JP5056457B2 - 防湿合板の製造方法および該防湿合板を用いた床板 - Google Patents

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本発明は、合板の製造方法に関するものであり、詳しくは、合板を構成する単板の間に防湿シートを介在させ積層して製造する防湿合板の製造方法に関する。さらに該防湿合板を用いて得られた防湿床板に関する。
近年、木材資源の枯渇化が進み、無垢の木材の入手が困難となり、その価格も高騰しつつある。そこで、合板、集成材、中密度繊維板(MDF)、パーティクルボード等、種々の木質基材に突き板等、表面化粧材を貼着し、表面を外観性よくデザインされた木質複合材が普及している。しかしながら、上記木質複合材は、本質的に繊維質であるため、温度や湿度の変化に応じて含水率が変化する性質を持っている。そのため、内装材として用いた場合、室内温度や室内湿度の変化が繰り返されると、木質複合材全体に「反り」や「ねじれ」が生じたり、寸法変化によりゆがんだりするという問題がある。
上記問題を解決するため、特開2000−43196号公報には、溶融塗工された防湿樹脂層が木質板の少なくとも裏側に形成され、該木質板の表側には化粧シートが貼着されてなる木質化粧板が開示されている。そして、上記防湿樹脂層として、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂、ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン樹脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとからなるポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂等のホットメルト接着剤等を溶融させ、塗工して形成された樹脂層が示されている。
そして、上記公知技術に開示された木質化粧板にあっては、上記ホットメルト接着剤を木質板に溶融塗工して形成された防湿樹脂層が、木質板への湿気や水分の出入りを防止するため、上記木質化粧板を、例えば、ドアの面材に使用したとき、ドアの反りやネジレの発生を防止できる効果があると記載されている。
特開2000−43196号公報
上記した合板、集成材、中密度繊維板(MDF)、パーティクルボード等の木質基材のうち、特に、合板は強度的に優れ、加工性も良く、また、入手も容易であるため、盛んに用いられ、床材や壁材、天井材等の分野に広く使用されている。しかしながら、上記したホットメルト接着剤を直接、木質基材に溶融塗工して防湿樹脂層を形成する技術を直ちに合板に適用できるものとはいいがたい。
本願発明は、上記背景技術に鑑みてなしたものであり、その目的は、耐水性や耐湿性に優れ、温度や湿度の変化に対しても反りやネジレの発生がなく、寸法安定性を有する防湿合板の製造方法を提供することである。また、該方法によって得られた防湿合板を基材とし、その表面を化粧して得られた防湿床板を提供することである。
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の第1発明に係る防湿合板の製造方法は、複数枚の単板を接着剤の存在下に加熱、加圧してなる合板の製造方法であって、上記単板の層間において、防湿シートを上下対称に位置するように介在させ、該防湿シートの貼着と単板の積層とを同時に行う防湿合板の製造方法であり、上記各単板が上下相互間で木目が直交するように積層されるクロス合板に防湿性を付与する防湿合板の製造方法において、上記防湿シートを、合板を構成する単板の最上層と上から2層目の間と、該合板を
構成する単板の最下層と下から2層目の間と、にのみ介在させ、同防湿シートを、両面塗布スプレッターで接着剤が両面に塗布された上記単板に対して貼着することを特徴としている。
上記単板を接着させる接着剤としては、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等、水性エマルジョンとしてスプレッターで塗布できる公知のエマルジョン系接着剤が好ましく用いられる。
本願請求項に記載の発明は、上記請求項1に記載の防湿合板の製造方法において、上記防湿シートとして、プラスチック系シートの両面に紙を貼着したサンドイッチ構造のものを用いることを特徴としている。プラスチック系シートとしては、フィルムに加工できるものであれば特に、限定されないが、ポリエチレン、塩化ビニル等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。中でもポリエチレンのフィルムが好ましく用いられる。また、紙としては、パラフィン紙、薄葉紙、和紙、上質紙等特に、限定されず用いることができる。
本願請求項に記載の発明は、上記請求項1に記載の防湿合板の製造方法において、上記防湿シートとして、金属箔の両面に紙を貼着したサンドイッチ構造のものを用いることを特徴としている。金属箔としては、アルミ箔が好ましく用いられる。また、上記と同様に、紙としては、パラフィン紙、薄葉紙、和紙、上質紙等特に、限定されず用いることができる。
本願請求項に記載の第2発明に係る防湿床板は、請求項1〜3いずれか一項に記載の防湿合板の製造方法によって得られた防湿合板に表面化粧材として突き板を貼着してなることを特徴としている。
本願請求項1記載の第1発明にかかる防湿合板の製造方法においては、特に、複数枚の単板を接着剤の存在下、単板の層間において、防湿シートを上下対称に位置するように介在させ、該防湿シートの貼着と単板の積層とを同時に行うため、合板の製造と、該合板への防湿性の付与とを同時に行うことが可能となり、作業性よく、防湿合板を製造することができる。
更に、本願請求項記載の発明に係る防湿合板の製造方法においては、特に、上記防湿シートを、合板を構成する単板の最上層と上から2層目の間と、単板の最下層と下から2層目の間に介在させるため、表と裏の両面、例えば、床板の基材として用いたとき、床面側からの水分の浸透防止と床下側からの湿気の浸入防止とを併せて行うことができる。
本願請求項記載の発明に係る防湿合板の製造方法においては、特に、上記防湿シートとして、プラスチック系シートの両面に紙を貼着したサンドイッチ構造のものを用いることにより、プラスチック系シート、例えば、ポリエチレンフィルムを用いることにより、水分の浸透の防止と湿気の浸入防止とを併せて行うことができる。また、紙の多孔質性により、接着剤が浸透し易くなり、プラスチック系シートを単板に容易に接着することができる。また、紙自身の吸湿性を利用することができる。
本願請求項記載の発明に係る防湿合板の製造方法においては、特に、上記防湿シートとして、金属箔、例えば、アルミ箔の両面に紙を貼着したサンドイッチ構造のものを用いることにより、水分の浸透を防止できるとともに、湿気の浸入の防止を併せて行うことができる。また、紙の多孔質性により、接着剤が浸透し易くなり、金属箔を単板に容易に接着することができる。また、紙自身の吸湿性を利用することができる。
本願請求項記載の発明に係る防湿床板においては、複数枚の単板を接着剤の存在下、単板の層間において、防湿シートを上下対称に位置するように介在させ、該防湿シートの貼着と単板の積層とを同時に行って得られた防湿合板に表面化粧材として突き板を貼着してなるため、天然木と同様の見映えのよい外観を有し、トイレやキッチン、洗面所等の水回りの床面に有利に用いることができる。また、防湿シートが単板の層間に介在しているため、単板からの水分の蒸散を抑えて、適切な水分含量に保つことが可能となり、乾燥による反りやネジレが生じることを防ぐとともに、床板の反り上がりを防ぎ、床板間の目隙を防止することができる。
以下、本願第1発明にかかる防湿合板の製造方法の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。合板は、ロータリーカッターで薄く切り出した複数枚の単板を木目が平行するように積層する平行合板と木目が直交するように積層するクロス合板の2種類があるが、本実施形態においては、乾燥した単板を5枚クロスして積層するクロス合板に防湿性を付与する形態について説明する。
図1は、本願第1発明にかかる防湿合板の製造方法の実施形態を模式的に示す工程図である。図1に示すように、第1両面塗布スプレッターS1で接着剤Tを両面塗布された2プライ目の単板2と4プライ目の単板4とを3プライ目(中央)の単板3の両面に接着させ、芯層Bを形成する。ついで、芯層Bの表側、すなわち、単板2の上面に防湿シート6を貼着すると同時に芯層Bの裏側、すなわち、単板4の下面に防湿シート7を貼着する。
ついで、上記のようにして防湿加工された3層からなる芯層Bの両面に第2両面塗布スプレッターS2で接着剤を両面塗布された1プライ目の単板1と5プライ目の単板5とを積層し、圧締する。このようにすることによって、防湿シート6は1プライ目と2プライ目の間に貼着されるとともに、1プライ目と2プライ目の2枚の単板1、2が積層される。同様に、4プライ目と5プライ目のそれぞれの単板4、5の積層と防湿シート7の貼着とが同時に行われる。このようにして、防湿と単板どうしの接着を同時に行うことにより、作業性よく、表側と裏側に防水加工された防湿合板Aを得ることができる。
図2は、本実施形態において用いられた防湿シート6、7の構成を示す断面図である。図2に示すように、上記防湿シート6(7)としては、プラスチックシートとして用いられたポリエチレンシート(PE)の両面にロジン等のタッキファイヤによって紙を貼着したサンドイッチタイプの防湿シートが用いられる。上記ポリエチレンシート(PE)は、水分に対して耐久性があるとともに、湿気の非透過性に優れ、また、紙は単板への接着性に優れているため、しっかりと積層することができる。さらに、紙自身も吸湿性を有するため、防湿合板Aの防湿性を向上させることができる。
図3は、上記防湿合板Aを拡大して示す断面図である。図3に示すように、上記防湿シート6、7は、5層からなるクロス合板の1プライ目の単板1と2プライ目の単板2間に介在させるとともに、最下層の5プライ目の単板5と4プライ目の単板4間に介在されている。このようにすることにより、表面化粧を施してトイレやキッチン、洗面所等の水回りの床板として用いたとき、床面に零した水が床板内に浸入して合板が層間剥離することを防ぎ、また床下からの湿気の浸入を防ぐこともできる。
図4は、上記のようにして製造された防湿合板Aの表面に突き板8を貼着して得られた本願第2発明に係る防湿床板Cを示す斜視図である。図4に示されているように、上記防湿床板Cは、防湿合板Aが基材として用いられているため、天然木と同様の見映えのよい外観を有し、トイレやキッチン、洗面所等の水回りの床面の施工、リフォームに好ましく用いられる。
なお、上記突き板8の表面を透明塗料、紫外線硬化型の塗料、例えば、アクリル樹脂塗料、アミノアルキド樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料を塗布し、紫外線を照射することにより、クリア、あるいは半クリアな塗膜を形成してもよい。この塗膜が保護層として機能し、防湿性に優れるとともに、食器等を落としても表面が傷付きにくい耐衝撃性に優れた防湿床板Cとすることができる。
また、上記水回り以外の部分、例えば、リビングルームに適用し、近年普及しつつある床暖房装置を施工した場合も、防湿シート6、7が単板の層間に介在しているため、単板からの水分の蒸散を抑えて、適切な水分含量に保つことが可能となる。そのため、床暖房によって乾燥した室内空気による反りやネジレの発生を防ぐとともに、床板の反り上がりを抑え、床板間の目隙を防止することができる。
なお、上記した実施形態は5枚の単板からなる合板に防湿シートを介在させた例について述べたが、5枚に限られず、7枚、9枚の単板を用いてもよい。また、3枚の単板を用いた場合についても適用可能である。このように本願発明に係る防湿合板の製造方法は設計変更自在であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り、本願発明の技術的範囲に属する。
本願第1発明にかかる防湿合板の製造方法の実施形態を模式的に示す工程図。 本願第1発明にかかる防湿合板の製造方法の実施形態において用いられた防湿シートの構成を示す断面図。 上記図1に示す防湿合板を拡大して示す断面図。 本願第1発明によって製造された防湿合板の表面に突き板を貼着して得られた本願第2発明に係る防湿床板を示す斜視図。
符号の説明
A 本願第1発明に係る防湿合板
B 本願第1発明に係る芯層
C 本願第2発明に係る防湿床板
S1 第1両面塗布スプレッター
S2 第2両面塗布スプレッター
T 接着剤
1 1プライ目の単板
2 2プライ目の単板
3 3プライ目の単板
4 4プライ目の単板
5 5プライ目の単板
6 防湿シート
7 防湿シート
8 突き板

Claims (4)

  1. 複数枚の単板を接着剤の存在下に加熱、加圧してなる合板の製造方法であって、上記単板の層間において、防湿シートを上下対称に位置するように介在させ、該防湿シートの貼着と単板の積層とを同時に行う防湿合板の製造方法であり、上記各単板が上下相互間で木目が直交するように積層されるクロス合板に防湿性を付与する防湿合板の製造方法において、上記防湿シートを、合板を構成する単板の最上層と上から2層目の間と、該合板を構成する単板の最下層と下から2層目の間と、にのみ介在させ、同防湿シートを、両面塗布スプレッターで接着剤が両面に塗布された上記単板に対して貼着することを特徴とする防湿合板の製造方法。
  2. 上記防湿シートとして、プラスチック系シートの両面に紙を貼着したサンドイッチ構造のものを用いる請求項1に記載の防湿合板の製造方法。
  3. 上記防湿シートとして、金属箔の両面に紙を貼着したサンドイッチ構造のものを用いる請求項1に記載の防湿合板の製造方法。
  4. 請求項1〜3いずれか一項に記載の防湿合板の製造方法によって得られた防湿合板に表面化粧材として突き板を貼着してなる防湿床板。
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