JP4809716B2 - 化粧板材 - Google Patents
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扉部材の鏡板としては、木質の基板(素板)の表面に、化粧用シート又は突板の貼着、塗装等を行なうことによって化粧してある化粧板材が用いられる。
また、扉部材には、鏡板に窓孔を設けて窓孔にガラス板材、合成樹脂板材等を配することによって、嵌め殺しの窓が設けられることがある。
図中20は矩形状のガラス板材であり、ガラス板材20を挟むようにして、HDF(高密度繊維板)、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板を用いてなる矩形状の木質板材21,22が配される。
また、木質板材21の表面には、木質板材21を化粧するオレフィンシート23が真空貼りによって貼着されている。
このとき、木質板材21,22の表面側からは、窓孔21a,22aを介してガラス板材20が露出し、ガラス板材20は窓ガラスとして機能する。
ガラス板材20は嵌込穴21b,22b内に保持され、更に詳細には、窓孔21a,22a周縁部に、ガラス板材20の周縁部が挟持される。
しかしながら、肌荒れを生じている窓孔21a,22aの狭い内面に化粧用のテープを貼着することは煩雑であり、しかも、化粧板材の製造工程がテープ貼着工程の分だけ増加するという問題がある。
しかしながら、窓孔21a,22aの内面は面積が狭いため、窓孔21a,22aの内面とオレフィンシート23,24との接触面積も狭い。このため、オレフィンシート23,24が剥がれ易いという問題がある。
図9は、従来の化粧板材の他の構成を示す横断面図である。
図中25,26は木質板材であり、木質板材25,26は図7及び図8に示す木質板材21,22に対応する。同様に、木質板材25,26に形成されている嵌込穴25b,26bは、木質板材21,22に形成されている嵌込穴21b,22bに対応する。
オレフィンシート27,28は、木質板材25,26の表面と窓孔25a,26aの内面とに連続して貼着してある。テーパ状の窓孔25a,26aの内面は面積が広いためオレフィンシート27,28との接触面積も広く、このため窓孔21a,22aの内面に貼着する場合よりも剥がれ難い。
一方、木質板材21,22,25,26は吸水性が高いため、結露によってガラス板材20に発生した水分は、ガラス板材20を伝って木質板材21,22,25,26へ移動し、木質板材21,22,25,26に吸収されることがある。
水分を吸収した木質板材21,22,25,26は膨潤し、凹凸、反り等の変形を生じることがある。このため、扉部材の美観及び寸法安定性が悪化するという問題がある。
木質板材21,22,25,26の裏面側から嵌込穴21b,22b,25b,26bが形成されているため、嵌込穴21b,22b,25b,26b内部には低密度層が露出している。この低密度層は、高密度層に比べて密度が低いため、高密度層より吸水性が高い。つまり、木質繊維板を用いてなる木質板材21,22,25,26は、膨潤による変形を生じ易い。
しかしながら、特許文献1に開示されている扉部材には窓が設けられておらず、窓ガラスに結露した水分が木質板材に吸収されて生じる変形の抑制に関しては全く考慮されていない。
このため、窓孔21a,22a,25a,26a周縁部の木質板材21,22,25,26裏面側は、接着剤を不要に吸収し易く、この結果、木質板材21,22,25,26とオレフィンシート23,24,27,28との接着力が低下するという問題がある。
ところが、木質板材21,22,25,26全体の厚みと比べて、窓孔21a,22a,25a,26a周縁部の厚みは、木質板材21,22,25,26裏面に嵌込穴21b,22b,25b,26bが形成されている分、板厚が部分的に薄い。特に、窓孔25a,26a周縁部のように、窓孔25a,26aの内面がテーパ状に形成されている場合は、更に板厚が薄い。
以上の結果、窓孔21a,22a,25a,26a周縁部は変形、損傷等に弱く、また、窓孔21a,22a,25a,26a周縁部によるガラス板材20の挟持強度が低いという問題がある。
2枚の外側板材夫々は、内側板材の形状と略等しい形状を有する木質板材である。この外側板材夫々に対し、外側板材の一面、外側板材の窓孔の内面、及び外側板材の他面の窓孔の周縁部における窓用板材との対向範囲に、防水性を有する連続した化粧シートを、例えば真空貼りによって一括して貼着してから、各外側板材と、内側板材の一面及び他面とを接合することによって、即ち2枚の外側板材で内側板材を挟み込むことによって、化粧板材が形成される。
しかも、各窓孔の寸法は、窓用板材の寸法より小さいため、2個の窓孔の周縁部の間で、窓用板材の周縁部が挟持され、窓用板材は、窓用板材の板厚方向の移動を禁止される。
つまり、窓用板材を挟持している窓孔周縁部の強度低下が生じておらず、窓孔周縁部の損傷、変形等が抑制され、また、充分な強度で確実に窓用板材を挟持することができる。
また、外側板材が充分な板厚を有する場合は、仮に外側板材が結露によって発生した水分を吸収しても、膨潤による変形の悪影響を相対的に小さくすることができる。
更に、2枚の外側板材の間に介在する内側板材は、木質板材でもよく、木質板材以外でもよい。
この結果、水分を吸収した外側板材が膨潤することによる凹凸、反り等の変形の発生を抑制することができ、このため、化粧板材の美観及び寸法安定性を向上させることができる。
しかも、連続した化粧シートは、分割された化粧シートのように、分割部分から水分が木質板材側へ浸透することがない。
しかも、他面の窓孔の周縁部は、例えば嵌込穴が形成されることによる肌荒れが生じておらず、水分を吸収し難い。このため、外側板材他面の窓孔周縁部は、接着剤を不要に吸収することなく、木質板材と化粧シートとが充分強力に接着することができる。
また、化粧シートの貼着によって、外側板材の一面、及び窓孔の形成によって肌荒れを生じている窓孔の内面とを化粧することができる。
このため、化粧板材の美観を向上させることができる。
木質繊維板は、合成樹脂と、木質材由来の繊維状体(以下、木質繊維という)とを用いて安価に製造することができるため、内側板材及び2枚の外側板材が木質繊維板を用いてなる化粧板材も安価に製造することができる。
従来の化粧板材は、2枚の木質繊維板に関し、各板材2層ずつ、合計4層の高密度層を有する。しかも、窓用板材を嵌め込む嵌込穴を、木質繊維板の高密度層を削って(除去して)形成する必要があるため、窓用板材を保持する窓孔周縁部には、各板材1層ずつ、合計2層の高密度層しかない。しかも、窓孔周縁部には、強度が低く、吸水性が高い低密度層が存在することになる。
しかも、窓用板材を保持する窓孔周縁部には、外側板材2枚分、合計4層の高密度層を有するため、窓孔周縁部の変形、損傷等を抑制し、また、窓用板材を確実に保持することができる。
扉部材Dは、3枚の矩形状の木質板材を接合してなる化粧板材1の四辺に、横框11,12及び縦框13,14を枠状に取り付けてなる。
化粧板材1には、採光用に、楕円形状の嵌め殺しの窓15が設けられており、窓15には、窓用板材として、透光性を有する無色透明なガラス板材2が配されている。なお、ガラス板材2として、色ガラス、磨りガラス、ステンドグラス等を用いてもよい。
化粧板材1は、2枚の外側板材41,42の間に、1枚のガラス板材2と1枚の内側板材3とを挟持してなる。
外側板材41,42夫々と内側板材3とは、木質繊維板(具体的にはMDF板材)を用いてなる。
次に、木質繊維板の性質について説明する。
図4に示す木質繊維板は板厚が16mmである。
ここでは、板厚0mmが木質繊維板の表面、板厚16mmが木質繊維板の裏面とする。
仮に、木質繊維板の裏面を切削してガラス板材2を嵌め込む嵌込穴を形成した場合、嵌込穴の内部には、点P4に示すような約700kg/m3 の低密度層が露出する。
ここで、板厚が異なる木質繊維板の板厚と密度との関係も、図4に示す関係と略同様の傾向を示す。
化粧板材1を製造する作業者は、内側板材3を準備する(図5(a))。
このために、作業者は、ガラス板材2の板厚と略等しい板厚を有する矩形状の木質繊維板を内側板材3として準備し、内側板材3の適切な位置をNCルータで刳り貫くことによって、ガラス板材2の形状に略等しい嵌込孔3aを形成する。後述するように、この嵌込孔3aに、ガラス板材2が嵌め込まれる。
作業者は、内側板材3の形状と略等しい形状を有する矩形状の木質繊維板を外側板材41として準備する。ただし、外側板材41の板厚は内側板材3の板厚と異なっていてもよい。
更に作業者は、外側板材41と同様にして、窓孔42aが形成された外側板材42を準備する(図3及び図6参照)。
ここで、オレフィンシート51は、外側板材41の表面41b、面取りされた窓孔41aの内面、及び外側板材41の裏面41cの窓孔41a周縁部に、連続して貼着される。つまり、オレフィンシート51は、外側板材41の表面41bから裏面41cへ巻き込まれるようにして外側板材41をラッピングしている。
真空貼りによって、オレフィンシート51,52は一括して貼着されるため、例えば分割したシートを貼着する場合や、シート及びテープを貼着する場合に比べて、貼着工程は少ない。
具体的には、作業者は、内側板材3の嵌込孔3aにガラス板材2を嵌め込み、嵌込孔3aに嵌め込まれたガラス板材2と、外側板材41,42夫々の窓孔41a,42aとを対向させて、内側板材3の両面に接着剤を塗布し、内側板材3の一面と外側板材41の裏面41cとを接合し、内側板材3の他面と外側板材42の裏面42cとを接合する。
外側板材41,42の表面側からは、窓孔41a,42aを介してガラス板材2が外部に露出し、ガラス板材2は窓ガラスとして機能する。そして、窓孔41a,42a及びガラス板材2は、嵌め殺しの窓15として機能する。
特に外側板材41,42に関しては、窓孔41a,42a近傍にも4層の高密度層411,412,421,422が存在する。
しかしながら、従来の化粧板材は高密度層が最大4層であるのに対し、化粧板材1は高密度層が最大6層である。このため、化粧板材1の強度が向上されている。
しかしながら、従来の化粧板材の窓孔周縁部は高密度層が1層であるのに対し、窓孔41a(42a)周縁部は高密度層が2層であり、しかも、低密度層が露出していない。更に、従来の化粧板材の木質繊維板は、木質繊維板の窓孔周縁部と窓孔周縁部以外とで板厚が異なるため、外力が加えられた場合に、例えば応力集中による破損が生じ易い。また、オレフィンシート貼着のために窓孔周縁部をテーパ状に形成することもあるため、窓孔周縁部の強度は更に低くなる。
しかしながら、窓孔41a,42a周縁部は、オレフィンシート51,52に被覆されることによって防水されており、しかも、窓孔41a,42a周縁部の外側板材41,42表面及び裏面は夫々吸水性が低い高密度層であるため、外側板材41,42が吸水して、膨潤による凹凸、反り等が発生することが抑制されている。
また、オレフィンシート51,52の貼着によって、外側板材41,42表面、及び窓孔41a,42a内面とが化粧される。
以上のことから、化粧板材1の美観が向上されている。
また、窓用板材としては、一般に木質板材よりも結露し易い材料が用いられ、ガラス板材2の代わりに、アクリルのような合成樹脂板材を用いてもよい
更に、化粧板材1の表面に、オレフィンシート51,52の表面側から、例えばモール材を貼着して、化粧板材1の意匠性を向上させてもよい。
また、オレフィンシート51,52の代わりに、オレフィンシート51,52の貼着と同様にして、防水性を有する強化紙を外側板材41,42に貼着するか、又は、防水性を有する塗装を外側板材41,42に施してもよい。
更に、内側板材3は木質板材以外の材料で形成してもよい。
15 窓
2 ガラス板材(窓用板材)
3 内側板材(木質繊維板)
3a 嵌込孔
41,42 外側板材(木質板材,木質繊維板)
41a,42a 窓孔
51,52 オレフィンシート(化粧シート)
D 扉部材
Claims (2)
- 複数枚の木質板材を接合してなり、窓が設けられている化粧板材において、
ガラス板材又は合成樹脂板材を用いてなる窓用板材と、
該窓用板材の板厚と略等しい板厚を有し、前記窓用板材が嵌め込まれている内側板材と、
前記内側板材の形状と略等しい形状を有し、前記窓用板材の寸法より小さい寸法の窓孔が形成され、前記内側板材に嵌め込まれた前記窓用板材と前記窓孔とを対向させて、前記内側板材の一面及び他面と接合されている2枚の外側板材とを備え、
少なくとも前記2枚の外側板材が木質板材であり、
前記外側板材の一面、前記窓孔の内面、及び前記外側板材の他面の前記窓孔の周縁部における窓用板材との対向範囲に、防水性を有する連続した化粧シートを貼着してあることを特徴とする化粧板材。 - 前記木質板材は木質繊維板を用いてなり、前記内側板材も木質繊維板を用いてなることを特徴とする請求項1に記載の化粧板材。
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