JP4946996B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、各気筒の吸気ポートに配置された燃料噴射弁から燃料を噴射して燃焼室に供給するポート噴射式の内燃機関に適用され、その燃料噴射弁からの燃料噴射を制御する燃料噴射制御装置に関するものである。
各気筒の吸気ポートに配置された燃料噴射弁から燃料を噴射して燃焼室に供給する、いわゆるポート噴射式の内燃機関の中には、排気行程で吸気バルブが開弁されるとともに燃料を噴射されるものがある。
このタイプの内燃機関では、吸気バルブの開き始めに、筒内圧の高い気筒から既燃ガスが吸気ポート側へ逆流し、燃料噴射弁から噴射された燃料が吸気上流側へ吹き戻される。この吹き戻しにより、吸気ポートに付着する燃料の面積及び量が、既燃ガスの逆流のない場合よりも多くなる。これに伴い、燃焼室内に供給される燃料の量が、既燃ガスの逆流のない場合よりも一時的に少なくなる。その結果、空燃比が一時的にリーンとなり、加速時に機関出力が一瞬遅れる現象(ヘジテーション)を引き起こしたり、過渡運転時に空燃比が荒れてエミッションの悪化を引き起こしたりするおそれがある。
これに対しては、逆流による付着燃料量の増加に起因して燃焼室に供給される燃料量が減少するのを補償するための補正項を算出し、この補正項によって燃料噴射量を増量補正することが考えられている。そして、この補正項の算出に関する技術が、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1では、吸気バルブ及び排気バルブの両方が同時に開弁している期間(バルブオーバラップ量)をバルブタイミング可変装置により設定変更可変とした内燃機関において、バルブオーバラップ量に基づき上記補正項を算出している。さらに、特許文献1には、燃料噴射時期に基づいて上記補正項を算出する旨の記載もされている。
特開2003−20965号公報
ところが、上記特許文献1では、単にバルブオーバラップ量や燃料噴射時期に基づいて補正項を算出しているにすぎず、吹き戻された燃料が吸気ポートに付着する期間を正確に把握したうえで補正項を算出しているわけではない。そのため、例えば、燃料が逆流の影響を受けない期間を含んだ形で補正項が算出されたり、燃料が逆流の影響を受けている期間を漏らした形で補正項が算出されたりするおそれがある。その結果、こうした補正項を用いた燃料噴射量の増量補正の精度が充分高くなく、燃焼室への燃料供給量の減少を確実に補償することができない場合がある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、燃料噴射量の増量補正をより精度よく行って、燃焼室への燃料供給量の減少分を確実に補償することのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の運転状態に応じた燃料噴射量を設定し、吸気ポートに配置された燃料噴射弁から前記燃料噴射量の燃料を噴射して燃焼室に供給する燃料噴射手段を備える内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記燃料噴射弁から噴射された燃料が前記吸気ポート内を浮遊する浮遊期間と、吸気バルブの開弁に伴い前記燃焼室内の既燃ガスが前記吸気ポートへ逆流する逆流期間とが重なる期間に基づいて、前記燃料噴射手段により設定される前記燃料噴射量を増量補正する補正手段をさらに備え、前記補正手段は、前記燃料噴射弁による燃料の噴射開始から、噴射終了直前に噴射された燃料が前記吸気ポートの下流端に到達するまでの期間を前記浮遊期間として前記燃料噴射量の増量補正を行い、前記浮遊期間は、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が高いほど短く、前記吸気ポート内の圧力が高いほど長く算出されるとともに、前記機関の回転速度に基づいて算出されることを要旨とする。
上記の構成によれば、燃料噴射弁から噴射された燃料が、逆流する既燃ガスによって吹き戻されて吸気ポートに付着した場合、その分、燃焼室に供給される燃料の量が少なくなる。
ここで、既燃ガスの逆流によって燃料が吹き戻されて吸気ポートに付着する上記現象は、燃料噴射弁から噴射された燃料が吸気ポート内で浮遊しているときに、吸気バルブが開弁されて燃焼室内の既燃ガスが吸気ポートへ逆流する場合に起り得る。表現を変えると、上記現象は、燃料噴射弁から噴射された燃料が吸気ポート内を浮遊する浮遊期間と、吸気バルブの開弁に伴い燃焼室内の既燃ガスが吸気ポートへ逆流する逆流期間とが重なるときに起り得る。この点に着目し、請求項1に記載の発明では、上記浮遊期間と逆流期間とが重なる期間(重なり期間)に基づき、燃料噴射手段によって設定される燃料噴射量が増量補正される。
従って、請求項1に記載の発明では、単にバルブオーバラップ量や燃料噴射時期に基づいて燃料噴射量を増量補正する場合とは異なり、逆流の影響を受けない期間を含んだ形で増量補正が行われたり、逆流の影響を受けている期間を漏らした形で増量補正が行われたりすることが少なくなる。実際に燃料付着現象が起こる期間が過不足なく増量補正の対象期間とされ、この期間に基づいて燃料噴射量が増量補正される。そのため、燃料噴射量の増量補正の精度が向上し、燃焼室への燃料供給量の減少分を確実に補償することが可能となる。
ここで、燃料噴射弁から噴射された燃料が吸気ポートを浮遊する現象は、同燃料噴射弁から最初の燃料が噴射され始めてから、最後に噴射された燃料が吸気ポートの下流端に到達するまでの期間に起こると考えられる。従って、燃料噴射弁による燃料の噴射開始から、噴射終了直前に噴射された燃料が吸気ポートの下流端に到達するまでの期間を浮遊期間とすることにより、吸気ポートへの付着対象となる燃料が同吸気ポート内を浮遊する期間を正確に把握することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記補正手段は、前記浮遊期間と前記逆流期間との重なり期間が長いときには短いときよりも前記燃料噴射量を多く増量補正することを要旨とする。
ここで、浮遊期間と逆流期間との重なり期間が長くなるに従い、燃料噴射弁から噴射されて吸気ポートを浮遊する燃料のうち逆流の影響を受けて吸気ポートに付着するものが多くなる。従って、請求項2に記載の発明によるように、浮遊期間と逆流期間との重なり期間が長いときには短いときよりも燃料噴射量を多く増量補正することで、上記請求項1に記載の発明による増量補正の精度向上が実現される。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記補正手段は、排気行程の途中で前記吸気バルブが開弁を開始する場合において、前記吸気バルブの開弁開始から排気行程終了までの期間を前記逆流期間として前記燃料噴射量の増量補正を行うことを要旨とする。
ここで、燃焼室内の既燃ガスが吸気ポートへ逆流する現象は、排気行程において筒内圧が高くなっていることと、吸気バルブが開弁することの両方の条件が満たされた期間に起ると考えられる。従って、請求項3に記載の発明によるように、吸気バルブの開弁開始から排気行程終了までの期間を逆流期間とすることにより、燃料を吹き戻して吸気ポートに付着させる対象となる既燃ガスの逆流期間を正確に把握することが可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか1つに記載の発明において、前記補正手段は、前記吸気ポートでの前記既燃ガスの逆流強さを前記内燃機関の運転状態に基づいて推定し、その推定した逆流強さに応じて前記燃料噴射量の補正量を変更することを要旨とする。
ここで、既燃ガスの逆流によって吹き戻されて吸気ポートに付着する燃料の量は、逆流が強いときには多く、弱いときには少ないと考えられる。従って、請求項に記載の発明によるように、吸気ポートでの既燃ガスの逆流強さを内燃機関の運転状態に基づいて推定し、その推定した逆流強さに応じて燃料噴射量の補正量を変更することで、こうした変更を行わない場合に比べて燃料噴射量の増量補正の精度がさらに高くなる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
車両には、内燃機関が搭載されている。本実施形態では、この内燃機関として、ポート噴射式のガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)11が用いられている。エンジン11は、複数の気筒(シリンダ)12を有するシリンダブロック10Aと、その上に取付けられたシリンダヘッド10B(二点鎖線参照)とを備えている。なお、図1では、シリンダヘッド10Bの一部のみが示されている。各気筒12にはピストン13が往復動可能に収容されている。
気筒12毎の燃焼室14には吸気通路18が接続されている。吸気通路18の最下流部分は、シリンダヘッド10Bに形成された吸気ポート20によって構成されている。エンジン11の外部の空気は、吸気通路18の各部を順に通過して燃焼室14に吸入される。吸気通路18の途中には、電動モータ等からなるアクチュエータ19によって駆動されるスロットルバルブ15が設けられている。アクチュエータ19は、運転者によるアクセルペダル21の踏込み操作等に応じて作動し、スロットルバルブ15を回動させる。吸気通路18を流れる空気の量(吸入空気量)は、スロットルバルブ15の回動角度(スロットル開度)に応じて変化する。
また、燃焼室14には排気通路24が接続されており、燃焼室14で生じた燃焼ガスは排気として、排気通路24を通ってエンジン11の外部へ排出される。排気通路24には、排気を浄化するための触媒コンバータ23が設けられている。
エンジン11には、吸気通路18(吸気ポート20)の各気筒12における開口部(吸気ポート20の下流端20A)を開閉する吸気バルブ25と、排気通路24の各気筒12における開口部を開閉する排気バルブ26とが設けられている。これらの吸・排気バルブ25,26はいずれもバルブスプリング27によって、上記開口部を閉じる方向(閉弁方向)である上方へ常に付勢されている。
吸気バルブ25の略上方には吸気カムシャフト28が設けられ、また排気バルブ26の略上方には排気カムシャフト29が設けられている。これらの吸・排気カムシャフト28,29には、エンジン11の出力軸(機関出力軸)であるクランクシャフト31の回転が伝達される。この伝達により吸・排気カムシャフト28,29が回転し、各バルブスプリング27に抗して吸・排気バルブ25,26を押下げる。これらの押下げにより、吸・排気通路18,24の気筒12における各開口部が開放される。
シリンダヘッド10Bの吸気ポート20には、電磁式の燃料噴射弁32が各気筒12に対応して取付けられている。各燃料噴射弁32には所定圧の燃料が供給されている。そして、各燃料噴射弁32は通電により開弁されると、吸気下流側(吸気バルブ25側)へ燃料を噴射する。各燃料噴射弁32から噴射された燃料は、吸気ポート20を飛行(浮遊)し、吸入空気とともに燃焼室14に供給される。
エンジン11には、点火プラグ33が気筒12毎に取付けられている。各点火プラグ33は、イグナイタ34からの点火信号に基づいて作動する。点火プラグ33には、点火コイル35から出力される高電圧が印加される。そして、上記燃料と吸入空気との混合気は点火プラグ33の火花放電によって着火され、燃焼する。このときに生じた高温高圧の燃焼ガスによりピストン13が往復動される。ピストン13の往復運動は、コネクティングロッド36によって回転運動に変換された後、クランクシャフト31に伝達される。この伝達によりクランクシャフト31が回転されて、エンジン11の駆動力(出力トルク)が得られる。
上記エンジン11では、空気が燃焼室14内に吸入されて燃焼ガスが排出されるまでの期間、すなわち1サイクルの間に、ピストン13が2往復してクランクシャフト31が2回転する。このサイクルは、周知のように、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程の4つの行程からなる。各行程では、基本的には次のような動作が行われる。
吸気行程では、排気バルブ26が閉弁されるとともに吸気バルブ25が開弁される。ピストン13の下降に伴う燃焼室14内の圧力(筒内圧)の低下によって、吸気通路18内の空気と燃料噴射弁32から噴射された燃料とが混ざり合った状態で燃焼室14内に吸入される。圧縮行程では、排気バルブ26に加えて吸気バルブ25が閉弁される。このため、ピストン13の上昇に伴って筒内圧が上昇し、混合気が昇圧、昇温される。
膨張行程では、点火プラグ33により点火が行われ、上記混合気が着火、燃焼される。この燃焼によってピストン13には下向きの力が付与され、同ピストン13が下降運動する。排気行程では排気バルブ26が開弁される。このため、燃焼室14内で発生した排気がピストン13の上昇に伴い排気通路24へ排出される。
エンジン11には、吸気側及び排気側の各バルブタイミング可変装置(VVT)37,38が設けられている。吸気側のバルブタイミング可変装置37は、クランクシャフト31に対する吸気カムシャフト28の相対回転位相を変化させることにより、吸気バルブ25のバルブタイミング(開閉タイミング)を、所定の範囲内でクランク角に対して連続的に調整するための機構である。また、排気側のバルブタイミング可変装置38は、クランクシャフト31に対する排気カムシャフト29の相対回転位相を変化させることにより、排気バルブ26のバルブタイミングを、所定の範囲内でクランク角に対して連続的に調整するための機構である。なお、クランク角はクランクシャフト31の回転角であり、°CA(CAはcrank angle の略称)にて表記される。
吸気バルブ25のバルブタイミングは、例えば、図2に示すように吸気バルブ25の開弁時期IVO及び閉弁時期IVCで表すことができる。吸気バルブ25のバルブタイミングは、吸気バルブ25の開弁期間(開弁時期IVOから閉弁時期IVCまでの期間)が一定に保持された状態で進角又は遅角させられる。また、排気バルブ26のバルブタイミングは、例えば、図2に示すように排気バルブ26の開弁時期EVO及び閉弁時期EVCで表すことができる。排気バルブ26のバルブタイミングは、排気バルブ26の開弁期間(開弁時期EVOから閉弁時期EVCまでの期間)が一定に保持された状態で進角又は遅角させられる。
そして、吸・排気バルブ25,26の少なくとも一方のバルブタイミングが変更(進角又は遅角)されると、吸・排気バルブ25,26がともに開弁している期間(開弁時期IVOから閉弁時期EVCまでの期間)、すなわち両バルブ25,26の開弁期間についてのオーバラップ(バルブオーバラップ)が変化する。
さらに、図1に示すように、車両には、エンジン11の運転状態や運転環境を検出するセンサが種々取付けられている。これらのセンサには、クランク角センサ41、吸気側カム角センサ42、排気側カム角センサ43、水温センサ44、エアフロメータ45、スロットルセンサ46及びアクセルセンサ47が含まれている。
クランク角センサ41は、クランクシャフト31が一定角度回転する毎にパルス状の信号を発生する。この信号は、クランクシャフト31の回転角度であるクランク角や、単位時間当りのクランクシャフト31の回転数であるエンジン回転速度(機関回転速度)NEの算出等に用いられる。吸気側カム角センサ42は、吸気カムシャフト28の回転角度(カム角)を検出し、排気側カム角センサ43は、排気カムシャフト29の回転角度(カム角)を検出する。水温センサ44は、エンジン11の内部を流れるエンジン冷却水の温度(エンジン水温)を、エンジン11の温度(機関温度)の相当値として検出する。エアフロメータ45は、吸気通路18を流れる空気の量(吸入空気量)を検出し、スロットルセンサ46はスロットル開度を検出し、アクセルセンサ47は運転者によるアクセルペダル21の踏込み量を検出する。
車両には、前記各種センサ41〜47の信号に基づいて、エンジン11等の各部を制御する電子制御装置51が設けられている。電子制御装置51はマイクロコンピュータを中心として構成されており、中央処理装置(CPU)が、読出し専用メモリ(ROM)に記憶されている制御プログラム、初期データ、制御マップ等に従って演算処理を行い、その演算結果に基づいて各種制御を実行する。CPUによる演算結果は、ランダムアクセスメモリ(RAM)において一時的に記憶される。
電子制御装置51による制御の1つに、吸・排気バルブ25,26の各バルブタイミング制御がある。例えば、吸気バルブ25のバルブタイミング制御では、電子制御装置51は、その時々のエンジン11の運転状態に基づき、吸気バルブ25のバルブタイミングについての制御目標として目標バルブタイミングを設定する。そして、クランク角センサ41及び吸気側カム角センサ42の各検出結果に基づき把握される吸気バルブ25の実際のバルブタイミングが上記目標バルブタイミングとなるように、吸気側のバルブタイミング可変装置37を制御する。この制御により、吸気バルブ25がエンジン11の運転状態に適したタイミングにて開閉される。なお、説明は省略するが、排気バルブ26のバルブタイミング制御も、上記吸気バルブ25のバルブタイミング制御と同様にして行われる。
また、電子制御装置51は、各燃料噴射弁32に対する通電を制御することで、同燃料噴射弁32からの燃料噴射を制御する。この燃料噴射制御では、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷といったエンジン11の運転状況に基づき、混合気の空燃比を所定の値、例えば理論空燃比(ストイキ)とするための燃料噴射量を基本噴射量(基本噴射時間)として算出する。ここで、空燃比とは、混合気中の空気と燃料との重量比であり、理論空燃比とは、燃料を完全に酸化させるのに必要な酸素量を過不足なく含んだ混合気の空燃比値である。また、エンジン負荷は、例えばエンジン11の吸入空気量、又はそれに関係するパラメータ(例えば、スロットル開度、アクセル踏込み量等)に基づき求められる。そして、上記基本噴射量に各種補正を加えて目標噴射量を算出する。この目標噴射量は、特許請求の範囲における「燃料噴射量」に相当する。各種補正の中には、エンジン11の温度が低いときに燃料噴射量を増量補正するものがある。これは、エンジン11の温度が低いときには、噴射後、吸気ポート20や吸気バルブ25の傘部等に付着した燃料が気化しにくく、燃焼室14に供給される燃料量が少なくなるため、その減少分を増量補正によって補償するものである。
また、上記のようにして算出した目標噴射量とそのときのエンジン回転速度NEとに基づき、燃料の目標噴射時期(噴射開始時期)及び目標噴射期間を算出する。本実施形態では、図6に示すように、排気行程の後半、例えば上死点TDCよりも数十°CA前を目標噴射時期(噴射開始時期)として算出する。また、この目標噴射時期から排気行程の終了直前、例えば上死点TDCよりも数°CA前までの期間を目標噴射期間として設定する。
さらに、通常のポート噴射では、吸気バルブ25の開弁前に燃料噴射を終えるように目標噴射時期(噴射開始時期)が設定されるが、本実施形態では、同目標噴射時期(噴射開始時期)が吸気バルブ25の開弁と同時又は略同時となるように設定される。これは次の理由による。エンジン11の温度が低いときに吸気バルブ25の開弁前に燃料を噴射し終えると、吸気ポート20の温度が低いことから、燃料の霧化が充分に行われない。これに対し、吸気バルブ25が開き始めるのと略同時に燃料を噴射させると、燃料は気筒12内に流入する。気筒12内は、燃焼により吸気ポート20よりも温度が高くなっている。そのため、気筒12内では燃料が霧化しやすく、より少ない燃料でも混合気を燃焼させることができる。結果として、吸気ポート20に付着する燃料Fの量を少なくすることができる。
そして、算出した目標噴射時期になると燃料噴射弁32に対する通電を開始し、上記目標噴射期間が経過するまで通電を継続する。目標噴射時期から目標噴射期間が経過した時点で上記燃料噴射弁32に対する通電を停止する。なお、電子制御装置51による上記燃料噴射制御に係る処理は、特許請求の範囲における「燃料噴射手段」に該当する。
ここで、上述したバルブタイミング制御によって、上死点TDCよりも前(排気行程)で吸気バルブ25の開弁を開始させ、同排気行程で燃料噴射を行うと、吸気バルブ25の開き始めに、図3に示すように、筒内圧の高い気筒12から既燃ガスGが吸気ポート20側へ逆流し、燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気上流側へ吹き戻される。この吹き戻しにより、吸気ポート20に付着する燃料Fの面積及び量が、既燃ガスGの逆流のない場合よりも多くなる。これに伴い、燃焼室14内に供給される燃料量が、既燃ガスGの逆流のない場合よりも一時的に少なくなって、空燃比が一時的にリーンとなるおそれがある。
そこで、本実施形態では、既燃ガスGの逆流による付着燃料量の増加に起因して燃焼室14に供給される燃料量が減少するのを補償するための補正項を算出し、この補正項によって燃料噴射量(目標噴射量)を増量補正するようにしている。この増量補正は、上記目標噴射量の算出に際し、基本噴射量に対し加えられる各種補正の1つとして設定されている。ここでは、上記増量補正は、前述したエンジン11の低温時の増量補正とは別に行われるものとして説明を進める。また、上記前者の増量補正(燃料の吹き戻しに起因する燃焼室14への燃料供給量の減少を補償するための補正)に際しては、補正項として補正係数kが算出される。この補正係数kは、目標噴射量の算出に際し、上述した基本噴射量に乗算される。そして、補正係数kが「1.0」である場合には、目標噴射量は増量補正されない。また、補正係数kが「1.0」よりも大きい場合には、目標噴射量が増量補正される。補正係数kが大きくなるに従い、目標噴射量に対する増量補正の度合いも大きくなる。
なお、電子制御装置51による上記補正係数kを用いた目標噴射量の増量補正に係る処理は、特許請求の範囲における「補正手段」に該当する。
図4のフローチャートは、この補正係数kを算出するためのルーチンを示している。この補正係数算出ルーチンは、所定のタイミング、例えば一定時間毎、一定クランク角毎等に繰り返し実行される。補正係数算出ルーチンでは、次の点を考慮して補正係数kを算出するようにしている。
既燃ガスGの逆流によって燃料が吹き戻されて吸気ポート20に付着する上記現象は、燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気ポート20内で浮遊(飛行)しているときに、吸気バルブ25が開弁されて燃焼室14内の既燃ガスGが吸気ポート20へ逆流する場合に起り得る。表現を変えると、上記現象は、図6に示すように、燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気ポート20内を浮遊する期間(以下「浮遊期間T2」という)と、吸気バルブ25の開弁に伴い燃焼室14内の既燃ガスGが吸気ポート20へ逆流する期間(以下「逆流期間T1」という)とが重なるときに起り得る。そして、吸気ポート20に付着する燃料Fの量は、浮遊期間T2と逆流期間T1とが重なる期間(以下「重なり期間TOL」という)が長いときには短いときよりも多くなる。そこで、重なり期間TOLを求め、その値に基づいて補正係数kを算出するようにしている。
図4に示すように電子制御装置51は、まずステップ110において、吸気ポート20における流体の流れ方向が、燃焼室14から吸気上流側へ向かう方向(以下「逆流方向」という)であるか、吸気ポート20から燃焼室14に向かう方向(以下「順流方向」という)であるかを判定する。ここでの流体は、順流方向である場合には空気及び燃料の混合気を指し、逆流方向である場合には既燃ガスGを指す。ここで、既燃ガスGの逆流期間T1について、その開始時期と終了時期とが判れば、上記流体の流れ方向を把握することができる。逆流期間T1であれば、流体の流れ方向は逆流方向となるし、逆流期間T1から外れていれば流体の流れ方向は順流方向となる。
既燃ガスGの逆流は、排気行程においてピストン13が上昇していて筒内圧が高くなっていて、吸気バルブ25が開いているときに起こり得る。従って、逆流期間T1の開始時期は、排気行程の途中で吸気バルブ25が開き始めたときである。また、逆流期間T1の終了時期はピストン13が最も高い位置(上死点TDC)まで上昇したときである。
これらのことから、ステップ110では、吸気バルブ25の開弁時期及び上死点TDCから、逆流期間T1の開始時期及び終了時期を推定する。また、現在のタイミング(クランク角)が、吸気バルブ25の開弁時期(逆流期間T1の開始時期)以後であり、かつ上死点TDC(逆流期間T1の終了時期)以前であるかどうか、つまり逆流期間T1にあるかどうかを判定する。
上記ステップ110の判定条件が満たされていない(流体の流れ方向が順流方向である)と、逆流によって吹き戻されて吸気ポート20に付着する燃料Fの量が増加することがなく、目標噴射量を増量補正する必要がないことから、ステップ120へ移行する。ステップ120では補正係数kを「1.0」に設定し、その後に補正係数算出ルーチンを終了する。上述したように、この補正係数kは目標噴射量の算出に際し基本噴射量に乗算されるが、「1.0」であるため、目標噴射量は増量補正されない。
これに対し、上記ステップ110の判定条件が満たされている(流体の流れ方向が逆流方向である)と、逆流する既燃ガスGによって燃料が吹き戻されて吸気ポート20に付着する可能性があることから、ステップ130へ移行する。
ステップ130では、既燃ガスGの上記逆流期間T1と、燃料が吸気ポート20を浮遊する期間(浮遊期間T2)とが重複しているかどうかを判定する。上記浮遊期間T2に既燃ガスGが逆流すれば、すなわち、逆流期間T1と浮遊期間T2とが重なる期間(重なり期間TOL)であれば、同燃料が吹き戻されて吸気ポート20に付着する可能性が高いからである。
既燃ガスGの逆流期間T1については、先述したとおりである。また、上述したように、燃料噴射弁32からはある程度の期間(目標噴射期間)をもって燃料が噴射される。噴射された燃料が吸気ポート20を浮遊する最も早いタイミングは、燃料が最初に燃料噴射弁32から噴射されるタイミング、すなわち噴射開始時期である。また、噴射された燃料が吸気ポート20を浮遊する最も遅いタイミングは、燃料噴射弁32が燃料噴射を終了する直前に噴射された燃料が吸気ポート20の下流端20Aに到達するタイミングである
そして、上記の観点から、閉じていた燃料噴射弁32が開いて燃料を噴射し始めるタイミングから、噴射終了直前に噴射された燃料(最後に噴射された燃料)が吸気ポート20の下流端20Aに到達するタイミングまでの期間を、燃料が吸気ポート20で浮遊する上記浮遊期間T2とする。この浮遊期間T2の算出に際しては、燃料噴射弁32に供給される燃料の圧力、吸気ポート20内の圧力及びエンジン回転速度NEを考慮することが望ましい。
ここで、燃料の圧力を考慮する理由は、1つには、燃料の圧力に応じて燃料噴射弁32からの燃料の噴射速度(噴射の勢い)が異なり、燃料が吸気ポート20の下流端20Aに到達するまでの時間(到達時間)が異なるからである。具体的には、燃料の圧力が高くなるに従い噴射速度が高くなり、到達時間が短くなる。そのほかの理由として、燃料の圧力に応じて燃料の噴射時間が異なり、最後に噴射された燃料が吸気ポート20の下流端20Aに到達するタイミングが異なることも挙げられる。具体的には、燃料の圧力が高くなるに従い、燃料の噴射時間が短くなり、最後に噴射された燃料が早く吸気ポート20の下流端20Aに到達するようになる。そのため、燃料の圧力が高くなるに従い、浮遊期間T2として短い値を算出することが望ましい。
また、吸気ポート20内の圧力を考慮する理由は、これが、燃料噴射弁32からの燃料の噴射速度に影響を及ぼすからである。より詳しくは、燃料の噴射の圧力と、吸気ポート20内の圧力との差圧に応じて燃料の噴射速度(噴射の勢い)が異なり、上記到達時間が異なるからである。具体的には、吸気ポート20内の圧力が高くなるに従い燃料の噴射の速度が低く(噴射の勢いが弱く)なり、噴射された燃料が遅く吸気ポート20の下流端20Aに到達する。そのため、吸気ポート20の圧力が高くなるに従い、浮遊期間T2として長い値を算出することが望ましい。
なお、吸気ポート20内の圧力と吸入空気量との間には相関関係がある。例えば、吸気ポート20内の圧力が低ければ吸入空気量は少なく、吸気ポート20内の圧力が大気圧に近ければ吸入空気量が多くなる。そのため、浮遊期間T2の算出に際し、吸気ポート20内の圧力に代えて吸入空気量を考慮してもよい。
さらに、エンジン回転速度NEを考慮する理由は、エンジン回転速度NEに応じて燃料の噴射時間が異なり、上記と同様、最後に噴射された燃料が吸気ポート20の下流端20Aに到達するタイミングが異なって、浮遊期間T2が異なってくるからである。
そして、上記ステップ130の判定条件が満たされていないと、既燃ガスGが逆流する期間であるが、浮遊期間T2と重なっておらず、逆流によって燃料が吹き戻されて吸気ポート20に付着する現象が起こらないと考えられる。このことから、上述したステップ120へ移行する。ステップ120では補正係数kを「1.0」に設定し、その後に補正係数算出ルーチンを終了する。この場合には、目標噴射量は増量補正されない。これに対し、上記ステップ130の判定条件が満たされていると、逆流期間T1と浮遊期間T2とが重なっており、逆流により燃料が吸気ポート20に付着すると考えられることから、次のステップ140へ移行する。
ステップ140では、上記既燃ガスGの逆流期間T1と、燃料の浮遊期間T2との重なり期間TOLを算出し、その重なり期間TOLに基づき補正係数kを算出する。この補正係数kは、上述したように、目標噴射量の算出に際し基本噴射量に乗算されるものであり、重なり期間TOLにおいて、逆流により吹き戻されて吸気ポート20に付着する燃料Fの量に対応している。ステップ140では、補正係数kとして「1.0」よりも大きな値を算出する。こうした「1.0」よりも大きな補正係数kが乗算されることで、目標噴射量が増量補正される。さらに、ステップ140では、上記重なり期間TOLが長いときには短いときよりも、補正係数kとして大きな値を算出する。これは、重なり期間TOLが長くなるに従い、燃料噴射弁32から噴射された燃料のうち逆流の影響を受けて吸気ポート20に付着するものが多くなるからである。なお、上記補正係数kの算出に際しては、例えば、重なり期間TOLと補正係数kとの関係を予め規定した制御マップや、算出式を用いてもよい。
次に、ステップ150において、吸気ポート20での既燃ガスGの逆流強さに基づいて、上記ステップ140での補正係数kを変更する。これは、上記重なり期間TOLが同じであったとしても、逆流によって吹き戻されて吸気ポート20に付着する燃料Fの量は、逆流強さが強いときには多く、弱いときには少ないと考えられるからである。ここで、逆流強さとエンジン負荷との間には相関関係が見られる。逆流強さは、エンジン負荷が大きくなるに従い低下する傾向にある。これは、エンジン負荷が大きくなるに従い、筒内圧と吸気ポート20内の圧力との差圧が小さくなるからである。また、逆流強さとエンジン回転速度NEとの間にも相関関係が見られる。逆流強さは、エンジン回転速度NEが高くなるに従い低下する傾向にある。これは、逆流強さを、既燃ガスGが逆流する量で表すことができるものとすると、エンジン回転速度NEの上昇に伴い逆流時間が短くなり、既燃ガスGの逆流する量が少なくなるからである。
そこで、本実施形態では、上述した傾向を考慮して、エンジン負荷及びエンジン回転速度NEに対する逆流強さを規定した制御マップが予め作成されている。図5は、この制御マップのマップ構造を示している。この制御マップでは、エンジン回転速度NE一定のもと、エンジン負荷が小さいときには逆流強さが強く、エンジン負荷が大きくなるに従い逆流強さが弱くなる設定がなされている。また、同制御マップでは、エンジン負荷一定のもと、エンジン回転速度NEが低いときには逆流強さが強く、エンジン回転速度NEが高くなるに従い逆流強さが弱くなる設定がなされている。そして、ステップ150では、そのときのエンジン負荷及びエンジン回転速度NEに対応する逆流強さを上記制御マップから割り出す。
さらに、上記逆流強さに応じた補正係数kの変更に際しては、この補正係数kとは別に、例えば、逆流強さに対応する係数αを求め、これを補正係数kに乗算又は加算し、乗算結果を最終的な補正係数kとしてもよい。この場合、係数αとして、「1.0」よりも大きく、かつ逆流強さが強くなるに従い大きな値を設定する。こうした係数αの設定に際しては、逆流強さと係数αとの関係を予め規定した制御マップや、算出式を用いてもよい。
そして、上記ステップ150の処理を経た後に、この補正係数算出ルーチンを終了する。
上記の補正係数算出ルーチンの各処理が行われると、浮遊期間T2と逆流期間T1との重なり期間TOLにおいてのみ、補正係数kとして「1.0」より大きな値が算出され、それ以外の期間では補正係数kとして「1.0」が算出される。さらに、重なり期間TOLが長いときには短いときよりも補正係数kとして大きな値が算出される。そして、この補正係数kが用いられることにより、重なり期間TOLでは目標噴射量が増量補正され、それ以外の期間では目標噴射量が増量補正されない。さらに、重なり期間TOLが長いときには短いときよりも目標噴射量が多く増量補正される。
このように本実施形態では、単にバルブオーバラップ量や燃料噴射時期に基づいて燃料噴射量を増量補正する特許文献1とは異なり、逆流の影響を受けない期間を含んだ形で増量補正が行われたり、逆流の影響を受けている期間を漏らした形で増量補正が行われたりすることが少なくなる。実際に燃料付着現象が起こる期間が過不足なく増量補正の対象期間とされ、この重なり期間TOLに応じた補正係数kが基本噴射量に乗算されることで、同重なり期間TOLに基づく目標噴射量の増量補正が行われる。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)浮遊期間T2と逆流期間T1とが重なる重なり期間TOLに応じた補正係数kを算出し、この補正係数kを基本噴射量に乗算して目標噴射量を増量補正することで、重なり期間TOLに基づく燃料噴射量の増量補正を行っている。そのため、単にバルブオーバラップ量や燃料噴射時期に基づいて燃料噴射量を増量補正する特許文献1に比べ、燃料噴射量(目標噴射量)の増量補正の精度を高め、燃焼室14への燃料供給量の減少分を確実に補償することができる。
その結果、燃焼室14内に供給される燃料量が、既燃ガスGの逆流のない場合よりも一時的に少なくなって空燃比が一時的にリーンとなる現象を起こりにくくすることができる。これに伴い、加速時に機関出力が一瞬遅れる現象(ヘジテーション)が起こったり、過渡運転時に空燃比が荒れてエミッションが悪化したりするのを抑制することができる。
(2)浮遊期間T2と逆流期間T1との重なり期間TOLが長くなるに従い、燃料噴射弁32から噴射された燃料のうち逆流の影響を受けて吸気ポート20に付着するものが多くなる。従って、本実施形態によるように、重なり期間TOLが長いときには短いときよりも補正係数kとして大きな値を設定することで、上記(1)における増量補正の精度向上を実現することができる。
(3)燃焼室14内の既燃ガスGが吸気ポート20へ逆流する現象は、排気行程において筒内圧が高くなっていることと、吸気バルブ25が開弁することの両方の条件が満たされた期間に起ると考えられる。従って、本実施形態によるように、吸気バルブ25の開弁開始から排気行程終了(上死点TDC)までの期間を逆流期間T1とすることで、燃料を吹き戻して吸気ポート20に付着させる対象となる既燃ガスGの逆流期間T1を正確に把握することができる。
(4)燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気ポート20を浮遊する現象は、同燃料噴射弁32から最初の燃料が噴射され始めてから、最後に噴射された燃料が吸気ポート20の下流端20Aに到達するまでの期間に起こると考えられる。従って、本実施形態によるように、燃料噴射弁32による燃料の噴射開始から、噴射終了直前に噴射された燃料が吸気ポート20の下流端20Aに到達するまでの期間を浮遊期間T2とすることにより、吸気ポート20への付着対象となる燃料が同吸気ポート20内を浮遊する浮遊期間T2を正確に把握することができる。
(5)浮遊期間T2の算出に際し、燃料噴射弁32に供給される燃料の圧力、吸気ポート20内の圧力、エンジン回転速度NEを考慮している。これらの要素は、いずれも浮遊期間T2に影響を及ぼすものである。そのため、こうした考慮をしない場合に比べ、より高い精度で浮遊期間T2を把握することができる。
(6)吸気ポート20における流体の流れ方向が逆流方向であるかどうかを判定し(ステップ110)、満たされていない場合には補正係数kを「1.0」に設定する(ステップ120)ことで、目標噴射量を増量補正しないようにしている。また、逆流期間T1と浮遊期間T2との重なり期間TOLであるかどうかを判定し(ステップ130)、満たされない場合には補正係数kを「1.0」に設定する(ステップ120)ことで、目標噴射量を増量補正しないようにしている。そのため、逆流期間T1と浮遊期間T2との重なり期間TOLとは異なる期間に目標噴射量が不要に増量補正されるのを抑制することができる。
(7)既燃ガスGの逆流によって吹き戻されて吸気ポート20に付着する燃料Fの量は、逆流が強いときには多く、弱いときには少ないと考えられる。従って、本実施形態によるように、吸気ポート20での既燃ガスGの逆流強さをエンジン11の運転状態(エンジン負荷、エンジン回転速度NE)に基づいて推定し、その推定した逆流強さに応じて補正係数kを変更することで、燃料噴射量(目標噴射量)の増量補正の精度をさらに高めることができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・図4のステップ150において、逆流強さを、エンジン負荷及びエンジン回転速度NEの一方のみに基づいて推定してもよい。
・図4のステップ150の処理を省略して、ステップ140で算出した補正係数kを燃料噴射量の補正に用いてもよい。
・目標噴射量の算出に際し、基本噴射量に対し加えられる各種補正の1つとしてエンジン11の低温時の増量補正があることについては前述した。この増量補正の一部として、本実施形態の増量補正(燃料の吹き戻しに起因する燃焼室14への燃料供給量の減少を補償するための補正)を行うようにしてもよい。
・吸気ポート20に流速センサを設け、吸気ポートを流れる気流の速度を、その方向とともに検出するようにしてもよい。この場合、流速センサの検出結果から、気流の流れ方向が逆流方向であるかどうかを推定できるため、同検出結果に基づいて、図4のステップ110の判定処理を行ってもよい。また、上記の推定を、流速センサを用いずに、間接的に行ってもよい。例えば、直接測定した、もしくは吸入空気量等から推定した筒内圧と、同じく直接測定した、もしくは吸入空気量等から推定した吸気ポート20の内圧と、クランク角から求めた吸気バルブの開口面積とから、気流の流れ方向が逆流方向であるかどうかを推定することも可能である。
・本発明は、吸気側及び排気側のバルブタイミング可変装置37,38の少なくとも一方が設けられていないエンジン11にも適用可能である。こうしたタイプのエンジン11であっても、逆流期間T1と浮遊期間T2との重なり期間TOLが存在して、既燃ガスGの逆流による吸気ポート20への燃料付着が起り得るからである。
本発明を具体化した一実施形態についてその構成を示す略図。 吸・排気バルブの各バルブタイミングを示す特性図。 燃料噴射弁から噴射された燃料が既燃ガスの逆流により吹き戻されて吸気ポートに付着する様子を概念的に示す説明図。 電子制御装置によって実行される補正係数算出ルーチンを示すフローチャート。 逆流強さを決定する際に用いられる制御マップのマップ構造を示す略図。 逆流期間T1、浮遊期間T2、重なり期間TOL等の関係を説明するためのタイミングチャート。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、14…燃焼室、20…吸気ポート、20A…下流端、25…吸気バルブ、32…燃料噴射弁、51…電子制御装置(燃料噴射手段、補正手段)、F…燃料、G…既燃ガス、T1…逆流期間、T2…浮遊期間、TOL…重なり期間。

Claims (4)

  1. 内燃機関の運転状態に応じた燃料噴射量を設定し、吸気ポートに配置された燃料噴射弁から前記燃料噴射量の燃料を噴射して燃焼室に供給する燃料噴射手段を備える内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料噴射弁から噴射された燃料が前記吸気ポート内を浮遊する浮遊期間と、吸気バルブの開弁に伴い前記燃焼室内の既燃ガスが前記吸気ポートへ逆流する逆流期間とが重なる期間に基づいて、前記燃料噴射手段により設定される前記燃料噴射量を増量補正する補正手段をさらに備え
    前記補正手段は、前記燃料噴射弁による燃料の噴射開始から、噴射終了直前に噴射された燃料が前記吸気ポートの下流端に到達するまでの期間を前記浮遊期間として前記燃料噴射量の増量補正を行い、
    前記浮遊期間は、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が高いほど短く、前記吸気ポート内の圧力が高いほど長く算出されるとともに、前記機関の回転速度に基づいて算出されることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記浮遊期間と前記逆流期間との重なり期間が長いときには短いときよりも前記燃料噴射量を多く増量補正する請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 前記補正手段は、排気行程の途中で前記吸気バルブが開弁を開始する場合において、前記吸気バルブの開弁開始から排気行程終了までの期間を前記逆流期間として前記燃料噴射量の増量補正を行う請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記補正手段は、前記吸気ポートでの前記既燃ガスの逆流強さを前記内燃機関の運転状態に基づいて推定し、その推定した逆流強さに応じて前記燃料噴射量の補正量を変更する請求項1〜のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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