JP5054721B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、吸気バルブ上流側の吸気通路内に燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた内燃機関に適用される燃料噴射制御装置に関する。
特許文献1には、冷間始動時に、噴霧広がり角を通常時よりも大きくすることで、吸気ポート内壁及び/又は吸気バルブ表面への燃料付着面積を増大させ、液ダレによるエミッションやドライバビリティーの悪化を抑制することが開示されている。
特開2004−346912号公報
ところで、吸気バルブの温度が低い冷間始動時には、噴霧角を広くして燃料の付着面積を増大させることで、付着燃料の膜厚を薄くして気化の促進を図れるが、燃料噴霧が吸気ポート内面や吸気バルブの傘部などに到達する前での気化率が低いと、付着燃料量が増大し、付着面積の増大による排気性能の向上効果を十分に得ることが難しいという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、燃料噴霧が吸気ポート内壁や吸気バルブの傘部などに到達する前での気化率を増大させ、排気性能を向上させることを目的とする。
そのため、本願発明では、吸気バルブの温度が低く、機関負荷が高いほど、燃料噴射弁に対する燃料供給圧を低くするようにした。
上記発明によると、吸気バルブの温度が低い場合に、燃料供給圧を低くすることで燃料噴霧の流速が遅くなって、燃料噴霧が吸気ポート内面や吸気バルブの傘部などに到達する前での気化率が増大し、排気性能を向上させることができる。また、機関負荷が大きいと、それだけ単位面積当たりの付着量が増えることになって、燃料噴霧の気化性能が低下してしまうので、機関負荷が大きい場合にはより燃圧を低くして、燃料を薄く付着させる状態を維持して、気化性能の低下を抑制する。
実施形態における車両用内燃機関の燃料供給システムを示す図である。 実施形態における目標燃圧の設定ルーチンを示すフローチャートである。 前記目標燃圧の設定ルーチンで用いるバルブ温度の閾値の特性を説明するための線図である。 実施形態における噴霧流速及び噴霧角の設定特性を、冷機始動時、ファーストアイドル時、全開時それぞれについて示す図である。 実施形態における噴霧の衝突領域(付着領域)を、冷機始動時、ファーストアイドル時、全開時それぞれについて示す図である。 実施形態におけるバルブ温度の推定ルーチンを示すフローチャートである。 実施形態における燃圧制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施形態における燃圧制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施形態における分割噴射の制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施形態における燃料噴射タイミングを説明するための図である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施形態における車両用内燃機関の燃料供給システムの構成図である。
図1において、燃料タンク11は、内燃機関16と共に図示省略した車両に搭載され、内燃機関16に供給する燃料(ガソリン等)を貯留する。
前記燃料タンク11内には、電動式の燃料ポンプ12が設置され、該燃料ポンプ12は、燃料タンク11内の燃料を吸い込んで、燃料供給配管13を介して燃料ギャラリーパイプ14に燃料を圧送する。
前記燃料ギャラリーパイプ14には複数の燃料噴射弁15が接続されており、前記燃料ギャラリーパイプ14を介して複数の燃料噴射弁15それぞれに燃料が分配供給される。
各燃料噴射弁15は内燃機関16の各気筒毎に設けられ、各気筒の吸気バルブ21上流側の吸気ポート17(吸気通路)内に燃料を噴射するものであり、燃料噴霧が前記吸気バルブ21の傘部21aに向かうように設定されている。
前記燃料噴射弁15よりも上流側の吸気ダクト31には、スロットルバルブ32が設けられている。
前記燃料供給配管13の途中から燃料を燃料タンク11内に戻すためのリリーフ配管18が設けられており、該リリーフ配管18を介した燃料のリリーフは、電磁弁19によって制御される。
また、前記燃料ギャラリーパイプ14には、前記燃料噴射弁15に対する燃料供給圧(以下、燃圧FUPRと略す。)を検出する燃圧センサ20が設けられている。
燃圧制御コントローラ22は、前記燃圧センサ20からの検出信号を入力し、前記燃圧センサ20で検出される実際の燃圧を目標圧に近づけるように、前記燃料ポンプ12の吐出量及び電磁弁19の開閉を制御する。
一方、前記燃料噴射弁15の燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御するエンジン・コントロール・モジュール(ECM)23が設けられており、該ECM23には、内燃機関16の運転状態を検出する各種センサからの検出信号が入力される。
前記機関運転状態を検出する各種センサとしては、内燃機関16の冷却水温度TWを検出する水温センサ24、内燃機関16の吸気温度TANを検出する吸気温センサ25、内燃機関16の吸入空気流量Qaを検出するエアフローセンサ26、内燃機関16の回転速度NEを検出する回転センサ27などが設けられている。
前記燃圧制御コントローラ22及びECM23は、それぞれマイクロコンピュータを含んで構成されると共に、相互に通信可能に構成され、燃圧制御コントローラ22からECM23へは燃圧の検出データや分割噴射の指令信号などが送信され、ECM23から燃圧制御コントローラ22へは、内燃機関16の運転状態を示すデータなどが送信される。
そして、ECM23では、燃料噴射弁15の単位開弁時間当たりの噴射量(噴射率)が、燃圧に応じて変化することに対応して、燃料噴射弁15の開弁時間(噴射パルス幅)を制御する一方、前記分割噴射の指令信号に基づいて燃料噴射弁15による噴射を複数回に分けて行わせる。
また、燃圧制御コントローラ22では、内燃機関16の運転状態から目標燃圧を設定し、燃圧センサ20で検出される実際の燃圧が前記目標燃圧になるように、前記燃料ポンプ12の吐出量(印加電圧)及び前記電磁弁19の開閉を制御する。
但し、前記燃圧制御コントローラ22の機能と、ECM23の機能との双方を有する1つの制御ユニットを備えるシステムとすることができる。
図2のフローチャートは、前記燃圧制御コントローラ22で実施される燃圧及び分割パルス幅SPITSの演算ルーチン(噴射制御手段)を示し、本ルーチンは定時割り込みによって実行される。
尚、分割パルス幅SPITS(ms)とは、1サイクル当たりに供給する燃料量を複数回に分けて噴射する分割噴射における個々のパルス幅であり、前記ECM23は、前記分割パルス幅SPITS(ms)に基づいて分割数(噴射回数)などを設定して、燃料噴射弁15による分割噴射を制御する。
図2のフローチャートにおいて、ステップS101では、吸気バルブ21の温度の推定値Vteを読み込む。
前記吸気バルブ21の温度の推定処理(温度検知手段)については、後で詳細に説明するが、吸気バルブ21の温度を温度センサによって直接検出させ、又は、冷却水温度TWや内燃機関16の潤滑油温度やシリンダヘッドの温度などを、吸気バルブ21の温度に相関する温度として検出又は推定し、係る検出値又は推定値を、ステップS101で読み込ませるようにできる。
次のステップS102では、機関回転速度NEや、前記燃料噴射弁15における基本噴射パルス幅TPなどの機関16の運転状態を示すデータを読み込む。
前記基本噴射パルス幅TPは、前記ECM23において機関回転速度NEと吸入空気流量Qaとに基づいて算出され、機関負荷(機関の出力トルク)を示すデータである。
ステップS103では、ステップS101で読み込んだ吸気バルブ21の温度Vteが閾値MVTLOW以下であるか否かを判断する。
前記閾値MVTLOWは、吸気バルブ21に付着した燃料の気化が良好に行える温度の下限値であり、例えば60℃に設定される。
図3に示すように、吸気バルブ21の温度が、60℃を下回る領域と、60℃を上回る領域とでは、付着燃料の気化率が大きく異なるため、前記60℃を基準に閾値MVTLOWを設定するが、付着燃料の気化によって吸気バルブ21の温度低下が生じるので、これを考慮して、閾値MVTLOWを60℃以上、例えば70℃に設定することができる。
また、吸気バルブ21はその部位によって温度が異なるため、最も温度が低くなると予測される部位(例えばバルブステム部)の温度が、高い気化率を示す温度となる閾値MVTLOWを設定してもよい。
また、吸気バルブ21の温度Vteを閾値MVTLOWと比較させる代わりに、例えば、機関始動からの経過時間Tが閾値以下であるか否かをステップS103で判断させることができる。
即ち、機関始動からの経過時間Tに応じて吸気バルブ21の温度が上昇するから、機関始動からの経過時間Tが閾値TSL以下であるか否かの判断は、吸気バルブ21の温度Vteが閾値MVTLOW以下であるか否かを推定することになる。
ここで、機関負荷の高い状態であれば、同じ経過時間であってもより吸気バルブ21の温度は高くなるから、機関負荷に応じて閾値TSLを変更させることができ、また、始動後にアイドル状態を維持する場合であっても、バルブ温度Vteが閾値MVTLOW以上となることが見込まれる時間を、固定の閾値TSLとして設定することができる。
ステップS103で吸気バルブ21の温度Vteが閾値MVTLOWよりも高いと判断された場合には、吸気バルブ21に付着した燃料を、吸気バルブ21の熱で気化させることができるが、吸気バルブ21の温度Vteが閾値MVTLOW以下の場合には、吸気バルブ21の熱を利用した気化性能が大きく低下し、温度Vteが閾値MVTLOWよりも高い場合と同様に燃料噴射を行わせたのでは、燃料噴霧の気化が不十分となって燃焼性が低下し、排気性状が悪化する。
そこで、ステップS103で吸気バルブ21の温度Vteが閾値MVTLOW以下であると判断された場合には、ステップS104以降へ進んで、吸気バルブ21の熱によって付着燃料を十分に気化させることができない状態で、気化性能を上げるための処理を行う。
まず、ステップS104では、バルブ温度Vte及び基本噴射パルス幅TP(機関負荷)に基づいて目標噴霧角度θtg(目標の噴霧広がり角度)を決定する。
具体的には、そのときのバルブ温度Vteが低いほど目標噴霧角度θtgを広角とし、バルブ温度Vteの上昇に応じて目標噴霧角度θtgが狭められるようにし、また、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)が大きいほど目標噴霧角度θtgを広角に設定する。
バルブ温度Vteが低いと、それだけ吸気バルブ21や吸気ポート17の内壁に付着した燃料が気化し難くなるため、目標噴霧角度θtgを広くすることで燃料付着面積をより広くし、単位面積当たりの付着量を減らすことで燃料を薄く付着させ、単位量の燃料を気化させるのに用いることができる熱量を増やし、また、燃料付着による吸気バルブ21や吸気ポート17の内壁の温度低下を抑制することで、気化の促進を図る。
また、目標噴霧角度θtg(燃料付着面積)が同じ場合、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)が大きいと、それだけ単位面積当たりの付着量が増えることになって、燃料噴霧の気化性能が低下してしまうので、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)が大きい場合にはより目標噴霧角度θtg(燃料付着面積)を大きくして、燃料を薄く付着させるようにして、気化性能の低下を抑制する。
尚、ステップS104で決定される目標噴霧角度θtgが最大値であるときには、吸気バルブ21の傘部21aと共に吸気ポート17の内壁にも燃料噴霧が直接当たり、前記目標噴霧角度θtgが最小値であるときには、燃料噴霧が吸気ポート17の内壁に直撃することがなく、吸気バルブ21の傘部21aに燃料噴霧が当たるように設定することができる。
但し、ステップS104で設定される目標噴霧角度θtgの設定範囲の全てで、吸気バルブ21の傘部21aと共に吸気ポート17の内壁にも燃料噴霧が直接当たるように設定することも可能である。
次のステップS105では、前記目標噴霧角度θtgに基づいて目標燃圧TPFUELを決定する。
具体的には、前記目標噴霧角度θtgが広いほど、目標燃圧TPFUELを低くする。
本実施形態の燃料噴射弁15は、燃圧が低くなると噴霧角度θtgが広がる特性に設定されており、目標噴霧角度θtgを実現するために、前記目標噴霧角度θtgが広いほど目標燃圧TPFUELを低くする。
1ビームの燃料噴射弁である場合、燃圧を高くすることで貫通力(噴霧速度)が高くなると、燃料噴霧が失速し難くなるために、噴孔直後の広がり角を維持して燃料噴霧が進むことになるため、吸気バルブ21に到達するまでに大きな広がり面積(広り角度)を示すことになる。
これに対し、燃圧を低くすることで貫通力(噴霧速度)が低くなると、燃料噴霧が失速し易くなるために、途中で噴霧の広がりが抑制されてしまい、吸気バルブ21に到達するまでの広がり面積(広がり角度)が、燃圧が高い場合に比べて狭まる。
一方、本実施形態で用いる燃料噴射弁15は、2本の噴霧が衝突して1本の噴霧を形成する噴射弁であり、燃圧が高いと、噴霧圧によって燃料噴霧のベクトルが噴射弁の軸線方向に引っ張られるために噴霧角度は狭くなるが、逆に、燃圧を低くすると、燃料噴霧のベクトルを噴射弁の軸線方向に引っ張る作用が弱まり、噴霧角度は広くなる。
即ち、本実施形態では、燃料噴射弁15として、燃圧が高いと噴霧角度が狭まり、燃圧が低いと噴霧角度が広がる特性の噴射弁を用いており、目標噴霧角度θtgが広いほど、目標燃圧TPFUELを低くし、前記目標噴霧角度θtgの噴霧が形成されるようにする。
ここで、バルブ温度Vteが低い場合に、目標噴霧角度θtgが広角に設定されるから、低燃圧でしかも広角に燃料が噴射されることになる。
そして、燃圧(噴射率)が低いと、燃料噴霧の流速(初速)が遅くなって貫通力も弱まるので、吸気バルブ21の開弁前に燃料噴射を行えば、噴霧の一部が吸気ポート17内に浮遊し、浮遊中に気化させることができる。
一方、吸気ポート17内に浮遊することなく、吸気バルブ21や吸気ポート17内壁に付着する燃料は、広角噴射によって広い面積に薄く付着することになるので、吸気バルブ21や吸気ポート17の熱を利用して気化を促進させることができる。
即ち、広い面積に分散させて燃料を付着させるようにすると共に、燃圧の低下による噴霧流速の低下によって、吸気ポート17内に浮遊する燃料を生じさせることで、浮遊中の気化を図ると共に、浮遊する燃料分だけ付着燃料量を減らすことができ、付着燃料の気化性能を向上させることができる。
次のステップS106では、目標噴霧角度θtg(換言すれば、目標燃圧又はバルブ温度)に応じて分割パルス幅SPITSを設定する。
前記分割パルス幅SPITSは、燃料噴射弁15による燃料噴射を複数回に分けて行わせる分割噴射における個々の噴射のパルス幅であり、目標噴霧角度θtgが広いほど、換言すれば、バルブ温度Vteが低いほど短く設定される。
噴射パルス幅は噴射時間であり、噴射時間に比例する量の燃料が噴射されるので、前記分割パルス幅SPITSは、分割噴射において複数回行われる噴射の1回当たりの燃料噴射量である。
分割パルス幅SPITSが短いとそれだけ分割数が多くなり、バルブ温度Vteが低いほど、燃料をより多くの回数に分けて少量ずつ噴射させることになる。
分割噴射を行わせると、連続的に燃料を噴射させる場合に比べて、燃料噴霧の流速が遅くなり、貫通力が弱められるため、吸気ポート17内に浮遊する燃料量のより多くすることができ、吸気ポート17内に浮遊する燃料量を多くできれば、付着燃料量を更に減らして、付着燃料の気化性能をより向上させることができる。
即ち、例えば冷機始動時などのバルブ温度Vteが低い場合には、噴霧角度を広くして燃料の付着面積を増大させ、かつ、燃圧の低下によって燃料噴霧の流速を遅くすることで、吸気ポート17内に燃料を浮遊させ、更に、分割噴射によって前記浮遊燃料量を多くする。
これにより、広い面積に少ない量の燃料を付着させることができ、付着燃料の気化を促進させることができ、付着燃料の気化が促進されることで、燃焼室内での混合気が均質化され、燃焼性が向上することで、排気性状を改善することができる。
尚、分割噴射については、後で詳細に説明する。
一方、バルブ温度Vteが閾値MVTLOWよりも高くなったとステップS103で判断されるようになると、ステップS107へ進む。
ステップS107では、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)と機関回転速度NEとに基づいて目標燃圧TPFUELを設定する。
ここでは、アイドル運転を含む低回転・低負荷域で、目標燃圧TPFUELを低くし、機関回転速度NEが高くなるほど、また、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)が高くなるほど、目標燃圧TPFUELを高くする。
これは、バルブ温度Vteが閾値MVTLOWよりも高くなった場合であっても、低回転・低負荷時ほど燃料の気化性能が低下するため、係る気化性能の低下を抑制するために、燃圧を低下させて、噴霧角度(燃料付着面積)の増大を図るものである。
尚、ステップS107で設定される目標燃圧TPFUELのうちの最小値は、アイドル運転を含む低回転・低負荷域において設定される値であるが、この最小値と、ステップS105で設定される目標燃圧TPFUELの最大値とは同じであるか、前記最小値の方が高い値とする。
従って、例えば、冷機状態で始動され、アイドル状態を保持する場合、バルブ温度Vteが閾値MVTLOW以下である間は、バルブ温度Vteが高くなるに従って、燃圧がより高く変更され(噴霧角度がより狭く、噴霧流速がより速く変更され)、バルブ温度Vteが閾値MVTLOWを超えた場合には、直前の燃圧を保持するか、又は、増大設定されてその値を保持することになる。
即ち、冷機始動からのバルブ温度Vteの上昇に対して燃圧が漸増され、バルブ温度Vteの上昇に対して燃圧が減少方向に変更されることがないように設定されている。
また、バルブ温度Vteが閾値MVTLOWを超えた場合には、機関回転速度NEが高くなるほど、また、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)が高くなるほど、目標燃圧TPFUELが高く設定され、スロットル全開状態(WOT)で目標燃圧TPFUELが最も高い値に設定され、噴霧角度が最も狭く、かつ、噴霧流速が最大に設定される。
次のステップS108では、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)と機関回転速度NEとに基づいて前記分割パルス幅SPITSを設定する。
ステップS108では、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)が大きいほど、また、機関回転速度NEが高いほど、分割パルス幅SPITSがより長く設定され、少なくともスロットル32の全開状態(WOT)では、分割噴射が行われないような値に分割パルス幅SPITSが設定される。
上記燃圧(噴霧流速・噴霧角度)の設定特性を、冷機始動から全開状態(WOT)までの変化として示すと、図4のようになる。
即ち、バルブ温度Vteが低い冷機始動においては、吸気ポート内に噴霧を浮遊させて付着燃料(吸気ポート内壁への付着燃料であるポート壁流)を減らすと共に、浮遊しない噴霧については、空気流速が速い吸気ポート内壁に薄く広く付着させ、ポート壁流の気化を促進させることが要求される。
そこで、冷機始動においては、燃料噴霧の流速を遅くし、かつ、噴霧角度を広くすることが要求され、本実施形態では、燃圧を低くすることで、燃料噴霧の流速を遅くし、かつ、噴霧角度を広くし、更に、燃料噴射を吸気バルブ21の開弁前に複数回に分けて行わせることで、燃料噴霧が吸気ポート内に多く浮遊するようにする。
一方、冷機始動後のファーストアイドル状態であって、バルブ温度Vteが冷機始動時よりも高くなると、吸気バルブ21の熱を利用して燃料噴霧の気化を促進させることができるようになる、換言すれば、燃料噴霧を吸気ポート内に浮遊させる必要性が低下する。
そこで、冷機始動後のファーストアイドル状態では、冷機始動時に比べて、燃料噴霧の流速を速くし、かつ、噴霧角度を狭めて、吸気バルブ21に燃料噴霧を積極的に付着させることが要求され、本実施形態では、燃圧を冷機始動時に比べて高くすることで、燃料噴霧の流速を速くし、かつ、噴霧角度を狭めると共に、分割噴射の回数(分割数)を冷機始動時よりも減らして吸気バルブ21の開弁前に燃料噴射を行わせることで、燃料噴霧を吸気バルブ21に付着させる。
更に、全開状態(WOT)を含む高負荷領域では、燃料を筒内で気化させて、筒内温度の低下による充填効率の増大及び耐ノック性の向上を図ることが望まれ、そのためには、吸気行程中に燃料を短時間で筒内へ供給することが要求される。
そこで、全開状態(WOT)を含む高負荷領域では、アイドル運転を含む低負荷領域に比べて、燃料噴霧の流速をより速くし、かつ、噴霧角度をより狭めて、低負荷領域に比べて吸気バルブ21の傘部21aのより狭い領域に燃料を付着させると共に、分割噴射を行わずに、吸気行程中(吸気バルブ21の開弁中)に1回で燃料を噴射させる。
図5は、前述の冷機始動時、冷機始動後のファーストアイドル状態、全開状態のそれぞれにおいて、燃料噴霧が当たる吸気バルブ21及び吸気ポートの領域を示す。
本実施形態では、各気筒に2つの吸気バルブ21が設けられており、各燃料噴射弁15は、2つの吸気バルブ21それぞれを指向する2本の燃料噴霧を生成し、かつ、各吸気バルブ21に向かう燃料噴霧の中心軸は、傘部21aの中心よりも隣接する吸気バルブ21側に偏らせている。
上記のように燃料噴霧の中心軸を、傘部21aの中心よりも隣接する吸気バルブ21側に偏らせることで、シリンダ壁面から遠い位置から燃料をシリンダ内に吸引させることができ、これによってシリンダ壁面に付着する燃料量を減らすことができる。
そして、冷機始動時には、前述のように、暖機後に比べて燃圧を低くすることで、噴霧角度が広角に設定されるが、本実施形態では、燃圧を低くすることで、2つの吸気バルブ21の並び方向に直交する方向に噴霧が広がるように設定されており、これにより吸気バルブ21の傘部21a及び吸気ポート17の内壁を含む広い範囲に燃料を薄く付着させることができる。
前述のように、本実施形態の燃料噴射弁15は、2本の噴霧が衝突して1本の噴霧を形成する噴射弁であり、各吸気バルブ21に向かう2本の噴霧を形成するために、4本の噴霧が生成され、そのうち吸気バルブ21の並び方向に直交する方向に並ぶ2本の噴霧をそれぞれに衝突させるようにしているため、燃圧の変化による噴霧角の広狭は、吸気バルブ21の並び方向に直交する方向において大きく現れるようになっている。
冷機始動後のファーストアイドル状態では、冷機始動時に比べてバルブ温度Vteが上昇した分だけ燃圧が高められ、噴霧角が狭められる結果、図5に示すように、吸気バルブ21の並び方向に直交する方向での広がり角が、冷機始動時よりも狭められて、吸気バルブ21の傘部21aに燃料が付着するように設定される。
これにより、吸気バルブ21の傘部21aの熱を利用して、燃料噴霧を気化させることができる。
一方、スロットル全開時(WOT)では、ファーストアイドル状態に比べて更に燃圧が高く設定され、その結果、吸気バルブ21の並び方向に直交する方向での広がり角がより狭められ、傘部21a上のより狭い領域に燃料を当てるようにする。
前記スロットル全開時(WOT)を含む高負荷領域では、燃料噴射弁15による燃料噴射を吸気行程中(吸気バルブ21の開弁動作中)に行わせるので、傘部21a上のより狭い領域に向けて噴射された燃料は、その大部分が傘部21a上で気化することなく、筒内に吸引され、筒内で気化することで筒内温度を下げ、充填効率の増大や耐ノック性の向上が図られる。
尚、上記実施形態では、燃圧を増大させることで、燃料噴霧の流速を速くし、かつ、噴霧角度をより狭く変化させるようにしたが、燃圧の調整によって燃料噴霧の流速を変化させる一方で、燃料噴霧に衝突させるアシストエアの流量調整で燃料噴霧の角度を変更したり、噴霧角度の異なる複数の燃料噴射弁を備え、噴霧角度の要求に応じて燃料噴射させる燃料噴射弁を選択したり、燃料噴射弁の複数の噴孔のうち燃料噴射を行わせる噴孔を選択することで噴霧角度を変更したりすることができる。
次の図6のフローチャートに従ってバルブ温度Vteの推定処理を説明する。
図6のフローチャートに示すルーチンは、定時割り込みによって実行され、まず、ステップS201では、内燃機関16の停止から再始動されるまでの経過時間TMSTP、換言すれば、内燃機関16の停止時間を読み込む。
次のステップS202では、前回内燃機関16を停止したときの推定バルブ温度Vteを読み込む。
ステップS203では、再始動時における冷却水温度TW,吸気温度TAN(外気温度),吸入空気量Qa,機関回転速度NEを読み込む。
ステップS204では、前回内燃機関16を停止したときの推定バルブ温度Vte、経過時間TMSTP、冷却水温度TW、吸気温度TAN(外気温度)から、内燃機関16の再始動時における推定バルブ温度Vteを求める。
具体的には、フローチャート中に示すように、前回内燃機関16を停止したときからの経過時間TMSTPが長いほど、停止時の推定バルブ温度Vteから低下しているものとして、再始動時のバルブ温度Vteを推定し、更に、経過時間に対する温度低下の特性が外気温度などの影響で変化するので、経過時間による温度低下分を、外気温度や外気温度によって影響されて機関停止中の変化特性が変化する冷却水温TWなどによって補正して、再始動時における推定バルブ温度Vteを求める。
即ち、同じ経過時間であっても、外気温度が低い場合にはより大きな温度低下を推定し、また、冷却水温TWが経過時間に見合う温度低下よりも大きな温度低下を示している場合には、経過時間に対する温度低下代を特定した標準外気温度よりも実際の外気温度が低かったものと判断して、経過時間に対する温度低下よりも大きな温度低下を推定する。
尚、機関16を停止したときの推定バルブ温度Vteのデータが記憶されていない場合には、例えば、始動時の冷却水温TWが、再始動時における推定バルブ温度Vteに一致するものとして、再始動時における推定バルブ温度Vteを設定させることができる。
また、前記経過時間TMSTPが、バルブ温度Vte、外気温度、冷却水温度TWが一致するようになると予測される時間よりも長くなった場合には、外気温度又は冷却水温度TWをバルブ温度Vteに設定することができる。
ステップS205では、内燃機関16を始動してからの経過時間TMSTA(運転継続時間)を読み込み、次のステップS206では、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)を読み込む。
そして、ステップS207では、再始動時における推定バルブ温度Vteを初期値として、前記経過時間TMSTAや基本噴射パルス幅TP(機関負荷)などから、現時点でのバルブ温度Vteを推定する。
即ち、現時点での推定バルブ温度Vteは、再始動時の推定バルブ温度Vteに、始動後の機関16の発熱量を加算し、冷却分を減算して求めることができ、発熱量は、始動からの経過時間TMSTA、冷却水温度TW、機関回転速度NE、吸入空気量Qaなどから推定でき、また、冷却分は、吸気温度TAN、吸入空気量Qa、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)から推定できる。
発熱量は、例えばアイドル運転状態に保持される場合であれば、時間経過と共に積算されることになり、また、機関16が高回転・高負荷運転されることでより多くなる一方、外気温度が低く、吸入空気量Qaが多ければ、それだけ多く吸気バルブ21が冷却されることになるので、再始動時における推定バルブ温度Vteを初期値に、前記経過時間TMSTAや基本噴射パルス幅TP(機関負荷)などから現時点でのバルブ温度Vteを推定する。
図7のフローチャートは、前記目標燃圧TPFUELに実際の燃圧を近づける制御を示すルーチンであり、定時割り込みで実行される。
まず、ステップS301では、目標燃圧TPFUELを読み込み、次のステップS302では、燃圧センサ20で検出された実際の燃圧FUPRを読み込む。
そして、ステップS303では、前記目標燃圧TPFUELと実際の燃圧FUPRとの偏差(制御エラー)に基づく比例・積分・微分動作によって、燃料ポンプ12の通電をデューティ制御するときのデューティ比(オン時間割合)のフィードバック補正分を算出する。
尚、フィードバック補正分は、比例・積分・微分動作によって算出されるものに限定されず、例えば、比例・積分動作や、スライディングモードなどを用いて算出させることができる。
ステップS304では、そのときの機関回転速度NEを読み込み、次のステップS305では、そのときの基本噴射パルス幅TP(機関負荷)を読み込む。
そして、ステップS306では、予め機関回転速度NEと基本噴射パルス幅TP(機関負荷)とに応じて基本デューティ比を記憶したマップを参照し、そのときの機関回転速度NE及び基本噴射パルス幅TP(機関負荷)に対応する基本デューティ比を求める。
ここで、機関回転速度NEが高く、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)が大きいほど、換言すれば、燃料消費量が多いほど、基本デューティ比(基本オン時間割合)を高く設定する。
ステップS307では、前記基本デューティ比にフィードバック補正分を加算した結果を、最終的な制御デューティ比に設定し、該制御デューティ比に基づいて燃料ポンプ12への通電を制御する。
前記制御デューティ比に応じて燃料ポンプ12への通電のオン・オフを制御することで、燃料ポンプ12の平均印加電圧が変化し、燃料ポンプ12の吐出量が変更される。
図8のフローチャートは、図7のフローチャートに示すルーチンに代わって実行される燃圧制御ルーチン、即ち、燃圧制御の別の実施形態を示すルーチンであり、定時割り込みで実行される。
まず、ステップS401では、目標燃圧TPFUELを読み込み、次のステップS402では、燃圧の望ましい応答特性を示す規範モデル(伝達関数)に従って、目標燃圧TPFUELを規範応答の目標燃圧TPFUMOに変換する。
ステップS403では、燃圧センサ20で検出された実際の燃圧FUPRを読み込む。
ステップS404では、規範応答の目標燃圧TPFUMOと前記実際の燃圧FUPRとの偏差(制御エラー)に基づく比例・積分・微分動作によって、燃料ポンプ12の通電をデューティ制御するときのデューティ比(オン時間割合)のフィードバック補正分を算出する。
尚、フィードバック補正分は、比例・積分・微分動作によって算出されるものに限定されず、例えば、比例・積分動作や、スライディングモードなどを用いて算出させることができる。
ステップS405では、規範応答の目標燃圧TPFUMOと、燃料ポンプ12を含む燃料供給系のモデルとに基づいて、前記規範応答の目標燃圧TPFUMOを得るためのフィードフォワード分を算出する。
ステップS406では、前記フィードバック補正分とフィードフォワード分とを加算して、最終的な制御デューティ比に設定し、該制御デューティ比に基づいて燃料ポンプ12への通電を制御する。
図9のフローチャートは、分割噴射の制御ルーチンを示し、定時処理によって実行される。
まず、ステップS501では、燃料噴射パルス幅TIの演算を行う。
具体的には、吸入空気流量Qaと機関回転速度NEとに基づいて、既定の燃圧である場合に適合する基本噴射パルス幅TPを演算し、該基本噴射パルス幅TPを、そのときの燃圧や冷却水温度TWなどに応じて補正することで、前記燃料噴射パルス幅TIが算出される。
本実施形態では、前述のように燃圧が変更され、燃圧が異なると、燃料噴射弁15の単位開弁時間当たりに噴射される燃料量が変化するので、前述のようにそのときの燃圧に応じて燃料噴射パルス幅TIが補正されるようになっている。
ステップS502では、前述のように、バルブ温度Vteなどから設定される分割パルス幅SPITSを読み込む。
ステップS503では、前記燃料噴射パルス幅TIを前記分割パルス幅SPITSで除算して、分割噴射における噴射回数(分割数)を求める。
ここで、前記燃料噴射パルス幅TIを前記分割パルス幅SPITSで除算して余りが発生した場合には、分割数Nに応じた噴射の1つに前記余りを加算して、分割パルス幅SPITS+余りのパルス幅で燃料を噴射させればよく、余りの加算は、分割噴射の前半、より好ましくは初回に対して行わせるとよい。
噴射開始初期ほど、吸気バルブ21の温度が高く、また、噴射開始直後ほど気化時間を長く確保できるため、前述のように、余りの加算を、分割噴射におけるなるべく初期の回に対して行わせることで、分割パルス幅SPITSを超えるパルス幅で噴射させても、気化性能を維持することができる。
ステップS504では、分割パルス幅SPITSと機関回転速度NEとから、分割噴射の周期SPCYL(噴射終了から次の噴射を開始させるまでの時間)を算出する。
ここでは、機関回転速度NEが高いほど、噴射可能時間が短くなることに対応して、機関回転速度NEが高いほど、分割噴射の周期SPCYLが短く設定される。
また、分割パルス幅SPITSが短い場合は、分割噴射による気化の促進が要求される一方、分割噴射の周期SPCYL(噴射間隔)が短いと前回の噴射で傘部21a等に付着した燃料の気化が充分に行われないまま、次の噴射によって燃料が重ねて付着することになってしまう。
そこで、分割パルス幅SPITSが短いほど、分割噴射の周期SPCYL(噴射間隔)を長くして、前回の噴射終了から次の噴射開始までの間で、付着燃料の気化が促進されるようにする。
尚、分割噴射の周期SPCYLを、分割噴射の1回目の噴射から2回目の噴射までの時間として設定し、それ以降の噴射間隔を、前回値×係数(係数>1.0)として、噴射回数が多くなるほど噴射間隔を長くするようにしてもよい。
これは、噴射を重ねる毎に燃料が付着する部分の温度が低下し、気化性能が低下するため、噴射間隔を長くし、気化時間や温度復活時間の確保を図るためである。
ステップS505では、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)に応じて燃料噴射タイミングITを設定する。
燃料噴射タイミングITは、アイドル運転を含む低負荷領域では、図10(A)に示すように、吸気バルブ21の開時期IVOよりも進んだ位置で燃料噴射が完了し、噴射完了から吸気バルブ21が開くまでの時間、換言すれば、付着燃料を気化させるのに費やすことができる時間を長くする。
一方、全開を含む高負荷領域では、前述のように、筒内で燃料を気化させて、充填効率の増大や耐ノック性の向上を図ることが好ましく、吸気バルブ21の開弁前に噴射させたのでは筒内に吸引される前に燃料が気化してしまうので、図10(C)に示すように、吸気行程中(吸気バルブ21の開弁中)に燃料噴射を開始させかつ終了させ、噴射された燃料がポート内で気化する前に筒内に導入されて、筒内で気化するようにする。
また、前記低負荷及び高負荷領域で挟まれる中負荷域では、図10(B)に示すように、吸気バルブ21の開時期IVOで燃料噴射が終了するようにして、開時期IVO前での気化促進を図りつつ、噴射完了に同期して吸気行程が開始されることで、気化燃料を一挙に筒内に導入して混合気の均質化を図る。
ステップS505で、前述のように、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)に応じて燃料噴射タイミングITを設定すると、次のステップS506では、噴射タイミングITでの噴射を実現するために、分割噴射個々の噴射パルス幅や分割噴射の周期SPCYL(噴射間隔)を補正する。
具体的には、噴射開始時期から噴射終了時期までの間の噴射可能時間内で分割噴射が完了しない場合には、分割パルス幅の増大補正(分割数の減少補正)及び/又は噴射周期SPCYLの短縮補正によって、前記噴射可能時間内で分割噴射が完了するように修正する。
尚、燃圧の調整方法として、燃料ポンプ12の吐出量を変化させる方法の他、燃料供給配管13から燃料タンク11内の戻す燃料量(リターン燃料量)を制御する方法があり、更に、吐出量の調整とリターン燃料量の調整とを組み合わせて燃圧を制御することができる。
また、分割噴射を行わずに、燃圧(燃料噴霧の流速)と噴霧角度(燃料付着面積)とをバルブ温度Vteに応じて変更させることができる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)請求項5記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記噴射制御手段が、前記温度検知手段で検出又は推定された温度が低いほど目標噴霧角度を広く設定し、前記目標噴霧角度が広いほど、燃料供給圧の目標値を低く設定する内燃機関の燃料噴射制御装置。
上記発明によると、温度が低いほど目標噴霧角度を広く設定して、燃料の付着面積を広くする一方、目標噴霧角度が広いほど燃料供給圧の目標値を低く設定することで、目標噴霧角度の噴霧を形成させ、かつ、燃料供給圧の低下による噴霧流速の低下を図る。
(ロ)請求項1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記噴射制御手段が、前記温度検知手段で検出又は推定された温度が低く、機関負荷が高いほど、前記燃料噴射弁に対する燃料供給圧力を低くする内燃機関の燃料噴射制御装置。
上記発明によると、機関負荷が大きいと、それだけ単位面積当たりの付着量が増えることになって、燃料噴霧の気化性能が低下してしまうので、機関負荷が大きい場合にはより燃圧を低くして、燃料を薄く付着させる状態を維持して、気化性能の低下を抑制する。
(ハ)請求項1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記噴射制御手段が、前記温度検知手段で検出又は推定された温度に応じた燃料供給圧の制御を、前記温度検知手段で検出又は推定された温度の低温領域で行う内燃機関の燃料噴射制御装置。
上記発明によると、吸気バルブに付着した燃料の気化が良好に行われる高温領域では、温度に応じた燃料供給圧の変更は不要であり、吸気バルブに付着した燃料の気化が良好に行われない低温領域において、バルブ温度に応じて燃料供給圧(燃料噴霧の流速)を制御して、気化性能の改善を図る。
(ロ)請求項(ハ)記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記噴射制御手段が、前記温度検知手段で検出又は推定された温度が前記低温領域を除く高温領域である場合に、機関負荷及び機関回転速度に応じて燃料供給圧を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置。
上記発明によると、バルブ温度が上昇してからも、機関負荷及び機関回転速度による気化性能の違いに応じて、燃料供給圧を変化させて、気化性能の改善を図る。
(ニ)
吸気バルブ上流側の吸気通路内に燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた内燃機関に適用される燃料噴射制御装置であって、
前記吸気バルブの温度又は前記吸気バルブの温度に相関する温度を検出又は推定する温度検知手段と、
前記温度検知手段で検出又は推定された温度が低いほど、前記燃料噴射弁の噴霧角度を広くし、かつ、前記燃料噴射弁の燃料噴霧の流速を遅くする噴射制御手段と、
を含む内燃機関の燃料噴射制御装置。
上記発明によると、吸気バルブの温度が低い場合に、噴霧角度を広くして燃料の付着面積を広くし、かつ、噴霧流速を遅くすることで燃料噴霧の貫通力を弱め、これにより、吸気通路内に浮遊する燃料を発生させて吸気バルブなどへの燃料の付着量を減らし、燃料の気化性能を改善する。
1…燃料タンク、12…燃料ポンプ、13…燃料供給配管、14…燃料ギャラリーパイプ、15…燃料噴射弁、16…内燃機関、17…吸気ポート、20…燃圧センサ、22…燃圧制御コントローラ、23…ECM(エンジン・コントロール・モジュール)、24…水温センサ、25…吸気温センサ、26…エアフローセンサ、27…回転センサ

Claims (5)

  1. 吸気バルブ上流側の吸気通路内に燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた内燃機関に適用される燃料噴射制御装置であって、
    前記吸気バルブの温度又は前記吸気バルブの温度に相関する温度を検出又は推定する温度検知手段と、
    前記温度検知手段で検出又は推定された温度が低く、機関負荷が高いほど、前記燃料噴射弁に対する燃料供給圧力を低くする噴射制御手段と、
    を含む内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 吸気バルブ上流側の吸気通路内に燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた内燃機関に適用される燃料噴射制御装置であって、
    前記吸気バルブの温度又は前記吸気バルブの温度に相関する温度を検出又は推定する温度検知手段と、
    前記温度が低く、機関負荷が高いほど、前記燃料噴射弁に対する燃料供給圧力を低くしかつ前記燃料噴射弁の噴霧角度を広げる噴射制御手段と、
    を含む内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 吸気バルブ上流側の吸気通路内に燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた内燃機関に適用される燃料噴射制御装置であって、
    前記吸気バルブの温度又は前記吸気バルブの温度に相関する温度を検出又は推定する温度検知手段と、
    前記温度検知手段で検出又は推定された温度が低く、機関負荷が高いほど、前記燃料噴射弁に対する燃料供給圧力を低くしかつ前記燃料噴射弁の噴霧角度を広げると共に、前記燃料噴射弁による燃料噴射をより多くの回数に分けて分割噴射させる噴射制御手段と、
    を含む内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記噴射制御手段が、前記温度検知手段で検出又は推定された温度が低く、機関負荷が高いほど前記分割噴射の個々の噴射パルス幅をより小さく設定して、前記噴射パルス幅に基づいて分割噴射を行わせる請求項3記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 前記燃料噴射弁が、燃料供給圧が低いほど噴霧角度が広がる燃料噴射弁であり、
    前記噴射制御手段が、前記温度検知手段で検出又は推定された温度が低く、機関負荷が高いほど前記燃料供給圧を低下させることで前記燃料噴射弁の噴霧角度を広げる請求項2〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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