JP5053909B2 - 硫酸塩溶液の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、硫酸塩溶液の処理方法に関するものであり、より詳細には、硫酸塩溶液中に含まれる2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化せしめ、3価鉄イオンの化合物として沈澱することにより除去する硫酸塩溶液の処理方法に関する。
資源として有用な鉱物の集合体である鉱石には、一般的に鉄化合物が含まれており、鉱石の種類によっては、鉄化合物を除くために酸処理されることが多い。例えば、粘土鉱物の一種であるモンモリロナイトまたはバイデライトを主成分とする鉱石の一種である酸性白土やベントナイトといった粘土では、これを酸処理することにより、該粘土に含まれる鉄化合物を除くと共に、多孔質化を図ることにより活性を高め、活性白土として種々の用途に使用されている。
しかるに、上記のような鉄化合物を含む鉱石などを酸処理した場合、酸処理廃液中には、鉄イオンのみならず、Al3+イオン、Mg2+イオン、Ca2+イオンなど、種々の金属イオンが溶存しており、これらの中から利用価値の高い金属イオンを回収して再利用することが工業的に行われている。このような金属イオンの回収に際しては、通常、鉄イオンを分離して除去することが行なわれている(例えば特許文献1参照)。鉄が含まれていると、着色などの問題を生じ、回収した金属化合物の商品価値が損なわれてしまう場合が多いからである。
ところで、鉄イオンには、2価のイオン(Fe2+)と3価のイオン(Fe3+)とがあり、上記のような酸処理廃液中には、2価の状態で多く存在しており、この2価鉄イオン(第1鉄イオン)は、酸性領域において非常に沈澱しにくい。この性質を生かして、還元剤で3価鉄イオンを全て2価鉄イオンにそろえてからアルミナ水和物と石膏を分離回収する方法が行われてきた(特許文献1)。しかし、排煙脱硫法により石膏が多量に副生するようになり、この方法はその経済的優位性を失っている。
一方、2価鉄イオンを3価鉄イオン(第2鉄イオン)に酸化した後に、沈澱として除去する方法がある。酸処理廃液中に含まれる2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化するための手段としては、次亜塩素酸ソーダなどの酸化剤を用いることが考えられるが、このような酸化剤を用いる処理はコストが高くつくという問題がある。また、塩素イオンの如き、分離困難なイオン種が増大してしまい、廃液処理に要する負荷が増大してしまうという問題もある。また、酸性廃液を空気の吹き込みによって酸化させる方法は、極めて処理速度が遅く現実的ではない。
金属含有廃液中に存在する2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化するための手段として、鉄酸化細菌と称される微生物を用いる処理が知られている(特許文献2,3)。このような鉄酸化細菌は安価であり、また、イオン種の増大という問題も生じさせず、鉄酸化細菌を用いる処理は工業的に極めて有用である。
特公昭58−15444号公報 特開平8−164399号公報 特開昭60−84196号公報
しかしながら、上記のような鉄酸化細菌を用いる処理は、鉱山廃水、製鉄所排水、メッキ工場排水のように2価鉄イオン以外の金属イオン種の含有量が少量に留まっている場合では、効率よく2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化できるのであるが、例えば化学工場から実際に排出された粘土の硫酸処理廃液に適用した場合には、他の金属イオン種の数と含量が多く、酸化を効果的に行うことが困難であり、実用性が課題となっている。
従って、本発明の目的は、鉄酸化細菌を用いる2価鉄イオンから3価鉄イオンへの酸化が効果的に行われ、硫酸塩溶液に含まれる2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化し、3価鉄化合物の沈澱として有効に除去することが可能な硫酸塩溶液の処理方法を提供することにある。
本発明者等は、鉄酸化細菌を用いる2価鉄イオンからの3価鉄イオンへの酸化について多くの実験を行い検討した結果、この酸化機能は、一般に2価鉄イオン以外のイオン種の存在により損なわれるが、意外なことに、一定量のAl3+イオンが存在する系では、この酸化機能が保持されるという新規知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、硫酸塩溶液に含まれる2価鉄イオン(Fe 2+ を3価鉄イオン(Fe 3+ に酸化し、3価鉄化合物の沈澱として除去する硫酸塩溶液の処理方法において、
2価鉄イオン(Fe 2+ )とAlイオン(Al 3+ )とが、下記条件;
Fe 2+ が0.60当量/L以下;
Al 3+ が0.06〜0.65当量/L;
Al 3+ /Fe 2+ 当量比が0.15以上;
を満足する量での存在下で、鉄酸化細菌を用い且つ1.0乃至3.5のpH領域で2価鉄イオン(Fe 2+ )の酸化処理を行い、Alの沈澱を生じさせることなく、3価鉄イオン(Fe 3+ )を生成させて選択的に沈澱させることを特徴とする硫酸塩溶液の処理方法が提供される。
本発明においては、
(1)鉄酸化細菌を用いる2価鉄イオンの酸化処理に際して、Fe2+イオンとAl3+イオンの当量の合計が0.75当量/L未満となる量で存在していること、
(2)鉄酸化細菌を用いる2価鉄イオンの酸化処理に際して、溶液中のMg2+イオンの量が0.40当量/L以下の範囲に抑制されていること、
(3)鉄酸化細菌を用いる2価鉄イオンの酸化処理に際して、溶液中のNaイオンの量が0.40当量/L以下の範囲に抑制されていること、
(4)2価鉄イオンを含む硫酸溶液として、モンモリロナイトまたはバイデライトを主成分とする粘土を酸処理する際に発生した硫酸廃液を使用すること、
が好適である。
即ち、本発明においては、鉄酸化細菌を用いる2価鉄イオンの酸化が、所定量のFe2+イオンとAl3+イオンの存在下で、かつFe2+イオン当りAl3+イオンの当量比が特定の比でおこなうことが重要な特徴であり、このような条件で鉄酸化細菌による酸化機能が保持され、硫酸塩溶液中に含まれている2価鉄イオンが有効に3価鉄イオンに酸化され、Al3+等の他のイオン種の沈澱を生じさせることなく、3価鉄イオンを選択的に沈澱せしめ、これを有効に分離することが可能となるのである。
例えば、後述する実験1は、硫酸第一鉄の水溶液をモデル廃液とし、硫酸アルミニウムを加えてAl3+イオン濃度を種々の値に調整し、これらに一定量の鉄酸化細菌を加えて、振とうしながら一定時間保持し、一定時間毎に酸化率(全鉄イオンに対する3価鉄イオンの割合)を測定したものである。この実験結果から理解されるように、2価鉄イオンが0.60当量/L以下の量で、Al3+イオンが0.060〜0.65当量/Lの量の存在下で、かつFe2+イオン当りAl3+イオンの当量比が0.15以上(Al3+/Fe2+)となる量にある事が重要である。更にFe2+イオンとAl3+イオンの当量の合計が0.75当量/L未満にあることが好ましい。このようなときには、Al3+イオン濃度がゼロの場合に比して鉄酸化細菌の酸化機能が同等もしくは向上し、短時間で多量の3価鉄イオンが生成するのである。
一方、実験2は、硫酸アルミニウムの代わりに硫酸マグネシウムを用いて同様の実験を行ったものである。この実験から理解されるように、Mg2+イオンの存在は、鉄酸化細菌の酸化機能を低減し、特にMg2+イオン量が0.40当量/Lを超えるときには、酸化機能が著しく低下してしまい、極めて微量の3価鉄イオンしか生成しないことが判る。
また、実験2では、硫酸アルミニウムの代わりに硫酸ナトリウムを用いて同様の実験を行った。この実験から理解されるように、Naイオンの存在は、Mg2+イオンと同様に鉄酸化細菌の酸化機能を低減し、特にNaイオン量が0.40当量/Lを超えるときには、酸化機能が著しく低下することが判る。
上記の実験結果から理解されるように、一定量のAl3+イオンの存在は鉄酸化細菌の酸化機能を向上せしめるが、他の金属イオンの存在は、鉄酸化細菌の酸化機能を低下せしめ、その量が多くなると、酸化機能が著しく低下してしまうこととなるのである。
従来行われてきた鉄酸化細菌の酸化機能に関する検討は、2価鉄イオンの濃度に比べて他の金属イオン種が低い濃度で検討されていたため、他の金属イオン種による酸化抑制がほとんど影響しておらず、また、Al3+イオンによる酸化向上効果もほとんど発揮していなかったのである。しかるに、本発明では、従来に比して、多量のAl3+イオンが存在する系で鉄酸化細菌による酸化が行なわれるため、その酸化機能が著しく向上し、さらに好適には、Mg2+イオン、Naイオン等の他の金属イオン種の量を制限した系で鉄酸化細菌を機能させるため、2価鉄イオンから3価鉄イオンへの酸化が向上し、かくして他の金属種を多く含む硫酸塩溶液でも、有効に2価鉄イオンを3価鉄イオンとして有効に除去することが可能となるのである。
<鉄酸化細菌>
本発明において用いる鉄酸化細菌としては、化学合成絶対独立栄養細菌として知られているThiobachillus Ferrooxidans等が使用される。このような菌は酸性域で活性であり、例えばpHが1.0乃至3.5の範囲で最も活性を示し、2価鉄イオンから電子を抜き取って3価鉄イオンに酸化させるものである。
<硫酸塩溶液>
上記鉄酸化細菌を用いる酸化処理に供する硫酸塩溶液は、2価鉄イオンを含有するものであり、例えば鉄酸化物を含む粘土を硫酸で処理したときの硫酸廃液である。本発明において、このような硫酸廃液としては、酸性白土やベントナイトを硫酸で処理して活性白土を製造する際に生成する硫酸廃液が最も好適に使用される。このような硫酸廃液中には、硫酸処理に供される粘土等の鉱石に含まれる金属酸化物中の鉄、アルミニウム、マグネシウムなどの金属分が硫酸塩として溶出しており、この溶液の中には2価鉄イオンが全鉄の5割以上含まれている。即ち、このような硫酸廃液からは、種々の有用金属成分を回収するために、鉄分を沈澱物として除去する必要がある。鉄分を含有している金属成分は褐色に着色し、有用金属成分の商品価値や性能を低下させるおそれがあることは既に述べたとおりである。しかるに、鉄分の内、2価鉄イオンは、酸性溶液中に溶存し、沈澱物として分離し難くい。このために3価鉄イオンに酸化しなければならず、この酸化のために、前述した鉄酸化細菌を使用するわけである。
尚、本発明において、鉄酸化物を含む粘土の酸処理は、硫酸を用いて行なうことが必要である。例えば塩酸を用いて処理された塩酸廃液中では、鉄酸化細菌が失活してしまうため本発明を適用することが出来ない。
上述した硫酸塩溶液は、その組成によっては、例えばろ過等によって固形分を除去した後、そのまま本発明の処理に適用することもできるが、一般には、以下に述べる希釈、pH調整及びAl3+イオン濃度の調整を行なった後に、鉄酸化細菌による処理に供される。
<希釈>
本発明において、硫酸塩溶液中の2価鉄イオン濃度を0.60当量/L以下、好ましくは0.001乃至0.40当量/L以下にし、かつAl 3+ イオン濃度は0.060〜0.65当量/Lの範囲に調整される。更に塩類濃度が高いと鉄酸化細菌の酸化能力が失活するか死滅してしまうので、Fe2+イオンとAl3+イオンの当量の合計が0.75当量/L未満、特に0.70当量/L以下に調整するのが好ましい。また、多量に2価鉄イオンを含む場合には、多量の鉄酸化細菌が必要となり、コストの上昇をもたらすなどの不都合を生じてしまう。従って、多量の2価鉄イオンを含む場合には、水等を用いることにより、上記範囲内に硫酸塩溶液を希釈するのがよい。
また、硫酸塩溶液中には、2価鉄イオン以外にも多種の金属イオンを含む場合があるが、このような金属イオンの中では、特にMg2+イオン濃度については0.40当量/L以下、特に0.10当量/L以下、Naイオン濃度については0.40当量/L以下、特に0.25当量/L以下となるように上記の希釈を行なうのがよい。前記範囲よりも濃度が高い場合は、後述する実験に示されているように、Mg2+イオン或いはNaイオンの存在は、鉄酸化細菌の酸化機能が損なわれてしまう。
<pH調整>
本発明において、用いる硫酸塩溶液は、一般にかなり酸性が強く、例えば、酸性白土を酸処理して活性白土を製造する際に生成する硫酸廃液のpH(25℃)は0以下である。従って、このような場合には、菌の活性を低下させないようにして、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属や、カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩及びアルミニウムの水酸化物などを添加して、pHを1.0乃至3.5の領域に調整することが必要である。このようなpH領域で、前述した鉄酸化細菌の活性が安定に保持されるからである。勿論、硫酸塩溶液の酸性が弱く、そのpHが上記領域よりも高い場合には、硫酸の添加により、pHを上記範囲に調整すればよい。
<Al3+イオン濃度の調整>
また、本発明においては、前述した鉄酸化細菌による酸化に際しては、処理に供する硫酸塩溶液中のAl3+イオン濃度を0.65当量/L以下、特に0.01乃至0.62当量/Lで、かつ2価鉄イオン当りの当量比(Al3+/Fe2+)が0.15以上、特に0.17乃至15となる量の範囲に調整することが必要である。即ち、後述する実験例から明らかなように、このような濃度でのAl3+イオンの存在下で鉄酸化細菌による酸化を行うことにより、鉄酸化細菌の酸化機能が維持され、効率よく、硫酸塩溶液中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化することが可能となる。Al3+イオン濃度が上記範囲外のときは、鉄酸化細菌の酸化機能が低く、2価鉄イオンから3価鉄イオンへの酸化には長時間を要し、場合によっては、酸化がほとんど進行しなくなってしまう。
本発明において、上記のようなAl3+イオン濃度の調整は、酸性領域で可溶性のアルミニウム塩を添加することにより行われる。このようなアルミニウム塩としては、一般に、硫酸アルミニウムが使用される。例えば塩化アルミニウムの添加によってもAl3+イオン濃度の調整を行うことは可能であるが、この場合には、鉄酸化細菌の失活の要因となる塩素イオンが加えられることとなるため、好ましくないからである。
尚、モンモリロナイトまたはバイデライトを主成分とする粘土を硫酸で酸処理し活性白土を製造する際に排出される硫酸廃液では、これらの粘土に由来するかなり多量のAl3+イオンが存在している。従って、このような硫酸廃液を硫酸塩溶液として使用する場合には、単なる希釈のみによってAl3+イオン濃度を上記範囲に調整することができ、さらには、原液のままの状態でAl3+イオン濃度が上記範囲内にあることもある。従って、このような場合には、Al3+イオン濃度の調整が容易であり、場合によってはAl3+イオン濃度の調整を省略することもできる。これは、本発明において、鉱石を硫酸で処理したときの硫酸廃液、特に活性白土製造工程で排出される硫酸廃液を硫酸塩溶液として使用したときの大きな利点である。
<鉄酸化細菌による酸化>
本発明においては、上記のように2価鉄イオン濃度が適度な範囲に希釈され、pH調整がなされ、さらにAl3+イオン濃度が所定の範囲に調整された硫酸塩溶液に、鉄酸化細菌を添加し、2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化する。この酸化反応は、例えば下記式で表される。
4Fe2++O+4H → 4Fe3++2H
かかる酸化反応において、添加する鉄酸化細菌の量は、一般に、MLSS(Mixed Liquor Suspended Solids)が5×10mg/L程度となる量でよい。必要以上に多量に添加しても、酸化がそれ以上促進するわけではなく、経済的に不利となり、また、この量があまり少量であると、2価鉄イオンの3価鉄イオンへの酸化が不十分となり、系内に2価鉄イオンの残存するおそれがある。尚、上記のような酸化の進行は、ORP(酸化還元電位)の増大によって確認することができる。本発明においては、4日後のORPが0.28以上、特に0.29以上になっている。
また、本発明において、鉄酸化細菌による酸化反応は、鉄酸化細菌を添加後、液を、振とう等によって攪拌下に保持しておくことにより行なわれる。その際鉄酸化細菌が死滅しないような温度条件であればよく、一般には、50℃以下、特に室温に保持しておけばよい。一般に7日〜10日程度、攪拌下に保持しておくことにより、2価鉄イオンが3価鉄イオンに酸化される。このような保持に際しては、酸化の促進或いは鉄酸化細菌の増殖等のために、必要により、空気の吹き込み等を行うことも可能である。
<沈澱>
本発明においては、上記のような酸化の進行に伴って3価鉄イオンの量が増大していくが、この3価鉄イオンは、硫酸鉄(III)の水和物の形で沈澱する。この反応は、例えば下記式で表される。
3Fe3++2HSO+7H
→ HOFe(SO(OH)↓+9H
従って、前述した酸化反応後、ろ過により上記の沈殿物を除去することにより、硫酸塩溶液から鉄分を除去することができる。この場合、硫酸鉄水和物の沈澱には鉄酸化細菌が付着しているため、かかる沈澱物を処理すべき硫酸塩溶液に投入することにより、鉄酸化細菌の再利用を図ることができる。尚、このような鉄の沈澱物の形成に際しては、pHが前述した領域(1.0乃至3.5)に設定されているため、他の金属イオン(例えばAl3+イオン等)の沈澱は形成されず、従って、鉄分を選択的に除去することができる。
<後処理>
本発明においては、上記のようにして鉄分を除去した後は、例えば、ナトリウム、カリウム等の1族元素やマグネシウム、カルシウム等の2族元素の水酸化物、炭酸塩などを添加し、pHを4.0以上に調整することにより、Al3+イオン等の硫酸塩溶液に含まれる他の金属イオンの沈澱を形成することができる。形成される沈澱には鉄分はほとんど含まれていないため、固液分離して、該沈澱を回収し、この沈澱に含まれる金属成分の再利用を図ることができる。また、固液分離後の液は、pHを5.8以上の中性付近に調整した後、排出することができる。
このように、本発明では、鉄酸化細菌の酸化機能を最大限に活かして2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化し、3価鉄の硫酸塩として効果的に除去できるため、2価鉄イオンを含む硫酸廃液の処理に有効に適用できる。また、鉄分を効果的に除去でき、鉄分を含まない他の金属分の沈澱を回収することができるため、硫酸廃液中に含まれる鉄分以外の金属分の再利用に好適である。特に鉄分を含まない形でAl3+イオンの沈殿物を回収することができ、また所定量のAl3+イオンを存在させて鉄酸化細菌の酸化作用を向上させるため、粘土を硫酸処理したときに排出される硫酸廃液のように、Al3+イオンを含む硫酸廃液の処理に好適であり、特にAl3+イオンを高濃度で含む活性白土製造時に排出される硫酸廃液の処理に最も好適に適用される。
本発明を次の実験で説明する。
尚、以下の実験において、金属イオンの同定、定量等は以下の方法により行った。
(1)陽イオンの定量
JIS K−0102に従い、塩酸による前処理を行ってから、 Na、K、Mg、Al、Ca、Feについてそれぞれ定量した。
(2)ハンター白色度測定
JIS L−1015 7.17C法に準じて、日本電色(株)製測色色差計ZE−2000型を用いて測定した。
(3)2価鉄イオン酸化率の測定
2価鉄イオン酸化率は過マンガン酸カリウム溶液を用いた酸化還元滴定により算出した。酸化還元滴定は、酸化剤または還元剤の標準溶液を用いて、試料を完全に酸化または還元するのに要する量を測定し、その物質を定量する方法である。硫酸鉄(II)の硫酸酸性溶液に過マンガン酸カリウム溶液を加えると、次のイオン反応が起こる。
5Fe2++MnO4−+8H → 5Fe3++Mn2++4H
ビーカーに過マンガン酸カリウムを31.6g加え、1000mLの蒸留水に溶解させることで0.02mol/Lの過マンガン酸カリウム溶液を調整した。反応の終点はMnO4−が過剰になることで赤色に変化するところを反応の終点とし、鉄酸化細菌添加前後の過マンガン酸カリウム溶液の滴定量(ViとVt)を比較することでFe2+酸化率を算出した。
Fe2+酸化率(%)=[Vi−Vt]/Vi×100
(4)ORPの測定
モデル廃液の酸化還元電位はORP電極(株式会社堀場製作所製 型式9300)、ORP標準液用粉末(株式会社堀場製作所製 160-51 ORP値95mV 測定条件:対Ag/AgCl電極)を用い測定した。
(5)鉄酸化細菌の濃度測定
鉄酸化細菌の定量はトーマの血球計算盤を用いて計算した。まず、血球盤をエタノールで湿らせた脱脂綿で拭き滅菌した。それから血球盤の上に鉄酸化細菌培養液を1滴載せてカバーガラスをかけ、電子顕微鏡により菌数をカウントした。菌体濃度の計算方法はトーマの血球計算盤の300マスの菌数をカウントし、1コマ当たりの菌数×2×10を乗じたものを菌体濃度とした。
菌体濃度[cell/mL]=1コマあたりの菌数×2×10
(6)鉄酸化細菌の培養
300mLの三角フラスコに硫酸アンモニウム0.3g、塩化カリウム0.01g、リン酸水素二カリウム0.05g、硫酸マグネシウム0.05g、硝酸カルシウム四水和物0.014gを加え、これを90mLの蒸留水に溶解させ、30%硫酸でpHを2.5に調整した。この溶液に40wt%に調整した硫酸鉄(II)七水和物を10mL加えることで9K培地とする。9K培地に旧松尾鉱山新中和処理施設提供の鉄酸化細菌2mLを加え、この溶液をトーマス科学器械株式会社製振とう機で25℃、70回/分の速度で振とう培養した。
(実験1)
硫酸第一鉄の水溶液をモデル廃液として、200mLのエルレンマイヤーフラスコに入れ、このモデル廃液に硫酸アルミニウムを加え、Alイオン濃度を種々の値に調整し、さらに1mol/LのNaOH水溶液でpHを2.5に調整した。これらに一定量の鉄酸化細菌を加えて、ゴム栓(シリコセン)をした。振とう機で70回/分振とうしながら一定時間保持し、所定時間毎にサンプリングして酸化率とORPを測定した。結果を表1に示す。また、実験例1−3において、7日間培養後の液をpH4.0にして鉄化合物を沈殿除去してから、pH5.8に調整して沈殿した生成物の白色度は、75.6%であった。
Figure 0005053909
(実験2)
実験1において硫酸アルミニウムの代わりに、硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムを用いて、それぞれ同様の実験を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005053909
(実験3)
実験1のモデル廃液の代わりに、硫酸第一鉄と硫酸アルミニウムで調製した水溶液をモデル廃液とし、このモデル廃液に硫酸マグネシウムを加え、Mgイオン濃度を種々の値に調整して実験1と同様の実験を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005053909
(実験4)
実験1のモデル廃液の代わりに、酸性白土を硫酸で処理した廃液を水で希釈した液を用いて同様の実験を行った。結果を表4に示す。
Figure 0005053909

Claims (5)

  1. 硫酸塩溶液に含まれる2価鉄イオン(Fe 2+ を3価鉄イオン(Fe 3+ に酸化し、3価鉄化合物の沈澱として除去する硫酸塩溶液の処理方法において、
    2価鉄イオン(Fe 2+ )とAlイオン(Al 3+ )とが、下記条件;
    Fe 2+ が0.60当量/L以下;
    Al 3+ が0.060〜0.65当量/L;
    Al 3+ /Fe 2+ 当量比が0.15以上;
    を満足する量での存在下で、鉄酸化細菌を用い且つ1.0乃至3.5のpH領域で2価鉄イオン(Fe 2+ )の酸化処理を行い、Alの沈澱を生じさせることなく、3価鉄イオン(Fe 3+ )を生成させて選択的に沈澱させることを特徴とする硫酸塩溶液の処理方法。
  2. 鉄酸化細菌を用いる2価鉄イオンの酸化処理に際して、Fe2+イオンとAl3+イオンの当量の合計が0.75当量/L未満となる量で存在している請求項1に記載の硫酸塩溶液の処理方法。
  3. 鉄酸化細菌を用いる2価鉄イオンの酸化処理に際して、溶液中のMg2+イオンの量が0.40当量/L以下の範囲に抑制されている請求項1又は2に記載の硫酸塩溶液の処理方法。
  4. 鉄酸化細菌を用いる2価鉄イオンの酸化処理に際して、溶液中のNaイオンの量が0.40当量/L以下の範囲に抑制されている請求項1乃至3の何れかに記載の硫酸塩溶液の処理方法。
  5. 2価鉄イオンを含む硫酸溶液として、モンモリロナイトまたはバイデライトを主成分とする粘土を酸処理する際に発生した硫酸廃液を使用する請求項1乃至4の何れかに記載の硫酸塩溶液の処理方法。
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