JP2010077849A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】機関の始動開始後、所定ピストン位置の気筒を判別し、該判別結果に基づいて燃料噴射を開始させる気筒(初回噴射気筒)が特定されるまでは、各気筒の吸気バルブを略全閉状態に保持させ、初回噴射気筒の吸気行程であって、燃料噴射弁から噴射された燃料を燃焼室内に吸引することになる吸気行程から吸気バルブの開動作を開始させる。
【選択図】図10
Description
そして、機関の再始動時に、機関回転に同期して吸気バルブが開くことで、機関の停止中に吸気管内に留まっていた燃料が燃焼室内に吸引されることになるが、機関の始動開始から最初に燃料噴射がなされこれが燃焼されるようになるまでは、吸気管内に留まっていた燃料が燃焼室内に吸引されても、燃焼されることなくそのまま排気管に排出され、始動時における未燃焼成分(HC)の排出量が多くなってしまうという問題があった。
このため、気筒判別がなされるまでの間は、燃料噴射弁からの噴射がなされないが、吸気バルブが機関回転に同期して開動作すると、機関停止中に吸気管内に留まっていた燃料が燃焼室内に吸引されることになる。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、機関停止中に吸気管内に留まっていた燃料が、始動開始に伴って燃焼されることなく機関から排出されることを抑止して、始動時における未燃焼成分(HC)の排出量を低下させることを目的とする。
図1は、本発明に係る制御装置を備えた内燃機関のシステム構成を示す図である。
内燃機関101は直列4気筒機関であり、各気筒に空気を導入する吸気管102には、内燃機関101の吸入空気流量QAを検出する吸入空気量センサ103が設けられている。
各気筒の燃焼室104の吸気口を開閉する吸気バルブ105が設けられ、該吸気バルブ105上流側の吸気管102には、気筒毎に燃料噴射弁106が配置される。
前記燃料噴射弁106には、開弁時間に比例する燃料が噴射されるように圧力が調整された燃料が供給されるようになっており、燃料噴射弁106における噴射量は、噴射時間(噴射パルス幅)で表すことができる。
前記燃焼室104の排気口を開閉する排気バルブ110が設けられ、該排気バルブ110が開くことで排ガスが排気管111に排出される。
前記吸気バルブ105及び排気バルブ110は、クランク軸109を介して回転駆動されるカム軸の回転によって開閉動作する。
前記排気バルブ110は、一定のバルブリフト量・バルブ作動角・バルブタイミングで開閉動作するが、前記吸気バルブ105のバルブリフト量・バルブ作動角・バルブタイミングは、可変バルブリフト機構113及び可変バルブタイミング機構114によって変更可能となっている。
前記可変バルブリフト機構113が本実施形態における可変動弁機構に相当し、吸気バルブ105の開度は、前記バルブリフト量及びバルブ作動角の変化に応じて変化することになる。
また、前記点火プラグ107それぞれには、点火プラグ107に対して点火エネルギを供給する点火モジュール116が直付けされている。
前記燃料噴射弁106,可変バルブリフト機構113,可変バルブタイミング機構114及び点火モジュール116は、エンジン制御装置201によって制御される。
前記エンジン制御装置201は、マイクロコンピュータを含んで構成され、各種センサ・スイッチからの信号を入力し、予め記憶されたプログラムに従った演算処理を行うことで、前記燃料噴射弁106,可変バルブリフト機構113,可変バルブタイミング機構114及び点火モジュール116それぞれの操作量を決定し出力する。
図2は、吸気バルブ105のバルブリフト量及びバルブ作動角を連続的に可変とする可変バルブリフト機構113の構造を示す斜視図である。
前記吸気カム軸115には、吸気バルブ105のバルブリフタ105aに当接して吸気バルブ105を開閉駆動する揺動カム4が相対回転可能に外嵌されている。
前記吸気カム軸115と揺動カム4との間には、吸気バルブ105のバルブ作動角及びバルブリフト量を連続的に変更するための可変バルブリフト機構113が設けられている。
前記可変バルブリフト機構113は、図2及び図3に示すように、吸気カム軸115に偏心して固定的に設けられる円形の駆動カム11と、この駆動カム11に相対回転可能に外嵌するリング状リンク12と、吸気カム軸115と略平行に気筒列方向へ延びる制御軸13と、この制御軸13に偏心して固定的に設けられた円形の制御カム14と、この制御カム14に相対回転可能に外嵌すると共に、一端がリング状リンク12の先端に連結されたロッカアーム15と、このロッカアーム15の他端と揺動カム4とに連結されたロッド状リンク16と、を有している。
上記の構成により、クランク軸109に連動して吸気カム軸115が回転すると、駆動カム11を介してリング状リンク12がほぼ並進移動すると共に、ロッカアーム15が制御カム14の軸心周りに揺動し、ロッド状リンク16を介して揺動カム4が揺動して吸気バルブ105が開閉駆動される。
これにより、図5の矢印301に示すように、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相SPが略一定のままで、吸気バルブ105のバルブ作動角OA及びバルブリフト量VLが連続的に変化する。
また、前記制御軸13を回転駆動するアクチュエータとして、モータ17に代えて油圧アクチュエータなどの他のアクチュエータを用いることができる。
前記可変バルブタイミング機構114は、クランク軸109によりタイミングチェーンを介して回転駆動されるカムスプロケット51(タイミングスプロケット)と、前記吸気カム軸115の端部に固定されてカムスプロケット51内に回転自在に収容された回転部材53と、該回転部材53をカムスプロケット51に対して相対的に回転させる油圧回路54と、カムスプロケット51と回転部材53との相対回転位置を所定位置で選択的にロックするロック機構60とを備えている。
前記ハウジング56は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面には、横断面台形状を呈し、それぞれハウジング56の軸方向に沿って設けられる4つの隔壁部63が90°間隔で突設されている。
前記第1〜第4ベーン78a〜78dは、それぞれ断面が略逆台形状を呈し、各隔壁部63間の凹部に配置され、前記凹部を回転方向の前後に隔成し、ベーン78a〜78dの両側と各隔壁部63の両側面との間に、進角側油圧室82と遅角側油圧室83を構成する。
前記油圧回路54は、進角側油圧室82に対して油圧を給排する第1油圧通路91と、遅角側油圧室83に対して油圧を給排する第2油圧通路92との2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路91,92には、供給通路93とドレン通路94a,94bとがそれぞれ通路切り換え用の電磁切換弁95を介して接続されている。
前記第1油圧通路91は、回転部材53の基部77内に略放射状に形成されて各進角側油圧室82に連通する4本の分岐路91dに接続され、第2油圧通路92は、各遅角側油圧室83に開口する4つの油孔92dに接続される。
前記エンジン制御装置201は、前記電磁切換弁95を駆動する電磁アクチュエータ99に対する通電量を、ディザ信号が重畳されたデューティ制御信号(操作量)に基づいて制御する。
また、電磁アクチュエータ99にデューティ比100%の制御信号(ON信号)を出力すると、作動油は、第1油圧通路91を通って進角側油圧室82内に供給されると共に、遅角側油圧室83内の作動油が第2油圧通路92及び第2ドレン通路94bを通ってオイルパン96に排出され、遅角側油圧室83が低圧になる。
このように、前記可変バルブタイミング機構114は、図5の矢印302に示すように、吸気バルブ105のバルブ作動角OA及びバルブリフト量VLを変えずに、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相SPを進・遅角変化させる。
例えば、可変バルブタイミング機構114としては、上記のベーン式の他、歯車を用いてクランク軸109に対し前記吸気カム軸115を相対回転させる機構などを用いることができ、更に、油圧アクチュエータの他、モータや電磁ブレーキをアクチュエータとして用いる機構を採用できる。
一方、前記カムセンサ204は、図15又は図16に示すように、前記リファレンス信号REFの発生間隔毎に、気筒ナンバーを示す数のカム信号CAMを出力し、可変バルブタイミング機構114によってクランク軸109に対する吸気カム軸115の位相が変化すると、前記リファレンス信号REFの出力位置に対するカム信号CAMの出力位置が変化する。
尚、前記カム信号CAMの発生位置は、可変バルブタイミング機構114によって吸気カム軸115の位相を変化させても、リファレンス信号REFを超えて変化することがないように設定されている。
図6は、前記エンジン制御装置201の内部構成を示す図である。
CPU401の内部には、内燃機関101に設置された各センサから出力されるアナログの電気信号をデジタル信号に変換して入力し、デジタル信号として演算される制御信号を、実際のアクチュエータの駆動信号に変換するI/O部402が設けられている。
前記CPU401から出力される制御信号はドライバ403を介して、各気筒の燃料噴射弁106a〜106d、各気筒の点火モジュール116a〜116d、可変バルブリフト機構113(モータ17)、可変バルブタイミング機構114(電磁アクチュエータ99)へ出力される。
クランク角センサ信号処理手段501には、クランク角センサ203からのポジション信号POS及びリファレンス信号REF、及び、カムセンサ204からのカム信号CAMが入力される。
そして、クランク角センサ信号処理手段501に含まれる気筒判別手段501aでは、前記リファレンス信号REFが発生する毎に、前回のリファレンス信号REFの発生時から今回までの間に入力されたカム信号CAMの数に基づいて、今回のリファレンス信号REFが所定ピストン位置に相当する気筒を判別する。
また、クランク角センサ信号処理手段501に含まれる回転数計算手段501bでは、前記リファレンス信号REFの発生間隔時間や、所定時間内におけるポジション信号POSの発生数を検出することで、内燃機関101の回転数NE(rpm)を計算する。
更に、応答遅れ分補正手段502bでは、前記吸入空気量センサ103の検出結果に対する実際の吸入空気量変化の応答遅れを補償するための補正を、前記電圧信号を変換して得た吸入空気流量QAのデータに施す。
基本燃料補正係数計算手段504には、前記機関負荷と機関回転数NEとが入力され、これらに基づいてマップを参照して、前記基本燃料噴射量TPを補正するための補正係数を設定する。
空燃比帰還制御係数計算手段506には、前記目標空燃比、前記機関負荷、機関回転数NE、更に、空燃比センサ209で検出された実際の空燃比が入力され、これらに基づいて空燃比帰還制御係数(空燃比フィードバック補正係数)を計算する。
基本燃料補正手段507には、前記空燃比帰還制御係数、水温センサ208で検出された冷却水温度TW、前記基本燃料補正係数、前記基本燃料噴射量TPが入力され、前記基本燃料噴射量TPを、前記空燃比帰還制御係数,前記基本燃料補正係数及び冷却水温度TWに応じた補正係数などに基づいて補正して、最終的な燃料噴射量TI(燃料噴射パルス幅)を決定する。
また、基本点火時期計算手段508には、前記機関負荷と機関回転数NEとが入力され、これらに基づいてマップを参照して、基本点火時期(基本点火進角値)を決定する。
そして、前記点火時期補正手段509は、各気筒の点火プラグ107による点火を、前記点火時期(点火進角値)で行わせるべく、クランク角位置の情報に基づいて前記点火モジュール116a〜116dに点火制御信号を出力する。
そして、アクセル開度ACC及び機関回転速度NEに基づいて目標吸入空気量を演算し、該目標吸入空気量等に基づいて目標バルブリフト量,目標中心位相を演算して、該目標バルブリフト量,目標中心位相に基づいて可変バルブリフト機構113(モータ17)、可変バルブタイミング機構114(電磁アクチュエータ99)へ出力する制御信号を設定すると共に、本願発明に係る始動時における吸気バルブ105の開閉制御(可変動弁始動時処理)を実行する。
ステップS1101では、前記リファレンス信号REF及び/又はポジション信号POSに基づいて、機関回転数NE(rpm)を計算する。
ステップS1103では、前記吸入空気量センサ103の出力(電圧信号)を、吸入空気流量QAのデータに変換し、更に、センサ出力の変化に対する実際の吸入空気流量の応答遅れを補償するための補正を施して、最終的な吸入空気流量QAの検出値を得る。
ステップS1105では、機関負荷と機関回転数NEとから、基本燃料補正係数を設定する。
ステップS1107では、機関負荷と機関回転数NEとに基づいて、目標空燃比を設定する。
ステップS1108では、前記空燃比センサ209で検出された実際の空燃比と、前記目標空燃比とに基づいて、実際の空燃比を目標空燃比に近づけるための空燃比帰還制御係数(空燃比フィードバック補正係数)を設定する。
ステップS1110では、機関負荷と機関回転数NEとに基づいて、基本点火時期(基本点火進角値)を設定する。
ステップS1112では、前記基本点火時期(基本点火進角値)を、冷却水温度TWに応じた補正値で補正して、最終的な点火時期(点火進角値)を決定する。
ステップS1113では、アクセルセンサ206で検出されたアクセル開度ACCに基づいて、内燃機関101の目標吸入空気量を設定する。
ステップS1115では、吸気バルブ105のバルブリフト量(吸気バルブ開度)の目標値を、前記目標吸入空気量などに基づいて決定する。
ステップS1116では、吸気バルブ105の開駆動制御の始動時処理を行う。
前記学習は、例えば、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相を最遅角位置(機械的な制限位置)に制御したときに、クランク角センサ203からの信号とカムセンサ204からの信号とに基づいて検出される位相角を、最遅角位置での検出値として学習し、該最遅角位置からの進角量として、中心位相が検出されるようにするものである。
ステップS1201では、リファレンス信号REFが出力される間(前回のリファレンス信号REFの出力タイミングから今回のリファレンス信号REFの出力タイミングまでの間)におけるカム信号CAMの出力数の計数結果を読み込む。
カム信号CAMの出力数が1であった場合には、ステップS1203へ進み、第1気筒の圧縮上死点前(第1気筒が所定ピストン位置)であると判定する。
カム信号CAMの出力数が1でなかった場合には、ステップS1204へ進み、カム信号CAMの出力数が2であったか否かを判別する。
カム信号CAMの出力数が2でなかった場合には、ステップS1206へ進み、カム信号CAMの出力数が3であったか否かを判別する。
カム信号CAMの出力数が3であった場合には、ステップS1207へ進み、第3気筒の圧縮上死点前(第3気筒が所定ピストン位置)であると判定する。
カム信号CAMの出力数が4であった場合には、ステップS1209へ進み、第4気筒の圧縮上死点前(第4気筒が所定ピストン位置)であると判定する。
即ち、リファレンス信号REFは、各気筒の圧縮上死点前でそれぞれ出力され、今回のリファレンス信号REFとその前のリファレンス信号REFとの間で出力されるカム信号CAMの数は、今回のリファレンス信号REFが圧縮上死点前に相当する気筒の番号を示すように、クランク角センサ203及びカムセンサ204の出力特性が設定されている。
ステップS1203,ステップS1205,ステップS1207,ステップS1209のいずれかで、第1〜第4気筒の圧縮上死点前であると判定したときには、更に、開動作許可手段として機能するステップS1210へ進み、吸気バルブ105の開弁動作を許可する。
前記吸気バルブ105の開弁動作が禁止される状態では、前記可変バルブリフト機構113における目標バルブリフト量(目標バルブ作動角)が、そのときの機関運転条件とは無関係に強制的に最小値に保持され、吸気カム軸115が回転しても、吸気バルブ105が全閉状態を保持するか、各気筒の吸気行程毎に微小に(微小リフト(例えば、1mmリフト量以下)及び微小作動角で)開くようにする。
気筒判定部801では、クランク角センサ203からのリファレンス信号REFと、カムセンサ204からのカム信号CAMとを入力し、前記図9のフローチャートに示した処理に従って、圧縮上死点前(所定ピストン位置)の気筒を判別し、圧縮上死点前(所定ピストン位置)の気筒を示す信号と、吸気バルブ105の開弁動作の許可信号とを出力する。
尚、前記図11に示す制御ブロック図に従った制御によって、機関101の始動開始後に最初に燃料噴射がなされかつ噴射された燃料が燃焼される気筒(初回噴射気筒、初回燃焼気筒、初回爆発気筒)を特定するので、図11に示す制御ブロック図の機能が、初回噴射気筒設定手段に相当する。
ここで、冷却水温度TWが低いほど始動時燃料噴射量はより大きな値に設定されるようになっており、内燃機関101の始動時(スタータモータのオン時であってクランキング中)には、機関回転速度NE・吸入空気流量QAの検出結果を用いずに、冷却水温度TWから燃料噴射量を決定するようになっている。
フィルタリング部902では、機関回転数NE(rpm)の算出結果を入力し、入力した機関回転数NE(rpm)について低周波数成分を通過させるローパスフィルタ処理(なまし処理、平滑化処理)を実行し、始動時で変動の大きな回転数の平均的な値を求める。
燃料噴射量角度換算部903では、そのときに算出されている燃料噴射量(噴射パルス幅)を、前記フィルタリング部902を通過した機関回転数NE(rpm)のデータに基づいて、クランク角度のデータに変換する。
開度・位相演算部904では、機関運転条件(例えば機関負荷・機関回転速度)に応じて目標中心位相及び目標バルブリフト量(目標開度)を演算して出力する。
本実施形態では、リファレンス信号REFが出力される毎に、そのときに圧縮上死点前である気筒を特定することで、次に燃料噴射を行うべき気筒を特定し、かつ、当該気筒における噴射開始タイミングを決定するようになっており、燃料噴射のセットタイミングとは、リファレンス信号REFの出力時である。
そこで、前記噴射限界角度計算部905では、目標中心位相及び目標バルブリフト量に基づいて前記吸気バルブ105の開時期IVOを求めて、該開時期IVOを前記噴射終了の限界角度位置として設定し、リファレンス信号REFから開時期IVO(噴射終了の限界角度位置)までの角度ANGOPを演算する。
また、予め噴射終了タイミングを設定し、噴射開始タイミングを燃料噴射量に応じて可変に設定する噴射制御において、前記噴射終了タイミングを、噴射限界角度計算部905における噴射終了の限界角度位置に設定する代わりに、排気性能等から許容される範囲内で噴射終了タイミングよりも遅い時期を、噴射終了の限界角度位置とすることができる。
この場合、前記噴射限界角度計算部905における噴射終了の限界角度位置は、吸気バルブ105が閉じるまでに、噴射した燃料が全てシリンダ内に吸引されること、均質混合気を形成でき未燃焼成分の排出量が許容値以下であることなどの要求から適宜設定することができる。
一方、噴射終了角度計算部906では、燃料噴射のセットタイミング(リファレンス信号REF)から燃料噴射が終了すると予測される位置までの角度ANGTIを算出する。
即ち、最も早い噴射開始タイミングは、リファレンス信号REFに略同期した噴射開始タイミングであり、この場合に、燃料噴射量のセットタイミング(リファレンス信号REF)から燃料噴射が終了する位置までの角度ANGTIは、燃料噴射量をクランク角度に換算した値に一致することになる。
また、予め設定した噴射開始タイミングで噴射を開始させ、燃料噴射量に応じて噴射終了タイミングを可変とする噴射制御が採用される場合には、燃料噴射量をクランク角度に換算した値と、噴射開始タイミングと、リファレンス信号REFの出力タイミングとから、前記角度ANGTIが算出されることになる。
前記噴射限界角度計算部905で計算された角度ANGOP、及び、噴射終了角度計算部906で計算された角度ANGTIは、比較部907に出力され、角度ANGTIが角度ANGOP以下(ANGTI≦ANGOP)であるか否かを判断する。
例えば、予め噴射終了タイミングを設定し、噴射開始タイミングを燃料噴射量に応じて可変に設定する噴射制御において、ANGTI>ANGOPであると判断された場合には、今回のリファレンス信号REFに略同期させて噴射パルスの出力を開始させたとしても、燃料噴射の終了が噴射終了の限界角度(目標の終了位置若しくは目標の終了位置から許容される範囲内)を超えてしまうことに示す。
一方、ANGTI≦ANGOPである場合には、今回のリファレンス信号REFの出力に基づいて燃料噴射をセットし、燃料噴射を行わせた場合に、噴射終了の限界角度以前で燃料噴射が終了すると予測したことになる。
また、予め設定した噴射開始タイミングで噴射を開始させ、燃料噴射量に応じて噴射終了タイミングを可変とする噴射制御においては、ANGTI≦ANGOPであれば、予め設定した噴射開始タイミングで噴射を開始させることで、要求の燃料量を終了限界角度までに噴射できることを示す。
前記切り替え部910には、最初に燃料噴射させ、かつ、最初に吸気バルブ105を開動作させる気筒のパターンとして、2種類のパターンが入力され、前記ANGOP≦ANGTIであるか否かの判別結果に基づいて、いずれか一方のパターンに従って、最初に燃料噴射させ、かつ、最初に吸気バルブ105を開動作させる気筒を出力する。
前記第1開パターン記憶部908におけるパターンは、図12に示されるように、例えば、最初の気筒判別の結果、第3気筒の圧縮上死点前であると判断されると、次に吸気行程となる(今回のリファレンス信号REFの直後に吸気上死点となる)第2気筒を、最初に燃料噴射を行わせ、かつ、初めて吸気バルブ105を開動作させる気筒として指定するように設定されている。
一方、ANGTI>ANGOPであれば、第2開パターン記憶部909に記憶されている気筒のパターンを出力する。
上記のようにして、最初に燃料噴射を行わせ、かつ、初めて吸気バルブ105を開動作させる気筒が特定されるまでは、前記可変バルブリフト機構113の目標バルブリフト量(吸気バルブ105の目標開度)を最小値に保持することで、吸気バルブ105を略全閉状態に保持し、初めて吸気バルブ105を開動作させる気筒が特定されると、当該気筒の吸気行程から吸気バルブ105が要求の空気量及び燃料を吸引できる開度で開動作するように、前記可変バルブリフト機構113の目標バルブリフト量を増大変化させる。
まず、ステップS1301では、冷却水温度TWのデータを読み込み、ステップS1302では、前記冷却水温度TWに基づいて始動時燃料噴射量を算出する。
ステップS1303では、機関回転数NE(rpm)のデータを読み込み、ステップS1304では、前記機関回転数NE(rpm)のデータの低周波成分を取り出すローパスフィルタ処理を実行する。
ステップS1306では、そのときの目標バルブリフト量及び目標中心位相に基づいて、吸気バルブ105の開時期IVO・閉時期IVCを求める。
ステップS1308では、燃料噴射のセットタイミング(リファレンス信号REF)から噴射終了の限界角度位置までの角度ANGOPを計算する。
そして、ANGTI≦ANGOPであると判断されると、ステップS1310へ進み、最初に燃料噴射を行わせ、かつ、初めて吸気バルブ105を開動作させる気筒を、第1パターン(図12参照)に基づいて決定する。
一方、ANGTI>ANGOPであると判断されると、ステップS1311へ進み、最初に燃料噴射を行わせ、かつ、初めて吸気バルブ105を開動作させる気筒を、第2パターン(図13参照)に基づいて決定する。
本実施形態において所定ピストン位置である気筒の判別(気筒判別)は、リファレンス信号REFの発生周期の間におけるカム信号CAMの出力数に基づいて行われるので、停止位置605からリファレンス信号REFが2回発生した時点606で、最初の気筒判別がなされることになる。
そして、2回目のリファレンス信号REFから燃料噴射が終了する位置までの角度ANGTI、及び、2回目のリファレンス信号REFから噴射終了の限界角度までの角度ANGOPをそれぞれ演算し、ANGTI≦ANGOPであるか否かを判別する。
始動開始から、吸気バルブ105の開動作の開始指令がなされるまでは、可変バルブリフト機構113の目標バルブリフト量を強制的に最小値(本実施形態では、例えば1mm以下のバルブリフト量)に保持させることで、各気筒の吸気行程で吸気バルブ105が略全閉に保持される。
そして、最初の気筒判別で第3気筒の圧縮上死点前であると判断され、初めて吸気バルブ105を開動作させる気筒として第2気筒が選択されると、第2気筒の吸気行程から吸気バルブ105が開動作されるように、第4気筒の吸気行程終了後(第4気筒の吸気下死点後)に、可変バルブリフト機構113の目標バルブリフト量をそれまでの最小値から運転条件に応じた目標バルブリフト量に切り替える。
第2気筒では、噴射開始時期607から燃料噴射が開始され、終了限界角度位置609以前(例えば最大リフト量前)に噴射が終了し、噴射された燃料及び空気は開動作する吸気バルブ105を介して燃焼室内に吸引され、吸気バルブ105が閉じられた後で、点火107による火花点火が行われることで、最初の燃焼が行われる。
図16は、最初の気筒判別で、第3気筒の圧縮上死点前であると判断され、かつ、例えば極低温時などで始動時燃料量が多く、ANGTI>ANGOPであると判断された場合の噴射制御及び吸気バルブ105の開制御の特性を示し、上方から気筒毎の各行程を示すブロック601b、リファレンス信号REFの出力特性を示すブロック602b、カム信号CAMの出力特性を示すブロック603b、各気筒における吸気バルブ105のリフト変化を示すブロック604bからなる。
ここで、最初の気筒判別がなされた時点607bで、ANGTI>ANGOPであると判断されたため、第3気筒の圧縮上死点前のリファレンス信号REFを基準として第2気筒への燃料噴射を実行させると、噴射終了が限界角度609b(例えば最大リフト量手前)を超えて遅くなり、要求の燃料量を供給できなかったり、正常な混合気形成が行えずに排気性状を悪化させてしまったりする可能性がある。
噴射対象を第1気筒に変更すれば、噴射終了の限界角度位置までの角度ANGOPが大きくなり、噴射終了の限界角度位置を越えることなく要求の燃料を噴射させることができることになる。
図17は、内燃機関101における吸気バルブ105及び燃料噴射弁106の取り付け部を拡大して示すものであり、機関101の運転中、燃料噴射弁106から噴射された燃料の一部が吸気管102の内周壁に付着し、機関101が停止されると、吸気バルブ105の上流側に燃料が滞留する。
しかし、初回噴射気筒前の吸気行程では、燃料噴射弁106からの燃料噴射が行われず、燃焼室内に吸引されるのは、機関停止中に吸気バルブ105の上流側に滞留していた燃料のみであるため、着火燃焼可能な空燃比の混合気が形成されず、排気行程で燃料がそのまま排出されることになって、機関101からの未燃焼成分(HC)の排出量を増加させることになってしまう。
燃料噴射・吸気バルブ105の開動作が開始された後は、燃料噴射弁106から噴射された燃料と機関停止中に吸気バルブ105の上流に滞留していた燃料とが燃焼室に吸引され、点火プラグ107による火花点火で燃焼させられることになるので、機関停止中に吸気バルブ105の上流側に滞留していた燃料がそのまま排出されてしまうことがない。
そして、初回噴射気筒が判別されると、初回噴射気筒の吸気行程以降は、燃料噴射・吸気バルブの開動作・点火が順次繰り返されるようになるので、機関停止中に吸気バルブ105の上流に滞留していた燃料は、各気筒での最初の噴射燃料と共に燃焼室内に吸引され、点火プラグ107の火花点火によって燃焼する。
図18は、本実施形態に従って初回噴射気筒の吸気行程になるまで、吸気バルブ105を略全閉に保持させた場合と、初回噴射気筒の吸気行程前(始動開始直後)から吸気バルブ105を開動作させた場合とにおける未燃焼成分(HC)の排出量の違いを示すものである。
上記のように、本実施形態では、機関101の始動開始後、所定ピストン位置の気筒を判別し、該判別結果に基づいて燃料噴射を開始させる気筒(初回噴射気筒)が特定されるまでは、各気筒の吸気バルブ105を略全閉状態に保持させ、初回噴射気筒の吸気行程であって、燃料噴射弁106から噴射された燃料を燃焼室内に吸引することになる初めての吸気行程から吸気バルブ105の開動作を開始させる。
従って、初回噴射気筒をどのようにして決定するかは限定されず、また、可変動弁機構は、吸気バルブ105を各気筒の吸気行程毎に要求開度で開動作させる状態と、吸気バルブ105を略全閉状態に保持する状態とに切り換えることが可能な機構であれば良い。
図19において、吸気バルブ105は、電磁駆動機構304で開閉駆動される一方、排気バルブ110は、図示省略した排気カム軸の回転によって開閉駆動される。
また、駆動回路305は、前記電磁駆動機構304の駆動回路であり、前記エンジン制御装置201は、前記駆動回路305に制御信号を出力して、電磁駆動機構304の動作を制御する。
図20は、前記電磁駆動機構304(電磁駆動弁)の構造を示す。
尚、本実施形態では、特開2000−199410号公報に開示される電磁駆動機構を採用するものとするが、電磁駆動機構を図20の構造に限定するものではなく、公知の種々の機関バルブの電磁駆動機構を適宜採用できる。
前記電磁駆動機構24は、円板状のアーマチュア30と、アーマチュア30を挟んだ上下位置に固定された上側の閉弁用電磁石31及び下側の開弁用電磁石32と、アーマチュア30などを介して吸気バルブ105を開方向に付勢する開弁側スプリング33とを備えている。
この電磁コイル31b,32bには、前記エンジン制御装置201からの制御信号に基づき前記駆動回路305を介して電源が選択的に接続され、アーマチュア30を上方あるいは下方へ吸引あるいは吸引を解除するようになっている。
前記吸気バルブ105と電磁駆動機構24との間には、制動機構25が介装されており、該制動機構25は、吸気バルブ105の開閉時に、吸気バルブ105とバルブシート22a(又は電磁石31,32)との間における打撃音を緩和するように、バルブリフトのランプ部におけるバルブ作動状態を、機械的に制御するカム機構である。
機関101が始動されて、開弁用電磁石32の電磁コイル32bに通電されると、アーマチュア30が該電磁石32に吸引され、吸気バルブ105は、閉弁側スプリング28のばね力に抗して下降ストローク、つまり開弁方向へストロークする。
上記電磁駆動機構24においては、吸気バルブ105のバルブリフト量及びバルブ作動角は、前記開閉弁用の電磁石31,32の通電量を適宜制御・切り換えを行うことにより、開弁ストローク量を任意に変化させることが可能である。
前記電磁駆動機構24では、始動開始から気筒判別がなされるまでは、開弁動作させるべき気筒が不明であるため、気筒判別を待って開駆動を開始させることになり、この場合、吸気行程であると判明した気筒の吸気バルブ105を開くことになる。
尚、上記電磁駆動機構24では、制動機構25を備えたが、制動機構25を備えない構成であってもよく、また、非通電状態で、吸気バルブ105がバルブシートから若干離れた中立位置に位置する構成としたが、例えば、ばね力によって全閉又は全開に保持される機構であってもよい。
更に、前記可変バルブリフト機構113や電磁駆動弁(電磁駆動機構24)の他、カムの切り換えや3次元カムの移動によって、吸気バルブ105の開度(バルブリフト量及び/又はバルブ作動角)を可変とする機構であってもよい。
また、上記実施形態では、燃料噴射が限界角度位置までに終了するか否かを判断して、燃料噴射を行わせる気筒を選択するようにしたが、係る制御を要件とするものではなく、従って、最初の気筒判別の結果に対して、吸気バルブ105の開動作を初めて開始させる気筒のパターンを一定のパターンに固定させることができる。
102…吸気管
105…吸気バルブ
106…燃料噴射弁
113…可変バルブリフト機構(可変動弁機構)
201…エンジン制御装置
Claims (8)
- 各気筒の吸気管それぞれに燃料噴射弁を備えると共に、吸気バルブの開度を可変とする可変動弁機構を備える内燃機関における制御装置であって、
所定ピストン位置の気筒を判別する気筒判別手段と、
内燃機関の始動後、前記気筒判別手段による気筒判別がなされた後の所定気筒から前記吸気バルブの開動作を許可する開動作許可手段と、
前記開動作許可手段による開動作の許可状態に応じて前記可変動弁機構を制御する制御手段と、
を含んで構成された内燃機関の制御装置。 - 前記制御手段が、前記開動作許可手段によって開動作が許可される前は、前記吸気バルブの開度を、全閉を含む最小開度に制御することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
- 前記開動作許可手段が、前記気筒判別手段による気筒判別がなされた後に最初に吸気行程となる気筒から前記吸気バルブの開動作を許可することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
- 前記開動作許可手段が、前記気筒判別手段による気筒判別がなされた後に最初に燃料噴射がなされる初回噴射気筒から前記吸気バルブの開動作を許可することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
- 前記開動作許可手段が、前記気筒判別手段による気筒判別がなされた後に最初に燃料噴射がなされ点火される初回爆発気筒から前記吸気バルブの開動作を許可することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
- 機関の始動開始後に前記気筒判別手段によって初めて前記所定ピストン位置であると判別された気筒と、燃料噴射終了の限界位置と、要求燃料噴射量とに基づいて、前記初回噴射気筒を設定する初回噴射気筒設定手段を備え、
前記開動作許可手段が、前記初回噴射気筒設定手段で設定された初回噴射気筒から前記吸気バルブの開動作を許可することを特徴とする請求項4記載の内燃機関の制御装置。 - 前記可変動弁機構が、前記吸気バルブのバルブリフト量及びバルブ作動角を連続的に可変とする機構であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記可変動弁機構が、アクチュエータの駆動力で前記吸気バルブを開閉作動させる機構であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
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