JP2006057596A - 蒸発燃料供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 この発明は冷間始動時に内燃機関の吸気系に蒸発燃料を供給するのに適した蒸発燃料供給装置に関し、バックファイヤの発生する状況下での不当なダメージの発生を防止することを目的とする。
【解決手段】 蒸発燃料を貯留するキャニスタ10を設ける。キャニスタ10と内燃機関の吸気通路20とを連通するパージライン12を設ける。パージライン12に、その導通状態を制御するD-VSV(パージ制御弁)14を配置する。更に、バックファイヤの発生時に、吸気通路20からキャニスタ10へ向かう圧力伝播を抑制するために、チェック弁16を設ける。
【選択図】 図1

Description

この発明は蒸発燃料供給装置に係り、特に、内燃機関の冷間始動時に内燃機関の吸気系に蒸発燃料を供給するうえで好適な蒸発燃料供給装置に関する。
従来、例えば特開平7−229452号公報に開示されるように、燃料タンクの内部で発生する蒸発燃料をキャニスタ内部に貯留し、その貯留燃料を、内燃機関の運転中に吸気通路に吸入させるシステムが知られている。蒸発燃料を吸気通路に供給すると、空燃比に荒れが生じやすい。このため、蒸発燃料の供給は、内燃機関の暖機後に開始されるのが一般的である。
一方、冷間時には、液体燃料が気化し難いことから、燃料の燃焼性を高めるうえでは、既に気化している蒸発燃料を内燃機関に供給することが有効である。このため、内燃機関の始動性を改善する手法としては、内燃機関の冷間始動時に蒸発燃料を吸気系に供給することが考えられる。
ところが、このような状況下では、内燃機関に供給する燃料量が不足することにより、爆発行程において筒内での燃焼が適性に行われず、筒内ガスの燃焼が完了する前に吸気行程が開始される事態が生じ得る。そして、このような状況下では、吸気行程の開始と共に、吸気通路内に存在する混合気に燃焼が伝播してバックファイヤが生ずることがある。
上述した従来のシステムは、冷間始動時に蒸発燃料を内燃機関に供給することを想定していないため、バックファイヤの発生を前提としていない。このため、このシステムでは、バックファイヤの影響を考慮した措置は、何ら講じられていない。
特開平7−229452号公報 実開平3−37270号公報 特開2002−21643号公報
しかしながら、バックファイヤの発生には、吸気通路内での異常圧力の発生が伴う。そして、上記従来のシステムでは、その異常圧力は、蒸発燃料の供給管路を通じてキャニスタに伝播される。このような圧力伝播は、キャニスタの耐久性を低下させる原因となる。この点、上記従来のシステムは、冷間始動時に蒸発燃料を吸気系に供給するための装置としては、必ずしも最適なものではなかった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、バックファイヤの発生する状況下でも、不当なダメージを受けることのない蒸発燃料供給装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、蒸発燃料供給装置であって、
蒸発燃料を貯留するキャニスタと、
前記キャニスタと内燃機関の吸気通路とを連通するパージラインと、
前記パージラインに配置されたパージ制御弁と、
バックファイヤの発生時に、前記吸気通路から前記キャニスタへ向かう圧力伝播を抑制する圧力伝播抑制装置と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記圧力伝播抑制装置は、前記キャニスタ側の圧力が前記吸気通路側の圧力以上である状況下では開弁状態となり、かつ、前記吸気通路側の圧力が前記キャニスタ側の圧力よりも高くなった場合に閉弁状態となるチェック弁を含むことを特徴とする。
また、第3の発明は、第2の発明において、前記チェック弁は、前記閉弁状態において、前記吸気通路側と前記キャニスタ側との導通を維持するための絞り孔を有することを特徴とする。
また、第4の発明は、第1の発明において、
バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置を備え、
前記圧力伝播抑制装置は、バックファイヤが検知された際に前記パージ制御弁を閉弁状態とするパージ禁止装置を含むことを特徴とする。
また、第5の発明は、第4の発明において、
前記パージ禁止装置は、バックファイヤが検知された後、恒常的に前記パージ制御弁を閉弁状態に維持し、
内燃機関の各気筒に対して燃料を噴射する燃料噴射弁と、
バックファイヤが検知された後、内燃機関が必要とする燃料量の全てを前記燃料噴射弁から噴射させる燃料噴射弁制御装置と、
を備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、第1の発明において、
バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置を備え、
前記圧力伝播抑制装置は、
前記パージラインの有効径を切り換える切り換え制御弁と、
バックファイヤが検知された際に、前記有効径が小さくなるように前記切り換え制御弁を制御する有効径切り換え装置と、を含むことを特徴とする。
また、第7の発明は、第1の発明において、
バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置を備え、
前記圧力伝播抑制装置は、バックファイヤが検知された際に、前記パージ制御弁の開度を絞る制御弁絞り装置を含むことを特徴とする。
また、第8の発明は、第4乃至第7の発明の何れかにおいて、
前記バックファイヤ検知装置は、
筒内の燃焼圧を検出する燃焼圧センサと、
新規ガスの吸入が開始される以前の燃焼圧に基づいて、バックファイヤの発生を予測するバックファイヤ予測装置とを含み、
前記圧力伝播抑制装置は、バックファイヤの発生が予測された時点で、圧力伝播を抑制するための処理を実行することを特徴とする。
また、第9の発明は、第1乃至第8の発明において、
バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置を備え、
前記バックファイヤが生じた吸気行程に続いて行われるバックファイヤ後吸気行程において、内燃機関への燃料供給量の増量を図る燃料供給量増量装置を更に備えることを特徴とする。
また、第10の発明は、第9の発明において、
各気筒における吸気行程と同期して、所定の開弁時間だけ前記パージ制御弁を開弁させる制御弁制御装置を備え、
前記燃料供給量増量装置は、前記バックファイヤ後吸気行程に対応する前記開弁時間を、基準の開弁時間より長期化する開弁時間長期化装置を含むことを特徴とする。
また、第11の発明は、第10の発明において、前記燃料供給量増量装置は、前記バックファイヤ後吸気行程に同期する前記パージ制御弁の開弁時期を基準の開弁時期に比して進角させる開弁時期進角装置を含むことを特徴とする。
また、第12の発明は、第9の発明において、
内燃機関の各気筒に対して燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、
前記燃料供給量増量装置は、前記バックファイヤ後吸気行程の行われる気筒に対して、所定の増量補正分を前記燃料噴射弁に噴射させる噴射弁制御装置を含むことを特徴とする。
また、第13の発明は、第1乃至第12の発明の何れかにおいて、
バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置と、
バックファイヤの生じた気筒における異常圧力の消失を推定する異常圧力消失予測装置と、
異常圧力の消失が推定された時点以後に、バックファイヤの生じた気筒に対して補充燃料を供給する補充燃料供給手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第14の発明は、第13の発明において、
内燃機関の各気筒に対して燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、
前記補充燃料供給手段は、
バックファイヤの生じた気筒における異常圧力の消失が推定される時点から、当該気筒における当該吸気行程が終了する時点までの間に、所望の補充燃料をパージラインから供給できるか否かを判断するパージ補充可否判断装置と、
所望の補充燃料をパージラインから供給できると判断された場合に、その補充燃料が供給されるように前記パージ制御弁を駆動するパージ補充実行装置と、
所望の補充燃料をパージラインから供給できないと判断された場合に、その補充燃料を前記燃料噴射弁から噴射させる噴射補充実行装置と、
を含むことを特徴とする。
また、第15の発明は、第1乃至第14の発明の何れかにおいて、
バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置と、
バックファイヤの発生が検知された後、各気筒の点火時期を進角させる点火時期進角装置と、
を備えることを特徴とする。
また、第16の発明は、第1乃至第15の発明の何れかにおいて、
吸気弁の開弁タイミングを可変とする可変バルブタイミング機構と、
バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置と、
バックファイヤの発生が検知された後、バルブオーバーラップが小さくなるように、各気筒の吸気弁の開弁タイミングを遅角する開弁時期変更装置と、
を備えることを特徴とする。
また、第17の発明は、第1乃至第16の発明の何れかにおいて、
前記圧力伝播抑制装置は、バックファイヤの生じた気筒において異常圧力が消滅した後は、パージラインを通って蒸発燃料が吸気通路に流入するのを許容し、
内燃機関の吸気通路に配置され、アイドル状態での吸入空気量が所望量となるように、その開度が調整されるアイドル空気量調整機構と、
バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置と、
バックファイヤの発生が検知された後、前記アイドル空気量調整機構の開度を絞るアイドル空気量減量装置と、
を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、バックファイヤの発生時には、圧力伝播抑制装置により、吸気通路からキャニスタへの圧力伝播を抑制することができる。このため、本発明によれば、バックファイヤの発生に伴う異常圧力により、キャニスタがダメージを受けるのを有効に防ぐことができる。
第2の発明によれば、通常時には、チェック弁が開弁状態となるため、大きな通気抵抗を発生させることなく、キャニスタ内の蒸発燃料を吸気通路に吸入させることができる。また、バックファイヤの発生時には、チェック弁が閉弁状態となるため、異常圧力がキャニスタに作用するのを確実に防ぐことができる。
第3の発明によれば、チェック弁が閉弁状態とされた状況下でも、しぼり孔により、吸気通路側の圧力をキャニスタ側へ開放させることができる。このため、本発明によれば、バックファイヤの発生時に、吸気通路内の圧力が不当に高圧となるのを避けることができる。
第4の発明によれば、バックファイヤの発生時に、パージ制御弁を閉弁状態とすることで、吸気通路側からキャニスタ側へ向かう圧力の伝播を確実に遮断することができる。
第5の発明によれば、バックファイヤの発生後は、蒸発燃料による燃料供給を中止して、所望の燃料量の全てを燃料噴射弁により供給させることができる。燃料噴射弁による燃料供給によれば、蒸発燃料による燃料供給に比して、高い精度で燃料供給量を制御することが可能である。このため、本発明によれば、バックファイヤの連続的な発生を防ぐことができる。
第6の発明によれば、バックファイヤの発生時には、切り換え制御弁の状態を切り換えることにより、パージラインの有効径を狭めることができる。このため、本発明によれば、パージ制御弁の制御内容を変えることなくと、バックファイヤの発生に伴う異常圧力の伝播を確実に抑制することができる。
第7の発明によれば、バックファイヤの発生時に、パージ制御弁の開度を絞ることにより、吸気通路側の圧力を適度にキャニスタ側に開放させ得る余地を残しつつ、吸気通路側からキャニスタ側への圧力伝播を抑制することができる。このため、本発明によれば、バックファイヤの発生時に、キャニスタが受けるダメージ、および吸気通路が受けるダメージを、共に十分に小さくすることができる。
第8の発明によれば、新規ガスの吸入が開始される以前にバックファイヤの発生を予測して、圧力伝播を抑制するための処理を実行することができる。圧力伝播を抑制する処理が実行されると、吸気通路への新規ガスの流入を抑制することができる。このため、本発明によれば、バックファイヤの発生を未然に防止することができる。
第9の発明によれば、ある気筒においてバックファイヤが発生した場合に、その後に他の気筒でバックファイヤ後吸気行程が実行される際に、内燃機関への燃料供給量を増量することができる。燃料供給量が増えると、筒内での燃焼が安定してバックファイヤの発生が防止される。このため、本発明によれば、バックファイヤの連続的な発生を防ぐことができる。
第10の発明によれば、バックファイヤ後吸気行程の行われる気筒において、パージ制御弁の開弁時間を長期化することにより、その気筒に対する燃料供給量を確実に増量することができる。
第11の発明によれば、バックファイヤ後吸気行程の行われる気筒において、パージ制御弁の開弁時期を早めることができる。この場合、パージ制御弁の開弁時間を長期化しつつ、バックファイヤ後吸気行程が終了する以前に、その開弁時間を終了させることができる。このため、本発明によれば、バックファイヤ後吸気行程の行われる気筒に対する燃料供給量を確実に増量することができる。
第12の発明によれば、バックファイヤ後吸気行程の行われる気筒に対して、燃料噴射弁により燃料の増量補正分を噴射することができる。このため、本発明によれば、バックファイヤ後の燃料増量を確実に実現することができる。
第13の発明によれば、バックファイヤの生じた気筒において、異常圧力が消失した後に、その気筒に対して補充燃料を供給することができる。異常圧力が消失した後であれば、燃料供給を行ってもバックファイヤは誘発されない。また、このような処理によれば、バックファイヤの生じた気筒における燃料供給量の不足を解消することができる。このため、本発明によれば、バックファイヤの生じた後、即座に適正な運転状態を回復させることができる。
第14の発明によれば、バックファイヤの生じた気筒において異常圧力が消滅した時点で、その気筒への燃料補充が蒸発燃料のパージで行えるか否かを判断することができる。そして、その補充が可能であれば蒸発燃料による補充を行い、その補充が不可能であれば、燃料噴射弁による補充を行うことができる。このため、本発明によれば、可能な限り蒸発燃料による燃料供給を優先しつつ、バックファイヤの生じた気筒に対する燃料補充を確実に実行することができる。
第15の発明によれば、バックファイヤの発生が検知された後に、各気筒の点火時期を進角させることができる。点火時期が進角されると、筒内の燃焼状態が改善されるため、以後のバックファイヤの発生を抑制することができる。
第16の発明によれば、バックファイヤの発生が検知された後に、バルブオーバーラップが小さくなるように、吸気弁の開弁タイミングを遅角することができる。バルブオーバーラップが小さくなると、筒内ガスが排気され易くなり、また、吸気通路へ逆流し難くなることから、バックファイヤが発生し難くなる。このため、本発明によれば、バックファイヤの連続的な発生を有効に防ぐことができる。
第17の発明によれば、バックファイヤの発生が検知された後は、アイドル空気量調整機構の開度を絞ることにより、吸気負圧を大きくすることができる。吸気負圧が大きくなると、パージラインから吸気通路に吸入される燃料量が増加する。このため、本発明によれば、バックファイヤの発生後に個々の気筒に供給される燃料量を増量して、連続的なバックファイヤの発生を防止することができる。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1は、本発明の実施の形態1の蒸発燃料供給装置の構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態の装置は、キャニスタ10を備えている。キャニスタ10は、図示しない燃料タンクに連通しており、燃料タンク内で発生した蒸発燃料をその内部に蓄えておくことができる。
キャニスタ10には、パージライン12が連通している。パージライン12には、D-VSV14と、チェック弁16とが組み込まれている。パージライン12の端部は、スロットル弁18の下流において内燃機関の吸気通路20に連通している。D-VSV14は、デューティ信号を受けて、その信号のデューティ比で開閉を繰り返す制御弁である。図1に示すシステムにおいては、吸気負圧の発生中にD-VSV14を適当にデューティ駆動することにより、パージライン12を通って吸気通路20に流入するパージガス流量を制御することができる。
チェック弁16は、キャニスタ10側から吸気通路20へ向かう流体の流れのみを許容する一方向弁である。チェック弁16によれば、パージライン12から吸気通路20へ向かう蒸発燃料の流れは許容しつつ、吸気通路20側からキャニスタ10側へ向かう流体の流れ、或いは圧力の伝播を遮断することができる。
[実施の形態1における特徴的動作]
本実施形態の装置は、内燃機関の運転中に燃料タンクの内部で発生した蒸発燃料や、給油の際に燃料タンクから流出してくる蒸発燃料をキャニスタ10の内部に蓄えておくことができる。また、この装置は、内燃機関の冷間始動時に、D-VSV14を適当に開弁させることにより、所望の空燃比が得られるようにキャニスタ10内の蒸発燃料を吸気通路20に供給することができる。
D-VSV14の開度は、公知の手法により、吸気通路20に流入する蒸発燃料量が所望の空燃比を実現するための流量となるように制御される。このような制御手法によれば、内燃機関の冷間始動時に、内燃機関の運転に必要とされる燃料を、蒸発燃料の形態で個々の気筒に供給することができる。
内燃機関の冷間始動時は、液体燃料が気化し難いため、既に気化している蒸発燃料を内燃機関に供給することとすれば、液体燃料を供給する場合に比して優れた燃焼性を得ることができる。このため、本実施形態の装置によれば、内燃機関の冷間時における始動性を十分に改善することが可能である。
ところで、冷間始動時における燃料供給を、主として蒸発燃料により行おうとした場合、燃料供給量に不足が生ずることがある。燃料供給量に不足が生ずると、爆発行程における燃焼が適性に行われず、筒内での燃焼が遅れることがある。このような燃焼の遅れが生ずると、排気行程の終了段階、つまり、吸気行程の開始段階まで、筒内に高温・高圧ガスが残存する事態が生じうる。この場合、吸気弁が開いて吸気行程が開始されると同時に、吸気通路内に存在する新規ガスに燃焼が伝わり、バックファイヤが発生することがある。
バックファイヤが発生すると、吸気通路20の内圧は、一時的に異常に高くなる。このような高圧がパージライン12を通ってキャニスタ10に伝播すれば、キャニスタ12に何らかのダメージが加わる可能性がある。これに対して、本実施形態の装置によれば、バックファイヤの発生に起因する異常圧力の伝播は、チェック弁16により抑制すること、より厳密には、阻止することができる。このため、本実施形態の装置によれば、バックファイヤの発生に伴ってキャニスタ10が何らかのダメージを受けるのを確実に防ぐことができる。この点、本実施形態の装置は、冷間始動時における燃料供給を主として蒸発燃料の形態で供給する装置として特に好適な特性を有している。
[実施の形態1におけるチェック弁の特徴]
図2は、一般的なチェック弁22の構造を説明するための図である。また、図3は、本実施形態において用いられるチェック弁16の構成および動作を説明するための図である。
図2に示すチェック弁22は、ボール弁24とスプリング26を備えている。ボール弁24は、スプリング26によって流入孔28側に付勢されている。このようなチェック弁22によれば、流入孔28側の圧力が流出孔30側の圧力より高圧である場合は、ボール弁24を開弁状態として、流体の流れを許容することができる。一方、流出孔30側の圧力が流入孔28側の圧力より高圧となった場合には、ボール弁24が閉弁状態となり、圧力の伝播を阻止することができる。
図2に示すチェック弁22をパージライン12に組み込むことによっても、バックファイヤに伴う異常圧力の伝播を阻止することは可能である。しかしながら、チェック弁22の構造によると、順方向の流れを生じさせるために、ある程度の流通抵抗が生ずるのを避けることができない。そして、このような流通抵抗は、吸気通路20に流入する蒸発燃料の流量を確保する観点からは好ましくない抵抗である。
図3(A)は、本実施形態において用いられるチェック弁16の通常の状態を示す。この図に示すように、チェック弁16は、弁体32と、スプリング34とを備えている。弁体32は、スプリング34に付勢されることにより、通常時において、流入孔36と流出孔38とを導通状態とする位置に維持されている。このため、チェック弁16によれば、何らの流通抵抗をも生じさせることなく、流入孔36から流出孔38へ向かうながれ、つまり、順方向の流れを許容することができる。
図3(B)は、流出孔38側に流入孔36側に比して高い圧力が生じた場合、つまり、弁体32に対して逆方向の圧力が作用した場合のチェック弁16の状態を示す図である。この図に示すように、逆方向の圧力が作用すると、弁体32は閉弁位置まで移動し、その結果、流出孔38と流入孔36とが遮断される。このため、チェック弁16によれば、バックファイヤの発生時に、吸気通路20側からキャニスタ10側へ向かう圧力の伝播を確実に遮断することができる。
以上説明した通り、図3に示すチェック弁16によれば、順方向の流通抵抗を殆ど生じさせることなく、逆方向の圧力伝播を確実に遮断することができる。このため、本実施形態の装置によれば、蒸発燃料の流通量を多量に確保する機能と、バックファイヤに伴う異常圧力の伝播を阻止する機能とを共に実現することが可能である。
尚、上述した実施の形態1においては、D-VSV14が前記第1の発明における「パージ制御弁」に、チェック弁16が前記第1の発明における「圧力伝播抑制装置」に、それぞれ相当している。
実施の形態2.
次に、図4を参照して本発明の実施の形態2について説明する。図4は、本実施形態において用いられるチェック弁40の構成および動作を説明するための図である。本実施形態の装置は、チェック弁16に代えてチェック弁40が用いられる点を除き、実施の形態1の装置と同様である。
図4(A)は、通常時におけるチェック弁40の状態を示す図である。また、図4(B)は、逆方向の圧力が作用した場合におけるチェック弁40の状態を示す図である。尚、図4において、図3に示す要素と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図4(A)および図4(B)に示すように、チェック弁40は、弁体42を備えている。弁体42には、流入孔36側の空間と、流出孔38側の空間とを常時連通状態とする絞り孔44が設けられている。このため、チェック弁40によれば、弁体42が閉弁状態となっても、流出孔38側の圧力を、僅かながら流入孔36側へ開放させることができる。
つまり、本実施形態の装置によれば、内燃機関においてバックファイヤが発生し、その結果、チェック弁40が閉弁状態となっても、吸気通路20側の圧力を、僅かながらキャニスタ10側へ開放させることができる。この場合、バックファイヤの発生に伴う異常な高圧がキャニスタ10に作用するのを防ぎつつ、バックファイヤの発生時に、吸気通路20の内部が不当に高圧となるのを防ぐことができる。このため、本実施形態の装置によれば、バックファイヤの発生時に、キャニスタ10および吸気通路20の双方を有効に保護することが可能である。
実施の形態3.
[実施の形態3の構成]
次に、図5乃至図8を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
図5は、本発明の実施の形態3の蒸発燃料供給装置の構成を説明するための図である。図5において、図1に示す構成要素と同一のものについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
本実施形態の装置においては、D-VSV14が、チェック弁16を介すること無く直接吸気通路20に連通している。また、本実施形態の装置は、ECU(Electronic Control Unit)50備えている。ECU50には、D-VSV14とエアフロメータ52とが接続されている。エアフロメータ52は、スロットル弁18の上流において、内燃機関の吸入空気量GAを検出するセンサである。
ECU50には、更に、回転数センサ54と、スロットルセンサ56が接続されている。回転数センサ54は、機関回転数NEを検出するためのセンサである。また、スロットルセンサ56は、スロットル弁18の開度を検出するためのセンサである。
[バックファイヤの発生に伴う燃焼圧変動の説明]
本実施形態の装置は、実施の形態1の装置と同様に、内燃機関の冷間始動時に、D-VSV14を適当に開弁させることにより、所望の空燃比が得られるように蒸発燃料を吸気通路20に供給する。このため、本実施形態の装置においても、蒸発燃料の供給中にバックファイヤが発生することを想定する必要がある。これらの事項は、以下に説明する全ての実施形態において同様である。
図6は、正常時の筒内圧(細線)とバックファイヤ発生時の筒内圧(太線)とを比較して表した図である。筒内での燃焼が正常に行われる場合は、その燃焼が短時間で完了する。このため、正常時の筒内圧(細線)は、図6に示すように、爆発行程において急激に立ち上がった後、排気行程の段階で大気圧付近にまで低下する。
バックファイヤは、既述した通り、筒内への燃料供給量が不十分であり、爆発行程での燃焼が適性に行われなかった場合に発生する。つまり、バックファイヤは、図6中に太線で示すように、爆発行程において燃焼圧が急激に立ち上がらず、排気行程の終了時点で、未だ筒内ガスの燃焼が継続しているような場合に(つまり、高温高圧ガスが筒内に残存している場合に)発生する。この場合、吸気行程の開始に伴って吸気弁が開かれると、吸気通路内に存在する新規ガスが筒内の高温高圧ガスに触れて燃焼し、その結果、バックファイヤが生ずる。この際、筒内圧(吸気通路20の内圧も同様)は、新規ガスの燃焼に伴い、一時的に異常に高い値となる。
吸気弁の開弁と同時に吸気通路20の内圧が上昇すると、吸入空気の流入が妨げられ、吸入空気量GAが減少する。このため、エアフロメータ52により検出される吸入空気量GAを常時監視しておき、その値が予定される値より小さな値となった場合には、バックファイヤが発生したと推定することができる。より具体的には、吸入空気量GAが予定の値より十分に少量となった場合には、その時点で、バックファイヤの発生に伴い、吸気通路20内の圧力PMが上昇したと判断することができる。
本実施形態の装置は、上記の手法でバックファイヤの発生を検知すると共に、その発生が検知された場合には、吸気通路20内の異常圧力が消滅するまで、D-VSV14を閉弁状態に維持することとしている。このような処理によれば、吸気通路20の内部に発生する異常圧力がキャニスタ10に伝播されるのを防ぎ、バックファイヤの影響からキャニスタ10を保護することが可能である。
[実施の形態3における具体的処理]
図7は、上記の手法でバックファイヤの発生を検知するべくECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図7に示すルーチンは、例えば4msec毎など、十分に短い周期で繰り返し実行される。
図7に示すルーチンでは、先ず、現在の運転状況に応じた基準空気量kGAが算出される(ステップ100)。内燃機関の吸入空気量GAは、機関回転数NEとスロットル開度TAとに応じて概ね決定される。ECU50は、それらの関係を定めたマップ、より具体的には、吸気の脈動等の影響を考慮したうえで異常値と認識するべき最大の吸入空気量Gaを、機関回転数NEおよびスロットル開度TAとの関係で定めたマップを記憶している。ここでは、そのマップを参照して、現在の機関回転数NEおよびスロットル開度TAに対応する基準空気量kGAが算出される。
次に、エアフロメータ52による吸入空気量GAの実測値が、基準空気量kGA以下であるか否かが判別される(ステップ102)。その結果、kGA≧GAが成立しないと判別された場合は、吸入空気量GAが正常に生じていると判断できる。そして、この場合は、内燃機関においてバックファイヤは発生していないと判断することができる。上記の判断がなされると、以後、バックファイヤが発生していないことを表すべく、バックファイヤフラグXBFに0がセットされる(ステップ104)。
一方、上記ステップ102において、kGA≧GAの成立が認められた場合は、吸入空気量GAが異常低下していると判断できる。この場合は、バックファイヤの発生が判定され、バックファイヤフラグXBFに1がセットされる(ステップ106)。
以上の処理によれば、バックファイヤが発生し、その結果、吸入空気量GAに異常な低下が生ずると、その時点でバックファイヤフラグXBFを1とすることができる。つまり、この処理によれば、吸気弁の開弁に伴い、バックファイヤが発生すると、その発生の初期の時点において、バックファイヤフラグXBFを1とすることができる。
図8は、バックファイヤの発生時に、D-VSV14を閉じてキャニスタ10を保護するべくECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図8に示すルーチンも、図7に示すルーチンと同様に、一定の時間周期毎に繰り返し実行されるものとする。
図8に示すルーチンでは、先ず、バックファイヤフラグXBFに1がセットされているか否かが判別される(ステップ110)。バックファイヤの発生が認められていない場合は、XBFには0が設定されている。従って、この場合は、ステップ110の条件が不成立と判断される。
ステップ110の条件が成立しないと判別されると、次に、第1バックファイヤフラグXBF1に1がセットされているか否かが判別される(ステップ112)。第1バックファイヤフラグXBF1には、イニシャル処理により0がセットされている。このため、バックファイヤの発生が認められていない段階では、この条件も不成立と判断される。そして、その場合は、パージの実行が許可された状態(ステップ114)。で今回のルーチンが終了される。
バックファイヤが発生して、バックファイヤフラグXBFに1がセットされると、ステップ110において、XBF=1の成立が認められる。この場合、第1バックファイヤフラグXBF1に1がセットされ(ステップ116)、バックファイヤカウンタCBFがクリアされ(ステップ118)、次いで、パージの実行が禁止される(ステップ120)。
パージの実行が禁止されている間は、D-VSV14が閉弁状態に維持される。従って、その間は、吸気通路20からキャニスタ10へ向かう圧力の伝播は阻止される。このため、上記の処理によれば、バックファイヤの発生後に、異常な高圧がキャニスタ10に伝播されるのを防ぐことができる。
図7に示す処理によれば、バックファイヤフラグXBFは、吸入空気量GAが正常値に復帰することで0とされる(上記ステップ102,104参照)。吸入空気量GAは、吸気通路20内の圧力がある程度下がると正常値に復帰する。このため、ステップ110の条件、つまり、XBF=1なる条件は、バックファイヤの発生後短時間の後に不成立となる。
バックファイヤの発生後、XBF=1が不成立と判別されると、再びステップ112の条件判定がなされる。今度は、第1バックファイヤフラグXBF1に1がセットされているため、その条件の成立が判別される。この場合、先ず、バックファイヤカウンタCBFがインクリメントされ(ステップ122)、次に、その計数値CBFが判定値KBF以下であるかが判別される(ステップ124)。
上記の処理によれば、バックファイヤカウンタCBFには、バックファイヤの発生が認められた後の経過時間、つまり、バックファイヤの発生した気筒において吸気弁が開弁された時点(概ね、上死点通過時点)後の経過時間が計数される。そして、判定値KBFは、バックファイヤの影響が消滅して、吸気通路20内の圧力および温度が通常値に戻るまで(具体的には、バックファイヤの生じた気筒のクランク角が上死点後(ATDC)30°CAに達する頃まで)にCBFに計数される値がセットされている。
このため、上記ステップ124において、CBF≦KBFの成立が認められる間は、未だバックファイヤの影響が残存しており、パージを再開すると、更なるバックファイヤが誘発される可能性があると判断できる。図8に示すルーチンによれば、この場合は、ステップ120の処理が実行され、引き続きパージ禁止の状態が維持される。
一方、上記ステップ124において、CBF≦KBFの不成立が認められた場合は、バックファイヤの影響が消滅して、パージが再開できる状態が整ったと判断できる。この場合、以後、第1バックファイヤフラグXBF1が0にリセットされた後(ステップ126)、ステップ114の処理によりパージの実行が許可される。
以上の処理によれば、ある気筒においてバックファイヤの発生が認められた場合、その後、バックファイヤの影響が残存している間に限ってパージの実行を禁止し、その影響が消滅した時点でパージを再開させることができる。このような処理によれば、バックファイヤの発生に伴う異常な圧力が、キャニスタ10に伝播されるのを有効に阻止しつつ、また、バックファイヤを助長するようなパージの実行を避けつつ、内燃機関に対する蒸発燃料の供給を可能な限り継続的に実行することができる。このため、本実施形態の装置によれば、バックファイヤの発生に伴う異常圧力からキャニスタ10を有効に保護しつつ、内燃機関に対して蒸発燃料を供給し続けることができる。
上述した実施の形態1の装置は、チェック弁16を用いてバックファイヤの影響を排除することとしている。この場合、パージの再開は、チェック弁16の両側に生ずる圧力差に任されることとなり、圧力波遅れや圧力反動の発生状況によっては、安定した燃焼状態が確保できる以前にパージが再開されるような事態が生じ得る。これに対して、本実施形態の装置によれば、バックファイヤの発生に伴ってD-VSV14を閉じた後、パージの再開を指令するまでの間に任意の遅れを持たせることが可能である。このため、本実施形態の装置によれば、実施の形態1の装置に比して、内燃機関の運転状態を更に安定化させることができる。
ところで、上述した実施の形態3においては、バックファイヤの発生を検知するために、吸入空気量GAを常時監視することとしているが、その検知の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、吸入空気量GAの監視を、クランク角同期で実行すること、より具体的には、個々の気筒において吸気弁が開かれるクランク角(バックファイヤの発生に伴う異常圧力が発生するクランク角)において実行することとしてもよい。
また、上述した実施の形態3においては、吸入空気量GAの瞬間値を基準空気量kGAと比較することによりバックファイヤの発生有無を判断することとしているが、その判断の手法はこれに限定されるものではない。例えば、上死点前(BTDC)30°CA程度における吸入空気量GAの平均値を、基準空気量kGAと比較することにより上記の判断を行うこととしてもよい。
尚、上述した実施の形態3においては、ECU50が、図7に示すルーチンを実行することにより前記第4の発明における「バックファイヤ検知装置」が、上記ステップ120の処理を実行することにより前記第4の発明における「パージ禁止装置」が、それぞれ実現されている。
実施の形態4.
[実施の形態4の構成]
次に、図9および図10を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
図9は、本発明の実施の形態4の構成を説明するための図である。本実施形態の装置は、図9に示す構成において、ECU50に、上記図8に示すルーチンと共に、後述する図10に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図9に示す構成は、圧力スイッチ58を備えている点を除き、実質的に図5に示す構成と同様である。圧力スイッチ58は、スロットル弁18の下流、より具体的には、吸気通路20のインテークマニホールド(サージタンク)に配置されている。
内燃機関の運転中における吸気通路20の圧力PMは、通常は負圧に維持される。そして、その圧力PMは、バックファイヤが発生することにより一時的に正圧となる。本実施形態において用いられる圧力スイッチ58は、バックファイヤの発生時にのみ到達する圧力PMに反応してON出力を発するような特性を有している。このため、図9に示す構成によれば、圧力スイッチ58の出力を監視することにより、バックファイヤが発生したか否かを判断することが可能である。
[実施の形態4における具体的処理]
図10は、本実施形態において、バックファイヤの発生を検知するべくECU50が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、4msec毎など、十分に短い周期毎に繰り返し起動されるものとする。
図10に示すルーチンによると、先ず、圧力スイッチ58がON出力を発生しているか否かが判別される(ステップ130)。その結果、ON出力の発生が認められない場合は、バックファイヤフラグXBFが0とされる(ステップ132)。一方、ON出力の発生が認められる場合は、バックファイヤフラグXBFが1とされる(ステップ134)。
以上の処理によれば、図7に示すルーチンが実行される場合と同様に、バックファイヤの発生に伴って吸気通路20の圧力が異常に高圧となっている場合にのみ、バックファイヤフラグXBFを1とすることができる。このため、図8に示すルーチンが実行されることにより、本実施形態の装置によっても、実施の形態3の装置と同様の機能を実現することができる。
ところで、上述した実施の形態4においては、バックファイヤの発生を検知するために、圧力スイッチ58の状態を常時監視することとしているが、その検知の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、圧力スイッチ58の状態は、クランク角同期で監視すること、より具体的には、個々の気筒において吸気弁が開かれるクランク角(バックファイヤの発生に伴う異常圧力が発生するクランク角)において監視することとしてもよい。
尚、上述した実施の形態4においては、ECU50が、図10に示すルーチンを実行することにより前記第4の発明における「バックファイヤ検知装置」が、図8に示すステップ120の処理を実行することにより前記第4の発明における「パージ禁止装置」が、それぞれ実現されている。
実施の形態5.
[実施の形態5の構成]
次に、図11および図12を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。
図11は、本発明の実施の形態5の構成を説明するための図である。本実施形態の装置は、図11に示す構成において、ECU50に、上記図8に示すルーチンと共に、後述する図12に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図11に示す構成は、圧力センサ60を備えている点を除き、実質的に図5に示す構成と同様である。圧力センサ60は、スロットル弁18の下流、より具体的には、吸気通路20のインテークマニホールド(サージタンク)において、吸気通路20の圧力PMを検出するためのセンサである。
既述した通り、バックファイヤの発生時には、吸気通路20の圧力PMが、通常値に比して十分に高い圧力となる。このため、圧力センサ60の出力を監視すれば、バックファイヤが発生したか否かを精度良く判断することが可能である。
[実施の形態5における具体的処理]
図12は、本実施形態において、バックファイヤの発生を検知するべくECU50が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、4msec毎など、十分に短い周期毎に繰り返し起動されるものとする。
図12に示すルーチンによると、先ず、現在の運転状況に応じた基準圧力kPMが算出される(ステップ140)。吸気通路20の圧力PMは、機関回転数NEとスロットル開度TAとに応じて概ね決定される。ECU50は、それらの関係を定めたマップ、より具体的には、吸気の脈動等の影響を考慮したうえで異常値と認識するべき吸気圧力PMの境界値を、機関回転数NEおよびスロットル開度TAとの関係で定めたマップを記憶している。ここでは、そのマップを参照して、現在の機関回転数NEおよびスロットル開度TAに対応する基準圧力kPMが算出される。
次に、圧力センサ60による吸気圧力PMの実測値が、基準圧力kPM以上であるかが判別される(ステップ142)。その結果、PM≧kPMの不成立が判別された場合は、吸気圧力PMが適正な値であると判断できる。そして、この場合は、内燃機関においてバックファイヤは発生していないと判断することができる。上記の判断がなされると、以後、バックファイヤが発生していないことを表すべく、バックファイヤフラグXBFに0がセットされる(ステップ144)。
一方、上記ステップ142において、PM≧kPMの成立が認められた場合は、吸気圧力PMが異常の上昇していると判断できる。この場合は、バックファイヤの発生が判定され、バックファイヤフラグXBFに1がセットされる(ステップ146)。
以上の処理によれば、図7に示すルーチンが実行される場合と同様に、バックファイヤの発生が推定できる場合にのみバックファイヤフラグXBFを1とすることができる。このため、図8に示すルーチンが実行されることにより、本実施形態の装置によっても、実施の形態3の装置と同様の機能を実現することができる。
ところで、上述した実施の形態5においては、バックファイヤの発生を検知するために、圧力センサ60の状態を常時監視することとしているが、その検知の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、圧力センサ60の状態は、クランク角同期で監視すること、より具体的には、個々の気筒において吸気弁が開かれるクランク角(バックファイヤの発生に伴う異常圧力が発生するクランク角)において監視することとしてもよい。
尚、上述した実施の形態5においては、ECU50が、図12に示すルーチンを実行することにより前記第4の発明における「バックファイヤ検知装置」が、図8に示すステップ120の処理を実行することにより前記第4の発明における「パージ禁止装置」が、それぞれ実現されている。
実施の形態6.
[実施の形態6の構成]
次に、図13および図14を参照して、本発明の実施の形態6について説明する。
図13は、本発明の実施の形態6の構成を説明するための図である。本実施形態の装置は、図13に示す構成において、ECU50に、上記図8に示すルーチンと共に、後述する図14に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図13に示す構成は、内燃機関の気筒毎に燃焼圧センサ62を備えている点を除き、実質的に図5に示す構成と同様である。燃焼圧センサ62は、例えばシリンダヘッドに配置されており、個々の気筒において発生する燃焼圧を検出することができる。
バックファイヤは、既述した通り、吸気弁の開弁と同時に新規ガスが筒内の高温高圧ガスに接触し、その結果、新規ガスが不当に燃焼することにより発生する。吸気弁が開いている状況下で新規ガスに燃焼が生じれば、筒内圧は通常値より高い値となる。このため、吸気弁が開弁するクランク角の近傍において、燃焼圧センサ62の出力を監視すれば、バックファイヤの発生を正確に検知することが可能である。
[実施の形態6における具体的処理]
図14は、本実施形態において、バックファイヤの発生を検知するべくECU50が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、クランク角同期で、より具体的には、個々の気筒において吸気弁が開弁する直後のクランク角において起動されるものとする。
図14に示すルーチンが起動されると、先ず、現在の運転状況に応じた基準燃焼圧kMPaが算出される(ステップ140)。内燃機関が通常の運転状態にある場合は、吸気弁が開弁するクランク角近傍の燃焼圧(筒内圧)は、概ねクランク角に応じて決定される。ECU50は、それらの関係を定めたマップを記憶している。ここでは、そのマップを参照して、特定のクランク角(現在の運転状況下での吸気弁の開弁直後におけるクランク角)における燃焼圧(筒内圧)が基準燃焼圧kMPaとして算出される。
次に、上記特定のクランク角において実測された燃焼圧PMPが、基準燃焼圧kMPa以上であるかが判別される(ステップ152)。その結果、PMP≧kMPaが成立しないと判別された場合は、燃焼圧PMPが正常値であると判断できる。この場合は、バックファイヤが発生していないと判断され、バックファイヤフラグXBFに0がセットされる(ステップ154)。
一方、上記ステップ152において、PMP≧kMPaの成立が認められた場合は、吸気弁開弁付近の燃焼圧PMPが異常に高圧であると判断できる。この場合は、バックファイヤの発生が判定され、バックファイヤフラグXBFに1がセットされる(ステップ156)。
以上の処理によれば、図7に示すルーチンが実行される場合と同様に、バックファイヤの発生が推定できる場合にのみバックファイヤフラグXBFを1とすることができる。このため、図8に示すルーチンが実行されることにより、本実施形態の装置によっても、実施の形態3の装置と同様の機能を実現することができる。
ところで、上述した実施の形態6においては、特定のクランク角における燃焼圧PMPの瞬間値を基準燃焼圧kMPaと比較してバックファイヤの有無を判断することとしているが、その判断の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、適当な期間に渡る燃焼圧PMPの平均値を、適当な期間に渡る基準燃焼圧kMPaの平均値と比較することにより、その判断を行うこととしてもよい。
尚、上述した実施の形態6においては、ECU50が、図14に示すルーチンを実行することにより前記第4の発明における「バックファイヤ検知装置」が、図8に示すステップ120の処理を実行することにより前記第4の発明における「パージ禁止装置」が、それぞれ実現されている。
実施の形態7.
[実施の形態7の構成]
次に、図15および図16を参照して、本発明の実施の形態7について説明する。
図15は、本発明の実施の形態7の構成を説明するための図である。本実施形態の装置は、図15に示す構成において、ECU50に、上記図8に示すルーチンと共に、後述する図16に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図15に示す構成は、内燃機関のポート温度を検出する温度センサ64を備えている点を除き、実質的に図5に示す構成と同様である。バックファイヤの発生時には、吸気ポートの内部においても混合気の燃焼が生ずる。そして、このような燃焼が生じれば、吸気ポートの内部温度は、通常時の温度に比して高温となる。このため、温度センサ64によりポート温度を監視すれば、バックファイヤの発生を正確に検知することが可能である。
[実施の形態7における具体的処理]
図16は、本実施形態において、バックファイヤの発生を検知するべくECU50が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、4msec毎など、十分に短い周期毎に繰り返し起動されるものとする。
図16に示すルーチンによると、先ず、温度センサ64により検出されたポート温度が、判定値より高温であるか否かが判別される(ステップ160)。ここで、判定値は、バックファイヤの発生を判定する値として適合等により事前に定められた値である。
上記の判別が否定された場合は、バックファイヤが発生していないと判断され、バックファイヤフラグXBFに0がセットされる(ステップ162)。一方、上記の判別が肯定された場合は、バックファイヤの発生が判定され、バックファイヤフラグXBFに1がセットされる(ステップ156)。
以上の処理によれば、図7に示すルーチンが実行される場合と同様に、バックファイヤの発生が推定できる場合にのみバックファイヤフラグXBFを1とすることができる。このため、図8に示すルーチンが実行されることにより、本実施形態の装置によっても、実施の形態3の装置と同様の機能を実現することができる。
ところで、上述した実施の形態7においては、バックファイヤの発生を検知するために、温度センサ64の出力を常時監視することとしているが、その検知の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、温度センサ64の出力は、クランク角同期で監視すること、より具体的には、個々の気筒において吸気弁が開かれるクランク角(バックファイヤの発生に伴う異常圧力が発生するクランク角)において監視することとしてもよい。
尚、上述した実施の形態7においては、ECU50が、図16に示すルーチンを実行することにより前記第4の発明における「バックファイヤ検知装置」が、図8に示すステップ120の処理を実行することにより前記第4の発明における「パージ禁止装置」が、それぞれ実現されている。
実施の形態8.
[実施の形態8の特徴]
次に、図17を参照して、本発明の実施の形態8について説明する。
本実施形態の装置は、実施の形態6において用いたハードウェア構成(図13参照)を用いて、ECU50に、上記図8に示すルーチンと共に、後述する図17に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図6を参照して既に説明したように、バックファイヤは、爆発行程において適正な燃焼が得られず、筒内での燃焼が短時間で完了しなかった場合に発生する。そして、爆発行程において適切な燃焼が得られなかった場合は、爆発行程における燃焼圧が、通常時に比して顕著に低い圧力となる。このため、爆発行程における燃焼圧のパターンを見れば、その後の吸気行程においてバックファイヤが発生するか否かは、高い精度で推定することができる。
そこで、本実施形態では、爆発行程の段階で燃焼圧センサ62の出力を監視し、その結果得られる燃焼圧のパターンが、バックファイヤの発生を誘発するものであるか否かを判断することとした。そして、その判断の結果、バックファイヤの発生が予想される場合には、その発生に先立って蒸発燃料のパージを禁止することとした。
[実施の形態8における具体的処理]
図17は、上記の機能を実現するべく、より具体的には、爆発行程の段階でバックファイヤの発生を予測するべくECU50が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、4msec毎など、十分に短い周期毎に繰り返し起動されるものとする。
図17に示すルーチンでは、先ず、現在のクランク角に応じた基準燃焼圧が算出されると共に、現在の燃焼圧が実測される(ステップ170)。ECU50には、クランク角との関係で基準燃焼圧を定めたマップが記憶されている。ここでは、そのマップを参照することにより、現在の運転状態、および現在のクランク角に応じた基準燃焼圧が算出される。
次に、上記の如く算出された基準燃焼圧と、実測された燃焼圧とを比較することにより、現在の燃焼圧が、バックファイヤの発生を誘発するパターンに乗るものであるかが判別される(ステップ172)。バックファイヤの発生を誘発する燃焼圧パターンと、基準燃焼圧のパターンとは、爆発行程において大きく乖離する。このため、本ステップ172の処理が繰り返し実行されると、爆発行程の段階で、バックファイヤの発生を誘発するパターンの発生を認識することができる。
上記ステップ172の処理により、バックファイヤを誘発する燃焼圧パターンの発生が認められなかった場合は、バックファイヤフラグXBFに0がセットされる(ステップ174)。一方、その処理により、バックファイヤを誘発するパターンの発生が認められた場合は、バックファイヤフラグXBFに1がセットされる(ステップ176)。
以上の処理によれば、ある気筒においてバックファイヤの発生条件が満たされている場合は、その気筒で爆発行程が実行される段階で、バックファイヤの発生を予測し、バックファイヤフラグXBFを1とすることができる。そして、XBFフラグは、当該気筒の燃焼圧(筒内圧)が通常の燃焼圧(筒内圧)となるまで1のまま維持される。つまり、当該気筒において吸気行程が開始されるまでは1のまま維持される。
本実施形態において、ECU50は、上述した実施の形態3乃至7の場合と同様に、図8に示すルーチンを実行する。このルーチンによれば、バックファイヤフラグXBFが1である間は、パージの実行が禁止される(上記ステップ120参照)。このため、本実施形態の装置によれば、ある気筒においてバックファイヤの発生が予測された場合、少なくともその気筒の燃焼圧が正常値に戻るまでは、パージの実行を禁止することができる。
爆発行程においてバックファイヤの発生条件が満たされていても、その後、筒内に高温高圧ガスが残存する状態で新規の蒸発燃料が供給されなければ、バックファイヤは発生しない。このため、本実施形態の装置によれば、バックファイヤの発生自体を防止することができ、キャニスタ10および吸気通路20が、バックファイヤに伴う異常圧力に晒されるのを完全に防ぐことができる。
ところで、上述した実施の形態8においては、バックファイヤの発生を検知するために、燃焼圧センサ62の出力を常時監視することとしているが、その検知の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、燃焼圧センサ62の出力は、個々の気筒において爆発行程が実行される期間に限って監視することとしてもよい。
尚、上述した実施の形態5においては、ECU50が、図17に示すルーチンを実行することにより前記第4の発明における「バックファイヤ検知装置」および前記第8の発明における「バックファイヤ予測装置」が、図8に示すステップ120の処理を実行することにより前記第4の発明における「パージ禁止装置」が、それぞれ実現されている。
実施の形態9.
[実施の形態9の構成]
次に、図18および図19を参照して、本発明の実施の形態9について説明する。
図18は、本発明の実施の形態9の構成を説明するための図である。本実施形態の装置は、図18に示す構成において、ECU50に、後述する図19に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図18に示す装置において、パージライン12の端部は、個々の気筒の吸気ポートに連通している。そして、パージライン12には、個々の気筒に対応する複数のD-VSV14(N)および流量切り換えVSV66(N)が組み込まれている(「N」は気筒番号を意味するものとする)。流量切り換えVSV68(N)は、パージライン12の有効径を大きく確保する大流量状態と、その径を小さくする小流量状態とを選択的に実現することのできる切替弁である。このため、本実施形態の装置によれば、流量切り換えVSV68(N)の状態を切り換えることにより、D-VSV14(N)の制御内容を変更することなく、吸気通路20とキャニスタ10十の間の通気抵抗を変化させることが可能である。
パージライン12に組み込まれた複数のD-VSV14(N)によれば、内燃機関のそれぞれに気筒に対して、独自のタイミングで蒸発燃料を供給することができる。また、吸気通路20には、個々の気筒に対して燃料を噴射するための複数の燃料噴射弁68(N)が配置されている。このため、本実施形態の装置によれば、それぞれに気筒に対して、燃料噴射弁68(N)により液体燃料を個別に供給することができ、かつ、D-VSV14(N)により蒸発燃料を個別に供給することができる。
図18に示す構成は、D-VSV14(N)が気筒毎に準備されており、また、パージライン12に流量切り換えVSV66(N)が組み込まれている点を除き、実質的に、図11(実施の形態5)に示す構成と同様である。このため、他の構成要素については、図11と共通する符号を付して、その説明を省略する。
[実施の形態9における具体的処理]
本実施形態の装置は、上述した実施の形態3乃至8の装置と同様に、内燃機関の冷間始動時に、キャニスタ10をパージして蒸発燃料を吸気通路20に供給する。この際、D-VSV14(N)は、個々の気筒に対する蒸発燃料の供給量が適量になるように適当に開弁される。
内燃機関の運転状態が正常に保たれている限りは、蒸発燃料の供給量を確保する観点から、パージライン12の通気抵抗は小さいことが望まれる。一方、蒸発燃料のパージ中にバックファイヤが発生した場合、キャニスタ10に伝播される圧力波の影響を抑えるためには、パージライン12の通気抵抗が大きいことが望ましい。本実施形態の装置によれば、これら2つの要求は、バックファイヤの発生検知と同時に流量切り換えVSV66(N)の状態を切り換えることにより両立させることが可能である。
図19は、上記の要求を両立させるために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、4msec毎など、十分に短い周期毎に繰り返し起動されるものとする。
図19に示すルーチンによると、先ず、現在の運転状況に応じた基準圧力kPMが算出される(ステップ180)。次に、吸気圧力PMの実測値が、基準圧力kPM以上であるか否かが判別される(ステップ182)。尚、これらの処理は、図12に示すステップ140および142の処理と同様であるため、ここでは、詳細な説明は省略する。
上記ステップ182の処理により、PM≧kPMの不成立が判別された場合は、吸気圧力PMが適正な値であり、バックファイヤは発生していないと判断される。この場合は、パージライン12の通気抵抗を小さく保つため、全ての流量切り換えVSV66(N)がON状態、つまり、大流量状態とされる(ステップ184)。
一方、上記ステップ182において、PM≧kPMの成立が認められた場合は、バックファイヤが発生したと判断される。この場合は、全ての流量切り換えVSV66(N)がOFF状態、つまり、小流量状態に切り換えられ(ステップ186)、更に、バックファイヤが発生した気筒が記憶される(ステップ188)。上記の処理によれば、バックファイヤの発生と同時にパージライン12の有効径を狭めて、その通気抵抗を高めることができる。
上述した実施の形態3乃至8の装置は、バックファイヤを検知すると、D-VSV14を閉じてパージを禁止することとしている。この場合、キャニスタ10への圧力伝播が完全に遮断されることから、キャニスタ10の保護は十分に図ることができる。しかしながら、バックファイヤの発生時に吸気通路20からキャニスタ10への圧力伝播を完全に遮断すると、吸気通路20の内圧が、一時的に不当な高圧に達することがある。
本実施形態において、流量切り換えVSV66(N)は、小流量状態とされることにより、バックファイヤの発生時に、キャニスタ10にダメージを与えない程度の圧力を吸気通路20からキャニスタ10側へ開放することができるように設けられている。このような構成によれば、バックファイヤの発生時に、キャニスタ10にダメージを与えることなく、吸気通路20内での圧力上昇をも抑制することができる。このため、本実施形態の装置によれば、キャニスタ10に加えて、吸気通路20をも、バックファイヤの影響から保護することができる。
ところで、上述した実施の形態9においては、バックファイヤの発生が認められた場合に、全ての気筒に対応する流量切り換えVSV66(N)を小流量状態に切り換えることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、バックファイヤの発生した気筒に対応する流量切り換えVSV66(N)のみを小流量状態に切り換えることとしてもよい。
また、上述した実施の形態9においては、D-VSV14(N)および流量切り換えVSV66(N)を、気筒毎に設ける構成を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、D-VSVおよび流量切り換えVSVは、全ての気筒に対して共通なものとして設けることとしてもよい(つまり、パージライン12は、実施の形態3乃至8の場合と同様に、スロットル弁18の直下に連通させることとしてもよい)。
また、上述した実施の形態9においては、バックファイヤを検知する手法として、実施の形態5で用いた手法を採用しているが、その検知の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、バックファイヤの発生を検知するための手法は、実施の形態3,4,6〜8において用いられた手法の何れであってもよい。
尚、上述した実施の形態9においては、ECU50が、ステップ180および182の処理を実行することにより前記第6の発明における「バックファイヤ検知装置」が、ステップ186の処理を実行することにより前記第6の発明における「有効径切り換え装置」が、それぞれ実現されている。また、ここでは、流量切り換えVSV66(N)が前記第6の発明における「切り換え制御弁」に相当している。
実施の形態10.
[実施の形態10の構成]
次に、図20乃至図22を参照して、本発明の実施の形態10について説明する。
図20は、本発明の実施の形態10の構成を説明するための図である。本実施形態の装置は、図20に示す構成において、ECU50に、上述した図12に示すルーチンと共に、後述する図21および図22に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図20に示す構成は、流量切り換えVSV66(N)が削除されている点を除いて、実質的に図18に示す構成(実施の形態9)と同様である。すなわち、本実施形態の装置は、吸気通路20の圧力を検知するための圧力センサ60を備えており、また、気筒毎に準備されたD-VSV14(N)並びに燃料噴射弁68(N)を備えている。
[実施の形態10における具体的処理]
本実施形態の装置は、上述した実施の形態3乃至9の装置と同様に、内燃機関の冷間始動時に、蒸発燃料を吸気通路20に供給する。また、この装置は、実施の形態5の装置と同様に、図12に示すルーチンを実行することによりバックファイヤの発生を検知する。
図12に示すルーチンによれば、何れかの気筒においてバックファイヤが発生した場合、その気筒における吸気弁の開弁直後に、異常な吸気圧力PMの発生を検知して、バックファイヤフラグXBFに1をセットすることができる。本実施形態の装置は、個々の気筒において吸気行程が行われるのと同期して、個々の気筒に対するD-VSV14(N)を開弁させる。そして、個々の気筒では、吸気上死点前の所定クランク角において吸気弁が開かれ、その後、吸気上死点付近でD-VSV14(N)が開弁される。
ある気筒においてバックファイヤが発生した場合、その気筒の吸気弁が開いた後、少なくともその気筒が吸気上死点を超えるまでは吸気圧力PMが異常圧力に維持される。このため、図12に示すルーチンによれば、ある気筒においてバックファイヤが発生した場合、バックファイヤフラグXBFは、その気筒に対応するD-VSV14(N)が開く以前に1とされ、その後少なくとも、そのD-VSV14(N)が開弁されるまでの期間は1のまま維持される。
ところで、パージライン12の通気抵抗は、実施の形態9の項で説明した通り、正常な運転状態の下では小さいほど好ましく、一方、バックファイヤの発生下ではある程度大きいことが望ましい。本実施形態の装置は、バックファイヤの発生時に、D-VSV14(N)の開弁時間を通常時に比して短縮することにより、上記の要求を満たすこととしている。
図21は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図7に示すルーチンは、例えば4msec毎など、十分に短い周期で繰り返し実行されるものとする。
図21に示すルーチンによると、先ず、バックファイヤフラグXBFに1がセットされているか否かが判別される(ステップ190)。その結果、XBF=1の不成立が判別された場合は、バックファイヤの発生が認められないと判断される。この場合は、内燃機関の安定運転に必要な燃料量を個々の気筒に供給するためのD-VSV14(N)のON時間VSVONTが算出される。
具体的には、ここでは、先ず、最大流量MXVSVが算出される(ステップ192)。最大流量MXVSVは、現在の吸気圧力PMの下で、D-VSV14(N)を全開状態とした場合に得られるパージ流量である。ECU50は、最大流量MXVSVを吸気圧力PMとの関係で定めたマップを記憶しており、本ステップ192では、そのマップを参照することによりMXVSVが算出される。
次に、冷間始動時における増量係数KRVSVが算出される(ステップ194)。増量係数KRVSVは、冷却水温が低い状況下で、内燃機関を安定化するために、燃料の増量を実現するための係数である。ECU50には、増量係数KRVSVを冷却水温との関係で定めたマップが記憶されている。本ステップ194では、そのマップに従って増量係数KRVSVが算出される。
次に、以下に示す演算式により、個々の気筒に対して必要な燃料量を供給するために、D-VSV14(N)に与えるべきON時間VSVONTが算出される(ステップ196)。
VSVONT=GA/NE*KVSV*KRVSV ・・・(1)
但し、KVSVは、基準流量TGTVSVを最大流量MXVSVで除した値(KVSV=TGTVSV/MXVSV)である。また、基準流量TGTVSVとは、内燃機関に供給するべき基準のパージ流量である。
以上の処理によれば、バックファイヤの発生が認められない状況下では、D-VSV14(N)のON時間VSVONTとして、個々の気筒に対して所望の燃料量をパージするための時間が設定される。この場合、個々の気筒における吸気行程において、設定されたON時間VSVONTだけD-VSV14(N)を開弁させることにより、内燃機関を安定に運転させることができる。
ある気筒においてバックファイヤが発生した場合、上述した通り、その気筒の吸気弁が開いた後、少なくとも、その気筒に対応するD-VSV14(N)が開く時点までは、バックファイヤフラグXBFが1とされる。この場合、図21に示すルーチン中、ステップ190において、XBF=1の成立が判定される。
ステップ190において、XBF=1の成立が認められると、D-VSV14(N)のON時間VSVONTは、最小時間KVSVMNに設定される(ステップ198)。最小時間KVSVMNは、バックファイヤの発生時に、キャニスタ10を保護しつつ、吸気通路20内の圧力を開放することのできる時間として設定された値である。このため、上記の処理によれば、ある気筒においてバックファイヤの発生が認められた場合は、その結果生ずる異常圧力から、キャニスタ10および吸気通路20の双方を保護し得る時間が、D-VSV14(N)のON時間VSVONTとして設定される。
図22は、上記の如く設定されたON時間VSVONTに基づいてD-VSV14(N)を駆動するためにECU50が実行するルーチンのフローチャートである。尚、図22に示すルーチンは、例えば4msec毎など、十分に短い時間間隔で繰り返し実行されるルーチンである。
図22に示すルーチンでは、先ず、D-VSV14(N)の駆動が要求される気筒(N)の判定、つまり、吸気行程の実行直前にある気筒、或いは吸気行程中にある気筒の判定が行われる(ステップ200)。以下、この気筒を「該当気筒(N)」と称す。
該当気筒(N)が判定されると、次に、現在のクランク角CRNKが、該当気筒(N)のVSV開弁タイミングVSVS(N)に一致しているか否かが判別される(ステップ202)。VSV開弁タイミングVSVS(N)は、例えば該当気筒(N)のピストンが上死点に達するタイミング等に、予め設定されている。
上記ステップ202において、CRNK=VSVS(N)の成立が認められなかった場合は、そのまま今回の処理が終了される。一方、その条件の成立が認められた場合は、該当気筒のD-VSV(N)がON状態、つまり、開弁状態とされ(ステップ204)、更に、そのD-VSV(N)のOFF時間の予約設定がなされる(ステップ206)。
上記ステップ206の処理が実行されるタイミングにおいては、つまり、該当気筒(N)のクランク角が上死点付近を通過するタイミングにおいては、該当気筒においてバックファイヤが発生しているか否かの判断が既になされている(図12のルーチンによる)。そして、バックファイヤの発生が認められない場合には、所望の燃料量を確保するためのVSVONTが確保され、また、バックファイヤの発生が認められる場合には、VSVONTが最小時間KVSVMNに設定されている。
ECU50は、上記ステップ206において、その時点で算出されているVSVONTに基づいてD-VSV14(N)のOFF時間を予約する。ここでは、具体的には、D-VSV14(N)のON時刻VSVS(N)の後、その時点で算出されているVSVONTが経過した時点の時刻がOFF時間として設定される。
ECU50は、以後、設定されたOFF時間が到来すると、該当気筒のD-VSV14(N)をOFF状態、つまり、閉弁状態とする。このような処理によれば、該当気筒においてバックファイヤが生じていない場合には、開弁タイミングVSVS(N)の後、十分に長い時間に渡ってD-VSV(N)を開弁状態として、十分な蒸発燃料を該当気筒に供給することができる。また、該当気筒においてバックファイヤが発生している場合は、D-VSV14(N)の開弁時間を短時間とすることにより、異常な高圧がキャニスタ10に伝播されるのを防ぎつつ、吸気通路20内の異常圧力の一部をキャニスタ10側に開放して、吸気通路20の保護を図ることができる。このため、本実施形態の装置によっても、実質的に、上述した実施の形態9の装置と同様の効果、つまり、キャニスタ10および吸気通路20の双方をバックファイヤの影響から保護するという効果を実現することができる。
ところで、上述した実施の形態10においては、D-VSV14(N)を気筒毎に設けるハードウェア構成を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、D-VSVは、実施の形態3乃至8の場合と同様に、全ての気筒に対して共通なものとして設けることとしてもよい。この場合においても、D-VSVを、各気筒の吸気行程と同期させて駆動すれば、実施の形態10の場合とほぼ同様の効果を実現することが可能である。
また、上述した実施の形態10においては、バックファイヤを検知する手法として、実施の形態5で用いた手法を採用しているが、その検知の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、バックファイヤの発生を検知するための手法は、実施の形態3,4,6〜8において用いられた手法の何れであってもよい。
また、上述した実施の形態10においては、VSVONTの設定処理(図21に示すルーチン)を、所定の時間周期で繰り返し常時実行することとしているが、その設定の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、VSVONTの設定処理は、クランク角同期で実行すること、より具体的には、個々の気筒において吸気弁が開かれるクランク角(バックファイヤフラグXBFが1とされるクランク角)において実行することとしてもよい。
尚、上述した実施の形態10においては、ECU50が、図12に示すルーチンを実行することにより前記第7の発明における「バックファイヤ検知装置」が、ステップ198の処理を実行することにより前記第7の発明における「制御弁絞り装置」が、それぞれ実現されている。
実施の形態11.
[実施の形態11の特徴]
次に、図23乃至図25を参照して、本発明の実施の形態11について説明する。
図23は、本実施形態の装置における特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図23は、第1気筒の吸気行程中にバックファイヤが生じた場合に実現される本実施形態の装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
本実施形態における内燃機関は4気筒式であり、第1気筒→第3気筒→第4気筒→第2気筒の順で繰り返し吸気行程を実行する。図23中に示す「吸気弁開(1)」、「吸気弁開(3)」、「吸気弁開(4)」は、それぞれ、第1気筒、第3気筒、および第4気筒における吸気弁の開弁期間を表している。
本実施形態の装置は、バックファイヤの発生が認められない状況下では、各気筒の吸気弁が開いた後、吸気上死点においてパージを開始する(D-VSVを開弁させる)。そして、バックファイヤが生じていない場合には、所望量の燃料をパージさせるためのON時間VSVONTを設定し、そのON時間VSVONTが経過した時点でパージを終了する(D-VSV14を閉弁させる)。一方、バックファイヤの発生が認められる場合は、ON時間VSVONTを最小時間KVSVMNに設定し、そのKVSVMNの経過時点でパージを終了する(D-VSVを閉弁させる)。尚、以上の動作は実施の形態10の場合と同様である。
図23は、既述した通り、第1気筒においてバックファイヤが発生した例を示している。このため、この例では、第1気筒の吸気行程において、吸気上死点付近でパージが開始された後、最小時間KVSVMNの後にパージが終了されている。
また、本実施形態の装置は、ある気筒の吸気行程においてバックファイヤの発生が認められた場合、それに続く複数の吸気行程(以下、「バックファイヤ後吸気行程」と称す)において、パージの実行期間を延長し、かつ、パージの開始時期を進角させることとしている。図23には、上記の処理の結果として、第3気筒および第4気筒の吸気行程に対応するパージが、それぞれ吸気上死点前(BTDC)150°CA程度の時点で開始され、かつ、十分に長い期間に渡って継続されている様子を示している。
バックファイヤは、内燃機関に供給される燃料量が不足して、筒内での燃焼が適性に行われなかったことに起因して発生する。そして、ある気筒においてバックファイヤが発生した場合は、他の気筒においても、筒内への供給燃料が不足気味であることが推測できる。つまり、ある気筒の吸気行程においてバックファイヤが発生した場合、同じ条件での燃料供給が継続されると、その後、バックファイヤ後吸気行程において、連続的に、或いは頻繁にバックファイヤが発生することが予測される。
これに対して、バックファイヤ後吸気行程において、パージ期間を十分に長くすれば、パージにより供給される蒸発燃料量を増やすことができる。そして、パージ期間を延長すると同時にパージの開始時期を進角すれば、パージ期間の後半が、吸入効率の悪いクランク角領域に進入するのを防ぎ、パージにより供給される燃料量を更に増やすことができる。このため、本実施形態の装置によれば、バックファイヤ後吸気行程において、バックファイヤが連続的に、或いは高い頻度で発生するのを有効に防ぐことができる。
[実施の形態11における具体的処理]
本実施形態の装置は、例えば、図20に示すハードウェア構成(実施の形態10の構成)を用いて、ECU50に、図12に示すルーチンと共に、図24および図25に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図24は、バックファイヤの有無に応じて個々の気筒に対応するD-VSV14(N)のON時間VSVONTを設定するために実行されるルーチンのフローチャートである。このルーチンは、例えば4msec毎など、十分に短い時間周期で繰り返し実行されるものとする。
図24に示すルーチンでは、先ず、バックファイヤフラグXBFに1がセットされているか否かが判別される(ステップ210)。バックファイヤの発生が認められていない場合は、XBFには0が設定されている。従って、この場合は、ステップ210の条件が不成立と判断される。
ステップ210の条件が成立しないと判別されると、次に、第2バックファイヤフラグXBF2に1がセットされているか否かが判別される(ステップ212)。第2バックファイヤフラグXBF2には、イニシャル処理により0がセットされている。このため、バックファイヤの発生が認められていない段階では、この条件も不成立と判断される。そして、その場合は、ON時間補正係数KBFAが基準値「1.0」とされる(ステップ214)。
次に、D-VSV14(N)を全開にすることで得られるパージの最大流量MXVSVと、冷間始動時の燃料増量を可能とするための増量係数KRVSVとが算出される(ステップ216)。尚、ここで実行される処理は、図21に示すステップ192および194において実行される処理と同一である。
次に、以下に示す演算式により、必要な燃料量を供給するためにD-VSV14(N)に与えるべきON時間VSVONTが算出される(ステップ218)。
VSVONT=GA/NE*KVSV*KRVSV*KBFA ・・・(2)
ここでは、ON時間補正係数KBFAが基準値1.0に設定されているため、上記(2)式によると、ON時間VSVONTは「GA/NE*KVSV*KRVSV」となる。この値は、実施の形態10における上記ステップ196により算出される値と同様に、内燃機関を安定に運転させるために、個々の気筒の吸気行程と同期させてD-VSV14(N)を開弁させるべき時間である。
何れかの気筒においてバックファイヤが発生した場合、その気筒の吸気弁が開いた後、少なくとも、その気筒に対応するD-VSV14(N)が開く時点までは、バックファイヤフラグXBFが1とされる。この場合、図24に示すルーチン中、ステップ210において、XBF=1の成立が判定される。
ステップ210においてXBF=1の成立が認められると、先ず、第2バックファイヤフラグXBF2に1がセットされ(ステップ220)、次に、バックファイヤカウンタCBFがクリアされる(ステップ222)。その後、D-VSV14(N)のON時間VSVONTが最小時間KVSVMNに設定される(ステップ224)。このように、図24に示すルーチンによれば、何れかの気筒においてバックファイヤの発生が認められた場合、その気筒に対応するD-VSV14(N)のON時間VSVONTを最小時間KVSVMNに設定することができる。
バックファイヤの生じた気筒において、吸気圧力PMが正常値に低下すると、その時点でバックファイヤフラグXBFは0となる。XBFが0に戻ると、以後、ステップ210においてXBF=1の不成立が判定され、再びステップ212の処理が実行される。
バックファイヤの発生時にXBF2には1がセットされているため、今度は、XBF2=1の成立が判別される。この場合、先ず、バックファイヤカウンタCBFがインクリメントされ(ステップ226)、次に、その計数値CBFが判定値KBF以下であるかが判別される(ステップ124)。
上記の処理によれば、バックファイヤカウンタCBFには、バックファイヤの発生に起因する異常圧力が消滅した後の経過時間が計数される。そして、判定値KBFは、バックファイヤ後吸気行程を所定回数だけ繰り返して実行するために必要な時間がセットされている。つまり、判定値KBFには、燃料増量を図ってバックファイヤの発生を阻止する必要のある時間がセットされている。
図24中、上記ステップ228において、CBF≦KBFが未だ成立すると判別された場合は、燃料増量を図るべき時間が未だ経過していないと判断できる。この場合は、ON時間補正係数KBFAに、基準値(1.0)より大きな値1.5がセットされる。KBFAに1.5が設定されると、その後実行されるステップ218において、基準ON時間の1.5倍に相当するVSVONTが算出される。このため、上記の処理によれば、バックファイヤの発生が認められた後、所定数のバックファイヤ後吸気行程が実行される間は、内燃機関のパージ量を増やして、バックファイヤの発生を有効に阻止することができる。
所定期間に渡って燃料増量が実行され、その結果、バックファイヤカウンタCBFに判定値KBF以上の値が係数されると、ステップ228の条件が不成立となる。この場合、以後、第2バックファイヤフラグXBF2が0とされ(ステップ232)、ON時間補正係数KBFAが基準値1.0に戻された後、ステップ216以降の処理が実行される。その結果、個々のD-VSV14(N)のON時間VSVONTは、内燃機関を安定に運転させるために必要な時間に戻される。
以上説明した通り、図24に示すルーチンによれば、ある気筒の吸気行程においてバックファイヤの発生が認められた場合に、その吸気行程におけるD-VSV14(N)のON時間VSVONTを即座に最小時間KVSVMNにし、その後、所定の期間だけ、バックファイヤ後吸気行程におけるVSVONTを基準ON時間の1.5倍とすることができる。このため、本実施形態の装置によれば、バックファイヤの生じた気筒における更なる異常圧力の助長を防ぐことができると共に、その後の、継続的或いは高頻度なバックファイヤの発生を有効に防ぐことができる。
図25は、ECU50が、D-VSV14(N)の開弁期間(ON期間)を制御するために実行するルーチンのフローチャートである。図25に示すルーチンは、図24に示すルーチンと同様に、所定の短時間周期で繰り返し起動されるルーチンである。
図25に示すルーチンでは、先ず、第2フィードバックフラグXBF2に1がセットされているか否かが判別される(ステップ240)。バックファイヤの発生が認められていない場合は、XBF2が0に維持される。また、バックファイヤの発生が認められた後、その発生に起因する異常圧力が消滅するまでの間もXBF2は0とされる(図24参照)。これらの場合には、D-VSV14(N)の開弁時期VSVS(N)が、吸気上死点(BTDC0°CA)に設定される(ステップ142)。
一方、バックファイヤの発生後、所定回数のバックファイヤ後吸気行程が実行される過程では、第2バックファイヤフラグXBF2が1となる(図24参照)。この場合は、D-VSV14(N)の開弁時期VSVS(N)が吸気上死点前150°CA(BTDC150°CA)とされる(ステップ244)。
図25に示すルーチンでは、次に、該当気筒(N)の判定、つまり、吸気行程の実行直前にある気筒、或いは吸気行程中にある気筒の判定が行われる(ステップ246)。そして、現在のクランク角CRNKが、該当気筒(N)のVSV開弁タイミングVSVS(N)に一致した時点で、該当気筒のD-VSV(N)が開弁状態とされると共に、そのD-VSV(N)のOFF時間が予約される(ステップ248〜252)。
該当気筒がバックファイヤの発生気筒、つまり、図23における第1気筒である場合は、ステップ242においてVSVS(N)がBTDC0°CAに設定される。そして、CRNKがBTDC0°CAに一致すると、ステップ250の処理により、その気筒のD-VSV14(N)がONとされた後、ステップ252の処理により、現在の時刻より最小時間KVSVMNだけ遅い時刻がD-VSV14(N)のOFF時間に設定される。
更に、該当気筒が、燃料増量を行うべき気筒、つまり、図23における第3気筒或いは第4気筒である場合は、ステップ244においてVSVS(N)がBTDC150°CAに設定される。そして、CRNKがBTDC150°CAに一致すると、ステップ250の処理により、該当気筒のD-VSV14(N)がONとされた後、ステップ252の処理により、現在の時刻より、基準ON時間の1/5倍に設定されたVSVONTだけ遅い時刻がD-VSV14(N)のOFF時間に設定される。
上述した処理によれば、個々の気筒における蒸発燃料のパージは、個々の気筒の吸気行程との同期をとりつつ、バックファイヤの有無に応じて、図23に示すようなパターンで実行される。このため、本実施形態の装置によれば、正にバックファイヤが発生した吸気行程においては、キャニスタ10および吸気通路20の双方を保護することができ、更に、バックファイヤ後吸気行程においては、継続的或いは頻繁なバックファイヤの発生を防ぐことができる。
ところで、上述した実施の形態11においては、D-VSV14(N)を気筒毎に設ける構成を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、D-VSVは、実施の形態3乃至8の場合と同様に、全ての気筒に対して共通なものとして設けることとしてもよい。この場合において、D-VSVを個々の気筒の吸気行程と同期させることとすれば、上述した実施の形態11の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施の形態11においては、バックファイヤを検知する手法として、実施の形態5で用いた手法を採用しているが、その検知の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、バックファイヤの発生を検知するための手法は、実施の形態3,4,6〜8において用いられた手法の何れであってもよい。
尚、上述した実施の形態11においては、ECU50が、図12に示すルーチンを実行することにより前記第9の発明における「バックファイヤ検知装置」が、ステップ210,212,および226〜230の処理を実行することにより前記第9の発明における「燃料供給量増量装置」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態11においては、ECU50が、ステップ240〜250の処理を実行することにより前記第10の発明における「制御弁制御装置」が、ステップ230の処理を実行することにより前記第10の発明における「開弁時間長期化装置」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態11においては、ECU50が、ステップ244の処理を実行することにより、前記第11の発明における「開弁時期進角装置」が実現されている。
実施の形態12.
次に、図26を参照して、本発明の実施の形態12について説明する。本実施形態の装置は、上述した実施の形態11の装置において、ECU50に、図24に示すルーチンに代えて、後述する図26に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図26は、本実施形態において、ECU50が、個々の気筒に対応するD-VSV14(N)のON時間VSVONTを設定するための実行するルーチンのフローチャートである。図26に示すルーチンは、ステップ230が、ステップ260に置き換えられている点を除き、上述した図24に示すルーチンと同様である。
すなわち、上述した図24に示すルーチンでは、バックファイヤの発生が認められた後、バックファイヤカウンタCBFの計数値が判定値KBFを超えるまでは、ステップ230の処理が繰り返し実行される。そして、ステップ230では、ON時間補正係数KBFAが、常に固定値1.5に設定される。
これに対して、図26に示すルーチンでは、同様の状況下で実行されるステップ260では、バックファイヤカウンタCBFの計数値に基づいて、適宜ON時間補正係数KBFAが設定される。具体的には、ここでは、ECU50に予め記憶されているマップに従って、バックファイヤカウンタCBFの計数値に対応するON時間補正係数KBFAが読み出される。
上記のマップは、ステップ260の枠中に示すように、CBFの値が大きくなるに連れて、ON時間補正係数KBFAが基準値1.0に近づくように設定されている。従って、このマップによれば、バックファイヤの発生が認められた直後はON時間補正係数KBFAを十分に大きな値とし、その後、時間の経過に伴い、KBFAの値を1.0に近づけることができる。
つまり、図26に示すルーチンによれば、バックファイヤの発生が認められた直後においては、D-VSV14(N)のON時間VSVONTを十分に基準ON時間より長い時間に設定し、その後、時間の経過と共に、そのON時間VSVONTを、基準ON時間に近づけることができる。このような設定によれば、バックファイヤの発生後、各気筒に対する供給燃料量を一時的に増量した後、その燃料量を、スムーズに基準の供給量に復帰させることができる。このため、本実施形態の装置によれば、バックファイヤ発生後の内燃機関の安定性を、上述した実施の形態11の装置より更に高めることができる。
尚、上述した実施の形態12においては、ECU50が、ステップ210,212,226,228および260の処理を実行することにより前記第9の発明における「燃料供給量増量装置」が実現されている。また、ここでは、ECU50が、ステップ230の処理を実行することにより前記第10の発明における「開弁時間長期化装置」が実現されている。
実施の形態13.
[実施の形態13の特徴]
次に、図27および図28を参照して、本発明の実施の形態13について説明する。
図27は、本実施形態の装置における特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図27は、バックファイヤの発生気筒において適用されるパージのパターンを説明するためのタイミングチャートである。
本実施形態の装置は、ある気筒においてバックファイヤの発生が認められた場合、実施の形態11または12の装置と同様に、その気筒におけるパージの実行を即座に中止する。具体的には、ある気筒おいてバックファイヤの発生が認められた場合、その気筒に対応するD-VSVのON時間VSVONTを最小時間KVSVMNに設定する。
バックファイヤの発生に伴う異常圧力は、バックファイヤ発生気筒の吸気弁が開弁した後、その気筒のクランク角が吸気上死点後数十°CAに達するまで持続される。D-VSVを最小時間KVSVMNだけ開弁させることとすると、異常圧力の発生中に多量の蒸発燃料が吸気通路20に流入するのを避けることができ、その結果、新たな燃料によるバックファイヤの助長を避けることができる。また、D-VSVを最小時間KVSVMNだけ開弁させることとすれば、吸気通路20の異常圧力を適度にキャニスタ10側に開放することができ、キャニスタ10にダメージを与えることなく、吸気通路20の保護を図ることができる。
しかしながら、バックファイヤが検知された吸気行程において、D-VSVの開弁時間VSVONTを最小時間KVSVMNとすれば、その行程においてバックファイヤ発生気筒に吸入される蒸発燃料量は著しく少ない量となる。この場合、その気筒における次回の爆発行程では、必然的に失火が生ずることとなり、内燃機関の安定性が損なわれる。
そこで、本実施形態では、図27に示すように、バックファイヤ発生気筒では、D-VSVを短時間だけ開弁させた後に、異常圧力の消滅を待って、2度目の燃料供給を実行することとした。このような処理によれば、バックファイヤ発生気筒に対して十分な量の燃料を供給することができ、その気筒における次回の爆発行程での失火を防ぐことができる。
[実施の形態13における具体的処理]
本実施形態の装置は、実施の形態10の装置(図20乃至図23参照)、実施の形態11の装置(図23乃至図25参照)、或いは実施の形態12の装置(図26参照)において、ECU50に、図28に示すルーチンを更に実行させることにより実現することができる。
図28は、本実施形態において、ECU50が、バックファイヤ気筒における吸気行程において、2度目の燃料供給を実現するために実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、例えば4msec毎など、十分に短い時間周期で繰り返し実行されるものとする。
図28に示すルーチンでは、先ず、バックファイヤ気筒における吸気行程が実行中であるか否かが判別される(ステップ270)。この条件が否定された場合は、速やかに今回の処理が終了される。一方、上記条件の成立が認められた場合は、当該気筒に対応するD-VSV(N)の開弁タイミングVSVSが、BTDC−30°CA、つまり、上死点後30°CAに設定される(ステップ272)。
開弁タイミングVSVSが上死点後30°CAに設定された場合、当該気筒における吸気行程は、その開弁タイミングVSVSの後、クランク角が150°CA回転する時間(以下、「吸気行程時間T150」とする)の後に終了する。図28に示すルーチンでは、次に、その吸気行程時間T150の算出処理が行われる(ステップ274)。
吸気行程時間T150は、機関回転数NEに応じて決まる時間である。ECU50には、T150とNEとの関係を定めたマップが記憶されている。上記ステップ274では、そのマップを参照することにより、現在の機関回転数NEに対応する吸気行程時間T150が算出される。
T150の算出が終わると、次に、現在のクランク角CRNKが開弁タイミングVSVS(N)に一致しているか、つまり、BTDC−30°CAであるかが判別される(ステップ276)。CRNK=VSVS(N)の成立が認められない場合は、速やかに今回のルーチンが終了される。一方、その成立が認められる場合は、次に、D-VSV14(N)のON時間VSVONTが、吸気行程時間T150以下であるかが判別される(ステップ278)。
ステップ278の処理は、上述した通り、クランク角が上死点後30°CAに達した後に実行される。この段階では、吸気通路20内の異常圧力が消滅していることから、バックファイヤフラグXBFが0にリセットされている。このため、図21、図24、および図26に示す何れのルーチンによっても、この段階では、D-VSV14(N)のON時間VSVONTは、最小時間KVSVMNではなく、各気筒に対して十分な燃料を供給するための時間に設定されている(ステップ196,218参照)。
上記ステップ278では、その十分な燃料を供給するためのON時間VSVONTが、吸気行程時間T150以下であるかが判別される。つまり、ここでは、D-VSV14(N)の開弁タイミングVSVS(N)の後、当該気筒の吸気行程が終了するまでの間に、十分な燃料をパージにより供給するだけの時間が確保されているか否かが判別される。
上記の判別の結果、VSVONT≦T150の成立が認められた場合は、適量の燃料補充が蒸発燃料のパージにより実現できると判断される。そして、この場合は、D-VSV14(N)がONとされ(ステップ280)、D-VSV14(N)のOFF時間が予約された後(ステップ282)、今回の処理サイクルが終了される。
一方、上記ステップ278の処理により、VSVONT≦T150の不成立が認められた場合は、適切な燃料補充が蒸発燃料のパージによっては実現できないと判断される。この場合は、D-VSV14(N)を開弁させることなく、燃料噴射弁68(N)による燃料補充が行われる(ステップ284)。
以上説明した通り、図28に示すルーチンによれば、バックファイヤ気筒の吸気行程において、バックファイヤの発生に起因する異常圧力が消滅した後に、2度目パージにより、或いは燃料噴射弁68(N)による燃料噴射により、その気筒に対して十分な量の燃料を供給することができる。このため、本実施形態の装置によれば、バックファイヤ気筒における失火を可能な限り回避することにより、内燃機関の安定性を向上させることができる。
ところで、上述した実施の形態13においては、D-VSV14(N)を気筒毎に設ける構成が前提とされているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、D-VSVは、実施の形態3乃至8の場合と同様に、全ての気筒に対して共通なものとして設けることとしてもよい。この場合において、D-VSVを個々の気筒の吸気行程と同期させて開閉させることとすれば、上述した実施の形態13の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施の形態13では、バックファイヤ気筒における吸気行程時間T150が、所望量の燃料を供給するためのON時間VSVONTより短い場合に、燃料噴射弁68(N)により燃料噴射を行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、そのような場合には、バックファイヤ気筒への燃料補充を諦めて、その気筒における次回の爆発行程での完全失火を促すこととしてもよい。
尚、上述した実施の形態13においては、ECU50が、図12に示すルーチンを実行することにより前記第13の発明における「バックファイヤ検知装置」が、クランク角CRNKがBTDC−30°CAとなるのを待って2度目の燃料補充を開始することにより、つまり、ステップ272および276の処理を実行することにより前記第13の発明における「異常圧力消失予測装置」が、上記ステップ280〜284の処理を実行することにより前記第13の発明における「補充燃料供給手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態13においては、ECU50が、ステップ274および278の処理を実行することにより前記第14の発明における「パージ補充可否判断装置」が、ステップ280および282の処理を実行することにより前記第14の発明における「パージ補充実行装置」が、ステップ284の処理を実行することにより前記第14の発明における「噴射補充実行装置」が、それぞれ実現されている。
実施の形態14.
[実施の形態14の特徴]
次に、図29および図30を参照して、本発明の実施の形態14について説明する。
図29は、本実施形態の装置における特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図29は、第1気筒においてバックファイヤが発生した後に、各気筒において用いられる点火時期を説明するためのタイミングチャートである。
本実施形態の装置は、上述した実施の形態11の装置(図23乃至図25参照)、および実施の形態12の装置(図26参照)と同様に、ある気筒においてバックファイヤが発生した場合に、その後、所定数のバックファイヤ気筒において燃料増量を行うものとする。
図29に示す通り、本実施形態における内燃機関(4気筒式)では、第1気筒→第3気筒→第4気筒→第2気筒の順で吸気行程が行われる。この順序によれば、第1気筒においてバックファイヤが発生した場合は、その発生の直後、第3気筒の吸気行程において、最初の燃料増量が行われる。そして、その後、燃料増量の施された気筒においては、ほぼ完全にバックファイヤの発生を回避することができる。
ところで、第1気筒におけるバックファイヤは、第1気筒における吸気上死点の近傍において、つまり、第4気筒における圧縮上死点の近傍において検知される。このため、第1気筒においてバックファイヤが発生する場合、そのバックファイヤが検知されるのとほぼ同時に、第4気筒では爆発行程が開始される。その後クランク角が180°CA程度回転する毎に、第2気筒の爆発行程と、第1気筒の爆発行程とが、その順序で順次開始される。そして、その後更に180°CAの変化が生じた時点で、始めて、燃料増量の施された気筒、つまり第3気筒の爆発行程が開始される。
本実施形態の装置によると、第1気筒においてバックファイヤが発生した場合、その後、燃料増量の施された第3気筒の爆発行程が実行される以前に、燃料増量の施されていない条件で、第4気筒、第2気筒、および第1気筒の爆発行程が一度ずつ行われることになる。そして、これらの爆発行程は、燃料不足の状態で、つまり、バックファイヤを発生させ易い条件で実行されることになる。
バックファイヤや、爆発行程における燃焼が遅延して、排気行程の終了段階、つまり、吸気行程の開始段階まで筒内が高温高圧状態に維持されることにより発生する。このため、点火時期を進角させて筒内での燃焼開始時期を早めれば、バックファイヤが生じ難い状況を作り出すことができる。
第1気筒におけるバックファイヤが検知される時点では、通常、第4気筒の点火は既に終了している。このため、燃料未増量の条件で実行される爆発行程のうち、第4気筒の行程については、点火時期の進角により燃焼時期を早めることはできない。これに対して、バックファイヤの発生に続いて実行するべき第2気筒の点火、および第1気筒の点火は、そのバックファイヤを検知した後に進角させることが可能である。そこで、本実施形態の装置は、燃料未増量の条件でこれらの気筒の爆発行程が実行される場合には、点火時期の進角を行うこととした。
[実施の形態14における具体的処理]
本実施形態の装置は、例えば上述した実施の形態11または12の装置において、ECU50に、図30に示すルーチンを更に実行させることにより実現することができる。
図30は、本実施形態において、ECU50が、個々の気筒における点火時期を制御するために実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、例えば4msec毎など、十分に短い時間周期で繰り返し実行されるものとする。
図30に示すルーチンでは、先ず、バックファイヤフラグXBFに1がセットされているか否かが判別される(ステップ290)。バックファイヤの発生が認められていない場合は、XBFには0が設定されている。従って、この場合は、ステップ290の条件が不成立と判断される。
ステップ290の条件が成立しないと判別されると、次に、第3バックファイヤフラグXBF3に1がセットされているか否かが判別される(ステップ292)。第3バックファイヤフラグXBF3には、イニシャル処理により0がセットされている。このため、バックファイヤの発生が認められていない段階では、この条件も不成立と判断される。そして、その場合は、速やかに今回の処理が終了される。
ECU50は、図30に示すルーチンとは別個の処理により、内燃機関の運転状態に応じた基本の点火時期AOPを設定している。図30に示すルーチンが上記の如く終了された場合、個々の気筒においては、その基本の点火時期AOPにより点火処理が実行される。従って、本実施形態の装置によれば、バックファイヤの発生が認められていない状況下では、全ての気筒において、基本の点火時期AOPによる点火処理が実行されることになる。
何れかの気筒においてバックファイヤが発生すると、その気筒の吸気弁が開いた時点でバックファイヤフラグXBFが1とされる。その結果、図30に示すステップ290において、XBF=1の成立が判定される。そして、この場合は、第3バックファイヤフラグXBF3に1がセットされた後(ステップ294)、今回の処理サイクルが終了される。
バックファイヤの生じた気筒において、吸気圧力PMが正常値に低下すると、その時点でバックファイヤフラグXBFは0となる。XBFが0に戻ると、以後、ステップ290においてXBF=1の不成立が判定され、再びステップ292の処理が実行される。
バックファイヤの発生時にXBF3に1がセットされているため、今度は、XBF3=1の成立が判別される。この場合、次に、バックファイヤ気筒が、現時点で点火気筒とされているか否かが判別される(ステップ296)。
図29に示す例によれば、上記ステップ296の条件は、第1気筒においてバックファイヤが検知された後、第1気筒が始めて点火気筒となった時点でその成立が判断される。換言すると、バックファイヤの発生直後に第2気筒が点火気筒となる段階では、ステップ296の条件は不成立と判断される。
上記ステップ296の条件が不成立と判断された場合は、第3バックファイヤフラグXBF3の状態を変えることなく、点火時期の再設定が行われる(ステップ298)。本ステップ298では、具体的には、基本の点火時期AOPを所定の点火時期補正量KABFだけ進角させる処理が行われる。上記の処理が実行されると、以後、ECU50は、進角補正の施された点火時期において個々の気筒の点火処理を実行する。
図29に示す例において、バックファイヤの発生後、第1気筒が点火気筒となると、上記ステップ296の条件が成立する。この条件が成立すると、第3バックファイヤフラグXBF3が0とされた後(ステップ300)、点火時期の進角処理(ステップ298)が実行される。上記の処理によりXBF3が0とされると、以後、ステップ292の条件が不成立となり、点火時期の進角は行われなくなる。
以上説明した通り、図30に示すルーチンによれば、ある気筒においてバックファイヤが発生した後、その気筒において最初の点火が実行されるまでは、各気筒の点火時期を所定の点火時期補正量KABFだけ進角させることができる。そして、バックファイヤ気筒において最初の点火が行われた後は、各気筒の点火時期を基本の点火時期AOPに復帰させることができる。
ある気筒においてバックファイヤが発生した場合、その後、その気筒において最初の点火が行われるまでの間は、燃料未増加の条件での爆発行程が継続される。本実施形態の装置によれば、その間、点火時期に進角補正を施すことにより、バックファイヤが発生し難い状況を作り出すことができる。このため、本実施形態の装置によれば、バックファイヤの発生直後に更なるバックファイヤが連続して発生するのを有効に防ぐことができる。
また、ある気筒においてバックファイヤが発生した後、その気筒において最初の点火が実行された後は、全ての気筒において、燃料増加の条件で爆発行程を実行することが可能となる。このような状況下では、バックファイヤを防止する意味で点火時期を進角させておく必要はなく、燃焼効率を高めるうえで基準の点火時期AOPを用いることが望ましい。本実施形態の装置によれば、この段階では、点火時期が基本の点火時期AOPに戻されることから、上記の要求を満たすことができる。
ところで、上述した実施の形態14においては、実施の形態11または12の装置(バックファイヤ後吸入行程での燃料増量機能を有する装置)に対して、点火時期の進角機能を組み込むこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、点火時期の進角機能は、実施の形態3乃至13の何れの装置と組み合わせることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態14においては、ECU50が、図12に示すルーチンを実行することにより前記第15の発明における「バックファイヤ検知装置」が、上記ステップ298の処理を実行することにより前記第15の発明における「点火時期進角装置」が、それぞれ実現されている。
実施の形態15.
[実施の形態15の特徴]
次に、図31乃至図33を参照して、本発明の実施の形態15について説明する。
図31は、本実施形態の装置における特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図31は、第1気筒においてバックファイヤが発生した後に、各気筒において設定されるバルブタイミングを説明するためのタイミングチャートである。
本実施形態の装置は、ある気筒でバックファイヤの発生が認められた場合、実施の形態14の装置と同様に、その後実行されるバックファイヤ後吸気行程において燃料増量を行う。そして、本実施形態においても、実施の形態14の場合と同様に、ある気筒でバックファイヤが発生した後、その気筒での最初の爆発行程が終わるまでの間は、燃料未増量のままで、つまり、バックファイヤの発生し易い条件のままで爆発行程が繰り返されることになる。
本実施形態の装置は、吸気弁の開弁時期を可変とする可変動弁機構を備えている。このため、本実施形態の装置によれば、吸気弁の開弁時期を変化させることにより、吸気弁と排気弁のバルブオーバーラップ期間を変化させることができる。
図32(A)は、本実施形態の装置が通常用いるバルブタイミングを表した図である。また、図32(B)は、本実施形態の装置が、バックファイヤの発生後に用いるバルブタイミングを表した図である。
図32(A)に示す通常タイミングでは、排気弁の開弁中に吸気弁が開かれる。つまり、このタイミングによれば、両者が共に開弁状態となるオーバーラップ期間が発生する。オーバーラップの期間中は、排気ガスの一部が吸気通路20に流れ込むことができる。このため、排気行程の終了段階まで筒内に高温高圧ガスが残存している場合は、オーバーラップ期間が存在することにより、バックファイヤが発生し易くなる。
図32(B)に示す遅角タイミングでは、排気弁の閉弁時期が上死点後に設定されており、かつ、吸気弁の開弁時期が、オーバーラップ期間の発生を避けるために遅角されている。このようなタイミングによれば、筒内のガスは排気行程において排気通路にほぼ完全に排出される。そして、排気ガスの排出が終わった後に、吸気通路が筒内と連通される。このため、図32(B)に示す遅角タイミングによれば、排気行程の終了段階まで筒内に高温高圧ガスが存在していたとしても、バックファイヤは誘発され難い。
そこで、本実施形態では、バックファイヤの発生が認められた後、バックファイヤ気筒における最初の爆発行程が完了するまで(その爆発により生じた排気ガスが排出され終わるまで)は、図32(B)に示す遅角タイミングを用いることとし、それ以外の状況下では、図32(A)に示す通常タイミングを用いることとした。このような処理によれば、バックファイヤの発生直後に、燃料未増量の条件で爆発行程が繰り返される間に、バックファイヤが頻発するのを有効に防ぐことが可能である。
[実施の形態15における具体的処理]
本実施形態の装置は、例えば上述した実施の形態14の装置に、吸気弁の開弁時期を可変とする可変動弁機構を組み込むと共に、図33に示すルーチンを更に実行させることにより実現することができる。図33は、本実施形態において、ECU50が、個々の気筒における吸気弁の開弁タイミングVVTIを算出するために実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、例えば4msec毎など、十分に短い時間周期で繰り返し実行されるものとする。
図33に示すルーチンは、ステップ296がステップ310に、また、ステップ298がステップ310にそれぞれ置き換えられている点を除き、図30に示すルーチン(実施の形態14参照)と同様である。以下、図33に示すステップのうち、図30に示すステップと共通するものについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
すなわち、図33に示すルーチンによれば、ステップ292においてXBF3=1の成立が認められた場合は、次に、バックファイヤ気筒が現時点で吸気気筒(吸気行程を開始するべき気筒)とされているか否かが判別される(ステップ310)。
上記ステップ310の条件が不成立と判断される間は、第3バックファイヤフラグXBF3の状態が維持されたまま、吸気弁の開弁タイミングVVTIが、基本のタイミングVVTから所定のVVT補正量KVBFだけ遅角される(ステップ310)。また、上記ステップ310の条件成立が判断された場合は、ステップ300の処理により第3バックファイヤフラグXBF3が0とされた後、ステップ310の処理、つまり、開弁タイミングVVTIの遅角処理が実行される。
図31に示す例によれば、上記ステップ310の条件は、第1気筒においてバックファイヤが検知された後、その気筒において圧縮行程および爆発行程が終了し、更に、排気行程が開始された後のクランク角においてその成立が判断される。つまり、ステップ310の条件は、燃料未増量の条件で行われる最後の爆発行程が終了した後の所定クランク角においてその成立が判断される。そして、ステップ310の条件が成立すると、次回以降の処理サイクルでは、XBF3=1が不成立と判断される。その結果、吸気弁は、基準の開弁タイミングVVTで開弁されることとなる。
以上説明した処理によれば、ある気筒においてバックファイヤが発生した場合、その後、燃料未増量の条件で爆発行程に付された最後の筒内ガスが排出され終わるまで、吸気弁の開弁タイミングVVTIを遅角させることができる。そして、それ以外の状況下では、吸気弁の開弁タイミングVVTIを、基本の開弁タイミングVVTとすることができる。
燃料未増量の条件で爆発行程が行われる間は、排気行程の終了段階まで、筒内に高温高圧ガスが残存していることがある。本実施形態の装置によれば、そのような状況下では、バルブオーバーラップを消滅させることにより、バックファイヤが発生し難い状況を作り出すことができる。このため、本実施形態の装置によれば、バックファイヤの発生直後に更なるバックファイヤが連続して発生するのを有効に防ぐことができる。
また、燃料未増量の条件で爆発行程に付された最後の筒内ガスが排出された後は、何れの気筒においても、バックファイヤを誘発するような筒内ガスが、排気行程の終了段階まで残存しないと考えられる。このような状況下では、バックファイヤを防止する意味で吸気弁の開弁タイミングを遅角させておく必要はなく、燃焼効率を高めるうえで基準の開弁タイミングを用いることが望ましい。本実施形態の装置によれば、この段階では、開弁タイミングVVTIが基本のタイミングに戻されることから、上記の要求を満たすことができる。
ところで、上述した実施の形態15においては、実施の形態14の装置に対して、吸気弁の開弁タイミングVVTIを遅角する機能を組み込むこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、VVTIの遅角機構は、実施の形態3乃至14の何れの装置と組み合わせることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態15においては、ECU50が、図12に示すルーチンを実行することにより前記第16の発明における「バックファイヤ検知装置」が、ステップ312の処理を実行することにより前記第16の発明における「開弁時期変更装置」が、それぞれ実現されている。
実施の形態16.
[実施の形態16の特徴]
次に、図34および図35を参照して、本発明の実施の形態16について説明する。
図34は、本実施形態の装置における特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図34は、第1気筒においてバックファイヤが発生した後に、本実施形態において実行される吸入空気量制御の内容を説明するためのタイミングチャートである。
図34に示す通り、本実施形態の装置は、第1気筒の吸気行程においてバックファイヤの発生が認められた場合、その後、所定の期間(例えば、第1気筒において再び吸気行程が実行されるまでの間)に渡って「吸入空気量制御」を実行する。ここで、「吸入空気量制御」とは、内燃機関のアイドル時における空気量QCALを、所定の空気補正量KQBFだけ減量する制御である。
本実施形態の装置は、電子制御式スロットル弁、或いはISCV(Idle Speed Control Valve)によりアイドル時の空気量QCALを制御している。上記の吸入空気量制御の実行中は、より具体的には、QCALを発生させるためのスロットル開度、或いはISCV開度が、基準値より所定量だけ狭められる。
アイドル時のスロットル開度、或いはISCV開度が狭められると、吸気圧力PMがより大きく負圧化される。そして、吸気圧力PMが負圧化されるほど、パージライン12から吸気通路20に流入する蒸発燃料量は多量となる。このため、上述した吸入空気量制御によれば、ある気筒においてバックファイヤの発生が認められた後に、個々の気筒に対する蒸発燃料の供給量を増やして、バックファイヤの再発を防止することができる。
[実施の形態16における具体的処理]
本実施形態の装置は、例えば、上述した実施の形態15の装置に、電子スロットル弁、或いはISCVを組み込むと共に、以下に説明する図35に示すルーチンを更に実行させることにより実現することができる。
図35は、本実施形態において、ECU50が、アイドル空気量QCALを制御するために、より具体的には、アイドル時の吸気圧力PMを制御するために実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、例えば4msec毎など、十分に短い時間周期で繰り返し実行されるものとする。
図35に示すルーチンは、ステップ312がステップ320に置き換えられている点を除き、図33に示すルーチン(実施の形態15参照)と同様である。すなわち、図35に示すルーチンによれば、バックファイヤの発生後、即座に第3バックファイヤフラグXBF3を1とし、また、第3バックファイヤフラグXBF3が1とされている期間中は、アイドル空気量QCALを基本の値より空気補正量KQBFだけ少量とすることができる。このため、本実施形態の装置によれば、バックファイヤの発生後、即座に吸気圧力PMを負圧化し、蒸発燃料のパージ量を増やすことにより、バックファイヤの更なる発生を有効に防止することができる。
ところで、上述した実施の形態16においては、実施の形態15の装置に対して、アイドル空気量QCALの減量機能を組み込むこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、アイドル空気量QCALの減量機能は、実施の形態3乃至15の何れの装置と組み合わせることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態16においては、電子スロットル或いはISCVが前記第17の発明における「アイドル空気量調整機構」に相当していると共に、ECU50が、図12に示すルーチンを実行することにより前記第17の発明における「バックファイヤ検知装置」が、ステップ320の処理を実行することにより前記第17の発明における「アイドル空気量減量装置」が、それぞれ実現されている。
実施の形態17
次に、図36を参照して本実施形態の実施の形態17について説明する。本実施形態の装置は、上述した実施の形態1乃至16の装置の何れかに、以下の説明する図36に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。但し、本実施形態の装置は、上述した各実施形態の説明において明示されていると否とに関わらず、燃料噴射弁68(N)とECU50とを備えているものとする。
図36は、内燃機関に対する燃料供給の手法を適宜適切に選択するためにECU50が実行するルーチンのフローチャートである。尚、図36に示すルーチンは、内燃機関の始動と同時に起動され、その後、例えば4msec毎に繰り返し実行されるものとする。
図36に示すルーチンでは、先ず、バックファイヤの発生が検知されたか否かが判別される(ステップ330)。ここでは、より具体的には、上述した実施の形態3乃至8において用いられた何れかの手法により、バックファイヤの発生が認められるか否かが判別される。
バックファイヤの発生が認められないと判別された場合は、次に、内燃機関の触媒暖機が完了しているか否かが判別される(ステップ332)。触媒の暖機が完了したか否かは、例えば、内燃機関の始動後の経過時間、或いは、内燃機関の始動後に生じた吸入空気量の積算値などに基づいて判断することができる。
触媒の暖機が未だ完了していないと判別された場合は、次に、冷間パージ制御処理が実行される(ステップ334)。ここで、「冷間パージ制御処理」とは、D-VSV14を適当に開弁させて所望量の蒸発燃料をパージライン12から吸気通路20に供給するための制御である。尚、その制御の内容は、本発明の主要部ではないため、ここではその詳細な説明は省略する。
冷間パージ制御処理が終了すると、次に、TAU補正制御が実行される(ステップ336)。TAU補正制御は、内燃機関の運転に必要な要求燃料のうち、蒸発燃料によっては供給できない不足分を燃料噴射弁68(N)により噴射させるための制御である。ここでは、具体的には、次式に従って燃料噴射弁68(N)に供給する燃料噴射時間指令値TAUOUTが算出される。
TAUOUT=TAUBS−(VSVONT*KINJ/KVSV)≧0 ・・・(3)
但し、TAUBSは、内燃機関の要求燃料の全てを燃料噴射弁68(N)に噴射させるための噴射時間であり、その値は他のメインルーチンにより算出されるものとする。また、KINJおよびKVSVは、それぞれ燃料噴射弁68(N)の特性およびD-VSV14の特性を表す係数であり、KINJ/KVSVなる値は、物理的にはD-VSV14のON時間VSVONTを燃料噴射弁68(N)のON時間に変換する換算値としての意味を有している。また、上記(3)式中「≧0」は、TAUOUTの最小値が0にガードされることを意味している。
上記の処理が終了すると、次に、燃料噴射弁68(N)による燃料噴射処理が実行される(ステップ338)。上記ステップ336の処理により、(3)式に従ってTAUOUTが算出されている場合は、吸気行程にある気筒の燃料噴射弁に対して、そのTAUOUTが駆動信号として与えられる。その結果、蒸発燃料の不足分が燃料噴射弁68(N)から噴射され、内燃機関に対して、所望の燃料量が供給されることになる。
内燃機関の始動後、バックファイヤが発生することなく触媒の暖機が終了すると、上記ステップ332において、触媒の暖機完了が判定される。この場合、冷間パージ制御の中断処理が実行され(ステップ340)、その後、燃料噴射処理(ステップ338)が実行される。上記ステップ340の処理が実行されると、以後、D-VSV14は閉弁状態に維持される。また、この場合は、メインルーチンにより算出されている基本の燃料噴射時間TAUBSが、そのままTAUOUTとして燃料噴射弁68(N)に供給される。その結果、以後、内燃機関が必要としている全ての燃料は、燃料噴射弁68(N)により供給されることになる。
内燃機関の始動後、触媒暖機が終了する以前にバックファイヤが発生すると、その時点で、ステップ330においてバックファイヤの発生が認識される。そして、この場合は、その後即座にステップ340の処理が実行され、冷間パージ制御が中断される。このため、本実施形態の装置によれば、内燃機関の始動後、触媒暖機の段階において、バックファイヤが発生しなければ蒸発燃料を優先した燃料供給を行い、また、バックファイヤの発生後は、全ての燃料を燃料噴射弁68(N)のみで供給する状態を形成することができる。
D-VSV14の開度を制御して蒸発燃料量の制御する場合に比して、燃料噴射弁68(N)のON時間を制御して燃料噴射量を制御する場合の方が、燃料量の精度を確保するのが容易である。このため、本実施形態の装置によれば、バックファイヤの発生後は、その発生以前に比して、内燃機関に対する燃料供給量の精度を高めることができる。そして、その精度が向上すれば、個々の気筒における燃料不足が生じ難くなり、バックファイヤの発生を防ぐことができる。従って、本実施形態の装置によれば、内燃機関の冷間始動後に、バックファイヤが連続的に発生するのを有効に阻止することができる。
尚、上述した実施の形態17においては、ECU50が、ステップ340および338の処理を実行することにより、前記第5の発明における「燃料噴射弁制御装置」が実現されている。
実施の形態18.
次に、図37を参照して本実施形態の実施の形態18について説明する。本実施形態の装置は、上述した実施の形態1乃至16の装置の何れかに、以下の説明する図37に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。但し、本実施形態の装置は、上述した各実施形態の説明において明示されていると否とに関わらず、燃料噴射弁68(N)とECU50とを備えているものとする。
図37は、内燃機関に対する燃料供給の手法を適宜適切に選択するためにECU50が実行するルーチンのフローチャートである。尚、図37に示すルーチンは、内燃機関の始動と同時に起動され、その後、例えば4msec毎に繰り返し実行されるものとする。
図37に示すルーチンは、バックファイヤの発生が認められた直後に実行される処理が、ステップ340の処理から、ステップ350および352の処理に変更されている点を除き、上述した図36に示すルーチンと同様である。ここでは、図37に示すステップのうち、図36に示すステップと共通するものについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
すなわち、図37に示すルーチンでは、ステップ330の処理によりバックファイヤの発生が認められると、次に、冷間パージ制御処理が実行される(ステップ350)。個々で実行される冷間パージ制御処理は、ステップ334において実行される処理と同じである。つまり、図37に示すルーチンによれば、触媒暖機の過程では、バックファイヤの有無に関わらず、常に同様の制御手法により、内燃機関に対する蒸発燃料の供給が継続される。
しかしながら、バックファイヤの発生が認められた場合は、上記ステップ350の処理に続いて、通常のTAU補正制御(ステップ334参照)に代えて、以下に説明する増量TAU補正制御が実行される(ステップ352)。増量TAU補正制御によれば、次式に示すように、燃料噴射時間指令値TAUOUTが、通常時のTAUOUTに比して、増量補正値KBFINJだけ大きな値とされる。
TAUOUT=TAUBS+KBFINJ−(VSVONT*KINJ/KVSV)≧KBFINJ ・・・(4)
但し、上記(4)式中「≧KBFINJ」は、TAUOUTの最小値が増量補正値KBFINJにガードされることを意味している。
上記の処理によれば、バックファイヤの発生後は、その発生以前に比して、KBFINJに相当する燃料噴射時間の分だけ、個々の気筒に対する燃料噴射量を増量させることができる。そして、このような燃料増量を行うことにすれば、蒸発燃料の供給を継続しつつ、バックファイヤの連続的な発生を有効に防ぐことができる。このため、本実施形態の装置によれば、内燃機関の冷間始動性を十分に改善することができる。
尚、上述した実施の形態18においては、ECU50が、ステップ352および338の処理を実行することにより、前記第12の発明における「噴射弁制御装置」が実現されている。
本発明の実施の形態1の蒸発燃料供給装置の構成を説明するための図である。 一般的なチェック弁の構造を説明するための図である。 本発明の実施の形態1において用いられるチェック弁の構成および動作を説明するための図である。 本発明の実施の形態2において用いられるチェック弁の構成および動作を説明するための図である。 本発明の実施の形態3の蒸発燃料供給装置の構成を説明するための図である。 正常時の筒内圧(細線)とバックファイヤ発生時の筒内圧(太線)とを比較して表した図である。 本発明の実施の形態3の蒸発燃料供給装置がバックファイヤの発生を検知するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態3の蒸発燃料供給装置が、バックファイヤの発生時にD-VSVを閉じてキャニスタを保護するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態4の蒸発燃料供給装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態4の蒸発燃料供給装置がバックファイヤの発生を検知するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態5の蒸発燃料供給装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態5の蒸発燃料供給装置がバックファイヤの発生を検知するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態6の蒸発燃料供給装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態6の蒸発燃料供給装置がバックファイヤの発生を検知するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態7の蒸発燃料供給装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態7の蒸発燃料供給装置がバックファイヤの発生を検知するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態8の蒸発燃料供給装置がバックファイヤの発生を検知するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態9の蒸発燃料供給装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態9において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態10の蒸発燃料供給装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態10の蒸発燃料供給装置がD-VSVのON時間VSVONTを算出するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態10の蒸発燃料供給装置がD-VSVの状態を制御するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態11の特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態11の蒸発燃料供給装置がD-VSVのON時間VSVONTを算出するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態11の蒸発燃料供給装置がD-VSVの状態を制御するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態12の蒸発燃料供給装置がD-VSVのON時間VSVONTを算出するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態13の特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態13の蒸発燃料供給装置が、バックファイヤ気筒での2度目の燃料供給を実現するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態14の特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態14の蒸発燃料供給装置が、バックファイヤ発生後に点火時期を進角させるために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態15の特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態15の蒸発燃料供給装置が通常用いるバルブタイミングと、バックファイヤの発生後に用いるバルブタイミングとを表した図である。 本発明の実施の形態15の蒸発燃料供給装置が、バックファイヤ発生後に吸気弁の開弁タイミングVVTIを遅角させるために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態16の特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態16の蒸発燃料供給装置が、アイドル空気量QCALを制御するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態17の蒸発燃料供給装置が、内燃機関に対する燃料供給の手法を適宜適切に選択するために実行するルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態18の蒸発燃料供給装置が、内燃機関に対する燃料供給の手法を適宜適切に選択するために実行するルーチンのフローチャートである。
符号の説明
10 キャニスタ
12 パージライン
14;14(N) D-VSV
16;40 チェック弁
20 吸気通路
50 ECU(Electronic Control Unit)
52 エアフロメータ
58 圧力スイッチ
60 圧力センサ
62 燃焼圧センサ
64 温度センサ
66(N) 流量切り換えVSV
68(N) 燃料噴射弁
GA 吸入空気量
NE 機関回転数
TA スロットル開度
PM 吸気圧力
PMP 燃焼圧
XBF バックファイヤフラグ
XBF2 第2バックファイヤフラグ
XBF3 第3バックファイヤフラグ
CBF バックファイヤカウンタ
VSVONT D-VSVのON時間
KVSVMN VSVONTの最小時間
CRNK クランク角
KBFA ON時間補正係数
T150 吸気行程時間
VSVS D-VSVの開弁タイミング
KABF 点火時期補正量
KVBF VVT補正量
KQBF 空気補正量

Claims (17)

  1. 蒸発燃料を貯留するキャニスタと、
    前記キャニスタと内燃機関の吸気通路とを連通するパージラインと、
    前記パージラインに配置されたパージ制御弁と、
    バックファイヤの発生時に、前記吸気通路から前記キャニスタへ向かう圧力伝播を抑制する圧力伝播抑制装置と、
    を備えることを特徴とする蒸発燃料供給装置。
  2. 前記圧力伝播抑制装置は、前記キャニスタ側の圧力が前記吸気通路側の圧力以上である状況下では開弁状態となり、かつ、前記吸気通路側の圧力が前記キャニスタ側の圧力よりも高くなった場合に閉弁状態となるチェック弁を含むことを特徴とする請求項1記載の蒸発燃料供給装置。
  3. 前記チェック弁は、前記閉弁状態において、前記吸気通路側と前記キャニスタ側との導通を維持するための絞り孔を有することを特徴とする請求項2記載の蒸発燃料供給装置。
  4. バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置を備え、
    前記圧力伝播抑制装置は、バックファイヤが検知された際に前記パージ制御弁を閉弁状態とするパージ禁止装置を含むことを特徴とする請求項1記載の蒸発燃料供給装置。
  5. 前記パージ禁止装置は、バックファイヤが検知された後、恒常的に前記パージ制御弁を閉弁状態に維持し、
    内燃機関の各気筒に対して燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    バックファイヤが検知された後、内燃機関が必要とする燃料量の全てを前記燃料噴射弁から噴射させる燃料噴射弁制御装置と、
    を備えることを特徴とする請求項4記載の蒸発燃料供給装置。
  6. バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置を備え、
    前記圧力伝播抑制装置は、
    前記パージラインの有効径を切り換える切り換え制御弁と、
    バックファイヤが検知された際に、前記有効径が小さくなるように前記切り換え制御弁を制御する有効径切り換え装置と、を含むことを特徴とする請求項1記載の蒸発燃料供給装置。
  7. バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置を備え、
    前記圧力伝播抑制装置は、バックファイヤが検知された際に、前記パージ制御弁の開度を絞る制御弁絞り装置を含むことを特徴とする請求項1記載の蒸発燃料供給装置。
  8. 前記バックファイヤ検知装置は、
    筒内の燃焼圧を検出する燃焼圧センサと、
    新規ガスの吸入が開始される以前の燃焼圧に基づいて、バックファイヤの発生を予測するバックファイヤ予測装置とを含み、
    前記圧力伝播抑制装置は、バックファイヤの発生が予測された時点で、圧力伝播を抑制するための処理を実行することを特徴とする請求項4乃至7の何れか1項記載の蒸発燃料供給装置。
  9. バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置を備え、
    前記バックファイヤが生じた吸気行程に続いて行われるバックファイヤ後吸気行程において、内燃機関への燃料供給量の増量を図る燃料供給量増量装置を更に備えることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の蒸発燃料供給装置。
  10. 各気筒における吸気行程と同期して、所定の開弁時間だけ前記パージ制御弁を開弁させる制御弁制御装置を備え、
    前記燃料供給量増量装置は、前記バックファイヤ後吸気行程に対応する前記開弁時間を、基準の開弁時間より長期化する開弁時間長期化装置を含むことを特徴とする請求項9記載の蒸発燃料供給装置。
  11. 前記燃料供給量増量装置は、前記バックファイヤ後吸気行程に同期する前記パージ制御弁の開弁時期を基準の開弁時期に比して進角させる開弁時期進角装置を含むことを特徴とする請求項10記載の蒸発燃料供給装置。
  12. 内燃機関の各気筒に対して燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、
    前記燃料供給量増量装置は、前記バックファイヤ後吸気行程の行われる気筒に対して、所定の増量補正分を前記燃料噴射弁に噴射させる噴射弁制御装置を含むことを特徴とする請求項9記載の蒸発燃料供給装置。
  13. バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置と、
    バックファイヤの生じた気筒における異常圧力の消失を推定する異常圧力消失予測装置と、
    異常圧力の消失が推定された時点以後に、バックファイヤの生じた気筒に対して補充燃料を供給する補充燃料供給手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項記載の蒸発燃料供給装置。
  14. 内燃機関の各気筒に対して燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、
    前記補充燃料供給手段は、
    バックファイヤの生じた気筒における異常圧力の消失が推定される時点から、当該気筒における当該吸気行程が終了する時点までの間に、所望の補充燃料をパージラインから供給できるか否かを判断するパージ補充可否判断装置と、
    所望の補充燃料をパージラインから供給できると判断された場合に、その補充燃料が供給されるように前記パージ制御弁を駆動するパージ補充実行装置と、
    所望の補充燃料をパージラインから供給できないと判断された場合に、その補充燃料を前記燃料噴射弁から噴射させる噴射補充実行装置と、
    を含むことを特徴とする請求項13記載の蒸発燃料供給装置。
  15. バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置と、
    バックファイヤの発生が検知された後、各気筒の点火時期を進角させる点火時期進角装置と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項記載の蒸発燃料供給装置。
  16. 吸気弁の開弁タイミングを可変とする可変バルブタイミング機構と、
    バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置と、
    バックファイヤの発生が検知された後、バルブオーバーラップが小さくなるように、各気筒の吸気弁の開弁タイミングを遅角する開弁時期変更装置と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至15の何れか1項記載の蒸発燃料供給装置。
  17. 前記圧力伝播抑制装置は、バックファイヤの生じた気筒において異常圧力が消滅した後は、パージラインを通って蒸発燃料が吸気通路に流入するのを許容し、
    内燃機関の吸気通路に配置され、アイドル状態での吸入空気量が所望量となるように、その開度が調整されるアイドル空気量調整機構と、
    バックファイヤの発生を検知するバックファイヤ検知装置と、
    バックファイヤの発生が検知された後、前記アイドル空気量調整機構の開度を絞るアイドル空気量減量装置と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至16の何れか1項記載の蒸発燃料供給装置。
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