JP2009228449A - 筒内直接噴射式内燃機関の燃圧設定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料噴射弁の噴射タイミングが圧縮上死点付近であるときに、前記噴射タイミングにおける筒内圧を推定又は検出し、前記噴射タイミングにおける筒内圧が高いほど前記燃料噴射弁に対する燃料供給圧の目標値を増大補正する。ここで、筒内圧の推定は、機関負荷・機関回転速度と共に、吸気バルブのバルブリフト量・バルブタイミング、更に、大気圧・吸気温度に基づいて行わせる。
【選択図】図5
Description
しかし、2回目の圧縮上死点付近での燃料噴射は、筒内の圧力が最大値に近い状態で行われるため、燃料噴射量が充分であったとしても、燃料噴霧の貫徹力が弱まることで、点火プラグの近傍に安定して燃料噴霧を到達させることができず、成層燃焼における燃焼安定性が悪化するという問題があった。
図1は、実施形態における車両用内燃機関のシステム構成図である。
図1において、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ(吸気絞り弁)103bを開閉する電子制御スロットル装置104が介装され、該電子制御スロットル装置104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
前記燃料噴射弁131には、高圧に昇圧された燃料が供給され、マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールモジュール(ECM)114から送られる噴射パルス信号の噴射パルス幅(開弁時間)に比例する量の燃料を噴射する。
前記点火プラグ151には、それぞれパワートランジスタ内蔵式イグニッションコイル152が直付けされており、前記エンジンコントロールモジュール114から前記パワートランジスタのオン・オフを制御する点火制御信号を出力することで、各気筒の点火時期が制御される。
燃焼室106内の燃焼排気は、排気バルブ107を介して排気管に排出され、フロント触媒コンバータ108及びリア触媒コンバータ109で浄化された後、大気中に放出される。
前記吸気バルブ105のリフト特性は、可変動弁機構としての可変リフト機構112及び可変バルブタイミング機構113によって可変とされる。
尚、前記最大バルブリフト量とは、吸気バルブのリフト(開弁)が開始されてバルブリフト量が漸増し、その後漸減変化に移行して閉弁する一連の動作において、バルブリフト量が極大値となったときのバルブリフト量を示す。
また、前記排気バルブ107は、排気側カムシャフト110に設けられたカム111によって、一定の最大バルブリフト量,バルブ作動角,バルブ作動角の中心位相を保って開駆動される。
前記低圧燃料ポンプ136は、前記高圧燃料ポンプ137に燃料タンク135内の燃料を供給するためのポンプであり、図示省略したプレッシャレギュレータによって高圧燃料ポンプ137への燃料の供給圧が一定に制御されるようになっている。
前記エンジンコントロールモジュール114には、前記燃料噴射弁131に供給される燃料の圧力PFを検出する燃圧センサ138の出力信号が入力され、前記燃圧センサ138で検出される燃料供給圧PFが目標圧に近づくように、前記ソレノイドへの通電タイミングを制御し、以って、前記高圧燃料ポンプ137からの燃料の吐出量を制御する。
前記エンジンコントロールモジュール114には、各種センサからの検出信号が入力される。
また、内燃機関101の回転速度NEは、前記基準クランク角位置REFの検出間隔時間に基づいて算出される。
本実施形態の内燃機関101は、各気筒に一対の吸気バルブ105がそれぞれ設けられており、これら吸気バルブ105の上方に、前記クランクシャフト120によって回転駆動される吸気バルブ駆動軸3が気筒列方向に沿って回転可能に支持されている。
前記吸気バルブ駆動軸3と揺動カム4との間に、吸気バルブ105のバルブ作動角及び最大バルブリフト量を連続的に変更するための可変リフト機構112が設けられている。
尚、図2では、一対の吸気バルブ105について、一方にのみ可変リフト機構112を図示し、他方については図示を省略してある。
前記可変リフト機構112は、図2及び図3に示すように、吸気バルブ駆動軸3に偏心して固定的に設けられる円形の駆動カム11と、この駆動カム11に相対回転可能に外嵌するリング状リンク12と、吸気バルブ駆動軸3と略平行に気筒列方向へ延びる制御軸13と、この制御軸13に偏心して固定的に設けられた円形の制御カム14と、この制御カム14に相対回転可能に外嵌すると共に、一端がリング状リンク12の先端に連結されたロッカアーム15と、このロッカアーム15の他端と揺動カム4とに連結されたロッド状リンク16と、を有している。
また、前記モータ17を駆動制御して制御軸13の回転角度を変化させることにより、ロッカアーム15の揺動中心となる制御カム14の軸心位置が変化して揺動カム4の姿勢が変化する。
エンジンコントロールモジュール114には、前記制御軸13の回転角を検出する角度センサ133からの検出信号CAが入力され、目標バルブリフト量に対応する目標角度位置に前記制御軸13を回動させるべく、前記角度センサ133の検出結果に基づいて前記モータ17への供給電流をフィードバック制御する。
次に、前記可変バルブタイミング機構113の構成を、図4に基づいて説明する。
本実施形態では、可変バルブタイミング機構113として、ベーン式の可変バルブタイミング機構を採用している。
前記ハウジング56は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面には、横断面台形状を呈し、それぞれハウジング56の軸方向に沿って設けられる4つの隔壁部63が90°間隔で突設されている。
前記第1〜第4ベーン78a〜78dは、それぞれ断面が略逆台形状を呈し、各隔壁部63間の凹部に配置され、前記凹部を回転方向の前後に隔成し、ベーン78a〜78dの両側と各隔壁部63の両側面との間に、進角側油圧室82と遅角側油圧室83とを構成する。
前記油圧回路54は、進角側油圧室82に対して油圧を給排する第1油圧通路91と、遅角側油圧室83に対して油圧を給排する第2油圧通路92との2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路91,92には、供給通路93とドレン通路94a,94bとがそれぞれ通路切り換え用の電磁切換弁95を介して接続されている。
前記第1油圧通路91は、回転部材53の基部77内に略放射状に形成されて各進角側油圧室82に連通する4本の分岐路91dに接続され、第2油圧通路92は、各遅角側油圧室83に開口する4つの油孔92dに接続される。
前記エンジンコントロールモジュール114は、前記電磁切換弁95を駆動する電磁アクチュエータ99に対する通電量を、通電のオン時間割合を制御するデューティ制御信号に基づいて制御する。
従って、遅角側油圧室83の内圧が高、進角側油圧室82の内圧が低となって、回転部材53は、ベーン78a〜78bを介して最大遅角側に回転し、この結果、吸気バルブ105の開期間(開時期及び閉時期)が遅くなり、バルブオーバーラップが縮小する。
このため、回転部材53は、ベーン78a〜78dを介して進角側へ最大に回転し、これによって、吸気バルブ105の開期間(開時期及び閉時期)が早くなり、バルブオーバーラップが拡大する。
前記均質燃焼モードでは、吸気行程中に、1回の噴射で要求空燃比に見合う燃料を噴射させることで、燃焼室106内に均質混合気を形成させる。
成層燃焼モードで混合気を成層化するために、燃料噴射弁131による噴霧が点火プラグ151を指向するように設定され、かつ、成層燃焼モードでは、燃料噴射が2回に分けて行われ、1回目の燃料噴射を、吸気行程中期から圧縮行程前期において行わせ、2回目の燃料噴射を、圧縮行程後期(圧縮上死点付近)で行わせるようになっている。
尚、均質燃焼モードの噴射タイミングと、成層燃焼モードの1回目の噴射タイミングとを同じに設定することができる。
ここで、前記2回目の燃料噴射は、前述のように、点火プラグ151回りに比較的に濃い混合気塊を形成するために行われるが、噴射タイミングが圧縮上死点付近であって筒内圧が最も高い条件であるため、燃料噴射弁131に対する燃料の供給圧が適切でないと、燃料噴霧の貫徹力の不足によって噴霧特性が大きく変化し、点火プラグ151回りに所望の混合気塊を形成できなくなって成層燃焼の安定性を損なってしまう。
図5は、前記燃料供給圧制御の第1実施形態における目標燃圧の設定手順を示すフローチャートである。
図5のフローチャートにおいて、ステップS501では、目標燃圧の基本値FPBASEを、そのときの機関負荷TP及び機関回転速度NEに基づいて演算する。
前記基本値FPBASEは、高負荷・高回転のときにより高い値に設定される。
次のステップS502では、成層燃焼における2回目の噴射タイミングITBASE(噴射開始時期)を、そのときの機関負荷TP及び機関回転速度NEに基づいて演算する。
前記噴射タイミングITBASEは、高負荷・高回転のときにより早いタイミングに設定され、該噴射タイミングITBASEに基づいて燃料噴射弁131に対する噴射パルス信号の出力が行われる。
前記所定クランク角範囲とは、例えば、圧縮上死点前30°から圧縮上死点後30°までの範囲とするが、圧縮上死点前後の30°の範囲に限定されない。
前記噴射タイミングITBASEが、前記圧縮上死点の前後の所定クランク角範囲内でない場合には、ステップS504へ進み、前記基本値FPBASEをそのまま最終的な目標燃圧FPSにセットする。
一方、前記噴射タイミングITBASEが、前記所定クランク角範囲内であって圧縮上死点近傍であるときには、前記所定クランク角範囲外であるときよりも噴射タイミングITBASEでの筒内圧が高く、しかも、吸気バルブ105のリフト特性や大気圧・吸気温度などの条件で筒内圧が大きく変化し、これによって、燃料噴霧の貫徹力が失われて、点火プラグ151回りに所望の混合気塊を形成できなくなる場合がある。
前記ステップS505における筒内圧の推定演算(筒内圧推定・検出手段)の詳細は、図6のブロック図に示してある。
補正部602では、前記基本値PiBASEに、後述するようにして算出される補正量PiHOSを加算し、その結果を、噴射タイミングでの筒内圧PiCALとして出力する。
PiHOS=IVTHOS+IVLHOS+ATMHOS+INTEMPHOS
上記演算式において、前記IVTHOSは、前記可変バルブタイミング機構113によって可変とされる、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相IVTに基づき設定されるバルブタイミング補正量であり、バルブタイミング補正量演算部604において、前記中心位相IVTが進角するほど大きな値に設定され、吸気バルブ105のバルブタイミングの進角時に、噴射タイミングでの筒内圧PiCALがより高く補正されるようにしてある。
また、前記IVLHOSは、前記可変リフト機構112によって可変とされる、吸気バルブ105の最大バルブリフト量IVL(バルブ作動角)に基づき設定されるバルブリフト補正量であり、バルブリフト補正量演算部605において、最大バルブリフト量IVLが高く吸入空気量が多いときほど大きな値に設定され、吸気バルブ105の最大バルブリフト量が高いほど、噴射タイミングでの筒内圧PiCALがより高く補正されるようにしてある。
また、前記ATMHOSは、大気圧センサ141で検出される大気圧ATMに基づき設定される気圧補正量であり、気圧補正量演算部606において、大気圧ATMが高いほど(空気密度が高いほど)大きな値に設定され、大気圧ATMが高いほど、噴射タイミングでの筒内圧PiCALがより高く補正されるようにしてある。
更に、前記INTEMPHOSは、吸気温度センサ142で検出される吸気温度INTEMPに基づき設定される吸気温補正量であり、吸気温補正量演算部607において、吸気温度INTEMPが高いほど(空気密度が低いほど)小さな値に設定され、吸気温度INTEMPが高いほど、噴射タイミングでの筒内圧PiCALがより低く補正されるようにしてある。
尚、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相IVT(バルブタイミング)、吸気バルブ105の最大バルブリフト量IVL(バルブ作動角)、大気圧ATM、吸気温度INTEMPの全てを用いて補正量PiHOSを演算するのではなく、前記パラメータのうちの少なくとも1つに基づき補正量PiHOSを演算させることができる。
図5のフローチャートのステップS505で、噴射タイミングでの筒内圧PiCALを推定すると、次のステップS506では、前記筒内圧PiCALに基づいて燃圧補正値FPHOSを決定する。
そして、ステップS507(目標圧補正手段)では、目標燃圧の基本値FPBASEに前記補正値FPHOSを加算した結果を、最終的な目標燃圧FPSに設定する(FPS=FPBASE+FPHOS)。
前記エンジンコントロールモジュール114は、前記目標燃圧FPSと前記燃圧センサ138で検出される実際の燃料供給圧との差に基づいて、前記高圧燃料ポンプ137の動作(吸入弁の開閉を制御するソレノイドへの通電)をフィードバック制御することで、実際の燃料供給圧を前記目標燃圧FPSに近づける。
これによって、圧縮上死点付近で噴射された燃料を点火プラグ151の近傍に到達させて、点火プラグ151回りに所望の混合気塊を安定的に形成でき、成層燃焼における燃焼安定性を確保できる。
但し、筒内圧センサ143を、上記の点火プラグ151と一体型の圧電素子タイプに限定するものではなく、公知の種々の筒内圧センサを適宜採用できる。
図8のフローチャートは、筒内圧センサ143を備える第2実施形態における目標燃圧の設定手順を示す。
ステップS703では、ステップS503と同様に、前記噴射タイミングITBASE(噴射開始時期)が、圧縮上死点の前後の所定クランク角範囲内であるか否かを判断し、前記所定クランク角範囲外であれば、ステップS704へ進み、ステップS504と同様に、前記基本値FPBASEをそのまま最終的な目標燃圧FPSにセットする。
ステップS705では、前記所定クランク角範囲内の噴射タイミングITBASEにおける筒内圧PiNOWを、前記筒内圧センサ143の出力信号に基づいて検出する(筒内圧推定・検出手段)。
また、噴射タイミングITBASEを含む角度領域内で、一定角度又は一定時間毎に筒内圧センサ143による検出を行わせ、複数の検出結果の単純平均値や、クランク角位置に応じて重み付けを行った平均値に基づいて、筒内圧PiNOWを検出させることができる。
また、噴射タイミングITBASEにおける筒内圧PiNOWの変化に対して実際の燃料圧力の変化は遅れるので、例えば、筒内圧センサ143で検出された筒内圧PiNOWの変化速度から現時点よりも先の時点での筒内圧を推定させ、該推定値に基づいて目標燃圧を設定させることもできる。
次のステップS707(目標圧補正手段)では、前記補正値FPHOSを前記基本値FPBASEに加算した結果を、最終的な目標燃圧FPSに設定する(FPS=FPBASE+FPHOS)。
尚、本実施形態では、成層燃焼において燃料噴射が2回に分けて行われる場合を例示したが、圧縮上死点付近で1回のみ燃料噴射を行う場合についても、上記実施形態と同様に、噴射タイミングにおける筒内圧を推定又は検出して燃料供給圧を設定することで、同様の作用・効果を得ることができる。
また、燃料供給圧の設定においては、噴射タイミングとしての噴射開始時期が圧縮上死点前後の所定範囲内であるか否かを判断させることとしたが、噴射の終了時期、又は、噴射期間の中心クランク角位置が前記所定範囲内であるか否かを判断させることができ、更には、噴射開始から終了までの期間の所定割合以上が前記所定範囲内に含まれている場合に、筒内圧の推定・検出値に基づく燃料供給圧の補正を行わせる構成とすることができる。
Claims (5)
- 筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備えた筒内直接噴射式内燃機関において、
前記燃料噴射弁の噴射タイミングにおける筒内圧を推定又は検出する筒内圧推定・検出手段と、
前記筒内圧推定・検出手段で推定又は検出された噴射タイミングにおける筒内圧に基づいて前記燃料噴射弁に対する燃料供給圧の目標値を補正する目標圧補正手段と、
を含んで構成されたことを特徴とする筒内直接噴射式内燃機関の燃圧設定装置。 - 前記噴射タイミングが圧縮上死点付近であるときに、前記筒内圧推定・検出手段が、圧縮上死点付近での筒内圧を推定又は検出し、かつ、前記目標圧補正手段が、前記筒内圧推定・検出手段で推定又は検出された筒内圧に基づいて前記目標値を補正することを特徴とする請求項1記載の筒内直接噴射式内燃機関の燃圧設定装置。
- 前記目標圧補正手段が、機関負荷及び機関回転速度に基づき設定される燃料供給圧の基本目標値を、噴射タイミングにおける筒内圧に基づいて設定した補正値で補正することを特徴とする請求項1又は2記載の筒内直接噴射式内燃機関の燃圧設定装置。
- 前記筒内圧推定・検出手段が、機関負荷と機関回転速度とに基づく筒内圧の基本値を、吸気温度,大気圧,機関バルブの開特性のうちの少なくとも1つに応じて補正して、噴射タイミングにおける筒内圧を推定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の筒内直接噴射式内燃機関の燃圧設定装置。
- 前記筒内直接噴射式内燃機関が、吸気バルブのバルブリフト量及び/又は吸気バルブのバルブ作動角の中心位相を可変とする可変動弁機構を備え、前記機関バルブの開特性が、前記可変動弁機構によって可変とされる吸気バルブのバルブリフト量及び/又はバルブ作動角の中心位相であることを特徴とする請求項4記載の筒内直接噴射式内燃機関の燃圧設定装置。
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JP2012021434A (ja) * | 2010-07-13 | 2012-02-02 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の制御装置 |
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2008
- 2008-03-19 JP JP2008071566A patent/JP2009228449A/ja active Pending
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