JP2007263047A - 内燃機関の始動時燃料噴射量制御装置 - Google Patents

内燃機関の始動時燃料噴射量制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明は、内燃機関の始動時燃料噴射量制御装置に関し、再始動時の始動性の改善および低エミッション化を図ることを目的とする。
【解決手段】機関停止時点のポート残留量fwpstopおよび吸気弁残留量fwvstopを取得する(ステップ152)。現在の吸気ポート温度Tpおよび吸気弁温度Tvを取得する(ステップ154)。吸気ポート温度Tpおよび吸気弁温度Tvに基づいて、現在のポート残留率Ppおよび吸気弁残留率Pvを算出する(ステップ156)。ポート残留率Ppおよび吸気弁残留率Pvに基づき、ポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvを更新する(ステップ158)。再始動要求が出されたら、吸気ポート温度Tpおよび吸気弁温度Tvに基づいて現在のポート付着率Rprestartおよび吸気弁付着率Rvrestartを算出し(ステップ162)、再始動時の燃料噴射量fiprestartを算出する(ステップ164)。
【選択図】図7

Description

本発明は、内燃機関の始動時燃料噴射量制御装置に関し、特に、吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタを備えた内燃機関の始動時燃料噴射量制御装置に関する。
吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタを備えた内燃機関が広く用いられている。このような内燃機関において、ポートインジェクタから噴射された燃料のうち、そのまま新気と混合して筒内に吸入されるのはその一部であり、残りの燃料は、吸気ポートの内壁や吸気弁の表面などに一旦付着する。そして、吸気ポート内壁や吸気弁表面に付着した燃料は、徐々に吸気ポート内に気化し、遅れて筒内に流入する。
内燃機関が定常運転状態にある場合は、吸気ポート内壁や吸気弁表面に付着している燃料の量が一定値で平衡し、筒内に流入する燃料の量は噴射される燃料の量と等しくなる。
一方、内燃機関の始動前には、吸気ポート内壁や吸気弁表面に燃料が付着しておらず、吸気ポート内に気化燃料が存在していない。このため、内燃機関の始動時には、吸気ポートの内壁や吸気弁の表面に付着する分を見込んで、その分だけ多くの燃料を噴射する必要がある。そこで、内燃機関の始動時には、燃料噴射量を通常時よりも増量することが行われている。
ところで、ハイブリッド車両やエコラン車両(アイドリングストップ車両)においては、車両の稼動中、内燃機関の停止と再始動が頻繁に行われる。再始動時にも上述した事情が存在するため、燃料噴射量を増量することが一般に行われている。しかしながら、機関停止後、しばらくの間は、吸気ポート内壁や吸気弁表面に付着していた燃料が気化し、吸気ポート内に気化燃料が滞留する。このため、そのような気化燃料が吸気ポート内にまだ滞留している間に、燃料増量を伴って再始動が行われた場合には、元々滞留していた気化燃料も筒内に吸入されることとなる。このため、排気空燃比が過度にリッチとなってエミッション性能に悪影響を及ぼしたり、リッチ失火を招来して始動性が悪化したりし易いという問題がある。
このような問題を解決するべく、特開2004−92424号公報には、機関停止からの経過時間に応じて、再始動時の燃料増量分を少なくする制御を行う技術が開示されている。
特開2004−92424号公報 特開平5−214986号公報 特開2002−327640号公報
同公報に記載された従来の技術によれば、機関停止からの経過時間に応じて、再始動時の燃料増量分を少なくすることができるので、過剰な量の燃料が筒内に吸入される事態を抑制することができ、再始動時の低エミッション化や始動性の改善が図れる。
しかしながら、機関停止中に吸気ポート内に滞留する気化燃料の量は、機関停止時間のみに依存する訳ではなく、機関停止時点で吸気ポート内壁や吸気弁表面に付着していた燃料の量によっても異なり、また、機関停止中の吸気ポート温度や吸気弁温度によっても異なる。このため、機関停止からの経過時間のみに基づいて燃料増量分の低減幅を決定したのでは、再始動時に筒内に流入する燃料量を正確に制御することはできない。
また、機関停止中に吸気ポート内に滞留する気化燃料の量が特に多い条件の下では、再始動時に逆に燃料噴射量を減量すべき場合もあり得ると考えられる。
このようなことから、上記従来の技術は未だ改良の余地を残すものであった。
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、再始動時の始動性の改善および低エミッション化が図れる内燃機関の始動時燃料噴射量制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の始動時燃料噴射量制御装置であって、
内燃機関の吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタと、
機関停止時点で前記吸気ポートの内壁に付着して残留している燃料の量を推定する停止時点ポート残留燃料量推定手段と、
機関停止中に前記吸気ポートの温度を検出または推定する吸気ポート温度取得手段と、
前記停止時点ポート残留燃料量推定手段により推定された機関停止時点のポート残留燃料量と、機関停止中の吸気ポート温度とに基づいて、機関停止中に前記吸気ポートの内壁に付着して残留している燃料の量を推定する停止中ポート残留燃料量推定手段と、
機関停止時点で前記内燃機関の吸気弁の表面に付着して残留している燃料の量を推定する停止時点吸気弁残留燃料量推定手段と、
機関停止中に前記吸気弁の温度を検出または推定する吸気弁温度取得手段と、
前記停止時点吸気弁残留燃料量推定手段により推定された機関停止時点の吸気弁残留燃料量と、機関停止中の吸気弁温度とに基づいて、機関停止中に前記吸気弁の表面に付着して残留している燃料の量を推定する停止中吸気弁残留燃料量推定手段と、
前記内燃機関の再始動時に噴射すべき燃料量を算出する始動時燃料噴射量算出手段と、
を備え、
前記始動時燃料噴射量算出手段は、前記停止中ポート残留燃料量推定手段および前記停止中吸気弁残留燃料量推定手段により推定された再始動時点でのポート残留燃料量および吸気弁残留燃料量に基づいて、再始動時の燃料噴射量を算出することを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
再始動時に前記ポートインジェクタから噴射される燃料のうち、前記吸気ポートの内壁に付着する燃料の比率を、前記吸気ポート温度取得手段により取得された再始動時点での吸気ポート温度に基づいて予測するポート付着率予測手段と、
再始動時に前記ポートインジェクタから噴射される燃料のうち、前記吸気弁の表面に付着する燃料の比率を、前記吸気弁温度取得手段により取得された再始動時点での吸気弁温度に基づいて予測する吸気弁付着率予測手段と、
を更に備え、
前記始動時燃料噴射量算出手段は、前記ポート付着率予測手段および前記吸気弁付着率予測手段により予測された再始動時点のポート付着率および吸気弁付着率をも考慮して、再始動時の燃料噴射量を算出することを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
機関停止時に生じた気筒内から前記吸気ポートへの吸気の吹き返し中に含まれる燃料の量を機関運転状態に基づいて推定する機関停止時吹き返し燃料量推定手段を更に備え、
前記始動時燃料噴射量算出手段は、前記機関停止時吹き返し燃料量推定手段により推定された機関停止時の前記吸気ポートへの吹き返し燃料量をも考慮して、再始動時の燃料噴射量を算出することを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
機関停止時に気筒内に残留する既燃ガスの量を機関運転状態に基づいて推定する機関停止時残留ガス量推定手段を更に備え、
前記始動時燃料噴射量算出手段は、前記機関停止時残留ガス量推定手段により推定された機関停止時の残留ガス量をも考慮して、再始動時の燃料噴射量を算出することを特徴とする。
第1の発明によれば、機関停止時点のポート残留燃料量を推定することができる。また、機関停止中の吸気ポート温度を取得することにより、再始動時のポート残留燃料量を推定することもできる。再始動時の吸気ポート内には、この両者の差に相当する量の気化燃料がポート残留燃料からの気化分として滞留していることになる。また、第1の発明によれば、機関停止時点の吸気弁残留燃料量を推定することができる。また、機関停止中の吸気弁の温度を取得することにより、再始動時の吸気弁残留燃料量を推定することもできる。再始動時の吸気ポート内には、この両者の差に相当する量の気化燃料が吸気弁残留燃料からの気化分として滞留していることになる。吸気ポートと吸気弁とは熱容量が大きく異なるので、機関停止中の温度が異なり、それらに付着・残留している燃料の挙動も異なるが、第1の発明によれば、その各々の挙動を精度良く推定することができる。そして、第1の発明によれば、再始動時に吸気ポート内に滞留している気化燃料の量に応じて燃料噴射量を算出することにより、再始動時に筒内に形成される混合気の空燃比を正確に制御することができる。このため、再始動時および再始動直後の空燃比ずれを防止することができ、エミッション性能を改善することができる。また、リッチ失火などを確実に回避することができ、始動性を向上することができる。
第2の発明によれば、再始動時点でのポート付着率および吸気弁付着率をそれぞれ精度良く予測することができる。このため、再始動時にポートインジェクタから噴射される燃料のうち、そのまま筒内に吸入される燃料の量を精度良く推定することができる。その結果、再始動時に筒内に形成される混合気の空燃比をより高精度に制御することができる。
第3の発明によれば、機関停止時に生じた気筒内から吸気ポートへの吸気の吹き返し中に含まれる燃料の量をも考慮して、再始動時の燃料噴射量を算出することができる。このため、再始動時に筒内に形成される混合気の空燃比をより高精度に制御することができる。
第4の発明によれば、機関停止時の筒内の残留ガス量をも考慮して、再始動時の燃料噴射量を算出することができる。このため、再始動時に筒内に形成される混合気の空燃比をより高精度に制御することができる。
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、内燃機関6を備えている。内燃機関6は、ハイブリッド車両や、エコラン車両(アイドリングストップ車両)に搭載され、車両の稼動中においてもその停止と始動が頻繁に繰り返されるものとする。
内燃機関6の各気筒には、それぞれ、ピストン8と、吸気弁12と、排気弁14と、点火プラグ16と、筒内10(燃焼室内)に連通する吸気ポート18および排気ポート20とが設けられている。吸気弁12は、筒内10と吸気ポート18とを導通状態または遮断状態とするように開閉する。排気弁14は、筒内10と排気ポート20とを導通状態または遮断状態とするように開閉する。
また、内燃機関6の各気筒には、吸気ポート18内に燃料を噴射するポートインジェクタ22が設けられている。ポートインジェクタ22には、図示しないポンプにより加圧された燃料が送り込まれている。
吸気ポート18は、吸気通路30に連通している。吸気通路30の上流端にはエアクリーナ32が設けられ、空気はエアクリーナ32を介して吸気通路30内に取り込まれる。エアクリーナ32の下流には、エアフローメータ33が配置されている。エアフローメータ33は、吸気通路30内を流れる吸入空気量GAを検出するセンサである。吸気通路30の下流部は分岐して各気筒の気筒の吸気ポート18に接続されており、その分岐部にはサージタンク34が設けられている。吸気通路30のサージタンク34の上流にはスロットルバルブ36が配置されている。スロットルバルブ36には、その開度を検出するためのスロットルポジションセンサ37が付設されている。スロットルバルブ36より下流には、吸気管圧力Pmを検出する吸気圧センサ38が設けられている。
排気ポート20には、筒内10での燃焼により生成された燃焼ガスを排気ガスとして排出するための排気通路40が接続されている。排気通路40には、排気ガスを浄化するための触媒42が設けられている。排気通路40における触媒42の上流には、排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ44が配置されている。
内燃機関6のクランク軸45の近傍には、クランク角センサ46が設置されている。クランク角センサ46は、クランク軸45が所定回転角だけ回転する毎に、Hi出力とLo出力を反転させるセンサである。クランク角センサ46の出力によれば、クランク軸45の回転位置や機関回転数NE(機関回転速度)などを検知することができる。また、内燃機関6は、冷却水温THWを検出する水温センサ48を更に備えている。
内燃機関6の吸気弁12は、可変動弁機構50により駆動される。可変動弁機構50は、クランク軸45の回転と同期して吸気弁12を開閉させると共に、その開閉タイミングInVT、最大リフト量InVL、および作用角InVθを変更することができる。可変動弁機構50の近傍には、可変動弁機構50の状態を検知するセンサ52が設けられている。センサ52の出力によれば、吸気弁12の開閉タイミングInVT、最大リフト量InVL、および作用角InVθの現実値を検出することができる。なお、排気弁14側にも可変動弁機構が設けられていてもよい。
本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)60を備えている。ECU60には、上述したエアフローメータ33、空燃比センサ44等の各種センサと、上述したポートインジェクタ22、筒内インジェクタ24、可変動弁機構50等の各種アクチュエータが接続されている。ECU60は、それらの各センサの出力に基づいて、各アクチュエータを適当に駆動することにより、内燃機関6の運転状態を制御することができる。
[実施の形態1の特徴]
前述したように、ハイブリッド車両あるいはエコラン車両に搭載された内燃機関6は、車両の稼動中においてもその停止と始動が頻繁に繰り返される。この内燃機関6の再始動時に、筒内10に過不足のない量の燃料を供給するためには、ポートインジェクタ22から噴射された燃料の挙動を精度良く推定することが重要となる。そこで、本実施形態では、以下に説明するような燃料挙動モデルを用いることとした。
[機関運転中の燃料挙動モデル]
図2は、本実施形態で用いる燃料挙動モデルを説明するための図である。この燃料挙動モデルは、ポートインジェクタ22から噴射された後の燃料の挙動を表すモデルである。以下では、まず、内燃機関6の運転中における燃料の挙動について説明する。
ポートインジェクタ22から噴射された燃料は、その一部が吸気ポート18の内壁や吸気弁12の表面に付着し、その残部が筒内に吸入されると考えられる。本モデルでは、図2に示すように、ポートインジェクタ22から噴射される燃料の量をポート噴射量fipとし、吸気ポート18の内壁に付着して残留している燃料(以下、「ポート残留燃料」と称する)の総量をポート残留量fwpとし、吸気弁12に付着して残留している燃料(以下、「吸気弁残留燃料」と称する)の総量を吸気弁残留量fwvとする。なお、図2においては、ポート残留燃料および吸気弁残留燃料がそれぞれ一箇所にまとまって描かれているが、実際にはポート残留燃料や吸気弁残留燃料が一箇所にまとまって付着するとは限らない。
ここで、吸気ポート18から筒内10へ吸入される燃料の量を筒内燃料吸入量と称し、記号fcpで表すこととする。以下、筒内燃料吸入量fcpの算出の仕方について説明する。
本モデルでは、ポートインジェクタ22から噴射された燃料のうち、吸気ポート18の内壁に付着する割合を「ポート付着率Rp」と定義し、吸気弁12に付着する割合を「吸気弁付着率Rv」と定義する。この定義によれば、ポート噴射量fipのうち、筒内10に吸入されることなくポート残留燃料に加わる量は、「Rp・fip」で表される。また、ポート噴射量fipのうち、筒内に吸入されることなく吸気弁残留燃料に加わる量は、「Rv・fip」で表される。一方、ポート噴射量fipのうち、噴射された後にそのまま筒内10に吸入される量は「(1-Rp-Rv)・fip」で表される。
筒内燃料吸入量fcpには、上記(1-Rp-Rv)・fipで表される量のほかに、ポート残留燃料からの気化分と、吸気弁残留燃料からの気化分とが加算される。本モデルでは、今サイクル開始時(吸気弁12の開弁前)にあったポート残留燃料のうち、今サイクルにおいて筒内10に吸入されずに付着したまま残る割合を「ポート残留率Pp」と定義する。この定義によれば、「(1-Pp)・fwp」で表される量の燃料が今サイクルにおいてポート残留燃料からの気化分として筒内10に吸入されることになる。一方、ポート残留量fwpのうち、「Pp・fwp」で表される量は、今サイクル終了後にそのまま残る。同様にして、本モデルでは、今サイクル開始時にあった吸気弁残留燃料のうち、今サイクルにおいて筒内10に吸入されずに付着したまま残る割合を「吸気弁残留率Pv」と定義する。この定義によれば、「(1-Pv)・fwv」で表される量の燃料が今サイクルにおいて吸気弁残留燃料からの気化分として筒内10に吸入されることになる。一方、吸気弁残留量fwvのうち、「Pv・fwv」で表される量は、今サイクル終了後にそのまま残る。
上述したポート付着率Rp、吸気弁付着率Rv、ポート残留率Pp、吸気弁残留率Pvの値は、内燃機関6の運転状態や、吸気ポート18の内壁の温度(以下、「吸気ポート温度Tp」と称する)、吸気弁12の温度(以下、「吸気弁温度Tv」と称する)に応じて変化する。吸気ポート温度Tpは、通常、冷却水温THWとほぼ同じである。そこで、本実施形態では、水温センサ48により検出された冷却水温THWを吸気ポート温度Tpとして代用するものとする。また、本実施形態では、後述する吸気弁温度Tvの推定モデルにより、吸気弁温度Tvを推定することができる。本実施形態において、ECU60は、そのようにして求められる吸気ポート温度Tpおよび吸気弁温度Tvと、内燃機関6の運転状態とに基づいて、機関運転中のポート付着率Rp、吸気弁付着率Rv、ポート残留率Pp、吸気弁残留率Pvの値を時々刻々算出するものとする。
本モデルによれば、上述したポート残留量fwp、吸気弁残留量fwvは、それぞれ、新たな付着による増加と、気化による減少との収支により、内燃機関6が1サイクル動作する毎に変化していく。そこで、以下では、第kサイクルにおけるそれらの値を表す際には、それらの符号の後に(k)を付すこととする。なお、ポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvの初期値fwp(0)およびfwv(0)は、いずれもゼロである。
以上より、第kサイクルにおける筒内燃料吸入量fcp(k)は、次式(1)のように表すことができる。また、第kサイクル終了後、つまり第k+1サイクル開始時における、ポート残留量fwp(k+1)および吸気弁残留量fwv(k+1)は、それぞれ、次式(2)および(3)のように表すことができる。
fcp(k)={1-Rp(k)-Rv(k)}・fip(k)+{1-Pp(k)}・fwp(k)+{1-Pv(k)}・fwv(k)
・・・(1)
fwp(k+1)=Pp(k)・fwp(k)+Rp(k)・fip(k) ・・・(2)
fwv(k+1)=Pv(k)・fwv(k)+Rv(k)・fip(k) ・・・(3)
内燃機関6においては、上記(1)式により算出される筒内燃料吸入量fcpが、実際に筒内10に供給される燃料の量であると考えることができる。そして、筒内10に供給すべき燃料量は、筒内10に吸入される空気量を目標空燃比で除することによって算出することができる。よって、本実施形態では、筒内10に吸入される空気量を目標空燃比で除した値に筒内燃料吸入量fcpが一致するように、ポート噴射量fipを決定することとすれば、筒内10の空燃比を目標空燃比に精度良く一致させることができる。
また、内燃機関6の運転中は、上記(2)式および(3)式の計算を機関サイクルに同期して繰り返し行うことにより、ポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvを時々刻々と算出することができる。よって、内燃機関6が停止された場合には、その停止時点のポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvを求めることも可能である。以下では、機関停止時点のポート残留量および吸気弁残留量の記号をそれぞれ「fwpstop」および「fwvstop」と表記する。
[機関停止中の燃料挙動モデル]
本実施形態では、内燃機関6の停止中も、上記の燃料挙動モデルを以下のように応用することにより、ポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvを時々刻々算出することができる。
内燃機関6の停止中は、ポート噴射量fipが0であるので、ポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvを算出するための式は、上記(2)式および(3)式でfip(k)を0とすることにより、次式のようになる。
fwp(k+1)=Pp(k)・fwp(k) ・・・(4)
fwv(k+1)=Pv(k)・fwv(k) ・・・(5)
上記(1)〜(3)式中のkは、前述したように機関サイクル数を表す。これに対し、内燃機関6の停止中に演算される上記(4)式および(5)式中でのkは、ECU60が所定の演算周期で繰り返し行う演算処理のサイクル数であるものとする。つまり、上記(4)式および(5)式中でのポート残留率Pp(k)は、時刻kに存在するポート残留量fwp(k)のうち、1演算周期後の時刻k+1において吸気ポート18の内壁に付着したまま残る割合を表すものとする。同様に、吸気弁残留率Pv(k)は、時刻kに存在する吸気弁残留量fwv(k)のうち、1演算周期後の時刻k+1において吸気弁12の表面に付着したまま残る割合を表すものとする。
また、機関停止中のポート付着率Rp、吸気弁付着率Rv、ポート残留率Pp、吸気弁残留率Pvの値は、吸気ポート温度Tpおよび吸気弁温度Tvに応じて変化する。そして、本実施形態では、機関停止中も、機関運転中と同様の手法によって、吸気ポート温度Tpおよび吸気弁温度Tvを求めることが可能である。よって、ECU60は、そのようにして求められる吸気ポート温度Tpおよび吸気弁温度Tvに基づいて、機関停止中も、ポート付着率Rp、吸気弁付着率Rv、ポート残留率Pp、吸気弁残留率Pvの値を算出することができる。
そして、機関停止以降、ECU60は、機関停止時点のポート残留量fwpstopおよび吸気弁残留量fwvstopを初期値として上記(4)式および(5)式の演算を繰り返し行うことにより、機関停止中のポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvを時々刻々と算出することができる。よって、ECU60は、内燃機関6の再始動時、つまり再始動要求が出された時点でのポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvを求めることが可能である。以下では、再始動時のポート残留量および吸気弁残留量の記号をそれぞれ「fwprestart」および「fwvrestart」と表記する。
[再始動時の燃料挙動モデル]
機関停止時点でfwpstopだけあったポート残留量は、内燃機関6が再始動される時点でfwprestartに減少している。よって、再始動の時点で、吸気ポート18内には、この差(fwpstop-fwprestart)に相当する量の気化燃料が、ポート残留燃料からの気化分として滞留していると考えることができる。同様に、機関停止時点でfwvstopだけあった吸気弁残留量は、内燃機関6が再始動される時点でfwvrestartに減少している。よって、再始動の時点で、吸気ポート18内には、この差(fwvstop-fwvrestart)に相当する量の気化燃料が、吸気弁残留燃料からの気化分として滞留していると考えることができる。この両者を合わせて、再始動の時点で、吸気ポート18内には、(fwpstop-fwprestart)+(fwvstop-fwvrestart)に相当する量の気化燃料が滞留していることになる。
また、再始動時のポート付着率および吸気弁付着率をそれぞれRprestartおよびRvrestartとし、再始動時の燃料噴射量をfiprestartとすると、再始動時にポートインジェクタ22から噴射された燃料のうち、そのまま筒内10に吸入される燃料の量は、(1-Rprestart-Rvrestart)・fiprestartで表される。
以上より、再始動時の筒内燃料吸入量fcprestartは、次式で表すことができる。
fcprestart=(1-Rprestart-Rvrestart)・fiprestart
+(fwpstop-fwprestart)+(fwvstop-fwvrestart) ・・・(6)
本実施形態では、上記(6)式により、再始動時の筒内燃料吸入量fcprestartを精度良く予測することができる。そして、筒内10に吸入される空気量を目標空燃比で除した値に、上記筒内燃料吸入量fcprestartが一致するように、再始動時のポート噴射量fiprestartが決定される。これにより、再始動時、過不足のない量の燃料を筒内10に供給することができ、筒内10の空燃比を高精度に制御することができる。
[吸気弁温度Tvの推定モデル]
前述したように、吸気弁付着率Rvおよび吸気弁残留率Pvの値を求めるためには、吸気弁温度Tvを求める必要がある。本実施形態では、以下に説明する吸気弁温度Tvの推定モデルに基づいて、内燃機関6の運転中および停止中の吸気弁温度Tvを推定することができる。
図3(A)および図3(B)は、本実施形態のシステムが吸気弁温度Tvを推定するために用いるモデルを説明するための図である。より具体的には、図3(A)は、閉弁中における吸気弁12の熱環境を説明するための図である。また、図3(B)は、開弁中における吸気弁12の熱環境を説明するための図である。
図3(A)中に示す符号Qb、QsおよびQfは、それぞれ、燃焼ガス受熱量、接触面受熱量、および燃料気化熱量を示している。燃焼ガス受熱量Qbは、筒内10の燃焼ガスから吸気弁12に与えられる熱量である。接触面受熱量Qsは、弁座との機械的な接触面から吸気弁12に伝達される熱量である。また、燃料気化熱量Qfは、吸気弁12に付着した燃料が気化する際に持ち去られる熱量である。図3(A)に示すように、吸気弁12の閉弁中には、主として上述した3種類の熱量が吸気弁12とその周囲との間で授受される。
図3(B)中に示す符号QginおよびQgbackは、それぞれ、吸気弁12の開弁に伴って生ずる吸入ガス受熱量、および吹き返し受熱量を示している。吸入ガス受熱量Qginは、吸気ポート12から筒内10へ流入する新気と吸気弁12との間で授受される熱量である。一方、吹き返し受熱量Qgbackは、吸気弁12の開弁直後に筒内10から吸気ポート12に逆流する既燃ガスに起因して生ずる受熱量である。図3(B)に示すように、吸気弁12の開弁中は、主として、それら2種類の熱量が吸気弁12とその周囲との間で授受される。以下、それらの受熱量を総称して、「流動ガス受熱量」と称す。
吸気弁12の温度は、周囲の環境から熱を吸収することにより上昇し、周囲の環境に熱を放出することにより下降する。このため、吸気弁12の初期温度が判れば、その後の総受熱量を検知することにより吸気弁12の温度を推定することが可能である。そして、その推定を精度良く行うためには、上述した5種類の熱量を精度良く検知することが有効である。特に、図3(B)に示す流動ガス受熱量Qgin,Qgbackは、内燃機関6の運転状態に応じて大きく変化するため、吸気弁温度Tvを高い精度で推定するためには、その値を正確に求めることが重要である。
そこで、本実施形態では、内燃機関6の運転状態に基づいて、図3(A)に示す3種類の受熱量Qb,Qs,Qfと、図3(B)に示す流動ガス受熱量Qgin,Qgbackとを、それぞれ別個独立に推定し、それらを統合することにより吸気弁12が受ける総受熱量を精度良く算出することとした。そして、このようにして算出された総受熱量に基づいて、吸気弁温度Tvを精度良く推定することとした。
[運転中の吸気弁温度Tvを推定するための具体的処理]
図4は、内燃機関6の運転中に吸気弁温度Tvを算出するためにECU60が実行するルーチンのフローチャートである。図4に示すルーチンは、内燃機関6の始動と共に起動されるものとする。ここでは、まず、その時点における吸気弁温度Tvが、運転中における吸気弁温度Tvの初期値として設定される(ステップ120)。
本実施形態のシステムは、内燃機関6の停止中は、後述する図6に示すルーチンに従って吸気弁温度Tvの推定を継続する。上記ステップ120では、そのルーチンに従って推定されていた温度が、運転中における吸気弁温度Tvの初期値として取り込まれる。ただし、この初期値は、必ずしも図6に示すルーチンで推定される温度に限定されるものではない。内燃機関6の停止時間Tstopが十分に長く、吸気弁温度Tvが冷却水温THWに収束していると見なせる状況下では、始動時の冷却水温THWを吸気弁温度Tvの初期値としてもよい。
次に、現在の内燃機関6の状態を表す各種のパラメータが計測される(ステップ122)。ここでは、具体的には、吸入空気量Gaや機関回転数NEに加えて、可変動弁機構50の状態、つまり、吸気弁12の開閉タイミングInVT、最大リフト量InVL、及び作用角InVθなどが検知される。
次に、吸気弁12の開弁に伴って生ずる既燃ガスの吹き返し量が判定値βより多いか否かが判別される(ステップ124)。既燃ガスの吹き返し量は、内燃機関6の状態に基づいて、具体的には、例えば、内燃機関6の負荷率KL、バルブオーバーラップ量VOL、および機関回転数NE等に基づいて推定することが可能である。
図5(A)〜図5(C)は、負荷率KL、バルブオーバーラップ量VOL及び機関回転数NEと、既燃ガスの吹き返し量との関係をそれぞれ示した図である。本実施形態において、ECU60には、これらの関係に対応するマップが記憶されている。上記ステップ124では、それらのマップを参照することにより、現在の状況下で生ずると予測される吹き返し量が推定され、更に、その推定値が既定の判定値βより大きいかが判別される。
判定値βは、流動ガス受熱量を求めるうえで、吹き返し受熱量Qgbackを考慮する必要があるか否かを判断するための値である。つまり、吹き返し受熱量Qgbackを考慮する必要がある程度に多量の既燃ガスの吹き返しが発生しているかを判断するための値である。従って、吹き返し量>βが成立しない場合は、流動ガス受熱量を推定するにあたり、吹き返しの影響を考慮する必要がないと判断できる。この場合は、吸入ガス受熱量Qginを算出したうえで、その値がそのまま流動ガス受熱量とされる(ステップ126)。以下、ここで得られる流動ガス受熱量を、符号「Qg」を付して表すこととする。
一方、上記ステップ124において、吹き返し量>βの成立が認められた場合は、流動ガス受熱量を求める際に、吹き返しの影響を考慮する必要があると判断できる。この場合は、吸入ガス受熱量Qginと、吹き返し受熱量Qgbackとをそれぞれ算出したうえで、それらの和が流動ガス受熱量とされる(ステップ128)。以下、ここで得られる流動ガス流熱量については、符号「Qg'」を付して表すこととする。
(吸入ガス受熱量Qginの算出手法の例)
上述した吸入ガス受熱量Qginは、例えば、以下に示す演算式により算出することが可能である。
Qgin=hgin・(Tin−Tv)・dtin
hgin=0.0404・(kg/Dv)・Revin0.868・(Dv/liftv)0.275
Revin=(ρg・Ug・Dv)/μg ・・・(7)
ただし、上段の式中、hginは熱伝達率であり、中段の式により求めることができる。また、Tinは吸入ガスの温度であり、Tvは吸気弁温度であり、dtinは吸気弁12の周囲を吸入ガスが流通している時間である。Tinは吸気温度で代用することが可能である。Tvは、現時点での吸気弁温度の推定値を用いることができる。また、dtinは、機関回転数NEに基づいて求めるものとする。
中段の式において、kgは吸入ガスの熱伝達率であり、Dvは吸気弁12の径である。これらは何れも既知の値である。また、liftvは吸気弁12のリフト量であり、本実施形態では、吸気弁12の最大リフト量InVL及びクランク角から算出することができる。そして、Revinは、下段の式により定義される値である。
下段の式において、ρgは吸気ポート12のガス密度であり、Ugは吸気ポート12のガス流量である。ρgおよびUgは、冷却水温THWで代用される吸気ポート12の温度、吸入空気量Ga、吸気圧PMなどに基づいて公知の手法で算出することができる。また、μgは吸入ガスの粘性係数であり、既知の値である。このため、吸入ガス受熱量Qginは、上記(7)式を用いることにより、演算により求めることが可能である。
(吹き返し受熱量Qgbackの算出手法の例)
吹き返し受熱量Qgbackは、例えば、以下に示す演算式により算出することが可能である。
Qgback=hgback・(Tback−Tv)・dtback
hgback=1.2・(kg/liftv)・Revback0.38・(2・liftv/Dv)0.62
Revback=(ρg・Ug・liftv)/μg ・・・(8)
ただし、上段の式中、hgbackは熱伝達率であり、中段の式により求めることができる。また、Tbackは吹き返しガスの温度であり、dtbackは吸気弁12の周囲に吹き返しが生じている時間である。Tbackは、公知の手法(センサによる実測、或いは内燃機関6の運転状態に基づく推定等)で検知可能な筒内ガスの温度Tgで代用することが可能である。また、dtは、機関回転数NEに基づいて求めるものとする。
中段の式において、kgは吹き返しガスの熱伝達率であり、Dvは吸気弁12の径である。これらは何れも既知の値である。また、liftvは吸気弁12のリフト量であり、本実施形態では、吸気弁12の最大リフト量InVL及びクランク角から検知することができる。そして、Revbackは、下段の式により定義される値である。
下段の式において、ρgは吸気ポート12のガス密度であり、Ugは吸気ポート12のガス流量である。ρgおよびUgは、吸気ポート12の温度、吸入空気量Ga、吸気管圧力PMなどに基づいて公知の手法で算出することができる。また、μgは吸入ガスの粘性係数であり、既知の値である。このため、吹き返し受熱量Qgbackは、上記(8)式を用いることにより、演算により求めることが可能である。
上記ステップ126において求めるべき流動ガス受熱量Qgは、上記(7)式を用いることにより算出することできる。また、上記ステップ128において求めるべき流動ガス受熱量Qg'は、上記(7)式の算出結果と上記(8)式の算出結果とを加算することにより求めることが可能である。このように、流動ガス受熱量は、吹き返しの影響を考慮しない場合(Qg)も、その影響を考慮する場合(Qg')も演算により算出することが可能である。
(接触面受熱量Qsの算出)
図4に示すルーチンでは、次に、接触面受熱量Qsが算出される(ステップ130)。接触面受熱量Qsは、例えば、以下に示す演算式により算出することが可能である。
Qs=hs・(Tvs−Tv)・dts
hs=4130・(Pm/50000)0.6 ・・・(9)
ただし、上段の式中、hsは熱伝達率であり、下段の式により求めることができる。Tvsは弁座の温度であり、冷却水温THWで代用することができる。また、dtsは吸気弁12が弁座に着座している時間であり、ここでは、機関回転数NEに基づいて算出することができる。そして、下段の式におけるPmは、吸気管圧力である。
接触面受熱量Qsは、上記(9)式を用いることにより、内燃機関6の状態をパラメータとして演算により求めることが可能である。このため、上記ステップ130では、接触面受熱量Qsを正確に求めることができる。
(燃料気化熱量Qfの算出)
図4に示すルーチンでは、次に、燃料気化熱量Qfが算出される(ステップ132)。燃料気化熱量Qfは、例えば、以下に示す演算式により算出することが可能である。
Qf=mf・{(Tv−Tf)・Cpf+Hf}・dtf ・・・(10)
上記(10)式中、mfは燃料気化量である。燃料気化量mfは、他のルーチンの処理により算出されている現在の吸気弁残留量fwvおよび吸気弁残留率Pvの値に基づいて求めることができる。Tfは燃料温度であり、本実施形態では燃料温度センサにより実測することができるものとする。また、Cpfは燃料比熱、Hfは燃料気化潜熱である。これらは何れも既定値として扱うことができる。そして、dtfは、燃料の気化期間として考慮すべき時間であり、ここでは、機関回転数NEの関数として設定することができる。
燃料気化熱量Qfは、上記(10)式を用いることにより、内燃機関6の状態をパラメータとして演算により求めることが可能である。このため、上記ステップ132では、燃料気化熱量Qfを正確に求めることができる。
(燃焼ガス受熱量Qbの算出)
図4に示すルーチンでは、次に、燃焼ガス受熱量Qbが算出される(ステップ134)。燃焼ガス受熱量Qbは、例えば、以下に示す演算式により算出することが可能である。
Qb=hb・(Tg−Tv)・dtb
hb=0.013・Dc−0.2・Pc0.8・Uc0.8・Tg−0.53
・・・(11)
ただし、上段の式中、hbは熱伝達率であり、下段の式により求めることができる。Tgは筒内10のガス温度であり、上記の如く、公知の手法により推定することができる。また、dtbは、燃焼ガスの温度が吸気弁12に作用する時間であり、ここでは、機関回転数NEに基づいて算出することができる。
下段の式において、Dcはシリンダ径であり、既定の値として取り扱うことができる。Pcは筒内圧力であり、例えば、筒内圧センサにより実測することができる。また、Ucは、筒内10のガス流速であり、内燃機関6の運転状態に基づいて公知の手法で推定することができる。
燃焼ガス受熱量Qbは、上記(11)式を用いることにより、内燃機関6の状態をパラメータとして演算により求めることが可能である。このため、上記ステップ134では、燃焼ガス受熱量Qbを正確に求めることができる。
(吸気弁温度Tvの更新)
上記の処理が終わると、次に、吸気弁温度Tvの更新処理が行われる(ステップ136)。ここでは、具体的には、まず、今回の処理サイクルで得られた全ての受熱量に基づいて吸気弁12の総受熱量(Qg+Qs−Qf+Qb、又はQg'+Qs−Qf+Qb)が算出される。次に、総受熱量を吸気弁12の比熱(既知であるものとする)で除することにより、今回の処理サイクルの間に生じた温度変化分ΔTvが算出される。最後に、現時点の吸気弁温度TvにΔTvを加えることにより、吸気弁温度Tvが最新値に更新される。
以上説明した通り、図4に示すルーチンによれば、流動ガス受熱量QgまたはQg'、接触面受熱量Qs、燃料気化熱量Qf、および燃焼ガス受熱量Qbを統合することにより、内燃機関6の運転中における吸気弁温度Tvを高い精度で推定することができる。
[機関停止中の吸気弁温度Tvを推定するための具体的処理]
内燃機関6の停止中は、吸気弁12の周囲にガスが流通しないため、流動ガス受熱量Qg、Qg’が発生しない。また、筒内10で燃焼が生じないため、燃焼ガス受熱量Qbもゼロとなる。このため、内燃機関6の停止中は、接触面受熱量Qsおよび燃料気化熱量Qfのみを考慮することにより、吸気弁温度Tvを推定することができる。
図6は、内燃機関6の停止中における吸気弁温度Tvを推定するためにECU60が実行するルーチンのフローチャートである。図6に示すルーチンは、内燃機関6の停止と共に起動されるものとする。ここでは、まず、その時点における吸気弁温度Tvが、停止中の吸気弁温度Tvの初期値として設定される(ステップ140)。
次に、接触面受熱量Qsおよび燃料気化熱量Qfを算出するために必要なパラメータが取り込まれる(ステップ142)。具体的には、ここでは、冷却水温THWと、吸気管圧力Pmと、吸気弁残留量fwvと、吸気弁残留率Pvとが取得される。
次に、接触面受熱量Qsが算出される(ステップ144)。接触面受熱量Qsは、上記の(9)式に従って、以下の通り算出される。ただし、弁座の温度Tvsは冷却水温THWで代用し、着座時間dtsは、本ルーチンの実行周期とする。
Qs=hs・(Tvs−Tv)・dts
hs=4130・(Pm/50000)0.6
続いて、燃料気化熱量Qfが算出される(ステップ146)。機関停止中においては、吸気弁12に付着している燃料(吸気弁残留燃料)の温度Tfは、吸気弁温度Tvに等しいと考えられる。そこで、このステップ146においては、上記(10)式においてTf=Tvとすることにより、燃料気化熱量Qfが次式に基づいて算出される。ただし、燃料気化量mfは、現在の吸気弁残留量fwvおよび吸気弁残留率Pvに基づいて算出されるものとし、燃料の気化期間dtfは、本ルーチンの実行周期とする。
Qf=mf・Hf・dtf
図6に示すルーチンでは、次に、吸気弁温度Tvの更新処理が行われる(ステップ148)。ここでは、具体的には、まず、今回の処理サイクルで得られた吸気弁12の総受熱量(Qs−Qf)を吸気弁12の比熱(既知であるものとする)で除することにより、温度変化分ΔTvが算出される。次いで、現時点の吸気弁温度TvにΔTvを加えることにより、吸気弁温度Tvが最新値に更新される。
以上の処理によれば、内燃機関6の停止中における吸気弁温度Tvを精度良く推定することができる。このように、本実施形態のシステムは、図4および図6に示すルーチンを選択的に実行することにより、内燃機関6の運転中および停止中の双方において、吸気弁温度Tvを精度良く推定し続けることができる。
[再始動時の燃料噴射量を算出するための具体的処理]
図7は、前述した方法に基づいて、再始動時の筒内10の空燃比を精度良く制御するために、ECU60が実行するルーチンのフローチャートである。図7に示すルーチンによれば、内燃機関6が停止されると(ステップ150)、まず、その時点でのポート残留量fwpstopおよび吸気弁残留量fwvstopが取得される(ステップ152)。前述したように、本実施形態において、ECU60は、上記(2)式および(3)式に基づいて、運転中のポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvを逐次算出している。このステップ152では、機関停止時点におけるそれらの算出値がfwpstopおよびfwvstopとして取得される。
次いで、現在の吸気ポート温度Tpおよび吸気弁温度Tvが取得される(ステップ154)。このステップ154において、吸気ポート温度Tpは、水温センサ48によって検出される冷却水温THWで代用される。また、吸気弁温度Tvは、前述した図4または図6のルーチンの処理で推定されている値が取得される。
続いて、上記ステップ154で取得された吸気ポート温度Tpおよび吸気弁温度Tvに基づいて、現在のポート残留率Ppおよび吸気弁残留率Pvが算出される(ステップ156)。このステップ156において、ポート残留率Ppは、現在の吸気ポート温度Tpが低いほど、大きく算出される。また、吸気弁残留率Pvは、現在の吸気弁温度Tvが低いほど、大きく算出される。
続いて、ポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvが更新される(ステップ158)。具体的には、上記ステップ156で算出されたポート残留率Ppおよび吸気弁残留率Pvに基づき、上記(4)式および(5)式に従って更新処理が行われ、現在のポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvが算出される。
次いで、内燃機関10に対する再始動要求が出されたか否かが判別される(ステップ160)。再始動要求が出されていないと判別された場合には、上記ステップ154以下の処理が再度行われ、ポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvの更新が継続される。
一方、上記ステップ160において、再始動要求が出されたことが認められた場合には、次に、現時点、つまり再始動を行おうとする時点のポート付着率Rprestartおよび吸気弁付着率Rvrestartが算出される(ステップ162)。ここでは、ポート付着率Rprestartは、現在の吸気ポート温度Tpが低いほど、大きく算出される。また、吸気弁付着率Rvrestartは、現在の吸気弁温度Tvが低いほど、大きく算出される。
続いて、再始動時に噴射すべき燃料量が算出される(ステップ164)。具体的には、まず、再始動時に筒内10に吸入される筒内吸入空気量mを目標空燃比αで除することにより、筒内10に供給されるべき燃料量が算出される。次いで、その算出された燃料量に、上記(6)式により算出される筒内燃料吸入量fcprestartが一致するように、再始動時の燃料噴射量fiprestartが算出される。
なお、上記ステップ164の処理において、上記(6)式中の再始動時のポート残留量fwprestartおよび吸気弁残留量fwvrestartとしては、上記ステップ158で算出されている最新のポート残留量fwpおよび吸気弁残留量fwvの値を用いればよい。また、再始動時の筒内吸入空気量mは、公知の手法により算出することができ、例えば、ECU60に予め記憶された基準値に、冷却水温THWや吸気温度などに基づく補正を施すことにより、算出することができる。
以上のようにして再始動時の燃料噴射量fiprestartが算出されたら、ポートインジェクタ22からの噴射量がその値(fiprestart)になるようにポートインジェクタ22が駆動され、内燃機関10がクランキングされて再始動が実行される(ステップ166)。
以上説明した図7のルーチンの処理によれば、再始動時に吸気ポート18内に滞留している気化燃料の量や、再始動時のポート付着率Rprestartおよび吸気弁付着率Rvrestartに応じて、再始動時の燃料噴射量fiprestartを適切に増減することができる。このため、再始動時に筒内10に形成される混合気の空燃比を目標空燃比αに精度良く制御することができる。よって、再始動時および再始動直後の空燃比ずれによるエミッションの悪化を防止することができ、エミッション性能を改善することができる。また、再始動時のリッチ失火などを確実に回避することができ、始動性を向上することができる。
特に、本発明では、吸気ポート温度Tpと吸気弁温度Tvとを別々に推定した上で、ポート残留率Pp、吸気弁残留率Pv、ポート付着率Rp、吸気弁付着率Pvを算出している。吸気ポート18の熱容量(シリンダヘッドの熱容量)は、吸気弁12の熱容量より大きいため、機関停止後、吸気ポート温度Tpは吸気弁温度Tvに比して下がりにくい。このため、機関停止中のポート残留率Ppと、吸気弁残留率Pvとは、通常、異なる値となる。本発明によれば、このような現象を適切に反映させて再始動時の燃料噴射量fiprestartを算出することができるので、再始動時の筒内10の空燃比を正確に制御することができる。
なお、上記ステップ152における機関停止時点のポート残留量fwpstopおよび吸気弁残留量fwvstopの取得方法は、上記のような方法に限定されるものではない。例えば、機関停止直前の運転状態に基づいてfwpstopおよびfwvstopを推定するようにしてもよい。
また、上記ステップ164における再始動時の燃料噴射量fiprestartの算出方法は、上記のような方法に限定されるものではない。例えば、上記ステップ162までの処理で得られた値に基づいて噴射量補正値を算出し、通常始動時の燃料噴射量に対し、その噴射量補正値に基づく補正を施すことによって、再始動時の燃料噴射量fiprestartを算出するようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、ポートインジェクタ22のみから燃料を供給する内燃機関6の場合を例に説明したが、本発明は、筒内10に燃料を直接噴射する筒内インジェクタと、ポートインジェクタとの双方を備えた内燃機関に対しても適用することができる。
また、上述した実施の形態1においては、ECU60が、上記ステップ152の処理を実行することにより前記第1の発明における「停止時点ポート残留燃料量推定手段」および「停止時点吸気弁残留燃料量推定手段」が、上記ステップ154の処理を実行することにより前記第1の発明における「吸気ポート温度取得手段」および「吸気弁温度取得手段」が、上記ステップ156および158の処理を実行することにより前記第1の発明における「停止中ポート残留燃料量推定手段」および「停止中吸気弁残留燃料量推定手段」が、上記ステップ162および164の処理を実行することにより前記第1および第2の発明における「始動時燃料噴射量算出手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、ECU60が、上記ステップ162の処理を実行することにより前記第2の発明における「ポート付着率予測手段」および「吸気弁付着率予測手段」が実現されている。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略または簡略する。本実施形態は、実施の形態1と同様に、図1に示すシステムにより実現することができる。
(吸気の吹き返し分の補正)
本実施形態では、再始動時の筒内10の空燃比をより高精度に制御するため、機関停止時の吸気の吹き返し分に応じた補正を加えることとした。
ここで、吸気の吹き返しとは、筒内10に一旦吸入された新気が、吸気弁12が閉じる前に、吸気ポート18へ逆流することである。内燃機関においては、一般に、吸気慣性を有効に利用して吸入効率を高める等の理由から、吸気弁12が閉じ終わるのは、下死点を過ぎた後とされる。このため、吸気下死点を過ぎてピストン8が上昇し始め、かつ吸気弁12がまだ閉じていない状態では、筒内10から吸気ポート18へ混合気が逆流する場合がある。
このような吸気の吹き返しに伴い、その中に含まれる燃料も筒内10から吸気ポート18へ戻されることとなる。以下では、吸気の吹き返し中に含まれる燃料を「吹き返し燃料」と称する。また、吹き返し燃料の量を「吹き返し燃料量」と称し、符号fbで表すこととする。
機関停止直前の最後のサイクルで吹き返した混合気は、機関停止中に吸気ポート18内に滞留し、再始動時に筒内10に再度吸入されると考えられる。このため、機関停止時の吹き返し燃料量fbを推定し、再始動時の燃料噴射量fiprestartにその分の補正を施せば、再始動時の筒内10の空燃比をより高精度に制御することができる。
吹き返し燃料量fbは、内燃機関6の運転状態に応じて変化する。より具体的には、吹き返し燃料量fbは、機関回転数NEや、負荷率KL、吸気弁12の開閉タイミングInVT、最大リフト量InVL、及び作用角InVθ、燃料噴射量などのパラメータに応じて変化する。例えば、燃料噴射量が多いほど、吹き返し燃料量fbは多くなり、吸気弁12の最大リフト量InVLが大きいほど、吹き返し燃料量fbは多くなる。
そこで、本実施形態では、機関回転数NE、負荷率KL、吸気弁12の開閉タイミングInVT、最大リフト量InVL、及び作用角InVθ、燃料噴射量などのパラメータの各々に対する吹き返し燃料量fbの依存性を予め把握しておき、それらの依存性を表す情報をECU60に記憶させておくこととした。ECU60は、その予め記憶された情報を利用して、機関停止直前の運転状態に基づき、機関停止時の吹き返し燃料量fbを精度良く推定することができる。
そして、本実施形態では、そのようにして推定された機関停止時の吹き返し燃料量fbをも考慮して、再始動時の燃料噴射量fiprestartを算出することとした。具体的には、前述した図7のルーチンのステップ164において、上記(6)式に代えて、次式を用いて燃料噴射量fiprestartを算出することとした。
fcprestart=(1-Rprestart-Rvrestart)・fiprestart
+(fwpstop-fwprestart)+(fwvstop-fwvrestart)+fb
・・・(12)
上記(12)式によれば、機関停止時の吹き返し燃料量fbを考慮して、再始動時の筒内燃料吸入量fcprestartを算出することができる。このため、機関停止時の吹き返し燃料量fbの影響を精度良く補正することができ、再始動時の筒内10の空燃比をより高い精度で制御することができる。
(残留ガス量分の補正)
また、本実施形態では、再始動時のエミッション性能および始動性を更に改善するため、機関停止時の残留ガス量に応じた補正を加えることとした。
内燃機関サイクルにおいては、一般に、既燃ガスを筒内から完全に排出することは困難であるため、既燃ガスの一部は次回サイクルまで筒内10に残留する。このため、機関停止した場合も、筒内10には、多少の既燃ガスが残留していることとなる。この残留ガス量が多いと、その分だけ再始動時の筒内吸入空気量mが減少することとなる。また、残留ガス量が多いと、燃焼速度が低下するなどの影響があるため、良好な始動性を確保する観点からは、空燃比を多少濃くした方が好ましい。
残留ガス量は、内燃機関6の運転状態に応じて変化する。そこで、本実施形態では、機関回転数NE、負荷率KL、吸気弁12の開閉タイミングInVT、最大リフト量InVL、及び作用角InVθなどのパラメータの各々に対する残留ガス量の依存性を予め把握しておき、それらの依存性を表す情報をECU60に記憶させておくこととした。ECU60は、その予め記憶された情報を利用して、機関停止直前の運転状態に基づき、機関停止時の残留ガス量を精度良く推定することができる。
そして、本実施形態では、そのようにして推定された残留ガス量に基づいて、再始動時の燃料噴射量fiprestartを補正することとした。具体的には、前述した図7のルーチンのステップ164において、再始動時の筒内吸入空気量mが、残留ガス量に応じた分だけ減少するものとして、再始動時の燃料噴射量fiprestartを算出することとした。また、残留ガス量が多量である場合には、良好な始動性を確保するべく、燃料噴射量fiprestartを所定の割合で増量することとした。このような方法によれば、機関停止時の残留ガス量の影響を精度良く補正することができ、再始動時の筒内10の空燃比をより高い精度で制御することができる。また、残留ガスの影響による始動性の悪化を回避することができる。
本実施の形態2は、上述した点以外は実施の形態1と同様であるので、ここではこれ以上の説明を省略する。本実施の形態2においては、ECU60が、機関回転数NE、負荷率KL、吸気弁12の開閉タイミングInVT、最大リフト量InVL、及び作用角InVθ、燃料噴射量などに基づいて機関停止時の吹き返し燃料量fbを算出することにより前記第3の発明における「機関停止時吹き返し燃料量推定手段」が、機関回転数NE、負荷率KL、吸気弁12の開閉タイミングInVT、最大リフト量InVL、及び作用角InVθなどに基づいて機関停止時の残留ガス量を算出することにより前記第4の発明における「残留ガス量推定手段」が、それぞれ実現されている。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1で用いる燃料挙動モデルを説明するための図である。 本発明の実施の形態1で用いる吸気弁温度推定モデルを説明するための図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 負荷率KL、バルブオーバーラップ量VOL及び機関回転数NEと、既燃ガスの吹き返し量との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。
符号の説明
6 内燃機関
10 燃焼室
12 吸気弁
14 排気弁
16 点火プラグ
18 吸気ポート
20 排気ポート
22 ポートインジェクタ
30 吸気通路
33 エアフローメータ
36 スロットルバルブ
40 排気通路
42 触媒
44 空燃比センサ
46 クランク角センサ
48 水温センサ
60 ECU
fip ポート噴射量
fwp ポート残留量
fwv 吸気弁残留量
fcp 筒内燃料吸入量
Pp ポート残留率
Rp ポート付着率
Pv 吸気弁残留率
Rv 吸気弁付着率
fb 吹き返し燃料量
m 筒内吸入空気量
α 目標空燃比

Claims (4)

  1. 内燃機関の吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタと、
    機関停止時点で前記吸気ポートの内壁に付着して残留している燃料の量を推定する停止時点ポート残留燃料量推定手段と、
    機関停止中に前記吸気ポートの温度を検出または推定する吸気ポート温度取得手段と、
    前記停止時点ポート残留燃料量推定手段により推定された機関停止時点のポート残留燃料量と、機関停止中の吸気ポート温度とに基づいて、機関停止中に前記吸気ポートの内壁に付着して残留している燃料の量を推定する停止中ポート残留燃料量推定手段と、
    機関停止時点で前記内燃機関の吸気弁の表面に付着して残留している燃料の量を推定する停止時点吸気弁残留燃料量推定手段と、
    機関停止中に前記吸気弁の温度を検出または推定する吸気弁温度取得手段と、
    前記停止時点吸気弁残留燃料量推定手段により推定された機関停止時点の吸気弁残留燃料量と、機関停止中の吸気弁温度とに基づいて、機関停止中に前記吸気弁の表面に付着して残留している燃料の量を推定する停止中吸気弁残留燃料量推定手段と、
    前記内燃機関の再始動時に噴射すべき燃料量を算出する始動時燃料噴射量算出手段と、
    を備え、
    前記始動時燃料噴射量算出手段は、前記停止中ポート残留燃料量推定手段および前記停止中吸気弁残留燃料量推定手段により推定された再始動時点でのポート残留燃料量および吸気弁残留燃料量に基づいて、再始動時の燃料噴射量を算出することを特徴とする内燃機関の始動時燃料噴射量制御装置。
  2. 再始動時に前記ポートインジェクタから噴射される燃料のうち、前記吸気ポートの内壁に付着する燃料の比率を、前記吸気ポート温度取得手段により取得された再始動時点での吸気ポート温度に基づいて予測するポート付着率予測手段と、
    再始動時に前記ポートインジェクタから噴射される燃料のうち、前記吸気弁の表面に付着する燃料の比率を、前記吸気弁温度取得手段により取得された再始動時点での吸気弁温度に基づいて予測する吸気弁付着率予測手段と、
    を更に備え、
    前記始動時燃料噴射量算出手段は、前記ポート付着率予測手段および前記吸気弁付着率予測手段により予測された再始動時点のポート付着率および吸気弁付着率をも考慮して、再始動時の燃料噴射量を算出することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の始動時燃料噴射量制御装置。
  3. 機関停止時に生じた気筒内から前記吸気ポートへの吸気の吹き返し中に含まれる燃料の量を機関運転状態に基づいて推定する機関停止時吹き返し燃料量推定手段を更に備え、
    前記始動時燃料噴射量算出手段は、前記機関停止時吹き返し燃料量推定手段により推定された機関停止時の前記吸気ポートへの吹き返し燃料量をも考慮して、再始動時の燃料噴射量を算出することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の始動時燃料噴射量制御装置。
  4. 機関停止時に気筒内に残留する既燃ガスの量を機関運転状態に基づいて推定する機関停止時残留ガス量推定手段を更に備え、
    前記始動時燃料噴射量算出手段は、前記機関停止時残留ガス量推定手段により推定された機関停止時の残留ガス量をも考慮して、再始動時の燃料噴射量を算出することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の始動時燃料噴射量制御装置。
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