以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同一又は類似の構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
図1を参照して、本発明を適用し得る実施形態1の開閉具1について説明する。図1は、開閉具1を説明する斜視図であり、(A)は閉鎖位置P1、(B)は待機位置P2、(C)は開放位置P3にそれぞれ配置された状態の開閉具1を示す図である。なお、(C)においては、把手部31,32の図示は省略している。
ここで、閉鎖位置P1は、後述する袋Yの取出口Tを閉鎖(密閉)する位置であり、開放位置P3は、取出口Tを開口させて袋Yに収納されている内容物の取り出しを可能にする位置であり、そして、待機位置P2は、閉鎖位置P1から開放位置P2へ、あるいはこの逆に開放位置P2から閉鎖位置P1へ移行する際の途中の位置である。なお、以下の説明では、「開封部11,12を閉鎖位置P1、待機位置P2、開放位置P3に配置する」と、「開閉具1を閉鎖位置P1、待機位置P2、開放位置P3に配置する」とは同じ意味で使用する。
開閉部1は、図1(A)〜(C)に示すように、一対の開封部10(一方の開封部11,他方の開封部12)と、一対のヒンジ部20(一方のヒンジ部21,他方のヒンジ部22)と、一対の把手部30(一方の把手部31,他方の把手部32)を備えており、全体が1枚の板状の部材によって一体的に構成されている。なお、図示例では、さらに、密閉部64が付加されている。
なお、以下の説明では、開閉具全体が一体に構成されているものは、適宜「1ピース構造」という。また、開閉具全体が複数(2つ)の部材で構成されているものは、適宜「2ピース構造」という。また、以下で説明する開閉具は、特にことわらない限り、1ピース構造である。
一対の開封部10のうちの、一方の開封部11は、長板状の部分であり、長手方向に整列された複数(2つ)の関節部11A,11Bを相互に屈曲可能に接続することによって構成されている。一方の関節部11Aは、一方の端部が開封具1の背面D2側に設けられた接続部U1を介して、後述するヒンジ部21の部分21aに接続され、他方の端部が同じく背面D2側に設けられた接続部U3を介して、他方の関節部11Bに接続されている。
この関節部11Bは、他方の端部が同じく背面D2側(裏面側)に設けられた接続部U2を介して、後述するヒンジ部22の部分22aに接続されている。上述のように、接続部U1,U2,U3はいずれも開封具1の背面D2側に設けられており、これら接続部U1,U2,U3の正面D1側(表面側)には、接続部U1,U2に対応してそれぞれ「V」字形の溝V1,V2が、また、接続部U3に対応してスリット状の溝V3が形成されている。
これら接続部U1,U2,U3、及び溝V1,V2,V3は、図1(A)〜(C)に示すように、関節部11A,11Bの外側への屈曲、つまり、スリットSから離れる方向への屈曲を可能にするものであり、また、図1(A)に示すように、開封部11,12の閉鎖位置P1においては、他方の開封部12や把手部31,32に対しても連続するように設けられている。一方の開封部11の長手方向に沿った側面のうちの、(A)に示す他方の開封部12に対面する側には、対向面(対向部)11aが形成されている。この対向面11aは、後述する他方の開封部12の対向面(対向部)12aと、スリットSを介して対向している。
他方の開封部12は、上述の一方の開封部11と同様に形成されている。すなわち、他方の開封部12は、長板状の部分であり、長手方向に整列された複数(2つ)の関節部12A,12Bを相互に屈曲可能に接続することによって構成されている。一方の関節部12Aは、一方の端部が開封具1の背面D2側に設けられた接続部U1を介して、後述するヒンジ部21の部分21bに接続され、他方の端部が同じく背面D2側に設けられた接続部U3を介して、他方の関節部12Bに接続されている。
この関節部12Bは、他方の端部が同じく背面D2側(裏面側)に設けられた接続部U2を介して、後述するヒンジ部22の部分22bに接続されている。上述のように、接続部U1,U2,U3はいずれも開封具1の背面D2側に設けられており、これら接続部U1,U2,U3の正面D1側(表面側)には、接続部U1,U2に対応してそれじれ「V」字形の溝V1,V2が、また、接続部U3に対応してスリット状の溝V3が形成されている。
これら接続部U1,U2,U3、溝V1,V2,V3は、図1(B),(C)に示すように、関節部12A,12Bの外側への屈曲、つまり、スリットSから離れる方向への屈曲を可能にするものである。開封部12の長手方向に沿った側面には、(A)に示す閉鎖状態において、開封部11の対向面11aに、スリットSを介して対向する対向面(対向部)12aが形成されている。なお、例えば、開閉具1を合成樹脂によって形成すれば、接続部U1,U2,U3は、弾性変形が可能となり、後に説明する開放位置P3に配置された開封部11,12を、待機位置P2に向けて付勢することが可能となる。
ヒンジ部21,22は、略直方体状の部材であり、上述の開封部11,12をその長手方向(スリットSの長手方向)の両端部でそれぞれ連結している。ヒンジ部21,22には、表面側の中央に、上述のスリットSにつながる切り込みKが形成されている。ヒンジ部21,22は、この切り込みKによって、一方の開封部11に繋がる部分21a,22aと、他方の開封部12に繋がる部分21b,22bとに分けられている。
ヒンジ部21,22は、上述の切り込みKが正面D1側(表面側)にのみ形成されていて、背面D2側(裏面側)は揺動中心となる連結部Hが残されている。つまり、ヒンジ部21は、部分21aと部分21bとがこの連結部Hによって揺動可能に連結されている。同様に、ヒンジ部22は、部分22aと部分22bとがこの連結部Hによって揺動可能に連結されている。
開閉具1全体は、これらヒンジ部21,22の連結部H,Hを基準として揺動可能に構成されていて、図1(A)に示す閉鎖位置P1と、(B)に示す待機位置P2、(C)に示す開放位置P3との間を揺動する。なお、例えば、開閉具1を合成樹脂によって形成すれば、連結部Hは、弾性変形が可能となり、開放位置P2に配置された開封部11,12を、閉鎖位置P1に向けて付勢することが可能となる。
把手部31,32は、長板状の部分であり、上述の開封部11,12の長手方向の略中央部近傍から、それぞれスリットSから遠ざかるように設けられている。把手部31,32の中心には、上述の開封部11,12の接続部U2及び溝V3が延長して連続するように形成されている。これら把手部31,32は、使用者がそれぞれ異なる指(例えば、人差し指と親指)で下方に向けて押すことで開閉具1の開封部11,12を小さな力で開放することができる。なお、図示例では、把手部31を、把手部32よりも長く形成しているが、同じ長さであってもよい。
図1(A)に示すように、スリットSは、密閉部64によって密閉されている。密閉部64は、断面矩形のレール状に形成されていて、開閉具1の正面(D1)側を全長にわたって覆うように設けられている。密閉部64には、一方の端部にツマミ64aが取り付けられていて、このツマミ64を引っ張ることにより、全体を切除することができ、これにより、スリットSが露出されるようになっている。
こうして、密閉部64が切除されて、図1(A)に示す閉鎖位置P1に配置されている開閉具1に対し、把手部31を矢印K1方向に押して、ヒンジ部21,22の連結部H,Hを基準として、開封部11の背面D2側が、開封部12の背面D2側に合わさるように屈曲させることにより、図1(B)に示す待機位置P2に移動させることができる。この待機位置P2においては、開封部11,12のそれぞれの対向面11a,12は、相互に離間されて、図1(B),(C)中の上方((C)に示す開口部Nに交差する方向)を向くことになる。
図1(B)の待機位置P2から、さらに、ヒンジ部21,22を、(C)に示すように、相互に位置を近接させる方向(矢印P方向)に押すことにより、開封部11,12を開放位置P3に配置することができる。これにより、開封部11,12の対向面11a,12aは、「く」字形に屈曲されるとともに、両者間に四角形状の開口部(開口面)Nが形成される。この開口部Nは、後述する袋Yから、袋Yに収納されている内容物を取り出す際の開口部となる。ここで、例えば、内容物が粒状や粉状である場合、開閉具1を図1(C)に示すように開口させた後、開口部Nが斜め下方を向くようにして内容物を注ぎ出す(取り出す)ことになるが、この際、これらの内容物は、上述の対向面11a,12aには接触しない。
このため、内容物が対向面11a,11bに付着することがなく、したがって、開封部11,12を図1(A)に示す閉鎖位置P1に復帰させた場合に、スリットSに内容物が挟まってスリットが閉じなくなる、といった不具合は発生しない。
なお、これら対向面11a,12aには、相互に係脱可能な嵌合部43が形成されていて、開封部11,12を閉鎖位置P1に配置した際に、相互に係合されて密閉性を高めるようになっている。嵌合部43の形状等については、後に説明する。
図2は、開閉具1の変形例である開閉具2を説明する図であり、(A)は閉鎖位置P1、(B)は待機位置P2、(C)は開放位置P3にそれぞれ配置された開閉具2の斜視図である。図2に示す例では、一方の開封部11を、3つの関節部11C,11D,11Eを溝部V4,V5を介して接続することによって構成し、また、他方の開封部12を、3つの関節部12C,12D,12Eを溝部V4,V5を介して接続することによって構成している。
この例によれば、開放位置P3に配置された開封部11,12は、六角形状の開口部Nを形成することになる。なお、開封部11,12をそれぞれ4つの関節部を接続して構成するようにすれば、この開封部11,12を開放位置P3に配置した際には、開口部Nは八角形状となる。なお、本発明においては、各開封部11,12を構成する関節の数によって、開口部Nを構成する多角形の形状が変わる。さらに、一方の開封部11と他方の開封部12とを構成する関節部の数を変更することも可能である。
例えば、開封部11の関節部を2つとし、開封部12の関節部を3つとすれば、開口部Nは五画形状となる。これにより、例えば、粒状,粉状の内容物を開口部Nから注ぎだす際に、開口部Nを構成する開封部11,12のうち、関節部が2つの開封部11側が下側に位置するようにすれば、内容物は、2つの関節部の間の「V」字形の谷状の部分を通過するので取り出し量(流量)を少なくすることができ、これに対し、関節部が3つの開封部12側が下側に位置するようにすれば、内容物は、主に3つの関節部のうちの真ん中の平らな関節部上を通過するので、取り出し量を多くすることができる。このように、開口部Nを構成する開封部11,12の関節部の数を適宜に変更することにより、開口部Nの形状を変えたり、内容物の取り出し量を変えたりすることが可能である。
図3(A)〜(E)は、それぞれ開封部11,12の形状(スリットSの形状)が異なる開閉具1の変形例を説明する斜視図である。(A)に示す開閉具1は、図1に示すものと同様である。(B)に示す開閉具1は、開封部11,12が正面D1側(表面側)に立体的に凸状に湾曲している。このため、開閉具1を待機位置P2(図1参照)から開放位置3に配置するのが容易であり、また、開口部Nの形状が、各辺が外側に湾曲した四角形状となる。(C)に示す開閉具1は、開封部11,12が背面D2側(裏面側)に立体的に凸状に湾曲している。このため、開口部Nの形状が、各辺が内側に湾曲した四角形状となる。(D),(E)に示す開閉具1は、それぞれスリットSが平面内で、上に凸、下に凸に屈曲するように、開封部11,12が形成されている。これらによると、開口部Nが、立体的に凹凸を有する開口部となる。
図4(A),(B),(C)は、それぞれ異なる開封部12(又は開封部11)のロック機構を説明する斜視図である。(A)に示すロック機構は、開封部12の関節部12Bの端面に、先端側に上下に延びる凸条12qを有する凸部12Pを設け、この凸条12qを、関節部12Aの端面に形成された窓部12rの1つの端縁12r1に係合させることで、開封部12を開放位置P3にロックするものである。(B)に示すロック機構は、関節部12Bの端面に、上面に半球状の突起12sを有する凸部12Pを設け、この突起12sを、関節部12Aの端面に形成された窓部12rの1つの端縁12r2に係合させることで、開封部12を開放位置P3にロックするものである。(C)に示すロック機構は、関節部12A,12Bのそれぞれの近接する端面を、接続部12vで接続されて屈曲可能な2枚の板状の連結板12t,12uで連結するものである。
これらのロック機構により、開放位置P3に配置された開封部11,12によって形成される開口部Nの形状を保持することができ、例えば、内容物の取り出し中の開口部Nの形状が変化して、内容物の取り出し量が突然変化することを防止することができる。
図1に示す開閉具1は、図5に示すように、袋Yのスリット状の取出口Tを覆うように設けられる。ここで、袋Yとしては、四方シール袋を例に、また、開閉具1をこの袋Yの1つの角部Y1近傍に斜めに取り付ける場合を例に説明する。なお、後述するように、袋Yとしては、四方シール袋以外の他の種々の袋を使用することができ、また、開閉具1も角部に限らず、他の取り付け場所に取り付けることも可能である。
上述の開閉具1が取り付けられる袋(パウチ)Yは、2枚の矩形(又は方形)の表側のシート材Aと裏側のシート材Bとを、それぞれ4辺で接着して周縁に接着部Cを設けたものである。シート材A,Bとしては、紙,合成紙,合成樹脂フィルム、金属フィルム,異なる素材のものを積層したラミネートフィルム,バイオプラ等を使用することができる。また、合成樹脂フィルムとしては、ナイロン,ポリエステル,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレン,EVA,EVOH,PVA,PVC,PVDC等を使用することができる。
なお、以下の説明では、シート材A,Bのそれぞれ外側を向いた面を外面A1,B1、内側を向いた面を内面A2、B2とする。これに従うと、シート材A,Bは、それぞれの内面A2,B2の周縁を接着して、接着部Cを設けたということになり、また、開閉具1は、袋Yを構成する表側のシート材Aの外面A1に設けるということになる。
図2に示す例では、開閉具1は、その開封部11,12が、袋の1つの角部Y1を横切るように取り付けられている。図2(C)に示すように、袋Yを構成する表側のシート材Aには、袋Yの角部Y1を横切るようにスリット状の取出口Tが斜めに形成されている。この取出口Tは、袋Yに収納されている内容物(不図示)を袋Yの外部(外側)に取り出すためのものである。ここで、内容部としては、飴,ガム,スナック菓子等の菓子類、塩,胡椒,唐辛子等の調味料、最近流行のサプリメント等があげられ、粒状,粉状,タブレット状等の、液体以外の任意のものが考えられる。ただし、本発明においては、内容物としては、一度に多量に使用しないで、少しずつ、多数回にわたって頻繁に使用するものに対して、特に有効である。つまり、開閉具1としては、頻繁に開閉される袋Yに取り付けられると好適である。
上述のシート材Aにおける取出口Tを境に相互に対向する端縁のうち、一方(角部Y1側)を端縁A3とし、他方(角部Y1とは反対側)を端縁A4とすると、これらはスリット状の取出口Tに沿って形成されている。なお、端縁A3,A4には、狭義の線状の端縁だけでなく、この近傍の帯状の領域も含むものとする。すると、端縁A3,A4には、シート材Aの外面A1側と内面A2側とができる。図2に示す例では、開閉具1は、シート材Aの外面A1側に接着されている。すなわち、シート材Aの外面A1における端縁A3に一方の開封部11(の裏面)を接着し、端縁A4に他方の開封部12(の裏面)を接着している。これにより、開閉具1が閉鎖位置P1にあるときには、シート材Aのスリット状の取出口Tと開閉具1のスリットSとが略一致することになる。このため後述するように、スリットSを開くと、同時に取出口Tが開かれて開口されることになる。
なお、以下、このように、シート材A(又はシート材B)の外側(外面A1側)から開閉具を取り付ける(接着する)貼り方を、適宜「表面貼り」という。これに対し、後述するように、シート材Aの内側(内面A2側)に開閉具を取り付ける(接着する)貼り方を「裏面貼り」といい、さらに、開閉具の一部がシート材Aを貫通する取り付け方を「貫通貼り」という。
さらに、開閉具1は、ヒンジ部21,22の裏面が、シート材Aの外面A1における、接着部C近傍に接着され、また、把手部31,32が、シート材Aの外面A1に接着されている。なお、把手部31,32については、接着しないことも可能であるが、接着した場合には、開閉具1の開閉動作時における、開閉具1自体の動作及び袋Yの形状が安定する。このように、開閉具1は、袋Yの表側のシート材Aの外面A1に対し、外面A1のスリット状の取出口Tに、スリットSを合わせるようにして接着することにより、簡単に取り付けることができる。このため、開閉具1は、内部(内側)に内容物を収納して製品として完成した袋Yに対しても、例えば、製造時の最終工程で、あるいは最終工程が終了した後に別の工程として簡単に取り付けることが可能である。
また、開閉具1は、図5に示すように、袋Yの幅W(図5(A),(C)中における左右方向の長さ)よりもスリットSの長さの方が短い場合には、例えば、袋Yをその全幅にわたって開口する場合と比較して、開口部分が小さくなるため、細かい粒状、あるいは粉状の内容物を袋Yから取り出す際に、じょうろ(如雨露)のように、開口部分が絞れられるため、内容物が不要に大量に取り出されることを防止して、少しずつ取り出すことが可能となる。
なお、袋Yには、図2(A),(C)に示すように、接着部Cに、透孔C1を設けて、例えば、販売の際にフック等をこの透孔C1に引っ掛けるようにしてもよい。
図6に、袋Yのバリア性(密閉性)を向上させるために、バリア性基材(密閉シート)41を設けた例を示す。図66(A)はバリア性基材41の取り付け位置を示す図、(B)は(A)中のM6−M6線矢視図、(C)は別の例を示す(B)に相当する図である。図6(A),(B)に示すように、シート状のバリア性基材41を、取出口Tの全体を覆うように、表側のシート材Aの内面A2に貼着している。なお、これに代えて、(C)に示すように、バリア性基材41を、表側のシート材Aの外面A1側に貼着してもよい。
バリア性基材41としては、確実にバリア性を確保できるとともに、開閉具1の開放動作に伴って切断されることが必要であり、例えば、アルミ箔及びこれに相当するものを使用することができる。これにより、開封前の袋Yの密閉性を維持することができる。なお、図示例では、バリア性基材41は、略開封部11,12、ヒンジ部21,22を合わせた形状に倣って形成されている。なお、バリア性を持たせるための構成として、上述のバリア性基材41を設けずに、例えば、取出口Tを完全にカットしないで、シート材Aの厚みの10〜90%をカットしておき、バリア性を持たせながら、バージン開封性を保持するようにしてもよい。
図7に、取出口Tに篩部42として、篩部材42B〜42Fを設けた例を示す。取出口Tを開放して内容物を取り出す際、例えば、内容物が塩,胡椒,唐辛子等の場合には、取り出し量を規制することが好ましい。そこで、篩部材42B〜42Fを設けた。篩部材42B〜42Fは、いずれも、シート状部材を折り畳んで、表側のシート材Aと裏側のシート材Bの間に収納するものであり、一方の端縁42aを、取出口Tの一方の端縁A3に貼着し、他方の端縁42bを、取出口Tの他方の端縁A4に貼着している。また、篩部材42B〜42Fのうち、篩部材42B〜42Eは、塩や胡椒等に使用するものであり、多数の小孔42cが穿設されており、残りの篩部材42Fは、唐辛子等に使用するものであり、塩や胡椒用のものよりも大きい透孔42dが穿設されている。
また、篩部材42B,42D,42Fは、表側のシート材Aと裏側のシート材Bとの間における、取出口Tを境にて角部Y1から遠い側に収納され、篩部材42C,42Eは、近い側に収納されている。また、篩部材42B,42C,42Fは、2つ折りに形成されており、篩部材42D,42Eは、開閉具1の開閉を円滑に行うべく、4つ折りに形成されている。なお、篩部材としては、伸縮性のあるシート状の部材によって形成してもよい。
図8に示すように、袋Yの一部を切除することで、開閉具1の取り付け位置を変更することができる。図8(A)は袋Yの1つの角部Y2を斜めに切除して、開閉具1を横向きに付けた例を示し、(B)は袋Yの2つの角部Y1,Y2を斜めに切除して、開閉具1を横向きに付けた例を示している。なお、切除された部分には、新たに接着部Cを設けている。上述の図5に示す開閉具1は、袋Yの角部Y1に斜めに配設されていた。図5,図8(A),(B)に示すように、開閉具1の取付位置を変更することにより、内容物の取り出しやすさ、特に、内容物が粒状、粉状等の場合の、取り出しやすさ(流動性)をある程度調整することが可能である。例えば、同じ大きさの開閉具1の場合、上述の3例の中では、図8(B)のものが最も内容物の流動性が高く、図5に示すものが最も流動性が低い。
図9に、開閉具1を、種々の形態の袋Yに取り付けた例を示す。(A)は開閉具1が閉鎖位置(P1)及び開放位置(P2)にある状態のスタンディングパウチ袋、(B)は四方(五方)シール袋、(C)は三方(四方)シール袋、(D)はピロー袋(背貼り)、(E)はガゼット袋(自立可能)、(F)はガゼットピロー袋(背貼り)、(G)は平袋(チューブ),サイドシール袋を示している。なお、(B)〜(G)の各袋Yにおいては、いずれも開閉具1は、閉鎖位置に配置されている。また、(A)〜(G)に示す各袋Yは、適宜、角部を切除した例を示しているが、例えば、(D)〜(G)に二点鎖線で示すように、角部を切除しないで、これらの角部に開閉具1を取り付けるようにしてもよいのはもちろんである。
図10は、開閉具1をガゼット袋,ガゼットピロー袋に取り付けるための、これらの袋Yの前加工を説明する図である。これらの袋Yは、自立が可能であり、(A)に示すように、開閉具1の取付箇所は、表側のシート材Aと裏側のシート材Bの間に、シート材Aa,Bbが存在する4枚重ねの状態となっている。そこで、(A)に示す例では、裏面側の3枚のシート材B,Bb,Aaの斜線で示す部分に対応する部分を重ねて接着する。これにより、(C)に示すように、3枚のシート材B,Bb,Aaを、1枚のシート材Bと同様に取り扱うことが可能となる。また(B)に示す例では、4枚重なっていた部分の2枚分を切除部Yaとして切除して新たに接着部Cを設ける。これにより、1枚のシート材Aaを裏側のシート材Bとして取り扱うことができる。
このように、本実施形態1に係る開閉具1は、図9に示す種々の形態の袋Yに対して、その一部を切除したり接着したりすることにより、容易に適用させることができる。なお、開閉具1、及び後述する開閉具1,5が取り付けられた(適用された)袋Yが本発明に係る袋Yとなる。
図11(A)〜(G)は、開閉具1における密閉構造を説明する模式図である。なお、同図に示す開閉具1は、図3(B)に示す形状の開閉具1である。上述の図6に示すバリア性基材41を設けたとしても、このバリア性基材41は、開閉具1をはじめて開放した際に切断されるため、その後の袋Y内の密閉性には役に立たない。そこで、図11(A)に示すように、開閉具1が閉鎖位置P1に配置された際に、開封部11,12におけるスリットSを介して相互に対向する対向面(対向部)11a,12aに、相互に係脱可能な嵌合部43Aを設けた。なお、嵌合部43Aは、ヒンジ部21,22における対向面にかかるように設けてもよい。
嵌合部43Aは、例えば、図12(A)〜(F)に示すような、凸部と凹部、フックとフック等の組み合わせからなる係合部と被係合部とを、図11(A)に示す開封部11,12の対向面11a,12aの略全周にわたって設けることで構成されている。なお、図12(A)〜(F)の示す嵌合パターンのうちのいずれを選択するかは、必要とされる密閉性の高さに応じて決定するものとする。例えば、高い密閉性が要求される場合には、(B)に示すパターンを選択し、また、高い密閉性を要求されない場合には、(F)に示すものを選択する。なお、高い密閉性を実現する嵌合パターンは、低い密閉性のものと比べ、係脱時に大きな力が必要とされるため、開閉時の操作性は劣ることになる。
図11(B)に示す嵌合部43Bは、開封部11の内周面側に、開封部12の内周面側に入り込む羽根状凸部11bを設けて構成されている。
図11(C)に示す嵌合部43Cは、開封部11の外周面側に、開封部12の外周面側に係合可能な羽根状凸部11cを設けて構成されている。
図11(D)に示す嵌合部43Dは、開封部11の外周面を他方の開封部12側に延長するように半円筒状のフード11d1を設け、このフード11d1の内側に延びる羽根状凸部11d2を設け、この羽根状凸部11d2を、他方の開封部12の、対向面12aとは反対側の面12bに係合させるものである。
図11(E)に示す嵌合部43Eは、開封部11の外周面側に、羽根状に粘着部11eを設け、その内面に粘着剤を塗布して、開封部12の外周面に粘着させるものである。
図11(F)に示す嵌合部43Fは、図11(E)に示す粘着部11eを対向面とは反対側に延長して、延長部分の一部11fを開封部11の外周面に接着させたものである。
図11(G)に示す嵌合部43Gは、図11(A)に示す嵌合部43Aと、図11(B)に示す嵌合部43Bとを組み合わせたものである。
図13(A)は、袋Yの一辺の略全幅にわたって取出口Tが形成された例を示し、(B)は取出口T全体を覆う開閉具1の例を示す図である。このように、開閉具1は、袋Yの全幅あるいは全高(高さ方向の全長)にわたって設けることも可能であり、特に、全幅あるいは全高の小さい袋Yの取出口Tを大きく開口するのに有効である。なお、図13(A)に示すように、表側のシート材Aにおける取出口Tよりも上の部分(斜線部分)は、図5(C)に示すものと同様、裏側のシート材Bに接着するとよい。
この際、斜線部分全体に代えて、斜線部分のうちの取出口Tに沿った帯状の部分を接着するようにしてもよい。これにより、取出口Tを開口させて、内容物と取り出す際に、裏側のシート材Bが邪魔になりにくい。また、図13(A),(B)に示すように、袋Yの上端の接着部Cの、例えば、左右方向の略中央に、販売時等の陳列する際に、フック等に引っかけるための透孔C1を穿設するようにしてもよい。また、(B)中の一方の把手部31を袋Yの外側に延長し、この延長部分に透孔C1を設けるようにしてもよい。なお、図13(B)に示す例において、袋Yの裏側のシート材Bに、例えば、Y字形のライナー(骨:不図示)を設ければ、袋Yの積み重ねも可能となる。
図14(A),(B)に1ピース構造の開閉具1を、裏面貼りした例を示す。図14(A)は、図3(B)に示す開閉具1を、図5の例示とは異なり、表側のシート材Aの内面A2側に接着した例を示し、(B)は、図13に示す開閉具1を、図13の例示とは異なり、表側のシート材Aの内面A2側に接着した例を示している。裏面貼りに使用する開閉具1は、表面貼りする開閉具1に対して、溝V1,V2,V3と、接続部U1,U2,U3との位置を逆にする。
すなわち、表面貼りに使用する開閉具1は、図1に(A)に示すように、正面D1側(表面側)に溝V1,V2,V3を設け、シート材Aの外面A1に貼着(接着)される背面D2側(裏面側)に接続部U1,U2,U3が設けてある。これに対して、図4に示す裏面貼りに使用する開閉具1は、シート材Aの内面A2に貼着(接着)される正面D1側(表面側)に接続部U1,U2,U3を設け、背面D2側(裏面側)に溝V1,V2,V3を設けている。つまり、表面貼り、裏面貼りのいずれの場合でも、開閉具1は、シート材Aに貼着(接着)される側の面に接続部U1,U2,U3を設け、接着されない側の面に溝V1,V2,V3を設けている。
このように、開閉具1は、表側のシート材Aに対して、その外面A1ばかりでなく、内面A2に取り付ける(接着する)ことも可能である。この裏面貼りの場合には、開閉具1が袋Yの外部に露出しないので、例えば、袋Yの取り扱い中に、開閉具1が他のものに引っかかったりするおそれがない。
図15は、2ピース構造の(2パーツで構成された)開閉具5を説明する分解斜視図である。同図に示す例では、開閉具は、貫通貼りされている。同図に示すように、開閉具5は、まっすぐに延びるレール部材50と、このレール部材50に被覆する被覆部材60とを備えて構成されている。
レール部材50は、シート状のベース部51と、ベース部材51に立設されるとともに、ベース部51に沿って長く延びる一対の脚部52と、それぞれの脚部52の上端から外側に突出された一対の係合部53と、脚部52の長手方向の略中央の下側から外側に延びる把手部54とを有して構成されている。上述の脚部52と係合部53とは、一体となってレール本体55を構成している。レール本体55は、長手方向に直交する方向の断面形状が「L」字形のものを2つ合わせたように形成されている。レール本体55には長手方向にスリットSが形成されている。このスリットSは、レール本体55の長手方向の両端部に設けられた連結部Hを除いて、レール本体55の下端まで貫通している。つまり、レール本体55は、スリットSによって略2分されるとともに、揺動中心となる揺動部Hを基準として揺動可能に構成されている。
被覆部材60は、長手方向の中間に位置する本体61と、その長手方向の両端部に設けられたヒンジ対応部62,62(図16参照)とを備えており、下端側には、その長手方向の全長にわたって、上述のレール本体55に係合される溝部63が形成されている。この溝部63は、長手方向に直交する断面形状が、上述のレール部材50のレール本体55の断面形状と略同じに形成されている。被覆部材60は、長手方向に延びるスリットS1によって、左右の2パーツに分割されているが、これら2つのパーツは、スリットS1を埋めるように配置した密閉部64によって連結されている。したがって、被覆部材60は、後述するように、密閉部(バージンカット)64をその端部のツマミ64aを掴んで引き剥がす(切除する)と幅方向に分離されるようになっている。また、被覆部材60の長手方向の略中央には、被覆部材60の本体61の屈曲を可能とする溝(実線で図示)が形成されている。
なお、レール本体55や被覆部材60には、上述の溝を含め、これらの屈曲を可能にする、図1の開閉具1における接続部U1,U2,U3、溝V1,V2,V3に相当するものが適宜設けられているものとする。
図15に示す開閉具5は、あらかじめ袋Yに取り付けられたレール部材50に対して、被覆部材60を係合させることで、全体が構成される。図16(A)は、袋Yに取り付けられた開閉具5の上面図(平面図)であり、(B)は(A)中のM7−M7線矢視図である。これらの図に示す開閉具5は、2ピース構造である。
図15(B)に示すように、レール部材50は、ベース部51及び把手部54,54がシート材Aの内面A2に接着され、脚部52が取出口Tを内面A2側から外面A1側に貫通し、そして、係合部53がシート材Aの外面A1から少し浮いた状態で配置される。この状態のレール本体55(脚部52及び係合部53に対して、被覆部材60の溝部63の一方の端部に係合させ、この係合状態を保持して、さらに、被覆部材60をレール本体55に沿ってスライド移動させる。そして、被覆部材60の一方の端部が、レール本体55の他方の端部に到達すると、袋Yに対する開閉具5の取り付けが終了する。
次に、袋Yから内容物を取り出すに際し、まず、被覆部材60の密閉部64のツマミ64を引っ張って密閉部64を取り除く(一次開封)。これにより、被覆部材60が2つのパーツに分割されるが、これら2つのパーツは、それぞれがレール本体55に係合されているので、脱落することはない。この状態で、把手部54を表側のシート材Aの外面A1側から押し下げると、レール本体50及び被覆部材60が待機位置P2に配置される。
そして、ヒンジ部対応部62,62を近接させることにより、ベース部51のスリットSに対応する部分が切断されるとともに(二次開封)、スリットSが開いて開口部Nが形成され、内容物の取り出しが可能となる。なお、上述の開閉具5においては、レール本体55及び被覆部材60における、レール本体55の連結部H,Hに対応する部分がヒンジ部に対応し、レール本体55及び被覆部材60における、ヒンジ部に対応する部分以外の部分が開封部に対応している。
図15,図16に示す開閉具5は、上述のように、レール部材50と、被覆部材60との2パーツで構成し、レール部材50の脚部52を取出口Tに貫通させながら、把手部54,ベース部51を、表側のシート材Aの内面A2に接着する構成を採用しているため、袋Yの密閉性を向上させることができる。なお、この開閉具5は、後に図19を参照して説明するように、貫通貼りに代えて、全体を表面貼り、つまり、表側のシート材Aの外面A1側から貼着〈接着)することも可能である。
図17は、レール本体55の基端側に設けた密閉部52aを説明する図である。脚部52,52のそれぞれの内側の基端部に弾性変形可能な密閉部52a,52aが設けてある。開閉具5が閉鎖されて脚部52,52が綴じると、密閉部52a,52aが相互に当接して変形する。これにより、取出口Tの密閉性を向上させることができる。
図18は、被覆部材60に設けた開放補助具65を説明する斜視図である。開放補助具65は、把手65aを有しており、把手65aから遠い側の本体61に取り付けられるとともに、近い側の本体61に係脱可能な係合部(不図示)を有している。また、開閉補助具65には、屈曲を可能とするスリット状の溝65bが形成されている。また、本体61における、上述の溝65bに対応する部分にも本体61の屈曲を可能とする溝(不図示)が形成されている。
開閉具5を開放する際には、把手65aを斜め上方に引き上げることで、開放を円滑に行うことができ、一方、開閉具5を閉鎖した際には、開放補助具65の係合部が、本体61に係合されて、本体61,61が離間されることを防止する。つまり、ロックとして作用して、袋Yの取出口Tが不要に開口されることを防止する。
図19は、袋Yに対する、開閉具5の別な取り付け方法、つまり表面貼りした例を説明する上面図(平面図)である。袋Yにおいて、開閉具5のスリットSよりも角部Y1側は、表側のシート材Aは除去して、裏側のシート材Bのみとする。これにより、表側のシート材Aの端縁Y4と裏側のシート材Bとの間に取出口Tが形成されることになる。レール部材50のベース部51を、端縁Y4の上から接着する。
このとき、スリットSの位置が、端縁Y4と略一致するようにする。つまり、ベース部51の略半分が、裏側のシート材Bの内面B2に接着され、残りの半分が、表側のシート材Aの外面A1に接着される。以上で、袋Yに対するレール部材50の取り付けが終了する。その後、図15に示す例と同様に、レール本体55に被覆部材60を係合させてレール本体55を湾曲させることで、袋Yに対する開閉具5全体の取り付けが終了する。本例によれば、袋Yに対する開閉具5の取り付けが極めて容易である。
図20(A)は開閉具5におけるレール本体55の脚部52の基端部の内側に、密閉部R1を設けた例を説明する図であり、(B)は開閉具5における被覆部材60に嵌合部R2を設けた例を説明する図である。密閉部R1としては、上述の図17に示す密閉部52aを設けることができる。また、嵌合部R2としては、上述の図11,図12に示す嵌合部43Aを設けることができ、これにより、密閉性を向上させることができる。
また、図15等に示す開閉具5では、把手部54をレール部材50側に設けた例を説明したが、これに代えて、被覆部材60側に把手部54Aを設けるようにしてもよい。被覆部材60の長手方向の略中央には、横断するように、スリット状の溝V7が形成されている。(A)に示すレール部材50と(B)に示す整合部材60とを組み合わせて構成された開閉具5は、待機位置P2(図1(B)参照)に配置されて、その長手方向が短縮される方向の図1(C)に示す力Pが作用した際に、上述の溝V7から屈曲して、矩形の開口部を形成することができる。
図21を参照して、1ピース構造の湾曲形状で、表面貼り用の開閉具81について説明する。なお、この開閉具81は、上述の図3(B)の開閉具1と同じものである。図21(A)は閉鎖位置P1、(B)は待機位置P2、(C)は開放位置P3にそれぞれ配置された開閉具81の斜視図であり、(D)は開閉具81の変形例である開閉具81Aを示す斜視図である。
開閉具81は、図21(A)に示すように、開封部11,12が、正面D1側(表面側)に凸状となるように、緩やかなカーブを描いて立体的に湾曲している。開閉具81は、この開封部11,12が湾曲している点を除いて、図1に示す開閉具1と略同じ構成であり、袋Y(図5参照)に対して表面貼りされている。
使用に際し、(A)に示す閉鎖位置P1に配置されている開閉具81は、把手部31,32を押し下げることにより、一方の開封部12に対して、他方の開封部11が、ヒンジ部21,22の連結部H,Hを基準として略180度反転される。これにより、図21(B)に示す待機位置P2に配置される。この際、開封部11,12が湾曲されているため、開封部11,12の対向面11a,12aの間に小さな開口部が形成される。
この状態からさらに、(C)に示すように、ヒンジ部21,22の相互に近接させる方向(矢印P方向)に押圧すると、開封部11,12は、溝V3で屈曲されて開放位置P3に配置され、開口部Nを大きく開口する。このときの開口部Nの形状は、(C)に示すように、それぞれの辺が外側に緩やかに湾曲した四角形となる。この開口部Nから、袋Y内の内容物を取り出すことができる。なお、溝V3に、ロック機構(不図示)を設けておけば、開封部11,12を開放位置P3にロックすることができる。
図21(D)に示す開閉具81Aは、(A)〜(C)に示す開閉具81の構成を一部変更した変形例である。開閉具81Aは、裏面貼り用のもので、図21(A)に示す開閉具81とは、溝V1,V2,V3と接続部U1,U2,U3との位置が逆になる。すなわち、開封部11,12の正面D1側(表面側)に接続部U1,U2,U3が設けられ、背面D2側(裏面側)に溝V1,V2,V3が設けられている。他の構成は、開封部81と同様である。
なお、図21(A)〜(D)に示す例では、開封部11,12を、それぞれ2つの関節部11A,11Bと関節部12A,12Bとによって構成しているため、開口部Nの形状が略四角形となるが、これに代えて、それぞれの開封部11,12を3つの関節部,4つの関節部,5つの関節部で構成すれば、開口部Nの形状は、この順に六角形,八角形,十角形となる。
図22を参照して、2ピース構造で、平面状の開閉具82について説明する。ここで、図22(A)は被覆部材60を示す斜視図、(B)はレール部材50を示す斜視図、(C)はレール部材50の密閉部52aを説明する斜視図、(D),(E)はそれぞれ待機位置P2、開放位置P3を説明する斜視図、(F)は、(A)に示す被覆部材60の変形例を示す斜視図である。
図22(B),(C)に示すように、レール部材50は、ベース部51と、これに立設された脚部52及び係合部53からなるレール本体55を有しており、レール本体55の内面側の基端部には、密閉部52a(R1)が設けてある。一方、整合部材60は、スリットSを介してそれぞれの対向面61a,61a(図22(E)参照)が対向する一対の被覆部本体(以下「本体」という。)61,61と、これらの長手方向の両端を揺動可能に連結するヒンジ部対応部62,62とを有している。
本体61,61の長手方向の略中央からは、それぞれ外側に向かって把手部54A,54Aが延びている。そして、被覆部材60の表面側には、図21(A)の開閉具81のものと同様の溝V1,V2,V3が形成され、また裏面側には、図21(A)の開閉具81のものと同様の接続部U1,U2,U3が設けられている。以上のレール部材50を被覆部材60の長手方向に沿って設けられた溝部63に係合させることで、2ピース構造の開閉具82が構成される。こうして構成された2ピース構造で平面状の開閉具82の動作は、図1に示す1ピース構造で平面上の開閉具1の動作と略同様である。
図22(F)に示す被覆部材60Aは、(A)の被覆部材60の構成を一部変更したものである。すなわち、(A)では略直線上であった、本体61(関節部61A,61B)を表面側に凸状に立体的に緩やかに湾曲させたものである。他の構成は、被覆部材60と同様である。この変形例によると、本体61,61が開放位置に配置された際に、各辺が外側に緩やかに湾曲した四角形の開口部Nを形成する。
なお、図22(A)〜(F)に示す例では、本体61,61を、それぞれ2つの関節部61A,61Bによって構成しているため、開口部Nの形状が略四角形となるが、これに代えて、それぞれの本体61,61を3つの関節部,4つの関節部,5つの関節部で構成すれば、開口部Nの形状は、この順に六角形,八角形,十角形となる。
図23を参照して、1ピース構造、表面貼り用の開閉具87について説明する。図23(A)は閉鎖位置P1に配置された開閉具87の斜視図、(B)は開放位置P2に配置された開閉具87の斜視図である。
開閉具87は、スリットSを介して相互に対向する一対の開封部91,92と、これらの両端部をそれぞれ連結するヒンジ部93,94と、開封部91,92から外側に延びる把手部95,96を備えて構成されている。開封部91,92は直線状に延びるように構成されている。これに対し、ヒンジ部93,93は、開封部91,92の端部において、正面側(表面側)に屈曲するように構成されている。ヒンジ部93,94の表面側にはスリットSに対応する切り込みKが形成されていて、この切り込みにより、部分93a,93b、及び部分94a,94bに分けられている。切り込みKの裏面側には連結部Hが設けられている。この連結部Hが、開封部91,92の揺動中心となる。なお、スリットSの表面側は、ツマミ64aを有する密閉部64によって密閉されている。
上述構成の開閉具87は、一方の開封部96に対して他方の開封部95を、ヒンジ部93,94の連結部Hを基準として略180度反転させることで、部分93a,93bの裏面側相互が、また、部分94a,94bの裏面相互が合わさり、これにより、ヒンジ部93,94の弾性のよって、(B)に示す開放位置P2に配置され、対向面91a,92aの間に開口部Nを構成することができる。なお、対向面91a,92aには、上述の嵌合部43Aが設けられている。
開閉具87は、1ピースの極めて簡単な構成ありながら、しかも、輸送時や保管時には略平面状となるので、輸送性、保管性の優れたものとなる。
<実施形態2>
図24〜図36を参照して、本発明を適用し得る実施形態2の開閉具1について説明する。
ここで、図24は開閉具1を説明する図であり、(A)は閉鎖位置P1に配置された開閉具1の斜視図、(B)は開閉具1を(A)中の矢印M1方向から見た図、(C)は開放位置P2に配置された開閉具1の斜視図、(D)は開閉具1を(C)中の左側の矢印F1方向から見た図である。また、図25は開閉具1を袋(パウチ)Yに取り付けた状態を説明する図であり、(A)は正面図、(B)は(A)中のM3−M3線矢視図、(C)は袋Yの取出口Tを説明する図である。また、図26は開閉具1の開閉動作を説明する図であり、(A)〜(C)は図25(A)中のM4−M4線矢視図に対応していて、(A)は閉鎖位置P1、(B)は開閉途中、(C)は開放位置P2を示し、(D)は(C)中の矢印M5方向から見た図である。なお、以下の説明では、開封部11,12が閉鎖位置P1、開放位置P2に配置されたという代わりに、適宜、同じ意味で、開閉具1が閉鎖位置P1、開放位置P2に配置されたという。
図24(A)〜(D)に示すように、開閉具1は、一対の開封部10(一方の開封部11,他方の開封部12)と、一対のヒンジ部20(一方のヒンジ部21,他方のヒンジ部22)と、一対の把手部30(一方の把手部31,他方の把手部32)とを備えており、全体が1枚の板状部材で一体的に構成されている。さらに、本実施形態の開閉具1は、全体が略同一平面上に配置されている。つまり、全体が略平坦となっている。
なお、以下の説明では、開閉具全体が一体に構成されているので、適宜「1ピース構造」という。
開封部11,12は、長板状に形成されている。開封部11,12は、ヒンジ部21,22によって揺動可能に支持されており、図24(A),(B)に示す閉鎖位置P1と、図26(B)に示す待機位置P1´と、図24(C),(D)に示す開放位置P2との間を移動(揺動)することができるようになっている。開封部11,12は、閉鎖位置P1に配置された状態においては、一方の開封部11の側面である対向面(対向部)11aと他方の開封部12の側面である対向面(対向部)12aとがスリットSを介して対向した状態で、並べるように配置される。また、待機位置P1´に配置された状態においては、スリットSを中心に相互に90度ずつ屈曲されて、それぞれの背面側を合わせるように配置される。また、待機位置P1´から図24(C)中の矢印F1方向(開封部11,12の長手方向を短縮する方向)から押されて弾性変形して開放位置P2に配置された状態においては、対向面11a,12aは、相互に離間される。ここで、開口部Nの開口方向は矢印N1方向となり、これは、後述するように、袋Yから例えば、粒状,粉状の内容物を取り出す際の取り出し方向(図26(C)中の矢印K1方向)と略一致する。そして、上述の対向面11a,12aは、開口部Nの開口方向(矢印N1方向)に交差(図示例では直交)することになる。したがって、内容物を取り出す際には、粒状,粉状の内容物は、対向面11a,12a上を通過することなく、つまり接触することがないので、対向面11a,12aに付着することがない。このため、開封部11,12を閉鎖位置P1に配置した場合にも、スリットSに内容物が挟まるおそれがほとんどなく、スリットSに内容物が挟まることに起因する密閉性の低下を防止できる。
ヒンジ部21,22は、略半円状の部分であり、上述の開封部11,12をその長手方向(スリットSの長手方向)の両端部でそれぞれ連結している。ヒンジ部21,22には、表面側の中央に、上述のスリットSにつながる切り込みKが形成されている。ヒンジ部21,22は、この切り込みKによって、一方の開封部11につながる部分21a,22aと、他方の開封部12に繋がる部分21b,22bとに分けられている。ヒンジ部21,22は、上述の切り込みKが表面側にのみ形成されていて、裏面側は揺動中心となる連結部Hが残されている。つまり、ヒンジ部21は、部分21aと部分21bとがこの連結部Hによって揺動可能に連結されている。同様に、ヒンジ部22は、部分22aと部分22bとがこの連結部Hによって揺動可能に連結されている。開閉具1全体は、これらヒンジ部21,22の連結部H,Hを基準として揺動可能(開閉自在)に構成されていて、図24(A),(B)に示す閉鎖位置P1と、図26(B)に示す待機位置P1´と、図24(C),(D)に示す開放位置P2との間を揺動する。なお、例えば、開閉具1を合成樹脂によって形成すれば、連結部Hは、弾性変形が可能となり、待機位置P1´に配置された開封部11,12を、閉鎖位置P1に向けて付勢することが可能となる。したがって、使用者が手で、待機位置P1´の開封部11,12を閉鎖位置P1に移動させる必要がない。
把手部31,32は、長板状の部分であり、上述の開封部11,12の長手方向の中央部近傍から、それぞれスリットSから遠ざかるように設けられている。これら把手部31,32は、使用者がそれぞれ異なる指(例えば、人差し指と親指)で下方に向けて押すことで開閉具1の開封部11,12を小さな力で開放することができる。なお、図示例では、把手部31を、把手部32よりも長く形成しているが、同じ長さであってもよい。また、把手部31,32は、必ずしも開封部11,12の長手方向の中央に設ける必要はなく、使い勝手の良い位置に設定すればよい。
図25に示すように、開閉具1は、袋Yのスリット状の取出口Tを覆うように設けられる。ここで、袋Yとしては、四方シール袋を例に、また、開閉具1をこの袋Yの1つの角部Y1近傍に斜めに取り付ける場合を例に説明する。なお、後述するように、袋Yとしては、四方シール袋以外の他の種々の袋を使用することができ、また、開閉具1も角部に限らず、他の取り付け場所に取り付けることも可能である。
上述の開閉具1が取り付けられる袋(パウチ)Yは、2枚の矩形(又は方形)の表側のシート材Aと裏側のシート材Bとを、それぞれ4辺で接着して周縁に接着部Cを設けたものである。シート材A,Bとしては、紙,合成紙,合成樹脂フィルム、金属フィルム,異なる素材のものを積層したラミネートフィルム,バイオプラ等を使用することができる。また、合成樹脂フィルムとしては、ナイロン,ポリエステル,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレン,EVA,EVOH,PVA,PVC,PVDC等を使用することができる。なお、以下の説明では、シート材A,Bのそれぞれ外側を向いた面を外面A1,B1、内側を向いた面を内面A2、B2とする。これに従うと、シート材A,Bは、それぞれの内面A2,B2の周縁を接着して、接着部Cを設けたということになり、また、開閉具1は、袋Yを構成する表側のシート材Aの外面A1に設けるということになる。
図25に示す例では、開閉具1は、その開封部11,12が、袋の1つの角部Y1を斜めに横切るように取り付けられている。図25(C)に示すように、袋Yを構成する表側のシート材Aには、袋Yの角部Y1を横切るようにスリット状の取出口Tが斜めに形成されている。この取出口Tは、袋Yに収納されている内容物(不図示)を袋Yの外部(外側)に取り出すためのものである。ここで、内容部としては、飴,ガム,スナック菓子等の菓子類、塩,胡椒,唐辛子等の調味料、最近流行のサプリメント等があげられ、粒状,粉状,タブレット状等の、液体以外の任意のものが考えられる。ただし、本発明においては、内容物としては、一度に多量に使用しないで、少しずつ、多数回にわたって頻繁に使用するものに対して、特に有効である。つまり、開閉具1としては、頻繁に開閉される袋Yに取り付けられると好適である。
上述のシート材Aにおける取出口Tを境に相互に対向する端縁のうち、一方(角部Y1側)を端縁A3とし、他方(角部Y1とは反対側)を端縁A4とすると、これらはスリット状の取出口Tに沿って形成されている。なお、端縁A3,A4には、狭義の線状の端縁だけでなく、この近傍の帯状の領域も含むものとする。すると、端縁A3,A4には、シート材Aの外面A1側と内面A2側とができる。図25に示す例では、開閉具1は、シート材Aの外面A1側に接着されている。すなわち、シート材Aの外面A1における端縁A3に一方の開封部11(の裏面)を接着し、端縁A4に他方の開封部12(の裏面)を接着している。これにより、開閉具1が閉鎖位置P1にあるときには、シート材Aのスリット状の取出口Tと開閉具1のスリットSとが略一致することになる。このため後述するように、スリットSを開くと、同時に取出口Tが開かれて開口されることになる。
なお、以下、このように、シート材A(又はシート材B)の外側(外面A1側)から開閉具を取り付ける(接着する)貼り方を、適宜「表面貼り」という。これに対し、後述するように、シート材Aの内側(内面A2側)に開閉具を取り付ける(接着する)貼り方を「裏面貼り」という。
さらに、開閉具1は、ヒンジ部21,22の裏面が、シート材Aの外面A1における、接着部C近傍に接着され、また、把手部31,32が、シート材Aの外面A1に接着されている。なお、把手部31,32については、接着しないことも可能であるが、接着した場合には、開閉具1の開閉動作時における、開閉具1自体の動作及び袋Yの形状が安定する。このように、開閉具1は、袋Yの表側のシート材Aの外面A1に対し、スリット状の取出口Tに、スリットSを合わせるようにして接着することにより、簡単に取り付けることができる。このため、開閉具1は、内部(内側)に内容物を収納して製品として完成した袋Yに対しても、例えば、製造時の最終工程で、あるいは最終工程が終了した後に別の工程として簡単に取り付けることが可能である。
また、開閉具1は、図25に示すように、袋Yの幅W(図25(A)中における左右方向の長さ)よりもスリットSの長さの方が短い場合には、例えば、袋Yをその全幅にわたって開口する場合と比較して、開口部分が小さくなるため、細かい粒状、あるいは粉状の内容物を袋Yから取り出す際に、じょうろ(如雨露)のように、開口部分が絞れられるため、内容物が不要に大量に取り出されることを防止して、少しずつ取り出すことが可能となる。
なお、袋Yには、図25(A),(C)に示すように、接着部Cに、透孔C1を設けて、例えば、販売の際にフック等をこの透孔C1に引っ掛けて吊るすようにしてもよい。透孔C1は、袋Yの幅Wの中央に設けるようにするとよい。
図26を参照して、開閉具1の開閉動作について説明する。ここで、図25(C)に示す、表側のシート材Aのうち、取出口Tよりも角部Y1側に位置する三角形状の部分(斜線部分参照)は、その内面A2を裏側のシート材Bの内面B2に接着しておくとよい。つまり、この三角形状の部分は、図26(A)に示すように、開封部11側に接着されている。これにより、後述するように、内容物の取り出しが容易になる。なお、表側のシート材Aのうちの、斜線部分全体ではなく、斜線部分のうちの、取出口Tに沿った端縁Y3を帯状に裏側のシート材Bに接着するようにしてもよい。
袋Yに収納された内容物を取出口Tから取り出す際には、図25(A)に示す袋Yの開閉具1よりも下方を図中の右側から片手(例えば、右手)で握り、閉鎖位置P1にある開閉具1の一方の把手部31に人差し指を掛け、他方の把手部32に親指を掛けて、それぞれ下方に押す。これにより、開閉具1は、ヒンジ部21,22の連結部Hを中心に揺動し、開封部11,12がその背面側を合わせるように2つ折りにされて把手部31,32が略下方を向いた、図26(B)に示す待機位置P1´に配置される。開閉具1は、この状態から図26(D)に示すように、矢印F1方向から、使用者の指で押されることにより、図26(C),(D)に示すように、開封部11,12がそれぞれの長手方向の中央側が膨らむように弾性変形して開放位置P2に配置される。これにより、開封部11,12が大きく開口されて、対向面11aと対向面12aとの間に開口部Nが形成され、同時に取出口Tが大きく開口される。この状態から袋Yを傾斜させて、開口部Nを斜め下方に向けることで、内容物を取り出すことができる。このとき、図26(C)に示すように、裏側のシート材Bが開封部11側に接着されているので、内容物が取り出し方向(矢印K1方向)に通過する妨げとならない。内容物を取り出した後、開閉具1から指を離すと、開封部11,12は、その弾性により開放位置P2から待機位置P1´に復帰し、さらに、連結部Hの弾性により、待機位置P1´から閉鎖位置P1に復帰する。
以上のように開閉具1によると、片手で簡単に袋(パウチ)を開閉することができる。また、開閉具1として、その大きさ、特に、開封部11,12の長さ(スリットSの長さ)を内容物の大きさにあったものを、袋Yに取り付けるようにすれば、前述のファスナとは異なり、内容物の取り出し時に、袋Yを必要以上に開放することがない。また、幅の狭い袋Yに取り付けた場合でも内容物の取り出しを可能とする。さらに、ファスナとは異なり、内容物が粒状,粉状等であっても、これらを開口部Nから取り出す際に、これらが開封部11,12の対向面11a,12aに接触して付着するようなことがないので、開封部11,12が閉鎖位置P1配置された際に、スリットSに内容物が挟まることがない。このため、従来のファスナと比較して、簡単に密閉性を向上させることができる。
図27に、袋Yのバリア性(密閉性)を向上させるために、バリア性基材(密閉シート)41を設けた例を示す。図27(A)はバリア性基材41の取り付け位置を示す図、(B)は(A)中のM6−M6線矢視図、(C)は別の例を示す(B)に相当する図である。図27(A),(B)に示すように、シート状のバリア性基材41を、取出口Tの全体を覆うように、表側のシート材Aの内面A2に貼着している。なお、これに代えて、(C)に示すように、バリア性基材41を、表側のシート材Aの外面A1側に貼着してもよい。バリア性基材41としては、確実にバリア性を確保できるとともに、開閉具1の開放動作に伴って切断されることが必要であり、例えば、アルミ箔及びこれに相当するものを使用することができる。これにより、開封前の袋Yの密閉性を維持することができる。なお、図示例では、バリア性基材41は、略開封部11,12、ヒンジ部21,22を合わせた形状に倣って形成されている。なお、バリア性を持たせるための構成として、上述のバリア性基材41を設けずに、例えば、取出口Tを完全にカットしないで、シート材Aの厚みの10〜90%をカットしておき、バリア性を持たせながら、バージン開封性を保持するようにしてもよい。
図28に、取出口Tに篩部42として、篩部材42B〜42Fを設けた例を示す。取出口Tを開放して内容物を取り出す際、例えば、内容物が塩,胡椒,唐辛子等の場合には、取り出し量を規制することが好ましい。そこで、篩部材42B〜42Fを設けた。篩部材42B〜42Fは、いずれも、シート状部材を折り畳んで、表側のシート材Aと裏側のシート材Bの間に収納するものであり、一方の端縁42aを、取出口Tの一方の端縁A3に貼着し、他方の端縁42bを、取出口Tの他方の端縁A4に貼着している。また、篩部材42B〜42Fのうち、篩部材42B〜42Eは、塩や胡椒等に使用するものであり、多数の小孔42cが穿設されており、残りの篩部材42Fは、唐辛子等に使用するものであり、塩や胡椒用のものよりも大きい透孔42dが穿設されている。また、篩部材42B,42D,42Fは、表側のシート材Aと裏側のシート材Bとの間における、取出口Tを境にて角部Y1から遠い側に収納され、篩部材42C,42Eは、近い側に収納されている。また、篩部材42B,42C,42Fは、2つ折りに形成されており、篩部材42D,42Eは、開閉具1の開閉を円滑に行うべく、4つ折りに形成されている。なお、篩部材42としては、伸縮性のあるシート状の部材によって形成してもよい。
図29に示すように、袋Yの一部を切除することで、開閉具1の取り付け位置を変更することができる。図29(A)は袋Yの1つの角部Y2を斜めに切除して、開閉具1を横向きに付けた例を示し、(B)は袋Yの2つの角部Y1,Y2を斜めに切除して、開閉具1を横向きに付けた例を示している。なお、角部Y1,Y2が切除されると袋Yの残りの部分が開口されてしまうので、この部分には、新たに接着部Cを設けている。上述の図25に示す開閉具1は、袋Yの角部Y1に斜めに配設されていた。図25,図29(A),(B)に示すように、開閉具1の取付位置を変更することにより、内容物の取り出しやすさ、特に、内容物が粒状、粉状等の場合の、取り出しやすさ(流動性)をある程度調整することが可能である。例えば、同じ大きさの開閉具1の場合、上述の3例の中では、図29(B)のものが最も内容物の流動性が高く、図25に示すものが最も流動性が低い。
図30に、開閉具1を、種々の形態の袋Yに取り付けた例を示す。(A)は開閉具1が閉鎖位置(P1)及び開放位置(P2)にある状態のスタンディングパウチ袋、(B)は四方(五方)シール袋、(C)は三方(四方)シール袋、(D)はピロー袋(背貼り)、(E)はガゼット袋(自立可能)、(F)はガゼットピロー袋(背貼り)、(G)は平袋(チューブ),サイドシール袋を示している。なお、(B)〜(G)の各袋Yにおいては、いずれも開閉具1は、閉鎖位置P1に配置されている。また、(A)〜(G)に示す各袋Yは、適宜、角部を切除した例を示しているが、例えば、(D)〜(G)に二点鎖線で示すように、角部を切除しないで、これらの角部に開閉具1を取り付けるようにしてもよいのはもちろんである。
図31は、開閉具1をガゼット袋,ガゼットピロー袋に取り付けるための、これらの袋Yの前加工を説明する図である。これらの袋Yは、自立が可能であり、(A)に示すように、開閉具1の取付箇所は、表側のシート材Aと裏側のシート材Bの間に、シート材Aa,Bbが存在する4枚重ねの状態となっている。そこで、(A)に示す例では、裏面側の3枚のシート材B,Bb,Aaの斜線で示す部分に対応する部分を重ねて接着する。これにより、(C)に示すように、3枚のシート材B,Bb,Aaを、1枚のシート材Bと同様に取り扱うことが可能となる。また(B)に示す例では、4枚重なっていた部分の2枚分を切除部Yaとして切除して新たに接着部Cを設ける。これにより、1枚のシート材Aaを裏側のシート材Bとして取り扱うことができる。
このように、本実施形態2に係る開閉具1は、図30に示す種々の形態の袋Yに対して、その一部を切除したり接着したりすることにより、容易に適用させることができる。なお、開閉具1、及び後述する開閉具2,87が取り付けられた(適用された)袋Yが本発明に係る袋Yとなる。
図32(A)〜(G)は、開閉具1における密閉構造を説明する模式図である。開閉具1は、上述の図27に示すバリア性基材41を設けたとしても、このバリア性基材41は、開閉具1をはじめて開放した際に切断されるため、その後の袋Y内の密閉性には役に立たない。そこで、図32(A)に示すように、開閉具1が閉鎖位置P1に配置された際に、開封部11,12におけるスリットSを介して相互に対向する対向面(対向部)11a,12aに、相互に係脱可能な嵌合部43Aを設けた。なお、嵌合部43Aは、ヒンジ部21,22における対向面にかかるように設けてもよい。嵌合部43Aは、例えば、図33(A)〜(F)に示すような、凸部と凹部、フックとフック等の組み合わせからなる係合部と被係合部とを、図32(A)に示す開封部11,12の対向面11a,12aの略全周にわたって設けることで構成されている。なお、図33(A)〜(F)に示す嵌合パターンのうちのいずれを選択するかは、必要とされる密閉性の高さに応じて決定するものとする。例えば、高い密閉性が要求される場合には、(B)に示すパターンを選択し、また、高い密閉性を要求されない場合には、(F)に示すものを選択する。なお、高い密閉性を実現する嵌合パターンは、低い密閉性のものと比べ、係脱時に大きな力が必要とされるため、開閉時の操作性は劣ることになる。
図32(B)に示す嵌合部43Bは、開封部11の内周面側に、開封部12の内周面側に入り込む羽根状凸部11bを設けて構成されている。
図32(C)に示す嵌合部43Cは、開封部11の外周面側に、開封部12の外周面側に係合可能な羽根状凸部11cを設けて構成されている。
図32(D)に示す嵌合部43Dは、開封部11の外周面を他方の開封部12側に延長するように半円筒状のフード11d1を設け、このフード11d1の内側に延びる羽根状凸部11d2を設け、この羽根状凸部11d2を、他方の開封部12の、対向面12aとは反対側の面12bに係合させるものである。
図32(E)に示す嵌合部43Eは、開封部11の外周面側に、羽根状に粘着部11eを設け、その内面に粘着剤を塗布して、開封部12の外周面に粘着させるものである。
図32(F)に示す嵌合部43Fは、図32(E)に示す粘着部11eを対向面11aとは反対側に延長して、延長部分の一部11fを開封部11の外周面に接着させたものである。
図32(G)に示す嵌合部43Gは、図32(A)に示す嵌合部43Aと、図32(B)に示す嵌合部43Bとを組み合わせたものである。このように、これらの嵌合部43A〜43Gは、適宜に組み合わせて使用するようにしてもよい。
図34(A)は、袋Yの一辺の略全幅にわたって取出口Tが形成された例を示し、(B)は取出口T全体を覆う開閉具1の例を示す図である。このように、開閉具1は、袋Yの全幅あるいは全高(高さ方向の全長)にわたって設けることも可能であり、特に、全幅あるいは全高の小さい袋Yの取出口Tを大きく開口するのに有効である。なお、図34(A)に示すように、表側のシート材Aにおける取出口Tよりも上の部分(斜線部分)は、図25(C)に示すものと同様、裏側のシート材Bに接着するとよい。この際、斜線部分全体に代えて、斜線部分のうちの取出口Tに沿った帯状の部分を接着するようにしてもよい。これにより、取出口Tを開口させて、内容物と取り出す際に、裏側のシート材Bが邪魔になりにくい。また、図34(A),(B)に示すように、袋Yの上端の接着部Cの、例えば、左右方向の略中央に、販売時等に陳列する際に、フック等に引っかけるための透孔C1を穿設するようにしてもよい。また、(B)中の一方の把手部31を袋Yの外側に延長し、この延長部分に透孔C1を設けるようにしてもよい。なお、図34(B)に示す例において、袋Yの裏側のシート材Bに、例えば、Y字形のライナー(骨:不図示)を設ければ、袋Yの積み重ねも可能となる。
図35(A),(B)に1ピース構造の開閉具1を、裏貼りした例を示す。図35(A)は、図25に示す開閉具1を、図25の例示とは異なり、表側のシート材Aの内面A2側に接着した例を示し、(B)は、図34に示す開閉具1を、図34の例示とは異なり、表側のシート材Aの内面A2側に接着した例を示している。このように、開閉具1は、表側のシート材Aに対して、その外面A1ばかりでなく、内面A2に取り付ける(接着する)ことも可能である。この場合には、開閉具1が袋Yの外部に露出しないので、例えば、袋Yの取り扱い中に、開閉具1が他のものに引っかかったりするおそれがない。
図36(A)〜(E)に、上述の開閉具1とは、開封部の形状が異なる、1ピース構造の開閉具2を示す。図36(A)は閉鎖位置P1にある開閉具2の上面図(平面図)、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)は開放位置P2にある開閉具2の正面図、(E)は右側面図である。なお、開閉具2のヒンジ部21,22は、上述の開閉具1と同様に構成されている。
開閉具2は、図36(A)に示すように、上面視(平面視)において、スリットSが中心C2から外れて、緩やかに湾曲するように形成されている。つまり、開封部11Aの対向面11aと開封部12Aの対向面12aとが同方向に緩やかに湾曲するように形成されている。中心C2を基準とすると、対向面11aは下方に向けて凸状に湾曲し、対向面12aは下方に向けて凹状に湾曲している。また、開封部11A,12Aの外側の面(中心C2から遠い面)11h,12bは、それぞれ外側に凸状に緩やかに湾曲している。このため、開閉具2は、開放位置P2に配置されると、図36(D),(E)に示すように、対向面11a,12aが離間して大きく開口するとともに、ヒンジ部21,22の連結部H,Hを結ぶ中心C2に対して、対向面11aが上側に位置して上方に凸状に湾曲し、一方、対向面12aが下側に位置して、下方に凹状に湾曲する。つまり、開口部を形成する対向面11a,12aの高さが異なる。このため、袋Y内から内容物を取り出す際に、対向面12a側からの取り出しが容易となる。なお、開閉具2は、開封部11A,12Aの外側の面11h,12bが外側に膨らむように形成されているため、例えば、長手方向の中央近傍の最も外側に膨らんでいる部分の近傍が、図24に示す開閉具1における把手部31,32を兼ねることが可能である。つまり、このように、開封部11A,12Aを形成することにより、開封部11A,12Aから外側に突出する把手部を省略することが可能であり、形状の簡略化を図ることができ、また、把手部31,32に相当する部分を強固に構成することができるので、開閉具2の運搬中等における把手部の破損を低減することができる。
<実施形態3>
図37を参照して、本発明を適用し得る実施形態3の開閉具87について説明する。ここで、図37(A)は閉鎖位置P1に配置された開閉具87の斜視図、(B)は開放位置P2(待機位置P1´)に配置された開閉具87の斜視図である。
開閉具87は、スリットSを介して相互に対向する一対の開封部91,92と、これらの両端部をそれぞれ連結するヒンジ部93,94と、開封部91,92から外側に延びる把手部95,96を備えて構成されている。開封部91,92は平坦に延びる長板状に構成されている。これに対し、ヒンジ部93,94は、開封部91,92の端部において、開封部91,92に対して傾斜角度αを持って正面側(表面側)に屈曲するように構成されている。ヒンジ部93,94の表面側にはスリットSに対応する切り込みKが形成されていて、この切り込みにより、部分93a,93b、及び部分94a,94bに分けられている。切り込みKの裏面側には連結部Hが設けられている。この連結部Hが、開封部91,92の揺動中心となる。この連結部Hは、開封部11,12に対して、傾斜角度αを持って構成されている。なお、スリットSの表面側は、ツマミ64aを有する密閉部64によって密閉されている。開閉具87の初めての使用に際しては、まず、このツマミ64aを摘んで、密閉部64を除去して、スリットSを露出させた後、開放を行うようにする。
上述構成の開閉具87は、一方の開封部96に対して他方の開封部95を、ヒンジ部93,94の連結部Hを基準として略180度反転させることで、部分93a,93bの裏面側相互が、また、部分94a,94bの裏面相互が合わさり、これにより、ヒンジ部93,94の弾性によって、(B)に示す開放位置P2に配置され、対向面91a,92aの間に開口部Nを構成することができる。すなわち、開閉具87は、連結部Hが開封部91、92に対して傾斜角度αを持って傾斜しているので、開封部91,92は、閉鎖位置P1からこの連結部Hを基準としてそれぞれの背面側を合わさるように2つ折りにされて待機位置P1´に配置されると同時に、開放位置P2に配置され、対向面91a,92aを離間させて開口部Nを構成する。言い換えると、開閉位置P1から、待機位置P1´を経ることなく、直接、開放位置P2に配置される、ともいえる。ここで、開封部91,92が開放位置P2に配置された際に、開口部Nの開口面積が不足する場合には、図37(B)に示すように、ヒンジ部93,94を矢印F1方向に押す(開封部91,92を短縮する方向に付勢する)ことにより、十分な開口面積を確保することが可能となる。なお、対向面91a,92aには、上述の嵌合部43Aを設けるようにしてもよい。
なお、実施形態3の開閉具87は、基本的な構成において、上述の実施形態2の開閉具1,2に対してヒンジ部93,94が傾斜している点を除いて同様であるので、図24〜図36を参照して説明した実施形態2の開閉具1,2の実施態様は、すべて、実施形態3の開閉具87についても適用することが可能である。言い換えると、実施形態2の開閉具1,2は、実施形態3の開閉具87のヒンジ部93,94の傾斜角度αを0にしたものであるともいえる。