JP5058129B2 - 晶析反応方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液中の晶析対象物質に晶析剤を添加して難溶性塩を晶析させ、結晶として処理、回収する晶析反応装置および晶析反応方法に関する。例えば、フッ酸含有原水中のフッ素をカルシウム剤と反応させてフッ化カルシウムを回収したり、リン酸含有原水中のリン酸とカルシウム剤とを反応させてリン酸カルシウムを回収する等の晶析対象物質と昌析剤とを反応させる晶析法を用いて難溶性塩を回収する回収技術に関する。
従来、液中のフッ素、リン等の晶析対象物質にカルシウム剤等の晶析剤を添加してフッ化カルシウム、リン酸カルシウム等の難溶性塩を晶析させ、結晶として処理、回収する技術が提案されている。例えば、晶析対象物質としてフッ素を含有する原水にカルシウム剤を添加してフッ化カルシウムを回収し再利用するには、種晶が充填された晶析反応槽内にフッ素含有原水と晶析剤であるカルシウム剤とを注入し、種晶表面にフッ化カルシウムを析出させて、フッ化カルシウム結晶を得る方法等が提案されている。
2HF + CaCl → CaF↓ + 2HCl
例えば、液を晶析反応槽に上向流で供給して、晶析反応槽内の難溶性塩の結晶を流動させながら処理する流動床式晶析反応装置(例えば、特許文献1参照)や、晶析反応槽に撹拌装置を設け、撹拌装置の撹拌により晶析反応槽内の難溶性塩の結晶を流動させながら処理する撹拌式晶析反応装置(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
このような装置では、晶析反応槽内の結晶がある程度大きく成長すると、晶析反応槽内から一部の結晶を引き抜く引抜操作と、引き抜いた結晶よりも小粒径の種晶を新たに補充する補充操作を繰り返し行うことで、連続的に結晶を得るような方法が採用される。このとき用いられる種晶としては、得ようとする難溶性塩の粒子を用いるのが一般的であり、例えば、フッ化カルシウムの種晶としては鉱物である蛍石を、リン酸カルシウムの種晶としては鉱物であるリン鉱石を粉砕したものを用いるのが一般的である。また、種晶は種晶添加装置で直接晶析反応槽内に添加されたり、水に混合されてスラリとして晶析反応槽に添加されたりする。
図3に従来の晶析反応装置の一例の概略構成図を示す。晶析反応装置60は、晶析反応槽62と、原水貯槽64と、晶析剤貯槽66と、種晶添加装置68とを備える。晶析反応装置60において、原水貯槽64からフッ素含有原水等の晶析対象物質を含有する原水が、晶析剤貯槽66からカルシウム剤等の晶析剤が、晶析反応槽62に添加され、種晶は種晶添加装置68から直接、晶析反応槽62内に添加されて難溶性塩の結晶が生成される。
特開2003−225680号公報 特開2008−73589号公報
上記種晶として蛍石、リン鉱石等の鉱物を用いた場合、晶析反応槽に種晶を投入すると種晶に含まれる小粒径の種晶が処理水に流出して処理水の水質が悪化したり、晶析反応槽の液面上部に浮遊して分離することがある。
本発明の目的は、良好な水質の処理水を得ることができる晶析反応装置および晶析反応方法を提供することにある。
また、本発明は、フッ素を含む原水にカルシウム剤を添加してフッ化カルシウムの結晶を生成させる晶析反応方法であって、前記原水に前記カルシウム剤を添加してフッ化カルシウムの結晶を生成させる晶析反応工程と、前記生成した結晶を引き抜く引抜工程と、前記引き抜いた結晶の少なくとも一部を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕した結晶の少なくとも一部を前記晶析反応工程へ返送する返送工程と、を含み、前記返送工程において、前記生成した結晶の5重量%〜25重量%の範囲の量の結晶を返送する晶析反応方法である。
また、前記晶析反応方法における引抜工程において、前記生成した結晶の重量の1.001倍〜1.25倍の範囲の量になるように結晶を引き抜くことが好ましい。
また、前記晶析反応方法において、前記粉砕した結晶の体積平均粒径は、1μm〜50μmの範囲であることが好ましい。
本発明では、晶析対象物質を含む原水に晶析剤を添加して難溶性塩の結晶を生成させる晶析反応装置および晶析反応方法において、生成した結晶を引き抜き、その少なくとも一部を粉砕し、晶析反応槽へ返送することにより、良好な水質の処理水を得ることができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る晶析反応装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。図1の晶析反応装置1は、晶析反応槽10と、原水貯槽12と、晶析剤貯槽14と、種晶添加手段としての種晶添加装置16と、スラリ貯槽18と、脱水手段としての脱水装置20と、粉砕手段としての粉砕装置22とを備える。
図1の晶析反応装置1において、晶析反応槽10には、原水添加手段としてのポンプ28を介して原水貯槽12からの原水添加配管36が、晶析剤添加手段としてのポンプ30を介して晶析剤貯槽14からの晶析剤添加配管38が、種晶添加装置16からの種晶添加配管40が、pH調整剤添加手段としてのpH調整剤添加配管42がそれぞれ接続されている。また、晶析反応槽10の出口には処理水排出配管44が接続されており、底部にはスラリ貯槽18へのスラリ排出配管46が引抜手段としてのバルブ34を介して接続されている。晶析反応槽10、スラリ貯槽18には、モータを備える撹拌手段である撹拌羽根等の撹拌装置24,26がそれぞれ設置されている。スラリ貯槽18は、脱水装置20の入口とスラリ配管48によりポンプ32を介して接続されている。
本実施形態に係る晶析反応方法および晶析反応装置1の動作について説明する。
フッ素、リン等の晶析対象物質を含有する晶析対象物質含有原水(以下、単に「原水」と呼ぶ場合がある。)が原水貯槽12からポンプ28により原水添加配管36を通して晶析反応槽10に添加され、カルシウム剤等の晶析剤が晶析剤貯槽14からポンプ30により晶析剤添加配管38を通して晶析反応槽10に添加される。また、種晶が種晶添加装置16から種晶添加配管40を通して晶析反応槽10に添加される(種晶添加工程)。晶析反応槽10において、原水に含まれる晶析対象物質と、晶析剤とが種晶を核として反応して難溶性塩の結晶が生成される(晶析反応工程)。
晶析反応槽10において、必要に応じてpH調整剤添加配管42からpH調整剤が添加されて晶析反応液のpH調整が行われてもよいし、晶析反応液は撹拌装置24によって撹拌されてもよい。種晶は、種晶供給装置16により、結晶として晶析反応槽10内に添加されてもよいし、水などの溶媒に混合されてスラリとして晶析反応槽10に添加されてもよい。また、種晶は、晶析剤が添加される前の原水に添加されてもよいし、晶析剤が添加された後の原水に添加されてもよいし、晶析剤と共に原水に添加されてもよい。晶析反応槽10への種晶の添加は連続でも間欠でもよい。
原水の晶析反応槽10への添加、晶析剤の晶析反応槽10への添加は、原水、晶析剤を晶析反応槽10に添加できるものであれば任意の態様が可能である。原水貯槽12、晶析剤貯槽14には撹拌装置が設けられていてもよい。
その後、処理水は、晶析反応槽10の下部と直接連通して一体化され、上向流が形成された沈殿部50で固液分離され、沈殿部50の上部から処理水排出配管44を通して排出される。一方、生成した難溶性塩の結晶を含むスラリは、沈殿部50で界面52を形成して、バルブ34が開状態とされるとスラリ排出配管46を通して晶析反応槽10の下部から引き抜かれ、スラリ貯槽18へと送液される(引抜工程)。
通常は、晶析反応槽10内の結晶がある程度大きく成長すると、晶析反応槽10内から少なくとも一部の結晶を引き抜く引抜操作と、引き抜いた結晶よりも小粒径の種晶を新たに補充する補充操作を繰り返し行うことで、連続的に結晶を得るような方法が採用される。
スラリ貯槽18へと送液されたスラリは、スラリ貯槽18に一旦貯留された後、ポンプ32によりスラリ配管48を通して、脱水装置20へ送液される。スラリ貯槽18において、スラリは、必要に応じて撹拌装置26により撹拌されてもよい。脱水装置20において、スラリに含まれる水分の少なくとも一部が脱水される(脱水工程)。スラリが所定の含水率であれば、脱水工程は省略してもよい。
次に、脱水された結晶の少なくとも一部は、粉砕装置22において粉砕され(粉砕工程)、残りは回収結晶として回収される。粉砕された粉砕結晶の少なくとも一部は、返送手段としても機能する種晶添加装置16から晶析反応槽10へ種晶として返送される(返送工程)。
本実施形態において、引き抜いた結晶の少なくとも一部を粉砕し、粉砕した結晶の少なくとも一部を晶析反応槽10へ返送することにより、良好な水質の処理水を得ることができる。
本実施形態では、引き抜いた結晶を粉砕して、その粒径を細かくすることにより、種晶として適切な粒径とすることができる。この粉砕された粉砕結晶を種晶として用いると、鉱物を種晶として用いた場合よりも、良好な処理水を得ることができる。この理由は明確ではないが、粉砕結晶の方が、鉱物を利用した種晶よりも、表面状態の違いなどによって活性が高く、結晶化されやすいためだと考えられる。粉砕結晶が、鉱物を利用した種晶に比べて5μm程度以下の微細結晶が少なく、その微細結晶同士で凝集して処理水に流出することが少ないことも理由として考えられる。
また、生成した結晶を再利用することになるので、鉱石などの種晶を用いる場合に比べて、ランニングコストを低減することができる。
引抜工程において、晶析反応槽10から引き抜く結晶の量としては、特に制限はないが、晶析反応槽10内の結晶濃度と粒径をなるべく一定にする観点から、「引き抜く結晶の量=生成した結晶の量+補給する種晶の量」とすることが好ましい。具体的には、生成した結晶の重量の1.001倍〜2.0倍の範囲の量になるように引き抜くことが好ましく、1.001〜1.25倍の範囲の量になるように引き抜くことがより好ましく、1.01〜1.053倍の範囲の量になるように引き抜くことがさらに好ましい。例えば、結晶の生成量が3kg/hrで、3時間に一度引き抜く場合、好ましくは、3kg/hr×3hr×1.001〜2.0=9.009kg〜18.0kg、より好ましくは、3kg/hr×3hr×1.001〜1.25=9.009kg〜11.25kg、さらに好ましくは、3kg/hr×3hr×1.01〜1.053=9.09kg〜9.477kgを引き抜けばよい。
晶析反応槽10から生成した結晶を引き抜くための制御としては、例えば、タイマなどを用いて一定の通水時間で引き抜く方法、汚泥濃度計などを用いて晶析反応槽10内の結晶濃度が一定以上となったら引き抜く方法、汚泥界面計などを用いて沈殿部50などにおける結晶の層高が一定以上となったら引き抜く方法など、いずれの方法でもよい。
結晶を引き抜く引抜手段としては、例えば、図1のようにバルブ34を取り付けて重力の作用で引き抜いてもよいし、チューブポンプなどのスラリ用のポンプを用いて引き抜いてもよい。
引き抜いたスラリは、後工程で粉砕する粉砕装置にもよるが、粉砕の前工程で脱水装置などを用いて脱水させることが好ましい。脱水装置としては、特に制限はなく、例えば、フィルタプレス、遠心脱水機などが挙げられる。例えば、含水率40重量%〜85重量%程度のスラリの含水率を、5〜20重量%程度まで低下させることができるものを用いればよい。
結晶を粉砕する粉砕装置としては、特に制限はなく、例えば、ジェットミル、ボールミル、ローラミルなどが挙げられる。例えば、数10μm〜100μm程度の結晶を1〜50μm程度まで粉砕できるものを用いればよい。
粉砕された後の粉砕結晶の粒径としては、体積頻度から算出した体積平均粒径で1〜50μmの範囲が好ましく、5〜20μmの範囲がより好ましい。種晶の粒径が小さすぎると、処理水に流出して処理の悪化を招く場合があり、大きすぎると、種晶の効果がないばかりか晶析反応槽10内部の結晶が晶析して成長することを妨げる場合がある。そのため、粉砕結晶の均等係数が1に近い方が種晶として理想的であり、均等係数が5以下であることがより好ましい。所望の体積平均粒径、均等係数を得るために、粉砕結晶を分級手段により分級してもよい。なお、粉砕した粉砕結晶の一部を回収結晶として回収してもよい。
粉砕された粉砕結晶を晶析反応槽10内に返送する返送量としては、特に制限はないが、晶析反応槽10内の結晶濃度をなるべく一定にするために、「結晶を返送する量=引き抜く結晶の量−生成した結晶の量」とすることが好ましい。具体的には、生成した結晶の0.1〜100重量%の範囲が好ましく、0.1〜25重量%の範囲がより好ましく、1〜5.3重量%の範囲がさらに好ましい。
粉砕結晶を晶析反応槽10内に返送する返送手段としては、特に制限はなく、例えば、ベルトコンベアと紛体供給機とを併用する方法、水などの溶媒に混合してスラリ状としてからスラリ用のチューブポンプを用いる方法などが適用できる。
本実施形態においては、安定した処理を行うために、通常は、原水と晶析剤とを晶析反応槽10に添加する前にあらかじめ、晶析反応槽10に種晶を存在させる。晶析反応槽10に充填される種晶の充填量は、晶析対象物質を晶析反応により除去できるのであれば特に制限はなく、原水中の晶析対象物質濃度、晶析剤の濃度、また、晶析反応装置1の運転条件などに応じて適宜設定される。
最初に用いる種晶は、その表面に生成した難溶塩の結晶を析出させることができ、晶析反応による析出物である難溶塩を含んで構成される粒子であればよい。晶析反応による析出物である難溶性塩を主成分とする化合物としては、例えば難溶性塩がフッ化カルシウムの場合は蛍石、リン酸カルシウムの場合はリン鉱石等の鉱物等が挙げられる。難溶性塩を主成分とする鉱物は、より純粋な難溶塩をペレット等として入手しやすい。最初に用いる種晶の形状、粒径は、晶析反応槽10内の流速、晶析対象物質および晶析剤の濃度等に応じて適宜設定され、特に限定されるものではない。最初に用いる種晶として、上記のようにして得られる、晶析反応で引き抜いて粉砕した粉砕結晶を用いてもよい。
種晶添加手段としては特に制限はないが、例えば、スラリを移送できるものとして、チューブポンプやスラリポンプ等が挙げられる。
本実施形態における晶析対象物質含有原水は、晶析処理により除去される晶析対象物質を含むものであれば、如何なる由来の原水であってもよく、例えば、半導体関連産業をはじめとする電子産業、発電所、アルミニウム工業等から排出される原水が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
原水中の晶析対象物質としては、晶析反応により晶析し、原水中から除去可能である任意の元素が挙げられ、特に限定されるものではない。また、晶析対象物質となる元素の種類は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。特に、原水中における存在が問題となるという観点から、本実施形態における晶析対象物質としては、フッ素、リンおよび重金属元素、カルシウム並びにこれらの混合物が挙げられる。また、重金属元素としては、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ag、Cd、Hg、Sn、Pb、Te等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
晶析対象物質となる元素は、晶析反応により晶析するのであれば、任意の状態で原水中に存在することが可能である。原水中に溶解しているという観点から、晶析対象物質はイオン化した状態であるのが好ましい。晶析対象物質がイオン化した状態としては、例えば、F、Cu2+等をはじめとする原子がイオン化したもの、メタリン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、三リン酸、四リン酸、亜リン酸等をはじめとする晶析対象物質を含む化合物がイオン化したもの、また、重金属等の錯イオン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素を含む原水は、アルミの電解精錬工程、製綱工程等からも排出されるが、特に半導体工場において大量に排出される。半導体シリコンウェーハの洗浄等に濃厚フッ酸が用いられ、フッ素含有量が%オーダーの濃厚フッ酸廃液として排出される。このとき、アンモニアや過酸化水素、リン酸等も洗浄剤として用いられるため、それらを含む排水となることがある。また、半導体シリコンウェーハ上に残存するフッ酸の洗浄、パーフルオロ化合物(PFCs)分解後のガスに含まれるHFの洗浄等に大量の水が使用され、希薄系のフッ素含有原水としても排出される。本方法は、フッ酸(フッ化水素)を含む原水中からフッ素を除去するために特に好適に適用しうる。
原水に含まれる晶析対象物質の量は、特に限定されるものではないが、例えば、晶析対象物質がフッ素の場合、5000mg/L〜100000mg/Lの範囲、リンの場合、500mg/L〜5000mg/Lの範囲である。
晶析対象物質がフッ酸含有原水中のフッ素であり、晶析剤であるカルシウム剤と反応させてフッ化カルシウムを回収する場合や、晶析対象物質がリン酸含有原水中のリンであり、晶析剤であるカルシウム剤と反応させてリン酸カルシウムを回収する場合、晶析剤としては塩化カルシウム、消石灰等が用いられる。
晶析対象物質が水中の重金属であり、晶析剤と反応させて難溶性塩を回収する場合、晶析剤としては硫化ソーダ、炭酸ソーダ等が用いられる。晶析対象物質が水中のカルシウムであり、晶析剤と反応させて炭酸カルシウムを回収する場合、晶析剤としては炭酸ソーダ等が用いられる。
本実施形態においては、晶析用薬液として消石灰と酸とを混合したカルシウム溶液等が使用されてもよい。本明細書における「カルシウム溶液」とは、消石灰(水酸化カルシウム)に酸を添加して得られた液体であって、一定範囲のpHを有する液体である。「カルシウム溶液」は、消石灰が完全に溶解された溶液状態であってもよく、消石灰の固体粒子が含有されていてもよい。消石灰への酸の添加は、消石灰に酸が添加されるのであれば任意の、公知の方法による添加が可能であり、例えば、消石灰スラリに酸を添加する態様、消石灰の乾燥固体に酸を添加する態様またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。消石灰への酸の添加の好ましい態様は、消石灰スラリに酸を添加する態様である。
本明細書において、「消石灰スラリ」とは、消石灰の乾燥固体に水または水溶液を添加して形成されるスラリをいい、使用される水としては、蒸留水、精製水、水道水等任意のソースの水が可能であり、また、水溶液としては、前記水に、酸、アルカリ、これらの塩等任意の化合物が添加された水溶液が可能である。また、本明細書における「消石灰の乾燥固体」とは、前記消石灰スラリに対する概念を示すものであり、スラリを形成していない、粉体、顆粒、塊状物等の固体であればよく、化合物としての無水物を意味するものではない。
カルシウム溶液の調製に使用される消石灰としては、任意のグレードの消石灰を使用することができ、特に限定されるものではない。カルシウム溶液の調製に使用される酸としては、特に限定されるものではなく、任意の酸を使用可能である。好ましくは、カルシウムと難溶性の塩を形成させる成分を含まない任意の酸であり、例えば、塩酸等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。より好ましくは、酸は塩酸である。使用される酸は1種類であってもよいし、複数種類の酸が使用されてもよい。使用される酸の濃度、添加量等は、カルシウム溶液が所望のpHとなるように適宜設定される。例えば、工場内の処々の設備で中和用等に使用される目的で、水と混合して工場内を循環している消石灰スラリを用いると利便性がよい。
本実施形態における、カルシウム溶液のpH範囲は好ましくはpH9以下であり、より好ましくは、pH8以下であり、さらに好ましくは、pH8〜4の範囲であり、特に好ましくは、pH7〜5の範囲である。カルシウム溶液のpHを、上記範囲に調節することにより、消石灰をある程度溶解させることが可能となる。ここで、消石灰スラリが完全な溶解が達成されるような条件、すなわちpHが低い方が晶析処理において良好であると考えられる。しかし、本発明者らは、晶析処理によって得られる処理水中の晶析対象成分の濃度をより低減させるためには、カルシウム溶液のpHを所定の範囲に設定するのが有効であることを見出した。すなわち、カルシウム溶液のpHをpH4未満に低下させるよりも、上述のようにpH8〜4の範囲、さらには、pH7〜5の範囲にすることにより、処理水中の晶析対象成分の濃度を顕著に低減できる。上記至適pHの存在は、pHを一定範囲にすることにより消石灰の微粒子を完全に溶解させるのではなく、一定量の消石灰微粒子をカルシウム溶液中に残存させることにより、晶析反応槽内において、該微粒子によって晶析反応の反応面積を増大させて晶析反応効率を向上させ、処理水中の晶析対象成分の濃度を低減させるためであると考えられる。
生成する難溶性塩としては、フッ素含有原水とカルシウム剤とを反応させて生成するフッ化カルシウムの他、例えば、リン含有原水とカルシウム剤とを反応させて生成するリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト等や、フッ素およびリン含有原水とカルシウム剤とを反応させて生成するフルオロアパタイト等もこれに含まれる。
晶析反応槽10は、原水中の晶析対象物質と晶析剤とが反応して難溶性塩の結晶を析出させて、晶析対象物質が低減された処理水を生じさせうる反応槽であればよく、長さ、内径、形状等については任意の態様が可能であり、特に限定されるものではない。
晶析反応槽としては、図1のように晶析反応槽10内に、撹拌羽根等の撹拌装置24を設置し、該撹拌装置24により晶析反応槽10内を撹拌してペレットを流動させる撹拌式の晶析反応槽が挙げられる。撹拌羽根は晶析反応槽10内で内容物を撹拌できるものであればよく、撹拌羽根の設置態様、撹拌羽根の大きさ等は特に限定されるものではない。
また、撹拌式の晶析反応槽10としては、晶析反応槽10の周壁に対向させて内周壁を配置して、この内外周壁間を処理水排出路とし、難溶性塩粒子と処理水との分離能を向上させ、処理水中に難溶性塩粒子が流出するのを防止する分離ゾーンを有するものであってもよい。この態様においては、処理水排出路の上部に処理水排出配管44が接続されるような態様が好ましい。また、この処理水排出路には、ペレットの分離能を向上させるために、処理水排出路の入口部分に複数枚のじゃま板で構成したバッファ板や、複数枚の整流板で構成したバッファ板を位置させていてもよい。この態様の詳細は特開2005−230735号および特開2005−296888号に記載されており、これらの特許文献に記載される晶析反応槽も本実施形態において使用可能である。
また、晶析反応槽としては、晶析反応槽内で上向流を形成し、該上向流によってペレットが流動する流動床式の晶析反応槽も挙げられる。
カルシウム溶液等の晶析剤溶液中のカルシウム剤等の晶析剤の濃度は、原水の晶析対象物質濃度、晶析反応槽10の処理能力等に応じて適宜設定され、特に限定されるものではない。晶析対象物質がフッ素でフッ化カルシウムを生成させる場合、カルシウム注入量としては、化学当量としてフッ素の1倍〜2倍までがよいが、1倍〜1.2倍がよりよい。カルシウムの化学当量が原水のフッ素の化学当量の2倍より多いとフッ化カルシウムが種晶上に析出せずに微粒子として生成しやすく、処理水にフッ化カルシウムが混入する場合があり、1倍より少ないと原水中のフッ素の全量がフッ化カルシウムとならず、処理水にフッ素が混入する場合がある。同様に晶析対象物質がリンでリン酸カルシウムを生成させる場合、カルシウム注入量としては、化学当量としてリンの1倍〜2倍までがよいが、1倍〜1.2倍がよりよい。
本実施形態においては、カルシウム剤を用いて晶析反応槽10内でpH2〜11の条件下で難溶性塩を析出させることが好ましい。フッ化カルシウムを析出させる場合には、pH2〜11、微粒子生成抑制等の点から好ましくはpH2〜3の条件下でフッ化カルシウムを析出させることが好ましい。フッ化カルシウムの生成反応に伴ってpHが変化する場合は、晶析反応槽10にpH調整剤を適宜添加しうるように構成することが望ましい。フッ化カルシウム析出の際のpHは、pHメータ等のpH測定手段を用いて、晶析反応槽10内の反応場のpHを測定し、測定されたpHに応じて、酸またはアルカリ等のpH調整剤を槽内に添加することにより、pHを制御することができる。pHメータは、フッ化カルシウム析出反応の反応場のpHをモニタできるのであれば、晶析反応槽10のいずれの部分に設置されてもよく、原水の導入部付近、晶析反応槽10からの処理水の出口付近等特に限定されるものではない。同様にリン酸カルシウムを析出させる場合には、pH6〜13、微粒子生成抑制等の点からpH6〜8の条件下でリン酸カルシウムを析出させることが好ましい。
pH調整剤を晶析反応槽10へ添加するpH調整剤添加手段は、pH調整剤を晶析反応槽10に添加できるものであれば任意の態様が可能である。pH調整剤貯留槽からpH調整剤添加配管を介して、pH調整剤が晶析反応槽10に添加されてもよい。pH調整剤添加手段としては、pH調整剤添加配管を晶析反応槽10の任意の部位に接続し、当該配管を介してpH調整剤を晶析反応槽10の任意の部位に直接添加する態様であってもよいし、原水添加配管または晶析剤添加配管の少なくとも1つにpH調整剤を添加する態様であってもよい。
pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の酸または水酸化ナトリウム等のアルカリ等を用いることができる。
原水添加配管36、晶析剤添加配管38、種晶添加配管40およびpH調整剤添加配管42は晶析反応槽10の任意の部分に接続することができる。図1のような撹拌式の晶析反応槽の場合は、原水添加配管36、晶析剤添加配管38、種晶添加配管40およびpH調整剤添加配管42は、析出物およびペレットと処理水の分離という観点から、晶析反応槽10の上部に接続されるのが好ましい。また、図1においては、原水添加配管36、晶析剤添加配管38、種晶添加配管40およびpH調整剤添加配管42はそれぞれ1つであるが、これに限定されるものではなく、これらが複数設けられていてもよい。流動床式の晶析反応槽の場合は、晶析反応槽内に上向流を形成すると効率的に晶析反応を行うことができるという観点から、原水添加配管、晶析剤添加配管、種晶添加配管およびpH調整剤添加配管は晶析反応槽の下部、特に底部に接続されるのが好ましい。
本実施形態において、晶析反応槽に反応槽内の流体を撹拌する撹拌羽根等を備える撹拌装置を設け、その撹拌流によって反応槽内に素早く拡散しうる領域に、原水および晶析剤のうち少なくとも1つを注入することが好ましい。例えば、原水および晶析剤のうち少なくとも1つの注入点が、撹拌羽根等による撹拌流速が大きい領域に設けられること、撹拌羽根等の近傍に設けられることが好ましい。特に、原水および晶析剤のうち少なくとも1つの注入点の、撹拌羽根の回転軸方向の高さは、撹拌羽根の回転中心から、撹拌羽根の回転半径の2倍以内の距離であることが好ましい。また、撹拌羽根の回転径方向の位置は、撹拌羽根の回転中心から、撹拌羽根の回転半径の2倍以内の距離であることが好ましい。さらに、中心が撹拌羽根の回転中心であって、半径が撹拌羽根の回転半径の2倍である球状の領域内に設けられることが好ましい。これにより、晶析対象物質や晶析剤は、晶析反応槽内へ注入されると直ちに拡散せしめられ、その濃度が素早く低下する。このため、形成された塩が液中に直接析出することが少なくなり、粒状種晶上の難溶性塩の結晶として液中の晶析対象物質をじっくりと取り込むことができる。したがって、処理水に混入する難溶性塩粒子の量を極めて少なくすることができ、粒径の大きな難溶性塩粒子を安定的に得て、晶析対象物質の回収率を大きく向上させることができる。
また、pH調整剤の注入点も、撹拌羽根等による撹拌流によって反応槽内に素早く拡散しうる領域に設けることが好ましい。pH調整剤を水面へ滴下する等、撹拌流速の小さい領域にpH調整剤を注入すると、局所的にpHの高い領域が生じるため、その領域においてフッ化カルシウム等の難溶性塩微粒子の直接生成を促しやすい。しかしpH調整剤を注入後に素早く拡散せしめるようにすれば、局所的にpHの高い領域が生じることが極めて少なくなり、晶析反応によらない難溶性塩微粒子の直接生成を抑制することができる。従って、pH調整剤を撹拌流速が大きい領域へ吐出することで、晶析対象物質の回収率をさらに向上させることができる。
晶析反応槽の水面下に、筒内に撹拌装置の撹拌羽根等が位置するようにドラフトチューブを設置することも好ましい。図2にドラフトチューブ54を備える晶析反応槽10の概略構成図を示す。
このとき、撹拌羽根等は下降流を形成するものであることが好ましい。このようにドラフトチューブ54を設置すると、チューブ下部に向けて下降流が生じ、拡散流速が比較的大きいゾーンが形成される。このため、原水や晶析剤等をより素早く拡散させることができ、原水や晶析剤の濃度が局所的に濃い領域同士が接触して、難溶性塩粒子の直接生成が生じることを極力抑制することが可能となる。
また、上記のようにドラフトチューブ54および撹拌羽根等を設置すると、チューブ外周部には流れのゆるやかな上向流ゾーンが形成される。このゾーンでは、粒子が分級されて小粒径の粒子はチューブ外側面に沿って上昇すると共に、チューブ上端からチューブ内部に再侵入して下降し、原水や晶析剤等の注入点付近やその下部の撹拌ゾーンへと再循環する。これら小粒径の結晶が核となって晶析反応を促進せしめる。このため、粒径の大きな難溶性塩の結晶を安定的に形成せしめることが可能となり、晶析対象物質の回収率を向上させることができる。
さらに、晶析反応が進んで粒径が大きくなった結晶は、チューブ外周部の上向流によっては上昇せず、下に沈んで再びドラフトチューブ54内には入り込まないため、成長した結晶が撹拌羽根等との衝突により破壊されてしまうことを防止することができる。このような利点も、粒径の大きな難溶性塩の結晶を安定的に得ることに寄与し、ひいては晶析対象物質の回収率の向上に寄与することができる。
チューブ下部に撹拌流速の比較的大きいゾーンを形成し、チューブ外周部に上向流を安定的に形成するためには、撹拌羽根等が、チューブ内でチューブ下半分の何処かに位置することが好ましい。より好ましくは、チューブ下端より少し上方の位置がよい。このような配置とすれば、撹拌流速の大きなゾーンがチューブ下端付近に渦のように形成され、さらにそこから上向流がチューブ外周部に沿って安定的に形成される。従って、原水や晶析剤等の拡散や、粒子の分級を効果的に進めることできる。
ドラフトチューブ54を設ける場合、原水や晶析剤、さらにはpH調整剤の注入点は、これらをドラフトチューブ54内の下降流に乗せて素早く効果的に拡散させるために、ドラフトチューブ54の筒内に配することが好ましい。より好ましい位置は、ドラフトチューブ54の筒内且つ撹拌羽根等の上方である。
晶析反応槽10内または処理水中の溶解性のフッ素濃度等の晶析対象物質濃度を測定するために、フッ素濃度計等の晶析対象物質濃度測定手段を晶析反応槽10または処理水排出配管44に設置してもよい。また、晶析反応槽10内または処理水中の溶解性カルシウム等の晶析剤濃度を測定するために、カルシウム濃度計等の晶析剤濃度測定手段を晶析反応槽10または処理水排出配管44に設置してもよい。晶析反応槽10内でのフッ素濃度計、カルシウム濃度計等の設置位置は特に限定されるものではないが、例えば、処理水中の濃度を測定する場合には、晶析反応槽10の出口付近に設置することができる。
晶析反応槽10において晶析反応により生じる晶析対象物質が低減された処理水は晶析反応槽10の外部に排出される。処理水は、晶析反応槽10における液体の流れに従って任意の部分から排出されうる。図1では、晶析反応槽10の上部から排出される処理水は、処理水排出配管44を通って最終的に系外に排出される。また、流動床式の晶析反応槽内で上向流が形成される場合には、晶析反応槽の上部から処理水が排出される。晶析反応槽10の後段に処理水貯留槽を設置してもよい。
得られる処理水において、例えばフッ素濃度はフッ化カルシウム等の非溶解性フッ素を含む全フッ素として通常500mg−F/L以下、溶解性のフッ素イオンとして通常50mg−F/L以下程度であり、リン濃度はリン酸カルシウム等の非溶解性リンを含む全リンとして通常50mg−P/L以下、溶解性のリン酸イオンとして通常5mg−P/L以下程度である。カルシウム濃度は、晶析対象物質がフッ素の場合はpH2〜3で、溶解性のカルシウムイオンとして通常50mg−Ca/L程度であり、晶析対象物質がリンの場合はpH6〜8で、溶解性のカルシウムイオンとして通常10mg−Ca/L程度であるが、これらに限定されるものではない。
原水を処理して得られた処理水をさらに沈殿槽において処理してもよい。沈殿槽においては、例えば晶析対象物質がフッ素の場合、pHを3〜12、好ましくは4〜11とすることでフッ化カルシウムを生成させて、フッ素を沈殿除去することにより、さらにフッ素濃度が低減された上澄水を得ることができる。例えば晶析対象物質がリンの場合、pHを8〜13、好ましくは9〜12とすることでリン酸カルシウムを生成させて、リンを沈殿除去することにより、さらにリン濃度が低減された上澄水を得ることができる。
本実施形態に係る晶析反応装置および晶析反応方法により、晶析反応槽10内で難溶性塩の結晶を析出させることにより、原水中の晶析対象物質が難溶性塩の結晶として回収され、晶析対象物質が低減された処理水が生じる。本実施形態においては、晶析対象物質素の回収率(1−(処理水中の晶析対象物質量/原水中の晶析対象物質量))として、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらにより好ましくは90%以上を達成できる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
種晶として、天然鉱石の蛍石を用いた場合(比較例1)と、天然の蛍石を成長させたフッ化カルシウム結晶を粉砕したものを用いた場合(実施例1〜7)とで実験を行い、その処理水のフッ素濃度を比較した。実験に用いた蛍石、晶析反応槽で生成した結晶、粉砕後の粉砕結晶の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布計(ベックマンコールター(株)製、LS230型)で測定した。均等係数は、粒度分布のデータより算出した。
<実施例1>
下記条件で、晶析処理を行った。生成した結晶の一部を引き抜き、引き抜いた結晶を粉砕し、粉砕した結晶の一部を晶析反応槽へ返送した。生成した結晶の重量の1.05倍になるように結晶を引き抜いた。引き抜き量は、14.7kg/day、種晶補給量(返送量)は、0.74kg/dayとした。すなわち、生成した結晶の5重量%になるように結晶を返送した。また、粉砕結晶の体積平均粒径は9.8μm、均等係数は2.9とした。
原水:フッ素含有原水
晶析剤:塩化カルシウム
晶析反応槽:150L(500mmφ×1200mmH)
晶析反応槽pH:2.5±0.5
pH調整剤:水酸化ナトリウム
原水のフッ素濃度:10,000mg/L
原水流量:30L/hr
初期充填種晶:天然鉱石の蛍石
初期結晶濃度:30重量%
脱水装置:フィルタプレス
粉砕装置:ジェットミル
運転時間:50日間
原水添加配管および晶析剤添加配管の注入点は、撹拌羽根に対して100mm高い位置に設置した。また、使用したドラフトチューブは直径が250mmで、上端が水面から150mm、下端が撹拌羽根下150mmに位置するように設置した。種晶の晶析反応槽への供給は間欠的(24時間に1回の頻度)に行った。結果を表1に示す。なお、ここでいう処理水フッ素濃度は、SS性のフッ素(=フッ化カルシウム)と溶解性のフッ素を含む全フッ素濃度である。
実施例1および以下の実施例2〜7において、引き抜いたスラリの含水率は、50重量%〜60重量%、脱水後の結晶の含水率は、7〜8重量%であった。
<実施例2,3>
粉砕条件を変更して、粉砕結晶の体積平均粒径、均等係数を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして実験を行った。結果を表1に示す。
比較
種晶の返送量を、表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして実験を行った。比較では、種晶補給量(返送量)は、3.69kg/day(生成した結晶の26重量%)、比較では、種晶補給量(返送量)は、0.07kg/day(生成した結晶の0.5重量%)とした。結果を表1に示す。
<実施例
結晶の引き抜き量を、表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして実験を行った。実施例では、引き抜き量は、29.5kg/day(生成した結晶の重量の2倍)、実施例では、引き抜き量は、11.8kg/day(生成した結晶の重量の0.8倍)とした。返送量は、引き抜いた結晶の5重量%になるように返送した。結果を表1に示す。
<比較例1>
種晶として、天然鉱石の蛍石を用いた以外は実施例1と同様にして実験を行った。なお、用いた天然蛍石の体積平均粒径は25μmで、均等係数は8.9であった。結果を表1に示す。
Figure 0005058129
表1からわかるように、実施例1〜のようにして、引き抜いた結晶の少なくとも一部を粉砕し、粉砕した結晶の少なくとも一部を晶析反応槽へ返送することにより、良好な水質の処理水を得ることができた。
本発明の実施形態に係る晶析反応装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の実施形態に係る晶析反応装置における晶析反応槽の一例を示す概略構成図である。 従来の晶析反応装置の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1,60 晶析反応装置、10,62 晶析反応槽、12,64 原水貯槽、14,66 晶析剤貯槽、16,68 種晶添加装置、18 スラリ貯槽、20 脱水装置、22 粉砕装置、24,26 撹拌装置、28,30,32 ポンプ、34 バルブ、36 原水添加配管、38 晶析剤添加配管、40 種晶添加配管、42 pH調整剤添加配管、44 処理水排出配管、46 スラリ排出配管、48 スラリ配管、50 沈殿部、52 界面、54 ドラフトチューブ。

Claims (3)

  1. フッ素を含む原水にカルシウム剤を添加してフッ化カルシウムの結晶を生成させる晶析反応方法であって、
    前記原水に前記カルシウム剤を添加してフッ化カルシウムの結晶を生成させる晶析反応工程と、
    前記生成した結晶を引き抜く引抜工程と、
    前記引き抜いた結晶の少なくとも一部を粉砕する粉砕工程と、
    前記粉砕した結晶の少なくとも一部を前記晶析反応工程へ返送する返送工程と、
    を含み、
    前記返送工程において、前記生成した結晶の5重量%〜25重量%の範囲の量の結晶を返送することを特徴とする晶析反応方法。
  2. 請求項に記載の晶析反応方法であって、
    前記引抜工程において、前記生成した結晶の重量の1.001倍〜1.25倍の範囲の量になるように結晶を引き抜くことを特徴とする晶析反応方法。
  3. 請求項1または2に記載の晶析反応方法であって、
    前記粉砕した結晶の体積平均粒径は、1μm〜50μmの範囲であることを特徴とする晶析反応方法。
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