JP2023106421A - 層状複水酸化物結晶およびアニオン吸着剤 - Google Patents

層状複水酸化物結晶およびアニオン吸着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも高いイオン交換能を実現する層状複水酸化物結晶を提供する。【解決手段】複数の板状結晶が、下記式(1)で表され、ホスト層とゲスト層が交互に積層した構造からなる層状複水酸化物であり、複数の前記板状結晶が積層された積層構造を有する結晶粒の複数で構成され、複数の前記結晶粒の幅方向の粒径が、0.1μm~20.0μmの範囲で揃っている、層状複水酸化物結晶。[Ni2+1-xCo3+x(OH)2]・[(CO32-)X/2] …(1)(ここで、0.2<x≦0.33)【選択図】図1

Description

本発明は、層状複水酸化物結晶およびアニオン吸着剤に関し、特に、水中あるいは地中の有害アニオンを除去するための層状複水酸化物結晶に関する。
本願は、2018年8月24日に、日本に出願された特願2018-157573号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
層状複水酸化物(Layered Double Hydroxides:LDHs)は、アニオン交換性の無機イオン交換体であり、金属酸化物(ホスト層)と、アニオン種や水分子(ゲスト層)とが交互に積層した構造からなる層状無機化合物である。ゲスト層のアニオン種は,層状構造を維持したまま,溶液中のアニオン種と交換できるため、層間(二次元空間)を利用した高選択的イオン交換性を示すことが分かっている。
従来、LDHsの選択的イオン交換性は多く議論されており、例えば、水溶液から硝酸イオン、リンおよびヒ素を同時かつ選択的に吸着できる吸着剤として、Mg-Al系ハイドロタルサイトを有する吸着剤が考案されている(特許文献1参照)。
特開2009-178682号公報
現在、世界で11億人余りの人々が安全な飲料水を取得するのが困難な状況であり、また、近年大規模な天災地変が増加傾向にあることから、災害発生の際の緊急時における安全な水の確保が急務であるところ、未だ具体的な解決策が見出されていない。このような社会的問題が生じる背景としては、工業排水によって様々な国や地域で土壌の汚染が進行したり、あるいは、農業肥料の散布によってその農業肥料が地下水に混入してしまうといった実情がある。特に、工業排水や農業肥料から生じる硝酸イオンなどの有害アニオン種は、人体に蓄積して大きな影響を与えることから、有害アニオン種を十分に除去可能な層状複水酸化物が求められている。
しかしながら、上記のようなLDHs結晶の一般的な合成手法である沈殿法では、合成温度が室温~80℃程度と比較的低温であり、結晶が十分に成長できず、nmサイズの結晶粒子が多数形成される。このため、水中や湿潤雰囲気中では結晶粒子同士が凝集し易く、その結果LDHsのイオン交換容量が低下し、十分なイオン交換能が得られないという問題がある。
本発明の目的は、従来よりも高いイオン交換能を実現する層状複水酸化物結晶およびアニオン吸着剤を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究の結果、層状複水酸化物を製造する際、Na源となるNa源物質を、前駆体結晶の化学量論比よりも多く含有する原料を高温加熱すると、従来とは異なる平板状の積層構造を有する前駆体結晶を形成できることを見出した。また、得られた前駆体結晶に加水分解処理および還元処理を施すと、前駆体結晶の平板状の積層構造が維持され、その結果、平板状の積層構造を有する層状複水酸化物結晶を高い分散性で得ることができることを見出した。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
[請求項1]
複数の板状結晶が、下記式(1)で表され、ホスト層とゲスト層が交互に積層した構造からなる層状複水酸化物であり、
複数の前記板状結晶が積層された積層構造を有する結晶粒の複数で構成され、
複数の前記結晶粒の幅方向の粒径が、0.1μm~20.0μmの範囲で揃っている、層状複水酸化物結晶。[Ni2+ 1-xCo3+ (OH)]・[(CO 2-X/2] …(1)
(ここで、0.2<x≦0.33)
[請求項2]
複数の板状結晶が、下記式(2)で表され、ホスト層とゲスト層が交互に積層した構造からなる層状複水酸化物であり、
複数の前記板状結晶が積層された積層構造を有する結晶粒の複数で構成され、
複数の前記結晶粒の幅方向の粒径が、0.1μm~20.0μmの範囲で揃っている、層状複水酸化物結晶。[Ni2+ 1-xCo3+ (OH)]・[(Cl] …(2)
(ここで、0.2<x≦0.33)
[請求項3]
隣接する板状結晶の間に層状空間が形成されており、
前記複数の板状結晶と複数の前記層状空間とが交互に配されている、上記[1]又は[2]に記載の層状複水酸化物結晶。
[請求項4]
上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の層状複水酸化物結晶を含む、アニオン吸着剤。
[請求項5]
硝酸イオンおよびヒ化物イオンから選択される1又は2種以上のアニオンを吸着する、上記[4]に記載のアニオン吸着剤。
本発明によれば、従来よりも高いイオン交換能を有する層状複水酸化物結晶を提供することができる。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る層状複水酸化物結晶の構成を示す模式図であり、図1(b)は層状複水酸化物結晶を構成する一の結晶粒の構成を示す電子顕微鏡画像である。 図2(a)~(d)は、本実施形態に係る層状複水酸化物結晶の製造方法を説明する模式図である。 実施例で得られた前駆体結晶、酸化的加水分解処理後の結晶および還元処理後の結晶を、粉末X線回折(XRD)法で回折強度を測定した結果を示すグラフである。 図4(a)は、実施例で得られた層状複水酸化物結晶のFE-SEM画像であり、図4(b)はその拡大画像である。 図5(a)は、比較例1として固相法で得られた層状複水酸化物結晶のFE-SEM画像であり、図5(b)はその拡大画像である。 図6(a)は、比較例2として均一沈殿法で得られた複水酸化物結晶の電子顕微鏡画像であり、図6(b)はその拡大画像である。 図7は、実施例および比較例1~2で得られた複水酸化物結晶について、硝酸イオンのイオン交換容量(K)を測定した結果を示すグラフである。 図8は、実施例および比較例1~2で得られた複水酸化物結晶について、平衡濃度(C)と硝酸イオンの吸着量(q)との関係を示すグラフである。 図9(a)は、実施例1で得られた層状複水酸化物結晶における板状結晶の面内方向に断面線分析を行った結果を示す図であり、図9(b)は、比較例1で板状結晶の面内方向に断面線分析を行った結果を示す図である。 図10(a)は、実施例1で得られた層状複水酸化物結晶における板状結晶の積層方向に断面線分析を行った結果を示す図であり、図10(b)は、比較例1で板状結晶の積層方向に断面線分析を行った結果を示す図である。 図11は、実施例2で得られた層状複水酸化物結晶について、フッ化物イオン及びヒ化物イオンの除去率を求めた結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[層状複水酸化物結晶の構成]
図1(a)は、本実施形態に係る層状複水酸化物結晶の構成を示す模式図であり、図1(b)は層状複水酸化物結晶を構成する一の結晶粒の構成を示す電子顕微鏡画像である。
層状複水酸化物結晶1(以下、LDHs結晶ともいう)は、下記式(1)で表され、また、図1(a)および図1(b)に示すように、複数の板状結晶11,11,…が積層された積層構造を有する結晶粒10の複数で構成され、かつ、複数の結晶粒10,10,…の粒径が、マイクロスケールで揃っている。
[Ni2+ 1-xCo3+ (OH)]・[(CO 2-X/2] …(1)
(ここで、0.2<x≦0.33)
層状複水酸化物結晶1は、無水物であってもよいし、あるいは、少量の水(HO)を含んでいる水和物であってもよい。
隣接する板状結晶11,11の間には層状空間12が形成されており、複数の板状結晶11,11,…と複数の層状空間12,12,…とが交互に配されている。
結晶粒10を拡大して観察すると、板状結晶11は、薄板状結晶あるいはシート状結晶とも称することができる。板状結晶11は、サブミクロンオーダーの厚みを有しており、層状空間12も、サブミクロンオーダーの間隔を有している(図1(b))。これら複数の板状結晶11,11,…が数~数十層で積層されてなる積層構造によって結晶粒10が構成されている。板状結晶11の幅方向の粒径あるいは円相当径は、0.1μm~20.0μmであり、好ましくは1.0μm~5.0μmである。
結晶粒10は、アニオン交換性の無機イオン交換体であり、ホスト層(金属水酸化物)とゲスト層(アニオン種や水分子)が交互に積層した構造からなる層状無機化合物とも称することができる。ゲスト層のアニオン種は、層状構造を維持したまま、溶液中のアニオン種と交換できるため、層間(二次元空間ともいう)を利用した高選択的なイオン交換性を示す。
上記(1)式のうち、Ni2+は全部置換に限らず、一部置換であってもよい。また、Co3+も同様、全部置換に限らず、一部置換であってもよい。
また、本実施形態のLDHs結晶は、下記式(2)で表され、複数の板状結晶が積層された積層構造を有する結晶粒の複数で構成され、かつ、複数の結晶粒の粒径が、マイクロスケールで揃っている結晶であってもよい。このLDHs結晶は、上記式(1)で表される結晶のうちの炭酸イオン(CO 2-)が塩化物イオン(Cl)に置き換わっていること以外は、上記式(1)で表される結晶と同じである。
[Ni2+ 1-xCo3+ (OH)]・[(Cl] …(2)
(ここで、0.2<x≦0.33)
[層状複水酸化物結晶の製造方法]
次に、層状複水酸化物結晶1の製造方法を説明する。
図2(a)~(d)は、本実施形態に係る層状複水酸化物結晶の製造方法を説明する模式図である。
先ず、後述する前駆体結晶の化学量論比に基づいて混合されたNi源物質、Co源物質およびNa源物質の混合物に、更にNa源物質を加えて調整された原料を準備する。
Ni源物質としては、例えば、NiO、Ni(OH)、Ni(NO)、Ni(NO)・6HO、NiCO、NiSO、NiSO・6HO、NiClNiCl・6HO、(HCOO)Ni、(HCOO)Ni・2HO、CNi、CNi・2HO、(CHCOO)Ni、(CHCOO)Ni・4HO、Ni(CHCOCHCOCH)、Ni(CHCOCHCOCH)・xHO、NiCO、NiCO・xHO、(NHNi(SO)、(NHNi(SO)・6HO、Niを挙げることができる。
Co源物質としては、例えば、Co、Co(OH)、CoCl、CoCl・6HO、Co(NO、Co(NO・6HO、CoSO、CoSO・7HO、x2CoCO・Co(OH)、CoCO、CoCO・xHO、CCo、CCo・2HO、CCo、Co(NH(SO、Co(NH(SO・6HO、Co(CHCOCHCOCH、Co(SCN)、Co(SCN)/xHO、(CHCOO)Co、(CHCOO)Co・4HO、C1014CoO、C1014CoO・xHO、[Co(NH]Cl、Coを挙げることができる。
Na源物質としては、例えば、NaNO、NaCO、NaSO、NaSO・10HO、NaSO、NaCl、CHCOONa、CHCOONa、CHCOONa・3HO、CNa、CNa、CNa・2HO、NaHCOを挙げることができる。上記原料中のNa源物質の含有量は、前駆体結晶の化学量論比に基づく含有量よりも過剰であるのが好ましく、化学量論比に対して、1.1倍以上10倍以下であるのがより好ましく、1.5倍以上5.0倍以下であるのが更に好ましい。
次に、前記原料を600~1000℃、1時間以上で加熱して、NaNi1-xCo結晶(0.2<x≦0.33)で構成される前駆体結晶を生成する(図2(a))。このように高温溶融塩を用いて結晶育成する方法はフラックス法とも称することができ、本実施形態ではフラックス法により前駆体結晶を生成する。
本実施形態のフラックス法では、Ni源物質を化学量論比よりも多く加えた原料、好ましくはNi源物質を上記化学量論比よりも過剰に加えた原料を、高温加熱することによって前駆体結晶を生成する。これにより、自形の発達した高結晶性粒子をマイクロオーダーで育成することができ、複数の板状結晶が積層された積層構造を有する前駆体結晶を得ることができる。
この加熱処理工程では、具体的には、上記原料を昇温、保持および冷却して、上記前駆体結晶を生成することができる。本加熱処理工程における昇温条件および冷却条件は、特に制限されないが、例えば昇温速度45℃/h~1600℃/h、保持温度700~1000℃、保持時間0.1~20時間、冷却速度0.1~60000℃/h、停止温度500℃以下、放冷温度は、例えば室温である。
その後、NaNi1-xCo結晶で構成される前駆体結晶を加水分解する(図2(b))。加水分解処理の方法は、特に制限はないが、例えば、アルカリを用いて上記前駆体結晶を酸化的加水分解することができる。本加水分解処理工程により、前駆体結晶における複数の板状結晶の形状が維持された状態で、隣接する板状結晶同士の間隔が拡大する。
次いで、上記前駆体結晶の加水分解によって得られた結晶を還元処理する(図2(c))。還元処理の方法は、特に制限はないが、例えば、強酸と強アルカリの塩を用いて還元処理することができる。本還元処理工程により、加水分解処理後の複数の板状結晶の形状および位置が維持された状態で、金属水酸化物層間に炭酸イオンが保持され、これにより、上記式(1)で表される層状複水酸化物結晶を有する結晶粒が得られる。
前記還元処理の後、該還元処理によって得られた結晶の層間に位置する炭酸イオンを塩化物イオンに置換処理してもよい(図2(d))。この置換処理の方法は、特に制限は無いが、例えば塩酸などの酸を用いて置換することができる。本置換処理工程により、還元処理後の複数の板状結晶の形状および位置が維持された状態で、金属水酸化物層間に塩化物イオンが保持され、これにより、上記式(2)で表される層状複水酸化物結晶を有する結晶粒が得られる。
上述したように、本実施形態によれば、層状複水酸化物結晶1が、上記式(1)又は式(2)で表され、複数の板状結晶11が積層された積層構造を有する結晶粒10の複数で構成され、かつ複数の結晶粒10,10,…の粒径がマイクロスケールで揃っているので、従来よりも高い分散性を有し、これにより高いイオン交換能を実現することができる。したがって、例えば水中や湿潤雰囲気中でも結晶粒10同士が凝集し難く、その結果層状複水酸化物結晶1のイオン交換容量が増大し、十分なイオン交換能を得ることができる。特に、工業排水や農業肥料から生じる硝酸イオンなどの有害アニオン種を、簡便且つ十分に除去することができる。
また、本実施形態によれば、前駆体結晶の化学量論比に基づいて混合されたNi源物質、Co源物質およびNa源物質の混合物に、更にNa源物質を加えて調整された原料を、600℃~1000℃、1時間以上で加熱して、NaNi1-xCo結晶(0.2<x≦0.33)で構成される前駆体結晶を生成するので、マイクロスケールで従来よりも高い分散性を有する前駆体結晶を育成することができ、その結果、従来よりも高いイオン交換能を有する層状複水酸化物結晶1を製造することができる。
以下、本発明の実施例を説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
先ず、前駆体結晶であるNaNi0.7Co0.3結晶をフラックス法で生成した。出発原料として、溶質にはNiO、CoおよびNaNOを用いた。NaNOを目的結晶(前駆体結晶)である化学量論比よりも過剰に加え、セルフフラックスとして調合した場合をフラックス法(FLUX)とし、実施例1の原料とした。このとき、化学量論比で構成される溶質(NiO、CoおよびNaNO)と、フラックスとしてのNaNOとを、Mol%で100:40となるように調整した。
また、比較として、NaNOを目的結晶の化学量論比通りに調合したことを除いて上記実施例と同様にした場合を固相法(SSR)とし、比較例1の原料とした。
上記のように調合された各原料を乾式混合して、アルミナるつぼに充填した後、マッフル炉にて昇温温度500℃/h、保持温度800℃、保持時間10時間で加熱し、その後冷却速度200℃/h、停止温度500℃とし、室温まで放冷してNaNi0.7Co0.3結晶を得た。得られた粉末を溶液NaClO2.1Mol/L、KOH2.0Mol/Lを用い、固液比0.1L/g、撹拌時間24時間で酸化的加水分解処理した。その後、得られた結晶を溶液H0.02Mol/L、NaCl0.021Mol/L、固液比0.1L/g、撹拌時間24時間で還元処理を3回繰り返し、上記式(1)で表される実施例1のLDHs結晶と、比較例1のLDHs結晶とを得た。
更に、還元処理を行って実施例1のLDHs結晶を得た後、溶液NaClaq.1.0MolおよびHClaq.3.2mMolを用い、固液比0.1L/g、反応時間24時間で置換処理し、上記式(2)で表される実施例2のLDHs結晶を得た。
また、他の比較として、均一沈殿法(COP)で結晶を作製した。試料NiCi・6HO、CoCl・6HO、ヘキサメチレンテトラミン(HMT)およびポリビニルピロリドン(PVP)を、超純水中に溶解し、この混合溶液を90℃、1時間で撹拌し、比較例2の複水酸化物結晶とした。
実施例1および比較例1~2の複水酸化物結晶を、以下の方法で測定、評価した。
(複水酸化物結晶の構造)
実施例1について、前駆体結晶、酸化的加水分解処理後の結晶、および還元処理後の結晶(LDHs結晶)の結晶構造それぞれを、粉末X線回折(XRD)法によるXRD装置(リガク社製、「MiniFlexII」)で同定した。
また、実施例1および比較例1~2の結晶形態および断面構造を、電界放出型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)(JEOL社製、「JSM-7400F」)で観察した。
更に、実施例1および比較例1の断面における組成分布を、エネルギー分散型X線分光(EDS)法による走査電子顕微鏡(JEOL社製、「JSM-7000F」)で解析した。
(イオン交換能の評価(1))
実施例1および比較例1~2の複水酸化物結晶のアニオン交換性能を、以下の条件で評価した。まず、前処理として,各結晶粉末を、HCl3.0mMol、NaCl4.0Molの混合水溶液に浸漬し、ゲスト層のアニオン種を塩化物イオンに置換した。その後、0.1~100mmMol/LのNaNO水溶液に浸漬し、クールスターラーを用いて25℃、24時間で撹拌した。このとき、固液比を1.0g/Lに固定した。浸漬後、上記水溶液から粉末を分離し、上澄み液の硝酸イオン濃度をサプレッサ型イオンクロマトグラフ(島津製作所製、「HIC-SP」)で定量した。
先ず、実施例1の各工程で得られた結晶を粉末X線回折(XRD)法で回折強度を測定した結果を図3に示す。
実施例1では、プロファイル図形における回折線から、フラックス法によって育成された前駆体結晶を酸化的加水分解処理および3回の還元処理を施すことで、前駆体結晶の積層構造がほぼ維持されたLDHs結晶が得られたことを確認した。
次に、実施例1および比較例1~2で得られた結晶のFE-SEM画像を、図4~図6に示す。
フラックス法で得られた実施例1のLDHs結晶では、粒径数μmの結晶粒が、粒径が比較的揃った状態で、高い分散性を維持して存在していた(図4(a))。また、各結晶粒は、複数の板状結晶が積層された積層構造を有していた(図4(b))。
一方、固相法で得られた比較例1のLDHs結晶では、粒径が数十μmの結晶粒が複数存在し、粒径5μm~50μmの範囲でばらつきがあった。よって、実施例1と比較して、結晶粒のばらつきが大きく、分散性が低いことが分かった(図5(a)および図5(b))。
また、均一沈殿法で得られた比較例2の複水酸化物結晶では、粒径百nmの板状結晶がランダムな方向で凝集した凝集体を形成しており、板状結晶の積層構造が形成されていないことが分かった(図6(a)および図6(b))。
次に、実施例1および比較例1~2について、イオン交換能の評価(1)の結果を図7に示す。本イオン交換能の評価(1)では、除去対象のアニオンとして硝酸イオンを用いた。グラフの縦軸はKを示し、K=q/C(q:硝酸イオンの吸着量(mg/g)、C:硝酸イオン平衡濃度(mg/mL))である。NO の初期濃度は、1.0mMolとした。
図7に示すように、フラックス法で得られた実施例1のKは、固相法で得られた比較例1のKと比較して約2倍、均一沈殿法で得られた比較例2のKと比較して約5倍であり、最も高い値を示した。特に、極微量のイオン交換の際にはイオン間の相互作用が無く、イオン交換サイト固有の選択性が反映される。このことから、実施例1のLDHs結晶は、高い硝酸イオン交換能を有することが分かった。
次に、実施例1および比較例1~2で得られた結晶の吸着等温線の検討結果を、図8に示す。実施例1および比較例1~2の吸着等温線は、硝酸イオンの各平衡濃度Cにおける硝酸イオンの吸着量qをプロットし、最小二乗法によって求めた。比較対象となるラングミュア(Langmuir)式は、全てのイオン吸着サイトは等価であり、1つのイオン交換サイトは1つの吸着物質としか結合しないと仮定した理論的な吸着等温式である。また、二変数のデータを非線形回帰した際における、従属変数(q)を独立変数(C)で決定しうる指標を表すR値を算出した。
その結果、フラックス法で得られた実施例1では、R値が0.98、飽和吸着量qが58.8mg/gであり、比較例1では、R値が0.90、飽和吸着量qsが51.5mg/g、比較例2では、R値が0.75、飽和吸着量qが15.7mg/gであった。すなわち、実施例1のR値は、比較例1~2と比較して高い値を示し、実施例1の吸着等温線がラングミュア式に最も適合していることが分かった。このことから、実施例1のLDHs結晶は、均一なイオン交換サイト(イオン吸着サイトともいう)を有する結晶粒が得られたと推察することができる。
次に、イオン交換能の向上について考察するために、実施例1および比較例1~2で得られた結晶のBET比表面積(m/g)を求めた。BET比表面積は、各結晶の窒素ガス吸着等温線をガス吸着装置(マイクロトラック・ベル社製、「BELSORP Mini II」)で測定し、BET式に基づき算出した。
その結果、実施例1ではBET比表面積が12.37m/gであり、一方、比較例1では12.86m/g、比較例2では4.13m/gであった。すなわち、実施例1のBET比表面積は、比較例2と比較して約3倍の値を示した。このことから、実施例1のLDHs結晶では、比表面積の増大に伴ってイオン交換容量が向上したと推察することができる。
また、実施例1および比較例1で得られたLDHs結晶の断面線分析を行った。
実施例1で得られたLDHs結晶を構成する一の結晶粒の積層方向断面において、板状結晶の面内方向にO元素、Ni元素、Co元素およびCl元素を測定した。同様にして、比較例1で得られたLDHs結晶を構成する一の結晶粒の積層方向断面において、板状結晶の面内方向に上記元素を測定した。
その結果、フラックス法で得られた実施例1では、板状結晶の面内方向に関して、Ni元素が一様に分布し、かつ、Co元素が一様に分布していることが分かった(図9(a))。
一方、固相法で得られた比較例1では、板状結晶の面内方向に関して、Ni元素の分布にばらつきがあり、また、Co元素の分布にばらつきがあることが分かった(図9(b))。
更に、実施例1で得られたLDHs結晶を構成する一の結晶粒の積層方向断面において、板状結晶の積層方向にO元素、Ni元素、Co元素およびCl元素を測定した。同様にして、比較例1で得られたLDHs結晶を構成する一の結晶粒の積層方向断面において、板状結晶の積層方向に上記元素を測定した。
その結果、フラックス法で得られた実施例1では、板状結晶の積層方向に関して、Ni元素が一様に分布し、かつ、Co元素が一様に分布していることが分かった(図10(a))。
一方、固相法で得られた比較例1では、板状結晶の積層方向に関して、Ni元素の分布にばらつきがあり、また、Co元素の分布にばらつきがあることが分かった(図10(b))。
この結果から、フラックス法で前駆体結晶を高温加熱で生成することで、LDHs結晶を構成する結晶粒内に均一な拡散パスが構築され、より多くのイオン交換サイトを有効に活用することができ、イオン交換容量が向上したと推察される。
(イオン交換能の評価(2))
次に、実施例2について、除去対象のアニオンとしてフッ化物イオンおよびヒ化物イオンを用いたイオン交換能の評価(2)を行った。
フッ素試験では、実施例2の結晶粉末を、NaF水溶液に浸漬し、オートシェーカー(RT、150rpm)を用いて、25℃、24時間で撹拌した。このとき、フッ化物イオンの初期濃度は1.33mMol/Lであり、また、固液比を1.0g/Lに固定した。浸漬後、上記水溶液から粉末を分離し、上澄み液のフッ化物イオン濃度を上記のサプレッサ型イオンクロマトグラフで定量し、初期濃度の値からフッ化物イオンの除去率を求めた。結果を図11に示す。
ヒ素試験では、NSF/ANSI53「飲料水処理ユニット-健康への影響」規格文献に規定されたNSF53ヒ素除去水についての指針に従って試験溶液を調整した。実施例2の結晶粉末を所定容器内に入れ、初期濃度0.050mg/Lのヒ素試験溶液を用いてスラリー化した。生じたスラリーを、数時間にわたり容器を回転させることにより撹拌した。撹拌後、試験溶液をフィルタを通じたろ過により粉末から分離した。ろ液中のヒ化物イオン濃度を上記のサプレッサ型イオンクロマトグラフで定量し、初期濃度の値からヒ化物イオン除去率を求めた。結果を図11に示す。
図11に示すように、実施例2のLDHs結晶を用いた場合、上澄み液中のフッ化物イオン濃度は0.33Mol/Lであり、フッ化物イオンの除去率は75%であった。また、ろ液からヒ化物イオンは検出されず、ヒ化物イオンの除去率は約100%であった。このことから、実施例2のLDHs結晶は、高硝酸イオン交換能に加えて、高フッ化物イオン交換能および高ヒ化物イオン交換能を有しており、有害アニオン種の高い除去特性を発現することが分かった。また、特に硝酸イオンおよびヒ化物イオンに対して、極めて高い除去特性を発現することが分かった。
本発明の層状複水酸化物結晶は、アニオンを吸着するアニオン吸着用物質として用いることができる。よって、様々な工業分野で使用されるアニオン吸着剤に本発明の層状複水酸化物結晶を適用することができる。
1 層状複水酸化物結晶
10 結晶粒
11 板状結晶
12 層状空間

Claims (5)

  1. 複数の板状結晶が、下記式(1)で表され、ホスト層とゲスト層が交互に積層した構造からなる層状複水酸化物であり、
    複数の前記板状結晶が積層された積層構造を有する結晶粒の複数で構成され、
    複数の前記結晶粒の幅方向の粒径が、0.1μm~20.0μmの範囲で揃っている、層状複水酸化物結晶。[Ni2+ 1-xCo3+ (OH)]・[(CO 2-X/2] …(1)
    (ここで、0.2<x≦0.33)
  2. 複数の板状結晶が、下記式(2)で表され、ホスト層とゲスト層が交互に積層した構造からなる層状複水酸化物であり、
    複数の前記板状結晶が積層された積層構造を有する結晶粒の複数で構成され、
    複数の前記結晶粒の幅方向の粒径が、0.1μm~20.0μmの範囲で揃っている、層状複水酸化物結晶。[Ni2+ 1-xCo3+ (OH)]・[(Cl] …(2)
    (ここで、0.2<x≦0.33)
  3. 隣接する板状結晶の間に層状空間が形成されており、
    前記複数の板状結晶と複数の前記層状空間とが交互に配されている、請求項1又は2に記載の層状複水酸化物結晶。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の層状複水酸化物結晶を含む、アニオン吸着剤。
  5. 硝酸イオンおよびヒ化物イオンから選択される1又は2種以上のアニオンを吸着する、請求項4に記載のアニオン吸着剤。
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