JP5060571B2 - ウェーハホルダフレームの製造方法 - Google Patents
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ホルダフレームは、一般に機械的強度が大きく耐化学的特性を有するステンレス材等の金属材によってリング状に形成されていた。ホルダフレームは、ウェーハが1.5mm厚であることから、ほぼ同等の厚みの金属材により形成されていた。ホルダフレームは、ウェーハの8インチ、12インチ等の大口径化に伴って大型となり、所定の規格仕様を満たす機械的剛性を得るために板厚の大きな金属素材を用いて形成されるようになり、材料費コストがアップするとともに重量も大きくなるといった問題があった。また、金属製ホルダフレームは、小口径用の場合に精密な位置決め部等を打抜き加工時に同時に形成することが困難であるため、後加工を施す必要があるためにコストアップとなる。
ホルダフレームとしては、上述した金属製ホルダフレームの問題を解消する合成樹脂製ホルダフレームも提供されている(例えば特許文献1を参照)。この先願合成樹脂製ホルダフレームは、12インチの大径ウェーハ用であり、合成樹脂材を素材として所定の曲げ強度や曲げ弾性率の範囲として2〜3mmの厚みに形成される。先願合成樹脂製ホルダフレームは、合成樹脂素材を用いることにより軽量化が図られ、これにより作業性や利便性の向上が図られる。
先願合成樹脂製ホルダフレームにおいては、上述したように大きな厚みとなることにより、ウェーハ収納空間部にウェーハを着脱する作業が面倒になり、また重ね合わせた状態での搬送や保管に際して嵩張るといった問題があった。さらに、先願合成樹脂製ホルダフレームにおいては、従来の金属製ホルダフレームよりも大きな厚みで形成されるために、ハンドリング装置等の従来設備をそのまま用いることができないといった問題点あった。
また請求項2に係る本発明は、前記成形金型には、複数の前記ゲートが前記環状のキャビティに対してそれぞれ前記フレーム体の直線状の外周縁部を形成する部位に配置されていることを特徴とする。
ホルダフレーム1は、ウェーハ収納空間部7内において所定の回路形成工程等を経て主面上に多数の集積回路が形成されたウェーハ6をウェーハ保持体4上に保持し、工程間の搬送用、保管用或いはチップ化のダイシング工程を施す際のダイシング用の保持治具として用いられる。ホルダフレーム1は、ウィスカー強化型の超高剛性合成樹脂材を素材として、後述する成形金型20によりリング状の薄板部材として形成される。
ホルダフレーム1は、ウェーハ収納空間部7が8インチ以下のウェーハ6を収納する内径寸法を有し、また全体の厚みが1mm乃至1.9mm、好ましくは従来の金属製ホルダフレームとほぼ同等の1.5mmに形成される。ホルダフレーム1は、1.5mm厚に形成することにより、1.5mm厚の金属製ホルダフレームを取り扱う既存設備をそのまま使用することが可能であり、新たな設備投資等を不要とさせる。
ホルダフレーム1は、上述したウィスカー強化型の超高剛性合成樹脂材を素材として、後述する成形金型20により形成された合成樹脂製ホルダフレームであり、ウェーハ6を確実に保護する充分な機械的剛性を保持しながら薄型、軽量化或いは低コスト化が図られる。ウィスカー強化型の超高剛性合成樹脂材には、例えば三菱エンジニアリング株式会社製の超高剛性合成樹脂材W−110(商品名レニー)やX−115が好適に用いられる。
ホルダフレーム1は、半導体技術に関するスタンダード・仕様・ガイドラインの規格であるSEMI規格の「テープフレーム」規格に適合する形状仕様に形成される。ホルダフレーム1には、図1に示すように保管用等の収納容器内に位置決めして収納されるようにするために、外周縁部の互いに90°の間隔を以って3箇所に直線部位からなる係合外縁部8A乃至8C(以下、個別に説明する場合を除いて係合外縁部8と総称する)が形成されている。ホルダフレーム1には、中央の係合外縁部8Bと対向する外周縁部にも直線部位からなる位置決め外縁部9が形成される。ホルダフレーム1には、この位置決め外縁部9に、中心軸を挟む対称位置にダイシングマシーン側の位置決めピンが相対係合する一対の位置決め用凹部10A、10Bが形成されている。
ホルダフレーム1は、同図鎖線で示すように直線部位を構成する4箇所の係合外縁部8及び位置決め外縁部9に配置された詳細を後述するゲート部27A乃至27D(以下、個別に説明する場合を除いてゲート部27と総称する)から溶融樹脂材をキャビティ23内に充填する成形金型20により形成される。ホルダフレーム1は、このように直線部位にゲート部26を配置した成形金型20により形成されることにより、1.5mm厚と薄形であっても溶融樹脂が安定した状態でキャビティ23内に充填されて大きな機械的剛性を以って形成される。
成形金型20は、樹脂充填部をいわゆる2段スプルー構造により構成して上述したように4個のゲート部27からキャビティ23内に溶融樹脂が均一な状態で充填されるようにする。成形金型20は、図2に示すようにキャビティ23の中心軸上に位置してメインの溶融樹脂供給路となる第1スプルー24が設けられ、この第1スプルー24から周方向に対して互いに90°の間隔を以って4つのランナー25A乃至25D(以下、個別に説明する場合を除いてランナー25と総称する)を分岐連設する。成形金型20は、ランナー25の先端部においてそれぞれ第2スプルー26A乃至26D(以下、個別に説明する場合を除いて第2スプルー26と総称する)を連設する。成形金型20は、第2スプルー26の先端部においてキャビティ23に開口するゲート部27をそれぞれ連設する。
ゲート部27は、全て同一形状に形成され、図3に示すようにそれぞれゲート28と、ゲートランナー29と、湯溜り30と、型抜きガイド31の部位から構成される。ゲート部27は、ゲート28が、周知のように小口径部位からなり上述した各部を介して射出成形機の溶融樹脂供給部から供給された溶融樹脂に射出圧を付与してキャビティ23内へと充填させる。ゲート28は、詳細を省略するがキャビティ23との連通部位が最小口径であり、その口径d1が約3mm径である。
ゲートランナー29は、ゲート28と湯溜り30との間に設けられたやや大口径の部位であり、ゲート28にある程度の量の溶融樹脂が供給される状態とすることにより溶融樹脂がゲート28から安定した状態でキャビティ23内に充填されるようにする。ゲートランナー29は、適宜の断面形状に形成され、例えばキャビティ23の高さよりもやや小さい高さとされるとともに8mm幅で形成される。
型抜きガイド31は、上述したように大型部位として形成される湯溜り30に連設されて、成形後に湯溜り30内に残って硬化した樹脂が固定型22内に残留せずに可動型21とともに型抜きされるように作用する。型抜きガイド31は、図3(B)に示すようにキャビティ23側の側面に型抜き方向のテーパが付されて形成される。
溶融樹脂は、ゲート部27内においてランナー25から湯溜り30とゲートランナー29を介してゲート28に達し、ゲート28において噴射圧を付与されてキャビティ23内に充填される。溶融樹脂は、ゲート28において滞留が生じるが、湯溜り30に溜まることで温度低下が抑制され、高温状態を保持してゲート28からキャビティ23内へと充填される。溶融樹脂は、キャビティ23内で隣り合うゲート28から充填されて流れが突き当たるが、それぞれが同等の条件により保持されるので当該部位においてウェルドラインが生じることは無い。
成形金型20は、溶融樹脂の充填から当該溶融樹脂が硬化する所定時間の間、型締め状態を保持した後に固定型22に対する可動型21の型開き動作が行われる。成形金型20は、キャビティ23内に上述した形状のホルダフレーム1を形成するとともに、樹脂充填部を構成する各部に残った樹脂が硬化することにより図4及び図5に示したホルダフレーム中間体40を形成する。成形金型20は、型開き動作に際して可動型21側に添着したホルダフレーム中間体40を適宜のイジェクト機構によって突き落として回収されるようにする。成形金型20は、上述したようにゲート部27に型抜きガイド31を設けたことによりホルダフレーム中間体40が固定型22側に残ることなく可動型21側に添着して型開き動作が行われるようにする。
ホルダフレーム中間体40は、仕上げ処理がゲート28に残ったゲート樹脂部をホルダフレーム1の外周縁部から切断することにより行う。仕上げ処理は、ホルダフレーム中間体40を射出成形機から取り出した後工程で自動切断機等を用いて行うが、例えば成形金型20内にゲート切断構造を組み込んで自動切断することも可能である。
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述した各実施の形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲及びその要旨を逸脱することなく、様々な変更、置換或いは同等に構成されることは当業者にとって明らかである。
Claims (2)
- 中央領域に開口部を有し、厚みが1mm乃至1.9mmであるリング状のフレーム体と、該フレーム体の一方の開口部を閉塞するシート状のウェーハ保持体と、を備え、前記開口部内に外径が8インチ以下のウェーハを収納可能なウェーハホルダフレームの作製方法であって、
材料としてウィスカー強化型の超高剛性合成樹脂材を用いると共に、
前記フレーム体を形成する環状のキャビティに対して、前記フレーム体の外周縁部に近接した外側であり周方向に対して互いに等間隔を以って複数のゲートが配置されるとともに、前記複数のゲートそれぞれの上流側に湯溜まりが設けられた成形金型を用いて、前記フレーム体を形成することを特徴とするウェーハホルダフレームの製造方法。 - 前記成形金型には、複数の前記ゲートが前記環状のキャビティに対してそれぞれ前記フレーム体の直線状の外周縁部を形成する部位に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のウェーハホルダフレームの製造方法。
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