JP4983742B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、吸気ポートに配置された燃料噴射弁から燃料を噴射して燃焼室に供給するポート噴射式の内燃機関であって、少なくとも吸気バルブの作動タイミングを変更するためのバルブタイミング可変装置が設けられた内燃機関に適用される内燃機関の制御装置に関するものである。
各気筒の吸気ポートに配置された燃料噴射弁から燃料を噴射して燃焼室に供給する、いわゆるポート噴射式の内燃機関の中には、排気行程で吸気バルブが開弁されるとともに燃料を噴射されるものがある。
このタイプの内燃機関では、吸気バルブの開き始めに、筒内圧の高い気筒から既燃ガスが吸気ポート側へ逆流し、燃料噴射弁から噴射された燃料が吸気上流側へ吹き戻される。この吹き戻しにより、吸気ポートに付着する燃料の面積及び量が、既燃ガスの逆流のない場合よりも多くなる。これに伴い、燃焼室内に供給される燃料の量が、既燃ガスの逆流のない場合よりも一時的に少なくなる。その結果、空燃比が一時的にリーンとなり、加速時に機関出力が一瞬遅れる現象(ヘジテーション)を引き起こしたり、過渡運転時に空燃比が荒れてエミッションの悪化を引き起こしたりするおそれがある。
これに対しては、燃料の噴射期間が吸気上死点付近にあるときに、逆流する既燃ガスと燃料噴射弁から噴射されて吸気ポートを浮遊する燃料とが干渉しないように、吸気バルブの目標バルブタイミングを変更したり、燃料の目標噴射時期を変更したりすることが考えられている。例えば、特許文献1では、目標噴射時期(噴射終了時期)が吸気バルブの開弁時期よりも遅い場合に、同開弁時期が同噴射終了時期に一致するように、吸気バルブの目標バルブタイミングを遅角補正するようにしている。また、特許文献2では、既燃ガスの逆流が終了する時期を検出又は推定し、この時期を目標噴射時期の噴射開始時期として燃料を噴射するようにしている。いずれの場合も、燃料が既燃ガスの逆流の影響を受けにくくなり(燃料と既燃ガスとの干渉が起こりにくくなり)、燃料の吸気ポートへの付着が抑制される。
特開2003−83123号公報 特開2003−83126号公報
ところが、上記特許文献1及び特許文献2では、吸気バルブの目標バルブタイミング及び目標噴射時期のいずれか一方のみを変更するにとどまっている。そのため、既燃ガスと燃料との干渉を抑制するにも限度があり、吸気ポートへの燃料付着を充分抑制することが難しい。なお、目標バルブタイミング及び目標噴射時期の両方を変更することも考えられる。しかし、単に既燃ガスと燃料との干渉抑制の観点のみから各変更量を設定すると、逆流による燃料付着を抑制できるものの、内燃機関に要求される要求特性、例えば、燃料消費特性(燃費特性)、排気特性等を満たせないおそれがある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、逆流する既燃ガスと燃料との干渉に起因する吸気ポートへの燃料付着を確実に抑制しつつ、内燃機関に対する要求特性を満たすことのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の吸気ポートに配置された燃料噴射弁を、前記内燃機関の運転状態に応じて設定した目標噴射時期に基づいて作動させて燃料を吸気下流側へ噴射させる噴射制御手段と、前記内燃機関の吸気バルブを、前記内燃機関の運転状態に応じて設定した目標バルブタイミングに基づいて作動させて、前記吸気ポート及び燃焼室間を開閉させるバルブタイミング制御手段とを備える内燃機関の制御装置において、前記燃料噴射弁から噴射された燃料が前記吸気ポート内を浮遊する浮遊期間と、吸気バルブの開弁に伴い前記燃焼室内の既燃ガスが前記吸気ポートへ逆流する逆流期間との重なり期間があるときには、前記目標噴射時期及び前記目標バルブタイミングを、前記重なり期間が短くなる側へそれぞれ変更する変更手段をさらに備え、前記変更手段は、前記目標噴射時期及び前記目標バルブタイミングの各変更量の全変更量に占める割合が、前記内燃機関に対する要求特性を実現するための割合となり、且つ前記目標噴射時期の変更量の前記全変更量に占める割合が、前記目標バルブタイミングの変更量の前記全変更量に占める割合よりも大きくなるように、前記目標噴射時期及び前記目標バルブタイミングをそれぞれ変更することを要旨とする。
燃料噴射弁から噴射された燃料が吸気ポート内で浮遊しているときに、吸気バルブが開弁されて、燃焼室内の既燃ガスが吸気ポートへ逆流すると、燃料が既燃ガスによって吹き戻されて吸気ポートに付着する現象が起り得る。この現象は、表現を変えると、燃料噴射弁から噴射された燃料が吸気ポート内を浮遊する浮遊期間と、吸気バルブの開弁に伴い燃焼室内の既燃ガスが吸気ポートへ逆流する逆流期間とが重なるときに起り得る。逆に、浮遊期間と逆流期間との重なり期間がなければ上記現象が起こらず、同重なり期間が短くなるに従い起こりにくくなる。上記浮遊期間が目標噴射時期に応じて変化すること、及び上記逆流期間が吸気バルブの目標バルブタイミングに応じて変化することから、重なり期間は、目標噴射時期と吸気バルブの目標バルブタイミングとに応じて変化する。
この点、請求項1に記載の発明では、浮遊期間と逆流期間との重なり期間があるときに、目標噴射時期及び吸気バルブの目標バルブタイミングが、重なり期間を短くする側へ変更される。この変更により重なり期間が小さくなるに従い、燃料と既燃ガスとの干渉が起こりにくくなって、同燃料が吹き戻されて吸気ポートに付着する現象が抑制される。また、目標噴射時期及び吸気バルブの目標バルブタイミングの両方を変更することから、一方のみを変更する場合に比べ、重なり期間をより確実に短くして、燃料と既燃ガスとの干渉を起こりにくくし、もって吸気ポートへの燃料付着を確実に抑制することができる。
また、上記のように目標噴射時期及び目標バルブタイミングの両方を変更する場合において、各変更量の全変更量に占める割合によっては、内燃機関に要求される特性(要求特性)、例えば燃料消費特性、排気特性等を実現できることがある。
この点、請求項1に記載の発明では、目標噴射時期及び目標バルブタイミングの各変更量の全変更量に占める割合が、内燃機関に対する要求特性を実現するための割合となるように、目標噴射時期及び目標バルブタイミングがそれぞれ変更される。従って、これらの変更により、上記吸気ポートへの燃料付着抑制に加え、要求特性の種類に拘わらず、そのときの要求特性を満たすことも可能となる。
一般に、吸気バルブの目標バルブタイミングを変更した場合に内燃機関の運転状態、例えば機関出力、に及ぼす影響は、燃料の目標噴射時期を変更した場合に内燃機関の運転状態に及ぼす影響よりも大きいと考えられる。このため、請求項1に記載の発明によるように、目標噴射時期の変更量の全変更量に占める割合が、目標バルブタイミングの変更量の全変更量に占める割合よりも大きくなるように、目標噴射時期及び目標バルブタイミングをそれぞれ変更することで、それらの変更が内燃機関の運転状態に及ぼす影響を小さくしつつ、上記効果を得ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記変更手段は、前記目標噴射時期及び前記目標バルブタイミングの変更により前記重なり期間をなくすものであることを要旨とする。
上記の構成によれば、目標噴射時期及び目標バルブタイミングの変更によって、重なり期間がなくなることで、浮遊する燃料と逆流する既燃ガスとの干渉が生じなくなり、逆流に起因する吸気ポートへの燃料付着が起こらなくなる。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記変更手段は、前記要求特性として前記内燃機関の排気特性が燃料消費特性よりも重視されるときには、前記目標バルブタイミングの変更量の前記全変更量に占める割合が、前記要求特性として前記燃料消費特性が前記排気特性よりも重視されるときに比べて大きくなるように、前記目標噴射時期及び前記目標バルブタイミングをそれぞれ変更することを要旨とする。
ここで、内燃機関に対する要求特性として燃料消費特性が重視されるときには、もともと吸気バルブの開弁時期を早め、排気バルブとのバルブオーバラップをやや大きくして、ポンピングロスを減らすような目標バルブタイミングの設定がなされている。こうした状況下で、目標バルブタイミングを大きく変更することは、燃料消費特性に大きな影響を及ぼして悪化させるおそれがあるため好ましくない。一方、要求特性として排気特性が重視されるときに、目標噴射時期を大きく変更することは、空燃比を荒らして排気特性に大きな影響を及ぼすおそれがあるため好ましくない。
従って、目標バルブタイミングの変更量の全変更量に占める割合が請求項に記載の発明における上記の条件を満たすように目標噴射時期及び目標バルブタイミングがそれぞれ変更されることにより、要求特性として排気特性が燃料消費特性よりも重視される場合にも、燃料消費特性が排気特性よりも重視される場合にも、そのときどきの要求特性を満たすことができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
車両には、内燃機関が搭載されている。本実施形態では、この内燃機関として、図1に示すようにポート噴射式のガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)11が用いられている。エンジン11は、複数の気筒(シリンダ)12を有するシリンダブロック10Aと、その上に取付けられたシリンダヘッド10B(二点鎖線参照)とを備えている。なお、図1では、シリンダヘッド10Bの一部のみが示されている。各気筒12にはピストン13が往復動可能に収容されている。
気筒12毎の燃焼室14には吸気通路18が接続されている。吸気通路18の最下流部分は、シリンダヘッド10Bに形成された吸気ポート20によって構成されている。エンジン11の外部の空気は、吸気通路18の各部を順に通過して燃焼室14に吸入される。吸気通路18の途中には、電動モータ等からなるアクチュエータ19によって駆動されるスロットルバルブ15が設けられている。アクチュエータ19は、運転者によるアクセルペダル21の踏込み操作等に応じて作動し、スロットルバルブ15を回動させる。吸気通路18を流れる空気の量(吸入空気量)は、スロットルバルブ15の回動角度(スロットル開度)に応じて変化する。
また、燃焼室14には排気通路24が接続されており、燃焼室14で生じた燃焼ガスは排気として、排気通路24を通ってエンジン11の外部へ排出される。排気通路24には、排気を浄化するための触媒コンバータ23が設けられている。
エンジン11には、吸気通路18(吸気ポート20)の各気筒12における開口部(吸気ポート20の下流端20A)を開閉する吸気バルブ25と、排気通路24の各気筒12における開口部を開閉する排気バルブ26とが設けられている。これらの吸・排気バルブ25,26はいずれもバルブスプリング27によって、上記開口部を閉じる方向(閉弁方向)である上方へ常に付勢されている。
吸気バルブ25の略上方には吸気カムシャフト28が設けられ、また排気バルブ26の略上方には排気カムシャフト29が設けられている。これらの吸・排気カムシャフト28,29には、エンジン11の出力軸(機関出力軸)であるクランクシャフト31の回転が伝達される。この伝達により吸・排気カムシャフト28,29が回転し、各バルブスプリング27に抗して吸・排気バルブ25,26を押下げる。これらの押下げにより、吸・排気通路18,24の気筒12における各開口部が開放される。
シリンダヘッド10Bの吸気ポート20には、電磁式の燃料噴射弁32が各気筒12に対応して取付けられている。各燃料噴射弁32には所定圧の燃料が供給されている。そして、各燃料噴射弁32は通電により開弁されると、吸気下流側(吸気バルブ25側)へ燃料を噴射する。各燃料噴射弁32から噴射された燃料は、吸気ポート20を飛行(浮遊)し、吸入空気とともに燃焼室14に供給される。
エンジン11には、点火プラグ33が気筒12毎に取付けられている。各点火プラグ33は、イグナイタ34からの点火信号に基づいて作動する。点火プラグ33には、点火コイル35から出力される高電圧が印加される。そして、上記燃料と吸入空気との混合気は点火プラグ33の火花放電によって着火され、燃焼する。このときに生じた高温高圧の燃焼ガスによりピストン13が往復動される。ピストン13の往復運動は、コネクティングロッド36によって回転運動に変換された後、クランクシャフト31に伝達される。この伝達によりクランクシャフト31が回転されて、エンジン11の駆動力(出力トルク)が得られる。
上記エンジン11では、空気が燃焼室14内に吸入されて燃焼ガスが排出されるまでの期間、すなわち1サイクルの間に、ピストン13が2往復してクランクシャフト31が2回転する。このサイクルは、周知のように、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程の4つの行程からなる(図7及び図8参照)。各行程では、基本的には次のような動作が行われる。
吸気行程では、排気バルブ26が閉弁されるとともに吸気バルブ25が開弁される。ピストン13の下降に伴う燃焼室14内の圧力(筒内圧)の低下によって、吸気通路18内の空気と燃料噴射弁32から噴射された燃料とが混ざり合った状態で燃焼室14内に吸入される。圧縮行程では、排気バルブ26に加えて吸気バルブ25が閉弁される。このため、ピストン13の上昇に伴って筒内圧が上昇し、混合気が昇圧、昇温される。
膨張行程では、点火プラグ33により点火が行われ、上記混合気が着火、燃焼される。この燃焼によってピストン13には下向きの力が付与され、同ピストン13が下降運動する。排気行程では排気バルブ26が開弁される。このため、燃焼室14内で発生した排気がピストン13の上昇に伴い排気通路24へ排出される。
エンジン11には、吸気側及び排気側の各バルブタイミング可変装置(VVT)37,38が設けられている。吸気側のバルブタイミング可変装置37は、クランクシャフト31に対する吸気カムシャフト28の相対回転位相を変化させることにより、吸気バルブ25のバルブタイミング(開閉タイミング)を、所定の範囲内でクランク角に対して連続的に調整するための機構である。また、排気側のバルブタイミング可変装置38は、クランクシャフト31に対する排気カムシャフト29の相対回転位相を変化させることにより、排気バルブ26のバルブタイミングを、所定の範囲内でクランク角に対して連続的に調整するための機構である。なお、クランク角はクランクシャフト31の回転角であり、°CA(CAはcrank angle の略称)にて表記される。
吸気バルブ25のバルブタイミングは、例えば、図2に示すように吸気バルブ25の開弁時期IVO及び閉弁時期IVCで表すことができる。吸気バルブ25のバルブタイミングは、吸気バルブ25の開弁期間(開弁時期IVOから閉弁時期IVCまでの期間)が一定に保持された状態で進角又は遅角させられる。また、排気バルブ26のバルブタイミングは、例えば、図2に示すように排気バルブ26の開弁時期EVO及び閉弁時期EVCで表すことができる。排気バルブ26のバルブタイミングは、排気バルブ26の開弁期間(開弁時期EVOから閉弁時期EVCまでの期間)が一定に保持された状態で進角又は遅角させられる。
そして、吸・排気バルブ25,26の少なくとも一方のバルブタイミングが変更(進角又は遅角)されると、吸・排気バルブ25,26がともに開弁している期間(開弁時期IVOから閉弁時期EVCまでの期間)、すなわち両バルブ25,26の開弁期間についてのオーバラップ(バルブオーバラップ)が変化する。
さらに、図1に示すように、車両には、エンジン11の運転状態や運転環境を検出するセンサが種々取付けられている。これらのセンサには、クランク角センサ41、吸気側カム角センサ42、排気側カム角センサ43、水温センサ44、エアフロメータ45、スロットルセンサ46及びアクセルセンサ47が含まれている。
クランク角センサ41は、クランクシャフト31が一定角度回転する毎にパルス状の信号を発生する。この信号は、クランクシャフト31の回転角度であるクランク角や、単位時間当りのクランクシャフト31の回転数であるエンジン回転速度(機関回転速度)NEの算出等に用いられる。吸気側カム角センサ42は、吸気カムシャフト28の回転角度(カム角)を検出し、排気側カム角センサ43は、排気カムシャフト29の回転角度(カム角)を検出する。水温センサ44は、エンジン11の内部を流れるエンジン冷却水の温度(エンジン水温)を、エンジン11の温度(機関温度)の相当値として検出する。エアフロメータ45は、吸気通路18を流れる空気の量(吸入空気量)を検出し、スロットルセンサ46はスロットル開度を検出し、アクセルセンサ47は運転者によるアクセルペダル21の踏込み量を検出する。
車両には、前記各種センサ41〜47の信号に基づいて、エンジン11等の各部を制御する電子制御装置51が設けられている。電子制御装置51はマイクロコンピュータを中心として構成されており、中央処理装置(CPU)が、読出し専用メモリ(ROM)に記憶されている制御プログラム、初期データ、制御マップ等に従って演算処理を行い、その演算結果に基づいて各種制御を実行する。CPUによる演算結果は、ランダムアクセスメモリ(RAM)において一時的に記憶される。
電子制御装置51による制御の1つに、吸・排気バルブ25,26の各バルブタイミング制御がある。例えば、吸気バルブ25のバルブタイミング制御では、電子制御装置51は、その時々のエンジン11の運転状態に基づき、吸気バルブ25のバルブタイミングについての制御目標として目標バルブタイミングを設定する。そして、クランク角センサ41及び吸気側カム角センサ42の各検出結果に基づき把握される吸気バルブ25の実際のバルブタイミングが上記目標バルブタイミングとなるように、吸気側のバルブタイミング可変装置37を制御する。この制御により、吸気バルブ25がエンジン11の運転状態に適したタイミングにて作動し、吸気ポート20の下流端20A及び燃焼室14間が開閉される。なお、上記電子制御装置51による上記吸気バルブ25の目標バルブタイミングの設定から作動までの一連の制御に係る処理は、特許請求の範囲における「バルブタイミング制御手段」に該当する。また、説明は省略するが、排気バルブ26のバルブタイミング制御も、上記吸気バルブ25のバルブタイミング制御と同様にして行われる。
また、電子制御装置51は、各燃料噴射弁32に対する通電を制御することで、同燃料噴射弁32からの燃料噴射を制御する。この燃料噴射制御では、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷といったエンジン11の運転状態に基づき、混合気の空燃比を所定の値、例えば理論空燃比(ストイキ)とするための燃料噴射量を基本噴射量(基本噴射時間)として算出する。ここで、空燃比とは、混合気中の空気と燃料との重量比であり、理論空燃比とは、燃料を完全に酸化させるのに必要な酸素量を過不足なく含んだ混合気の空燃比値である。また、エンジン負荷は、例えばエンジン11の吸入空気量、又はそれに関係するパラメータ(例えば、スロットル開度、アクセル踏込み量等)に基づき求められる。そして、上記基本噴射量に各種補正を加えて目標噴射量を算出する。
また、上記のようにして算出した目標噴射量とそのときのエンジン回転速度NEとに基づき、燃料の目標噴射時期及び目標噴射期間を算出する。本実施形態では、目標となる噴射開始時期を目標噴射時期としている。そして、算出した目標噴射時期になると燃料噴射弁32に対する通電を開始し、上記目標噴射期間が経過するまで通電を継続する。目標噴射時期から目標噴射期間が経過した時点で上記燃料噴射弁32に対する通電を停止する。なお、上記電子制御装置51による上記燃料噴射制御に係る処理は、特許請求の範囲における「噴射制御手段」に該当する。
ここで、吸気バルブ25の目標バルブタイミング及び燃料の目標噴射時期によっては、吸気バルブ25の開き始めから所定の期間にわたり、図3に示すように、筒内圧の高い気筒12から既燃ガスGが吸気ポート20側へ逆流し、燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気上流側へ吹き戻される場合がある。この吹き戻しにより、吸気ポート20に付着する燃料Fの面積及び量が、既燃ガスGの逆流のない場合よりも多くなる。これに伴い、燃焼室14内に供給される燃料量が、既燃ガスGの逆流のない場合よりも一時的に少なくなって、空燃比が一時的にリーンになるおそれがある。
既燃ガスGの逆流によって燃料が吹き戻されて吸気ポート20に付着する上記現象は、燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気ポート20内で浮遊(飛行)しているときに、吸気バルブ25が開弁されて燃焼室14内の既燃ガスGが吸気ポート20へ逆流する場合に起り得る。表現を変えると、上記現象は、図7に示すように、燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気ポート20内を浮遊する期間(以下「浮遊期間T2」という)と、吸気バルブ25の開弁に伴い燃焼室14内の既燃ガスGが吸気ポート20へ逆流する期間(以下「逆流期間T1」という)とが重なるときに起り得る。このように、浮遊期間T2と逆流期間T1とが重なる期間を、以下「重なり期間TOL」というものとする。ちなみに、図7では、逆流期間T1の全部が重なり期間TOLに含まれており、重なり期間TOLは逆流期間T1と一致する。そして、吸気ポート20に付着する燃料Fの量は、重なり期間TOLが長いときには短いときよりも多くなる。
なお、図7における「燃料噴射タイミング」として、横長の長方形で示される区間は、燃料噴射弁32から実際に燃料が噴射される期間を示している。同期間の始期は前述した目標噴射時期に対応し、同区間は目標噴射期間に対応している。また、図7における「吸気バルブのバルブタイミング」として横長の長方形で示される区間は、吸気バルブ25が開弁している期間を示している。同期間のクランク角に対する回転位相は、前述した目標バルブタイミングに対応している。
本実施形態では、上記重なり期間TOLがあるときには、同図7において矢印A及び矢印Bで示すように、燃料の目標噴射時期及び吸気バルブ25の目標バルブタイミングを、重なり期間TOLが短くなる側へ変更することで、上記燃料の付着現象を抑制するようにしている。ここでの目標噴射時期の変更は、目標噴射期間を伸縮しないでクランク角に対する同目標噴射期間の回転位相を早める側へ変更(進角)することを意味する。また、目標バルブタイミングの変更は、吸気バルブ25の開弁期間を伸縮しないで、クランク角に対する同開弁期間の回転位相を遅らす側へ変更(遅角)することを意味する。そして、上記の両変更により、本実施形態では、図8に示すように重なり期間TOLのない状態とされる。
なお、電子制御装置51による上記目標噴射時期及び目標バルブタイミングの変更に係る処理は、特許請求の範囲における「変更手段」に該当する。
図4のフローチャートは、上記逆流による燃料の吸気ポート20への付着を抑制するためのルーチンを示している。この燃料付着抑制ルーチンは、所定のタイミング、例えば一定時間毎、一定クランク角毎等に繰り返し実行される。
電子制御装置51は、まずステップ110において、吸気ポート20における流体の流れ方向が、燃焼室14から吸気上流側へ向かう方向(以下「逆流方向」という)であるか、吸気ポート20から燃焼室14に向かう方向(以下「順流方向」という)であるかを判定する。ここでの流体は、順流方向である場合には空気及び燃料の混合気を指し、逆流方向である場合には既燃ガスGを指す。ここで、既燃ガスGの逆流期間T1について、その開始時期と終了時期とが判れば、上記流体の流れ方向を把握することができる。逆流期間T1であれば、流体の流れ方向は逆流方向となるし、逆流期間T1から外れていれば流体の流れ方向は順流方向となる。
既燃ガスGの逆流は、排気行程においてピストン13が上昇していて筒内圧が高くなっていて、吸気バルブ25が開いているときに起こり得る。従って、図7及び図8に示すように、逆流期間T1の開始時期は、排気行程の途中で吸気バルブ25が開き始めたときである。また、逆流期間T1の終了時期はピストン13が最も高い位置(上死点TDC)まで上昇したときである。
これらのことから、ステップ110では、吸気バルブ25の開弁時期及び上死点TDCから、逆流期間T1の開始時期及び終了時期を推定する。また、現在のタイミング(クランク角)が、吸気バルブ25の開弁時期(逆流期間T1の開始時期)以後であり、かつ上死点TDC(逆流期間T1の終了時期)以前であるかどうか、つまり逆流期間T1にあるかどうかを判定する。
上記ステップ110の判定条件が満たされていない(流体の流れ方向が順流方向である)と、逆流による燃料の吹き戻しがなく、吸気ポート20に付着する燃料Fの量が増加することがなく、目標噴射時期及び目標バルブタイミングを変更する必要がないことから、この燃料付着抑制ルーチンを終了する。これに対し、上記ステップ110の判定条件が満たされている(流体の流れ方向が逆流方向である)と、逆流する既燃ガスGによって燃料が吹き戻されて吸気ポート20に付着する可能性があることから、次のステップ120へ移行する。
ステップ120では、既燃ガスGの上記逆流期間T1と、燃料が吸気ポート20を浮遊する期間(浮遊期間T2)とが重なっているかどうかを判定する。上記浮遊期間T2に既燃ガスGが逆流すれば、すなわち、逆流期間T1と浮遊期間T2とが重なる期間(重なり期間TOL)があれば、同燃料が吹き戻されて吸気ポート20に付着する可能性が高いからである。
既燃ガスGの逆流期間T1については、前述したとおりである。また、上述したように、燃料噴射弁32からはある程度の期間(目標噴射期間)をもって燃料が噴射される。噴射された燃料が吸気ポート20を浮遊する最も早いタイミングは、燃料が最初に燃料噴射弁32から噴射されるタイミング、すなわち噴射開始時期である。また、噴射された燃料が吸気ポート20を浮遊する最も遅いタイミングは、燃料噴射弁32が燃料噴射を終了する直前に噴射された燃料が吸気ポート20の下流端20Aに到達するタイミングである。なお、吸気ポート20の下流端20Aから、開弁時の吸気バルブ25の傘部までの距離は、燃料噴射弁32の噴孔から吸気ポート20の下流端20Aまでの距離に比べると小さい。そのため、燃料噴射弁32が燃料噴射を終了する直前に噴射された燃料が吸気バルブ25の傘部に到達するタイミングを、燃料が吸気ポート20を浮遊する最も遅いタイミングとしても差し支えない。
そして、上記の観点から、閉じていた燃料噴射弁32が開いて燃料を噴射し始めるタイミングから、噴射終了直前に噴射された燃料(最後に噴射された燃料)が吸気ポート20の下流端20Aに到達するタイミングまでの期間を、燃料が吸気ポート20で浮遊する上記浮遊期間T2とする。この浮遊期間T2の算出に際しては、燃料噴射弁32に供給される燃料の圧力、吸気ポート20内の圧力及びエンジン回転速度NEを考慮することが望ましい。
ここで、燃料の圧力を考慮する理由は、1つには、燃料の圧力に応じて燃料噴射弁32からの燃料の噴射速度(噴射の勢い)が異なり、燃料が吸気ポート20の下流端20Aに到達するまでの時間(到達時間)が異なるからである。具体的には、燃料の圧力が高くなるに従い噴射速度が高くなり、到達時間が短くなる。そのほかの理由として、燃料の圧力に応じて燃料の噴射時間が異なり、最後に噴射された燃料が吸気ポート20の下流端20Aに到達するタイミングが異なることも挙げられる。具体的には、燃料の圧力が高くなるに従い、燃料の噴射時間が短くなり、最後に噴射された燃料が早く吸気ポート20の下流端20Aに到達するようになる。そのため、燃料の圧力が高くなるに従い、浮遊期間T2として短い値を算出することが望ましい。
また、吸気ポート20内の圧力を考慮する理由は、これが、燃料噴射弁32からの燃料の噴射速度に影響を及ぼすからである。より詳しくは、燃料の噴射の圧力と、吸気ポート20内の圧力との差圧に応じて燃料の噴射速度(噴射の勢い)が異なり、上記到達時間が異なるからである。具体的には、吸気ポート20内の圧力が高くなるに従い燃料の噴射の速度が低く(噴射の勢いが弱く)なり、噴射された燃料が遅く吸気ポート20の下流端20Aに到達する。そのため、吸気ポート20の圧力が高くなるに従い、浮遊期間T2として長い値を算出することが望ましい。
なお、吸気ポート20内の圧力と吸入空気量との間には相関関係がある。例えば、吸気ポート20内の圧力が低ければ吸入空気量は少なく、吸気ポート20内の圧力が大気圧に近ければ吸入空気量が多くなる。そのため、浮遊期間T2の算出に際し、吸気ポート20内の圧力に代えて吸入空気量を考慮してもよい。
さらに、エンジン回転速度NEを考慮する理由は、エンジン回転速度NEに応じて燃料の噴射時間が異なり、上記と同様、最後に噴射された燃料が吸気ポート20の下流端20Aに到達するタイミングが異なって、浮遊期間T2が異なってくるからである。
そして、上記ステップ120の判定条件が満たされていないと、既燃ガスGが逆流する期間であるが、浮遊期間T2と重なっておらず、逆流によって燃料が吹き戻されて吸気ポート20に付着する現象が起こらないと考えられることから、燃料付着抑制ルーチンを終了する。この場合には、目標噴射時期及び目標バルブタイミングの変更は行われない。これに対し、上記ステップ120の判定条件が満たされていると、逆流期間T1と浮遊期間T2とが重なっており、逆流により燃料が吸気ポート20に付着する可能性が高いと考えられることから、次のステップ130へ移行する。
ステップ130では、吸気ポート20での既燃ガスGの逆流強さを算出する。ここで、逆流強さとエンジン負荷との間には相関関係が見られる。逆流強さは、エンジン負荷が大きくなるに従い低下する傾向にある。これは、エンジン負荷が大きくなるに従い、筒内圧と吸気ポート20内の圧力との差圧が小さくなるからである。また、逆流強さとエンジン回転速度NEとの間にも相関関係が見られる。逆流強さは、エンジン回転速度NEが高くなるに従い低下する傾向にある。これは、逆流強さを、既燃ガスGが逆流する量で表すことができるものとすると、エンジン回転速度NEの上昇に伴い逆流時間が短くなり、既燃ガスGの逆流する量が少なくなる(逆流強さが弱くなる)からである。
そこで、本実施形態では、上述した傾向を考慮して、エンジン負荷及びエンジン回転速度NEに対する逆流強さを規定した制御マップが予め作成されている。図5は、この制御マップのマップ構造を示している。この制御マップでは、エンジン回転速度NE一定のもと、エンジン負荷が小さいときには逆流強さが強く、エンジン負荷が大きくなるに従い逆流強さが弱くなる設定がなされている。また、同制御マップでは、エンジン負荷一定のもと、エンジン回転速度NEが低いときには逆流強さが強く、エンジン回転速度NEが高くなるに従い逆流強さが弱くなる設定がなされている。そして、ステップ130では、そのときのエンジン負荷及びエンジン回転速度NEに対応する逆流強さを上記制御マップから割り出す。
ここで、重なり期間TOLが同じであっても、逆流強さに応じて、その逆流強さが燃料の付着量の増加に及ぼす影響が異なり、逆流強さが弱い領域では、付着量の増加に及ぼす影響が無視できるほど小さくなる。このときには、逆流による付着量の増量が少ないため、上記重なり期間TOLを短くする処理を行っても、それにより得られる効果が少ない。そこで、ステップ130では、上記逆流強さが予め設定した値(所定値α)以上であるかどうかを判定する。
所定値αとしては、上述した逆流強さが弱い領域の上限値、又はそれに近い値が設定される。表現を変えると、上記所定値αには、逆流強さが燃料の付着量の増量に及ぼす影響が無視できるほど小さい領域の上限値、又はそれに近い値が設定される。逆流強さが採り得る範囲の上限値を1.0とした場合、例えば、0.1又はそれに近い値が上記所定値αとして設定される。
ステップ130の判定条件が満たされていないと、燃料付着抑制ルーチンを終了する。この場合には、目標噴射時期及び目標バルブタイミングの変更は行われない。これに対し、ステップ130の判定条件が満たされていると、ステップ140へ移行する。
ステップ140では、重なり期間TOLが短くなる側へ目標噴射時期及び目標バルブタイミングを変更する。この変更に際しては、目標噴射時期を早め(進角させ)、目標バルブタイミングを遅らせる(遅角させる)。本実施形態では、こうした目標噴射時期及び目標バルブタイミングをともに変更することによって重なり期間TOLをなくすようにしている。
ここで、上記のように目標噴射時期及び目標バルブタイミングの両方を変更する場合において、各変更量の全変更量に占める割合によっては、エンジン11に要求される特性(要求特性)、例えば燃料消費特性、排気特性等を実現できることがある。これらの燃料消費特性と排気特性とは相反する要求特性である。この割合は、何を要求特性とするか、あるいは何を重視する要求特性とするかによって異なってくる。
ただし、いずれの要求特性についても、目標噴射時期の変更量の全変更量に占める割合が、目標バルブタイミングの変更量の全変更量に占める割合よりも大きく設定される点で共通する。一般に、吸気バルブ25のバルブタイミングを変更した場合にエンジン11の運転状態、例えば充填効率、出力等に及ぼす影響が、目標噴射時期を変更した場合にエンジン11の同運転状態に及ぼす影響よりも大きいと考えられるからである。そのため、できるだけ目標噴射時期の変更によって重なり期間TOLを短くし、不足分を目標バルブタイミングの変更によって短くするといった考え方で、出力等のエンジン11の運転状態に及ぼす影響を小さくしつつ要求特性を実現するようにしている。こういったいきさつで、上述したように、目標噴射時期の変更量の全変更量に占める割合が、目標バルブタイミングの変更量の全変更量に占める割合よりも大きく設定される。
また、エンジン11に対する要求特性として燃料消費特性が重視されるときには、もともと吸気バルブ25の開弁時期を早め、バルブオーバラップをやや大きくして、内部EGR率を高めて、ポンピングロスを減らすような目標バルブタイミングの設定がなされている。こうした状況下で、目標バルブタイミングを大きく変更することは、燃料消費特性に大きな影響を及ぼして悪化させるおそれがあるため好ましくない。一方、要求特性として排気特性が重視されるときに、目標噴射時期を大きく変更することは、空燃比を荒らして排気特性に大きな影響を及ぼすおそれがあるため好ましくない。そこで、本実施形態では、要求特性として排気特性が燃料消費特性よりも重視されるときには、目標バルブタイミングの変更量の全変更量に占める割合が、要求特性として燃料消費特性が排気特性よりも重視されるときに比べて大きくなるような設定がなされる。
そして、ステップ140では、目標噴射時期及び目標バルブタイミングの各変更量の全変更量に占める割合が、要求特性を実現するための割合となるように、目標噴射時期の変更量(進角量)及び目標バルブタイミングの変更量(遅角量)を算出する。
具体的には、本実施形態では、エンジン負荷及びエンジン回転速度NEと、目標バルブタイミングの変更量の全変更量に占める割合との関係を規定した制御マップが予め作成されている。図6は、この制御マップのマップ構造を示している。この制御マップでは、エンジン負荷及びエンジン回転速度NEによって規定されるエンジン11の運転領域が、複数の領域Z1,Z2,Z3に区画されている。領域Z1は、エンジン回転速度NEが低〜中であり、かつエンジン負荷が小〜中である領域、すなわち通常よく使われる領域(常用域)であり、要求特性として燃料消費特性が排気特性よりも重視される。領域Z3は、エンジン負荷によらずエンジン回転速度NEが高い領域と、エンジン回転速度NEが中であり、かつエンジン負荷が高い領域とからなり、要求特性として排気特性が燃料消費特性よりも重視される。領域Z2は、上記領域Z1と領域Z3との中間の領域であり、要求特性として燃料消費特性及び排気特性が同程度に重視される。さらに、各領域Z1〜Z3には、目標バルブタイミングの変更量の全変更量に占める割合(例えば、10%、20%、30%)が対応付けられている。本実施形態では、この割合として、領域Z1では10%に設定され、領域Z2では20%に設定され、領域Z3では30%に設定されている。
そして、ステップ140では、目標バルブタイミングの変更量の全変更量に占める割合について、そのときのエンジン負荷及びエンジン回転速度NEに対応する値を上記制御マップから割り出す。一方で、上記既燃ガスGの逆流期間T1と、燃料の浮遊期間T2との重なり期間TOLを算出する。上記制御マップから割り出した値(目標バルブタイミングの変更量の全変更量に占める割合)と、上記の算出した重なり期間TOLとに基づき、目標バルブタイミング及び目標噴射時期の各変更量を算出する。
例えば、重なり期間TOLが60°CAであり、かつエンジン11が、燃料消費特性よりも排気特性が重視される領域Z3で運転されている場合、目標バルブタイミングの変更量は、重なり期間TOLの30%である18°CAとなり、目標噴射時期の変更量は残りの42°CAとなる。また、重なり期間TOLが同じく60°CAであり、かつエンジン11が、排気特性よりも燃料消費特性が重視される領域Z1で運転されている場合、目標バルブタイミングの変更量は、重なり期間TOLの10%である6°CAであり、目標噴射時期の変更量は残りの54°CAとなる。
そして、上記のようにして算出した一方の変更量によって目標バルブタイミングを遅角側に変更するとともに、他方の変更量によって目標噴射時期を進角側に変更し、その後にこの燃料付着抑制ルーチンを終了する。上記ステップ140の処理は、上述した特許請求の範囲における「変更手段」に該当する。
上記燃料付着抑制ルーチンの一連の処理が行われると、浮遊期間T2と逆流期間T1とが重なっているかどうかが判定される(ステップ120)。図7に示すように、両期間T2,T1が重なっているときには、目標噴射時期及び目標バルブタイミングが、重なり期間TOLを短くする側へ変更される(ステップ140)。この変更により重なり期間TOLが小さくなるに従い、燃料と既燃ガスGとの干渉が起こりにくくなって、同燃料が吹き戻されて吸気ポート20に付着する現象が抑制される。図8に示すように、上記変更により重なり期間TOLがなくなると、燃料と既燃ガスGとの干渉が起こらず、逆流に起因する吸気ポート20への燃料付着が起こらなくなる。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)燃料の浮遊期間T2と既燃ガスGの逆流期間T1との重なり期間TOLがあるときには、燃料の目標噴射時期及び吸気バルブ25の目標バルブタイミングを、重なり期間TOLを短くする側へ変更するようにしている。そのため、燃料と既燃ガスGとの干渉を起こりにくくすることができる。この際、目標噴射時期及び目標バルブタイミングをそれぞれ変更しているため、一方のみを変更する場合に比べ変更可能量が増える。一方のみの変更では、重なり期間TOLを意図する長さまで短縮できないような場合でも、両方を変更することでそうした短縮が可能となる。燃料と既燃ガスGとの干渉を起こりにくくし、燃料が吹き戻されて吸気ポート20に付着する現象を抑制することができる。
その結果、燃焼室14内に供給される燃料量が、既燃ガスGの逆流のない場合よりも一時的に少なくなって空燃比が一時的にリーンとなる現象を起こりにくくすることができる。これに伴い、加速時にエンジン11の出力が一瞬遅れる現象(ヘジテーション)が起こったり、過渡運転時に空燃比が荒れてエミッションが悪化したりするのを抑制することができる。
(2)目標噴射時期及び目標バルブタイミングの各変更量の全変更量に占める割合が、エンジン11に対する要求特性を実現するための割合となるように、目標噴射時期及び目標バルブタイミングを変更している。このため、これらの変更により、上記(1)の効果に加え、要求特性の種類に拘わらず、そのときの要求特性を満たすこともできるようになる。
(3)目標噴射時期及び目標バルブタイミングの変更によって重なり期間TOLをなくしている。そのため、浮遊する燃料と逆流する既燃ガスGとの干渉を防ぎ、逆流に起因する吸気ポート20への燃料付着を起こらないようにすることができる。
(4)目標噴射時期の変更量の全変更量に占める割合が、目標バルブタイミングの変更量の全変更量に占める割合よりも大きくなるように、目標噴射時期及び目標バルブタイミングを変更するようにしている。そのため、それらの目標噴射時期及び目標バルブタイミング変更がエンジン11の運転状態に及ぼす影響を小さくしつつ、上記(1)〜(3)の効果を得ることができる。
(5)要求特性としてエンジン11の排気特性が燃料消費特性よりも重視されるときには、目標バルブタイミングの変更量の全変更量に占める割合が、要求特性として燃料消費特性が排気特性よりも重視されるときに比べて大きくなるように、目標噴射時期及び目標バルブタイミングを変更するようにしている。そのため、要求特性として排気特性が燃料消費特性よりも重視される場合にも、燃料消費特性が排気特性よりも重視される場合にも、そのときどきの要求特性を満たすことができる。
(6)燃焼室14内の既燃ガスGが吸気ポート20へ逆流する現象は、排気行程において筒内圧が高くなっていることと、吸気バルブ25が開弁することの両方の条件が満たされた期間に起ると考えられる。従って、本実施形態によるように、吸気バルブ25の開弁開始から排気行程終了(上死点TDC)までの期間を逆流期間T1とすることで、燃料を吹き戻して吸気ポート20に付着させる対象となる既燃ガスGの逆流期間T1を正確に把握することができる。
(7)燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気ポート20を浮遊する現象は、同燃料噴射弁32から最初の燃料が噴射され始めてから、最後に噴射された燃料が吸気ポート20の下流端20Aに到達するまでの期間に起こると考えられる。従って、本実施形態によるように、燃料噴射弁32による燃料の噴射開始から、噴射終了直前に噴射された燃料が吸気ポート20の下流端20Aに到達するまでの期間を浮遊期間T2とすることにより、吸気ポート20への付着対象となる燃料が同吸気ポート20内を浮遊する浮遊期間T2を正確に把握することができる。
(8)浮遊期間T2の算出に際し、燃料噴射弁32に供給される燃料の圧力、吸気ポート20内の圧力、エンジン回転速度NEを考慮している。これらの要素は、いずれも浮遊期間T2に影響を及ぼすものである。そのため、こうした考慮をしない場合に比べ、より高い精度で浮遊期間T2を把握することができる。
(9)吸気ポート20における流体の流れ方向が逆流方向でない場合(図4のステップ110:NO)には、逆流による吸気ポート20への燃料付着が起こらず(又は起こりにくく)、目標噴射時期及び目標バルブタイミングを変更したとしても、得られる燃料付着抑制効果は小さい。逆流期間T1と浮遊期間T2とが重なっていない場合(ステップ120:NO)、及び既燃ガスGの逆流強さが所定値α未満である場合(ステップ130:NO)も上記と同様である。この点、本実施形態では、上記各場合に、目標噴射時期及び目標バルブタイミングの変更を行わないようにしている。そのため、目標噴射時期及び目標バルブタイミングの不要な変更を抑制することができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・図4のステップ130において、逆流強さを、エンジン負荷及びエンジン回転速度NEの一方のみに基づいて推定してもよい。
・図4のステップ130の処理を省略し、逆流強さの強弱に拘わらず重なり期間TOLが短くなる側へ目標噴射時期及び目標バルブタイミングを変更するようにしてもよい。
・吸気ポート20に流速センサを設け、同吸気ポート20を流れる気流の速度を、その方向とともに検出するようにしてもよい。この場合、流速センサの検出結果から、気流の流れ方向が逆流方向であるかどうかを推定できるため、同検出結果に基づいて、図4のステップ110の判定処理を行ってもよい。また、上記の推定を、流速センサを用いずに、間接的に行ってもよい。例えば、直接測定した、もしくは吸入空気量等から推定した筒内圧と、同じく直接測定した、もしくは吸入空気量等から推定した吸気ポート20の内圧と、クランク角から求めた吸気バルブの開口面積とから、気流の流れ方向が逆流方向であるかどうかを推定することも可能である。
・重なり期間TOLは、目標噴射時期及び目標バルブタイミングの変更によって短くされればよく、必ずしもなくならなくてもよい。
・エンジン11に対する要求特性は、上述した燃料消費特性及び排気特性とは異なる特性であってもよい。
・本発明は、吸気側及び排気側のバルブタイミング可変装置37,38のうち少なくとも吸気側のバルブタイミング可変装置37が設けられているエンジン11に適用可能である。従って、本発明は、排気側のバルブタイミング可変装置38の設けられていないエンジン11にも適用できる。
本発明を具体化した一実施形態についてその構成を示す略図。 吸・排気バルブの各バルブタイミングを示す特性図。 燃料噴射弁から噴射された燃料が既燃ガスの逆流により吹き戻されて吸気ポートに付着する様子を概念的に示す説明図。 電子制御装置によって実行される燃料付着抑制ルーチンを示すフローチャート。 逆流強さを決定する際に用いられる制御マップのマップ構造を示す略図。 目標バルブタイミングの変更量の全変更量に占める割合を決定する際に用いられる制御マップのマップ構造を示す略図。 目標噴射時期及び目標バルブタイミングをそれぞれ変更する前の逆流期間T1、浮遊期間T2、重なり期間TOL等の関係を説明するためのタイミングチャート。 目標噴射時期及び目標バルブタイミングをそれぞれ変更した後の逆流期間T1、浮遊期間T2等の関係を説明するためのタイミングチャート。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、14…燃焼室、20…吸気ポート、25…吸気バルブ、32…燃料噴射弁、51…電子制御装置(噴射制御手段、バルブタイミング制御手段、変更手段)、G…既燃ガス、T1…逆流期間、T2…浮遊期間、TOL…重なり期間。

Claims (3)

  1. 内燃機関の吸気ポートに配置された燃料噴射弁を、前記内燃機関の運転状態に応じて設定した目標噴射時期に基づいて作動させて燃料を吸気下流側へ噴射させる噴射制御手段と、
    前記内燃機関の吸気バルブを、前記内燃機関の運転状態に応じて設定した目標バルブタイミングに基づいて作動させて、前記吸気ポート及び燃焼室間を開閉させるバルブタイミング制御手段と
    を備える内燃機関の制御装置において、
    前記燃料噴射弁から噴射された燃料が前記吸気ポート内を浮遊する浮遊期間と、吸気バルブの開弁に伴い前記燃焼室内の既燃ガスが前記吸気ポートへ逆流する逆流期間との重なり期間があるときには、前記目標噴射時期及び前記目標バルブタイミングを、前記重なり期間が短くなる側へそれぞれ変更する変更手段をさらに備え、
    前記変更手段は、前記目標噴射時期及び前記目標バルブタイミングの各変更量の全変更量に占める割合が、前記内燃機関に対する要求特性を実現するための割合となり、且つ前記目標噴射時期の変更量の前記全変更量に占める割合が、前記目標バルブタイミングの変更量の前記全変更量に占める割合よりも大きくなるように、前記目標噴射時期及び前記目標バルブタイミングをそれぞれ変更することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記変更手段は、前記目標噴射時期及び前記目標バルブタイミングの変更により前記重なり期間をなくすものである請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記変更手段は、前記要求特性として前記内燃機関の排気特性が燃料消費特性よりも重視されるときには、前記目標バルブタイミングの変更量の前記全変更量に占める割合が、前記要求特性として前記燃料消費特性が前記排気特性よりも重視されるときに比べて大きくなるように、前記目標噴射時期及び前記目標バルブタイミングをそれぞれ変更する請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
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