JP3622430B2 - 内燃機関の燃料噴射時期制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、機関運転状態に応じて燃料噴射時期を制御する内燃機関の燃料噴射時期制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般の内燃機関にあっては、吸気通路に設けられたインジェクタから吸気通路内に燃料が噴射される。そして、噴射された燃料が吸気通路を流れる吸入空気と混合されることにより混合気が形成され、この混合気が吸気通路を通じて内燃機関の燃焼室に供給される。内燃機関には燃料噴射制御を行う電子制御装置が設けられており、この制御装置によってインジェクタの開閉時期、即ち、燃料噴射量及び燃料噴射時期が機関運転状態に応じて制御されるようになっている。
【0003】
また、上記のようにインジェクタから吸気通路内に噴射された燃料は、その全てが燃焼室内に供給されるわけではない。インジェクタから噴射されたものの、その何割かの燃料は吸気通路の内壁面や吸気バルブの傘部に付着してしまうからである(尚、本明細書において、この吸気通路の内壁面や吸気バルブの傘部に付着する燃料の量を「壁面燃料付着量」と定義する)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関に使用される燃料には、揮発性の高い軽質系の燃料(以下、単に「軽質燃料」という)と、逆に揮発性の低い重質系の燃料(以下、単に「重質燃料」という)とが存在している。そして、この燃料性状(ここでは特に揮発性)は、例えば、夏期或いは冬期といった使用時期や燃料メーカによってかなりのバラツキがある。従って、内燃機関にあっては、これら軽質燃料及び重質燃料が混在して使用されているのが実情である。また、以下に説明するように、燃料噴射量に対する壁面燃料付着量の割合(以下、「壁面燃料付着率」という)はこの燃料性状によって大きく左右されるものである。
【0005】
図12は、機関温度と壁面燃料付着率との関係を軽質燃料及び重質燃料についてそれぞれ示している。同図に示すように、機関温度が高い場合には、軽質燃料又は重質燃料のいずれの燃料においても壁面燃料付着率は極めて少なくなっている。これは機関温度が高い場合には、インジェクタから噴射された燃料はその大部分が吸気通路の内壁面や吸気バルブの傘部に付着する前に気化して燃焼室に供給され、或いは、吸気通路の内壁面等に一旦付着しても同壁面の熱により速やかに気化して燃焼室に供給されるためである。
【0006】
これに対して、機関温度が低い場合には、軽質燃料又は重質燃料のいずれの燃料においても壁面燃料付着率が機関温度が高い場合と比較して大きくなっている。これは機関温度が低いことから、吸気通路内に噴射された燃料の気化が促進されず、また、同吸気通路の内壁面等に付着した燃料が同壁面の熱により気化されることも少ないからである。
【0007】
特に、重質燃料は軽質燃料と比較して揮発性が低く気化し難いため、機関温度が低下したときに壁面燃料付着率は大幅に増加する。このため、重質燃料を使用している内燃機関にあっては、機関低温時に壁面燃料付着率の増大に起因して混合気が希薄となり機関回転速度が低下してしまうおそれがあった。
【0008】
また、このような機関回転速度の低下は機関がアイドリング運転状態にあるときに特に顕著なものとなる。アイドリング運転状態においては、燃料噴射量が少ないため壁面燃料付着率が大きくなる傾向があるからである。そして、このようなアイドリング運転状態における機関回転速度の低下は、機関の燃焼状態を不安定化させてしまい、最悪の場合には機関停止(エンジンストール)を招くおそれがあった。
【0009】
そこで、上記のような機関回転速度の低下を見越して、換言すれば、重質燃料に適合するように、アイドリング運転時における燃料噴射量を予め増量しておくことが考えられる。しかしながら、このような定常的な燃料噴射量の増量は燃費悪化を招くばかりか、軽質燃料の使用により壁面燃料付着率が小さくなった場合に逆に混合気が過濃になってしまい、未燃焼ガスの排出量を増加させてしまうおそれがある。
【0010】
また、機関回転速度の低下が発生したときに、その低下量に応じて燃料噴射量を一時的に増量補正することにより、アイドリング運転時における機関回転速度の低下を抑制することも考えられる。このようにすれば、壁面燃料付着量に相当する分の燃料が増量補正されるようになるため、未燃焼ガスの排出量が増加してしまうことはない。しかしながら、このような構成であっても燃料噴射量を増量補正するようにしているため、やはり燃費の悪化は避けられない問題であった。
【0011】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃費の悪化を招くことなくアイドリング運転時における機関回転速度の低下を抑制することができる内燃機関の燃料噴射時期制御装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、内燃機関がアイドリング運転状態にあるときに内燃機関の燃焼室に通じる吸気通路内に噴射供給される燃料の噴射時期を内燃機関の吸気行程以前に設定するようにした内燃機関の燃料噴射時期制御装置において、内燃機関の機関回転速度を検出する回転速度検出手段と、内燃機関がアイドリング運転状態にあるときの機関回転速度に関する目標値を設定する設定手段と、吸気通路内に噴射された燃料噴射量に対する壁面燃料付着量の割合若しくは壁面燃料付着量を、設定される目標値に対する検出される機関回転速度の低下量に基づき推定する推定手段と、内燃機関がアイドリング運転状態にあることを判定する判定手段と、内燃機関がアイドリング運転状態にあると判定され且つ推定される壁面燃料付着量の割合若しくは壁面燃料付着量が大きいほど燃料の噴射時期をより遅れた時期に変更する噴射時期変更手段と、機関始動開始時から所定時間が経過するまでは噴射時期変更手段による噴射時期の変更を禁止する禁止手段とを備えたことをその要旨とするものである。
【0020】
上記構成によれば、目標値に対する機関回転速度の低下量に基づき推定される壁面燃料付着量の割合若しくは壁面燃料付着量の大きさに応じて燃料噴射時期がより適正な時期に変更される。
一般に、内燃機関の始動完了直後にあっては機関燃焼状態が不安定であるため、機関回転速度が変動することがある。上記構成によれば、内燃機関の始動開始時から所定時間の間は燃料噴射時期の変更が禁止されるため、上記のような機関燃焼状態の不安定化に起因した一時的な機関回転速度の低下が発生した場合でも、燃料噴射時期の変更は行われない。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した内燃機関の燃料噴射時期制御装置において、噴射時期変更手段は、燃料の噴射時期を内燃機関の吸気工程中に変更することをその要旨とするものである。
上記構成によれば、請求項1に記載した発明の作用に加えて、燃料噴射は内燃機関の吸気行程中に行われるようになるため、噴射された燃料は吸気通路から燃焼室へ向かう吸入空気の流動によって速やかに燃焼室に導入されるようになる。従って、壁面燃料付着量の割合若しくは壁面燃料付着量が更に減少し、その減少分だけ燃焼室に供給される燃料が増加する。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における内燃機関の燃料噴射時期制御装置を車輌用ガソリンエンジンに適用した第1の実施形態について図1〜7を参照して説明する。
【0035】
図1は本実施形態において、車輌用多気筒ガソリンエンジン(以下、「エンジン」と略記する)1の燃料噴射時期制御装置を示す概略構成図である。エンジン1は複数のシリンダボア3が形成されたシリンダブロック2と、同ブロック2上に組み付けられたシリンダヘッド4とを備えている。各シリンダボア3内にはピストン5が上下動可能に設けられており、このピストン5はコンロッド6を介して図示しないクランクシャフトに連結されている。シリンダボア3の内部において、ピストン5とシリンダヘッド4とによって囲まれた空間により燃焼室7が形成されている。
【0036】
シリンダヘッド4には、各燃焼室7に対応して点火プラグ8が設けられている。また、シリンダヘッド4には、各燃焼室7に通じる吸気ポート9及び排気ポート10がそれぞれ設けられており、これら各ポート9,10には吸気管11及び排気管12がそれぞれ接続されている。
【0037】
吸気ポート9及び排気ポート10には、吸気バルブ13及び排気バルブ14がそれぞれ設けられている。これら吸気バルブ13及び排気バルブ14は、吸気カムシャフト22及び排気カムシャフト23の回転により作動して各ポート9,10を開閉する。各カムシャフト22,23の先端にはタイミングプーリ22a,23aが設けられており、これら各タイミングプーリ22a,23aはタイミングベルト24を介してクランクシャフトに設けられたクランクプーリ(図示略)に連結されている。
【0038】
また、吸気カムシャフト22の端部にはバルブタイミング変更機構(以下、「VVT」と略記する)25が設けられている。このVVT25は、タイミングプーリ22aに対して吸気カムシャフト22を連続的に相対回転させることができる。後述する電子制御装置(以下、「ECU」と略記する)51はVVT25を制御して吸気カムシャフト22を相対回転させることにより、吸気バルブ13のバルブタイミング、及びバルブオーバラップ期間をエンジン1の運転状態に適合するタイミングに変更することができる。
【0039】
例えば、ECU51はエンジン1がアイドリング運転状態にある場合に吸気バルブ13のバルブタイミングを遅角させることによってバルブオーバラップ期間を最小値に設定する。このようにバルブオーバラップ期間が最小値に設定されることにより、吹き返し現象の発生が抑制されて燃焼室7における混合気の燃焼状態を安定させることができる。
【0040】
一方、ECU51はエンジン1が高負荷運転状態にある場合に吸気バルブ13のバルブタイミングを進角させることによってバルブオーバラップ期間を最大値に設定する。このようにバルブオーバラップ期間が最大値に設定されることにより、体積効率の向上を図ることができエンジン出力を増大させることができる。
【0041】
前記吸気管11の入口側にはエアクリーナ15が設けられ、その下流側にはサージタンク16が設けられている。更に、吸気管11において、このサージタンク16の下流側にはエンジン1の各気筒に対応して燃料噴射用のインジェクタ17がそれぞれ設けられている。インジェクタ17はECU51により開閉駆動される電磁弁であり、同インジェクタ17には燃料タンク(図示略)内の燃料が燃料ポンプ(図示略)から所定圧力をもって供給されるようになっている。
【0042】
インジェクタ17は、ECU51の制御信号に基づく所定の時期をもって吸気ポート9に向けて燃料を噴射する。噴射された燃料は、エアクリーナ15を通じて吸気管11内に導入された吸入空気と混合されて混合気を形成する。そして、この混合気は吸気バルブ13の開弁に伴って燃焼室7に導入される。燃焼室7に導入された混合気が点火プラグ8によって点火されることにより、その混合気が爆発・燃焼してエンジン1に駆動力が得られる。そして、爆発・燃焼後の排気は、排気行程における排気バルブ14の開弁に伴い排気管12を通じて外部へ排出される。
【0043】
サージタンク16の上流側には吸入空気量GAを調節するスロットルバルブ19が設けられており、このスロットルバルブ19の近傍にはスロットルセンサ31が設けられている。スロットルセンサ31はスロットルバルブ19の開度、即ち、スロットル開度TAに応じた検出信号を出力する。
【0044】
また、このスロットルセンサ31はアイドルスイッチ31aを内蔵している。このアイドルスイッチ31aはスロットルバルブ19が全閉状態にあるときにアイドル信号IDSを「ON」として出力する。
【0045】
吸気管11においてエアクリーナ15の下流側にはエアフローメータ32が設けられている。このエアフローメータ32は吸入空気量GAに応じた検出信号を出力する。更に、吸気管11においてエアクリーナ15とエアフローメータ32との間には吸気温センサ33が設けられている。この吸気温センサ33は吸入空気の温度、即ち、吸気温THAに応じた検出信号を出力する。また、シリンダブロック2には水温センサ34が設けられており、同水温センサ34は、エンジン1の冷却水の温度、即ち、冷却水温THWに応じた検出信号を出力する。
【0046】
前記シリンダヘッド4にはディストリビュータ20が設けられており、同ディストリビュータ20はイグナイタ21から出力される高電圧をクランクシャフトの回転に同期して各点火プラグ8に分配する。ディストリビュータ20はクランクシャフトの回転に連動して回転するロータ(図示略)を内蔵している。そして、ディストリビュータ20には、そのロータの回転からエンジン1の回転速度NEを検出する回転速度センサ35と、同じくロータの回転に応じて基準のクランク角信号を出力する気筒判別センサ37が設けられている。また、ECU51はこの回転速度センサ35及び気筒判別センサ37からの検出信号に基づいてクランクシャフトの回転角、即ちクランク角度を算出する。
【0047】
更に、排気管12には酸素センサ(リーンセンサ)38が設けられている。この酸素センサ38は排気管12内の排気の酸素濃度OXに応じた信号を出力する。
【0048】
また、吸気管11には、スロットルバルブ19を迂回してその上流側と下流側とを互いに連通させるバイパス通路18が設けられている。このバイパス通路18の途中には同通路18を流れる空気量を調節するアイドルスピードコントロールバルブ(以下、「ISCV」と略記する)18aが設けられている。
【0049】
ECU51は、スロットルバルブ19が全閉状態となりエンジン1がアイドリング運転状態になったときに、ISCV18aの開度を制御することにより、燃焼室7に導入される吸入空気量GAを調節する。
【0050】
また、エンジン1には、始動時にクランキング動作によってエンジン1に回転力を付与するためのスタータ26が設けられている。また、このスタータ26には、その作動・非作動を検知するスタータスイッチ36が設けられている。スタータスイッチ36は、イグニッションスイッチ(図示略)の操作によってON・OFFされるものである。イグニッションスイッチが操作されてスタータ26が作動している場合、スタータスイッチ36からはスタータ信号STAが「ON」として出力される。
【0051】
次に、ECU51の電気的構成について図2のブロック図を参照して説明する。ECU51は中央処理装置(CPU)52、所定の制御プログラム等を予め記憶した読み出し専用メモリ(ROM)53、CPU52の演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)54、記憶されたデータを保存するバックアップRAM55、タイマカウンタ56と、これら各部52〜56と外部入力回路57及び外部出力回路58とをバス59によって接続してなる理論演算回路として構成されている。また、前記ROM53には、後述する「燃料噴射時期変更ルーチン」等の制御プログラム、或いは所定の関数データ等が予め記憶されている。タイマカウンタ56は、所定時間毎の割り込み信号を出力すると共に、同時に複数のカウント動作を実行する。
【0052】
外部入力回路57には、スロットルセンサ31、アイドルスイッチ31a、エアフローメータ32、吸気温センサ33、水温センサ34、回転速度センサ35、スタータスイッチ36、気筒判別センサ37、酸素センサ38がそれぞれ接続されている。また、外部出力回路58には、インジェクタ17、イグナイタ21及びISCV18aがそれぞれ接続されている。ECU51(CPU52)は、これら各種センサ31〜38からの検出信号に基づいてインジェクタ17、イグナイタ21及びISCV18aを駆動制御する。
【0053】
次に、本実施形態における燃料噴射時期制御の制御手順について説明する。図3は「燃料噴射時期変更ルーチン」の処理を説明するフローチャートである。ECU51は本ルーチンの処理を所定クランク角度毎に繰り返し実行する。
【0054】
尚、ECU51は本ルーチンとは別の制御ルーチンにおいてインジェクタ17の開弁時期INJTON及び閉弁時期INJTOFFをそれぞれ算出している。この際、開閉弁時期INJTON,INJTOFFは軽質燃料の使用を想定した運転状態に適合するように算出されており、インジェクタ17の燃料噴射形態は後述する非同期噴射に設定されている。本ルーチンはこのように設定された開閉弁時期INJTON,INJTOFFをエンジン1が特定の運転状態にあるときに変更するための処理である。尚、この開閉弁時期INJTON,INJTOFFを変更する際に燃料噴射時間(両時期INJTON,INJTOFFの差)は所定値に保持され燃料噴射量が変更されることはない。
【0055】
まず、ステップ101において、ECU51はスタータスイッチ36、回転速度センサ35、アイドルスイッチ31a、及び水温センサ34の出力信号に基づいてスタータ信号STA、回転速度NE、アイドル信号IDS、及び冷却水温THWをそれぞれ読み込む。
【0056】
ステップ102において、ECU51はエンジン1の始動完了後、所定時間が経過する前であるか否かを判定する。即ち、ECU51は、スタータ信号STAが「ON」から「OFF」に切り替わり、且つ、回転速度NEが所定値(例えば、「500rpm」)以上にまで上昇してからの経過時間が所定時間(例えば、「30秒」)を越えていないかを判定する。このステップ102において肯定判定された場合、ECU51は処理をステップ103に移行する。
【0057】
ステップ103において、ECU51はアイドル信号IDSが「ON」であるか否かを判定する。ここで否定判定された場合、ECU51はエンジン1がアイドリング運転状態にはないことから処理をステップ110に移行する。
【0058】
また、前述したステップ102において否定判定された場合、仮に重質燃料が使用されていても壁面燃料付着率の増大に起因した回転速度NEの低下は発生しないものとして、ECU51は処理をステップ110に移行する。
【0059】
ステップ110において、ECU51はインジェクタ17の燃料噴射形態を非同期噴射に設定する。ここで、非同期噴射とは、エンジン1の各気筒において吸気行程より前に、即ち、クランク角度が吸気工程上死点TDCに達する前に実行される燃料噴射を意味するものとする。インジェクタ17により非同期噴射が実行される場合、図4(a)に示すように、同インジェクタ17の開弁時期INJTON及び閉弁時期INJTOFF(INJTON及びINJTOFFはいずれもクランク角度)はいずれも燃料噴射が実行される気筒の排気工程中に設定されることになる。尚、図4は、一つの気筒におけるインジェクタ17の開閉弁状態をクランク角度に対応して示すタイミングチャートである。
【0060】
これに対して、同図(b)に示すように、燃料噴射が実行される気筒の吸気行程中に、即ち、クランク角度が吸気上死点TDCに達した後に実行される燃料噴射を同期噴射と定義する。また、同図(c)に示すように、燃料噴射が排気行程から吸気行程にかけて実行される燃料噴射も同様に同期噴射と定義する。インジェクタ17により同期噴射が実行される場合、同図(b)に示すように、前記開閉弁時期INJTON,INJTOFFはいずれも吸気工程中に設定されるか、或いは、同図(c)に示すように、開弁時期INJTONは排気工程中に、閉弁時期INJTOFFは吸気工程中にそれぞれ設定されることになる。
【0061】
再び、図3を参照して本ルーチンの処理について説明する。
前述したステップ103において肯定判定された場合、ECU51はスロットルバルブ19が全閉状態にありエンジン1がアイドリング運転状態にあるとして処理をステップ104に移行する。
【0062】
ステップ104において、ECU51は冷却水温THWに基づいてアイドリング運転時におけるエンジン1の目標回転速度TNEを算出する。前記ROM53にはこの目標回転速度TNEと冷却水温THWとの関係を定義する関数データが記憶されており、ECU51は目標回転速度TNEを算出する際にこの関数データを参照する。
【0063】
図5はこの関数データを示すグラフである。同図に示すように、目標回転速度TNEは冷却水温THWが低いほど大きく算出される。これは冷却水温THWが低いほどエンジン1の燃焼状態が不安定になる傾向があるため、回転速度NEを大きくすることにより、その安定化を図る必要があるからである。
【0064】
次に、ステップ105において、ECU51は次式(1)に基づき目標回転速度TNEに対する回転速度NEの低下量(以下、「回転速度低下量」という)△NEを算出する。
【0065】
△NE=TNE−NE ・・・(1)
ステップ106において、ECU51は回転速度低下量△NEが所定値Aより大きいか否かを判定する。既述したように、インジェクタ17から噴射された燃料の一部が吸気管11の内壁や吸気バルブ13の傘部に付着(以下、「壁面付着」という)すると、その付着分だけ燃焼室7に供給される燃料が減少することから回転速度NEが低下する。前記所定値Aは、このような壁面付着に起因した回転速度NEの低下が発生していることを判定するための値である。このステップ106において肯定判定された場合、上記のような壁面付着に起因した回転速度NEの低下が発生していることから、ECU51は処理をステップ109に移行する。
【0066】
そして、ステップ109において、ECU51はインジェクタ17の燃焼噴射形態を同期噴射に設定する。
一方、ステップ106において否定判定された場合、ECU51は処理をステップ107に移行する。ステップ107において、ECU51は回転速度低下量△NEが所定値Bより大きいか否かを判定する。ここで、所定値Bは回転速度NEが上昇して回転速度低下量△NEが十分に小さくなったことを判定するための値であり、ステップ106において用いられる所定値Aよりも小さく設定されている。このステップ107において否定判定された場合、回転速度低下量△NEが十分に小さくなったことから、ECU51は処理を前述したステップ110に移行して燃料噴射形態を非同期噴射に設定する。
【0067】
一方、ステップ107において肯定判定された場合、ECU51は処理をステップ108に移行する。ステップ108において、ECU51は現在の燃料噴射形態が非同期噴射に設定されているか否かを判定する。ここで否定判定された場合、即ち、現在の燃料噴射形態が同期噴射に設定されている場合、ECU51は処理を前述したステップ109に移行し、燃料噴射形態を変更することなく同期噴射のまま維持する。
【0068】
これに対して、ステップ108において肯定判定された場合、即ち、現在の燃料噴射形態が非同期噴射である場合、ECU51は処理を前述したステップ110に移行し、燃料噴射形態を変更することなく非同期噴射のまま維持する。
【0069】
そして、前述した各ステップ109,110の処理を実行した後、ECU51は本ルーチンの処理を一旦終了する。
次に、本実施形態における燃料噴射時期の制御態様について説明する。図6は、エンジン1始動時からの回転速度NEの変化とインジェクタの燃料噴射形態の変化を示すタイミングチャートである。エンジン1に使用される燃料が軽質燃料である場合や、或いは重質燃料であっても壁面燃料付着率が小さい場合には、同図に一点鎖線で示すように、タイミングt1においてスタータ26によるクランキング動作が開始されると、エンジン1の回転速度NEは急激に増加する。そして、タイミングt2においてエンジン1は完爆状態となり、その始動が完了する。タイミングt2以降、回転速度NEは若干変動するものの、目標回転速度TNEに速やかに収束する。
【0070】
この場合のように、前記回転速度低下量△NEが前述した所定値Aより大きくならない場合には、燃料噴射形態は常に非同期噴射に設定されており同期噴射が実行されることはない。
【0071】
これに対して、重質燃料が使用されることにより壁面燃料付着率が増大した場合には、回転速度NEは同図に実線で示すように一旦上昇した後、徐々に減少し始める。壁面燃料付着率の増大に伴って混合気が希薄となる結果、燃焼室7に供給される燃料が不足し始めるからである。
【0072】
そして、タイミングt3において、回転速度低下量△NEが前述した所定値Aよりも大きくなると、燃料噴射形態が同期噴射に変更される。その結果、回転速度NEは徐々に上昇し始める。これは同期噴射が実行されることにより、インジェクタ17から噴射された燃料は吸気管11の内壁面や吸気バルブ13の傘部に付着する以前に速やかに燃焼室7内に導入されるようになるからである。
【0073】
また、上記のように一旦、回転速度低下量△NEが所定値Aよりも大きくなった場合には、タイミングt4において再び回転速度低下量△NEが所定値A以下になっても同期噴射は引き続き実行される。そして、回転速度低下量△NEが更に減少し、タイミングt5において所定値B以下になると、燃料噴射形態が非同期噴射に変更される。
【0074】
更に、タイミングt5以降、非同期噴射が引き続き実行されるが、同タイミングt5以前と同様、回転速度NEは増加し続ける。これは始動開始後、燃焼室7に発生した熱によって吸気管11の壁面及び吸気バルブ13の傘部が温度上昇する結果、インジェクタ17から噴射された燃料の気化が促進され、壁面燃料付着率が減少するためである。そして、回転速度NEは更に増加して目標回転速度TNEに収束するようになる。
【0075】
以上説明したように本実施形態では、アイドリング運転状態において回転速度低下量△NEが所定値Aよりも大きくなった場合に、燃料噴射形態を同期噴射に強制的に変更するようにしている。従って、噴射された燃料は吸入空気の流動により燃焼室7に速やかに導入されるようになるため、壁面燃料付着率が減少する。
【0076】
従って、燃料噴射量の増量を行うことなく、その壁面燃料付着量の減少分だけ燃焼室7に供給される燃料を増大させることができる。その結果、本実施形態によれば、燃費の悪化を招くことなくアイドリング運転時における回転速度NEの低下を抑制することができる。
【0077】
更に、本実施形態のエンジン1では、アイドリング運転時にVVT25によって吸気バルブ13のバルブタイミングが遅角されることにより、バルブオーバラップ期間が最小値に設定される。従って、吹き返し現象による燃焼状態の不安定化を抑制することができる。この反面、吸気管11内に吹き返された燃焼ガスの熱により燃料の気化が促進して壁面燃料付着率の低減を図るといった作用が殆ど期待できない。アイドリング運転時にバルブオーバラップ期間が最小値に設定されるエンジンにあっては、重質燃料を使用した場合に壁面燃料付着率の増大に起因した回転速度NEの低下がより顕著になる傾向がある。従って、アイドリング運転時にバルブオーバラップ期間をあまり短くすることができない。
【0078】
しかしながら、本実施形態では、燃料噴射形態を非同期噴射から同期噴射に変更することにより、壁面燃料付着率を減少させて回転速度NEの低下を抑制することができるため、バルブオーバラップ期間はアイドリング運転に最適な期間に設定することができる。その結果、本実施形態によれば、吹き返し現象による燃焼状態の不安定化を防止しつつ、回転速度NEの低下を抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態では、回転速度低下量△NEが大きくなったときにはじめて燃料噴射形態を非同期噴射から同期噴射に変更するようにしている。ここで、回転速度低下量△NEの大きさに関わらず、アイドリング運転時には常に燃料噴射形態を同期噴射に設定しておくことが考えられる。このような構成においても、少なくとも壁面燃料付着率の増大は抑えられるため、回転速度NEの低下を抑制することが可能である。
【0080】
しかしながら、この構成では以下に説明する問題が生じるようになる。
図7は、一つの気筒におけるインジェクタ17の閉弁時期INJTOFFと排気中に含まれる未燃焼ガス(HC:炭化水素)との関係を示したグラフである。同図に示すように、排気中の未燃焼ガスは閉弁時期INJTOFFが大きく(遅く)なるほど増大することがわかる。
【0081】
即ち、燃料噴射形態が同期噴射に設定されている場合には、同形態が非同期噴射に設定されている場合よりも排気中の未燃焼ガスは相対的に増大する。これは燃料噴射時期が遅い時期に変更されると、燃料が噴射されてから燃焼室7に供給されるまでの時間が短くなり、燃料の気化が十分に進まないまま不均一な混合状態の混合気が燃焼室7に供給されるようになるからである。従って、上記のようにアイドリング運転時に燃料噴射形態を常に同期噴射に設定するようにした構成にあっては、排気中の未燃焼ガスの増大を招くという問題がある。
【0082】
この点、本実施形態によれば、回転速度低下量△NEが大きくなったときに非同期噴射であった燃料噴射形態を同期噴射に変更するようにしているため、上記のような排気中に含まれる未燃焼ガスの増大を極力抑制することができる。
【0083】
更に、本実施形態では、回転速度低下量△NEが所定値A以下である場合には燃料噴射形態の変更は行わず、同回転速度低下量△NEが所定値Aよりも大きくなったときにはじめて燃料噴射形態を変更するようにしている。即ち、壁面燃料付着率の増大に起因する回転速度NEの低下がより確実に判定されたときに、燃料噴射の変更が行われるようになる。その結果、不必要な燃料噴射形態の変更が行われなくなり、この点において排気に含まれる未燃焼ガスの増大を更に抑制することができる。
【0084】
加えて、本実施形態では、一旦、回転速度低下量△NEが所定値Aよりも大きくなった場合には、同回転速度低下量△NEが更に所定値B以下になるまで燃料噴射形態の変更は行われない。従って、回転速度低下量△NEが所定値A近傍で変動する現象、即ちハンチング現象の発生を未然に抑制することができる。
【0085】
次に、本発明に係るその他の実施形態について説明する。これら各実施形態はその制御手順、即ち、前述した「燃料噴射時期変更ルーチン」における処理内容が第1の実施形態と異なるだけで、エンジン1或いはECU51等の構成については第1の実施形態と同様である。従って、以下の説明において第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態における制御手順について図8のフローチャートを参照して説明する。また、図8に示す「燃料噴射時期変更ルーチン」において前述した図3に示す「燃料噴射時期変更ルーチン」と同様の処理が行われる各ステップについては同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
ステップ101及びステップ102において、始動完了後からの経過時間が所定時間を越えておらず、且つ、エンジン1がアイドリング運転状態であると判定された場合、ECU51はステップ104,105における処理を実行した後、処理をステップ120に移行する。
【0088】
ステップ120において、ECU51は回転速度低下量△NEに基づいてインジェクタ17の閉弁時期INJTOFFを算出する。前記ROM53には回転速度低下量△NEと閉弁時期INJTOFFとの関係を定義する関数データが記憶されており、ECU51はこの閉弁時期INJTOFFを算出する際にこの関数データを参照する。
【0089】
図9はこの関数データを示すグラフである。同図に示すように、閉弁時期INJTOFFは、回転速度低下量△NEが所定値△NE1以下である場合、前記吸気上死点TDCよりも小さいクランク角度に相当する所定値INJTOFF1として算出され、回転速度低下量△NEが所定値△NE2以上である場合、前記吸気上死点TDCよりも大きいクランク角度に相当する所定値INJTOFF2として算出される。そして、閉弁時期INJTOFFは、回転速度低下量△NEが前記所定値△NE1より大きく前記所定値△NE2よりも小さい領域にあるときは、同回転速度低下量△NEが大きくなるほど大きく算出される。これは回転速度低下量△NEが大きいほど、閉弁時期INJTOFFを大きく設定して、即ち、燃料噴射を遅い時期に行うようにして壁面燃料付着率を低減する必要があるからである。
【0090】
ステップ121において、ECU51は閉弁時期INJTOFFと別の制御ルーチンで算出される燃料噴射量とに基づいて開弁時期INJTONを算出する。ステップ121の処理を実行した場合、ステップ102又はステップ103において否定判定された場合、ECU51は本ルーチンの処理を一旦終了する。ECU51は別の制御ルーチンにおいて開弁時期INJTON及び閉弁時期INJTOFFに基づいてインジェクタ17を開閉制御する。
【0091】
以上説明したように本実施形態では、始動完了から所定時間が経過しておらず、且つ、エンジン1がアイドリング運転状態にある場合に、回転速度低下量△NEが大きくなるほど閉弁時期INJTOFFをより大きく(より遅い時期に)変更するようにしている。従って、その時々の回転速度低下量△NEの大きさ、換言すれば、壁面燃料付着率の大きさに最も適した時期をもって燃料噴射を行うことができる。その結果、前述したような未燃焼ガスの排出を効果的に抑えつつ、回転速度NEの低下を確実に抑制することができる。
【0092】
[第3の実施形態]
以下、第3の実施形態における制御手順について図10のフローチャートを参照して説明する。
【0093】
まず、ステップ301において、ECU51はスタータスイッチ36、回転速度センサ35、アイドルスイッチ31a、水温センサ34、及びエアフローメータ32の出力信号に基づいてスタータ信号STA、回転速度NE、アイドル信号IDS、冷却水温THW、及び吸入空気量GAをそれぞれ読み込むとともに、吸入空気積算値TGAをRAM54から読み出す。この吸入空気積算値TGAは、図示しない制御ルーチンにおいてECU51により算出されるともにRAM54に記憶される値であり、エンジン1の始動が開始されてからの吸入空気量GAの積算値である。
【0094】
次に、ステップ302において、ECU51はエンジン1の始動完了後、所定時間T1が経過したか否かを判定する。即ち、ECU51は、スタータ信号STAが「ON」から「OFF」に切り替わり、且つ、回転速度NEが所定値(例えば、「500rpm」)以上にまで上昇してから所定時間T1が経過したか否かを判定する。本実施形態において、この所定時間T1は「1秒」に設定されている。このステップ302において肯定判定された場合、ECU51は処理をステップ303に移行する。
【0095】
ステップ303において、ECU51はエンジン1の始動完了後、所定時間T2が経過する前であるか否かを判定する。ここで、このステップ303における所定時間T2はステップ302における所定時間T1よりも長く(T2>T1)、「30秒」に設定されている。ここで肯定判定された場合、ECU51は始動完了後からの経過時間が「1秒」から「30秒」の間にあることから処理をステップ304に移行する。
【0096】
ステップ304において、ECU51はアイドル信号IDSが「ON」であるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合、エンジン1がアイドリング運転状態にあるため、ECU51は処理をステップ305に移行する。
【0097】
一方、各ステップ302,303,304において否定判定された場合はいずれも、ECU51は本ルーチンの処理を一旦終了する。即ち、本ルーチンにおいてECU51は、「エンジン1の始動完了後、「1秒」以上経過している」、「エンジン1の始動完了後、「30秒」以上経過していない」、「エンジン1がアイドリング運転状態にある」、の各条件が全て満たされていないとステップ305移行の処理は実行しない。
【0098】
続くステップ305、ステップ306、及びステップ307において、ECU51は吸入空気量GA、冷却水温THW、吸入空気積算値TGAの各々に基づき壁面燃料付着率の大きさを反映するパラメータとして各噴射時期補正値KGA,KTHW,KTGAを算出する。そして、後述するように、ECU51はこれら各噴射時期補正値KGA,KTHW,KTGAに応じてインジェクタ17の閉弁時期INJTOFFをより遅れた時期に補正する。
【0099】
ステップ305において、ECU51は吸入空気量GAに基づいて噴射時期補正値KGAを算出する。前記ROM53にはこの噴射時期補正値KGAと吸入空気量GAとの関係を定義する関数データが記憶されており、ECU51は噴射時期補正値KGAを算出する際にこの関数データを参照する。
【0100】
図11はこの関数データを示すグラフである。同図に示すように、噴射時期補正値KGAは、吸入空気量GAが小さくなるほど大きく算出される。これは後述するように、吸入空気量GAが小さくなるほと壁面燃料付着率が大きくなると推定されるからである。
【0101】
ステップ306において、ECU51は冷却水温THWに基づいて噴射時期補正値KTHWを算出する。前記ROM53にはこの噴射時期補正値KTHWと冷却水温THWとの関係を定義する関数データが記憶されており、ECU51は噴射時期補正値KTHWを算出する際にこの関数データを参照する。
【0102】
図12はこの関数データを示すグラフである。同図に示すように、噴射時期補正値KTHWは、冷却水温THWが低くなるほど大きく算出される。これは後述するように、冷却水温THWが低くなるほど壁面燃料付着率が大きくなると推定されるからである。
【0103】
ステップ307において、ECU51は吸入空気積算値TGAに基づいて噴射時期補正値KTGAを算出する。前記ROM53にはこの噴射時期補正値KTGAと吸入空気積算値TGAとの関係を定義する関数データが記憶されており、ECU51は噴射時期補正値KTGAを算出する際にこの関数データを参照する。
【0104】
図13はこの関数データを示すグラフである。同図に示すように、噴射時期補正値KTGAは、吸入空気積算値TGAが大きくなるほど大きく算出される。これは後述するように吸入空気積算値TGAが大きくなるほど壁面燃料付着率が大きくなると推定されるからである。
【0105】
次に、各ステップ308,309において、ECU51は図3に示すステップ104,105の処理と同様、冷却水温THWに基づいて目標回転速度TNEを算出した後、回転速度低下量△NEを算出する。
【0106】
更に、ステップ310において、ECU51は図8に示すステップ120の処理と同様、図9に示す関数データを参照して回転速度低下量△NEに基づくインジェクタ17の閉弁時期INJTOFFを算出する。
【0107】
続くステップ311において、ECU51は閉弁時期INJTOFFに対して各噴射時期補正値KGA,KTHW,KTGAをそれぞれ加算し、その加算値(INJTOFF+KGA+KTHW+KTGA)を新たな閉弁時期INJTOFFとして設定する。
【0108】
次に、ステップ312において、ECU51は閉弁時期INJTOFFが吸気工程上死点TDCから90°CA(°CA:クランク角度)後の時期(90°ATDC)よりも更に遅れた時期に設定されているか否かを判定する。ここで肯定判定された場合、ECU51は処理をステップ313に移行する。
【0109】
ステップ313において、ECU51は閉弁時期INJTOFFを吸気工程上死点TDCから90°CA後の時期に設定した後、処理をステップ314に移行する。また、ステップ312において否定判定された場合も、ECU51は処理をステップ314に移行する。
【0110】
このようにステップ312,313の処理において、ECU51は閉弁時期INJTOFFが所定時期よりも遅い時期に変更されることを制限している。燃料噴射時期を過剰に遅らせると燃焼状態の悪化を招くおそれがあるからである。
【0111】
続くステップ314において、ECU51は閉弁時期INJTOFFと別の制御ルーチンで算出される燃料噴射量とに基づいて開弁時期INJTONを算出する。そして、ECU51はステップ314の処理を実行した後、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0112】
以上説明したように、本実施形態では、回転速度低下量△NEに応じて閉弁時期INJTOFFを遅らせるようにしているため、前述した第2の実施形態と同様、未燃焼ガスの排出を効果的に抑えつつ回転速度NEの低下を確実に抑制することができるという作用効果を奏することができることに加え、更に、以下のような作用効果を奏することができる。
【0113】
一般に、エンジン1の始動完了直後にあっては燃焼状態が不安定であるため回転速度NEが変動することがある。エンジン1の始動直後においては、始動前に内部が大気圧に保持されていたサージタンク16内の空気が燃焼室7内に過剰に導入される傾向があり、また、最適な燃料噴射量をもって燃料噴射を実行することが困難であるためである。但し、このような燃焼状態の不安定化に起因した回転速度NEの変動は、始動完了直後の極めて限られた期間(例えば1秒)中に発生する現象であって壁面燃料付着率の増大に起因する回転速度NEの低下のように長期間(例えば30秒)持続的に生じる現象ではない。
【0114】
この点、本実施形態では、始動完了時から「1秒」を経過するまでは燃料噴射時期の変更を行わないようにしているため、上記のような一時的な回転速度NEの低下が始動完了直後に発生した場合であっても燃料噴射形態は非同期噴射のまま維持される。その結果、本実施形態によれば、不必要な燃料噴射時期変更が実行されることによる未燃焼ガスの排出を抑制することができる。
【0115】
更に、上記のように始動完了直後において燃焼状態が不安定である場合に、燃料噴射時期(閉弁時期INJTOFF)を遅らせるようにすると燃焼状態が更に悪化するおそれがあるのに対し、本実施形態によれば始動完了直後における燃焼状態をより早期に安定化させることができる。
【0116】
ところで、仮に回転速度低下量△NEが同じであっても、回転速度NEを目標回転速度TNEにまで上昇させるために、どれだけ燃料噴射時期を遅らせる必要があるかは壁面燃料付着率の大きさによって異なる。
【0117】
この点、本実施形態では、吸入空気量GA、冷却水温THW、及び吸入空気積算値TGAに基づいて壁面燃料付着率を推定し、この推定された壁面燃料付着率に基づいて閉弁時期INJTOFFを補正するようにしている。従って、本実施形態によれば、壁面燃料付着率に基づいて燃料噴射時期をより適正な時期に変更することができるため、回転速度NEの低下を確実に抑制することができる。
【0118】
また、吸入空気量GA、冷却水温THW、及び吸入空気積算値TGAと壁面燃料付着率との間には以下のような関係がある。
[1]吸入空気量GAが大きくなるほど、噴射された燃料は吸入空気のより速い流動によって燃焼室7に流れ込み易くなり、また、壁面付着した燃料の気化も促進されるようになる。
【0119】
[2]冷却水温THWが高くなるほど、エンジン1の熱によって吸気管11内に噴射された燃料の気化が促進されるようになる。
[3]吸入空気積算値TGAが大きいほど、エンジン1の始動開始時から現在までに燃焼室7において発生する総熱量が大きくなる。燃焼室7において発生する燃焼熱は一般に吸入空気量GAが大きいほど大きくなるからである。更に、この総熱量が大きいほど吸気バルブ13における傘部の温度(傘部温度)は高温となる。傘部は燃焼室7に発生した熱が伝播されることにより温度上昇するからである。そして、この傘部温度が高くなるほど、傘部に付着した燃料の気化が促進される。
【0120】
本実施形態によれば、以上のような吸入空気量GA、冷却水温THW、及び吸入空気積算値TGAと、噴射された燃料の挙動との関係を把握することにより、壁面燃料付着率をこれら各パラメータGA,THW,TGAから簡便且つ適正に推定することができる。そして、この壁面燃料付着率を用いることにより燃料噴射時期をより適正な時期に変更することができる。
【0121】
更に、本実施形態では、吸入空気量GA、冷却水温THW、及び吸入空気積算値TGAのそれぞれに基づく各噴射時期補正値KGA,KTHW,KTGA全てを用いて閉弁時期INJTOFFを補正するようにしている。即ち、壁面燃料付着率を変化させる種々の要因(噴射燃料の移動速度、吸気管11内の温度、吸気バルブ13の傘部温度)を総合的に考慮して同壁面燃料付着率を推定し、その推定された壁面燃料付着率に基づいて閉弁時期INJTOFFを補正するようにしている。その結果、壁面燃料付着率の大きさに関してより適合した時期に燃料噴射時期を変更することができる。
【0122】
尚、以上説明した各実施形態は以下のように構成を変更して実施することもできる。
・上記第1の実施形態では回転速度低下量△NEが所定値Aより大きくなったときに燃料噴射形態の変更を行うようにした。これに対して、以下に説明するように、使用されている燃料の燃料性状を検出し、その検出結果に基づいて燃料噴射形態の変更を行うようにしてもよい。
【0123】
エンジン1の加速時にあっては、壁面燃料付着率の増大により空燃比が一時的にリーン側に変動する傾向がある。軽質燃料を使用している場合には、壁面燃料付着率が増大しても、それに応じて吸気管11の内壁面等から気化や流動によって燃焼室7に導入される燃料が増大する。従って、空燃比の変動量は少ない。これに対して、重質燃料を使用している場合には、その揮発性が低いことから、加速時において空燃比が大きくリーン側に変動するようになる。従って、加速時において空燃比がどれだけリーン側に変動するかを学習すれば、この学習値に基づいて燃料性状(燃料の重質度)を検出することができる。そして、エンジン1を始動完了後のアイドリング運転時には、この燃料の重質度の大きさに基づいて設定された燃料噴射時期で燃料噴射を実行する。このようにすれば、重質燃料の使用に起因した回転速度NEの低下を予め見越した燃料噴射時期制御を行うことができ、同回転速度NEの低下を未然に回避することができる。
【0124】
・上記各実施形態では、いずれも壁面燃料付着率を変化させる種々の要因を総合的に考慮して同壁面燃料付着率を推定し、その推定された壁面燃料付着率に基づいて閉弁時期INJTOFFを補正するようにした。これに対して、例えば、アイドリング運転状態における燃料噴射量の変動が大きくない場合には、この壁面燃料付着率に代えて壁面燃料付着量を推定し、この推定された壁面燃料付着量に基づいて閉弁時期INJTOFFを補正するようにしてもよい。
【0125】
・上記第1の実施形態では、回転速度低下量△NEが大きくなったときに燃料噴射形態を非同期噴射から同期噴射に変更するようにしたが、開弁時期INJTON及び閉弁時期INJTOFFがより遅い時期に変更されるのであれば変更後の燃料噴射形態は非同期噴射のままであってもよい。
【0126】
・上記第3の実施形態では、吸入空気量GAに基づいて噴射時期補正値KGAを算出するようにしたが、この吸入空気量GAに加えて吸気温センサ33により検出される吸気温に基づいてこの噴射時期補正値KGAを算出するようにしてもよい。或いは、ISCV18aの開度と回転速度NEに基づいて噴射時期補正値KGAを算出するようにしてもよい。
【0127】
・上記第3の実施形態では、吸入空気量GA、冷却水温THW、及び吸入空気積算値TGAのそれぞれに基づく各噴射時期補正値KGA,KTHW,KTGA全て用いて閉弁時期INJTOFFを補正するようにした。これに対して各噴射時期補正値KGA,KTHW,KTGAのうち1つ或いは2つを用いて閉弁時期INJTOFFを補正するようにしてもよい。
【0128】
・上記各実施形態では、VVT25を備えたエンジン1に対して本発明に係る燃料噴射時期制御装置を適用するようにしたが、同制御装置はVVTを有しないエンジンに対しても同様に適用することができる。また、上記各実施形態におけるVVT25は吸気バルブ13のバルブタイミングを連続的に変更するものであったが、例えば、同バルブタイミングを2段階に変更するものであってもよい。更に、VVTを排気カムシャフト23に設け、同VVTにより排気バルブ14のバルブタイミングを変更するようにしてもよい。
【0132】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明では、目標値に対する機関回転速度の低下量に基づき壁面燃料付着量の割合若しくは壁面燃料付着量を推定し、この推定された壁面燃料付着量の割合若しくは壁面燃料付着量が大きいほど燃料の噴射時期をより遅れた時期に変更するようにしている。従って、壁面燃料付着量の割合若しくは壁面燃料付着量の大きさに応じて燃料噴射時期がより適正な時期に変更される。その結果、本発明によれば、燃料噴射時期をより適正な時期に変更することができようになり、機関回転速度の低下を確実に抑制することができる。
さらに、機関始動開始時から所定時間が経過するまでは燃料の噴射時期の変更を禁止するようにしている。従って、始動完了直後において機関燃焼状態の不安定化に起因した機関回転速度の低下が発生した場合でも、燃料噴射時期の変更は行われない。その結果、本発明によれば、不必要な燃料噴射時期変更が実行されることによる未燃焼ガスの排出を抑制することができる。
請求項2に記載した発明では、燃料の噴射時期を内燃機関の吸気工程中に変更するようにしている。従って、燃料噴射量に対する壁面燃料付着量の割合若しくは壁面燃料付着量が更に減少しその減少分だけ燃焼室に供給される燃料が増加する。その結果、本発明によれば、請求項1に記載した発明の効果に加えて、アイドリング運転時における機関回転速度の低下をより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の燃料噴射時期制御装置を示す概略構成図。
【図2】ECU等の電気的構成を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態における制御手順を示すフローチャート。
【図4】燃料噴射形態を説明するためのタイミングチャート。
【図5】冷却水温と目標回転速度との関係を示すグラフ。
【図6】回転速度の変化を示すタイムチャート。
【図7】インジェクタの閉弁時期と未燃焼ガス量との関係を示すグラフ。
【図8】第2の実施形態における制御手順を示すフローチャート。
【図9】回転速度低下量とインジェクタの閉弁時期との関係を示すグラフ。
【図10】第3の実施形態における制御手順を示すフローチャート。
【図11】吸入空気量と噴射時期補正値との関係を示すグラフ。
【図12】冷却水温と噴射時期補正値との関係を示すグラフ。
【図13】吸入空気積算値と噴射時期補正値との関係を示すグラフ。
【図14】機関温度と壁面燃料付着率との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…エンジン、7…燃焼室、11…吸気管、25…VVT、31a…アイドルスイッチ、32…エアフローメータ、34…水温センサ、35…回転速度センサ、38…酸素センサ、51…ECU。
Claims (2)
- 内燃機関がアイドリング運転状態にあるときに前記内燃機関の燃焼室に通じる吸気通路内に噴射供給される燃料の噴射時期を前記内燃機関の吸気行程以前に設定するようにした内燃機関の燃料噴射時期制御装置において、
前記内燃機関の機関回転速度を検出する回転速度検出手段と、
前記内燃機関がアイドリング運転状態にあるときの前記機関回転速度に関する目標値を設定する設定手段と、
前記吸気通路内に噴射された燃料噴射量に対する壁面燃料付着量の割合若しくは壁面燃料付着量を、前記設定される目標値に対する前記検出される機関回転速度の低下量に基づき推定する推定手段と、
前記内燃機関がアイドリング運転状態にあることを判定する判定手段と、
前記内燃機関がアイドリング運転状態にあると判定され且つ前記推定される壁面燃料付着量の割合若しくは壁面燃料付着量が大きいほど前記噴射時期をより遅れた時期に変更する噴射時期変更手段と、
機関始動開始時から所定時間が経過するまでは前記噴射時期変更手段による前記噴射時期の変更を禁止する禁止手段と
を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射時期制御装置。 - 請求項1に記載した内燃機関の燃料噴射時期制御装置において、
前記噴射時期変更手段は、前記噴射時期を前記内燃機関の吸気行程中に変更することを特徴とする内燃機関の燃料噴射時期制御装置。
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