JP4799126B2 - 眼鏡レンズおよび眼鏡レンズ用ポリカーボネート樹脂成形材料 - Google Patents

眼鏡レンズおよび眼鏡レンズ用ポリカーボネート樹脂成形材料 Download PDF

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Description

本発明は、透明性、紫外線吸収能に優れ且つ色相に優れたポリカーボネート樹脂組成物より形成された眼鏡レンズおよび眼鏡レンズ用ポリカーボネート樹脂成形材料に関する。さらに詳しくは眼鏡レンズの成形において離型性が良好で、成形耐熱性に優れ且つリプロ性能(再溶融成形性)が高く熱履歴を経ても樹脂の黄色化が殆んどないポリカーボネート樹脂成形材料に関する。
ここで“リプロ性能”とは、ポリカーボネート樹脂成形品もしくはその成形宵を再利用するために、再押出しなどの熱履歴を加えても樹脂の色相の変化が少ない性質をいう。すなわち樹脂成形品(もしくはその宵)に熱履歴を加えても色相の低下が少なく、成形品の再利用が可能な性質を云う。
ポリカーボネート樹脂は高屈折率で透明性や耐衝撃性に優れた特性を有し、最近はレンズの素材、なかでも眼鏡レンズの素材として幅広く使用されている。ポリカーボネート樹脂製の眼鏡レンズは、従来のガラスレンズや注型重合によるプラスチックレンズ(以下注型レンズという)より薄くて、軽くて、衝撃強度が著しく高く、したがって安全で、かつ機能性が高いため、眼鏡レンズとして視力補正用レンズ、サングラスおよび保護眼鏡等に用いられるようになってきた。
最近では、眼鏡レンズに紫外線吸収能を付与し、有害な紫外線から目を保護しようとする要望が強くなり、例えば注型レンズやガラスレンズでは、レンズ表面に紫外線吸収能を有するコート層を付与して、これらの要望に応えている。しかしながら、かかるコート方法では高価になり、かつレンズ自身が微黄色化するという欠点があった。また注型レンズでは重合させる際に、紫外線吸収剤を添加することも行われている。しかしながら、かかる方法では重合性の阻害や、レンズ自身が著しく黄色化するという欠点があった。
これに対しポリカーボネート樹脂製眼鏡レンズでは、ポリカーボネート樹脂自身がある程度低波長側の紫外線吸収能を有しており、また熱可塑性樹脂であるため溶融成形する際に紫外線吸収剤を配合すれば、容易に任意の紫外線吸収能を附与させることができるので、長波長側の紫外線吸収剤を配合することが提案されている。しかしながら、従来のポリカーボネート樹脂自体では、375nm迄の紫外線を吸収するのが限度であり、これ以上の長波長を吸収しようとすると、紫外線吸収剤の含有量を通常の2〜10倍量添加しなければならない。一般に紫外線吸収剤は昇華性であるため、紫外線吸収剤を多量添加すると、ポリカーボネート樹脂の射出成形時に、紫外線吸収剤が昇華して鏡面金型を汚染し、得られるレンズの外観を著しく阻害するようになる。
特許文献1および特許文献2には、ポリカーボネート樹脂中に昇華し難いオリゴマー型紫外線吸収剤を0.1〜20重量部添加し、多層積層シートまたはフィルムの押出成形時に、その表面層を形成させる方法が例示されている。しかしながら、その目的はシートの耐候性付与であり、光学的な目的ではない。また、紫外線吸収剤の種類によっては更に長波長の紫外線を吸収する能力を有するものもあるが、これらの長波長吸収用紫外線吸収剤を添加するとポリカーボネート樹脂は著しく黄色化するため、多量のブルーイング剤を添加して黄色味を消す必要がある。しかしながら、かかる方法では多量のブルーイング剤のためにレンズ用途では透明性が阻害され、視感透過率が低下して著しくくすんだ色調のレンズしか提供できなかった。
更に、特許文献3には、紫外線吸収剤および赤外線吸収剤を添加して、紫外線および近赤外線の透過を阻止するプラスチックレンズが提案されている。しかしながら、この方法で得られるレンズは透明性が不充分であった。
一方、特許文献4には、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して特定の構造式で表されるアルキリデンビス(ベンゾトリアゾリルフェノール)化合物を0.001〜5重量部含有させて、耐光性の改善されたポリカーボネート樹脂組成物が記載されている。この公報には、前記特定の5種の化合物をそれぞれポリカーボネート樹脂に対して、0.30重量%添加した試験片を作成し、高圧水銀灯により紫外線を照射し、その試験片の黄色度を測定し、その変化(△YI)を測定した結果が示されている。その結果は、前記特定の化合物の添加により黄色度変化が低下したことを示しているに過ぎない。
特許文献5には、ポリカーボネート樹脂を含む透明性熱可塑性樹脂100重量部に、波長280〜360nmに吸収極大を有し、波長400nmに吸収のない紫外線吸収剤を0.01〜0.15重量部配合した樹脂組成物が記載されている。この樹脂組成物は、銀塩フィルムの感度ピークが波長400nmに存在するために、400nmの波長の光線透過率が80%以上を有するカメラ用レンズとして開発されたものである。
また、特許文献6および特許文献7には、ポリカーボネート樹脂を含む透明性熱可塑性樹脂100重量部に、波長300〜345nm及び波長346〜400nmに吸収極大を有する2種の紫外線吸収剤を配合した樹脂組成物が記載されている。この組成物は透明性に優れ、且つ紫外線吸収能が高い眼鏡レンズ用として開発されたものであるが、製品屑等を再利用するために再押出し等の熱履歴を加えると、色相変化が大きく、成形耐熱性が不十分である。
さらに、特許文献8、特許文献9及び特許文献10には、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に、特定のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフラノ−2−オン型化合物0.003〜1重量部配合した樹脂組成物が記載されている。この組成物は、耐加水分解性,耐衝撃性,金型汚染性のバランスが改善された樹脂組成物であるが、色相が不十分であり、再押出し等の熱履歴を加えると、色相変化が大きく、成形耐熱性も不十分である。
また、特許文献11には、(a)ポリカーボネート樹脂、(b)特定の脂肪族多価アルコールと脂肪族カルボン酸のフルエステルおよび(c)紫外線吸収剤の組成物が開示されているが、この文献で具体的に記載されているポリカーボネート樹脂組成物では、眼鏡レンズに必要な紫外線吸収能が不十分となる問題があった。
なお、眼鏡レンズの品質上、金型から成形物を抜き取る時、成形品表面に引っかき傷等の発生しないスムーズな離型性を必要とするが、離型剤を多く添加すると成形品表面に残存する離型剤の影響で成形品と成形品表面の傷付きを防止する保護コートとの密着性が悪くなり保護コートが剥がれ易くなるため、少量で離型効果のある離型剤が望まれている。
特公平06−035141号公報 特公平06−041162号公報 特開平07−092301号公報 特開昭62−146951号公報 特開平04−292661号公報 特開平09−263694号公報 特開平09−291205号公報 特開2003−231803号公報 特開2003−231804号公報 特開2003−231805号公報 WO03/095557号パンフレット
本発明の第1の目的は、射出成形又は押出し圧縮成形等の眼鏡レンズ成形時の成形耐熱性、殊に長期高温保持に耐えうる成形耐熱性を有し、長い熱履歴を加えても色相の変化が小さく、且つ離型性の良好なポリカーボネート樹脂組成物より形成された眼鏡レンズを提供することにある。
本発明の第2の目的は、耐衝撃性および透明性に優れ、かつ特定波長の紫外線をほぼ完全にカットし得るポリカーボネート樹脂製眼鏡レンズを提供することにある。
本発明の第3の目的は、紫外線により黄変がほとんど起こらず、しかも成形加工において金型鏡面に紫外線吸収剤の昇華による汚染が発生しない組成物による眼鏡レンズを提供することにある。
本発明の第4の目的は、385nmの波長を実質的に透過せず、かつ全光線透過率が高い眼鏡レンズを提供することにある。
本発明の第5の目的は、上記眼鏡レンズなどの光学用成形品のためのポリカーボネート樹脂成形材料を提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するため、ポリカーボネート樹脂に用いる紫外線吸収剤、離型剤および熱安定剤について鋭意研究した結果、特定の2つのタイプの紫外線吸収剤、特定の離型剤及び所望により特定の熱安定剤を組合わせて、これらを特定量で用いることにより、成形性を阻害することなく、離型効果に優れ、レンズの透明性を損なうことなく、成形時の熱による色相変化が改善され、且つ385nmの紫外線をほぼ完全に吸収する眼鏡レンズを得ることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、下記眼鏡レンズおよび光学成形品用のポリカーボネート樹脂成形材料が提供される。
1.(1)ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(2)2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤(A)0.05〜0.5重量部、(3)2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール)−2−イルフェノール]および2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤(B)0.01〜0.3重量部および(4)4〜8価の炭素数5〜30の脂肪族多価アルコールと炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸とのフルエステルであって、その酸価が4〜20であるフルエステル(C)0.01〜0.5重量部を含有し、前記紫外線吸収剤(A)および前記紫外線吸収剤(B)との割合が(B)/(A)(重量比)で表して0.05〜1.5の範囲であるポリカーボネート樹脂組成物より形成された眼鏡レンズ。
.前記紫外線吸収剤(A)が2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールでありかつ前記紫外線吸収剤(B)が2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール)]である前項1記載の眼鏡レンズ。
.前記フルエステル(C)は、脂肪族カルボン酸がパルミチン酸成分とステアリン酸成分とを含み、そのガスクロマトグラフ−質量分析法(GC/MS法)におけるピーク面積において、パルミチン酸成分の面積(Sp)とステアリン酸成分の面積(Ss)との合計が全脂肪族カルボン酸成分中80%以上であり、かつ両者の面積比(Ss/Sp)が1.3〜30である前項1記載の眼鏡レンズ。
.前記フルエステル(C)は、TGA(熱重量解析)における5%重量減少温度が250〜360℃である前項1記載の眼鏡レンズ。
.前記フルエステル(C)は、酸価が4〜18である前項1記載の眼鏡レンズ。
.前記フルエステル(C)は、ペンタエリスリトールとパルミチン酸およびステアリン酸の混合脂肪族カルボン酸とのフルエステルである前項1記載の眼鏡レンズ。
.前記フルエステル(C)は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.02〜0.4重量部含有する前項1記載の眼鏡レンズ。
.ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、さらにリン系熱安定剤(d)0.001〜0.2重量部を含有してなる前項1記載の眼鏡レンズ。
.前記リン系熱安定剤(d)が、ホスホナイトである前項記載の眼鏡レンズ。
10.ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、さらにブルーインク剤(e)を、0.1×10−4〜6×10−4重量部含有する前項1記載の眼鏡レンズ。
11.ポリカーボネート樹脂は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主たる二価フェノール成分とするポリカーボネート樹脂である前項1記載の眼鏡レンズ。
12.ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、さらに下記式(1)で示されるラクトン系熱安定剤(f)0.0005〜0.1重量部を含有してなる前項1記載の眼鏡レンズ。
Figure 0004799126
[式中R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜15のアリール基を示す。]
13.ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、さらにヒンダードフェノール系の酸化防止剤(g)0.001〜0.1重量部を含有してなる前項1記載の眼鏡レンズ。
14.(1)ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(2)2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤(A)0.05〜0.5重量部、(3)2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール)−2−イルフェノール]および2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤(B)0.01〜0.3重量部および(4)4〜8価の炭素数5〜30の脂肪族多価アルコールと炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸とのフルエステルであって、その酸価が4〜20であるフルエステル(C)0.01〜0.5重量部を含有し、前記紫外線吸収剤(A)および前記紫外線吸収剤(B)との割合が(B)/(A)(重量比)で表して0.05〜1.5の範囲である眼鏡レンズ用ポリカーボネート樹脂成形材料。
15.(1)ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(2)2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤(A))0.05〜0.5重量部、(3)2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール)−2−イルフェノール](紫外線吸収剤(B))0.01〜0.3重量部、(4)ペンタエリスリトールとパルミチン酸およびステアリン酸の混合脂肪族カルボン酸とのフルエステルであって、その酸価が4〜20であるフルエステル(C)0.01〜0.5重量部および(5)リン系熱安定剤0.001〜0.2重量部を含有し、前記紫外線吸収剤(A)および前記紫外線吸収剤(B)との割合が(B)/(A)(重量比)で表して0.05〜1.5の範囲である眼鏡レンズ用ポリカーボネート樹脂成形材料。
以下、本発明ついてさらに詳細に説明する。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体を反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂である。ここで用いる二価フェノールの具体例としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類等があげられる。これら二価フェノールは単独で用いても、二種以上併用してもよい。
前記二価フェノールのうち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を主たる二価フェノール成分とするのが好ましく、特に全二価フェノール成分中70モル%以上、特に80モル%以上がビスフェノールAであるものが好ましい。最も好ましいのは、二価フェノール成分が実質的にビスフェノールAである芳香族ポリカーボネート樹脂である。
ポリカーボネート樹脂を製造する基本的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆体としてホスゲンを用いる溶液法では、通常酸結合剤および有機溶媒の存在下に二価フェノール成分とホスゲンとの反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることができ、分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノールのようなアルキル置換フェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは10以上に保つのが好ましい。
カーボネート前駆体として炭酸ジエステルを用いるエステル交換法(溶融法)は、不活性ガスの存在下に所定割合の二価フェノール成分と炭酸ジエステルとを加熱しながら撹拌し、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法である。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応させる。また反応を促進するために通常のエステル交換反応触媒を用いることができる。このエステル交換反応に用いる炭酸ジエステルとしては例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等があげられ、特にジフェニルカーボネートが好ましい。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量で表して17,000〜30,000が好ましく、20,000〜26,000が特に好ましい。眼鏡レンズは精密成形であり、金型の鏡面を正確に転写して規定の曲率、度数を付与することが重要であり、溶融流動性のよい低粘度の樹脂が望ましいが、あまりに低粘度過ぎるとポリカーボネート樹脂の特徴である衝撃強度が保持できないことから上記範囲の粘度平均分子量のポリカーボネート樹脂が好ましい。ここで、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は、オストワルド粘度計を用いて塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
本発明における樹脂組成物は、前記ポリカーボネート樹脂中に波長の吸収特性が異なる2つのタイプの紫外線吸収剤が配合されている。1つは紫外線吸収剤(A)であり、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤である。紫外線吸収剤(A)は波長340nm近辺に吸収極大を有する。他の1つは紫外線吸収剤(B)であり、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール)−2−イル)フェノール]および2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤である。紫外線吸収剤(B)は波長343〜360nmの範囲に吸収極大を有する。これら2つのタイプの紫外線吸収剤の吸収極大は、いずれも層厚10mm石英セルを用いてクロロホルム溶液にて濃度10mg/リットルで測定された吸収スペクトルである。
これら2つのタイプの紫外線吸収剤(A)および(B)は、いずれも単独で使用した場合、385nmの波長の紫外線の吸収が不充分であるか、あるいは吸収が充分になる程度多量に添加すると成形時に紫外線吸収剤が昇華し、レンズの曇価(ヘイズ)が増大したり、色相の低下を招く。前記特定の2つのタイプの紫外線吸収剤(A)および(B)を組み合わせて使用することにより、それぞれの量は比較的少ない量であっても、5mm厚の成形板において385nmの分光透過率が0.1%以下でこの波長の紫外線をほぼ完全に吸収でき、400nmの分光透過率が50%以下であり、しかも全光線透過率は87%以上を維持し、レンズの色相も良好である。その上紫外線によって黄色に変化する割合は極めて小さいという利点を有している。
前記紫外線吸収剤(A)は、ポリカ−ボネ−ト樹脂100重量部当り0.05〜0.5重量部、好ましくは0.1〜0.4重量部、特に好ましくは0.1〜0.35重量部配合される。0.05重量部未満では紫外線吸収性能が不充分であり、0.5重量部を越える量配合しても、もはや紫外線吸収能力は向上せず、逆に成形時の昇華、曇価(ヘイズ)の増大、色相の悪化が著しくなる。
前記紫外線吸収剤(B)は、ポリカーボネート樹脂100重量部当り0.01〜0.3重量部、好ましくは0.01〜0.27重量部、特に好ましくは0.01〜0.25重量部配合される。0.01重量部未満では紫外線吸収性能が不充分であり、0.3重量部を越える量配合すると、色相が著しく悪化し、くすんだレンズになる。
前述したように、本発明において、紫外線吸収剤(A)および(B)を組合せて使用することによる利点の1つは、それぞれの使用量を少なくすることができ、また紫外線吸収剤の合計使用量も少なくすることができることである。すなわち紫外線吸収剤(A)および(B)は、それぞれ前記範囲であり、その合計量は、ポリカーボネート樹脂100重量部当り、0.1〜0.3重量部、好ましくは0.15〜0.25重量部、特に好ましくは0.15〜0.23重量部の範囲である。このような合計量が少ない範囲であっても、充分に385μmの濃度の紫外線を吸収することが可能となる。
また、紫外線吸収剤(A)と紫外線吸収剤(B)とは、式R=(B)/(A)で表される配合比(重量比)Rを0.05〜1.5の範囲に設定することが望ましい。配合比Rが0.05未満では紫外線吸収性能が不充分であり、配合比Rが1.5を越すと色相の悪化が著しくなり実用に適さない。
本発明の組成物においては離型剤として脂肪族多価アルコールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C)が使用される。
該フルエステル(C)は、4〜8価の炭素数5〜30の脂肪族多価アルコールと炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸との脂肪酸フルエステルであって、その酸価が4〜20であることを特徴とするものである。本発明でフルエステルとは、そのエステル化率が必ずしも100%である必要はなく、80%以上であればよく、好ましくは85%以上である。
本発明において、該フルエステル(C)の酸価が4〜20の範囲を満足することにより、従来のフルエステル以上の離型力の低減(離型性の向上)とともに、成形耐熱性に優れたポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。かかる酸価が4未満では離型力の低減が困難となり、酸価が20を超えるものは成形耐熱性の点が好ましくない。かかる酸価は4〜18の範囲がより好ましく、5〜15の範囲がさらに好ましい。かかる酸価を発現する主成分は、脂肪酸フルエステル中に含まれる遊離の脂肪族カルボン酸(以下単に遊離脂肪酸と称する場合がある)であり、したがって本発明で使用する脂肪酸フルエステル(C)中には、遊離脂肪酸などの酸成分がその酸価に対応する量存在する。ここで酸価は試料1g中に含まれる遊離脂肪酸などを中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
また、該フルエステル(C)は、そのTGA(熱重量解析)測定における5%重量減少温度(以下単に“重量減少温度”と称する場合がある)が250〜360℃を満足することが好ましい。
重量減少温度が360℃を超える場合は離型力の低減が困難となり、また重量減少温度はあまりに低いと成形耐熱性が不足し、変色や割れ耐性の低下などの原因となり得るため250℃以上であることが好ましい。重量減少温度の範囲は280〜360℃の範囲がより好ましく、300〜350℃の範囲がさらに好ましく、310〜340℃の範囲が特に好ましい。
重量減少温度は、TGA測定装置において窒素ガス雰囲気中における23℃から20℃/分の昇温速度で600℃まで昇温する測定条件において5%の重量減少が認められる温度として求められる。
上記条件を満足する脂肪酸フルエステル(C)が、離型力の低減(離型性の向上)、成形耐熱性の改善を可能とする理由は明らかではないが次のように考えられる。酸価によって測定される対象は主として未反応の遊離カルボン酸であり、これはその比較的低い分子量を原因として成形加工時にガス化し易く、上記と同様成形品表面への偏斥が生じ、離型性の向上に寄与すると考えられる。当然揮発分がある程度増加することになるが、これらは、その割合が比較的少量であり、かつ離型時に金型側に残留する割合が少ないことから金型付着物生成が増加しないものと考えられる。また、重量減少温度が360℃以下というポリカーボネート樹脂の溶融加工温度に相当する範囲内にある場合、脂肪族フルエステル(C)は成形耐熱性が良好である一方、ある程度の揮発分を生ずる。該揮発分は成形加工時にガス化することにより、樹脂の金型充填時に生ずるファウンテンフローの先端に偏斥しやすくなり、結果として成形品表面に高濃度で偏斥されると考えられる。これにより離型性の更なる向上が達成される。したがって酸価と重量減少温度とはある程度の相関を有する。(同一種の脂肪酸フルエステルで比較すれば、酸価が高くなるほど重量減少温度は低下する)。
一方、ガス化成分は樹脂流動層間の不均一な摩擦力の要因となる可能性があり、したがって成形品内部の歪みが増加する可能性がある。しかしながら本発明ではフルエステルであることにより、ポリカーボネート分子間の滑り性をハーフエステル類などと比較して向上させる。これにより金型内部の樹脂流動が複雑となる場合にも、樹脂流動はスムースなものとなり、かかる効果が勝ることにより成形品内部の歪みが低減されるものと考えられる。すなわち分子間の摩擦力が高い場合には、局所的に生じた不均一な摩擦力が樹脂の流動を乱すが、全体の摩擦力が低い場合にはその影響が出にくいものと予想される。さらに揮発分の割合が適度であり、分解ガスのような連鎖的に増加する成分でないことも樹脂流動の乱れによる歪みが増加しない理由ではないかと推測される。
また、該フルエステル(C)は、それ自身良好な耐薬品性を有し、ポリカーボネート樹脂への攻撃性は弱い。これにより成形品の割れ耐性が改善されると考えられる。また、ポリカーボネート樹脂への攻撃性を低下させ、ポリカーボネート樹脂の劣化を抑制する効果は後述するラクトン系熱安定剤、リン系熱安定剤またはヒンダードフェノール系酸化防止剤と併用することでより効果的になると考えられる。
本発明でいう脂肪酸フルエステル(C)とは、エステル化合物自体のみならず、該エステル化合物と遊離の脂肪族カルボン酸化合物との混合物をも総称するものである。さらに上記の如く酸価や重量減少温度の値が遊離脂肪族カルボン酸の割合によって変化することを利用して、低い酸価または高い重量減少温度を有する脂肪酸フルエステルに、別途脂肪族カルボン酸を添加して、目的とする酸価や重量減少温度を有する脂肪酸エステルを調整することも可能である。同様に酸価や重量減少温度の異なる2種以上の脂肪酸エステルを混合して本発明の条件を満足する脂肪酸フルエステルを調整することも可能である。
上記の特定の脂肪酸フルエステル(C)の製造方法は、特に限定されるものではなく、脂肪族多価アルコールと脂肪族カルボン酸とを従来公知の各種方法を利用することができる。また本発明の特定の条件を満足するためには、理論当量の脂肪族多価アルコールと脂肪族カルボン酸とを十分な時間をかけて反応を完全に完結するよりも、やや過剰の脂肪族カルボン酸とを反応させ、比較的早い段階で反応を終了することが好ましい。
反応触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、並びに2−エチルヘキシル錫などの有機錫化合物が挙げられる。
該脂肪酸フルエステルの製造に使用される多価アルコールは、その価数(水酸基数)が4〜8で、炭素原子数が5〜30の脂肪族多価アルコ−ルである。脂肪族多価アルコ−ルの価数は、好ましくは4〜6であり、また炭素原子数は、好ましくは5〜12、より好ましくは5〜10である。脂肪族多価アルコ−ルは、炭素鎖中にエーテル結合を含んでいてもよい。脂肪族多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール〜ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられ、中でもペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールが好ましく、特にペンタエリスリトールが好ましい。
該脂肪酸フルエステルの製造に使用される炭素原子数10〜22の脂肪族カルボン酸としては、例えばデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、イコサン酸、およびドコサン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、およびセトレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。上記の中でも脂肪族カルボン酸は、炭素原子数14〜20であるものが好ましい。なかでも飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。特にステアリン酸およびパルミチン酸或いはこれらの混合脂肪族カルボン酸が好ましい。
ステアリン酸やパルミチン酸などの脂肪族カルボン酸は通常、動物性油脂(牛脂および豚脂など)や植物性油脂(パーム油など)などの天然油脂類から製造される。したがってステアリン酸などの脂肪族カルボン酸は通常炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物である。本発明のフルエステル(C)の製造においてもかかる天然油脂類から製造され、他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなるステアリン酸やパルミチン酸が好ましく使用される。かかる混合物における各成分の組成割合の好ましい態様は次のとおりである。
すなわち、フルエステル(C)を構成する脂肪族カルボン酸はパルミチン酸成分とステアリン酸成分の混合物とを含み、その熱分解メチル化GC/MS(ガスクロマト−質量分析)法におけるピーク面積において、パルミチン酸成分の面積(Sp)とステアリン酸成分の面積(Ss)との合計が全脂肪族カルボン酸中80%以上であり、かつ両者の面積比(Ss/Sp)が1.3〜30であるものが好ましい。
ここで熱分解メチル化GC/MS法とは、パイロフィル上において試料である脂肪酸フルエステルと反応試剤である水酸化メチルアンモニウムを反応させて脂肪酸フルエステルを分解すると共に脂肪酸のメチルエステル誘導体を生成させ、かかる誘導体に対してGC/MS測定を行う方法である。
かかるSpおよびSsの合計は、全脂肪族カルボン酸成分中85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、91%以上がさらに好ましい。また一方で上記のSpおよびSsの合計は100%とすることも可能であるが、製造コストなどの観点から98%以下が好ましく、96%以下がより好ましい。また上記の面積比(Ss/Sp)は、1.3〜30の範囲が好ましい。1.3〜10の範囲がより好ましく、1.3〜4の範囲がさらに好ましく、1.3〜3の範囲が特に好ましい。なお、これらの混合比率は単独の脂肪族カルボン酸で満足する必要はなく、2種以上の脂肪族カルボン酸を混合することにより満足するものであってもよい。
また、上記の混合比率を満足する脂肪族カルボン酸の原料となる油脂としては、例えば牛脂および豚脂などの動物性油脂、並びにアマニ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、トウモロコシ油、落花生油、綿実油、ゴマ油、およびオリーブ油などの植物性油脂を挙げることができる。上記の中でもステアリン酸をより多く含む点で動物性油脂が好ましく、さらに牛脂がより好ましい。さらに牛脂の中でもステアリン酸およびパルミチン酸などの飽和成分を多く含むオレオステアリンが好ましい。
該脂肪酸フルエステル(C)の水酸基価は、成形耐熱性および離型力低減の点からは低いことが好ましく、一方あまりに低いことは製造時間の増大によりコストが増大するため好ましくない。該脂肪酸フルエステル(C)の水酸基価は、0.1〜30の範囲が適切であり、1〜30の範囲が好ましく、2〜20の範囲がより好ましい。ここで水酸基価は試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
該脂肪酸フルエステル(C)のヨウ素価は、成形耐熱性の点から低いことが好ましい。該脂肪酸フルエステル(C)のヨウ素価は10以下が好ましく、1以下がより好ましい。かかるヨウ素価は試料100gにハロゲンを反応させたとき、結合するハロゲンの量をヨウ素のg数に換算した量であり、JIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
該脂肪酸フルエステル(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜0.5重量部であり、0.02〜0.4重量部が好ましく、0.05〜0.3重量部がより好ましい。該脂肪酸フルエステルが上記範囲を超えて少なすぎる場合には離型性の改善が十分でなく、割れ耐性も低下する。一方、該脂肪酸フルエステルが上記範囲を超えて多すぎる場合には成形品の透明性を損ない、成形耐熱性の低下によって割れ耐性も逆に低下する場合がある。
さらに、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、その成形品中に生ずる微量な炭化物も低減できる効果がある。かかる炭化物は光源の強さや光の角度によって光を散乱するため、成形品中に白い帯状(白モヤ)となって観察される場合がある。かかる点においても本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、好適な特性を有する。
ポリカーボネート樹脂に上記2種の紫外線吸収剤及び脂肪酸フルエステル(C)を配合する時期や配合する方法については特に制限はなく、ポリカーボネート樹脂の重合途中や重合後の溶液への配合、あるいはパウダー、ペレットまたはビーズ状のポリカーボネート樹脂と共に任意の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等で混合し、溶融混練することができる。なお、紫外線吸収剤(A)および紫外線吸収剤(B)は、同時に添加しても、任意の順序で添加してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、リン系熱安定剤(d)をポリカーボネート樹脂100重量部当り0.001〜0.2重量部配合してもよい。リン系熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、
トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられる。
なかでも、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトが使用され、特に好ましくはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトが使用される。
前記したリン系熱安定剤(d)は、ホスホナイトであることが好適であり、特にテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−4,4’−ビスフェニレンジホスホナイトが全リン系熱安定剤(d)中、30重量%以上、より好ましくは40重量%以上含まれるものが望ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物中には、眼鏡レンズに成形した場合、ポリカーボネート樹脂や紫外線吸収剤に基づくレンズの黄色味を打ち消すためにブルーイング剤(e)を配合することができる。ブルーイング剤(e)としてはポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレットB」、三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーG」、住友化学工業(株)製「スミプラストバイオレットB」]、一般名Solvent Violet31[CA.No 68210;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンバイオレットD」]、一般名Solvent Violet33[CA.No 60725;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーJ」]、一般名Solvent Blue94[CA.No 61500;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーN」]、一般名Solvent Violet36[CA.No 68210;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレット3R」]、一般名Solvent Blue97[商標名バイエル社製「マクロレックスブルーRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No 61110;商標名 サンド社製「ポリシンスレンブルーRLS」]が代表例として挙げられる。これらブルーイング剤は通常ポリカーボネート樹脂100重量部当り0.1×10−4〜6×10−4重量部の割合でポリカーボネート樹脂中に配合される。あまりに多量のブルーイング剤を配合するとブルーイング剤の吸収が強くなり、視感透過率が低下してくすんだレンズとなる。特に視力補正用眼鏡レンズの場合、厚肉部と薄肉部がありレンズの厚みの変化が大きいので、ブルーイング剤の吸収が強いと、レンズの中央部と外周部に肉厚差による色相差が生じ、外観が著しく劣るレンズとなる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、下記式(1)で示されるラクトン系熱安定剤(f)を配合することができる。ラクトン系熱安定剤(f)を使用することにより、ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形や押出し圧縮成形等により眼鏡レンズを成形する際に、殊に長期高温保持に耐えうる成形耐熱性を与え、熱履歴を加えても色相の変化がより小さくなるという優れた効果がある。
Figure 0004799126
[式中R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜15のアリール基を示す。]
炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖または分岐状のアルキル基であってよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、2−エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、エイコシル基などが挙げられる。
炭素数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基および2−フェニルイソプロピル基などが挙げられる。
炭素数6〜15のアリール基としては、フェニル基、トリル基およびナフチル基などが挙げられる。
およびRとしては、これらの中で水素原子と炭素数7〜20のアリール基の組み合わせが好ましい。更にその中でも水素原子と3,4−ジメチルフェニル基の組み合わせが特に好ましい。
およびRとしては、これらの中で炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。更にその中でもtert−ブチル基が好ましい。
ラクトン系熱安定剤(f)は、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0005〜0.1重量部、好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.0005〜0.012重量部の範囲で使用される。0.0005重量部未満では効果が小さく、充分な成形耐熱性が得られず、また0.1重量部を越えると逆に樹脂の成形耐熱性が悪化するため好ましくない。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られたヒンダードフェノール系の酸化防止剤(g)を使用することができる。かかるヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートおよび3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられ、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが特に好ましく用いられる。これら酸化防止剤(g)の使用量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.1重量部が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から形成された眼鏡レンズは、極めて透明性に優れており、その5mm厚の成形板において全光線透過率が87%以上、好ましくは88%以上を維持している。また、その5mm厚の成形板において385nmの分光透過率が1%以下、好ましくは0.1%以下でこの波長の紫外線をほぼ完全に吸収でき、400nmの分光透過率が50%以下、好ましくは40%以下であり、紫外線によって黄色に変化する割合は極めて小さいという利点を有している。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物から形成された眼鏡レンズは高度の透明性とともに黄色度が低く、厚さ5mmの成形板における黄色度bが好ましくは0.3〜1.6、より好ましくは0.4〜1.4の範囲である。この黄色度(b)の値が0.3未満ではレンズを成形した際、透過光が青味を帯び、また黄色度が1.6を越えると黄色味を帯びることになる。
さらに、後述する実施例の評価において、バージンペレット(押出し1回目)及びリペレット(繰返し押出し3回目)を用いて射出成形機によりシリンダー温度300℃で連続的に成形して得た厚さ5mmの成形板におけるの黄色度(b、b’)の差△b(=b’−b)が0.5以下であることが好ましい。
また、後述する実施例の評価において、バージンペレット(押出し1回目)を用いて射出成形機によりシリンダー温度300℃で連続的に成形した後、10分滞留放置後に成形して得た厚さ5mmの成形板の黄色度(b10 )が1.5以下であることが好ましい。
このように本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、リプロ性能に優れかつ滞留耐熱性に優れており、熱による色相の変化が少ないものである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の離型性は、後述する実施例の評価において、離型荷重が20Mpa以下が好ましく、15Mpa以下がより好ましい。
本発明の眼鏡レンズは、ポリカーボネート樹脂を基体としているので高い衝撃強度および高い屈折率とともに、紫外線吸収効果殊に385mm〜400mmの有害紫外線の吸収効果が優れている。
前記ポリカーボネート樹脂組成物を使用して眼鏡レンズを成形するには、それ自体公知の方法を採用することができる。具体的には、本発明の眼鏡レンズは、前記ポリカーボネート樹脂組成物を溶融押出した成形材料(ペレット等)を射出成形、圧縮成形、押出成形または射出圧縮成形等各種の成形方法により成形されるが、射出圧縮成形が光学歪みの少ないレンズを生産性良く成形でき好ましい方法である。射出圧縮成形において、シリンダー温度は250〜320℃、金型温度は80〜140℃が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から形成された眼鏡レンズはその表面にハードコート層、反射防止コート層または防曇コート層などの保護層を形成させることができる。
本発明の眼鏡レンズは割れ耐性に優れ、保護層を形成するのに適している。殊に溶剤などポリカーボネート樹脂に悪影響を与える因子を含む塗料を使用する場合に適している。
本発明のレンズの表面に形成されるハードコート(硬化)層としては、熱硬化性または活性エネルギー線硬化性のいずれも好ましく用いられる。
熱硬化性ハードコート材料としては、オルガノポリシロキサンなどのシリコーン系樹脂およびメラミン系樹脂等が挙げられる。
かかるシリコーン系樹脂については、特開昭48−056230号、特開昭49−014535号、特開平08−054501号および特開平08−198985号公報等に記載されている樹脂を用いることができる。例えば一般式
(R(RSi(OR4−(a+b)
で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物からなるコーティング組成物を乾燥および/または加熱硬化させて得られるハードコート層である。
(ここでRおよびRはそれぞれ独立にアルキル基、アリル基、アシル基、ハロゲン基、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基、フェニル基、メルカプト基、メタクリルオキシ基およびシアノ基からなる群より選ばれる有機基を示し、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシアルキル基、アリル基、アシル基であり、aおよびbは独立して0または1の整数である。)
これらの有機ケイ素化合物の具体例としては、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、iso−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケート、tert−ブチルシリケート等のテトラアルコキシシランまたはその加水分解物、およびメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシランまたはその加水分解物;さらにジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジメトキシシランまたはその加水分解物等が挙げられる。
これらの有機ケイ素化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの有機ケイ素化合物は、硬化温度を下げ硬化をより進行させるためには加水分解して使用することが好ましい。加水分解は、塩酸、硫酸などの無機酸や酢酸などの有機酸の存在下に行うことが好ましい。用いる酸の添加量を調節することによって、加水分解の度合いは容易に制御することが可能である。また、加水分解を均一に行うために、有機溶剤を用いてもよい。これら有機溶剤としては、アルコール、ケトン、エーテル、セロソルブまたは芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して使用される。
ハードコート材料としてのメラミン系樹脂としては、メチル化メチロールメラミン、プロピル化メチロールメラミン、ブチル化メチロールメラミンまたはイソブチル化メチロールメラミン等のメラミン樹脂が例示され、これらメラミン樹脂は架橋剤、硬化剤等を添加して得られたコーティング組成物を乾燥および/または加熱硬化させて得られるハードコート層とする。
上記メラミン系樹脂は、単独で用いてもよいし、また2種以上混合して用いてもよい。また、物性を損わない範囲でアクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂またはシリコン樹脂等の変性剤を混合してもよい。
硬化剤としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や酢酸、シュウ酸、マレイン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。
架橋剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等の短鎖グリコール、およびポリエチレングリコール等の長鎖グリコールが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を配合してもよい。
かかるメラミン系樹脂を使用するコーティング組成物における硬化剤、架橋剤の配合量としては、その目的により適宜決められる。架橋剤はメラミン系樹脂の官能基および架橋剤の官能基が等モル量になることが目安とされ、メラミン系樹脂100重量部に対して好ましくは10〜200重量部、より好ましくは20〜150重量部である。また、硬化剤はメラミン系樹脂100重量部に対し好ましくは1〜10重量部、より好ましくは2〜7重量部である。
溶剤としては、アルコール、ケトン、エーテル、セロソルブ、芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して使用される。
活性エネルギー線硬化性ハードコート材料としては、特開昭54−097633号、特開平03−145602号および特開2000−229384号公報等に記載されている材料を用いることができる。例えば、活性エネルギー線硬化性の官能基を2個以上有する多官能性化合物が挙げられ、該活性エネルギー線硬化性官能基として、(メタ)アクリロイル基、ビニル基またはアリル基などの不飽和基を有する基、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有するものが挙げられる。例えば、多価アルコール等の2個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸からなるポリ(メタ)アクリレートである。
上記ポリ(メタ)アクリレート化合物として具体的には、以下の化合物が挙げられる。例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシルエチルイソシアヌレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン付加物ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
好ましくは、トリメチロールプロパン系ポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレートおよびイソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、上記多官能性化合物は活性エネルギー線硬化性官能基以外に、さらに例えば水酸基、カルボキシル基、ハロゲン基、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、アミド結合、ジオルガノシロキサン結合など種々の官能基や結合を有していてもよい。特にウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(以下、“アクリルウレタン”と称することがある)が好ましい。
上記多官能性化合物であるアクリルウレタンとしては、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物(1)、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有する化合物(2)および水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(3)との反応生成物等が挙げられる。
1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物(1)としては、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
1分子中に少なくとも2個の水酸基を有する化合物(2)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの多価アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、または上記多価アルコール、ポリアルキレングリコールと多塩基酸(例えばフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸など)またはその無水物との縮合反応により得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(3)の具体的な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート等が挙げられる。
具体的な好ましい多官能性化合物は、上記アクリルウレタンとしては、ペンタエリスリトールやその多量体であるポリペンタエリスリトールとポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの生成物であるアクリルウレタン、またはペンタエリスリトールやポリペンタエリスリトールの水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとの反応生成物であるアクリルウレタンが挙げられる。
硬化させるための活性エネルギー線のうち、紫外線(UV)で硬化する場合には、光重合開始剤が用いられる。該光重合開始剤として、アリールケトン系光重合開始剤(例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類など)、含イオウ系光重合開始剤(例えばスルフィド類、チオキサントン類など)、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、ジアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤およびその他の光重合開始剤等が挙げられる。
上記光重合開始剤量は、UV硬化性多官能化合物100重量部に対して0.01〜20重量部、特に0.1〜10重量部が好ましい。
また、適当な粘度に調節する目的で、有機溶剤が含まれてもよい。有機溶剤としては、アルコール、ケトン、エーテル、セロソルブまたは芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して使用される。
コーティング組成物には、上記成分以外に得られる硬化膜の物性を損わない限り、他の成分を添加できる。例えば、反応を促進させるために硬化剤を、種々の基材との屈折率を合せるために微粒子状無機物を、また塗布時における濡れ性や硬化膜の平滑性を向上させる目的で各種界面活性剤を含有させることができる。
特に、表面硬度向上のためには、高分子量無水ケイ酸の水および/またはアルコールなどの有機溶媒中のコロイド状分散体であるコロイダルシリカが好適に使用される。コロイダルシリカは粒径1〜100μmのシリカ微粒子を分散させたものが好適に使用される。また、コロイダルシリカは反射防止膜との密着性向上のためには5〜70重量%の範囲で好ましく使用される。
また、着色剤(染料および顔料)や充填剤を分散させたり、有機ポリマーを溶解させて塗膜を着色させることが可能である。さらに紫外線吸収剤、酸化防止剤の添加も可能である。
コーティング組成物の基材(プラスチックレンズ)への塗布手段としては、特に制限されず、例えばディップ法、スプレー法、スピンコート法、バーコート法、フローコート法、ロールコート法等の公知の方法が採用できる。面精度の点からディップ法、スピンコート法が好ましく用いられる。
基材上に塗布したコーティング組成物は、以下のようにして硬化してハードコート層を形成させる。熱硬化性ハードコート材料の場合、基材へ塗布後、乾燥および/または加熱などにより行われる。乾燥および/または加熱温度としては、50〜200℃の範囲で行うのが好ましく、特に好ましくは70〜150℃の範囲である。
乾燥および/または加熱は硬化膜が十分な硬度を与えるまで行われ、加熱温度が高くなるほど短時間で済み、0.3〜5時間かけて行うとよい。
活性エネルギー線硬化性ハードコート材料の場合、基材(レンズ)への塗布後、UV線、電子線、レーザーなどの活性エネルギー線照射により行われる。活性エネルギー線としては、特に限定されないが、UV線が好ましい。UV線源としてはキセノンランプ、パルスキセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等が使用できる。
なお、基材(レンズ)とハードコート層との密着性を高める目的で、コーティング組成物の塗布前に基材に対する前処理を行うのが好ましい。例えば、酸、アルカリ、有機溶剤などによる化学的処理、プラズマ、紫外線などの物理的処理、各種洗剤による洗浄処理、さらには各種樹脂を用いたプライマー処理等が例示される。
上記方法で硬化させたハードコート層の厚さは、1〜50μmが好ましい。この層厚が50μm超では、硬化が不十分になり基材との密着性が損われやすく、1μm未満では、この層の上に形成される最外層の耐摩耗性や耐擦傷性が十分発現できない惧れがある。
必要に応じて前記硬化層上に単層または多層の反射防止層を形成させてもよい。反射防止層の構成成分としては、無機酸化物、フッ化物、窒化物などの従来から公知のものが用いられる。具体的には、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、フッ化マグネシウム、窒化ケイ素等が挙げられる。その形成方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等が挙げられる。この反射防止層を設けることにより、反射防止性能が向上する。さらに前記硬化層または反射防止層の上にさらに防曇層を形成させてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる眼鏡レンズは、成形時に良好な離型性を有しており、耐衝撃性、透明性、紫外線遮断性能を維持したまま、熱履歴を有しても黄色化がほとんどなく、リプロ性が高く、成形耐熱性に優れるため、その奏する工業的効果は格別なものである。
以下、本発明について実施例を揚げて更に詳しく説明する。なお部は重量部であり、評価は下記の方法によった。
(1)分光透過率:各実施例で得たバージンペレットを成形し、得られた見本板(縦70mm×横50mm×厚み5mm)を、日立製作所製U−4100を用いて300nm〜500nmの波長領域で測定した。
(2)全光線透過率およびHaze:各実施例で得たバージンペレットを成形し、得られた見本板(縦70mm×横50mm×厚み5mm)を、日本電色(株)製NDH−2000を用いて、C光源にてJIS K−7361に従って測定した。
(3)黄色度(b):各実施例で得たバージンペレットを成形し、得られた見本板(縦70mm×横50mm×厚み5mm)を、グレタマクベス製Color−Eye700Aを用いてC光源、視野角2°の透過にて測定した。
(4)成形耐熱性(リプロ性):各実施例で得たバージンペレット(押出し1回目)及びリペレット(繰返し押出し3回目)を用いて射出成形機によりシリンダー温度300℃で連続的に成形して得た見本板(縦70mm×横50mm×厚み5mm)の色相(b、b’)をグレタマクベス製Color−Eye700Aを用いて測定し、変色の度合いを△b(=b’−b)で示した。△bは小さいほど色相の変化が小さく良好である。
(5)成形耐熱性(滞留耐熱性):各実施例で得たバージンペレット(押出し1回目)を用いて射出成形機によりシリンダー温度300℃で1分滞留後に成形して得た見本板と10分滞留後に成形して得た見本板(縦70mm×横50mm×厚み5mm)の色相(b10 )をグレタマクベス製Color−Eye700Aを用いて測定し、変色の度合いを示した。b10 は小さいほど変色の度合が小さく良好である。
(6)離型性:射出成形機を用いて、コップ型の成形片を成形し、離型時の突き出し荷重(離型応力)を1tonロードセル・メモライザーにより測定した。この値が小さいほど離型性に優れていることを示す。
なお実施例および比較例において使用された紫外線吸収剤、離型剤、熱安定剤および酸化防止剤を略号と共に下記に示す。
紫外線吸収剤
UV−1成分;2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2成分;2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]
UV−3成分;2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
離型剤
C−1成分;酸価9、TGA5%重量減少温度322℃、並びにGC/MS法におけるステアリン酸成分の面積(Ss)とパルミチン酸成分の面積(Sp)との合計が全脂肪族カルボン酸成分中94%であり、それらの面積比(Ss/Sp)が1.44である、ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸(ステアリン酸およびパルミチン酸を主成分とする)とのフルエステル(理研ビタミン(株)製:リケスターEW−400、水酸基価6、ヨウ素価0.4、該脂肪族カルボン酸は動物性油脂を原料とする。)
C−2成分(比較用);ステアリン酸ステアレート(理研ビタミン(株)製:リケマールSL−900、酸価1.8、水酸基価4、ヨウ素価0.6およびTGA5%重量減少温度243℃)
C−3成分(比較用);酸価1、TGA5%重量減少温度390℃、並びにSsとSpとの合計が全脂肪族カルボン酸成分中91%であり、それらの面積比(Ss/Sp)が1.11である、ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸(ステアリン酸およびパルミチン酸を主成分とする)とのフルエステル(コグニスジャパン(株)製:ロキシオールVPG−861、水酸基価7、ヨウ素価0、該脂肪族カルボン酸は植物性油脂を原料とする。)
C−4成分(比較用);グリセリンモノ脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製:リケマールS−100A、酸価0.8、水酸基価327、ヨウ素価1.8およびTGA5%重量減少温度205℃)
熱安定剤および酸化防止剤
HS−1成分(ラクトン系熱安定剤);5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン)(前記式(1)において、Rは水素原子、Rは3,4−ジメチルフェニル基、RおよびRはtert−ブチル基で示される化合物)
HS−2成分(リン系熱安定剤);トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
HS−3成分(ヒンダードフェノール系酸化防止剤);オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
実施例1
常法によりビスフェノールAとホスゲンを界面重合法で重合して得た粘度平均分子量22,400のポリカーボネート樹脂粉末100部に、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(UV−1成分、吸収極大が340nm)0.3部、紫外線吸収剤として2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](UV−2成分、吸収極大が349nm)0.04部、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸(ステアリン酸およびパルミチン酸を主成分とする)とのフルエステル(C−1成分)0.05部、下記リン系熱安定剤(d)0.03部およびブルーイング剤として下記式(2)
Figure 0004799126
の化合物0.5ppmを添加し、タンブラーにて充分混合した後30mmベント式押出成形機により260〜280℃でペレット化した(バージンペレット)。さらにリペレットによる色相を調査する為に同様の押出し条件で連続してさらに2回ペレット化を実施しリペレットを得た。これらのペレットを上記評価方法で射出成形機によりシリンダー温度300℃で成形し見本板(縦70mm×横50mm×厚み5mm)を得た。この見本板を用いてb値、b’*値、△b*、b10 値、Haze、全光線透過率、385nmおよび400nmにおける分光透過率、離型応力を測定し、その評価結果を表1に示した。
リン系熱安定剤(d):以下のd−1成分、d−2成分およびd−3成分の71:15:14(重量比)の混合物
d−1成分:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイトの100:50:10(重量比)混合物
d−2成分:ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトの5:3(重量比)混合物
d−3成分:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
実施例2
実施例1におけるペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)の添加量を0.2部に変更する以外は実施例1と同様にして見本板を得た。その評価結果を表1に示した。
実施例3
実施例1における紫外線吸収剤2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(UV−1成分)の添加量を0.1部、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](UV−2成分)の添加量を0.1部に変更する以外は実施例1と同様にして見本板を得た。その評価結果を表1に示した。
実施例4
実施例3におけるペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)の添加量を0.2部に変更する以外は実施例3と同様にして見本板を得た。その評価結果を表1に示した。
実施例5
実施例1において、紫外線吸収剤として2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](UV−2成分)0.04部の代わりに、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(UV−3成分)0.02部を使用し、ブルーイング剤量を0.6ppmに変更する以外は実施例1と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表1に示した。
実施例6
実施例5におけるペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)の添加量を0.2部に変更する以外は実施例5と同様にして見本板を得た。その評価結果を表1に示した。
比較例1
実施例1において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.05部の代わりに、ステアリン酸ステアレート(C−2成分)0.05部を使用する以外は実施例1と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表1に示した。実施例1に比べて離型応力に劣っていた。
比較例2
実施例2において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.2部の代わりに、ステアリン酸ステアレート(C−2成分)0.2部を使用する以外は実施例2と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表1に示した。実施例2に比べてリプロ性、滞留耐熱性および離型応力に劣っていた。
比較例3
実施例4において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.2部の代わりに、ステアリン酸ステアレート(C−2成分)0.2部を使用する以外は実施例4と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表1に示した。実施例4に比べてリプロ性、滞留耐熱性および離型応力に劣っていた。
比較例4
実施例6において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.2部の代わりに、ステアリン酸ステアレート(C−2成分)0.2部を使用する以外は実施例6と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表1に示した。実施例6に比べてリプロ性、滞留耐熱性および離型応力に劣っていた。
比較例5
実施例1において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−3成分、酸価1)0.05部を使用する以外は実施例1と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表1に示した。実施例1に比べて滞留耐熱性および離型応力に劣っていた。
比較例6
実施例2において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分、酸価9)0.2部の代わりに、ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−3成分、酸価1)0.2部を使用する以外は実施例2と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表1に示した。実施例2に比べてリプロ性、滞留耐熱性および離型応力に劣っていた。
比較例7
実施例4において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.2部の代わりに、ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−3成分、酸価1)0.2部を使用する以外は実施例4と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表1に示した。実施例4に比べてリプロ性、滞留耐熱性および離型応力に劣っていた。
比較例8
実施例6において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(下記C−1成分)0.2部の代わりに、ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(下記C−3成分、酸価1)0.2部を使用する以外は実施例6と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表1に示した。実施例6に比べて、滞留耐熱性および離型応力に劣っていた。
比較例9
実施例1において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.05部の代わりに、グリセリンモノ脂肪酸エステル(C−4成分)0.05部を使用する以外は実施例1と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表1に示した。実施例1に比べてリプロ性および滞留耐熱性に劣っていた。
比較例10
実施例2において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.2部の代わりに、グリセリンモノ脂肪酸エステル(下記C−4成分)0.2部を使用する以外は実施例2と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表1に示した。実施例2に比べてリプロ性および滞留耐熱性に劣っていた。
比較例11
実施例6において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.2部の代わりに、グリセリンモノ脂肪酸エステル(C−4成分)0.2部を使用する以外は実施例6と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表1に示した。実施例6に比べてリプロ性、滞留耐熱性に劣っていた。
Figure 0004799126
実施例7
実施例1にラクトン系熱安定剤として5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン)(HS−1成分)0.0027部を添加する以外は実施例1と同様にして見本板を得た。その評価結果を表2に示した。
実施例8
実施例2にラクトン系熱安定剤として5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン)(HS−1成分)0.0027部を添加する以外は実施例2と同様にして見本板を得た。その評価結果を表2に示した。
実施例9
実施例3にラクトン系熱安定剤として5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン)(HS−1成分)0.0027部を添加する以外は実施例3と同様にして見本板を得た。その評価結果を表2に示した。
実施例10
実施例4にラクトン系熱安定剤として5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン)(HS−1成分)0.0027部を添加する以外は実施例4と同様にして見本板を得た。その評価結果を表2に示した。
実施例11
実施例5にラクトン系熱安定剤として5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン)(HS−1成分)0.0027部を添加する以外は実施例5と同様にして見本板を得た。その評価結果を表2に示した。
実施例12
実施例6にラクトン系熱安定剤として5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン)(HS−1成分)0.0027部を添加する以外は実施例6と同様にして見本板を得た。その評価結果を表2に示した。
比較例12
実施例7において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.05部の代わりに、ステアリン酸ステアレート(C−2成分)0.05部を使用する以外は実施例7と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表2に示した。実施例7に比べて離型応力に劣っていた。
比較例13
実施例8において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.2部の代わりに、ステアリン酸ステアレート(C−2成分)0.2部を使用する以外は実施例8と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表2に示した。実施例8に比べてリプロ性、滞留耐熱性および離型応力に劣っていた。
比較例14
実施例7において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分、酸価9)0.05部の代わりに、ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−3成分、酸価1)0.05部を使用する以外は実施例7と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表2に示した。実施例7に比べて滞留耐熱性および離型応力に劣っていた。
比較例15
実施例8において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分、酸価9)0.2部の代わりに、ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−3成分、酸価1)0.2部を使用する以外は実施例8と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表2に示した。実施例8に比べてリプロ性、滞留耐熱性および離型応力に劣っていた。
比較例16
実施例7において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.05部の代わりに、グリセリンモノ脂肪酸エステル(C−4成分)0.05部を使用する以外は実施例7と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表2に示した。実施例7に比べてリプロ性および滞留耐熱性に劣っていた。
比較例17
実施例8において、離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.2部の代わりに、グリセリンモノ脂肪酸エステル(C−4成分)0.2部を使用する以外は実施例8と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表2に示した。実施例8に比べてリプロ性および滞留耐熱性に劣っていた。
Figure 0004799126
実施例13
実施例8における5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン)(HS−1成分)の添加量を0.0005部に変更する以外は実施例8と同様にして見本板を得た。その評価結果を表3に示した。
実施例14
実施例13における5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン)(HS−1成分)の添加量を0.0027部に変更する以外は実施例13と同様にして見本板を得た。その評価結果を表3に示した。
実施例15
実施例13における5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン)(HS−1成分)の添加量を0.01部に変更する以外は実施例13と同様にして見本板を得た。その評価結果を表3に示した。
実施例16
実施例15における2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(UV−1成分)の添加量を0.1部に変更し、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](UV−2成分)の添加量を0.15部に変更する以外は実施例15と同様にして見本板を得た。その評価結果を表3に示した。
実施例17
実施例13における5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン)(HS−1成分)の添加量を0.05部に変更する以外は実施例13と同様にして見本板を得た。その評価結果を表3に示した。
実施例18
実施例15において、さらにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(HS−2成分)0.05部を添加する以外は実施例15と同様にして見本板を得た。その評価結果を表3に示した。
実施例19
実施例14において、さらにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(HS−2成分)0.01部およびオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(HS−3成分)0.005部を添加する以外は実施例14と同様にして見本板を得た。その評価結果を表3に示した。
実施例20
実施例15において、さらにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(HS−2成分)0.05部およびオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(HS−3成分)0.03部を添加する以外は実施例915同様にして見本板を得た。その評価結果を表3に示した。
実施例21
実施例17において、さらにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(HS−2成分)0.05部およびオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(HS−3成分)0.03部を添加する以外は実施例17と同様にして見本板を得た。その評価結果を表3に示した。
比較例18
実施例15において、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(UV−1成分)の添加量を0.05部に変更し、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](UV−2成分)を添加しない以外は実施例15と同様にして見本板を得た。その評価結果を表3に示した。実施例15に比べて400nmおよび385nmの分光透過率が劣り、眼鏡レンズとして不適であった。
Figure 0004799126
実施例22
実施例11において、ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C−1成分)0.05部を0.2部に変更する以外は実施例11と同様の方法で見本板を得た。その評価結果を表4に示した。
実施例23
実施例22における5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチル−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン)(HS−1成分)の添加量を0.01部に変更する以外は実施例22と同様にして見本板を得た。その評価結果を表4に示した。
実施例24
実施例23において、さらにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(HS−2成分)0.05部を添加する以外は実施例23と同様にして見本板を得た。その評価結果を表4に示した。
実施例25
実施例22において、さらにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(HS−2成分)0.01部およびオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(HS−3成分)0.02部を添加する以外は実施例22と同様にして見本板を得た。その評価結果を表4に示した。
実施例26
実施例23において、さらにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(HS−2成分)0.02部およびオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(HS−3成分)0.05部を添加する以外は実施例23と同様にして見本板を得た。その評価結果を表4に示した。
比較例19
実施例23において、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(UV−1成分)を添加せず、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(UV−3成分)の添加量を0.32部に変更する以外は実施例23と同様にして見本板を得た。その評価結果を表4に示した。実施例18に比べてリプロ性および滞留耐熱性に劣っていた。
Figure 0004799126

Claims (15)

  1. (1)ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(2)2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤(A)0.05〜0.5重量部、(3)2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール)−2−イルフェノール]および2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤(B)0.01〜0.3重量部および(4)4〜8価の炭素数5〜30の脂肪族多価アルコールと炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸とのフルエステルであって、その酸価が4〜20であるフルエステル(C)0.01〜0.5重量部を含有し、前記紫外線吸収剤(A)および前記紫外線吸収剤(B)との割合が(B)/(A)(重量比)で表して0.05〜1.5の範囲であるポリカーボネート樹脂組成物より形成された眼鏡レンズ。
  2. 前記紫外線吸収剤(A)が2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールでありかつ前記紫外線吸収剤(B)が2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール)]である請求項1記載の眼鏡レンズ。
  3. 前記フルエステル(C)は、脂肪族カルボン酸がパルミチン酸成分とステアリン酸成分とを含み、そのガスクロマトグラフ−質量分析法(GC/MS法)におけるピーク面積において、パルミチン酸成分の面積(Sp)とステアリン酸成分の面積(Ss)との合計が全脂肪族カルボン酸成分中80%以上であり、かつ両者の面積比(Ss/Sp)が1.3〜30である請求項1記載の眼鏡レンズ。
  4. 前記フルエステル(C)は、TGA(熱重量解析)における5%重量減少温度が250〜360℃である請求項1記載の眼鏡レンズ。
  5. 前記フルエステル(C)は、酸価が4〜18である請求項1記載の眼鏡レンズ。
  6. 前記フルエステル(C)は、ペンタエリスリトールとパルミチン酸およびステアリン酸の混合脂肪族カルボン酸とのフルエステルである請求項1記載の眼鏡レンズ。
  7. 前記フルエステル(C)は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.02〜0.4重量部含有する請求項1記載の眼鏡レンズ。
  8. ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、さらにリン系熱安定剤(d)0.001〜0.2重量部を含有してなる請求項1記載の眼鏡レンズ。
  9. 前記リン系熱安定剤(d)が、ホスホナイトである請求項記載の眼鏡レンズ。
  10. ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、さらにブルーイング剤(e)を、0.1×10−4〜6×10−4重量部含有する請求項1記載の眼鏡レンズ。
  11. ポリカーボネート樹脂は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主たる二価フェノール成分とするポリカーボネート樹脂である請求項1記載の眼鏡レンズ。
  12. ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、さらに下記式(1)で示されるラクトン系熱安定剤(f)0.0005〜0.1重量部を含有してなる請求項1記載の眼鏡レンズ。
    Figure 0004799126
    [式中R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜15のアリール基を示す。]
  13. ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、さらにヒンダードフェノール系の酸化防止剤(g)0.001〜0.1重量部を含有してなる請求項1記載の眼鏡レンズ。
  14. (1)ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(2)2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤(A)0.05〜0.5重量部、(3)2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール)−2−イルフェノール]および2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤(B)0.01〜0.3重量部および(4)4〜8価の炭素数5〜30の脂肪族多価アルコールと炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸とのフルエステルであって、その酸価が4〜20であるフルエステル(C)0.01〜0.5重量部を含有し、前記紫外線吸収剤(A)および前記紫外線吸収剤(B)との割合が(B)/(A)(重量比)で表して0.05〜1.5の範囲である眼鏡レンズ用ポリカーボネート樹脂成形材料。
  15. (1)ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(2)2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤(A))0.05〜0.5重量部、(3)2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール)−2−イルフェノール](紫外線吸収剤(B))0.01〜0.3重量部、(4)ペンタエリスリトールとパルミチン酸およびステアリン酸の混合脂肪族カルボン酸とのフルエステルであって、その酸価が4〜20であるフルエステル(C)0.01〜0.5重量部および(5)リン系熱安定剤0.001〜0.2重量部を含有し、前記紫外線吸収剤(A)および前記紫外線吸収剤(B)との割合が(B)/(A)(重量比)で表して0.05〜1.5の範囲である眼鏡レンズ用ポリカーボネート樹脂成形材料。
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