イオン源を含む、ただし幾つかの成分毎に分けて作製も可能であるところの水溶液と沈殿剤となる塩基性水溶液を混合して、層状複水酸化物を合成させるときに、乳酸イオンと重炭酸イオンが混合した反応液中に存在することを特徴とする、層状複水酸化物の製造方法。
  6. 請求項1に記載の層状複水酸化物を水中に分散させることを特徴とする、層状複水酸化物が微粒子化または薄片化された粒子を含有するコロイド溶液の製造方法。
  7. 請求項3に記載のコロイド溶液を、水または水と有機溶媒の混合溶媒に溶解した状態で存在する溶質または分散させた分散質と均一な分散系として混合し、溶媒、媒質含有のまま、または溶媒、媒質を除去することを特徴とする、組成物または構造物の製造方法。

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