JP5055294B2 - 眼鏡レンズ - Google Patents

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Description

本発明は、透明性、紫外線吸収能に優れ、成形耐熱性が良好で、リプロ性能が高く熱履歴を有しても黄色化が殆んどない、色相に優れた眼鏡レンズに適した樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は高屈折率で透明性や耐衝撃性に優れ、最近はレンズの素材、なかでも眼鏡レンズの素材として幅広く使用されている。ポリカーボネート樹脂製の眼鏡レンズは、従来のガラスレンズや注型重合によるプラスチックレンズ(以下注型レンズという)より薄くて、軽くて、衝撃強度が著しく高く、したがって安全で、かつ機能性が高いため、眼鏡レンズとして視力補正用レンズ、サングラスおよび保護眼鏡等に用いられるようになってきた。
最近では、眼鏡レンズに紫外線吸収能を付与し、有害な紫外線から目を保護しようとする要望が強くなり、例えば、注型レンズやガラスレンズでは、レンズ表面に紫外線吸収能を有するコート層を付与して、これらの要望に応えている。しかしながら、かかるコート方法では高価になり、かつレンズ自身が微黄色化するという欠点があった。また注型レンズでは重合させる際に、紫外線吸収剤を添加することも行われている。しかしながら、かかる方法では重合性の阻害や、レンズ自身が著しく黄色化するという欠点があった。
これに対しポリカーボネート樹脂製の眼鏡レンズでは、ポリカーボネート樹脂自身が短波長側の紫外線吸収能を有し、ポリカーボネート樹脂自身の紫外線吸収波長よりも長波長側の紫外線吸収能を有する紫外線吸収剤を配合することができる。しかしながら、従来のポリカーボネート樹脂はそれ自体では、375nm迄の紫外線を吸収するのが限度であり、これ以上の長波長を吸収しようとすると、紫外線吸収剤を多量に添加しなければならない。一般に紫外線吸収剤は昇華性であるため、紫外線吸収剤を多量添加すると、ポリカーボネート樹脂の射出成形時に、紫外線吸収剤が昇華して金型鏡面を汚染し、得られるレンズの外観を著しく阻害するようになる。
特許文献1には、透明性熱可塑性樹脂100重量部に、波長300〜345nmおよび波長346〜400nmに吸収極大を有する2種の紫外線吸収剤を配合した樹脂組成物が記載されている。この樹脂組成物は透明性に優れ、且つ紫外線吸収能が高い眼鏡レンズ用として開発されたものであるが、製品屑等を再利用するために再押出し等の熱履歴を加えると、色相変化が大きく、成形耐熱性が不十分である。
また、特許文献2では、ポリカーボネート樹脂に対して、2種の紫外線吸収剤およびラクトン系熱安定剤を配合した樹脂組成物が示されている。しかしながら、該ラクトン系熱安定剤は熱履歴を受けると着色すると言われており、ポリカーボネート樹脂に添加した際に、樹脂の色相が安定化しないという問題が指摘されている。
一方、特許文献3には、リン系熱安定剤、フェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤を含有する回転成形用のポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。具体的には、ポリカーボネート樹脂に対して、リン系熱安定剤、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、べンゾトリアゾール系紫外線吸収剤および離型剤を配合した樹脂組成物が開示されている。しかしながら、該樹脂組成物は眼鏡レンズ用途としては色相、紫外線吸収能が不十分である。
特開平09−263694号公報 国際公開第2005/069061号パンフレット 特開2002−020607号公報
本発明の第1の目的は、ポリカーボネート樹脂を含有し、385nmの波長を実質的に透過せず、かつ全光線透過率が高い樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、耐熱性、特にリプロ性に優れ、熱履歴による色相の変化が小さい樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第3の目的は、耐熱性に優れ、眼鏡レンズ成形時の長期高温保持に耐え得る樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第4の目的は、耐熱性に優れ、製品屑等を再利用することの出来る樹脂組成物を提供することにある。
本発明において、リプロ性能とは、樹脂組成物に繰り返し所定の温度の熱履歴を加え変色の度合いを評価するもので、熱履歴による劣化の程度を示す尺度である。
本発明者らは、前記目的を達成するため、ポリカーボネート樹脂に用いる熱安定剤、紫外線吸収剤について鋭意研究した結果、特定の熱安定剤および特定の2つのタイプの紫外線吸収剤を組み合わせて、これらを特定量で用いれば、成形性を阻害することなく、かつレンズの透明性を損なうことなく、成形時の熱による色相変化が改善され、且つ385nmの紫外線をほぼ完全に吸収することができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、
1. (1)ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、
(2)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾールおよび2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールからなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤(A)0.05〜0.4重量部、
(3)2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]および2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールからなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤(B)0.01〜0.3重量部、並びに
(4)下記式(I)で示される化合物および下記式(II)で示される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のチオエーテル系化合物(C)0.01〜0.5重量部を含有する樹脂組成物、
(R−S−CH−CH−C(O)O−CH−)C (I)
(R−O−C(O)−CH−CH−)S (II)
(式中Rは炭素数4〜20のアルキル基、Rは炭素数6〜22のアルキル基を示す。)
2. 紫外線吸収剤(A)が、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールであり、紫外線吸収剤(B)が、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、および2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]からなる群より選ばれる少なくとも1種である前項1記載の樹脂組成物、
3. 紫外線吸収剤(A)および紫外線吸収剤(B)との配合比(R)がB/A(重量比)で表して0.05〜4の範囲である前項1記載の樹脂組成物、
4. チオエーテル系化合物(C)が、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)である前項1記載の樹脂組成物、
5. リン系熱安定剤(D)をポリカーボネート樹脂100重量部当り、0.001〜0.2重量部含有する前項1記載の樹脂組成物、
6. ヒンダードフェノール系熱安定剤(E)を、ポリカーボネート樹脂100重量部当り、0.001〜0.1重量部含有する前項1記載の樹脂組成物、
7. ポリカーボネート樹脂は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主たる二価フェノール成分とする前項1記載の樹脂組成物、
8. 前項1記載の樹脂組成物よりなる成形品、および
9. 前項1記載の樹脂組成物よりなる眼鏡レンズ、が提供される。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
(ポリカーボネート樹脂)
本発明で用いるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂である。ここで用いる二価フェノールの具体例としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。これら二価フェノールは単独で用いても、二種以上併用してもよい。
前記二価フェノールのうち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を主たる二価フェノール成分とするのが好ましく、特に全二価フェノール成分中70モル%以上、特に80モル%以上がビスフェノールAであるものが好ましい。最も好ましいのは、二価フェノール成分が実質的にビスフェノールAである芳香族ポリカーボネート樹脂である。
ポリカーボネート樹脂は、それ自体周知の方法および手段によって製造することができるが、その基本的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆体としてホスゲンを用いる溶液法では、通常酸結合剤および有機溶媒の存在下に二価フェノール成分とホスゲンとの反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることができ、分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノールのようなアルキル置換フェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは10以上に保つのが好ましい。
カーボネート前駆体として炭酸ジエステルを用いるエステル交換法(溶融法)は、不活性ガスの存在下に所定割合の二価フェノール成分と炭酸ジエステルとを加熱しながら撹拌し、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法である。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応させる。また反応を促進するために通常のエステル交換反応触媒を用いることができる。このエステル交換反応に用いる炭酸ジエステルとしては例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等があげられ、特にジフェニルカーボネートが好ましい。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量で表して1.7×10〜3.0×10が好ましく、2.0×10〜2.6×10が特に好ましい。眼鏡レンズは精密成形であり、金型の鏡面を正確に転写して規定の曲率、度数を付与することが重要であり、溶融流動性のよい低粘度の樹脂が望ましいが、あまりに低粘度過ぎるとポリカーボネート樹脂の特徴である衝撃強度が保持できない。ここで、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は、オストワルド粘度計を用いて塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
(紫外線吸収剤(A))
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂中に波長の吸収特性が異なる2つのタイプの紫外線吸収剤(A)および(B)を含有する。
1つは紫外線吸収剤(A)であり、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(UV−0)および2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(UV−1)からなる群から選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤である。この紫外線吸収剤(A)は波長340nm近辺に吸収極大を有する。
紫外線吸収剤(A)として、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(UV−1)が好ましい。
紫外線吸収剤(A)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部当り0.05〜0.4重量部、好ましくは0.1〜0.35重量部、より好ましくは0.15〜0.33重量部である。0.05重量部未満では紫外線吸収性能が不充分であり、0.4重量部を越える量を配合しても、もはや紫外線吸収能力は向上せず、逆に成形時の昇華、曇価(ヘイズ)の増大、色相の悪化が著しくなる。
(紫外線吸収剤(B))
他の1つは紫外線吸収剤(B)であり、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(UV−3)、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](UV−2)および2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(UV−4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤である。この紫外線吸収剤(B)は波長343〜360nmの範囲に吸収極大を有する。これら2つのタイプの紫外線吸収剤(A)および(B)の吸収極大は、いずれも層厚10mm石英セルを用いてクロロホルム溶液にて濃度10mg/リットルで測定された吸収スペクトルである。
紫外線吸収剤(B)として、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(UV−3)および2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](UV−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤が好ましい。
紫外線吸収剤(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部当り0.01〜0.3重量部、好ましくは0.01〜0.27重量部、より好ましくは0.02〜0.25重量部である。0.01重量部未満では紫外線吸収性能が不充分であり、0.3重量部を越えると紫外線吸収剤(B)はポリカーボネート樹脂の色相を著しく悪化させ、くすんだ色の眼鏡レンズとなる。
これら2つのタイプの紫外線吸収剤(A)および(B)は、いずれも単独で使用した場合、385nmの波長の紫外線の吸収が不充分であるか、あるいは吸収が充分になる程度多量に添加すると成形時に紫外線吸収剤が昇華し、レンズの曇価(ヘイズ)が増大したり、色相の悪化を招く。紫外線吸収剤(A)および(B)を組み合わせて使用することにより、それぞれの量は比較的少ない量であっても、2mm厚の成形板において385nmの分光透過率が1%以下でこの波長の紫外線をほぼ完全に吸収でき、しかも全光線透過率は約90%と高い水準を維持し、レンズの色相も良好となる。
また、紫外線吸収剤(A)と紫外線吸収剤(B)との配合比(R)は、B/A(重量比)で表して、好ましくは0.05〜4の範囲、より好ましくは0.05〜3の範囲、さらに好ましくは0.05〜1の範囲、特に好ましくは0.05〜0.5の範囲である。配合比(R)が0.05未満では紫外線吸収性能が不充分であり、配合比(R)が4を越すと色相の悪化が著しくなる傾向が認められる。
(チオエーテル系化合物(C))
本発明の樹脂組成物は、下記式(I)で示される化合物および下記式(II)で示される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のチオエーテル系化合物(C)を含有する。このチオエーテル系化合物(C)は、それ自体ポリカーボネート樹脂に対する熱安定剤として知られたものであるが、本発明の樹脂組成物においては、2つのタイプの紫外線吸収剤(A)および(B)と、少量のチオエーテル系化合物(C)とを組み合わせることにより樹脂組成物のリプロ性および成形耐熱性が顕著に向上する。
(R−S−CH−CH−C(O)O−CH−)C (I)
(R−O−C(O)−CH−CH−)S (II)
(式中Rは炭素数4〜20のアルキル基、Rは炭素数6〜22のアルキル基を示す。)
式(I)で示される化合物において、Rは炭素数10〜18のアルキル基が好ましい。アルキル基として、デカン基、ドデカン基、テトラデカン基、ヘキサデカン基、オクタデカン基が挙げられる。
式(I)で示される化合物として具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ステアリルチオプロピオネート)等が挙げられる。なかでもペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)が好ましく、特にペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
また、式(II)で示される化合物において、Rは炭素数10〜18のアルキル基が好ましい。アルキル基として、デカン基、ドデカン基、テトラデカン基、ヘキサデカン基、オクタデカン基が挙げられる。
式(II)で示される化合物として、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。なかでもジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネートが好ましく、特にジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネートが好ましい。
チオエーテル系化合物(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜0.5重量部、好ましくは0.01〜0.3重量部、より好ましくは0.02〜0.1重量部である。0.01重量部未満では効果が小さく、充分なリプロ性や成形耐熱性が得られず、また0.5重量部を越えると樹脂の成形耐熱性が逆に悪化するため好ましくない。
(リン系熱安定剤(D))
本発明の樹脂組成物は、リン系熱安定剤(D)を含有していてもよい。リン系熱安定剤(D)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部当り好ましくは0.001〜0.2重量部、より好ましくは0.01〜0.1重量部である。
リン系熱安定剤(D)としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられる。具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられる。
なかでも、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトが使用され、特に好ましくはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトが使用される。
(ヒンダードフェノール系熱安定剤(E))
本発明の樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系熱安定剤(E)を含有していてもよい。ヒンダードフェノール系熱安定剤(E)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.1重量部である。
ヒンダードフェノール系熱安定剤(E)として、例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートおよび3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられる。オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが特に好ましい。
(離型剤)
本発明の樹脂組成物は、溶融成形時において眼鏡レンズの樹脂成形品の金型からの離型性を向上させるために、離型剤を含有していてもよい。離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜0.6重量部、より好ましくは0.03〜0.5重量部である。離型剤としては、炭素原子数1〜20の一価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸とのエステルおよび炭素原子数1〜25の多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の離型剤が好ましく使用される。
一価アルコールと飽和脂肪酸とのエステルとしては、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート等が挙げられ、なかでもステアリルステアレートが好ましい。
多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェネート、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等のジペンタエリスルトールの全エステルまたは部分エステル等が挙げられる。
これらのエステルのなかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレートの混合物が好ましく用いられる。
(ブルーイング剤)
本発明の樹脂組成物は、眼鏡レンズに成形した場合、ポリカーボネート樹脂や紫外線吸収剤に基づくレンズの黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を含有していてもよい。ブルーイング剤としてはポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアントラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
商標名:バイエル社製「マクロレックスバイオレットB」、「マクロレックスブルーRR」、「マクロレックスバイオレット3R」、三菱化学社製「ダイアレジンブルーG」、「ダイアレジンバイオレットD」、「ダイアレジンブルーJ」、「ダイアレジンブルーN」、住友化学工業(株)製「スミプラストバイオレットB」、サンド社製「ポリシンスレンブルーRLS」
これらブルーイング剤は、通常0.3〜1.2ppmの濃度でポリカーボネート樹脂組成物中に配合される。あまりに多量のブルーイング剤を配合するとブルーイング剤の吸収が強くなり、視感透過率が低下してくすんだ眼鏡レンズとなる。特に視力補正用眼鏡レンズの場合、厚肉部と薄肉部がありレンズの厚みの変化が大きいので、ブルーイング剤の吸収が強いと、レンズの中央部と外周部に肉厚差による色相差が生じ、外観が著しく劣るレンズとなる。
(樹脂組成物の製造)
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤(A)、紫外線吸収剤(B)、チオエーテル系化合物(C)および必要に応じ他の成分を混合することにより製造することができる。
紫外線吸収剤(A)、紫外線吸収剤(B)およびチオエーテル系化合物(C)などの各成分の配合時期や配合方法については特に制限はない。配合時期は、ポリカーボネート樹脂の重合途中や重合後でもよい。パウダー、ペレットまたはビーズ状のポリカーボネート樹脂に添加して混合してもよい。なお、紫外線吸収剤(A)および紫外線吸収剤(B)は、同時に添加しても、任意の順序で添加してもよい。
混合は、任意の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等で混合し、溶融混練して行なうことが好ましい。
(成形品、眼鏡レンズ)
本発明は、上記樹脂組成物よりなる眼鏡レンズ等の成形品を包含する。
本発明の樹脂組成物から形成された眼鏡レンズは、極めて透明性に優れており、2mm厚において全光線透過率が約90%と高い水準を維持している。
本発明の眼鏡レンズは、ポリカーボネート樹脂を基体としているので高い衝撃強度および高い屈折率とともに、紫外線吸収効果、殊に波長385nm以下の有害紫外線の吸収効果が優れている。
本発明の樹脂組成物はそれ自体公知の溶融成形法に従って眼鏡レンズに成形することができる。特に、樹脂組成物を溶融して金型へ注入し、その金型中にて所望の形状に圧縮成形する方法を採用することができる。この成形法は、押出し加圧成形法とも云われている。この圧縮成形方法を採用することにより成形品の残留歪が低減され、ウエルドラインのない成形品を得ることができ、眼鏡レンズとして高品質のものを得ることができる。
以下、本発明について実施例によって更に詳しく説明する。なお部は重量部であり、評価は下記の方法で実施した。
(1)分光光線透過率
各実施例で得たバージンペレットを射出成形機(シリンダー温度350℃、1分サイクル)で成形し、「測定用平板」(縦90mm×横50mm×厚み2mm)を得た。「測定用平板」の波長領域300nm〜500nmにおける分光光線透過率をVarian社製Cary5000で測定し、385nmの分光光線透過率を求めた。
(2)全光線透過率
各実施例で得たバージンペレットを射出成形機(シリンダー温度350℃、1分サイクル)で成形し、「測定用平板」(縦90mm×横50mm×厚み2mm)を得た。「測定用平板」の全光線透過率(Tt)をISO13468に従い日本電色社製NDH−2000で測定した。
(3)成形耐熱性(リプロ性)
各実施例で得たバージンペレットの黄色度(b)および白色度(L)、リペレットの黄色度(b′)および白色度(L′)を、日本電色社製SE−2000を用いてC光源反射法で測定し、バージンペレットとリペレットの変色の度合いを△b(=b′−b)および△L(=L′−L)で表した。△bおよび△Lが小さいほど色相の変化が小さく良好である。
(4)成形耐熱性(滞留耐熱性)
各実施例で得たバージンペレットを射出成形機(シリンダー温度350℃、1分サイクル)で成形し、「滞留前の測定用平板」(縦90mm×横50mm×厚み2mm)を得た。さらに、射出成形機のシリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後に成形し、「滞留後の測定用平板」(縦90mm×横50mm×厚み2mm)を得た。滞留前後の平板の色相(L、a、b)を日本電色社製SE−2000を用いてC光源反射法で測定し、次式により色差ΔEを求めた。ΔEが小さいほど成形耐熱性が優れることを示す。
ΔE={(L−L’)+(a−a’)+(b−b’)1/2
「滞留前の測定用平板」の色相:L、a、b
「滞留後の測定用平板」の色相:L’、a’、b’
実施例1
(バージンペレット)
常法によりビスフェノールAとホスゲンを界面重合法で重合して得た粘度平均分子量22,400のポリカーボネート樹脂粉末100部に、紫外線吸収剤(A)として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(UV−1、吸収極大が340nm)0.3部、紫外線吸収剤(B)として2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](UV−2、吸収極大が349nm)0.04部、チオエーテル系化合物(C)としてペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(HS−1)0.02部、離型剤としてステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレートの混合物(理研ビタミン社製リケマールSL900(商品名))0.25部、下記リン系熱安定剤(HS−2)0.03部およびブルーイング剤として下記式
Figure 0005055294
で示される化合物を0.3ppm添加し、タンブラーにて充分混合した後30mmΦベント式押出成形機により280℃でペレット化した(バージンペレット)。
(リペレット)
リペレットによる色相を調査する為に、同様の押出し条件で連続してさらに2回のペレット化を実施しリペレットを得た。これらバージンペレットとリペレットを上記評価方法に従って評価した。その評価結果を表1に示した。
(眼鏡用レンズ)
また、得られたバージンペレットを用いて、シリンダー温度300℃、金型温度125℃の条件で眼鏡用凹レンズの金型を使用し、射出圧縮成形によりマイナス眼鏡用レンズ(前面曲率半径293mm、後面曲率半径−73mm、中心厚み1.5mm、コバ厚み10.0mm、レンズ外径77.5mm)を作成した。このレンズは透明性に優れ外観も良好であった。このレンズにトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを主成分としたUV硬化塗料をディップ法により均一に塗布した。室温で乾燥後、UV照射機により、コンベア速度:4m/min、照射量:650mJ/cmの条件で硬化させた。外観は良好であり、またUV硬化前後でレンズ基材の変形など見られなかった。
リン系熱安定剤(HS−2):以下のd−1−1成分、d−1−2成分およびd−1−3成分の71:15:14(重量比)の混合物
d−1−1成分:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイトの100:50:10(重量比)混合物
d−1−2成分:ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトの5:3(重量比)混合物
d−1−3成分:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
実施例2〜8、比較例1〜7
表1記載の紫外線吸収剤および熱安定剤を表1記載の量使用する以外は、実施例1と同様の操作を行った。その評価結果を表1に示した。
実施例9
(バージンペレット)
常法によりビスフェノールAとホスゲンを界面重合法で重合して得た粘度平均分子量23,900のポリカーボネート樹脂粉末100部に、紫外線吸収剤(A)として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(UV−1)0.33部、紫外線吸収剤(B)として2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(UV−3)0.02部、チオエーテル系化合物(C)としてペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(HS−1)0.02部、離型剤としてステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレートの混合物(理研ビタミン社製リケマールSL900(商品名))0.25部、実施例1で使用したものと同様のリン系熱安定剤(HS−2)0.03部および実施例1で使用したものと同様のブルーイング剤0.8ppmを添加し、タンブラーにて充分混合した後30mmΦベント式押出成形機により280℃でペレット化した(バージンペレット)。
(リペレット)
さらにリペレットによる色相変化を調査する為に、同様の押出し条件でさらに連続して2回のペレット化を実施しリペレットを得た。これらバージンペレットとリペレットを上記評価方法に従って評価した。その評価結果を表1に示した。
(眼鏡用レンズ)
また、得られたバージンペレットを用いて、シリンダー温度300℃、金型温度125℃の条件で眼鏡用凹レンズの金型を使用し、射出圧縮成形によりマイナス眼鏡用レンズ(前面曲率半径293mm、後面曲率半径−73mm、中心厚み1.5mm、コバ厚み10.0mm、レンズ外径77.5mm)を作成した。このレンズは透明性に優れ外観も良好であった。このレンズにトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを主成分としたUV硬化塗料をディップ法により均一に塗布した。室温で乾燥後、UV照射機により、コンベア速度:4m/min、照射量:650mJ/cmの条件で硬化させた。外観は良好であり、またUV硬化前後でレンズ基材の変形など見られなかった。
実施例10〜14、比較例8〜14
表1記載の紫外線吸収剤および熱安定剤を表1記載の量使用する以外は、実施例9と同様の操作を行った。その評価結果を表1に示した。
なお、表1中の各記号は下記の化合物を示す。
PC−1;ビスフェノールAとホスゲンを界面重合法で重合して得た粘度平均分子量22,400のポリカーボネート樹脂粉末
PC−2;ビスフェノールAとホスゲンを界面重合法で重合して得た粘度平均分子量23,900のポリカーボネート樹脂粉末
UV−1;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール
UV−2;2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]
UV−3;2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール
UV−4;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール
HS−1;ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)
HS−2;以下のd−1−1成分、d−1−2成分およびd−1−3成分の71:15:14(重量比)の混合物
d−1−1成分:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイトの100:50:10(重量比)混合物
d−1−2成分:ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトの5:3(重量比)混合物
d−1−3成分:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
HS−3;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
HS−4;オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
HS−5;ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート
HS−6;5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン
Figure 0005055294
Figure 0005055294
Figure 0005055294
Figure 0005055294
表1から明らかなように、本発明の樹脂組成物は、280℃での熱履歴による色相の変化が少なく、リプロ性に優れていることが分かる。従って、本発明の樹脂組成物は、280〜300℃での射出圧縮成形による眼鏡レンズの成形材料として有用であることが分かる。また、350℃での滞留耐熱性にも優れていることが分かる。
発明の効果
本発明の樹脂組成物は、385nmの波長を実質的に透過せず、かつ全光線透過率が高い。本発明の樹脂組成物は、耐熱性に優れ、熱履歴による色相の変化が小さい。本発明の樹脂組成物は、耐熱性に優れ、眼鏡レンズ成形時の長期高温保持に耐え得る。本発明の樹脂組成物は、耐熱性に優れ、製品屑等を再利用することが出来る。
本発明の樹脂組成物から得られる眼鏡レンズは、紫外線遮断性能を維持したまま、全光線透過率が良好である。
本発明の樹脂組成物は、眼鏡レンズ等の成形品の材料として有用である。

Claims (9)

  1. (1)ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、
    (2)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾールおよび2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールからなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤(A)0.05〜0.4重量部、
    (3)2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]および2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールからなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤(B)0.01〜0.3重量部、並びに
    (4)下記式(I)で示される化合物および下記式(II)で示される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のチオエーテル系化合物(C)0.01〜0.5重量部を含有する樹脂組成物。
    (R−S−CH−CH−C(O)O−CH−)C (I)
    (R−O−C(O)−CH−CH−)S (II)
    (式中Rは炭素数4〜20のアルキル基、Rは炭素数6〜22のアルキル基を示す。)
  2. 紫外線吸収剤(A)が、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールであり、紫外線吸収剤(B)が、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、および2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 紫外線吸収剤(A)と紫外線吸収剤(B)との配合比(R)がB/A(重量比)で表して0.05〜4の範囲である請求項1記載の樹脂組成物。
  4. チオエーテル系化合物(C)が、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)である請求項1記載の樹脂組成物。
  5. リン系熱安定剤(D)をポリカーボネート樹脂100重量部当り、0.001〜0.2重量部含有する請求項1記載の樹脂組成物。
  6. ヒンダードフェノール系熱安定剤(E)を、ポリカーボネート樹脂100重量部当り、0.001〜0.1重量部含有する請求項1記載の樹脂組成物。
  7. ポリカーボネート樹脂は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主たる二価フェノール成分とする請求項1記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1記載の樹脂組成物よりなる成形品。
  9. 請求項1記載の樹脂組成物よりなる眼鏡レンズ。
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