JP5050733B2 - ロック装置 - Google Patents
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Description
このような異音を防止する技術として、例えば特許文献1に開示されたドアロック装置がある。このドアロック装置は、ドア側に設けられたラッチ機構と、車体側に設けられたストライカーとを備えている。ラッチ機構には、ストライカーを受け入れて互いに係合するラッチが設けられている。このラッチの表面には樹脂コーティングが施され、ストライカーが当たる箇所の樹脂コーティングには弾性による反力を発揮する形状の当接部が形成されている。これにより、ラッチとストライカーとの接触による異音が低減される。
本発明は、この課題を解決しようとするもので、その目的は、フックの回転時の摺動抵抗を増やさずに、フックとその回転軸との間で異音が発生するのを防止することである。
第1の発明は、互いに係止される二部材の一方に設けられたロック機構と、二部材の他方に設けられたストライカーとからなるロック装置である。ロック機構は、ロックベースとフックとポールとからなる。ロックベースは、ストライカーを受け入れ可能な凹部を有する。フックは、ロックベースに設けられた回転軸に対して回転可能に軸支され、その回転によりロックベースの凹部との間でストライカーを挟持したロック状態、あるいはストライカーから離れたアンロック状態を形成する。ポールは、ロックベースに回転可能に軸支され、フックの係合面に対して係合する位置に回転することにより、フックをロック状態に保持する。フックには、樹脂コーティングが施されている。フックは、その樹脂コーティングを介して回転軸と接触している。樹脂コーティングは、回転軸に対して周方向の一部で接触している。樹脂コーティングは、その回転軸と接触する接触部が、回転軸の中心軸に向けて突出する形状として、互いに周方向に間隔を空けて複数形成されている。
この構成においては、フックが樹脂コーティングを介して周方向の一部で回転軸と接触する構成により、フックの回転時の摺動抵抗を増やさずに、フックとその回転軸との間で異音が発生するのを防止できる。詳しくは、フックが、回転軸に対して、その周方向の複数箇所で樹脂コーティングの接触部を介して支持される。したがって、回転軸がフックに対してセンタリングされ易くなり、フックがその回転時に偏向を伴い難くなるためスムーズに回転できるようになる。これにより、フックの回転時には、回転軸との間で偏向に伴う摺動抵抗の増大が生じ難くなり、異音が発生し難くなる。
これにより、樹脂コーティングの接触部を、フックに形成される貫通孔成形時のプレスバリと干渉させることなく配置設定することができる。したがって、樹脂コーティングの接触部に安定した弾性力を発揮させることができる。
図1は、車両用の格納式シートを表した側面図である。図1で示すシートは、例えば三人掛け用のリヤシートであり、この形式のシートを格納するには最初にリクライニング機構13を操作し、図1で示すようにシートクッション10側へシートバック12を倒し込む。これと併行して、シートクッション10のリヤ側下部とフロア14側とを係止しているロック装置のロック解除操作を行う。この後、シートクッション10を、そのフロント側端部を支点として回転させ、シート全体をフロントシート(図示省略)の背面に立てかける。
そのための構造として、シートクッション10のフロント端部は、フロア14に固定されたヒンジブラケット16に対し、回転軸18によって連結されている。シートクッション10のリヤ側下部とフロア14側とを係止しているロック装置の構成は、シートクッション10のリヤ側下部(二部材の一方)に設けられたロック機構20と、フロア14(二部材の他方)に固定されたストライカー50とに大別される。なお、ヒンジブラケット16と回転軸18とによる連結構造およびロック装置は、シートの両サイドにそれぞれ配置される。
ロックベース22は二枚一組であり、両ロックベース22が所定の間隔をもって結合され、それらの間に解除レバー46を除く他の構成部品が挟み込まれた状態で組み付けられている。このロックベース22が、二部材の一方であるシートクッション10のリヤ側下部に対し、支持軸27によって回転可能に支持される。
ロックベース22は、その下部において下向きに開放した凹部23を備えている。この凹部23は、その開放側からストライカー50を受け入れることが可能である。また、凹部23の全縁部は、樹脂コーティング26で被われている。この樹脂コーティング26は、後で説明するロック操作時においてロックベース22とストライカー50との金属接触による異音発生を防止するためのものである。
なお、ロックベース22を付勢しているスプリングの弾性力は、このロックベース22を図2の状態に保つ程度の比較的小さい力に設定されている。
ポール40および解除レバー46は、ロックベース22に回転可能に支持されたポール軸44の軸上にそれぞれ固定されている。ポール40は、フック30の係合面32に接触して受け止めることが可能な係合端面42を有する。解除レバー46には、ロック機構20にロック解除の操作力(引っ張り力)を伝えるケーブル(図示省略)が結合される。この解除レバー46がロック解除の操作力を受けてポール軸44と共に回転し、該ポール軸44を通じてポール40が回転する。なお、フック30と解除レバー46(ポール40)との間には、引っ張りコイルバネを用いたロックスプリング(図示省略)が掛けられており、フック30が図2および図3において反時計回り方向へ付勢され、同時に解除レバー46が時計回り方向へ付勢されている。
同じく樹脂コーティング34において係合面32を被っている部分には、この係合面32とポール40の係合端面42との間で弾性による反力を発揮させるための弾性反発部35が形成されている。すなわち、ポール40の係合端面42は弾性反発部35を介してフック30の係合面32を受け止めることになる。この弾性反発部35において、ポール40の係合端面42と接触する当接面35aは、その中央部が最も突出した山形状になっている。つまり、当接面35aにおける中央部を境とした両側は、互いに反対向きに傾斜した斜面35a1,35a2になっている。
なお、弾性反発部35の当接面35aが山形状に設定されていることで、この当接面35aがポール40の係合端面42に接触したときに弾性反発部35が変形し易い。また、弾性反発部35の両側部には凹部35bがそれぞれ設けられ、両凹部35bの間にはリブ形状の肉薄部分が残されているだけである。この構造によっても弾性反発部35が変形しやすく、弾性反発部35の変形に伴う反力でフック30とポール40との間で生じる異音を防止する。
この接触部34cは、図5に示されるように、フック30の図示手前側の板面を覆っているコーティング層から、貫通孔30hの孔内に張り出して形成されている。この接触部34cは、周方向の三箇所の位置に均等配置されている。
そして、前述した樹脂コーティング34の接触部34cは、フック30のプレスダレ30dが形成されている図示上層側の面部に配置設定されている。すなわち、接触部34cは、フック30に形成されたプレスバリ30bと干渉することのない配置設定とされている。したがって、接触部34cがプレスバリ30bに押圧されて軸方向に盛り上がってしまうような問題を生じることなく、接触部34cに安定した弾性力を発揮させることができる。
いま、ロック機構20は図2で示すアンロック状態にあるものとする。既に説明したようにフック30は反時計回り方向へ付勢され、その一部がロックベース22のストッパー(図示省略)に当たることで図2の回転位置に保持されている。一方、ポール40は時計回り方向へ付勢され、その先端部がフック30の外周に当たることで図2の回転位置に保持されている。
ロック機構20のロック操作により、ロックベース22の凹部23にストライカー50が相対的に進入し、この進入に伴ってフック30のフック凹部31における一方の端部31aにストライカー50が当たり、フック30をフック軸36の軸心回りに回転させる力が働く。これにより、フック30が前述した付勢力に抗して時計回り方向へ回転し、フック凹部31にストライカー50が係合するとともに、フック凹部31における他方の端部31bと凹部23の奥部との間でストライカー50が挟持される。これと並行してポール40が前述した付勢力によって回転し、その係合端面42が樹脂コーティング34における弾性反発部35の当接面35aに係合し、結果としては弾性反発部35を介してフック30の係合面32を受け止める。これにより、ロック機構20が図3で示すロック状態に保持される。
図3で示すロック機構20のロック状態において、ロック解除のための操作が行われると、ケーブルを通じて解除レバー46がポール40と共に反時計回り方向へ回転操作される。このため、ポール40の係合端面42がフック30の係合面32から外れ、フック30が前述した付勢力によって反時計回り方向へ回転する。これにより、フック30のフック凹部31がストライカー50から離れ、ロック機構20は再び図2で示すアンロック状態になる。
なお、ロック機構20とストライカー50との組み付け公差等により、相互の位置にバラツキが生じる。このような場合でも、前述した付勢力を受けているロックベース22が切り込み部28とストッパーピン11とによる規制の範囲内において支持軸27の軸心回りに回転することにより、凹部23にストライカー50を受け入れることができる。つまり、前述のバラツキを吸収してロック性能が維持される。
例えば、図7に示されるように、樹脂コーティング34のフック30の図示手前側の板面を覆っているコーティング層と、図示奥側の板面を覆っているコーティング層とに、接触部34c,34dをそれぞれ形成してもよい。なお、同図に示されている変形例では、各接触部34c,34dは、それぞれ、周方向の三箇所の位置に均等配置されていると共に、互いの周方向の配設位置がずれた配置設定とされている。
これにより、フック30は、接触部34c,34dによって、フック軸36(図4参照)に対して軸方向の複数箇所で支持される。これにより、フック30がフック軸36に対して傾き難くなり、フック30がスムーズに回転できるようになる。そして、各接触部34c,34dが互いに周方向の配設位置がずれて配置されているため、フック軸36は、各接触部34c,34dが配置された軸方向の各部位において、それぞれセンタリングされた状態で傾き難いように支持される。よって、フック30の回転時には、フック軸36との間で偏向や傾きに伴う摺動抵抗の増大が生じ難くなり、異音が発生し難くなる。なお、接触部同士は、互いの周方向の配設位置が同じ配置設定とされていてもよい。
14 フロア(二部材の一方)
20 ロック機構
22 ロックベース
23 凹部
30 フック
30h 貫通孔
30d プレスダレ
30b プレスバリ
32 係合面
34 樹脂コーティング
34c,34d 接触部
35 弾性反発部
36 フック軸(回転軸)
40 ポール
50 ストライカー
Claims (2)
- 互いに係止される二部材の一方に設けられたロック機構と、二部材の他方に設けられたストライカーとからなるロック装置であって、
ロック機構は、ストライカーを受け入れ可能な凹部を有するロックベースと、
このロックベースに設けられた回転軸に対して回転可能に軸支され、その回転によりロックベースの凹部との間でストライカーを挟持したロック状態、あるいはストライカーから離れたアンロック状態を形成するフックと、
ロックベースに回転可能に軸支され、フックの係合面に対して係合する位置に回転することにより、フックをロック状態に保持するポールとを備え、
フックには樹脂コーティングが施されており、フックはその樹脂コーティングを介して回転軸と接触しており、該樹脂コーティングは回転軸に対して周方向の一部で接触しており、
樹脂コーティングはその回転軸と接触する接触部が回転軸の中心軸に向けて突出する形状として互いに周方向に間隔を空けて複数形成されているロック装置。 - 請求項1に記載されたロック装置であって、
樹脂コーティングの接触部は、回転軸を挿通するためにフックに形成される貫通孔成形時のプレスダレが形成される側の面部に配置設定されているロック装置。
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