次に、図1乃至図3を参照して、本発明の実施形態1に係る木質建具の反り防止構造について説明する。図1は、実施形態1に係る木質建具100を示す正面図であり、図2は、実施形態1に係る木質建具100の縦框を示す拡大断面図(図1のA−A断面図)、図3はその変形例を示す拡大断面図である。
図1及び図2に示すように、木質建具100は、縦框2,2、横框3,3,3に、鏡板4,4を取り付けて構成された、框組構造の建具である。鏡板4は、縦框2及び横框3に形成された凹部に嵌め込まれている。なお、図1には、木質建具100として、鴨居と敷居に設けられたレール上を走行する引き戸を示したが、ドアなどの開き戸であってもよい。ただし、引き戸の場合には、レールや擦れ違う隣接する引き戸との関係から、反りの防止がドアに比べて強く求められることから、引き戸に適用する場合に特に効果が高い。
次に、縦框2として用いられる框材10について説明する。框材10は、以下のようにして形成されて、反り防止木質材として機能する。図2に示すように、框材10は、木質基材である3枚の框基材11,12,13を順に積層して形成されている。框基材11と框基材13は、框材10の厚さ方向の外側に配置されている。また框基材12は、框材10の厚さ方向の内側に配置されている。そして、框基材11と框基材12の間、框基材12と框基材13の間には、それぞれ防湿層1,1が挟み込まれている。このように、框材10を防湿層1,1を境界として厚さ方向の3つのブロック層に区分したときに、框基材11と框基材13は外側のブロック層を形成し、框基材12は内側のブロック層を形成している。なお、框基材11の表面、框基材13の表面、及び框材10の左右の側面には、框材10の外周面を囲むように化粧材5が貼着されている。
框基材11,12,13の厚さは、それぞれT11,T12,T13であり、T11=T13<T12の関係になっている。すなわち、框材10の外側のブロック層に積層された框基材11,13の厚さT11,T13よりも、框材10の内側のブロック層に積層された框基材12の厚さT12の方が厚くなっている。比率としては、框基材12の厚さT12が框基材11,13の厚さT11,T13のおよそ1.5倍〜2.5倍程度となっていることが好ましく、最も好ましいのは2倍程度である。
框基材11,12,13の材料としては、無垢材、集成材、LVL(単板積層材)、合板、木質繊維板、パーティクルボードなどを用いることができる。図2に示す框材10には、框基材11,12,13のすべてに同材料を用いてある。すなわち、框基材11,12,13は、厚さのみが異なる同じ材質の材料であり、例えば、LVL(単板積層材)であれば、積層されるすべての木質基材にLVLを用い、合板であれば、積層されるすべての木質基材に合板を用いる。なお、図2では各ブロック層を1枚の木質基材としているが、複数の木質基材を積層して1つのブロック層を構成してもよい。
一方、防湿層1としては、防湿シートや防湿樹脂含浸紙を用いることができる。防湿シートとしては、木質基材との接着を考慮すると、プラスチック系シートの表裏面に紙を貼着したシート(主にプラスチック部分は、ポリエチレン、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂が好ましい。)や、金属箔の表裏面に紙を貼ったシート等を用いることができる。また近年では、プラスチック系シートにアルミを蒸着したアルミ蒸着シートや、酸化アルミニウム(アルミナ)を蒸着したアルミナ蒸着シートがあり、アルミ箔と比べると安価で防湿性も高く、表裏面に紙がなくても木質材に接着できるものが出てきており、これらを使用することが好ましい。
また、防湿樹脂含浸紙は、非水系の接着剤を紙に含浸させ、防湿層兼接着層として使用するものであり、樹脂としては、ホットメルト系接着剤やイソシアネート系接着剤を用いることができる。
ここで、防湿層を挟んで積層された木質材の反り防止の仕組みについて説明する。木質材の反りは前述したとおり、表裏面に温湿度差が生じると発生する。特に温度差が生じると、木質材中では冷たい側に含水が移動して厚み方向に含水率の傾斜ができ、この含水率の傾斜が大きいほど木質材自体の反りは大きくなる。そこで木質材の厚み中央付近に防湿層を挟むと、この含水率の移動を遮断することができる。防湿層に隣接した木質基材の含水率を比較すると、低温側の基材の含水率は低く、高温側の基材の含水率は高くなる。これは、防湿層を境界に分割された各ブロック層内で冷たい側に含水が移動するためである。すると、防湿層を挟んで高含水率側は膨張、低含水率側は収縮することになり、防湿層を境界線に各基材が相反する動きをするため、防湿層付近では応力が拮抗し、寸法変化が抑制される。そして、そのような層を反りに与える影響の大きい表面寄りに設けることにより、全体として反りを小さくすることができる。なお、外側のブロック層が薄すぎると、防湿層を挟んだ隣接する木質基材の相反する動きが相殺されにくくなる。本実施形態においては、好ましい例として、内側のブロック層の厚さを外側のブロック層のおよそ1.5倍〜2.5倍程度とし、最も好ましい例として、2倍程度としている。
また、防湿層を境界に木質材を分解して考えると、ブロック層の厚みが厚いほど、そのブロック層内に発生する含水率傾斜は大きくなる。従来の方法である基材を同じ厚みに均等分割し防湿層を挟む方法では、各構成基材に発生する含水率傾斜は同程度の大きさとなる。そこで本実施形態では、厚み中央位置の層を中立軸と考えると、中立軸から離れた位置のブロック層(框基材11、框基材13)の寸法変化が木質材(框材10)全体の反りに与える影響が大きいことに着目し、中立軸から最も離れた外側のブロック層の厚さ(T11,T13)を薄くし、それ以外の中央部分(内側)のブロック層(框基材12)の厚さ(T12)を厚くした。そうすることで外側のブロック層(框基材11、框基材13)に発生する含水率傾斜を小さくし、同じ防湿層数であっても、従来の厚みを均等分割にして防湿層を入れた木質材と比較して反りを小さくすることができる。また、表裏のバランスを取るために、中立軸を中心として対称な木質基材の構成とした。
なお、このような防湿層を挟むことによる反り防止効果は、以下の前提に立って得られるものである。すなわち、(1)「木質材外周面全面の吸放湿が遮断されている。」、あるいは(2)「木質材表裏面に温度差が生じる→内部に温度傾斜ができる→含水率傾斜ができるという現象が生じていく速度に対し、木質材外周面の吸放湿が十分遅い又は少ない。」という前提である。そうでなければ、せっかく防湿層により各基材間の含水移動を防止したとしても、各基材の含水率傾斜が木質材外周面からの吸放湿によって影響を受けてしまい、防湿層に隣接した低温側の基材の含水率と高温側の基材の含水率との間に差が生じなくなり、応力の拮抗による寸法変化の抑制ができなくなるのである。通常の木質材において(1)の前提を完全に満たすことは困難であり、また(2)の前提を満たすか否かも木質材の材質や構成にもよるため一律に判断することはできない。しかしながら、(1)や(2)の前提のためには、少なくとも木質材の表裏面に防湿性能を有する化粧シート等の防湿層を設けることや、さらには木質材の外周面全面に防湿層を設けることが効果的であることは明らかである。従って、そのように外周面からの吸放湿を抑制した木質材であれば、防湿層を挟むことによる反り防止効果が、より期待できるものと考えられる。
このように、実施形態1に係る木質建具の反り防止構造においては、3枚の框基材11,12,13(木質基材)が防湿層1を挟んで積層されて框材10(反り防止木質材)が形成されているので、框材10内部の含有水分の移動を防湿層1で遮断することができ、框材10の厚み方向の含水率傾斜を小さくして、反りを防止することができる。
また、框材10を防湿層1,1を境界として厚さ方向の複数のブロック層に区分したときに、外側のブロック層の厚さT11,T13よりも内側のブロック層の厚さT12の方が厚いので、框材10全体の反りに与える影響が大きい外側のブロック層の含水率傾斜を、重点的に小さくすることができる。また防湿層1,1付近では、相対的に高含水率の框基材11,13と低含水率の框基材12が防湿層1,1を挟んで隣接することになるため、膨張する力と収縮する力が相殺され、寸法変化が抑制されると考えられる。従って、寸法変化が抑制される部分(防湿層付近)を、框材10の反りに影響を与えやすい表面寄りに設けることができる。以上により、同じ防湿層数であっても、各ブロック層の厚さを均等にしたものと比較して、より効果的に反りを防止することができる。
また、框材10の外側のブロック層に積層された框基材11,13と、框材10の内側のブロック層に積層された框基材12とが、同材料であるので、框材10の含水率傾斜を、積層する各框基材11,12,13の厚さT11,T12,T13を変更することにより的確に調整することができる。
なお、框基材11,12,13の材料として、異なる材質の材料を用いることもできる。その場合には、図3に示す框材10´のように形成することが好ましい。框材10´は図2に示す框材10とほぼ同様の構成であるが、框基材の材質が異なっており、框材10´の外側のブロック層に積層された框基材11´,13´がLVL(単板積層材)であり、框材10´の内側のブロック層に積層された框基材12´が合板である。LVLは、繊維の向きを揃えて積層されており、長さ方向の強度が高い。また、厚さ方向に含水率傾斜ができたとしても、木材は繊維方向の寸法変化が最も小さいため、反りが生じにくい。従って、框材10´全体の反りに与える影響が大きい外側のブロック層の強度と寸法安定性を、建具部材の長さ方向に繊維の向きを揃えたLVLを用いることで重点的に高め、より効果的に反りを防止することができる。それに対し、合板は初期反りやひねりを防止することができる。なお、LVLは単板を長さ方向に繊維の向きを揃えて積層したものであるが、ここでいうLVLには、長さ方向と直交する層を若干含んだものも含まれる。要は、外側のブロック層に積層された木質基材の方が、内側のブロック層に積層された木質基材よりも、長さ方向に繊維の向きを揃えた単板を多く積層した構成であればよい。
以上のように、実施形態1に係る木質建具の反り防止構造においては、反り防止木質材を框材10(10´)として用いているので、框組構造の木質建具100の骨格である框材10(10´)の反りを抑制し、木質建具100全体の反りを効果的に防止することができる。
次に、図4及び図5を参照して、本発明の実施形態2に係る木質建具の反り防止構造について説明する。なお、実施形態2についても実施形態1と同様に、図1に示す木質建具100を用いて説明する。図4は、実施形態2に係る木質建具100の縦框を示す拡大断面図(図1のA−A断面図)、図5はその変形例を示す拡大断面図である。なお、実施形態1と同一の部分については、同一の符号を付し説明を省略する。
まず、縦框2として用いられる框材20について説明する。框材20は、以下のようにして形成されて、反り防止木質材として機能する。図4に示すように、框材20は、木質基材である4枚の框基材21,22,23,24を順に積層して形成されている。框基材21と框基材24は、框材20の厚さ方向の外側に配置されている。また框基材22と框基材23は、框材20の厚さ方向の内側に配置されている。そして、框基材21と框基材22の間、框基材22と框基材23の間、框基材23と框基材24の間には、それぞれ防湿層1,1,1が挟み込まれている。このように、框材20を防湿層1,1,1を境界として厚さ方向の4つのブロック層に区分したときに、框基材21と框基材24は外側のブロック層を形成し、框基材22と框基材23は内側のブロック層を形成している。なお、框基材21の表面、框基材24の表面、及び框材20の左右の側面には、框材20の外周面を囲むように化粧材5が貼着されている。
框基材21,22,23,24の厚さは、それぞれT21,T22,T23,T24であり、T21=T24<T22=T23の関係になっている。すなわち、框材20の外側のブロック層に積層された框基材21,24の厚さT21,T24よりも、框材20の内側のブロック層に積層された框基材22,23の厚さT22,T23の方が厚くなっている。比率としては、框基材22,23の厚さT22,T23が框基材21,24の厚さT21,T24のおよそ1.5倍〜2.5倍程度となっていることが好ましく、最も好ましいのは2倍程度である。
框基材21,22,23,24の材料としては、無垢材、集成材、LVL(単板積層材)、合板、木質繊維板、パーティクルボードなどを用いることができる。図4に示す框材20には、框基材21,22,23,24のすべてに同材料を用いてある。すなわち、框基材21,22,23,24は、厚さのみが異なる同じ材質の材料であり、例えば、LVL(単板積層材)であれば、積層されるすべての木質基材にLVLを用い、合板であれば、積層されるすべての木質基材に合板を用いる。なお、図4では各ブロック層を1枚の木質基材としているが、複数の木質基材を積層して1つのブロック層を構成してもよい。
このように、実施形態2に係る木質建具の反り防止構造においては、4枚の框基材21,22,23,24(木質基材)が防湿層1を挟んで積層されて框材20(反り防止木質材)が形成されているので、框材20内部の含有水分の移動を防湿層1で遮断することができ、框材20の厚み方向の含水率傾斜を小さくして、反りを防止することができる。
また、框材20を防湿層1,1,1を境界として厚さ方向の複数のブロック層に区分したときに、外側のブロック層の厚さT21,T24よりも内側のブロック層の厚さT22,T23の方が厚いので、框材20全体の反りに与える影響が大きい外側のブロック層の含水率傾斜を、重点的に小さくすることができる。また図4における上側の防湿層1付近では相対的に高含水率の框基材21と低含水率の框基材22が防湿層1を挟んで隣接することになるため、膨張する力と収縮する力が相殺され、寸法変化が抑制されると考えられる。図4における下側の防湿層1付近の框基材23と框基材24においても同様である。従って、寸法変化が抑制される部分(防湿層付近)を框材20の反りに影響を与えやすい表面寄りに設けることができる。以上により、同じ防湿層数であっても、各ブロック層の厚さを均等にしたものと比較して、より効果的に反りを防止することができる。
また、框材20の外側のブロック層に積層された框基材21,24と框基材20の内側のブロック層に積層された框基材22,23とが、同材料であるので、框材20の含水率傾斜を、積層する各框基材21,22,23,24の厚さT21,T22,T23,T24を変更することにより的確に調整することができる。
なお、框基材21,22,23,24の材料として、異なる材質の材料を用いることもできる。その場合には、図5に示す框材20´のように形成することが好ましい。框材20´は図4に示す框材20とほぼ同様の構成であるが、框基材の材質が異なっており、框材20´の外側のブロック層に積層された框基材21´,24´がLVL(単板積層材)であり、框材20´の内側のブロック層に積層された框基材22´,23´が合板である。LVLは、繊維の向きを揃えて積層されており、長さ方向の強度が高い。また、厚さ方向に含水率傾斜ができたとしても、木材は繊維方向の寸法変化が最も小さいため、反りが生じにくい。従って、框材20´全体の反りに与える影響が大きい外側のブロック層の強度と寸法安定性を、建具部材の長さ方向に繊維の向きを揃えたLVLを用いることで重点的に高め、より効果的に反りを防止することができる。それに対し、合板は初期反りやひねりを防止することができる。なお、LVLは単板を長さ方向に繊維の向きを揃えて積層したものであるが、ここでいうLVLには、長さ方向と直交する層を若干含んだものも含まれる。要は、外側のブロック層に積層された木質基材の方が、内側のブロック層に積層された木質基材よりも、長さ方向に繊維の向きを揃えた単板を多く積層した構成であればよい。
以上のように、実施形態2に係る木質建具の反り防止構造においては、反り防止木質材を框材20(20´)として用いているので、框組構造の木質建具100の骨格である框材20(20´)の反りを抑制し、木質建具100全体の反りを効果的に防止することができる。
なお、実施形態1及び実施形態2においては、反り防止木質材を木質建具100の縦框として用いたが、横框にも同様に用いることができる。ただし、通常は縦框の方が横框よりも長く反りが発生しやすいため、長さのある縦框に用いるのが特に効果的である。
次に、図6及び図7を参照して、本発明の実施形態3に係る木質建具の反り防止構造について説明する。なお、実施形態3についても実施形態1と同様に、図1に示す木質建具100を用いて説明する。図6は、実施形態3に係る木質建具100の鏡板を示す拡大断面図、図7はその変形例を示す拡大断面図である。なお、実施形態1と同一の部分については、同一の符号を付し説明を省略する。
まず、鏡板4として用いられる鏡板材30について説明する。鏡板材30は、以下のようにして形成されて、反り防止木質材として機能する。図6に示すように、鏡板材30は、木質基材である3枚の鏡板基材31,32,33を順に積層して形成されている。鏡板基材31と鏡板基材33は、鏡板材30の厚さ方向の外側に配置されている。また鏡板基材32は、鏡板材30の厚さ方向の内側に配置されている。そして、鏡板基材31と鏡板基材32の間、鏡板基材32と鏡板基材33の間には、それぞれ防湿層1,1が挟み込まれている。このように、鏡板材30を防湿層1,1を境界として厚さ方向の3つのブロック層に区分したときに、鏡板基材31と鏡板基材33は外側のブロック層を形成し、鏡板基材32は内側のブロック層を形成している。なお、鏡板基材31の表面と、鏡板基材33の表面には、それぞれ化粧材5が貼着されている。
鏡板基材31,32,33の厚さは、それぞれT31,T32,T33であり、T31=T33<T32の関係になっている。すなわち、鏡板材30の外側のブロック層に積層された鏡板基材31,33の厚さT31,T33よりも、鏡板材30の内側のブロック層に積層された鏡板基材32の厚さT32の方が厚くなっている。比率としては、鏡板基材32の厚さT32が鏡板基材31,33の厚さT31,T33のおよそ1.5倍〜2.5倍程度となっていることが好ましく、最も好ましいのは2倍程度である。
鏡板基材31,32,33の材料としては、無垢材、集成材、LVL(単板積層材)、合板、木質繊維板、パーティクルボードなどを用いることができる。図6に示す鏡板材30には、鏡板基材31,32,33のすべてに同材料を用いてある。すなわち、鏡板基材31,32,33は、厚さのみが異なる同じ材質の材料であり、例えば、LVL(単板積層材)であれば、積層されるすべての木質基材にLVLを用い、合板であれば、積層されるすべての木質基材に合板を用いる。なお、図6では各ブロック層を1枚の木質基材としているが、複数の木質基材を積層して1つのブロック層を構成してもよい。
このように、実施形態3に係る木質建具の反り防止構造においては、3枚の鏡板基材31,32,33(木質基材)が防湿層1を挟んで積層されて鏡板材30(反り防止木質材)が形成されているので、鏡板材30内部の含有水分の移動を防湿層1で遮断することができ、鏡板材30の厚み方向の含水率傾斜を小さくして、反りを防止することができる。
また、鏡板材30を防湿層1,1を境界として厚さ方向の複数のブロック層に区分したときに、外側のブロック層の厚さT31,T33よりも内側のブロック層の厚さT32の方が厚いので、鏡板材30全体の反りに与える影響が大きい外側のブロック層の含水率傾斜を、重点的に小さくすることができる。また防湿層1,1付近では、相対的に高含水率の鏡板基材31,33と低含水率の鏡板基材32が防湿層1,1を挟んで隣接することになるため、膨張する力と収縮する力が相殺され、寸法変化が抑制されると考えられる。従って、寸法変化が抑制される部分(防湿層付近)を鏡板材30の反りに影響を与えやすい表面寄りに設けることができる。以上により、同じ防湿層数であっても、各鏡板基材の厚さを均等にしたものと比較して、より効果的に反りを防止することができる。
また、鏡板材30の外側のブロック層に積層された鏡板基材31,33と、鏡板材30の内側のブロック層に積層された鏡板基材32とが、同材料であるので、鏡板材30の含水率傾斜を、積層する各鏡板基材31,32,33の厚さT31,T32,T33を変更することにより的確に調整することができる。
なお、鏡板基材31,32,33の材料として、異なる材質の材料を用いることもできる。その場合には、図7に示す鏡板材30´のように形成することが好ましい。鏡板材30´は図6に示す鏡板材30とほぼ同様の構成であるが、鏡板基材の材質が異なっており、鏡板材30´の外側のブロック層に積層された鏡板基材31´,33´がLVL(単板積層材)であり、鏡板材30´の内側のブロック層に積層された鏡板基材32´が合板である。LVLは、繊維の向きを揃えて積層されており、長さ方向の強度が高い。また、厚さ方向に含水率傾斜ができたとしても、木材は繊維方向の寸法変化が最も小さいため、反りが生じにくい。従って、鏡板材30´全体の反りに与える影響が大きい外側のブロック層の強度と寸法安定性を、建具部材の長さ方向に繊維の向きを揃えたLVLを用いることで重点的に高め、より効果的に反りを防止することができる。それに対し、合板は初期反りやひねりを防止することができる。なお、LVLは単板を長さ方向に繊維の向きを揃えて積層したものであるが、ここでいうLVLには、長さ方向と直交する層を若干含んだものも含まれる。要は、外側のブロック層に積層された木質基材の方が、内側のブロック層に積層された木質基材よりも、長さ方向に繊維の向きを揃えた単板を多く積層した構成であればよい。
以上のように、実施形態3に係る木質建具の反り防止構造においては、反り防止木質材を鏡板材30(30´)として用いているので、框組構造の木質建具100の鏡板材30(30´)の反りを抑制し、木質建具100全体の反りを効果的に防止することができる。
次に、図8及び図9を参照して、本発明の実施形態4に係る木質建具の反り防止構造について説明する。なお、実施形態4についても実施形態1と同様に、図1に示す木質建具100を用いて説明する。図8は、実施形態4に係る木質建具100の鏡板を示す拡大断面図、図9はその変形例を示す拡大断面図である。なお、実施形態1と同一の部分については、同一の符号を付し説明を省略する。
まず、鏡板4として用いられる鏡板材40について説明する。鏡板材40は、以下のようにして形成されて、反り防止木質材として機能する。図8に示すように、鏡板材40は、木質基材である4枚の鏡板基材41,42,43,44を順に積層して形成されている。鏡板基材41と鏡板基材44は、鏡板材40の厚さ方向の外側に配置されている。また鏡板基材42と鏡板基材43は、鏡板材40の厚さ方向の内側に配置されている。そして、鏡板基材41と鏡板基材42の間、鏡板基材42と鏡板基材43の間、鏡板基材43と鏡板基材44の間には、それぞれ防湿層1,1,1が挟み込まれている。このように、鏡板材40を防湿層1,1,1を境界として厚さ方向の4つのブロック層に区分したときに、鏡板基材41と鏡板基材44は外側のブロック層を形成し、鏡板基材42と鏡板基材43は内側のブロック層を形成している。なお、鏡板基材41の表面と、鏡板基材44の表面には、それぞれ化粧材5が貼着されている。
鏡板基材41,42,43,44の厚さは、それぞれT41,T42,T43,T44であり、T41=T44<T42=T43の関係になっている。すなわち、鏡板材40の外側のブロック層に積層された鏡板基材41,44の厚さT41,T44よりも、鏡板材40の内側のブロック層に積層された鏡板基材42,43の厚さT42,T43の方が厚くなっている。比率としては、鏡板基材42,43の厚さT42,T43が鏡板基材41,44の厚さT41,T44のおよそ1.5倍〜2.5倍程度となっていることが好ましく、最も好ましいのは2倍程度である。
框基材41,42,43,44の材料としては、無垢材、集成材、LVL(単板積層材)、合板、木質繊維板、パーティクルボードなどを用いることができる。図8に示す鏡板材40には、鏡板基材41,42,43,44のすべてに同材料を用いてある。すなわち、鏡板基材41,42,43,44は、厚さのみが異なる同じ材質の材料であり、例えば、LVL(単板積層材)であれば、積層されるすべての木質基材にLVLを用い、合板であれば、積層されるすべての木質基材に合板を用いる。なお、図8では各ブロック層を1枚の木質基材としているが、複数の木質基材を積層して1つのブロック層を構成してもよい。
このように、実施形態4に係る木質建具の反り防止構造においては、4枚の鏡板基材41,42,43,44(木質基材)が防湿層1を挟んで積層されて鏡板材40(反り防止木質材)が形成されているので、鏡板材40内部の含有水分の移動を防湿層1で遮断することができ、鏡板材40の厚み方向の含水率傾斜を小さくして、反りを防止することができる。
また、鏡板材40を防湿層1,1,1を境界として厚さ方向の複数のブロック層に区分したときに、外側のブロック層の厚さT41,T44よりも内側のブロック層の厚さT42,T43の方が厚いので、鏡板材40全体の反りに与える影響が大きい外側のブロック層の含水率傾斜を、重点的に小さくすることができる。また図8における上側の防湿層1付近では相対的に高含水率の鏡板基材41と低含水率の鏡板基材42が防湿層1を挟んで隣接することになるため、膨張する力と収縮する力が相殺され、寸法変化が抑制されると考えられる。図8における下側の防湿層1付近の鏡板基材43と鏡板基材44においても同様である。従って、寸法変化が抑制される部分(防湿層付近)を鏡板材40の反りに影響を与えやすい表面寄りに設けることができる。以上により、同じ防湿層数であっても、各ブロック層の厚さを均等にしたものと比較して、より効果的に反りを防止することができる。
また、鏡板材40の外側のブロック層に積層された鏡板基材41,44と、鏡板材40の内側のブロック層に積層された鏡板基材42,43とが、同材料であるので、鏡板材40の含水率傾斜を、積層する各鏡板基材41,42,43,44の厚さT41,T42,T43,T44を変更することにより的確に調整することができる。
なお、鏡板基材41,42,43,44の材料として、異なる材質の材料を用いることもできる。その場合には、図9に示す鏡板材40´のように形成することが好ましい。鏡板材40´は図8に示す鏡板材40とほぼ同様の構成であるが、鏡板基材の材質が異なっており、鏡板材40´の外側のブロック層に積層された鏡板基材41´,44´がLVL(単板積層材)であり、鏡板材40´の内側のブロック層に積層された鏡板基材42´,43´が合板である。LVLは、繊維の向きを揃えて積層されており、長さ方向の強度が高い。また、厚さ方向に含水率傾斜ができたとしても、木材は繊維方向の寸法変化が最も小さいため、反りが生じにくい。従って、鏡板材40´全体の反りに与える影響が大きい外側のブロック層の強度と寸法安定性を、建具部材の長さ方向に繊維の向きを揃えたLVLを用いることで重点的に高め、より効果的に反りを防止することができる。それに対し、合板は初期反りやひねりを防止することができる。なお、LVLは単板を長さ方向に繊維の向きを揃えて積層したものであるが、ここでいうLVLには、長さ方向と直交する層を若干含んだものも含まれる。要は、外側のブロック層に積層された木質基材の方が、内側のブロック層に積層された木質基材よりも、長さ方向に繊維の向きを揃えた単板を多く積層した構成であればよい。
以上のように、実施形態4に係る木質建具の反り防止構造においては、反り防止木質材を鏡板材40(40´)として用いているので、框組構造の木質建具100の鏡板材40(40´)の反りを抑制し、木質建具100全体の反りを効果的に防止することができる。
なお、実施形態1及び実施形態2は本発明に係る木質建具の反り防止構造を框材に適用したものであり、実施形態3及び実施形態4は鏡板に適用したものであるが、もちろん框材と鏡板の両方に適用することも可能である。
次に、図10乃至図12を参照して、本発明の実施形態5に係る木質建具の反り防止構造について説明する。図10は、実施形態5に係る木質建具200を示す正面図であり、図11は、実施形態5に係る木質建具200の芯材を示す拡大断面図(図10のB−B断面図)、図12はその変形例を示す拡大断面図である。
図10及び図11に示すように、木質建具200は、芯材50を挟んで表側の面と裏側の面にパネル材6,6を取り付けて構成された、フラッシュ構造の建具である。なお、図10には、木質建具200として、鴨居と敷居に設けられたレール上を走行する引き戸を示したが、ドアなどの開き戸であってもよい。ただし、引き戸の場合には、レールや擦れ違う隣接する引き戸との関係から、反りの防止がドアに比べて強く求められることから、引き戸に適用する場合に特に効果が高い。
次に、芯材50について説明する。芯材50は、以下のようにして形成されて、反り防止木質材として機能する。図11に示すように、芯材50は、木質基材である3枚の芯基材51,52,53を順に積層して形成されている。芯基材51と芯基材53は、芯材50の厚さ方向の外側に配置されている。また芯基材52は、芯材50の厚さ方向の内側に配置されている。そして、芯基材51と芯基材52の間、芯基材52と芯基材53の間には、それぞれ防湿層1,1が挟み込まれている。このように、芯材50を防湿層1,1を境界として厚さ方向の3つのブロック層に区分したときに、芯基材51と芯基材53は外側のブロック層を形成し、芯基材52は内側のブロック層を形成している。なお、図中の符号7は、木端化粧材7である。
芯基材51,52,53の厚さは、それぞれT51,T52,T53であり、T51=T53<T52の関係になっている。すなわち、芯材50の外側のブロック層に積層された芯基材51,53の厚さT51,T53よりも、芯材50の内側のブロック層に積層された芯基材52の厚さT52の方が厚くなっている。比率としては、芯基材52の厚さT52が芯基材51,53の厚さT51,T53のおよそ1.5倍〜2.5倍程度となっていることが好ましく、最も好ましいのは2倍程度である。
芯基材51,52,53の材料としては、無垢材、集成材、LVL(単板積層材)、合板、木質繊維板、パーティクルボードなどを用いることができる。図11に示す芯材50には、芯基材51,52,53のすべてに同材料を用いてある。すなわち、芯基材51,52,53は、厚さのみが異なる同じ材質の材料であり、例えば、LVL(単板積層材)であれば、積層されるすべての木質基材にLVLを用い、合板であれば、積層されるすべての木質基材に合板を用いる。なお、図11では各ブロック層を1枚の木質基材としているが、複数の木質基材を積層して1つのブロック層を構成してもよい。
このように、実施形態5に係る木質建具の反り防止構造においては、3枚の芯基材51,52,53(木質基材)が防湿層1を挟んで積層されて芯材50(反り防止木質材)が形成されているので、芯材50内部の含有水分の移動を防湿層1で遮断することができ、芯材50の厚み方向の含水率傾斜を小さくして、反りを防止することができる。
また、芯材50を防湿層1,1を境界として厚さ方向の複数のブロック層に区分したときに、外側のブロック層の厚さT51,T53よりも内側のブロック層の厚さT52の方が厚いので、芯材50全体の反りに与える影響が大きい外側のブロック層の含水率傾斜を、重点的に小さくすることができる。また防湿層1,1付近では、相対的に高含水率の芯基材51,53と低含水率の芯基材52が防湿層1,1を挟んで隣接することになるため、膨張する力と収縮する力が相殺され、寸法変化が抑制されると考えられる。従って、寸法変化が抑制される部分(防湿層付近)を、芯材50の反りに影響を与えやすい表面寄りに設けることができる。以上により、同じ防湿層数であっても、各芯基材の厚さを均等にしたものと比較して、より効果的に反りを防止することができる。
また、芯材50の外側のブロック層に積層された芯基材51,53と、芯材50の内側のブロック層に積層された芯基材52とが、同材料であるので、芯材50の含水率傾斜を、積層する各芯基材51,52,53の厚さT51,T52,T53を変更することにより的確に調整することができる。
なお、芯基材51,52,53の材料として、異なる材質の材料を用いることもできる。その場合には、図12に示す芯材50´のように形成することが好ましい。芯材50´は図11に示す芯材50とほぼ同様の構成であるが、芯基材の材質が異なっており、芯材50´の外側のブロック層に積層された芯基材51´,53´がLVL(単板積層材)であり、芯材50´の内側のブロック層に積層された芯基材52´が合板である。LVLは、繊維の向きを揃えて積層されており、長さ方向の強度が高い。また、厚さ方向に含水率傾斜ができたとしても、木材は繊維方向の寸法変化が最も小さいため、反りが生じにくい。従って、芯材50´全体の反りに与える影響が大きい外側のブロック層の強度と寸法安定性を、建具部材の長さ方向に繊維の向きを揃えたLVLを用いることで重点的に高め、より効果的に反りを防止することができる。それに対し、合板は初期反りやひねりを防止することができる。なお、LVLは単板を長さ方向に繊維の向きを揃えて積層したものであるが、ここでいうLVLには、長さ方向と直交する層を若干含んだものも含まれる。要は、外側のブロック層に積層された木質基材の方が、内側のブロック層に積層された木質基材よりも、長さ方向に繊維の向きを揃えた単板を多く積層した構成であればよい。
以上のように、実施形態5に係る木質建具の反り防止構造においては、反り防止木質材を芯材50(50´)として用いているので、フラッシュ構造の木質建具200の骨格である芯材50(50´)の反りを抑制し、木質建具200全体の反りを効果的に防止することができる。
次に、図13及び図14を参照して、本発明の実施形態6に係る木質建具の反り防止構造について説明する。なお、実施形態6についても実施形態5と同様に、図10に示す木質建具200を用いて説明する。図13は、実施形態6に係る木質建具200の芯材を示す拡大断面図(図10のB−B断面図)、図14はその変形例を示す拡大断面図である。なお、実施形態5と同一の部分については、同一の符号を付し説明を省略する。
まず、芯材60について説明する。芯材60は、以下のようにして形成されて、反り防止木質材として機能する。図13に示すように、芯材60は、木質基材である4枚の芯基材61,62,63,64を順に積層して形成されている。芯基材61と芯基材64は、芯材60の厚さ方向の外側に配置されている。また芯基材62と芯基材63は、芯材60の厚さ方向の内側に配置されている。そして、芯基材61と芯基材62の間、芯基材62と芯基材63の間、芯基材63と芯基材64の間には、それぞれ防湿層1,1,1が挟み込まれている。このように、芯材60を防湿層1,1,1を境界として厚さ方向の4つのブロック層に区分したときに、芯基材61と芯基材63は外側のブロック層を形成し、芯基材62と芯基材63は内側のブロック層を形成している。なお、図中の符号7は、木端化粧材7である。
芯基材61,62,63,64の厚さは、それぞれT61,T62,T63,T64であり、T61=T64<T62=T63の関係になっている。すなわち、芯材60の外側のブロック層に積層された芯基材61,64の厚さT61,T64よりも、芯材60の内側のブロック層に積層された芯基材62,63の厚さT62,T63の方が厚くなっている。比率としては、芯基材62,63の厚さT62,T63が芯基材61,64の厚さT61,T64のおよそ1.5倍〜2.5倍程度となっていることが好ましく、最も好ましいのは2倍程度である。
芯基材61,62,63,64の材料としては、無垢材、集成材、LVL(単板積層材)、合板、木質繊維板、パーティクルボードなどを用いることができる。図13に示す芯材60には、芯基材61,62,63,64のすべてに同材料を用いてある。すなわち、芯基材61,62,63,64は、厚さのみが異なる同じ材質の材料であり、例えば、LVL(単板積層材)であれば、積層されるすべての木質基材にLVLを用い、合板であれば、積層されるすべての木質基材に合板を用いる。なお、図13では各ブロック層を1枚の木質基材としているが、複数の木質基材を積層して1つのブロック層を構成してもよい。
このように、実施形態6に係る木質建具の反り防止構造においては、4枚の芯基材61,62,63,64(木質基材)が防湿層1を挟んで積層されて芯材60(反り防止木質材)が形成されているので、芯材60内部の含有水分の移動を防湿層1で遮断することができ、芯材60の厚み方向の含水率傾斜を小さくして、反りを防止することができる。
また、芯材60を防湿層1,1,1を境界として厚さ方向の複数のブロック層に区分したときに、外側のブロック層の厚さT61,T64よりも内側のブロック層の厚さT62,T63の方が厚いので、芯材60全体の反りに与える影響が大きい外側のブロック層の含水率傾斜を、重点的に小さくすることができる。また図13における上側の防湿層1付近では相対的に高含水率の芯基材61と低含水率の芯基材62が防湿層1を挟んで隣接することになるため、膨張する力と収縮する力が相殺され、寸法変化が抑制されると考えられる。図13における下側の防湿層1付近の芯基材63と芯基材64においても同様である。従って、寸法変化が抑制される部分(防湿層付近)を、芯材60の反りに影響を与えやすい表面寄りに設けることができる。以上により、同じ防湿層数であっても、各芯基材の厚さを均等にしたものと比較して、より効果的に反りを防止することができる。
また、芯材60の外側のブロック層に積層された芯基材61,64と、芯材60の内側のブロック層に積層された芯基材62,63とが、同材料であるので、芯材60の含水率傾斜を、積層する各芯基材61,62,63,64の厚さT61,T62,T63,T64を変更することにより的確に調整することができる。
なお、芯基材61,62,63,64の材料として、異なる材質の材料を用いることもできる。その場合には、図14に示す芯材60´のように形成することが好ましい。芯材60´は図13に示す芯材60とほぼ同様の構成であるが、芯基材の材質が異なっており、芯材60´の外側のブロック層に積層された芯基材61´,64´がLVL(単板積層材)であり、芯材60´の内側のブロック層に積層された芯基材62´,63´が合板である。LVLは、繊維の向きを揃えて積層されており、長さ方向の強度が高い。また、厚さ方向に含水率傾斜ができたとしても、木材は繊維方向の寸法変化が最も小さいため、反りが生じにくい。従って、芯材60´全体の反りに与える影響が大きい外側のブロック層の強度と寸法安定性を、建具部材の長さ方向に繊維の向きを揃えたLVLを用いることで重点的に高め、より効果的に反りを防止することができる。それに対し、合板は初期反りやひねりを防止することができる。なお、LVLは単板を長さ方向に繊維の向きを揃えて積層したものであるが、ここでいうLVLには、長さ方向と直交する層を若干含んだものも含まれる。要は、外側のブロック層に積層された木質基材の方が、内側のブロック層に積層された木質基材よりも、長さ方向に繊維の向きを揃えた単板を多く積層した構成であればよい。
以上のように、実施形態6に係る木質建具の反り防止構造においては、反り防止木質材を芯材60(60´)として用いているので、フラッシュ構造の木質建具200の骨格である芯材60(60´)の反りを抑制し、木質建具200全体の反りを効果的に防止することができる。
以上、上記実施形態1乃至実施形態6に係る木質建具の反り防止構造によれば、複数の基材の間に防湿層を挟んだ木質材において、より少ない防湿層で効果的に反りを防止することができる。
なお、上記実施形態においては、ブロック層を3つ又は4つ設ける構成としたが、5つ以上用いた構成とすることも可能である。その場合には、複数のブロック層の厚さを、木質材の厚さ方向の中央部分に近いブロック層ほど厚くなるように形成するとよい。
また、上記実施形態においては、ドアや引き戸等の木質建具に適用したものを示したが、折れ戸や可動間仕切り、引き戸を設置する開口部に施工される小壁等その他の木質建具についても適用することが可能である。
また、一部に木質材を用いた建具であれば、その木質材の部分に対して本発明を適用することができるので、建具を構成する框材、鏡板材、芯材、パネル材、構成部材、連結部材等のうち一部の部材に木質材以外の材料を用いたものについても適用することが可能である。さらには、床材(特に床暖房用)に適用することも可能である。