JP5049949B2 - 潤滑装置 - Google Patents
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Description
しかし、この変速機では、オイルガータが被潤滑部材から比較的遠くに離れているため、オイルガータと被潤滑部材との間から潤滑油が下方に落下しやすい。このため、被潤滑部材に対して必要量の潤滑油が供給されにくくなり、変速機の潤滑性能の安定化の妨げとなる。
このように、被潤滑部材に対して安定して潤滑油を供給できる潤滑装置が求められている。
本発明の課題は、潤滑性能の安定化を図ることができる潤滑装置を提供することにある。
この潤滑装置では、誘導部材の排出部が被潤滑部材に向かって突出し被潤滑部材に近接して配置されているため、排出部から排出された潤滑油が被潤滑部材に接触しやすくなり、さらに潤滑油が被潤滑部材と排出部との間から下方に落下しにくくなる。これにより、被潤滑部材の潤滑効率が高まり、潤滑性能の安定化を図ることができる。
<変速機の全体構成>
図1を用いて変速機1について説明する。図1は変速機1の概略断面図である。この変速機1が車両に搭載されている場合、図1の左側が車両の前方となり、図1の右側が車両の後方となる。以下の説明では、図1における左方向を前方(軸方向の第2側の一例)、図1における右方向を後方(軸方向の第1側の一例)、と定義する。また、図1の上下方向は、変速機1が車両に搭載されている状態と一致しているため、以下の説明での上下方向および左右方向は、変速機1が車両に搭載されている状態での上下方向および左右方向を意味している。
変速機1は、6段変速が可能な、FR(Front Engine Rear Drive)車用の手動変速機である。具体的には図1に示すように、変速機1は主に、ケース2と、入力シャフト3と、カウンタシャフト4と、メインシャフト8と、複数のギヤG1〜G17と、複数のシンクロ機構S1〜S4と、を備えている。
入力シャフト3は、クラッチ装置(図示せず)を介してエンジン(図示せず)で発生した動力が伝達されるシャフトであり、回転軸A1を中心に回転可能なように軸受53を介してケース2により支持されている。入力シャフト3の端部には、メインドライブギヤG7が入力シャフト3と一体回転可能なように設けられている。
メインシャフト8は、動力を出力するためのシャフトであり、回転軸A1を中心に回転可能なように軸受51を介してケース2により支持されている。メインシャフト8の前方側の端部は、入力シャフト3により回転可能に支持されている。メインシャフト8には第4速メインギヤG4および第3速メインギヤG3が固定されている。メインシャフト8は、第6速メインギヤG6、第2速メインギヤG2、第1速メインギヤG1およびリバースメインギヤG5を相対回転可能なように支持している。第4シンクロ機構S4、第3シンクロ機構S3および第1シンクロ機構S1はメインシャフト8により支持されている。第3シンクロ機構S3は、第1速メインギヤG1または第2速メインギヤG2をメインシャフト8と連結するための機構である。第4シンクロ機構S4は、第6速メインギヤG6またはメインドライブギヤG7をメインシャフト8に連結するための機構である。第1シンクロ機構S1は、リバースメインギヤG5をメインシャフト8と連結するための機構である。
第1速メインギヤG1は、第1速走行時に使用されるギヤであり、第1速カウンタギヤG11と噛み合っている。第2速メインギヤG2は、第2速走行時に使用されるギヤであり、第2速カウンタギヤG12と噛み合っている。第3速メインギヤG3は、第3速走行時に使用されるギヤであり、第3速カウンタギヤG13と噛み合っている。第4速メインギヤG4は、第4速走行時に使用されるギヤであり、第4速カウンタギヤG14と噛み合っている。リバースメインギヤG5は、後進時に使用されるギヤであり、リバースカウンタギヤG15と噛み合っている。第6速メインギヤG6は、第6速走行時に使用されるギヤであり、第6速カウンタギヤG16と噛み合っている。
第1速メインギヤG1および第1速カウンタギヤG11は、第2速メインギヤG2および第2速カウンタギヤG12よりも後方側に配置されている。第3速メインギヤG3、第3速カウンタギヤG13および第2シンクロ機構S2は、第1速メインギヤG1および第1速カウンタギヤG11よりも後方側に配置されている。第2速メインギヤG2および第2速カウンタギヤG12のギヤ比は、第1速メインギヤG1および第1速カウンタギヤG11のギヤ比よりも小さい。メインドライブギヤG7およびカウンタドライブギヤG17は、少なくとも第1速走行時および第2速走行時において動力を伝達する。カウンタドライブギヤG17は、他のギヤに比べて第3速カウンタギヤG13に対して軸方向に最も遠い位置(最前方端)に配置されている。
潤滑性能の安定化を考慮して、変速機1にはオイルガータ6およびガータプレート7が設けられている。本実施形態では、潤滑油を掻き上げる第3速カウンタギヤG13、オイルガータ6およびガータプレート7により潤滑装置Lが実現されている。ここでは、図1〜図13を用いて、オイルガータ6およびガータプレート7について説明する。
図2および図3は、カウンタシャフト4およびその周辺の斜視図である。図4は、カウンタシャフト4およびその周辺の平面図である。図5はカウンタシャフト4およびその周辺の側面図である。図6および図7はオイルガータ6の斜視図である。図8はオイルガータ6の平面図である。図9〜図12はオイルガータ6の側面図である。図13は受け部材Bの概略平面図である。図13ではオイルガータ6の形状および構造が簡略化されている。
図1〜図5に示すように、オイルガータ6は、第3速カウンタギヤG13および第2シンクロ機構S2により掻き上げられた潤滑油を、カウンタドライブギヤG17、第2速カウンタギヤG12および第1速カウンタギヤG11に誘導するための部材であり、カウンタシャフト4の側方に配置されている。オイルガータ6の後方側の端部は、例えばアダプタプレート23に固定されている。オイルガータ6は、回転軸A2に対してカウンタドライブギヤG17が潤滑油を掻き上げる側(カウンタドライブギヤG17の外周部が概ね上方に移動する側)に配置されている。
図6〜図13に示すように、オイルガータ6は、受け部材Bおよび蓋部材Cにより形成されており、第1誘導部61と、第2誘導部62と、第3誘導部63と、を有している。受け部材Bおよび蓋部材Cは、例えば樹脂製であり、それぞれ一体形成されている。蓋部材Cは受け部材Bに装着されている。蓋部材Cは受け部材Bにより、第1誘導部61、第2誘導部62および第3誘導部63が形成されている。
第1誘導部61は、第3速カウンタギヤG13により掻き上げられた潤滑油の少なくとも一部を捕集し第2速カウンタギヤG12に供給するための部分であり、第1捕集部61aと、第1中間部61bと、第1排出部61cと、を有している。
第1捕集部61aは、第3速カウンタギヤG13により掻き上げられた潤滑油の少なくとも一部を捕集するための部分であり、第3速カウンタギヤG13および第2シンクロ機構S2の半径方向外側に配置されている。第1中間部61bは第1捕集部61aと第1排出部61cとを接続する部分である。
第1排出部61cは、第1捕集部61aで捕集された潤滑油を第2速カウンタギヤG12に向けて排出するための部分である。具体的には、第1排出部61cは、第3速カウンタギヤG13に近づくように斜め上方に向かって延びる傾斜部61dを有している。
これらの構成により、第3速カウンタギヤG13により掻き上げられた潤滑油を第2速カウンタギヤG12に誘導する第1流路P1が形成されている。
第2誘導部62は、第3速カウンタギヤG13により掻き上げられた潤滑油の少なくとも一部を捕集しカウンタドライブギヤG17に供給するための部分であり、第2捕集部62aと、第2中間部62bと、第2排出部62cと、延長部64と、を有している。
第2捕集部62aは、第3速カウンタギヤG13により掻き上げられた潤滑油の少なくとも一部を捕集するための部分であり、第3速カウンタギヤG13および第2シンクロ機構S2の半径方向外側に配置されている。第2中間部62bは第2捕集部62aと第2排出部62cとを接続する部分である。
第2排出部62cは、第2捕集部62aで捕集された潤滑油をカウンタドライブギヤG17に向けて排出するための部分である。具体的には、第2排出部62cは、第2中間部62bからカウンタドライブギヤG17に向かって突出しており、このカウンタドライブギヤG17に近接して配置されている。第1排出部61cとは異なり、第2排出部62cはほぼ水平に突出している。
これらの構成により、第3速カウンタギヤG13により掻き上げられた潤滑油をカウンタドライブギヤG17に誘導する第2流路P2が形成されている。なお、延長部64の詳細については後述する。
第3誘導部63は、第1捕集部61aおよび第2捕集部62aの上側に配置されている。第3誘導部63は、ケース2の上部から滴下した潤滑油を捕集し第1速カウンタギヤG11に供給する。具体的には、第3誘導部63は、第3捕集部63aと、第3排出部63cと、を有している。
第3捕集部63aはケース2の上部から滴下した潤滑油を捕集する部分である。第3排出部63cは第3捕集部63aにより捕集された潤滑油を第1速カウンタギヤG11に供給するための部分である。第3排出部63cは、第3捕集部63aから第1速カウンタギヤG11に向かって突出しており、第1速カウンタギヤG11に近接して配置されている。第3排出部63cは第3捕集部63aから概ね水平に突出している。
4)延長部
ここで、第2誘導部62の延長部64の詳細について説明する。
延長部64は、カウンタドライブギヤG17の外周部に沿って第2排出部62cの端部から下方に延びる第1延長部64aと、カウンタドライブギヤG17から離れるように第1延長部64aの端部から下方に延びる第2延長部64bと、を有している。
第1延長部64aとカウンタドライブギヤG17との間の隙間寸法は、概ね一定である。第1延長部64aは、第1本体部64eと、第1後方側リブ64c(第1側壁部の一例)と、第1前方側リブ64d(第2側壁部の一例)と、を有している。第1本体部64eはカウンタドライブギヤG17と半径方向に対向するように配置されている。
第1前方側リブ64dは、第1本体部64eの前方側端部に配置されており、第1本体部64eからカウンタドライブギヤG17に半径方向内側に向かって延びている。第1前方側リブ64dは第1本体部64eの全長にわたってカウンタドライブギヤG17の外周部に沿って回転方向に延びている。
第2後方側リブ64gは、第2本体部64fの後方側端部に配置されており、第2本体部64fからカウンタドライブギヤG17の半径方向内側に向かって延びている。第2後方側リブ64gは第2本体部64fの全長にわたってカウンタドライブギヤG17の外周部に沿って回転方向に延びている。第2後方側リブ64gはカウンタドライブギヤG17に対して後方側に配置されている。例えば、第2後方側リブ64gは第1後方側リブ64cと一体形成されている。
さらに、延長部64は、3本のリブ64iを有している。リブ64iは、第1後方側リブ64cと第1前方側リブ64dとの間、そして第2後方側リブ64gと第2前方側リブ64hとの間に配置されており、第1延長部64aおよび第2延長部64bの全長にわたって回転方向に延びている。リブ64iの高さは、第1前方側リブ64dの高さとほぼ同じである。第1後方側リブ64c、第1前方側リブ64dおよびリブ64iは、第1本体部64eの強度を高める機能の他に、カウンタドライブギヤG17と延長部64との間を流れる潤滑油を回転方向の整流する機能も有している。
ガータプレート7は、カウンタシャフト4の下部に配置された板金製の部材であり、プレート本体71と、第4誘導部72と、を有している。
プレート本体71は、ガータプレート7の主要な部分であり、第1ケース21の下部と各ギヤとの間に配置されている。第4誘導部72は、プレート本体71と一体形成されており、第3速カウンタギヤG13の半径方向外側に配置されている。
第4誘導部72は、第2捕集部62a周辺に配置されており、第3速カウンタギヤG13により掻き上げられた潤滑油を第2捕集部62aに誘導する。より詳細には、第4誘導部72は、1対の側壁部72aを有している。側壁部72aは、第3速カウンタギヤG13よりも軸方向前方および後方にずれた位置に配置されており、プレート本体71から半径方向外側に延びている。つまり、第4誘導部72は、第3速カウンタギヤG13の下方から側方にかけてプレート本体71よりも半径方向外側に迫り出している。このため、第3速カウンタギヤG13の回転に伴って潤滑油が第4誘導部72により第2捕集部62aに案内されやすくなり、第2捕集部62aの捕集効率が高まる。
図1を用いて変速機1の動作について説明する。
例えば、第1速走行時には、第3シンクロ機構S3により第1速メインギヤG1とメインシャフト8とが連結されている。入力シャフト3に伝達された動力は、メインドライブギヤG7およびカウンタドライブギヤG17を介してカウンタシャフト4に伝達される。カウンタシャフト4に伝達された動力は、第1速カウンタギヤG11および第1速メインギヤG1を介してメインシャフト8に伝達される。このとき、第1速メインギヤG1および第1速カウンタギヤG11のギヤ比に応じた回転速度でメインシャフト8が回転する。
また、第2速走行時には、第3シンクロ機構S3により第2速メインギヤG2とメインシャフト8とが連結される。入力シャフト3に伝達された動力は、メインドライブギヤG7およびカウンタドライブギヤG17を介してカウンタシャフト4に伝達される。カウンタシャフト4に伝達された動力は、第2速カウンタギヤG12および第2速メインギヤG2を介してメインシャフト8に伝達される。このとき、第2速メインギヤG2および第2速カウンタギヤG12のギヤ比に応じた回転速度でメインシャフト8が回転する。
<潤滑油の挙動>
車両が第1速で走行している際、第3速カウンタギヤG13および第2シンクロ機構S2が回転しているため、第3速カウンタギヤG13および第2シンクロ機構S2により潤滑油が掻き上げられる。第3速カウンタギヤG13により掻き上げられた潤滑油は、第1誘導部61および第2誘導部62により第2速カウンタギヤG12およびカウンタドライブギヤG17に誘導される。具体的には、第3速カウンタギヤG13により掻き上げられた潤滑油は、第1捕集部61aおよび第2捕集部62aに流れ込む。
第2捕集部62aに流れ込んだ潤滑油は、第2中間部62bにより第2排出部62cまで誘導され、第2排出部62cからカウンタドライブギヤG17に向かって排出される。延長部64の第1延長部64aがカウンタドライブギヤG17の外周部に沿って設けられているため、第2排出部62cから排出された潤滑油がカウンタドライブギヤG17と第1延長部64aとの間に流れ込み、カウンタドライブギヤG17により掻き上げられる。この結果、第2排出部62cから排出された潤滑油がカウンタドライブギヤG17に付着しやすくなり、カウンタドライブギヤG17の潤滑効率が高くなる。ガータプレート7の第4誘導部72により第3速カウンタギヤG13により掻き上げられた潤滑油が第2捕集部62aに案内されるため、第2捕集部62aの捕集効率が高くなる。
<特徴>
変速機1の特徴は以下の通りである。
(1)
この潤滑装置Lでは、第2誘導部62の第2排出部62cがカウンタドライブギヤG17に向かって突出しカウンタドライブギヤG17に近接して配置されているため、第2排出部62cから排出された潤滑油がカウンタドライブギヤG17に接触しやすくなり、さらに潤滑油がカウンタドライブギヤG17と第2排出部62cとの間から下方に落下しにくくなる。これにより、カウンタドライブギヤG17の潤滑効率が高まり、潤滑性能を高めることができる。
第2誘導部62が第1延長部64aを有しているため、第2排出部62cから排出された潤滑油が第2排出部62cとカウンタドライブギヤG17との間から落下しようとしても、第1延長部64aにより受け止められ、カウンタドライブギヤG17に掻き上げられる。これにより、さらに潤滑性能を高めることができる。
また、潤滑油が第2排出部62cとカウンタドライブギヤG17との間から落下しようとしても、第1延長部64aにより潤滑油が受け止められ、カウンタドライブギヤG17と第1延長部64aとの間に潤滑油が溜まる。この溜まった潤滑油は、カウンタドライブギヤG17により掻き上げられる。また、第1延長部64aがカウンタドライブギヤG17の外周部に沿って延びているため、カウンタドライブギヤG17に当たった潤滑油が跳ね飛ばされにくくなる。したがって、潤滑油を掻き上げてギヤ噛み合い部を効率的に潤滑することが可能となる。
第1延長部64aとカウンタドライブギヤG17との間の隙間寸法が概ね一定であるため、第1延長部64aとカウンタドライブギヤG17との間に潤滑油が流れ込んでも、カウンタドライブギヤG17により潤滑油が掻き上げられやすくなる。
(4)
第2誘導部62は、カウンタドライブギヤG17から離れるように第1延長部64aの端部から下方に延びる第2延長部64bを有しているため、カウンタドライブギヤG17周辺の潤滑油がカウンタドライブギヤG17と第2延長部64bとの間に流入しやすくなる。これにより、カウンタドライブギヤG17の潤滑効率がさらに高まる。
(5)
第1延長部64aの第1後方側リブ64cにより第1延長部64aとカウンタドライブギヤG17との間の潤滑油が後方側へ流れ出るのが抑制される。また、第2延長部64bの第2後方側リブ64gにより第2延長部64bとカウンタドライブギヤG17との間の潤滑油が後方側へ流れるのが抑制される。これにより、カウンタドライブギヤG17の潤滑効率がさらに高まる。
さらに、車両が加速する際に後方への加速度が潤滑油に作用した場合に、第2排出部62cから排出される潤滑油が後方側へ流れ出るのが第2後方側壁部62fにより効果的に抑制される。
(6)
第1延長部64aの第1前方側リブ64dにより第1延長部64aとカウンタドライブギヤG17との間の潤滑油が前方側へ流れ出るのが抑制される。また、第2延長部64bの第2前方側リブ64hにより第2延長部64bとカウンタドライブギヤG17との間の潤滑油が前方側へ流れ出るのが抑制される。これにより、カウンタドライブギヤG17の潤滑効率がさらに高まる。
さらに、車両が加速する際に後方への加速度が潤滑油に作用した場合に、第2排出部62cから排出される潤滑油が前方側へ流れ出るのが前方側壁部62eにより効果的に抑制される。
(7)
第1後方側リブ64cおよび第1前方側リブ64dが第1本体部64eの全長にわたってカウンタドライブギヤG17の外周部に沿って延びているため、第1延長部64aとカウンタドライブギヤG17との間の潤滑油が第1延長部64aの外側へ流れ出るのが抑制されやすくなり、カウンタドライブギヤG17の潤滑効率を高めることができる。
潤滑油の流れ方向を変更する方向変更部Dが第1排出部61cにより実現されている。具体的には、第1排出部61cは、カウンタドライブギヤG17に近づくように斜め上方に向かって延びる傾斜部61dを有している。このため、傾斜部61dにより潤滑油が斜め上方に向かって排出される。この結果、潤滑油が第2速カウンタギヤG12の外周部に概ね沿うように排出される。これにより、潤滑油が第2速カウンタギヤG12に衝突して飛散するのを抑制でき、第2速カウンタギヤG12の潤滑効率を高めることができる。
(9)
カウンタドライブギヤG17の半径方向外側に配置された延長部64をオイルガータ6が有しているため、カウンタドライブギヤG17に形成された複数の歯の間の空間を利用して潤滑油を運搬することができる。これにより、カウンタドライブギヤG17の潤滑効率を高めることができる。
以上のように、この変速機1では潤滑装置Lが搭載されているため、潤滑性能を高めることができる。
<他の実施形態>
本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
(A)
オイルガータ6およびガータプレート7の形状は、前述の実施形態に限定されない。例えば、オイルガータ6が、受け部材Bおよび蓋部材Cの2つの部材ではなく、一体で形成されていてもよい。
(B)
オイルガータ6により潤滑油が供給される部材は、シンクロ機構であってもよい。この場合、シンクロ機構の潤滑効率が高まり、潤滑性能の安定化を図ることができる。
(C)
潤滑油を掻き上げる部材を第3速カウンタギヤG13および第2シンクロ機構S2として説明しているが、潤滑油を掻き上げる部材はギヤだけでもよく、シンクロ機構だけでもよい。
第1排出部61cが傾斜部61dを有しているが、第1排出部61cが第1中間部61bから突出し第2速カウンタギヤG12と近接しているのであれば、傾斜部61dが設けられていなくてもよい。
第2排出部62cの端部に延長部64が設けられているが、第2排出部62cが第2中間部62bから突出しカウンタドライブギヤG17と近接していれば、延長部64が設けられていなくてもよい。
第1排出部61cに傾斜部61dが設けられているが、第2排出部62cが第1排出部61cと同じような形状を有していてもよい。逆に、第2排出部62cに延長部64が設けられているが、第1排出部61cにも延長部64と同じような形状の部分が設けられていてもよい。つまり、第1排出部61cに傾斜部61dおよび延長部64が設けられていてもよいし、第1排出部61cに傾斜部61dではなく延長部64のみが設けられていてもよい。
オイルガータ6の配置は前述の実施形態に限定されない。例えば図14に示すオイルガータ106のように、第1誘導部61および第2誘導部62が回転軸A2よりも鉛直方向上側に配置されていてもよい。図14では、オイルガータ106は模式的に示されている。
この場合、図15および図16に示すように、第1排出部161cおよび第2排出部162cが回転軸A2よりも上側に配置されている。より具体的には、第1排出部161cは、第2速カウンタギヤG12の回転中心(回転軸A2)に対して第2速カウンタギヤG12の外周部が概ね上方に移動する側であって回転軸A2よりも鉛直方向上側に配置されている。第2排出部162cは、カウンタドライブギヤG17の回転中心(回転軸A2)に対してカウンタドライブギヤG17の外周部が概ね上方に移動する側であって回転軸A2よりも鉛直方向上側に配置されている。第1排出部161cおよび第2排出部162cの位置が前述の実施形態よりも高くなるため、ギヤの噛み合い部(被潤滑部分)に潤滑油が供給される部分(潤滑油供給部)が近くなる。具体的には、第1排出部161cの場合、第2速カウンタギヤG12と第2速メインギヤG2とが噛み合う部分に潤滑油が供給される部分が近くなる。第2排出部162cの場合、カウンタドライブギヤG17とメインドライブギヤG7とが噛み合う部分に潤滑油が供給される部分が近くなる。これにより、ギヤの潤滑効率を高めることができ、潤滑性能の安定化を図ることができる。
(F)
潤滑装置Lが適用される装置は、変速機1に限定されない。ギヤなどの被潤滑部材を有する装置であれば本発明は適用可能である。
2 ケース
3 入力シャフト
4 カウンタシャフト
6 オイルガータ
61 第1誘導部(誘導部の一例)
61a 第1捕集部(誘導部本体の一例)
61b 第1中間部(誘導部本体の一例)
61c 第1排出部(排出部)
61d 傾斜部
61e 第1開口
62 第2誘導部(誘導部の一例)
62a 第2捕集部(誘導部本体の一例)
62b 第2中間部(誘導部本体の一例)
62c 第2排出部(排出部)
63 第3誘導部
63a 第3捕集部
63c 第3排出部
64 延長部
64a 第1延長部
64b 第2延長部
64c 第1後方側リブ(第1側壁部の一例)
64d 第1前方側リブ(第2側壁部の一例)
64e 第1本体部(本体部の一例)
64f 第2本体部(本体部の一例)
64g 第2後方側リブ(第1側壁部の一例)
64h 第2前方側リブ(第2側壁部の一例)
64i リブ(リブ部の一例)
G11 第1速カウンタギヤ
G12 第2速カウンタギヤ(被潤滑部材の一例)
G13 第3速カウンタギヤ(回転部材の一例)
G17 カウンタドライブギヤ(被潤滑部材の一例)
S2 第2シンクロ機構(回転部材の一例)
Claims (8)
- 被潤滑部材に潤滑油を供給するための潤滑装置であって、
前記潤滑油と接触可能な回転部材と、
前記回転部材により掻き上げられた前記潤滑油の少なくとも一部を捕集し誘導する誘導部本体と、前記誘導部本体により捕集された前記潤滑油が前記被潤滑部材に向けて排出されるように前記誘導部本体から前記被潤滑部材に向かって突出し前記被潤滑部材に近接して配置された排出部と、を有する誘導部と、
を備え、
前記誘導部は、前記被潤滑部材との間の隙間寸法が概ね一定となるよう前記被潤滑部材の外周部に沿って前記排出部の端部から下方に延びる第1延長部と、前記被潤滑部材から徐々に離れるように前記第1延長部の端部から斜め下方に延びる第2延長部と、を有する
潤滑装置。 - 前記排出部、前記第1延長部および前記第2延長部のうち少なくとも1つは、前記被潤滑部材と半径方向に対向するように配置された本体部と、前記被潤滑部材に対して前記被潤滑部材の軸方向の第1側に配置され前記本体部から前記被潤滑部材の回転中心の方に延びる第1側壁部と、を有している、
請求項1に記載の潤滑装置。 - 前記排出部、前記第1延長部および前記第2延長部のうち少なくとも1つは、前記被潤滑部材に対して前記被潤滑部材の軸方向の第2側に配置され前記本体部から前記被潤滑部材の回転中心の方に延びる第2側壁部を有している、
請求項2に記載の潤滑装置。 - 前記第1側および第2側壁部は、前記本体部の全長にわたって前記被潤滑部材の外周部に沿って延びている、
請求項3に記載の潤滑装置。 - 前記第1および第2延長部のうち少なくとも一方は、前記本体部から前記被潤滑部材の回転中心の方に延びるリブ部を有している、
請求項2から4のいずれかに記載の潤滑装置。 - 前記排出部は、前記被潤滑部材の回転中心に対して前記被潤滑部材の外周部が概ね上方に移動する側であって前記被潤滑部材の回転中心よりも鉛直方向上側に配置されている、
請求項1から5のいずれかに記載の潤滑装置。 - 前記排出部は、前記被潤滑部材に近づくように斜め上方に向かって延びる傾斜部を有している、
請求項1から6のいずれかに記載の潤滑装置。 - 前記被潤滑部材は、歯車である、
請求項1から7のいずれかに記載の潤滑装置。
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